SF名文句・迷文句第213集

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この女はハンバーガーとフライドポテトを食ったことがない。

 出典: リンダ・ハワード「未来からの恋人」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 SFというよりサスペンス小説からの名文句になりますが。
 この作品のヒロインは、23世紀からやってきたFBI捜査官なのですが、21世紀の郡警察官である主人公に、その正体をあっさりと見破られてしまいます。その発端になるのが、ハンバーガーとフライドポテトをすすめられて食べる際のしぐさでした。なぜなら、彼女の本来いる23世紀の米国には、ハンバーガーとフライドポテトは無かったからです。確かに食べた事のない物を食べる際に警戒するのは当然なのですが、私としては23世紀の米国にハンバーガーとフライドポテトが無いなんて、23世紀の日本に刺身料理が無いようなものでは、とショックを受けてしまいました。それにしても、彼女にしても、思わぬもので無知をさらしだして、正体を暴露してしまったものです。

駄弁者:
 そう言えばスタートレックの映画(…のノヴェライズ)でも、未来から来たカーク提督がピザをうまく食べられないのを見て、20世紀人が相手が現代人でないのを実感する、というくだりがありました。食べ方を見てその人間の素性を判別するというのは、結構上手いやり方かも知れません。
 ただ普通は未来人ではなくて、単に異邦人と思うところなんでしょうが。



「迎エハ、マダカ。迎エハ、マダカ……」

 出典: 市川森一脚本「ウルトラセブン 第37話『盗まれたウルトラアイ』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
或る夜、東京の郊外に未確認飛行物体が飛来。ウルトラ警備隊が調査に出た。それと前後して、現場付近で白いワンピースを着た不思議な少女が目撃される。後日、モロボシ・ダン隊員はその少女を都内で見掛け、少女がテレパシーを使えることを知った。やがて都心部から怪電波が宇宙へ向けて発信されている事実が判明する。ウルトラ警備隊は発信源がディスコのリズムボックスであることを突き止め、アマギ隊員が電波の暗号を解読。その暗号の内容が、上記の文句である。何度も繰り返される短い言葉が、妙にせつない。
電波を発信していたのは例の少女で、名をマヤといい、実はマゼラン星から来た偵察員だった。任務を完了した彼女は迎えの宇宙船を呼んでいた訳だが、この後、彼女は残酷な運命に見舞われる……と、まだ見たことない若いお坊ちゃんお嬢ちゃんの為にこれ以上は書かない。ただ、『ウルトラマン』第23話『故郷は地球』のジャミラに程近い、悲しい運命とだけ申し上げておこう。
尚、「マゼラン星人」や「マヤ」といったネーミングは、劇中では全く聞かれない。後年になって出版された円谷プロ関係の書籍資料より引用・紹介したまでである。

駄弁者:
 味のあるエピソードなのに、タイトルがピントを外していてちょっと残念です。
>この後、彼女は残酷な運命に見舞われる…
 実はラストのダンの言葉はすでにご投稿があるのですが…リンクはあえて張らない方がいいですね。



右利きの男が女と寝ようというときに、女を自分の右側に寝かせるはずがないよ

 出典: 宮部みゆき「レベル7」

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 マンションの一室で目覚めた若い男女には記憶がなかった。一方、「レベル7まで行ったら戻れない」という言葉を残して失踪した少女がいた。二つの事件は交錯し、一つの凶悪事件に向かっていく。
「レベル7」って、SF小説以外のなにものでもないと思うのですが。
 台詞は記憶喪失の男女に協力する三枝の言葉。彼は二人は合意の上同衾した後に記憶を失ったのではなく、何者かの手によってベッドで寝かされていたのだ、と言います。妙に印象に残りました。
 いや、印象に残っただけで、意味は子供だからわかりません。

駄弁者:
 私の場合、タイトルを見て期待したほどにはSF味を感じられなかったので、途中から純然たるミステリとして読んだのですが…。
>女を自分の右側に寝かせるはずがないよ
 合意した行為の後なら、右でも左でも上でも下でもあり得るんj(規制、規制)



「星は物質にすぎない。予測可能な現象で反応する物質にすぎない。すべては物理的な方法に拘束される物質的なものだ。でも自分自身を見てよ、ジョエル・ハモンド。あなたは人だ。ホモサピエンスだ。考え、感情を有する動物だ」
「人間なんて結局は、バケツ四杯の水分と一袋の塩さ」

