SF名文句・迷文句第257集

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「もしもこの地球上が死の灰に覆われて、我々人類が滅亡した場合、次に地球を支配するのは液体人間であるかも知れない」

 出典: 木村武脚本・本多猪四郎監督「美女と液体人間」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第4回は、1958年に公開されたSFスリラー映画より。
 太平洋上で操業中のマグロ漁船が水爆実験の放射能を浴び、乗組員たちは生死不明になったが、実は生きていた。彼等は放射能汚染により全身の細胞が変質・液状化し『液体人間』となっていたのだ。液体人間たちは日本に上陸し(そもそも日本人なのだから当然、家に帰りたい一心で上陸した訳です)、東京で麻薬の売人に偶然接触。売人は溶かされ、同じ液体人間に変わってしまった。液体化したその売人は、愛人宅へ戻ろうとするのだが、麻薬密売組織を捜査中の刑事らが動いているのでなかなか愛人に近付くことが出来ない。そうこうするうちに各地で不可解な人間溶解事件が続発し、とうとう警視庁の捜査員も同僚の眼前で青白く光りながら動く液体に襲われ、溶けてしまった。やがて真木教授(千田是也)と政田助教授(佐原健二)によるガンマー線とカエルを使った立証実験で、液体人間誕生のプロセスと同化・増殖の危険性が判明し、警察は自衛隊と合同で対策本部を設置した。で、上記投稿の文句は、下水道に追い詰められ火炎放射器で焼却される液体人間の末路にかぶって流れる、対策本部のオブザーバー真木教授の独り言。ずいぶんペシミスティックな感じだが、皆が皆液体化して新しい形の人類となり、違った文明を勃興させれば、それはそれでいいんじゃないかと思う。放射能の中でも生きていけるなんて、或る意味無敵だし……。(こういう発言、ちょっとヤバいか?)

駄弁者:
>液体化して新しい形の人類となり…
 後に「ソラリスの海」と呼ばれたりします…誰が呼ぶんだ。
 ポストヒューマンとして生存し続けるとしても、液体オンリーでは文明を勃興させられないんじゃないでしょうか。



映ちゃん、冒険てなんだかわかる?
あのね…不可能と思える事に挑戦する事。
だから…映ちゃんにとって初めての仲間を作るって事、冒険なんだよ!

