SF名文句・迷文句第258集

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こうやって……待っているうちに……、
いずれ──夜が明けたら……。

 出典: 小松左京「夜が明けたら」  同名短編集などに収録

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 一瞬にして真っ暗闇になってしまった日本の真相(であろう推測)を聞いた主人公の、それでもわきあがってくる『動物的本能』が、こう描写されています。人間の生きる基本ということですね。
 生活の基盤にある「昼と夜」に待ったをかけた小松先生さすがです。そして、もうネット上でも何度目かになりますが、お悔やみ申し上げます。

駄弁者:
 夜闇の原初的な恐さがひしひしと迫る短編でした。
 手元になかったので収録されている本を電子書籍で入手したのですが、この作品については冊子版を夜に読んだ方が気分がでただろうなあ。



「じゃ、次のキャスト紹介、PC@のフミからお願い」
「名前はメルロ・クレイ、北米出身。カブト◎・チャクラ・ミストレス●。18歳の駆け出しの女カブトです。真面目で融通が利かないそうなんですが、ミストレスなので困った人を放っておけません」
「お、かっこよさそう。チャクラ? 武器は何?」
「ダブルリップスです」
「実にフミらしいキャストだ!」

 出典: 安達洋介「QuickStart!!」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 SFではありませんが以前にも紹介されたSFTRPGも登場する、高校のTRPG部を舞台にした4コマ漫画からの名文句です。
 部員達が「トーキョーN◎VA」をプレイする事にし、各自自分のキャスト(PC)を紹介する事になります。
 部員の1人・人外種族好きなフミが紹介した自分のキャスト・メルロは、サイバー武器を使用するボディーガードという設定でした。
 ところがメルロ愛用の武器・ダブルリップスは、口の中に仕込む機械の蛇といった感じの代物だったのです……。

駄弁者:
 口の中に仕込むサイバーパンク調の武器というと、舌の上にクモかゲジゲジ状のICチップが乗っていて、それがウゾウゾ動いて相手に乗り移り、その相手を害したり支配したりできる……というのをどこかの小説かマンガで見た覚えがあるんですが。何だったかな〜。



わたしは、例の有名な骨が空中でくるくると旋回し、三〇〇万年後に軌道を回る爆弾になるのを思い出したところだ。それをスタンリーが空中に放り上げたとき、彼の頭に落ちてわれわれのささやかな映画を不意に終わらせるのではないかと、心配しながら見ていたのを、いまでも思い出すことができる。

 出典: アーサー・C・クラーク「楽園の日々 アーサー・C・クラーク自伝」(山高昭訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 下のご投稿が載っていた章を探して読んでいたとき、すぐ後にあった一節。つい吹き出してしまいました。そんなNGシーンがあったら是非みてみたい。
 …ひょっとしたら、頭に落ちて投げた類人猿が死んでしまい、その後の人類の未来が変わってしまう、などといったパロディ作品は探せばあるかも。



SFの最大の真価の一つは、長年の信条に挑戦し、外界がかならずしも自分の希望や期待と合致するものではないことを、憤激が静まったあとで読者に認識させるところにある。それは人に考えることを強いる―だからこそ、これほど多くの人々に嫌われるのだ。

 出典: アーサー・C・クラーク「楽園の日々 アーサー・C・クラーク自伝」(山高昭訳)

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 投稿する元ネタの確認を取るために、十数年ぶりに、クラークの自伝を再読した。この再読によって―私自身すっかり忘れていたものだが―巨匠の遺したこの名言(まさに「アスタウンディング」!)に再会する事が出来た。再会の機会を与えてくれた駄弁者氏に、私は感謝すべきだろう―たとえ駄弁者氏にそのつもりがなかったとしても。
 ところで、元々投稿しようと思っていた巨匠の名言(これについて私は「イヤミかオノレは?」と声に出して突っ込むつもりでいた)についてだが…結局のところ、人の記憶はあてにならない―特に私のは―ことを再確認しただけに終わってしまった。

