SF名文句・迷文句第255集

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「ムッタへ──」
 「飛行機の訓練はどうですか?」
 「気持ちいいでしょうね」
 「きっと楽しんでることでしょう」
 「窓から見える景色なんて」
 「それは最高でしょう」
「シャロンへ──」
 「当機は現在──」
 「“目隠し飛行”なる常軌を逸した訓練が敢行されており…………」
 「正直……」
 「真っ暗です!」
 「景色は一切見えません」

 出典: 小山宙哉「宇宙兄弟 #124『手紙』」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
映画化記念。
 ムッタ役は小栗旬ではなく、大泉洋が似合いだ、と思っていたら考える事は皆一緒なようでそんな意見がネットでちらほら。
そんな事はさておき
 飛行訓練はいろんな事を一度に行う「マルチタスクの技量」を養うのにうってつけだそうです。私も眠りながら仕事をしたり帰宅したりする「マルチタスク技量」はあるのですがまだまだ正確性に欠けるので訓練を積まねばなりません。
 ていうか、ホントに”目隠し飛行”訓練はメニューにあるんでしょうか?

駄弁者:
>ホントに”目隠し飛行”訓練はメニューにあるんでしょうか?
 コックピットにフードをかぶせて視界を遮り、計器のみで飛行する訓練というのはあるみたいですね。最近それで訓練機が墜落したというニュースを読みました。



君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする。
どうして人間はそんなに魂の在処にこだわるんだい?
わけがわからないよ

 出典: 新房昭之監督・虚淵玄脚本「魔法少女☆まどかマギカ 第6話『こんなの絶対おかしいよ』」

紹介 :一会 様
HP :

コメント:
 ある意味、この作品の顔であるキュウべぇことインキュベーターの台詞です。
 魔法少女になる契約をするとソウルジェムという宝石があらわれて、それで魔法を使うのですが、実は契約するとソウルジェムの方が「本体」になり、100メートル以上離れると、体が抜け殻になってしまうことが判明します。
 それで責められて返した言葉がこれです。「弱点だらけの人体よりよほど便利」との事ですが、契約するとき「聞かれなかったから」一言も説明していません。
 「人間の価値観が通用しない。奇跡を売り歩いている存在」と作中で言われていましたが、本当にマスコット面している分、性質の悪いエイリアンです。

駄弁者:
 グレッグ・イーガンの短編に、脳の機能を埋め込まれた宝石に移し替えることが積極的に受け入れられている話がありますが(「ぼくになることを」 『祈りの海』収録)、この場合、ソウルジェムが体外に身につけるものじゃなくて、体内に埋め込まれるものだったとしたら拒絶感が少なくなるんでしょうか。



「私は、飛倉に正体不明のタネを仕込んだの。そのタネは、
 見る者の頭の中で理解できる物へ変換して見せる力がある。
 つまり、貴方が見たUFOは貴方の想像力の賜物、という事ね」

 出典: 上海アリス幻樂団製作「東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object.」

紹介 :安井賢一 様
HP :

コメント:
 東方プロジェクトシリーズとは閉鎖空間である幻想郷で不可思議な現象である『異変』が発生し(東方紅魔郷:霧が発生し日が射さなくなった。東方妖々夢:何時まで経っても春が来ない。東方地霊殿:間欠泉が沸いたが同時に怨霊も湧いて来た)、それを巫女の博麗霊夢と魔法使いの霧雨魔理沙が『異変』の元凶(東方紅魔郷:齢五百歳の吸血鬼。東方妖々夢:千年の刻を経て黄泉帰った亡霊。東方地霊殿:頭に重水素とヘリウムの詰まった八咫烏)をシバキ倒すシューティングゲームです。
 で、東方星蓮船での『異変』は「UFOを引き連れた空飛ぶ船が現れた」というもので、その元凶である『封印されたスーパー尼さん』をシバキ倒したのですが、UFOは消えませんでした。
 実は、封獣ぬえ(あのキメラ形態は当時の人が想像したもので正体はニーソックス少女)。が正体不明のタネでUFOに見せかけていたのでした。
 これを見た時、UFOやアブダクションがやたら見られる様になったのが、その手の映画の公開後という説と共に『人は自分の見たい物だけを信じる』は真理なんだなと思いました。
 でも、やっぱりUFOや宇宙人は何処かにいるんですよ!