 出典: 會川昇脚本 竹本昇監督「轟轟戦隊ボウケンジャー task20『新たなる巨人』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 前回(task19 眩き冒険者)のあらすじ。
 ボウケンジャーと『アシュの監視者』高丘映士によって退治された『アシュ』のガイとレイ。アンチパラレルエンジン(パラレルエンジンとはボウケンジャーや巨大メカゴーゴービーグルのエネルギー供給源)というべきゴードムエンジンの被験体を求めていた大神官ガジャは二人の亡骸にエンジンを移植、一種のサイボーグ『クエスター』のガイとレイとして再生させます。
 ゴードムエンジンが発生させる干渉波によってパラレルエンジンの機能を低下させられいつもの半分の力も出せないボウケンジャー、そして唯一最大の武器である錫杖をガイに破壊され凶暴化する高丘―彼は人間の父とアシュの母との生まれたハーフであり、錫杖は彼の中のアシュの血と本能を制御するのに不可欠だったのです―。
 自らに流れるアシュの血に怯える高丘、彼を自分の代わりにサージェスレスキューに推薦しようと考えていた明石(ボウケンレッド)は、その専用装備サガスナイパーをサージェスの技術で破壊された錫杖を再現した物だと偽って与えます。
 明石の大嘘を半ば真に受けた高丘は自力でアシュの本能を制御、もう一つの専用装備ゴーゴーチェンジャーで『眩き冒険者』ボウケンシルバーにスタートアップ(変身)。
 ゴードムエンジンの干渉を受け付けないネオパラレルエンジンから力を受けるシルバーはクエスターを撃退、明石に真実を明かされそのままボウケンジャー入りするかに思えた高丘でしたが、過去のトラウマが蘇り、逃げ去る様にその場を立ち去ってしまいます(ちなみにサガスナイパーとゴーゴーチェンジャーを持ち逃げしたまま)。
 以下task20
 ガジャから必要な知識と技術の全てを得たガイとレイはゴードム巨人ガガドムを強奪、ガガドムをクエスターロボと改名してガジャから離反、プレシャス雷砲を乱射して無差別破壊を開始します。
 ネオパラレルエンジンへの換装が終わっていないためクエスターロボのゴードムエンジンの干渉波になす術のないアルティメットダイボウケン(ボウケンジャー巨大ロボの最強形態)、ボウケンジャー最後の頼みはボウケンシルバーである高丘と彼に与えられる予定の巨大ロボだけ、なおもボウケンジャー入りをためらう高丘を嘲笑うかの様にガイはボウケンジャーに高丘の過去―少年時代、父親と共に旅をしていた高丘が初めてアシュの血に目覚めた際、息子のアシュ化を制しようとした隙をガイに突かれて絶命した事それ故に仲間や大切な人間を持つ事に強い恐怖を持っている事―を得意気に語ります。
「過去を消してしまう事が出来るなら…」クエスターロボの攻撃によって共に吹き飛ばされた菜月(ボウケンイエロー)に呟く高丘とそれを断固として否定する菜月。
 真墨(ボウケンブラック)が一介のトレジャーハンターだった頃、過去の記憶を一切持たない状態で保護され、ボウケンジャーに入ってからも自分の失われた過去を探し求める彼女にとってはどれだけ辛い残酷な事実だったとしても、それは大事な自分の一部なのです。投稿の台詞を高丘に残して仲間に合流して行く菜月。
 そして菜月に渡された母の形見(ボウケンジャーが旧高丘邸を捜索した際、出現した母の霊魂に託された)の中の霊魂から父と自分に対する愛が真実の物である事を伝えられた高丘は巨大ロボ『サイレンビルダー』を駆って『冒険』へと走り出すのです。 放送時ちらほら見受けられた「冒険というよりサージェスからのお仕事」「本部とプレシャスのある地点を行ったり来たりしているだけ」という批判に対する脚本家からの明快な回答、「仲間や友達を作る事、そのための勇気を出す事もれっきとした冒険。」ちょっと青臭いけどそれだけに熱い、そして普段大ボケキャラである菜月に言わせるからこそ伝わる純粋さ…最後に挿入歌『ボウケンジャー GO ON FIGHTING!』のフレーズを引用させてもらいます。
「無茶な挑戦が冒険じゃない。誰より知りながら危険に飛び込む!」

駄弁者:
 詳細なあらすじ説明、ありがとうございます。
 番組を観るメイン世代にとっては、進級・進学で友達関係が変化するのはたしかに結構な冒険ですよね。



作家の整然としたイマジネーションが生みだした素材から編みだされたにしては、事件のテンポがあまりにも行きあたりばったり、あまりにもむらがありすぎるのだ。

 出典: ジェリー・ユルスマン「エリアンダー・Mの犯罪」(小尾芙佐訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 これまで何度かご投稿のあった作品だったのですが、このたびやっと自分でも読了したので(好古真之さんに感謝)記念に。
 現実では起こらなかったはずの「第二次世界大戦」を記録した書物を手にした歴史家。彼女がそれを現実を記したものだと直観した理由は、記録された出来事があまりにも雑然としていたからに他ならなかった…。
 物語の展開が行き当たりばったりだと批判されることもあるでしょうが、現実はえてしてそれ以上に行き当たりばったりなものです。



中二病などとほざき
草食系が蔓延りよる
貴様ら去勢でもされたのかぁ!!?
漢ならば世界征服こそ夢!
はるか過去からわずか数十年前までは現実に漢が持ち続けていた夢だ!

