SF名文句・迷文句第254集

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私が知る限り、人間は確かに世界中で一番寂しがり屋で絶望しやすい生物だ。だが絶望したままの人間はいないし、ひょっとしたら幸せですらあったかもしれない。もし、ずっとずっと絶望し続けられる人間がいるとしたら、それはことのほか貪欲で自己中心的な生物だ」

 出典: 青木朋作画・長崎尚志原作「真・机上の九龍 search.3『シュレーディンガーの猫』」

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 「真・机上の九龍」より、主人公・机田九の養父で、「特別保護クローン」のラビの台詞。
 この台詞でふと連想したのは、中東でテロが多発する背景をめぐるある論争です。ある評論家(名前は度忘れ)が、「絶望が彼ら(パレスチナ人)をテロに駆り立てるのなら、インフラ整備やそれに伴う雇用の創出等で希望を与えてやれば、テロは減ってゆくのではないか」と発言したのに対し、元外交官の評論家・天木直人氏が「そんな事で解消されるほど、彼らの絶望は根の浅いものではない」と反論していました。確かに、インフラや雇用で絶望が解消されるとは思えないけれど、その絶望をエネルギー源としたテロの大義というものがいかに自己中心的なものか―を、大義に心酔してしまった人の耳に届かせるにはどうしたら良いものか、簡単に答えが出せそうにないです。
 …ところで、「机上の九龍」の作品世界における「特別保護クローン」とは、人類史上五指に入るといわれる天才科学者、諸繁久―通称「モロ博士」―によって作られた8匹のクローンで、いずれも人語を話し、高い身体能力と、人間を超える知能を持っています。ウサギのラビの他に、狼のフェンリル、アライグマの荒井さん、チンパンジーのモンちゃん、ネズミのジェリー、ゴリラの丈(ジョウ)、カンガルーの跳丸(はねまる)、イルカのチコがいます。ラビは8匹の中の長兄的存在で、荒井さんによれば「正義感の強い熱血タイプ」ですが、作画の青木朋さん(私の大学の後輩)によれば、「腹黒い策を巡らせつつ、可愛い子ぶるのが得意」なんだそうです。

駄弁者:
 おっしゃるとおり、絶望がテロの根本原因だというのは正しいとしても、あらゆる絶望がそのままテロ行為に直結するわけではないと思います。物質的な援助だけでも、少なくとも絶望のはけ口をテロに求めるのを抑える効果はあるんじゃないでしょうか。
>通称「モロ博士」
 動物の改造でその名前は、前世紀以来の定番ですね。ところでクローンの名前のほうは、狼だけ不公平にカッコよくないですか?(笑)



いつかはいまじゃないよ。
ひとはみんないつか死ぬよ。
キョーコとマミおねえちゃんは、ほんとうに「いま」死ぬの?

 出典: Magica quartet原案・ムラ黒江漫画「魔法少女おりこ☆マギカ」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 かなりのヒットを飛ばし、多くのアニヲタを虜にした久々の完全オリジナル作品「まどか☆マギカ」。
 今回紹介したいのは、本編とは関連しないコミカライズ作品「おりこ」。
 登場人物の一人、暁美ほむらのある設定を生かした外伝作品になっています。
 表題にもなっている本作のキーパーソン・美国織莉子は未来を予知する能力を持つ魔法少女で、物語の舞台である見滝原町に襲来する「ある脅威」を知り、それを排除すべく、彼女に心酔する魔法少女・呉キリカとともに「魔法少女狩り」を行っていました。しかし成果を上げられないことで焦り、遂に排除すべき対象がいる見滝原中学に結界を張り、直接攻撃に打って出ます。  それを迎撃する、見滝原の魔法少女である佐倉杏子、巴マミ、そして杏子を守るべく魔法少女になった千歳ゆま。しかし魔力を使いきって魔女と化したキリカを前に、彼女らは手も足も出ません。
 魔法少女はその力を使いきれば、彼女らの敵であった「魔女」になってしまう──その衝撃の事実に、魔法少女たちは動けません。
 あの敵を倒したとて、私たちもいずれは魔女になってしまう。
 しかし、その絶望に一人立ち向かったのは、少女の中でも最年少のゆまでした。そして絶望に沈む二人に対して言ったのが投稿の台詞。 この後、二人は気力を取り戻して立ち向かっていきます。
 子供に助けられる年長者という構図はメジャーなものですが、ゆまの過去を思うとこの発言はすごい「強い」です。
 …発売が比較的最近の作品なのでネタバレをできるだけ避けつつ書いていたら、抽象的になってしまった(汗)まぁ出展がクライマックスなので、ネタバレは避けられないのですが…こんなことならネタバレ全開で書くべきだったか。