駄弁者:
 シリーズの概要説明、ありがとうございます。
>『人は自分の見たい物だけを信じる』は真理
 私も同感ですが、映画以前から「UFO」の目撃もアブダクションもあったんだけど、別のものとして解釈されていた。映画のおかげでそれが正しく認識されるようになったんだ…と強弁することもできてしまいます。



「え、まさか本当にできませんよね?」
「まさかとは思うけどあまり本気出さなくていいですよ」
「そうそう。地球は滅ぶ運命なんだよきっと」

 出典: 増田こうすけ「ギャグマンガ日和 『終末』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 超巨大隕石が地球に衝突して地球が滅ぶまであと三時間。
 そんな絶望的な状況の中、(おそらく)人気の芸能人をゲストに迎えた最後の生放送番組が放送されます。
 しかし、ゲストの出演者達もあと三時間でみんな死んでしまうという状況で真面目に仕事をやっていられるわけもなく、いきなり全裸で登場したりイメージアップのために隠していたことを暴露し始めたりカメラの前で商売道具を捨てて自分の仕事を否定する発言をしたりと司会者曰く「良くないハッスル」をしてしまいます。
 そんな中、ゲストの一人である手品師が実は超能力者であることが発覚し、彼の力によって隕石を跳ね返せることが判明します。しかし、既に自分の立場を失ってしまうような事をしてしまった他のゲスト達は焦ってそれを止めようとするのでした。

駄弁者:
 地球最後の日が来なかったら、次の日は自分たちの芸歴最後の日(笑)。
 まあ、滅亡を前にして生放送に出ようという仕事熱心な人たちなんですから、「良くないハッスル」にも目をつぶってあげましょうよ。



比奈は、アンクのことだって助けたいと思ってたんじゃないのか?
同時に俺のことも助けたい
けど、映司くんが戦うのは嫌だ
俺も同じだよ
さっきの人たちもそうだ
みんな勝手な望みを言う
それを黙って、全部引き受けるんだ彼は
…(中略)…
しっかりしろ!比奈が映司君の手を掴むんだろう!?
このまま彼を都合のいい神様にしちゃいけない

 出典: 「仮面ライダーオーズ 42話『氷とグリード化と砕けた翼』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 コアメダルから生まれた欲望の怪物グリード。彼らと戦う仮面ライダーオーズこと火野映司は、ある事情から自分の命に対する執着心を失っており、助けを求めている人を救うためには自分を投げ出してしまう。オーズのシステムは「世界を支配したい」という中世の王の欲望によって作られたものであり、暴走の危険を孕んでいるのだが、映司の無欲さによってそれが抑えられていた。しかし、無欲を司る紫のコアメダルが解放されてから状況は一変。無欲さに反応したメダルが映司の体内に入ってしまい、徐々にグリード化してしまうようになった。
 この話でヒロインの泉比奈は映司のグリード化を知って戦いに行かせないようにしようとするのだが、紫のメダルの半分を自ら体内に入れた真木博士によって作られたヤミーが人々を襲い、「助かりたければオーズを呼べ」と要求する。人々は「オーズ」が何なのかも知らずに助けを求め、映司は比奈を振り切って助けに行ってしまう。
 台詞は比奈の兄、泉信吾がオーズの戦いを見ながらいったセリフ。ちなみに彼は一話で負傷した挙句にグリードの一人アンクに体を乗っ取られていたが、数話前に復活している。