 出典: 永井豪原作・田畑由秋脚本・余湖裕輝作画「真マジンガーZERO」

紹介 :タカ 様
HP :

コメント:
 以前放送されていた「真マジンガー衝撃!Z編」のサポート連載として連載されていましたが、終わった後でも連載されています。
 この漫画でもやっぱりDr.ヘルの夢は世界征服なのです。手始めとしてホワイトハウスに殴り込みをかけるのですが、大統領に「21世紀にもなって何言ってんだ」と馬鹿にされてしまいます。その時大統領の「玉」を握りつぶしながら叫んだのがこの言葉。とりあえず男らしいお言葉です。

駄弁者:
 世界征服の夢を持って実現に乗り出す男は中二病とは呼びません(バカとは呼ぶかも知れませんが)。
 何もやろうとせずに「実はボクは世界征服をする運命の力を持たされているんだ」と思い込むのがそれです。



「正義の味方は、報われないことがー報われることなんだよ」
…(中略)…
「だからね、みんなが世界の危機とか地球のピンチとか、そういうことを知らずに平和に生きてくれることが、一番嬉しいのよ」

 出典: 望公太「僕はやっぱり気づかない」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 ハルヒが超鈍感な男のクラスメートだったらどうなるか、という設定のSF小説だというのが、一番簡潔な説明のような気がする作品からの投稿になります。メインヒロインのクラスメートは政府の秘密機関に属する超能力少女で、サブヒロインの先輩は遠い未来から来たタイムパトロールの少女、もう1人のサブヒロインの後輩は魔法世界から来たハーフの魔法少女で、その3人はお互いの正体を薄々は察しているのですが、主人公は、そんなものは存在しないと信じ込んでいるので、3人の正体に気づいていません。何故、主人公がそうなったかというと、主人公が幼い頃に、先輩の助けを借りて過去に戻ったメインヒロインが、そう教え込んだからなのですが、そう教え込む際の会話の一節からの投稿になります。
 確かに、正義の味方が活躍せずに、皆が平和に生きられるというのが、正義の味方にとって、一番嬉しいことなのが、いいことなのだ、とは思います。そうした点で、このメインヒロインは、よくできた人なのだと思います。私だと、つい報われないというのは、どうなのだろうと考えてしまうので。

駄弁者:
 もっと望ましいのは、報われる報われない以前に世界の危機とか地球のピンチがやってこないことなのでしょうが、そうなったら、報酬を望まない正義の味方でも「早く乱れろよ、平和…」と呟いてしまうかも。



かんけいない。▽
まだ、しにたくない。▽
だって、不公平じゃないか。▽
なおらないびょうきのからだなんて
ぜったいにこーへいじゃない・・・▽
あたしにだって、けんりがある
しあわせになれてもいいはずだ!▽
まだしねない、だってわたしは まだ
しあわせになってな い じ ゃ な い
かぁああああああああ!!▽

 出典: コナミ製作「パワプロクンポケット12」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回パワポケ12から投稿させてもらいました。
 この台詞はパワポケ12で起きた事件の黒幕であるデウエス断末魔の叫びなのですが。
 実はこのデウエス以前送った台詞をしゃべった寺岡薫のEsなんです。
 どういうことかというと寺岡はあの後テロによって重傷を負って死んでしまうんですが、
 遺体の脳回路からとりだしたEs(エス:精神分類学でいう欲求や衝動など)から生まれたのです。
 その後オカルト能力がオオガミ(パワポケ世界の大企業)の研究所で追加され現実世界にかかわれるようになります。
 その後あらゆるものを得ようとしますが、(文字通り人を喰ったりして)
 それは生前自分の『しあわせ』を放棄した代わりに『しあわせ』を得ようと努力した結果だったのです。
 寺岡薫の初めから知ってたからかこれを最初見た瞬間何とも言えない気分になりました。

駄弁者:
 「イドの怪物」は古くからSFの定番ではありますが…。
 前にいただいたご投稿のとき「こんなより悲惨になってましたが」とありましたが、さらにその上を行ってないですか?