駄弁者:
 「あるのんは今だけどす!」「二分後のことに集中して、二分前のことは忘れろ」など、似た感じのセリフはありますが、子供が子供の言葉で語ると、また別の説得力があるものですね。



感情が生じさせた涙は
時間を封じ込んだ水球

 出典: 神林長平「完璧な涙」

紹介 :一会 様
HP :

コメント:
 神林先生の作品お馴染みのページをめくると、最初に飛び込んでくる一文です。
 言葉としての美しさはもちろん、「感情」と「時間」が密接な関係にあるこの作品をあらわしているとおもいます。

駄弁者:
 「雪風」や「敵は海賊」のようなシリーズではないですが、この作品も人気のある作品ですね。ラジオドラマになった影響もあるでしょうか。
 けど物語自体は時間ものということもあってか結構複雑だった覚えが。この方の作品は簡単に読めそうで実は歯ごたえがある、というものが多いように思います。



知ったことか!
欲しい物は全てこの手で掴みとる!
それが海賊ってもんだろ?

 出典: テレビ朝日・東映・東映エージエンシー制作「海賊戦隊ゴーカイジャー16話『激突!戦隊vs戦隊』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 かつてアカレッド、マーベラス(ゴーカイレッド)と共に「赤き海賊団」としてレンジャーキーを探していた男バスコ・タ・ジョロキア。彼は「何かを得るには何かを捨てねばならない」という考えの持ち主であり、レンジャーキーがもたらすという「宇宙最大の宝」を得るためにアカレッドとマーベラスをザンギャックに売ったことがあった。この時にアカレッドは生死不明になり、マーベラスはバスコを憎悪するようになる。
 宇宙最大の宝が地球にあると知って飛来したバスコ。彼はゴーカイジャーが持っていないレンジャーキーを所持しており、それを使ってマーベラス以外のゴーカイジャーを捕縛。「仲間を取り戻す代わりに宇宙最大の宝を諦めるか、宇宙最大の宝を得るために仲間を捨てるか」という選択をマーベラスに突きつける。
 しかし、マーベラスは「仲間は返してもらい、宇宙最大の宝も渡さない」と返答。そんなことは無理だと呆れるバスコにマーベラスが返したのが投稿の言葉。

駄弁者:
 「それが海賊〜」「海賊だったら〜」ってつければ何でもアリになりそうな気が…。
>「何かを得るには何かを捨てねばならない」
 こないだ星雲賞をとってしまったファンタジーで言えば「等価交換」ってやつでしょうか(違うか)。



「ほう五人がかりとはいかにも雑魚の考えだな」
「あんだけゴーミン出してきた奴に言われたくないって」

 出典: 荒川稔久脚本・渡辺勝也監督「海賊戦隊ゴーカイジャー 第4話『何のための仲間』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 戦隊シリーズ20作目にて最大のタブーに言及すれば35作目ではそれに対するツッコミもあります。
 ザンギャックの行動隊長ゾドマスと剣で一騎打ちをするゴーカイジャー一の剣術使いゴーカイブルーことジョー・ギブゲン。
 しかし一歩及ばずジョーは敗北します、そこに先に戦闘員を片付けた仲間達が駆けつけた時のやりとり、ゴーミンというのは戦闘員の名称です。
 自分の剣の腕どころか師匠のそれも馬鹿にされたジョーはあくまで一騎打ちで勝負をつけようとし、再戦時にゾドマスもそれに応じますが戦闘員に奇襲をかけさせます、さらにジョーの真価は二刀流であると教えられると(ゴーカイジャーは戦闘中にお互い武器を交換して二刀流や二丁拳銃になる)急遽外骨格を改造し全身から剣が出せるようにして手数を増やすという卑怯っぷり。 ジョーは特訓の成果と仲間達から借りた剣で五刀流(!?)となり、これを打ち破ったのでした。  敵が卑怯な手を使ってきたからといってもむやみに加勢せず仲間の腕と誇りを信じて送り出す、やはり戦隊に必要なのはチームワークということで。