駄弁者:
 「武器を買う権利は、自由になる権利である」(『イシャーの武器店』より)といったヴァン・ヴォークトらの主張に反発しつつも、作品のインパクト自体についてはフォローしてみせる、行き届いた言葉だと思います。気に入らない意見があればそれを含んだ作品自体も否定してしまいかねないところですが、そこを分けて考えられるクラーク先生は大人。…けど「これほど多くの人々に嫌われるのだ」あたりで、多くの人々の一員たるご自身のホンネが出ていたり?
 ちなみに出典は、文庫版では副題が「アーサー・C・クラークの回想」となってます。クラーク自身の伝記というより、アスタウンディング誌を中心としたパルプSF雑誌について、クラークが読んだり書いたりしたときの回想を含めて語るという性格の方が強い作品だからでしょう。これから探す方はご注意を。



やっぱり仮面ライダーは助け合いだね

 出典: 石ノ森章太郎原作・柴崎貴行監督・小林靖子脚本「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 かつて錬金術によってコアメダルを創り出し、800年の時を経て墓の下から蘇り現代人の欲望を使い世界を滅ぼそうとする錬金術師ガラに挑む仮面ライダーオーズ。
 その時、空から次回作のライダーである仮面ライダーフォーゼが突如飛来し、文字通り振り回されたりしつつも協力してガラの怪人態に挑みます。
 そしてオーズはフォーゼに対しこのように1年前にどこかで聞いたような台詞で礼を言うのでした。
 この映画でオーズはフォーゼとだけでなくいろいろな人物と(それこそあの「暴れん坊将軍」の徳川吉宗とまで)様々な場面で協力する事になるのですが、人間の欲望を弄ぶガラに対してたくさんの人達と協力して立ち向かっていくオーズの姿にはかつて人間を洗脳によって無理矢理手駒にしていた悪の組織に対して他の仮面ライダーだけでなく立花のおやっさんや滝、アンチショッカー同盟の人達や少年ライダー隊の子供達などのような人間達とも協力して戦っていた昭和ライダーに通じる物があるように思いました。

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーWから始まった夏の映画での先行登場。「オールライダー対大ショッカー」では仮面ライダー1号〜ディケイドのオールライダーを圧倒したシャドームーンをWが一蹴し、「AtoZ 運命のガイアメモリ」では仮面ライダージョーカーをフィリップの元へ行かせるためにオーズがルナドーパントと戦った。
 本作でも仮面ライダーフォーゼが先行登場。現代によみがえった800年前の錬金術師ガラと戦うオーズの前に空から飛んできたフォーゼ。そのまま戦いに協力するフォーゼにオーズが言ったのが投稿の台詞。

駄弁者:
 昭和ライダーしか知らない立場としてみれば、確かに協力者はいたかも知れないけれど、戦闘自体は基本一人でやっていたので、やはり「助け合い」という言葉とはつながりにくいように感じるのですが…(前の時も同じことを言ってますが)。



おのれぇ、貴様に邪魔されてたまるか!
日本中を野菜だらけにしてやる!

 出典: 東映制作「機動刑事ジバン 第3話『へんな男とおばけ野菜』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 野菜が増殖して人々を家から追い出すという怪事件が発生。やがて野菜は強酸性の液体や有毒ガスを放出し、人々は街からも逃げることを余儀なくされた。
 セントラルシティ署の田村直人(ジバン)は事件が犯罪組織バイオロンの仕業であることを突き止める。バイオロンは特殊な薬品で変質させた野菜を使い、余計な戦力を使わずに日本を占領しようとしていたのだった。台詞はジバンに追い詰められた怪人ドロノイドのもの。

駄弁者:
 すいません、セリフを見て否応なく『Dr.スランプ』に出てくる暴走族風牛乳屋さんを思い出したんですが、古いネタを分かってくれる人はいるんでしょうか…?



阿梨「幽霊が出るから私の部屋で寝るわけ?」
ライム「悪い?」
阿梨「じゃあ私ライムの部屋で寝るね しかたないや」
ライム「ちがうっ!!」

 出典: わかつきめぐみ「So What?」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ご本尊(タイムマシン)による時空のゆがみによらない幽霊を目撃したライムは寝具を持って阿梨の部屋におしかけます。「悪い?」と開き直るライムですが阿梨の天然ぶりは彼女の想像を絶していました(笑)
 いや、夏だから怪談ネタを……というわけではないんですが。ライムもライムで最初っからわけを説明すりゃいいのにツンデレなんだからもう君ってものは(広川太一郎調)。