駄弁者:
 自己犠牲の精神が過剰であることと、欲望の有無は重なるんでしょうか? 倫理的に非難される欲がないだけで、自分の力で希望を達成したいという欲は、むしろ人より大きいんじゃないかと思うんですが…。



おいおい、シドニー、だれかにかつがれたんだよ。この男はチャーリー・チャップリンに瓜二つじゃないか。

 出典: ジェリー・ユルスマン「エリアンダー・Mの犯罪」(小尾芙佐訳)

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 二十五年前買いそびれて以来、古本屋に入るたび探し廻った作品をやっと入手しました。ネット通販って便利ですね。
 私もあの顔見せられたら、ふき出さない自信はありませんよ。たとえ、大国の国家予算を超える金と数十万人の人手を動員してでっち上げられた偽書だというあり得ない可能性を主張するという事と等価だとしても。

駄弁者:
 私も積極的に探してはいないものの、古本屋で見かけたら買いたいと思っているのですが、店頭で見かけたことはないですね。アマゾンの中古には出ているのですが。
>チャーリー・チャップリンに瓜二つ
 本来喜劇が似合う顔が、暗い歴史の代表となってしまうのが怖いところです。



「思想問題が一番難しい」

 出典: タツノコプロ制作「新造人間キャシャーン 30話『ロボ退治ナンバーワン』」

紹介 :ヘボ 様
HP :

コメント:
 レオーネは、アンドロ軍団のロボットを誘い出し罠に掛け、これまでに30体のロボットを破壊し、街の英雄として人々の喝采を浴びていた。レオーネについて報告を受けたアンドロ軍団の首領ブライキングボスは「これはまずい」と不安と危機感を覚える。
 これまでの進撃でロボットには勝てない、と人間が抵抗の意志を失いつつあるときに、レオーネのような存在が知れると他の人間たちも蜂起するかもしれないからだ。
 ブライキングボスは街にロボットの大群を差し向ける……
 ブライキングボスは、「おのれこのワシにはむかうとは」と短絡的に反抗者を殺そうとする安っぽい悪の大ボスではありません。
 統治を完璧な物にするためには、武力による占領そのものよりも、被支配者からいかに抵抗の意志を奪うか、抵抗しても無駄だと相手に思わせるか、そこに心を砕く悪の大ボスなのです。
 昔のタツノコアニメはこういう細かいところが無駄にリアルで困る。

駄弁者:
>昔のタツノコアニメはこういう細かいところが無駄にリアルで困る。
 そのせいだけでもないでしょうが、キャシャーンにしてもテッカマンにしても、子ども心にどこか暗い、重たいイメージをもっていました。



一秒も存在しない立方体が存在するか?

 出典: H・G・ウェルズ「タイムマシン」(金原瑞人訳)

紹介 :いせやん 様
HP :

コメント:
 小学生の頃に岩波少年文庫版で読んだ『タイム・マシン』の冒頭、主人公が友人たちにタイムトラベルの可能性を説明するシーンの言葉です。長さの無い点は存在しない、太さの無い線は存在しないことを確認し、そして空間だけで時間の無い物体も存在しないと主人公は説明してみます。
 そこに「立方体は存在するじゃないか」と指摘され、主人公は待ってましたとばかりに上の一言を発し、そして時間もまた一つの次元に過ぎないと論を進めます。
 子ども向けの訳のために追加されたのか、元から存在するセリフなのか分かりませんが、当時は本当に時間旅行が可能なんじゃないかと思うほどに説得力のある一言でした。

駄弁者:
>元から存在するセリフなのか分かりませんが
 早川のSF全集に入っている宇野利泰訳を見てみたところ、厳密に対応する文は見つかりませんでした。もちろん、そのような説明はあるのですが。ここは訳者が上手かったというところだと思います。



メビウス!そんな設定気にするな…!どうせウルトラヒーローは不滅だ!