「一国の王族に対し無礼であろう!起立して礼をしたらどうじゃ!」

 出典: 田中芳樹「タイタニア 1 疾風篇」

紹介 :つかさ 様
HP :

コメント:
 最新刊から既に20年も経過した、田中芳樹著の「タイタニア」より。
 正直、このセリフを型通りの王族ジジイが言っても、全く面白くありません。
 重要なのはこれが、「10歳の女王」が、それも宇宙を統べるタイタニア一族の公爵に言い放ったセリフであること。
 アニメ版だと特に美少女であるリディア王女が言うと、尊大に生意気なのに愛嬌があります。
 お菓子の注文は至極子供っぽいものでしたが。
 ついでに4巻はいつ発売されるのでしょう。

駄弁者:
 なんでまた初巻刊行から20年も経ってアニメ化されたのか。アニメ化の報を聞いたときには驚くと言うより狐につままれた感がありました。リディア王女のキャラは当時より今の方がウけそうではありますが…。
>4巻はいつ発売されるのでしょう
 正直言って、発売されたらアニメ化以上に驚きです。



入谷   「そもそもコマネチが出現した背景にはルーマニアのチャウシェスク体制があってな」
マイちゃん「え チャ チャウ何?」
マコちゃん「あのー その話どこまで続くんですか」
御名方  「スターリン批判くらい?」
入谷   「いやいや独ソ不可侵条約あたりまで」
マコちゃん「いやもういいっス」

 出典: 山田穣「がらくたストリート」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 なぜ女子体操は身長の低い選手ばかりなのかを説明するシーンなのですが、、、。
 私も「なぜ復興が進まないのか?」と聞かれ「まず55年体制が」と言ったら「もういいです」と言われた事があります。もっとも世の中には「パンゲア云々」と言い出す輩もいるようなので油断できません。

駄弁者:
 「辻本司がキツネザル星人に捕まった理由はつまり、ソビエト人がボストークを飛ばしたせいである」という感じに、先に原因と結果だけ要約してしまえば、釣られて途中経過を聞いてくれる人がいるかも知れません。



「去りゆく夏は名残惜しいけど、秋には秋のやりたい事がいっぱいいっぱいあるのだ。やつらはもうすぐそこまで来ている。迎え撃つのはなかなかに大変なのだ」

 出典: 天野こずえ「ARIA」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 夏の終わりのネオ・ヴェネツィアで、数年に1度のお祭り「舟(ゴンドラ)の火送り」が開催されました。
 その祭りも終わり人気の無くなった広場で、アリスはこの夏こそはやりたい事がいっぱいあったのに気付くと夏が終わっていて取り残されたようになって悲しくなるから夏の終わりが嫌いだと灯里に言います。
 そこにやって来たウッディーの台詞が今回の名文句です。
 過ぎ行く季節を思うよりこれから始まる季節を楽しみましょう……という言葉です。

駄弁者:
 昨日、勤めている高校の文化祭・体育祭が終わったところです。皆にこのセリフを聞かせてやりたい。…3年生が迎え撃つのは大学入試ですが。



「月賦制度の話を書いたんだよ」

 出典: 筒井康隆編著『’60年代日本SFベスト集成』解説

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 小松左京先生の追悼を込めて投稿します。この台詞が記載されている作品集は、’60年代に第一線で活躍した作家さんたちの、当時の代表作を一堂に会した本で、他にも星新一、手塚治虫をはじめとして眉村卓、石原藤夫、広瀬正といったそうそうたるメンバーがそろっています。
 投稿した台詞は収録作順に作品ととも作家を紹介したもので、筒井先生と小松先生の出会いの思い出を語った一こまの中から、小松先生が収録作「終わりなき負債」について解説した台詞から。いや、短編とはいえあの陰鬱で複雑な物語をこれだけ簡潔な言葉で説明してしまうとは…。あぁ、我々は偉大なヘビースモーカーの大阪人を失ってしまった…

駄弁者:
 解説されている「終わりなき負債」は『物体O』に収録されているのを再読しましたが、まさにそのものという感じの話でした。月賦制度について取り決めた割賦販売法が制定されたのが昭和36年ということですから、タイムリーなテーマだったんだろうと思います。