駄弁者:
 久々に登場の出典ですね。
 鈍感主人公とツンデレヒロインのコンビは80年代からの鉄板です。



あぁ私はコンボイ司令に乗せていってもらうよ…

 出典: マーヴェルサンボウプロダクション制作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー『ベクターシグマの鍵 PART II』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 コンボイ司令の「私に良い考えがある」と言えば失敗フラグとしてあまりにも有名ですが何も失敗ばかりな訳じゃありません。
 メガトロンが盗んだ車を改造しスタントロン部隊を作り上げセイバートロン星のウルトラコンピューター「ベクターシグマ」に生命を吹き込んでもらい超ロボット生命体にした、コンボイはこれに対抗しセイバートロン星の古いロケットを改造しエアーボット部隊を作り上げ同じく生命を吹き込んでもらいます。
 しかしエアーボットの一人シルバーボルトは元々低空飛行用の輸送機だった為高所恐怖症という弱点を持っていましたそこで司令官のいい考え、シルバーボルトをエアーボット指揮官にし、忙しさと責任感で高いところの怖さに構っていられないようにしようと言うのです。
 シルバーボルトは反抗的なメンバーをなんとかまとめ上げスタントロンに勝利。有機体を金属に変えてしまう「ベクターシグマのキー」を持つメガトロンを高々度まで追撃しキーを破壊、見事弱点を克服したのです。と言っても空を飛んで帰還しようという時に投稿の台詞をつぶやいてしまうのですが…
 ちなみにシルバーボルトは性格や能力を表す「テックスペック」でも他人のことに構っている間は自分のことを忘れるとありそこを見抜いたコンボイ司令の見事な采配と言えるでしょう。

駄弁者:
 自分で作戦を考えるとダメだけど、適材を適所に置くときは当たる、と。アメリカ発のリーダーだけど、意外と東洋風の「将に将たる」資質をもってるんですかねえ…。



「我々には帝都防衛の任務があります!」

 出典: 黒沼健原作・関沢新一脚本・本多猪四郎監督「大怪獣バラン」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第5回は、あのムササビとも恐竜ともつかない謎の大怪獣、バランが大暴れする作品より。
 ついに、東京の羽田空港に上陸したバランと自衛隊との、雌雄を決する一大攻防戦が始まった。上記の台詞は、その決戦直前に防衛庁長官(当時はまだ「大臣」じゃなかったんですね。演・山田巳之助)が吐いた一言。戦後の日本に於いて「帝都」とは……。前々回の「皇居」を「宮城」と呼ぶ首相も旧世代っぽいが、この長官はその上をいっている。いや、はっきり言って時代錯誤である。この長官といい民間の運送業者に特攻を命じる現地指揮官(245集)といい、本作品に登場する自衛隊はなんだか怖い。どうにか怪獣を撃退出来たからいいようなものの、もしも撃退出来なかったら、昔の関東軍みたいに民間人を置き去りにして勝手に逃げていたんではないだろうか? そういえば当時の映画宣伝ポスターを見ると「自衛隊の車両類や将兵らが飛び出したバランに背を向けて逃げ出している」という、実に珍しくも情けない図案のものがあったと思う。いろんな意味で怖い作品である。

駄弁者:
 やっぱり「民主帝国」
 映画が公開された50年代の末なら、保守的な人がつい「帝都」と口走ってしまうぐらいはあったのかも…。



「可愛い子孫がやるというのなら、買えるものならなんだって買っておく。だが、新規開発が必要になるものなら、先に言っておいてくれたまえ」

 出典: 富永浩史「超空自衛隊『第三次世界大戦勃発』」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 21世紀から来た陸海空自衛隊を主力とする日本軍がインド洋を経由してチェルノブイリまで派遣されることが決まるのですが、その会議の際の自衛隊員に対する保科善四郎中将の発言です。
 史実において、自衛隊(とりわけ海上自衛隊の)創設の際に保科中将が果たした役割を考えると、保科中将が、21世紀から来た自衛隊員を可愛い子孫と呼ぶのが、とても単純な発言には思えず、何とも言えない発言に思えてきます(勿論、保科中将は、史実で自分が果たす役割は知りません。)。
 そして、前回の投稿の際に書いたあの8発の内の1発が実は科学特捜隊の協力を得て制作された日本製(なお、8発の内4発が米国製、後3発は英独ソが1発ずつ製造しています)なわけで。それも後になって思えばですが、可愛い子孫に何とも言えないものまで、結果的に保科中将は買ってくれたなあ、と思うのです。

駄弁者:
>新規開発が必要になるものなら、先に言っておいてくれたまえ
 故事通り(西郷隆盛の言葉とは初めて知りました)子孫のために美田は買わない方がいいけれど、持ってる土地を美田にする道具の作り方は教えてもらった方がいい?