駄弁者:
 そういえば戦闘員は全然勘定に入れてなかった…。下積みの皆さまゴメンナサイ。
>仲間達から借りた剣で五刀流(!?)となり
 それは二刀流より強くなるのか…? どこぞの戦国武将もどきの影響でしょうか。



「加唐島に派遣せし配下の蠍斎カルチェより、今し方、この慕漱蠡モスラが戻されて参りました。例のもの、首尾よう手に入ってござりまする」
 杖に止まった蛾をそっと撫でる。これは蛾に似て蛾に非ず、幼虫は「太陰虫テウムチュン」の名で呼ばれる妖蠡の成体である。高句麗の始祖王朱蒙チュモンの父・解慕漱ヘモス頤使いししたであるを以て、慕漱蠡なる名の由来とされている。幼虫の太陰虫には別の用途があるが、成虫は巨大化して戦闘や運搬用に使われた。

 出典: 荒山徹「柳生雨月抄」 (文庫版タイトル「柳生陰陽剣」)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 こんなものが実戦配備されていたとは、古代朝鮮文明は恐ろしい(笑)。
 「いくらなんでもふざけすぎだろ」と思われる方もおられるかも知れませんが、この「やりすぎ感」こそが歴史伝奇作家・荒山徹の真骨頂でもありますので仕方ありません。
 しかもここまで無茶苦茶やっておきながら、最後には史実オチで落とすという……日本書記から今上天皇のお言葉まで引用して。
BGM:もちろんアレ

駄弁者:
「蠡」の文字がShift-JISで出ることに妙に感心してしまいましたが、それはおいといて。
「モス」の由来の部分は適当なのかと思ったら、高句麗建国伝説に解慕漱の名はちゃんと出てきているし…。
解慕漱を先に知っていてモスラを出そうと思ったのか、モスラを出すために高句麗を持ちだしたのかは分かりませんが、その発想のフリーダムさには、なんというか脱帽します。



今撃てばクリプトン星の記録は全て失われるぞ。
その文明も…輝かしい歴史も全てこれからは宇宙の塵となるのだ。
ジョー=エル、それでもいいのか?

 出典: 「スーパーマン『クリプトン最後の息子 part1』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 何ヶ月もかけてクリプトン星各地の地質調査を行っていた若き科学者ジョー=エル。
 クリプトン星で連続して起きている地震の原因は惑星内部で起きている核分裂反応によるものであり、このままではクリプトン星そのものが崩壊してしまうと結論にたどり着いた彼は評議会にファントムゾーン(クリプトン星で凶悪犯を投獄するのに用いてる異次元空間)へと一時退避して、惑星崩壊をやりすごした上で居住可能な惑星を探す事を提案するのですが、ファントムゾーンへの嫌悪やクリプトン星の崩壊という突飛な発言も手伝ってジョー=エルよりも、彼が開発を手がけた惑星監視人工知能ブレイニアックの「彼の結論は間違っている。」という言葉の方を信用してしまいます。
 生みの親であるが故にブレイニアックが嘘をついていると確信、ブレイニアックの設置されている部屋に強引に押し入ったジョー=エルが見たものは、衛星軌道外の無人宇宙船に自分の全データをダウンロードして自分だけクリプトン星を脱出せんとするブレイニアックの姿でした。
 もはやクリプトン星の崩壊を防ぐ手段が無い事をジョー=エルより早く予測していたブレイニアックは、自分の目的である惑星のデータ収集を優先したいため、不毛でわずらわしい避難対策に使われないようにジョー=エルの説を否定したのです。  怒りに任せて自分を破壊しようとするジョー=エルに対して投稿の台詞を放つブレイニアック、クリプトン星も住人たちも救うことが出来ないジョー=エルに残された道はクリプトン星の全記録を記憶したブレイニアックを見逃し、ようやく歩けるようになった一人息子カル=エル──地球ではクラーク・ケント、そしてそれ以上に有名な名前で呼ばれる事になる──をクリプトン星によく似た環境の星地球に脱出させる事だけでした。
 そして滅びから逃れたブレイニアックは、惑星のデ-タを収集してはそれを独占するために住人諸共破壊するという行為を(数においても範囲においても)天文学的な単位で行い続けていくことになるのです。
 クリプトン星にロボット三原則さえあれば…そしてそれをブレイニアックに覚えさせる事が出来れば…クリプトン星人はもっと大勢助かって多くの惑星とその住民は天寿を全うできたのに…。