「皮膚を見て下さい、少佐。小さな発疹を見て下さい。あれからなにを連想されます?」
チェンは生唾をのみ、さらに顔を近づけた。「こいつは妙だ」ふたたび目をやって、彼は背筋がぞっとした。発疹はたんなる赤い染みではなく、きわめて明確なかたちをなしていた。ひとつの象形文字が、皮膚全体を点々とおおっている。学問のない人間がみれば下手に書かれた数字の“9”の横に小文字の“t”が続き、その二つの上に墓の蓋さながら一本線がのっている
スーだ。死(スー)。

 出典: デイヴィッド・ウィングローヴ「神樹の下で(チョンクオ風雲録10)(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 軌道上の農業衛星が落下して壊滅状態に陥ったシティ北アメリカ。
それをよそにシティヨーロッパとシティアフリカの小競り合いは深刻化していった。
ある日、アフリカとの定期航路があるマルセイユで謎の伝染病が発生する。
マルセイユに派遣された保安軍の高チェン少佐の部隊は、伝染病による死体を目の当たりにして恐怖する。
 結局この伝染病はヨーロッパで開発された生物兵器であり、ワクチンの使用によって対処できるだと判明します。
今までにも作中には進行が早すぎて対処できないオーダーメイド発がん物質や、特定の遺伝子グループ(血縁関係)を狙い撃ちにする生物兵器も出てきたんですが、これは何というかやり過ぎ。化学兵器よりも選択性を高くしやすいから使用してきたのかと思っていたんですけど、ここまでくると巫術や蠱毒の一種のような感じがしてきます。
 どういうメカニズムで発疹が形を描くのか知りたくなりますね。

駄弁者:
 非漢字圏の人に漢字の形を描写するやり方に、ちょっと感心してしまいました。
>どういうメカニズムで発疹が形を描くのか知りたくなりますね。
 100年前なら「東洋の神秘」で済ませてしまいそうですが、現代では……「ナノテクの粋」で済ませればいいか(笑)。



――殺さない。殺されたりしない。殺させもしない。何とかやってみる。

 出典: 冲方丁「マルドゥック・スクランブル」

紹介 :一会 様
HP :

コメント:
 作品の終盤で、主人公バロットがたどりついた一つの答えです。
 これだけだと、単なる綺麗事のようですが、今までの全ての体験や経験と「関係者全員殺して自分も死ぬ」とまで思った絶望を乗り越えて上での言葉です。
 完結編である「アノニマス」でもテーマの一つになるようです。

駄弁者:
 バロットの敵となるボイルドはこのセリフの真逆をやってしまったわけですが、「マルドゥック・ヴェロシティ」を読むとそれを一概に責めきれなくなります。その分余計にバロットの決意も重みが加わるわけですが。
>完結編である「アノニマス」でも〜
 さて予定通り今年中に刊行されるでしょうか。楽しみです。



ウォルター「タンゴ6から全機、デカブツが出た。エリア2、ポイント1に移動する。パラダイスバーガーの前だ」
ランディ「なんだって!」
ウォルター「破壊されたらジャンクはお預けだ」
ランディ「タンゴ7から全機 みんな俺のために死ぬ気で戦ってくれ!」
その他の隊員「オーケー!(笑)」「こちらタンゴ20 帰ったら、自分のスタンプカードを進呈します!」
ランディ「タンゴ20 支援を感謝する! スリム人形が当たったらお前にやるぞ」
…(中略)…
隊員「くそっ!たった今、スタンプカードは無効になった!トニーズもだ!」
ウォルター「タンゴ6から全機、聞いたとおりだ。しばらく飯は基地で食え」