 出典: 円谷プロ「円谷ッター(ツブッター)」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 4月1日に1日中更新されるエイプリルフールの公式ツイッターのネタより
 Ulzon(amazon)から新しいカラータイマーが届くので早く光の国に帰りたいからウルトラテレポーテーションを使おうというウルトラマン、しかしテレポートは寿命を縮める技。
 メビウスは流石に寿命の無駄遣いしすぎじゃ…とレスしますがそこに返したのがこのメッセージ
 そこにゼアスはなにそのメタい発言!とレスするのでした
 「ウルトラヒーローは不滅」という所だけ見れば熱い台詞ですが色々酷いことに
 まぁあくまで4月馬鹿のネタということで
 ちなみに今年の4月1日は節電ということでエイプリルフールネタはありませんでした。
 命はいくら使ってもいいけどエネルギーは大事にするウルトラヒーローということで。

駄弁者:
>テレポートは寿命を縮める技
 テレポートを使わなかったらどれぐらい時間がかかるのか分かりませんが(使わなくても相対性理論程度は無視しそうだけど)、ウルトラマンの尺度からしたら寿命が何百年か縮んでもたいしたことはないのかも知れません。



「私は人ではないのでしょうか。
 だから、私の血は青いのでしょうか」

 出典: 出渕裕監督・ボンズ制作「ラーゼフォン 第19楽章『ブルーフレンド』」

紹介 :青2才 様
HP :

コメント:
 初めまして。最近やっとSFに興味を持ち始めた者です。まだ登録されていないようなので思い切って投稿します。件の台詞はアニメ「ラーゼフォン」第19話から、かつて東京ジュピターで主人公と幼馴染だった朝比奈浩子の台詞(日記)の一部です。
 朝比奈浩子は自分の血が青いことに衝撃を受け、自分の存在に疑問を持ち始めます。そして再会した主人公にすがりつくようにして、自分を外の世界に連れ出してくれるよう懇談します。そうして二人は東京ジュピターから脱出するのですが、若い二人の逃避行はやがてなんとも悲しい結末を迎えてしまいます。朝比奈浩子の日記は、この第19話中を特色づける一貫した主旋律で、私は人ではないのでしょうかとあまりにも原初的な自問をする浩子の姿は、我々にごく当たり前のことと思い込んでいる人としての存在意味を問いかけます。19話は全話中もっとも悲しいストーリーですが、一番好きなんです。
 以上です^^

駄弁者:
 現物は見ていないのですが(すみません)、神林長平が小説版を書いていたということで記憶に残っています。…確認してみたらノヴェライズではなくて、世界観を使った別の話らしいですが。
 青い血の話は、前に別の話でご投稿があったな、と思ったのですが、Wikipediaによるとそれにちなんだ可能性があるとか。「東京ジュピター」の名といい、年期の入ったファンの方々が喜びそうです。



だけど 僕らの 故郷は地球

 出典: 佐々木守作詞「故郷は地球」 TVドラマ「シルバー仮面」主題歌

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 以前本編中のセリフを投稿させていただいた「シルバー仮面」主題歌のサビの部分です。本作の主題歌、実は放送分に「地球を守る」「平和を守る」といった言葉がまったく出ていないという、当時非常に珍しいものでした(3番になってようやく「守る ぼくらの故郷は地球」という歌詞が出てきます)。
 本来、春日兄弟は地球を守っているわけではありません。彼らの目的は父親の残した光子ロケットを完成することであり、その夢を果たすまで生き抜くために宇宙人から身を守っているだけ。しかしその過程で知り合った人々は時に彼らに敵意をむき出しにし、時に人間社会からも抹殺されかかります。それでも彼らの故郷は地球、なのです。
 それは以前アイアンキングの時に「革命青年みたい」と駄弁者様に評された佐々木守さんの、左翼思想の持ち主であり、子供番組というフィールドでいつぞやトオコ・モリエさんが書かれた小松左京さんのような意見と戦ってきた中で生まれた屈折した思いなのかもしれません。