駄弁者:
 そこでただ一人生き残らせたのが自分の息子だった、ということについてジョー=エルを責めるのは、あまりにも酷というものでしょうけど。
>クリプトン星にロボット三原則さえあれば…
 そこまで優秀(かつ冷酷)なロボットだったら、彼なりの「第零原則」をつくりあげてしまって、どのみち人類が両手を挙げて賛成できない解決法を採用した可能性もありますが…。



颯爽登場!
銀河!美少年ッ!!
タウ!バーーーーン!!!

 出典: ボンズ制作・榎戸洋司構成「STAR DRIVER 輝きのタクト」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 2010年のアニメ界を揺るがした名(迷)ゼリフの一つであることは間違いない一言。
 この作品はいわゆる「スーパーロボット系」に属するロボット物で、超古代文明が残した超常的な力を持つ兵器「サイバディ」をめぐって争う、悪の秘密結社「綺羅星十字団」と主人公ツナシ・タクトとその仲間たちの戦いを描く物語です。
 この作品に登場するロボットであるサイバディは、その主である「スタードライバー」の命令に応じて起動・召喚されるのですが、物語開始初期は制御が不完全で、サイバディのほとんどの所有権を持つ綺羅星十字団も、「電気棺」という変換器を通じて不完全な状態でしか起動できません。
 しかし主人公のタクトは例外で、電気棺なしでも自分のサイバディ「タウバーン」を召喚し、直接乗り込んで動かすことが出来ます。
 その時の決め台詞がコレ。サイバディを召喚して乗り込んだ後、いかにも「王子様」な純白の衣装を身に纏い、ちゃんと決めポーズをキメます。
 そして勝ちます。なんだろうと、最後はタウバーンが勝ちます。中ボスラスボス強敵難敵関係なく、多少つまずいても一話終わるまでに勝負を決めます。
 …ここまで「(スーパーロボットの)お約束」を徹底されると、むしろ意外性がありますね…。 どっかの太陽の子かっつーの。
 アニメ自体はあの知る人ぞ知る名作「少女革命ウテナ」の榎戸洋司ということもあって世間からの期待は大きかったのですが、どうしても台詞や演出のインパクトに内容がついていけてない「今一歩」な作品でした。いや、つまらないわけではなかったのですが。
 ちなみに後半になると敵も直接サイバディを操れるようになり、敵味方入り乱れて、男女関係なく「銀河美少年」を名乗るようになります。
 もうネタアニメなのやら、それともガチなのやら。

駄弁者:
 容姿性別じゃなくて能力の名称なんですね…なんてはた迷惑な(笑)。
 その能力が普遍化したら、履歴書の「技能・資格」の欄に「普通免許・英検3級・銀河美少年」とか書くことに…。まあそうなったら「美少年」に照れる要素はなくなっていて、容姿端麗な若者には別の表現が捧げられているでしょうが。
 私も持ってる資格の名称が「スーパー司書」とかになったら、そう名乗らなきゃならないんだろうか(冗談じゃ済まなかった可能性がありました)