スーパーマン「もしあいつがまたここに戻って来たら、毎日祈って暮らす事になるぞ…。」
ジョーンズ「多分、私達みんなもな…。」

 出典: 「ジャスティス・リーグ コピー part2」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 ジャスティス・リーグ7人の内、6人の能力を身に着けたアンドロイド、アマゾ。
 ですが彼は人間を傷つける事への疑問をぬぐいきれず、レックス・ルーサーにこれ以上悪事に手を貸したくないと告げます。
 潔く彼を行かせようとしてクリプトナイト被爆(長期間所持した場合に限ってクリプトナイトの放射線は地球の生物にも有害なのです)の発作を起こして倒れるルーサー。
 彼のために戦う事を再び誓うアマゾ、彼とルーサーのコンビに圧倒されるジャスティス・リーグの窮地を見かねてアマゾの前に立ちはだかるジョン=ジョーンズ。
 自分の能力を学習、習得したアマゾに呼びかけるジョーンズ「正しく使うのだ!」。
 そしてジョーンズの能力―地球の生物とは桁違いのテレパシー―によってルーサーが自分の事を単なる道具としか見ていない事を悟り、動揺するアマゾ。
 彼の体内の自爆装置を作動させるルーサー、ですが全身ナノマシンの塊であるアマゾはたちまち自身を復元、自分を裏切ったルーサーを捕らえ、生命維持装置でもあるアーマーをむしり取ります。
 「ちっぽけな奴め。」命乞いするしかないルーサーに怒りも失せ、「あんたから欲しい物はもう何も無い、お前達の誰も何も与えてはくれない。」ルーサーとジャスティス・リーグにそう言い捨てて星空を見上げ、金色に輝きながら宇宙へと旅立つアマゾ。
 彼は神々の元へと旅立ったというジョーンズの言葉に、奴はただの機械だとなげやりにぼやくルーサー、そんなルーサーを掴み上げたスーパーマンの言葉とジョーズの相槌が投稿の台詞。
 後に「ジャスティス・リーグ・アンリミテッド」でアマゾは地球に帰還するのですが、その時の彼はスーパーマン率いるリーグの大部隊(この頃のジャスティス・リーグは40名を越えるスーパーヒーローとその倍のサポートスタッフを抱える一大組織)やグリーンランタンの精鋭部隊の力をも圧倒する『超存在』としてレックス・ルーサーの前に現れるのです。

駄弁者:
 アメコミヒーローがあまりにも超越した力を持ちすぎて神様化してしまうというのは、わりとあることなんでしょうか。私は「ウォッチメン」ぐらいしかちゃんと読んだものがありませんが、そこでも一人神様化してしまったヒーローがいましたが…。



春。新しい季節です。新しい制服に新しい鞄に新しい靴。とにもかくにも、何もかもが新しい夢も膨らむ新学期!
私紅葉あのんは今日からワッフル女学院に通う事となりました。

 出典: 高木信孝「PUREまりおねーしょん」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 マリオネット(アンドロイド)の少女の、同級生(人間)達との心の触れ合い・友情・恋を描いた作品からの名文句です。
 主人公のマリオネット・あのんは、人間の友達が欲しいという思いから正体を隠し有名女子高・ワッフル女学院での運用テストを行う事になりました。
 正体がばれないように目立たず……という思いとは裏腹に、入学式で新入生代表に選ばれる等様々な騒動が起きたりするのですが、そんな中で同級生達と心を通わせていきます。
 今回の名文句は、入学式に出席する直前のあのんの独白です。
 新年度が始まって久しいですが、やはり春というものは新生活の始まる季節であり、何となく心が弾む季節なのでしょう。