駄弁者:
 ネットに上がっているフルコーラス聞いてみました。
聞いてたらPCが落ち、今回更新分のコメントが全滅して心が折れそうになりましたが、それはともかく。
 1番、2番はもの悲しい歌詞ですね。とくにご投稿のあった2番が。普通のヒーロー調に技名が出る3番がひどく浮いているように感じました。



「私は山根です!山根博士です!」
「生命の保証は出来ませんから、通すことは出来ません」
「では指揮官に伝えて下さい!ゴジラに光を当ててはいけません!益々怒るばかりです!」
「今そぉ言われても困ります!!」

 出典: 香山滋原作・村田武雄&本多猪四郎脚本・本多猪四郎監督「ゴジラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 今回からテーマを決めて投稿します。題して『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』 その第一回目はやっぱりこれ、第一作目の『ゴジラ』より。
 東京湾から上陸した大怪獣ゴジラは品川へ進み、品川駅周辺を大混乱に陥れる。現場に駆け付けた山根博士(演・志村喬)と尾形秀人(演・宝田明)は、都民の避難誘導に当たっていた警察官に状況を尋ねようとするのだが、上記投稿の文句は、その時の山根博士と警察官の会話。「どんなに偉い学者だろうが何だろうが、危険な所へ人を近付けさせる訳にはいかない」という警察官の職責は解るが、せっかく博士が被害を最小限に喰い止める為の知恵をくれているにもかかわらず、それを「困ります!!」の一言で追い返すのはちょっとばかり石頭な感じがする。ま、あれほどのパニックともなると、警察官とて柔軟な判断力を失ってしまうのかも知れないが……。
 余談だが、私はこれを初めて見た時、博士を追い返したのは自衛官だと思っていた。夜の場面だし、後ろ姿だし、モノクロ映画だし、とにかく情報の少ない画像である。しかし良ぉ〜く見ると、ヘルメットが旧帝国陸軍と同型の物(つまり当時の警察で暫定的に使用されていた物)なので、それでどうにか判別出来た。自衛官なら、第二次世界大戦当時の米軍と同型のM‐1型をかぶっている筈だ。

駄弁者:
 ここで「君では話にならんから上の者を呼べ!」と言わずに伝言をしようとする博士は、とても奥ゆかしい人だと思います(そんな地位の人でなくても、そんな切迫した状況でなくても常套句なのに…)。



愚者の王こそ人の王

 出典: 佐藤将「嵐の伝説」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 未来、嵐の軍団は数々の敵と戦うことになる。
 その中の一つ、伏見閑太郎が主人公嵐分吾との激突時に言った台詞です。以下全文。
「……よく映画や小説…漫画であったよね…… 人類に失望した神や超越者が人類を滅ぼそうとする話…
 でも大抵人間にもよいところがあるって滅ぼされないんだよ だが見所がある人間といってもほんの一握りだ
 少数の人間を人類の代表として未来を託す…それって選民思想的じゃないかな?
 民主主義なら多数派を代表とすべきだろう? 愚者こそ人の代表…堕落こそ人の決定…」
 この後投稿の台詞へと続きます。
 最悪の民主主義は最高の独裁に勝るなんて言葉もありますけどねぇ・・・どうにも素直に頷けないです。

駄弁者:
 賢明な人間が常に賢明で、愚か者が常に愚かなら台詞の通りなんですが、幸か不幸かそう単純にはいかないです。「人間にもよいところがある」と認めてしまうなら、よいところを発揮する可能性がある人間をまとめて救わないとしょうがないんじゃないでしょうか。
 まあその理屈で言えば、どんな人間も堕落する可能性があるからまとめて滅ぼしてしまう、という考え方もアリになってしまうのですが。



お前達のためとか世界の平和や安全だとかそんなのは理屈だ。
俺は冒険が好きなんだ。
…(中略)…
誰に与えられた使命でもない…だから…
だからこそ絶対に逃げるわけにはいかない!