伝統を守ることは「進歩を否定すること」ではない。

 出典: サンドロット製作「超操縦メカMG」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 MGは今も一体一体工房で職人が手作りしています。その中で特に優れた技術を持つ工房が八工房。その中の一つ円工房では、近年の主流である電子制御などを行わない、昔ながらの技術で作られた人形を唯一作っています(バネ仕掛けだったり、ゼンマイ仕掛けだったり)
 そんな円工房の方針に反対した弟子が「伝統技術の呪縛にとらわれた円工房には、もはや成長も進歩もない」と言って特工房を立ち上げます。
 「伝統技術と最新科学の融合」を掲げる特工房と脈々と受け継がれる伝統を守る円工房は犬猿の仲。
 オートマンに対抗するため各工房がそれぞれ最強だと思う人形を作る事が決まった時も、かつての弟子に見せ付けようと作る始末。
 そんな円工房製最強の蒸気人形お披露目の時の台詞です。
 デザインで言えば蒸気人形の方が特工房の超電磁人形より今風なんですけどね…

駄弁者:
 これは伝統を守る側が、進歩を求めるあまり伝統を軽視する側に言った言葉なんでしょうが、逆の立場からも同じ言葉をかけられるんじゃないかと思います。
 結局、伝統のどの部分が守られるべきで、どこが変化していくべきなのかの見解の違い?



「おれたちが別れるときが来て…(中略)…おれの最期の言葉が「愛している」でなかったら──それは時間がなかったからだと思ってくれ」

 出典: ダイアナ・ガバルドン「燃ゆる十字架のもとに IV」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 このシリーズの主人公のクレアとジェイミーは、この話ではついに結婚してから30年近くが経ち、孫がいる年齢に達した老夫婦です(厳密にいえばその内20年近くは離れ離れでしたが。)。そして、米国独立戦争という嵐を前にして、お互いの愛を再確認しあうのですが、ラストでジェイミーがクレアに告げた名科白です。
 18世紀後半の時代ですし、お互いの年齢(共に50はとうに超えました)や戦争という嵐を前に考えれば、別れの時もそう遠い時ではないでしょう。また、その別れの時に、ジェイミーは戦場にいて、クレアはその場にいられない可能性もあるのです。その可能性を想い、また、離れ離れの時を、そして共に過ごした時々を思う時、相思相愛の老夫婦の夫から妻へ伝える愛の科白として素晴らしい科白だと思います。

駄弁者:
 こういうところ、日本の夫婦とはだいぶ違うんでしょうね。愛情の深さではなく、表現の仕方の違いなんでしょうが。
 ああ、でも日本の歌でも「お前のおかげで/いい人生だったと/おれが言うから/かならず言うから」というのがありました。



シャーロック・ホームズvs.聖徳太子!!

 出典: 三輪清宗「妖異暗躍譚2 紅梅の残月 Replay:天下繚乱RPG」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回は前回とちょっと違って天下繚乱RPGリプレイの帯からの投稿です。
 自分もいくつか本を買ってるんですがここ数年でもっともインパクトを受けた帯です。
 元からこれを買うために本屋に行ったのですが、この帯を見た瞬間立ち読みを開始してしまいました。(当然その後買いました)
 ちなみにホームズのプレイヤーはNitro+の鋼屋ジンさんです。

駄弁者:
 その人がホームズだと、モリアーティと邪神由来のスーパーロボットで戦ってそうな気がしてしょうがないんですが、それは(こちらではお断り対象なので)おいとくとして。
 聖徳太子は、ホームズ同様架空人物の扱いなんでしょうか。実在云々はともかく、伝説の多い人ではありますが。



ナオミ「私の名はナオミ…」
九「よろしく、ナオミ」
(九の独白)「父さんは言った。太古の昔、名前は一番大切な、守るべきもの、秘すべきものだったと…。
 だから名前を明かしあい、人々は親友になったのだと…」