駄弁者:
 そこまでベタに新学期に心弾ませるのは、人間より人間らしいということでむしろアンドロイドならではという気がしてきます(笑)。



アビー「だって、あれはもともと人間だったのよ! まだ意識があるかも知れない! 」
ドイル「わかった。じゃあ声をかけてみて、それから焼こう。いいな」
アビー「……ありがと」

 出典: インポッシブルピクチャーズ制作「恐竜SFドラマ プライミーバル 第3章第5話『カビ人間の脅威』」(古瀬由紀子訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ロンドンのマンションに現れた時空の亀裂を通して、人間に寄生するカビが現代に侵入。しかもそのカビは寄生した相手を死亡させるだけでなくその死体に取り付いて移動し、次の寄生相手を探す危険な生物だった。マンションを買おうとした投資家が寄生されてしまい、ロンドンに感染の危機が迫ります。
 その頃、カッター教授を失った亀裂対策チームの基地に、以前事件で関わりあったスコットランドヤードの元刑事、ドイルが現れます。少年時代に弟が行方不明になった事件を追うために刑事になった彼は、弟の死が亀裂から現れた生物によるものと知り、亀裂対策チーム入りを志願してきたのです。カビの出現に行きがかり上ドイルを加えて出動する対策チームはカビに寄生された死体を焼却して感染を防ごうとしますが、そのカビにはさらに恐ろしい性質が……。
(声・杉田智和の銀さん調で)「結局焼くんかーい!! 」という突っ込みが聞こえてきそう(笑)
 知的なカッターに対し、多少脳ミソ筋肉的ながら野生のカンと判断力で行動するドイルは好対照で面白かったのですが、リーマンショックで予算がなくなった本作は第4シーズン以降アメリカ資本が入るそうで、ドイルは第3シーズンだけの登場になるのが惜しいキャラクターでした。

駄弁者:
 英国お得意のユーモアセンスなんでしょうが、しかし実際動いてるとはいえ死体には違いないんですから、反応を確かめてから焼くというのは、意外とまともな処置なのでは。



私たちは未来の社会を想像し、そこで起こり得る怖ろしい可能性に対して怯え、倫理的制約をあらかじめつくろうとするが、しかしその際に参照される倫理観はあくまでも“いま”のものだということに注意しなければならない。未来になれば未来の倫理観が育まれているだろう。そのことを忘れて未来に怯えてはならないのだ。

 出典: 瀬名秀明「光の栞」  『結晶銀河』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 2010年のSF傑作選より。
 先天的に言葉を話せない生命科学者の栞。彼女はある時、昔気質の製本店にある「特別な本」の造本を依頼する。それは、彼女の代わりに世界を開き、言葉をしゃべり、呼吸する本であった…。
 電子書籍が喧伝される中で、あえて手製本、しかし最先端の科学技術を織り込んだ本を作る話です。そこで用いられる技術を、怖ろしいと感じる人もいるかも知れません(私も、実物を見たら退いてしまうと思います)。しかしそれは、良かれ悪しかれ現在の倫理観によるものなのです。



第5階層 遺都シンジュク

 出典: アトラス製作「世界樹の迷宮」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 正確にはこれは台詞でも何でもないシステムメッセージなのですが、正直、作中で最も衝撃を受けた瞬間かもしれません。
 世界樹の迷宮は所謂「ウィザードリィ」式のRPGで、プレイヤーはパーティを組んで巨大な地下樹海「世界樹」を踏破することが目的です。
 階層を降りていくごとに、ジャングルのような熱帯林、結晶で構成された蒼い森、冬のように枯れ果てた森など、樹海のバリエーションは変わって行きます。
 …ここまで聞けば「どこにSF要素が」と思われるかもしれません。僕も第五階層につくまではそう思っていました。
 そして、表ラスボス手前の第五階層に初めて到達すると、蔦に絡め取られたあの東京都庁の一枚絵と共にでかでかと「シンジュク」の名前が…。
 階層の物悲しいBGMと相まってインパクトは凄まじかったです。久々に「ネタバレを見なくてよかった」と思った瞬間でした。 このあと、「剣と魔法のRPG」だった世界樹は急激に世界観の核心にあるSF的な要素に迫っていきます。

駄弁者:
 埋もれた自由の女神を見て「帰ってたんだ…」というときのショックと同じ?(…ちょっと違うか)
 そんな「地球の長い午後」ばりの未来になっても、「シンジュク」の名前が残ってるものなんでしょうか。