 出典: スクウェア・エニックス製作「フロントミッション5」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 フロム・ソフトウェアの「アーマードコアシリーズ」と並び、リアルロボットが登場するゲームではかなりの知名度を誇るであろうフロントミッションのナンバリングタイトル中最新の作品「5」より。
 ちなみにウォルターが主人公にして部隊の隊長、ランディはその幼馴染です。
 このランディが絵に描いたような「食い意地の張った陽気なサブキャラ」で、ゲーム序盤のムードメーカーとしていろいろと活躍します。
 この台詞は序盤、主人公の所属するフォート・モーナス基地、そして基地があるフリーダム市に敵が攻め込んできた際、主人公らの部隊が防衛に出た時の台詞で、もう初見で笑いましたw
 中略の間に敵にパラダイスバーガーは破壊されてしまい、デカブツは隊員の恨みを一心に受けることになります。
 どこの軍隊でも、基地の飯がまずいのは共通のようで。
 この作品の、戦争系の洋画みたいなノリは本当に大好きです。

駄弁者:
 「オレ、この戦いが終わったらセットメニューを完全制覇するんだ…」とか死亡フラグを立ててたヤツでもいたんじゃないでしょうか。…彼が戦死しなければ店の方がお亡くなりになるという過酷なフラグで(笑)。



「…近代社会において大切なことは、理想を持つ、ということです。その理想を実現するかどうかは、それに比べればさして重要ではありません」

 出典: アーサー・C・クラーク「幼年期の終り」(福島正実訳)

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 後半(「第三部 最後の世代」)より、ニュー・アテネ大学学部長・チャンス教授の言葉より。私にとっては「妙に印象に残ってしまった重箱の隅」的な名台詞です。高校生の時に初めて「幼年期の終り」を読んだ時、件の一節を読んで「そうか、それでいいんだ…」と、今にして思えばかなり上っ面な納得の仕方をしてしまった記憶があります。
 もっとも、最近では、自分が何がしかの理想を持っている、或いは、持っていた…という事にかなり懐疑的になってもいます。これは齢のせいか?、それとも…。

駄弁者:
 実現するかどうかは重要じゃなくても、持った理想に近づく努力はやっぱり重要なんでしょうね。
…それにしても、ありとあらゆる理想がオジャンになってしまうこの物語の終末、チャンス教授はどんな思いでいたでしょうか。 



…ど、どうやらちょっとだけ変わっちゃったみたいだな……
未来……ってヤツが……

 出典: CAPCOM製作「えどたん」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 CAPCOMから携帯アプリとして配信されたゲーム。
 探偵に憧れる少年、天道未来は雷雨の日に鑑識官の父に忘れ物を届けに行く途中、落雷を受けて江戸時代にタイムスリップしてしまう。ショックで気絶してしまった未来は偶然にも殺人現場に倒れており、同心の天道今一に下手人だと疑われてしまう。なんとか疑いを晴らした後、今一は未来の先祖に当たることが判明。未来は現代の知識を使って事件捜査に協力し、見事事件を解決に導いた。
 その後、未来は藩主の娘でありながら岡っ引きに憧れている少女おときに出会う。彼女を助手にした未来は現代の捜査方法と道具を使って江戸の殺人事件に挑む。時には未来が今一に変装して同心の権力を使い、時にはおときの財力に助けられて二人は事件を次々と解決。全ての事件の黒幕も突き止めた。
 黒幕が無事捕らえられたのを見届けた未来は、平賀源内の助けを借りて現代に帰還する。帰宅した未来が何気なくテレビをつけたところ、「大江戸探偵 天道今一」という今一とおときを題材にした時代劇が放送されていた。それを見て驚いた未来が呟いたのが投稿の台詞。

駄弁者:
 変えすぎて消えてしまわなくてよかったですね。
>平賀源内の助けを借りて…
 やっぱ便利だなあ、この人(笑)。



ビッグバンでこの世が誕生した時、世界を構築する元素は、水素とヘリウムだけだったと言われておる。いわば神の名の下の平等だ。それがどうだ。百五十億年経ってみれば、超新星爆発で炭素になるやつが出てくる。鉄になるやつもいる。くっついてメタンやアンモニアになるやつも現れる。星になったものも、人になったものも、原子構造が潰れてブラックホールになるものまである。世界は原子レベルの不平等で構成されておるんだ。人生が不平等なくらいで驚いちゃいかん。