 出典: 青木朋作画・空論創作委員会(長崎尚志)脚本「机上の九龍 search.3『行方』」

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 物語の舞台は、二千年代中期、TOKYO、ネオ九龍地区。主人公・机田九は、依頼に基づいて人や物を探す捜索業者。世界を二分する財閥の一つ、カラハン財閥の総帥夫人から夫探しの依頼を受けたことがきっかけで、二大財閥と都知事の絡んだ事件に巻き込まれる。都知事と総帥夫人の2者から命を狙われてい夫人の娘(実は夫人のクローン※この括弧内は出来ればネタバレ防止処理をお願いします)を守る決意を固めた九。記憶の多くを失い、母親の名前である「ルーシー」以外殆ど言葉を発しなかった娘が、九の決意に応えるように、初めて自分の名前を明かす。そして、都知事直属の武装集団「処理課」と、丸腰の九との戦いが始まる…。
 作画の青木朋さんは、私にとって大学の後輩に当たります(後輩ですが、同じ講義を受講していた事情は、また別の話…)。「古来、名は秘すべきものとされ…」という話は、一緒に受けた日本史の講義で教授が話していた内容と一致します。「作画」とありますが、もしかしたら、部分的には、いわゆる「ネーム」のアイデアも、彼女が出していたりしたのかな…と、想像しながら読んでいました。
 ちなみに、独白の中で語られる「父さん」とは、九の育ての親で、姿はウサギそのものだが、人語を話し、人間を上回る知能を持つ「特別保護クローン」のラビ。彼の名台詞はまたの機会に…。

駄弁者:
 そういう意味での「名前」は、親友になるどころかときにはその名をもつ相手を支配できたりさえする強制力の強いものだったと思います。
 そんな名前を許すことで信頼や好意を示すというのは、定番ではありますので(当めい文句集ではこのあたりなど)、作画の方と脚本の方のアイディアが一致した部分なのかも知れませんね。



「電話の帯域はスポットECMをかけてあったのですが さすがですね」
「ちがう、単に漁業無線周波なだけだ」

 出典: 山下いくと「ダークウイスパー」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 最新イコール最強ではありません。私の所では、震災による通信障害から一番早く復旧したのは「黒電話」でした。  不安定な光ケーブルよりも、スポット的に不通になる3G携帯のネットワーク接続よりも、何事もなく繋がるダイヤルアップは無敵です。
 ビレイ的な通信手段は確保すべきと胆に命じた3.11でした。

駄弁者:
 黒電話は外部電源なしで使えるし、丈夫そうだし、操作に迷うことも無さそうだし。もっとも3点目については、ダイヤル式電話機を使ったことのない世代もいるでしょうが。
そんな事はさておき
 ご投稿の文句の場合は最新かどうかというより、業界により通信の帯域はもちろん発想の帯域も異なる、という例に見えます。



「止めにしませんか?こんな生き方。銃を捨てて全てを断ち切って静かに暮らす」
「駄目だ。俺は大切なヒトが救えなかった。それを精算しないまま安穏と生きていくのならブタ以下じゃないか」

 出典: 内藤泰弘「TRIGUN」

紹介 :yasutaka 様
HP :

コメント:
 メリル・ストライフの言葉を受けてのヴァッシュ・ザ・スタンピードの返答です。
 一見すると復讐を肯定しているかの様なセリフですが違います。
 一般誌やテレビ等では「復讐をしても××は喜ばない」とか「復讐を遂げても虚しいだけ」などの復讐を否定する薄っぺらいセリフばかりの中 復讐を肯定するのは珍しいと思ったのですが、主役であるヴァッシュは不殺主義であり復讐を否定するヘタレです。
 目の前の争いは銃で力ずくで止めますが極悪人だろうが外道だろうが殺しません、
 ヴァッシュが去った後に極悪人が改めて非道を行おうがヴァッシュは一切関知しません。
 主役には少々問題はありますがセリフそのものは名文句と言えると思います。

駄弁者:
>復讐を否定する薄っぺらいセリフ
 そのセリフが薄っぺらいかどうかは、内容ではなく誰がそれを言ったのか、また聞いた人が言った人をどう思っているかによるんじゃないでしょうか。yasutakaさんのいう「一般誌やテレビ等」が復讐を肯定したら、やっぱりそれも薄っぺらく聞こえることでしょう。
 復讐してしかるべきだと思えるほどの人間が復讐以外の精算を模索しているなら、それは薄っぺらなものではないはず。
 …などと私が主張しても薄っぺらに感じるのは、まあ仕方がない。正直、こういうことで発言に重みが出るような体験など、せずに済むならそれに越したことはないと思いますし。