 出典: ディヴィッド・ウィングローヴ「一寸の灰(チョンクオ風雲録4)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 シティヨーロッパ外部のスラム〈土層〉で発見された天才児、キム・ワード。彼は政府直属の極秘計画に参加するため、パートナーに選ばれたジョエル・ハモンドと共に天文台に赴く。宇宙に畏怖を感じるジョエルに対して、人間の優位を語るキムはしかし、ジョエルに混ぜ返されてしまう。
 ジョエルも決して愚鈍な人物ではないのですが、何も知らない宇宙よりも考える葦の方が価値がある、とは考えられないもよう。私からすると、キムの気宇壮大な考えは、思い上がりと紙一重(だからこそ飛躍が期待できるのも確か)。ジョエルには共感できます。あとバケツには砂鉄とチョークも忘れずに。

駄弁者:
 雰囲気は違いますが、第65集の「星界の紋章」 の名文句を連想しました。
 宇宙の無限の壮大さに感動するか、人間の無限の多様性に感動するか、見る方向のちょっとした違いじゃないかと思ったりもしますが…。



合成食料をまずいと思ったことはない。生物の死骸の氷づけを争って食う奴らの気がしれない。

 出典: とり・みき「冷たい女(冷食捜査官1)」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 汚染された自然な食料が禁止され、合成食料へ移行した未来。昔の味を忘れられない人々は隠された冷凍食品を求めて闇市場を生み出し、そして取り締まる側の冷食捜査官をも生み出した。
 確かに冷食は死骸の氷づけに間違いはないのですが、日頃そんな事はいちいち意識しないものです。ラブやん(172集)のときもそうですが、日常的なことを外部者から指摘されると妙にうろたえてしまいますね。ちなみにこの本1巻となっていますが、最初の短編が発表されたのが91年、本にまとまったのが08年と、とてつもない時間がかかってます。果たして2巻が出る日はくるのでしょうか。

駄弁者:
 昔の味を忘れられない人でも、加工後の食料になれてしまうと、生物のそのままの形が残っていたら口にできなくなってしまうんじゃないでしょうか。高級カマボコは争って食べても、尾頭付きの魚は気味が悪くてダメとか…。



ファイヤーマンにも弱点がある。
地底以外のところでは3分以上ファイヤーマンでいることは出来ないのだ。

 出典: 円谷プロダクション・萬年社製作「ファイヤーマン 第1話『ファイヤーマン誕生』」

紹介 :ロートル 様
HP :

コメント:
 CSで20ウン年ぶりにファイヤーマンを見ることが出来たので投稿しました。
 微妙です、実に微妙かつ致命的な弱点です。
 第1話ラストに海底でピンチになったときのナレーションなのですが、これが地底だったら軽々しくピンチを跳ね除けたのでしょう、しかし海の底なので大ピンチです。
 子供心にはただ漫然と地面の下なら大丈夫なんだなと思ってましたが、大人になって考えると地底人が変身する巨大ヒーローを意識するあまり、随分と無茶な設定付けをしたものだなと頭を抱えました。

駄弁者:
「眼が赤くて大きいウルトラマン」的なデザインは、もうちょっと変えるわけにはいかなかったんでしょうか。
>地底以外のところでは3分以上…
 マグマエネルギーだから、熱もなくて圧力も低い地上では冷えて固まってしまう?(…かなり苦しい)。



「たとえウルトラマンでも、この地球上で暴力をふるう者とは戦わねばならん」

 出典: 金城哲夫&南川竜脚本「ウルトラマン 第18話『遊星から来た兄弟』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
ウルトラマン(実はザラブ星人が変身した偽者)が都内に現れ、街を破壊しているとの通報があった。通報を受けたムラマツ隊長は出動命令を下す。その時、隊員たちに告げた一言が上記の台詞である。
以前の投稿で、科学特捜隊の使命は「自然の猛威から人々を救うこと」なのではないかとコメントしたが、今回のこの台詞からは、科学特捜隊のもう一つの使命を窺い知ることが出来る。
そもそも科学特捜隊は国際刑事警察機構(通称「インターポール」)加盟国の協力によって組織された特殊装備隊という設定になっている。つまり、彼等は特殊にして国際的な警察官なのだ。通常の警察力では処理出来ない怪事件、難事件、超常現象などを調査・解決する為に活動している。当然、高度な技術力や強大な暴力、超能力を駆使して地球上の治安を乱す者に対しても、実力を以て排除する権限を持つ。たとえそれがつい昨日まで人類に味方してくれていた超人であったとしても、である。
いやぁ、さすがムラマツ隊長。躊躇の無い判断。私の中では永遠に「特撮界の理想の上司No.1」なのだった。