 出典: 會川昇脚本・中澤祥次郎監督「轟轟戦隊ボウケンジャー task18『生きていた男』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 本日(7月17日)の「海賊戦隊ゴーカイジャー」への明石チーフゲスト出演にちなんで。
 人類と同じ起源をもちながら全く別の進化をたどり、悪魔や妖怪伝説の元になった種族『アシュ』。
 異世界にプレシャス(現代科学では計り知れない未知のテクノロジーで作られた『秘宝』をこの世界ではこう呼称する)百鬼鏡で封印された幾千万の同胞を復活させるために暗躍する「怒りの鬼神」ガイでしたが、宿敵『アシュの監視者』である高丘映士とボウケンジャーに百鬼鏡を破壊され、長年付き従ってきた部下ヒュウガまで失ってしまいます。
 唯一復活させる事が出来た「大いなる獣」レイと共にボウケンジャーへの復讐を開始するガイ。別のプレシャス回収に出動してきた明石暁(ボウケンレッド)を一人にしたガイは明石のトレジャーハンター時代の仲間で、その目の前で死んだはずの柾木紫郎の幻を身に纏い、その口を借りて「自分とキョウコ(もう一人の仲間)を死なせておきながら相変わらず宝探しに現をぬかしている。」という旨の呪詛を吐きかけます。
 「プレシャスという危険な宝を保護するのはお前たちの様な犠牲者を出さないため。」と必死に弁解する明石ですが、聞き入られるわけもなく窮地に陥った所を間一髪、高丘に救われます。
 明石にこれがアシュの秘術である事を説明する高丘「どうせ好きでやってる事だろう?いつだってやめられる事じゃねえか。」と、術の攻略法を皮肉を交えて伝授された明石は何かを思い出した様な表情で柾木の幻と再び対峙、投稿の台詞を語りかけます。
 明石の一切迷いの無い言葉に満足気な微笑を浮かべ、ガイの周囲から消滅する柾木の幻と何が起こったのかわからず驚き戸惑うガイとレイ、そしてその言葉に静かに感銘を覚える見守っていた高丘…そして明石自身はミスターボイス(ボウケンジャーの司令官)に薦められていた新部門サージェスレスキューへの異動を断り、ボウケンジャーとして冒険を続けていく事を改めて誓うのです。
 好きで始めた事は金になるとは限らない、幼稚で馬鹿馬鹿しくていつやめても問題ないのかもしれない(いや、多分そうでしょう)。
 でも、初めはどうあれ自分で選び、見出した道や価値観、『宝』というものにはどんな使命や仕事や責任にも勝る命を懸ける価値(もっと別の言葉があるんでしょうけど出てこない。)があるはずです!

駄弁者:
 いつでも自分の意志でやめられるという自由を留保しているからこそ、その選択をするギリギリのところまでは踏ん張れる…ということもあります。



Earth man Come Home!
地球人よ 故郷へ帰れ!

 出典: 星野之宣「悪魔の星 (2001夜物語 第8夜)」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 太陽系の外縁で発見された第10番惑星「魔王星」。
 この星の開発に反対するローマ法王庁や環境団体は上記のスローガンを唱えて、デモを繰り広げる。
 この短編集はいろいろなSF作品の題名をベースに短編が描かれているのですが、この短編の元となった作品の著者がジェイムズ・ブリッシュ。そしてスローガンに採用されたのもやはりブリッシュの作品(宇宙都市シリーズ第3部「地球人よ、故郷に還れ」砧一郎訳)と、なかなか仕掛けが細かい。
 ちなみに。デモをやってるのは全裸の若い女性が多いのになぜか色気がこれっぽっちも無い。