この世には科学では解明できないことがいくらでもある
それを謙虚に認めぬ限り真の科学者にはなれぬぞ

 出典: 柳田理科雄原作・筆吉純一郎漫画「Dr.猫柳田の科学的青春 第4集第2話『一万円救出大作戦!』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 大学院の研究室にこもっていた猫柳田の元に、居候先の長女ネッケツ・ミチルが銀行で両替した一万円札を見せに来た(この物語の舞台は昭和30年代であり、一万円札の価値は現代よりも高い)。その一万円札が風に飛ばされてしまい、大学の敷地内にある源五郎池という池に落ちてしまう。  ミチルが必死に一万円札を取ろうとした時、東京科学大学の優等生が「この池には祟りがある」と止めようとする。猫柳田は「それが東京科学大学生の言うことか!?」と激怒するが、そこに教授達を引き連れてあらわれた学長が言ったのが投稿の台詞。 (以下、ネタバレなので反転お願いします)  教授達が若かったころに流行った小説に「銅板に好きな女性の名前を彫り、それを池に沈めれば恋が成就する」という1シーンがあった。源五郎池には当時の教授達が沈めた銅板が大量にあり、それを見られたくないという思いから祟りの話をでっちあげていたのだった。ちなみに銅板に彫られた女性のほとんどが教授夫人になっており、祟りどころか御利益がある池だった。

駄弁者:
 自然科学がすべての物事を解明できると、本気で考えている科学者なんているんでしょうか? むしろ疑似科学を主張したり信じたりする人々の方が科学を過大評価(というか見当違いの評価を)していると思えます。



太陽系外周部からではなく
公転面に対して垂直に来るとは…

 出典: バンプレスト製作「スーパーロボット大戦W」

紹介 :唯野 様
HP :

コメント:
 好戦的宇宙人の機動要塞が金星近傍で発見されたという報告を聞いた時の、登場人物の返事です。
 これを見た時、私は膝を打ちました。そうですよ、なぜか地球に来訪する異星人ときたら、どいつもこいつも公転面の水平方向からやってくるのです(時には惑星直列の時期を選んで!)。
 作品の内容そのものには関連しない台詞ですが、シナリオで高い評価を受ける作品だけあって、ライターのSF力の高さが窺える名台詞だと思っております。

駄弁者:
>どいつもこいつも公転面の水平方向からやってくる
 何かもっともな理由がつけられた作品がないか、あるいは自分で思いつかないかと考えたのですが。宇宙に進出した人類同士の戦いだったらそういう交戦規則ができているとか、実は銀河中心みたいに両極で垂直方向でジェット噴出が起こっているとか…。記憶力・発想力とも減退しているせいか、これぞというものは思いつけずギブアップ。



「えっと、あのひとたち、あたまのなかでゲームやってるんじゃないかなあって」
「………」
「………」
「……なあ、ルーヒー。今、エックス・オス731とやらが配信してるゲームって、何だ?」
…(中略)…
「……銃器を装備して敵兵を撃ち殺すファーストパーソンシューティングよ」

 出典: 逢空万太「這いよれ!ニャル子さん 4」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも何度か投稿された、ラブ(中略)コメディからの名文句です。
 山家さんが「HS3など物の数ではないわ!」を投稿した際にちらっと触れていた欠陥について、詳しく書かれている場面からです。
 エックス・オスについての話がひと段落したところで、一同は現実とゲームの区別がつかなくなった深きもの達に包囲されます。
 その原因に思い当たったハスター・万尋の会話が今回の名文句です。
 原典においてクトゥルーはテレパシーで人類に自分を崇拝するよう洗脳したそうですが、これはまさしくその再現でしょう。
 ……恐るべし、宇宙ゲーム脳。

駄弁者:
 ゲームにハマっていくうちにだんだん顔が魚っぽくなる友人がいたら、彼はインスマスのご出身なのかも…。



由利子「人間を縮小するなんて非人道的だわ!」
受付係「なぁに、人口密度の高い国ならどこでもやっている一種の人口対策です。だってそぉでしょ。全てを1/8に縮小すれば、生活空間は何十倍にもなる訳ですから」