今は私がカウプランよ

 出典: 岩永亮太郎「パンプキンシザーズ」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 カウプランの名を継いだ高弟の一人、医療分野のミュゼ・カウプランの台詞です。
 カウプラン教授は晩年、死を恐れるようになった。
「自分がいなくなる事」ではなく、「自分が思考できなくなる事」を恐れていた彼は、いわゆる不老不死的な研究が現代の技術では無理だとさっさと見切りをつけ、別のプランに移行した。
 プランA、カウプラン教授の発想、思考を再現する集団が存在したならば、それはカウプラン教授の思考ではないのか? それぞれの脳の神経回路が違う以上、他人が全く同じ発想・思考をするのは不可能、失敗。
 プランB、他人の脳の神経回路をカウプラン教授の物と同じに配線し直す事ができればそれはカウプラン教授の脳だと言えないか?脳をいじって人格に影響があるのか実証実験にまでこぎつける物の、データ収集にトラブルがあり、効果のほどは不明。
 そしてプランC、帝国内での権力争いで進退窮まったカウプランは、自分の死体をくれてやる事を決める。
その前にプランCを、まだ必要なデータが不十分な段階での『脳の接ぎ木』を行って。
 物語前半では、久しぶりに再会した主人公の「助手の…」という言葉への返答だったんですが、まさかその時はここまでマッドな意味だとは…

駄弁者:
 プランAなら、こちらもアリですね。
 プランBが可能なぐらいの生化学技術があれば、もっと単純に細胞死を遅らせて不老不死に近づくこともできそう。
 で、実行されたプランCは…これはプランBもそうですが、「カウプランの脳」がカウプラン以外の人物の肉体に入ることになるわけです。その場合、「カウプランの脳」が行う思考は、カウプランの肉体内で行っていたものとまったく同一と言えるんでしょうか。肉体からの影響を受けて神経回路も変化するのでは?



私があなたと知り合えたことを
私があなたを愛してたことを
死ぬまで死ぬまで誇りにしたいから

 出典: 松任谷由実「VOYAGER〜日付のない墓標〜」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今月のテーマは「小松左京の思い出」。先頃亡くなられた日本の偉大なSF作家、故・小松左京先生の追悼です。ま、良い思い出ばかりではありませんけどね。(第234集参照。我ながらしつこいなァ。)で、小松先生の小説「さよならジュピター」の「あの」(しつこいってば)同名実写映画作品の主題歌から。今は亡き小松先生に捧げる言葉として、これ以上のものはありません。
 じつのところ、私は小松左京氏及びその作品には大して入れ込んだことはありませんでした。それでも、小松左京氏の作品に触れると、何かしら「引力」とでもいうようなものを必ず感じましたし、何より氏の作品の壮大さにはいつも圧倒されました。ですから、「小松左京」というSF作家が存在したこと、そして私が「小松左京」と出会えたことは「死ぬまで」、いえ、死んでからも私の「誇り」です。
 でも……小松先生が御存命の頃にこう思えていたら、もっと良かっただろうにな……。

駄弁者:
 掲示板の方でも出てましたが、はたして追悼になっているのかは、ちょっと微妙かも…。
>じつのところ〜
 私の場合、だいぶ早くに「宇宙人のしゅくだい」や「日本沈没」「首都消失」を読んだ後、SFについての興味は海外ものに移ってしまったので、それ以外の小松左京作品を読んだのは比較的最近になります(短編集、もっと早く読んでればなあ)。だから個人的に「誇りにしたい」とまで言うのはちょっと気後れがするのですが、しかし、この人が日本のSFを拓いたのだと思うと、日本のSFファンとして確かに誇らしいことです。



でも、良かったんですよね、これで
この星を護ることができたんだから

 出典: 東映制作「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 宇宙帝国ザンギャックが地球に襲来。ゴレンジャー〜ゴセイジャーの歴代スーパー戦隊は力を合わせて立ち向かうが、全ての巨大ロボは破壊され、白兵戦でも苦戦を強いられていた。最後の手段として彼らは自分たちの持つ力を結集してザンギャックの艦隊に発射、撃破することに成功した。しかし、その代償として彼らは変身して戦う力を失ってしまう。このとき宇宙に放出されたスーパー戦隊の力は、後にレンジャーキーとなってゴーカイジャーの戦力になる。
明石暁(ボウケンレッド)、楼山早輝(ゴーオンイエロー)、谷千明(シンケングリーン)、梅盛源太(シンケンゴールド)の四人がもう変身できないことをゴセイジャーの面々に告げた時、アラタ(ゴセイレッド)はこの言葉を返し、微笑んだ。