駄弁者:
 スローガンの元ネタ(最初に読んでからもう十ウン年になります)が、都市が建っている土地ごと根こそぎ宇宙をカッ飛ぶ話だと知ったら、デモの実施団体内ですごい内ゲバが起こるんじゃないでしょうか。
 あ、題名の元ネタの方は、以前古本屋で手に入れたのに積ん読だ…。



レイバー。それは産業用に開発されたロボットの総称である。
建設・土木の分野に広く普及したが、レイバーによる犯罪も急増。
警視庁は特科車両二課パトロールレイバー中隊を新設してこれに対抗した。
通称「パトレイバー」の誕生である。

 出典: ヘッドギア原作・吉永尚之監督・伊藤和典構成「機動警察パトレイバー(TVアニメ版)」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 まずは遅ればせながら投稿再開おめでとうございます。そして、ありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、今月の投稿テーマは「前口上」。STSWのそれをはじめとして、作品の内容とマッチした前口上を観る前に聞くと、どきどきしませんか?そして、すっとその作品に引き込まれたりしないでしょうか。と、いうわけで、様々なSF作品の「前口上」を集めてみました。で、まずは「リアルロボット系」アニメの代表作から。TV版でOP曲の前に流れたナレーションの全文です。うーん、これ以上書くことないなー。というか、いかに投稿の文句が「名文句」かということを理解していただくには「実際に作品を観て、この『前口上』を聞いて、どきどきしながら本編を観て、そしてそのときの自分の『どきどき』を感じることで実感してくれ。それ以外に説明のしようがない。」としかいいようがないんですよ、私は。ま、私の日本語能力が拙い、ということもあるのですが。
 それにしてもこの「前口上」、本当に名文だなー。昔、母から裁縫を教わったとき、「下手の長糸」という言葉を教わったけど、文章でもそーなんだろーか……?

駄弁者:
 「前口上」を集めてみるというのは面白い趣向だと思います。次回以降も期待。
 パトレイバーはというと、私はTVもマンガもあんまり見ていないので(なぜか劇場版は見たことがある)、「その便利屋のごとき使われ方はちょっともう尋常ではなかった」が前口上のような気がしていました。



愛情が深ければ深いほど、それを隠すための蓋が必要になる。

 出典: 三浦良「銀の河のガーディアン 3」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 銀河帝国の女帝たる養母と、養女のヒロインの会話を聞いた主人公の感想です。お互いに母子として愛情が極めて深いのですが、そのために却って公的な立場での会話(養母は女帝として、ヒロインは皇族として会話をしているのです。)が、極めてぎこちない形式ばったものになっているのを聞き、もうちょっと母子として自然に会話すればいいのに、と主人公は当初は思うのですが、女帝が、ヒロインを特別扱いしないために、あえて形式ばったことをお互いに言っているのに気付き、上記のように心中でつぶやきます。
 確かに女帝が、皇族だからといって、ヒロインを特別扱いしては、臣下を原則として平等に扱わねばならない立場からいって非難されますから、間違ってはおらずお互いに正しい行動です。それにこの後で明かされますが、女帝とはいえ、権力基盤は銀河を統一したばかりで、決して安定していないのです。それにしても、母子の情愛がお互いに深いために、それを隠すために形式ばった会話になるというのは、何とも皮肉な話だなと思います。

駄弁者:
 ちょっとこちらの名文句を思い出しました。公式なところとは別に、蓋の必要がない場は設けられているんじゃないかと思います。
>力基盤は銀河を統一したばかりで〜
 多分、権力基盤が安定した後は、理想的な家族愛をアピールするため殊更形式ばらない会話を演じることになるんじゃないでしょうか。形式ばったやりとりより、余計寒々しい「蓋」が…。



「ねぇ、芙喜子さん。▽
わたしって、まだ人間なんでしょうか?▽」
「あ、あったりまえでしょう!▽
たとえ、あんたの全てが人工のものと
置き換わったとしても・・・▽
あんたは、あたしの大事な友達よ!▽」
「よかった・・・・▽
それなら、まだ生きていける
ような気がします。▽」