 出典: 金城哲夫脚本・円谷一監督「ウルトラQ 第17話『1/8計画』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 WOWOWでのデジタルリマスター版再放送(画質は既存のDVDと全く同じだが、音質が若干クリアー。冒頭に淳ちゃん、由利ちゃん、一平君の「現在の姿」が見られるというおまけ映像付き)を記念しての投稿。
 上記の文句は、人間縮小計画に紛れ込んでしまった由利子(演・桜井浩子)と計画スタッフ(演・堺佐千夫)とのやりとり。今あらためて見てみると、一つの疑問が湧いてくる。人間とその文明を1/8に縮小するということは、自然環境および生態系が8の3乗倍に巨大化するということで、そっちの方の対策はどうなっているのだろうか? 狸や野良猫なら計画区域の周囲に電気柵でも張っておけば防げるだろうが、上空から飛んで来るカラスや地下を掘り進むモグラなどが現れたら、それこそラルゲユウスやモングラーの出現と同じレベルのパニックになってしまう。
 この計画、実現すれば確実に人々の生活を「毎日がウルトラQ」にするだろう……。

駄弁者:
 安全が確保できる場所でできる限りの対策を施したら、結局サイズが8分の1になっても居住可能な面積はそれほど拡がらなかったとか、ありそうな展開です。
 あ、でもスペースや重量は圧倒的に小さくなるんですから、宇宙コロニーを作ってそこに住むのはずっと楽になりますね(質量保存の法則が生きてればそれもアウトですが)。



銀時「ビビってんじゃねーよ 規制っつったってアレだろ? 障子をチ○ポで突き破るまではアリなんだろ?」
新八「どっから出てきたんだその基準!?」
銀時「考えてみろ 障子を突き破っていいならほぼ何を突き破ってもアリだぞ かえって自由度が広がったわ ありがとうございました政治屋の皆さん」

 出典: 空知英秋「銀魂『第337訓 だいじょぶだ〜〜』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 投稿受付再開記念&アニメ銀魂再開記念で投稿させていただきます。
 大江戸青少年健全育成条例を話題にする新八に対する銀さんのお言葉。
 この後少年誌で問題になりそ―な事件で地獄を見る銀さんでした。
 もっとも例の条例だと小説は対象外だそうですが。
 ちなみに7/4放送のアニメ第215話では、武市先輩が「大江戸青少年健全育成条例改正案反対〜! 」とちゃんと叫んでました。アニメスタッフえらい。

駄弁者:
 江戸町奉行のことを悪く言うと、天罰で津波が来ますよ(笑)。
>障子を突き破っていいならほぼ何を突き破ってもアリだぞ
 「ほぼ」以外のものを突き破ってるあたりが、大義名分になってるんじゃ…(基準元だって破っていたのは障子紙だけじゃないですが)。



「でも、あまり感心できた話じゃないわね。他人の願いを叶えるのなら、なおの事自分の望みをはっきりさせておかないと。美樹さん。あなたは彼に夢を叶えてほしいの?それとも彼の夢をかなえた恩人になりたいの?」

 出典: 新房昭之監督・虚淵玄脚本「魔法少女☆まどかマギカ 第3話『もう何も恐くない』」

紹介 :一会 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させていただきます。いつも楽しく拝見しています。
最初から今はまっているだけで、SF色の薄いものですみません。後半のほうがインパクトが強くてSFな台詞が多いのですが、私が最初に印象的だった台詞です。
「どんな願いでもかなえてあげる」と言われた鹿目まどかと親友の美樹さやか。代償として魔法少女になって命がけの戦いをしなければいけないので、躊躇していたのですが、さやかには事故でヴァイオリニストの夢を断たれた幼馴染がいて…。
 台詞は事情をしった先輩魔法少女のもの。ひどい言い方ですが、自分は事故で死にかけていたところを願いで助かったという子なので重い言葉です。「履きちがえたまま進んで後悔してほしくない」という気持ちはちゃんと届いていたのですが…。この辺りから一気にきな臭くなってきます。

駄弁者:
 最終部分の放映は受付を休止している間でしたが、話を読んだり人から聞いたりした印象から、そのうちご投稿はあるかなと思ってました。思いつつ、作品自体は見ずじまいだったんですが。
 100%利他的な願いというのはどこかで無理が出るから、利己的な要素がないかきちんと自覚しておけということでしょうか(間違ってたらごめんなさい)。



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