 出典: 石黒耀「昼は雲の柱」

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 まだ読みかけなのですが。
 タイトルと作者名でおわかりと思いますが、火山の話です。もっと詳しく言うと、富士山が噴火する話です。主人公の一人娘で今作のヒロイン、真紀が、自分が不機嫌である理由について、両親に「人生は不平等だと悟っただけ」と言ったのに対する父親の台詞です。
 なんとなく納得してしまいそうになりました。
 いやいや、納得しないぞ! 確かに人生は不平等で不条理だけど。
 ちなみに、読みはじめたのは8月1日の午後。
 で、1日の23時58分に駿河湾を震源とするM6.4の地震が起き、甲府も震度4でした。そして、今日は、産業技術総合研究所とかの人が「千年に一度の巨大地震の世紀になるかもしれない」なんてことを言ってるそうで、そんなニュースが流れてるし。
 なんていいタイミングで読んでるんだ、私(苦笑)

駄弁者:
 水素やヘリウムでいるのと重原子や分子になってしまうのとでは、どちらが望ましいんでしょう。前者の方がなんとなく純血の貴族階級っぽいよーな気もしますが…。
>23時58分に駿河湾を震源とするM6.4の地震が〜
 「夜は溶岩の柱」にならなくて本当によかった。



不可能を可能にする“結果”が魔法なのではなく――
その“過程”に自分の生きる社会を見出せない
そんな拒絶の呼称が『魔法』ではないかしら

 出典: 岩永亮太郎「パンプキンシザーズ」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 主人公はカウプラン機関という、帝国がカウプラン教授のために用意した研究所で、ある目的のために改造されたいわゆる改造人間です。
 先の戦争では不可視の9番(インヴィジブルナイン)という戦場の噂話レベルの特殊部隊に配属され、使い潰されていました。
 結局“それ”は一体何なのか、カウプランの名を継いだ高弟の一人に色々訊ねた新聞記者が聞いた話の一つです。以下全文。
「科学と魔法の違いってなにかしらね…“可能か不可能か”? …私は…こう思うのよ…常人が 一般市民だけでなく科学者も含めた”多数派である常識人”達 そんな常人が考証して――「もしかしたら何世紀か先の技術力なら可能かもしれない」
――と自分の知る技術の延長線上に想像できるのが科学
火薬も知らない時代の人にとって銃は魔法だけど今の人にとっては未だ完成をみない連発銃ですら科学の範疇
要は常人が飲み込めるか否か 認めるか否かよ
今まで学んだ社会通念を破棄してまで認知してやりたくない」
そして投稿の台詞に続き、さらに「そういう意味では多くの人々にとって『魔法』でも…教授にとっては『科学』だった 誰とも分かち合えないこの世界でたったひとりの科学」
と続きます。
 過ぎたる科学は魔法に同じ。誰が言い出したものやら知りませんが、『魔法使い』にとっては理解できない方が愚かなのでしょうね。

駄弁者:
 現代の「科学」は、このセリフの「魔法」と同様、それが実現する過程をふつうの人が想像できるものではなくなっているんじゃないでしょうか。…今使っているコンピュータがどんな過程で動いているのか、私はちゃんと理解できていませんし。
>誰が言い出したものやら知りませんが…
 作品世界ではいざ知らず、この世界ではそれを言ったのはクラーク先生ですね。



幼い頃はヒーローに夢見てた
弱い人々を守りたいなんてね
僕の心に弱さは住み着いてた
大人になる度弱さは強くなる

 出典: 松岡充歌・作詞 都啓一作曲「W」(映画「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」主題歌)