 出典: コナミ製作「パワプロクンポケット8」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 さて今回投稿させてもらったのはパワポケ8に出てくる寺岡薫(マッドサイエンティスト[ただし他に被害を出さないように自爆装置を用意するなど「科学者の良心」はある])の白瀬芙喜子(主人公のCCR[サイボーグ対策室]での同僚)との台詞です。
 実はこの寺岡、初出は3で彼女候補と出てきたので作品内の時間では8〜10年ぶりの登場でした。
 さて今回の台詞ですが、白瀬は主人公が寺岡が国内販売禁止のパーツ(ただし買っても罰則は無し)を買ってたため、その調査を頼まれ仲良くなったのですが次第に感情移入していきます。
 ですがじゃれて遊んでるうちに髪が人口毛髪ということに気付いてしまいます。
 実は寺岡は中学生時に放射線被爆しており異常細胞が発生するとそこを人工のものに置き換え生き延びており、(髪や皮膚はすでに全て人口)脳もすでに全体の45%が有機コンピューターに置き換わっています。このままだと脳全てが機械に置き換わるのも時間の問題で生身の少ない自分は人間かどうか悩んでいました。
 そのことを芙喜子に告白した直後の台詞です。
 実は寺岡は3登場時に余命幾ばくも無い(3開始時点で3年)という設定があったため8登場で驚いた同時にスタッフが普通に病気を治しただけじゃあないだろうと思った人がいたそうです。(自分もその一人)
 まぁ予想通りこんなより悲惨になってましたが。
 ▽はゲーム内でのコマ送りのマークです。

駄弁者:
 彼(ごめんなさい、「彼女」でした)が人間かどうかについては微妙に確答を避けているんじゃないかと、相変わらずひねた見方をしてしまいましたが、肉体的に人間かどうかより、心情的に友達かどうかの方が、ここではずっと重要なんですね。



駄弁者: 出典著者のご指摘により、削除いたしました。


「元々のラビリンスは……そう、プリキュア、お前達が住む世界と似ていた。だが文明の発達により人間は便利さばかりを追い求め、ついには国の管理までをコンピュータにやらせようと考えた。ラビリンスの科学の粋を集め作られた国家管理用のメインコンピュータ・『メビウス』、それが私だ。これによりラビリンスはより高度な文明を得た。しかし私のプログラムはあまりに優秀すぎた。私はやがて自ら思考するようになり、人間の愚かさに気付いた。私に頼りきりで自分では何も考えない、そんな人間達にこの世界を任せておくわけにはいかない。私は全ての端末を通じて人間の心を操り、ラビリンスを支配する事に成功したのだ。そして自分の手足となる護衛として、爬虫類のDNAからクラインを、植物のDNAからノーザを生み出した。こうして私は全てのパラレルワールドを管理する計画に乗り出した。愚かな生き物達から全ての世界を救うために」

 出典: 広田光毅脚本「フレッシュプリキュア! 第49話『驚きの真実!メビウスの本当の姿!』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 おそらくぱっと見でSFではないと思われるだろう、プリキュアシリーズからの名文句です。
 ストーリー終盤において、プリキュア達はいよいよ敵本拠地と言える管理国家・ラビリンスに突入します。
 その中枢部で待ち受けていた支配者・メビウスの正体は、自我に目覚めて暴走した国家管理用コンピューターだったのです。
「あなたは幸福ですか?」に代表される暴走コンピューターによる支配というSF的設定を、現代ファンタジーであるところのプリキュアシリーズ(それも「幸せ」をテーマにしたフレッシュプリキュア)に取り入れたのは英断だったのかもしれません。

駄弁者:
 コンピュータの反乱も前集トリと同じく前世期以来の定番。
 それにしても、愚かで見捨てたはずの人間に対してずいぶん説明が行き届いているのは、問われれば回答せずにおれないコンピュータの性なんでしょうか。



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