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私が知る限り、人間は確かに世界中で一番寂しがり屋で絶望しやすい生物だ。だが絶望したままの人間はいないし、ひょっとしたら幸せですらあったかもしれない。もし、ずっとずっと絶望し続けられる人間がいるとしたら、それはことのほか貪欲で自己中心的な生物だ」
出典: 青木朋作画・長崎尚志原作「真・机上の九龍 search.3『シュレーディンガーの猫』」
コメント:
「真・机上の九龍」より、主人公・机田九の養父で、「特別保護クローン」のラビの台詞。
この台詞でふと連想したのは、中東でテロが多発する背景をめぐるある論争です。ある評論家(名前は度忘れ)が、「絶望が彼ら(パレスチナ人)をテロに駆り立てるのなら、インフラ整備やそれに伴う雇用の創出等で希望を与えてやれば、テロは減ってゆくのではないか」と発言したのに対し、元外交官の評論家・天木直人氏が「そんな事で解消されるほど、彼らの絶望は根の浅いものではない」と反論していました。確かに、インフラや雇用で絶望が解消されるとは思えないけれど、その絶望をエネルギー源としたテロの大義というものがいかに自己中心的なものか―を、大義に心酔してしまった人の耳に届かせるにはどうしたら良いものか、簡単に答えが出せそうにないです。
…ところで、「机上の九龍」の作品世界における「特別保護クローン」とは、人類史上五指に入るといわれる天才科学者、諸繁久―通称「モロ博士」―によって作られた8匹のクローンで、いずれも人語を話し、高い身体能力と、人間を超える知能を持っています。ウサギのラビの他に、狼のフェンリル、アライグマの荒井さん、チンパンジーのモンちゃん、ネズミのジェリー、ゴリラの丈(ジョウ)、カンガルーの跳丸(はねまる)、イルカのチコがいます。ラビは8匹の中の長兄的存在で、荒井さんによれば「正義感の強い熱血タイプ」ですが、作画の青木朋さん(私の大学の後輩)によれば、「腹黒い策を巡らせつつ、可愛い子ぶるのが得意」なんだそうです。
駄弁者:
おっしゃるとおり、絶望がテロの根本原因だというのは正しいとしても、あらゆる絶望がそのままテロ行為に直結するわけではないと思います。物質的な援助だけでも、少なくとも絶望のはけ口をテロに求めるのを抑える効果はあるんじゃないでしょうか。
>通称「モロ博士」
動物の改造でその名前は、前世紀以来の定番ですね。ところでクローンの名前のほうは、狼だけ不公平にカッコよくないですか?(笑)