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーW劇場版2作目より、悪役の仮面ライダーエターナル(大道克己)を演じる松岡充が歌う主題歌から。
 昭和ライダー達がある日突然改造人間となったり悪の組織と戦うことを余儀なくされたりしたように、、大道克己も子供の頃に交通事故で死亡して科学的な処置によって不死身の兵士NEVERとして蘇り、、NEVERを兵器開発の支援対象から外した財団Xに処分されかけたという過去を持ちます。
 そして恐らくは自分達だけが「得体の知れない怪物」として生き続けていくことに耐えられなくなり、この映画で次世代ガイアメモリの試作品を奪って故郷である風都の住人達を自分と同じNEVERに変えようとするのでした。
 ここまで極端じゃなくても、この歌のフレーズに対して身につまされる部分がある「大人」というのは決して少なくはないのではないでしょうか。

駄弁者:
>身につまされる部分がある「大人」というのは
 身につまされたり後ろめたくなったりするぐらいの純真さが残っている人は、まだしも強い心を持っている部類だと思います。



「だから、人間の営みは自然じゃないという考えこそが不自然なのだ。ビルだろうが、人間だろうが、人造人間だろうが、作られたそのあり方通りに動いていればそれは自然だ」
「自然じゃないのは、あるがままに動かないことだ。無理をしたり、やり過ぎたりすることが唯一不自然なのだ。
 食べる以上に取り過ぎたり、疲れても働くのをやめなかったり、降参してる相手を叩きつけたり、逆に降参したのにやめたら逆襲してくるようなのは全部不自然だ。 自然に生きているものでないと大自然の恵みを見落とす」

 出典: 水城正太郎「いちばんうしろの大魔王 ACT11」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 人の手で改造されたジャングルで遭難した主人公一行
 そこの住民であり族長の少女は「栄養価の高い実が生る木」「夜になると光る木」「水の出る木」という『大自然の恵み』がそこらにあるから大丈夫と言うが主人公は「そこまで人の手が入ったモノは自然とは呼べないんじゃ…」とツッコミむがそこへの反論
 Gガンダムの名台詞であった人類も地球の一部というのに通じるかなぁと、しかし生き方に関して言えば自然にしたくてもなかなか出来ないのが人間というものだったり…
 個人的にはこのあとの元々主人公の監視役だったのにいつも要らんちょっかいを出してからかってる人造人間の少女の「私は自然に生きるのを取り柄としています」という発言がツボでした。

駄弁者:
>自然にしたくてもなかなか出来ないのが人間というものだったり…
 そのとおりだ! 私も明日から自然のままに生きて、残業をやめるぞ!
 …実行したら、路頭に迷って行き倒れて、そのまま自然に還ってしまうことになりかねませんが。



「わたしたちは必ず島へ戻れます。でも」
「でも、何です?」
「あたしたちが助かるためにこの国の罪のない人たちに大きな不幸がおこります」
「大きな不幸?」「どうしてです?」
「モスラが、来ます」
「モスラ?」
「モスラが来るのです。あたしたちを助けに」

 出典: 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛原作・関沢新一脚本・本多猪四郎監督「モスラ」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 モスラで一番好きなのがこの場面です。
 結局、小美人とは何だったんでしょうか。
 小さい。可愛い。無力。けなげ。
 しかし、大きな力(モスラ)を動かす力がある。でもその大きな力を、自分では制御できない。
 そして、この場面。失礼ながら小美人の話す姿は、少々おバカっぽい。
 どうも、当時の日本の男性が、女性をどう思っていたかが、小美人に投影されているような気がするのです。
 当然、時代が変われば、様々な作品に現れる小美人的なものも役割と性格を変えていきます。私には、小美人が魔法少女の原型のようでもあり、使い魔の原型のようにも見えるのです。
 と書いているうちに、小美人が美人局に思えてきました。「おい、うちの島の女に何しやがる」と言いながらモスラがやってきた、と。

駄弁者:
 つまり最近の魔法少女や使い魔が、やたらとパワフルだったり悪辣だったりするのは…。
>当時の日本の男性が、女性をどう思っていたか
 逆に「モスラに善悪は解りません。私たちを島へ連れ戻す本能しかないのです」が女性の男性観だったらヤだな(笑)



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