駄弁者:
 前にゴーカイジャーのご投稿があったとき、話には出てましたが、劇場版になってたんですね。
>でも、良かったんですよね、これで
 これで良かったとどころか、一石二鳥だ思っていた戦隊メンバーもいくらかはいたんじゃないでしょうか。主役も張れず延々戦い続けなければならないヒーローというのもキツそうです。



宇宙から見ればその針の先ほどもないレーザーは、難なく6億kmを横切り、直径6kmの荒ぶる光の柱となって地球を直に襲う!
2時間おきに地球の自転に伴って次々と違う場所へ、計画通りなら砲身が完全に溶けるまでに12回…さすがにそれで人類の全てが滅んだりはすまい?
だが…都市機能のマヒと高熱ビームによる環境破壊から起こる二次災害の規模は想像もつかん!

 出典: 長谷川裕一「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ドゥガチの地球侵攻から3年、新しい総統の下、再び木星は地球を狙う。
 今度の手段は木星軌道上からのコロニーレーザーによる直接砲撃。
 タイムリミットは2週間、到達すべき距離は6億km、クロスボーン・バンガードの絶望的な戦いが始まる。
 本編の人気の割にはなぜか投稿の無かったクロスボーン・ガンダムの続編から。
 前回、木星軍が地球を目指したのはドゥカチのこだわりのせいだと言うことですが、確かに地球を焼き尽くすだけなら射程の短い核ミサイルよりもレーザーの方が遥かに効果的。
 撃たれた時点で片がついてしまいますから。防御手段としては発射を阻止するしかない。
 それにしても地球がどう壊滅するかを簡潔に説明してくれるのがなんかうれしいですね。
 地球の半分が焼けても焼け残りで何とかなるよなんて本(無常の月)を書いた奴に読ませたいモノです。

駄弁者:
>地球の半分が焼けても焼け残りで何とかなるよなんて本
 あれで何とかなるなら、木星からのコロニーレーザー程度はたいしたことないですね(笑)。けど私は好きでしたよ? 何とかならない、今宵で最後だと思っている人々の描写がですが。
 ちなみにラリイ・ニーヴン「無常の月」は1972年のヒューゴー賞受賞短編。同名短編集に収録されてます。



この俺がやられてたまるか
ハイゾビルとして生まれここまでのし上がったのだ…
いずれは冥獣帝としてインフェルシアを支配するのだ!!

 出典: 荒川稔久脚本・竹本昇監督「魔法戦隊マジレンジャーStage.18『力を合わせて〜マージ・ジルマ・ジー・ジンガ〜』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 「運命を変えられるなら下っ端なんてまっぴらさ」
 カーレンジャーEDにもある通り最底辺の戦闘員はその立場に満足はしていないことでしょう
 投稿の台詞は番組序盤の地底冥府インフェルシア最高幹部凱力大将ブランケンの最期の戦いの際のもの。
 彼は元々ハイゾビルという戦闘員でしたが激戦をくぐり抜け、損傷した身体を機械化し地上世界侵攻の最高司令官にまでなった設定という歴代戦闘員にとって誇るべきキャラクターなのです。
 たとえどんな境遇からでも努力と信念で人はどこまでも上を目指せる…敵ながらなんと教育的なのでしょう
 …と言いたいところなのですがハイゾビルというのは上級戦闘員、さらに下にゾビルという下っ端がいるのです
 番組放送当時「え?生まれたときから上級戦闘員?じゃあゾビルからはどうやっても出世できない?」と思ったものです。

駄弁者:
 この手の戦闘員って、悪の組織に参加してそうなるパターンと、元からそれとして生み出されるパターンがあると思うのですが、この場合は後者なんですね。ゾビルとハイゾビルでは知能が異なるという設定は…考えようによっては世知辛い(笑)。
 ああ、そういえば戦闘員からのし上がった首領の名文句が昔ありました。パロディ作品ですが。



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