駄弁者:
 なんで「目つきが悪い。真っ赤な偽物だ」と分からないんだろうと笑ったり不思議がったりしたものですが、ウルトラマンが本物か偽物かより、その行動が地球の害になるかどうかが問題だったと考えれば…ある程度納得がいくというものです。



亞神も威神もいらぬ…
愛も憎悪も 迷いさえも 人のものだ
神が関与されるべきことではない!

 出典: 水樹和佳子「イティハーサ」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 同じ作品から。「神様」つながりで。漫画版「百億の昼と千億の夜」に、同じような内容の文句があるのは、知っていますが、あえて投稿します。
 先に私が投稿した文句とは矛盾しますが、この作品の中では、人よりも神様たちの方が、(善神、悪神問わず)人を、というより、人間たちの、自分達に対する信仰を求めているような気がします。(一部例外あり。)
 その中でも、特に「その傾向」が強い、威神(悪神)・三堕に対する、青比古(人間の男)の吐いた言葉。
 いやぁー、神に向かって、こんな言葉を吐くとは…。なんつー命知らずな男だろう。しかし、この言葉を思い返すたび、宗教を否定した、かつての社会主義思想を、ヴァチカン(カトリック教会の総本山。カトリック教会そのものをもさす)が疫病のようにきらったのが分かる気がします。当時の聖職者たちは、自分達そのものも否定された、いや、消滅させられるような気がしたんでしょうね。

駄弁者:
 善神/悪神がいる時点でカトリックなどの一神教とは神の概念が違うので、単純な比較はできませんが、それでも明らかに人間を超越した力をもつ存在を前にして、非常に勇気ある言葉に違いありません。
 主人公格二人より、この言葉を発する青比古と彼を追う桂の話のほうが読んでいて気になったものですが…。その点、ラストには安心しました。



その答えを求め続けると気のふれる問いがある
自分は何故ここにいるのか
何処(いずこ)より来たりて 何処(いずこ)へ向かうのか…
実に人は この問いを忘れる為に 人を愛し
この問いから逃れる為に 神を求める

 出典: 水樹和佳子「イティハーサ」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 sfは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 この世には数え切れないほどの「sf」の文字を冠された作品がありますが、その中でも、屈指の「センス・オブ・ワンダー」を感じさせる作品の中から、この作品中最も「センス・オブ・ワンダー」を感じさせる、といっても過言ではない、この作品の冒頭の一句から。いやあ、これ以上の解説は、不要なような気がしますね。この作品のテーマにして、結論です。この文句の後に続く物語は、このテーゼを証明するためのものといっても過言ではないですよ。星雲賞受賞は、だてじゃない、ってとこですか。これだから、このトシになっても、少女漫画を読むのはやめられない。sfを読むのも。。

駄弁者:
 私がこの作品を読んだのは比較的最近で、ハヤカワ文庫で出た7巻本を一気読みでした(最初にいただいたご投稿よりも少し後)。四部作を10年かけて追った方にしてみれば、ちょっともったいない読み方だったかも知れません。
>その答えを求め続けると気のふれる問いがある
 宗教も「どこから来てどこへ行くのか」の答えの一つだと思うのですが、それを「逃れる為」としてしまうのが持ち味だったと思います。…核のところにどこか超然とした冷たさ(ちょっと語弊がありますが)を感じた作品でした。



で、そんな私を時空管理局が調査した結果、私の「存在無謬」の体質が確認されたのよ。つまり、歴史変化の影響を極端に受けにくい体質…もしかしたら、人類創世の時代に戻ってアダムとイヴを殺害したとしても、私だけは生まれてくるかもしれない。

 出典: 厚木隼「僕たちのパラドクス」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 時空SFで「親殺しのパラドクス」というネタがありますが、この作品のヒロイン、ハルナ・キリシマは、上記のセリフどおり、「存在無謬」の体質の持主で、両親以上の先祖が時空犯罪により消滅したにも関わらず、この世に存在していたという人です。その体質と能力を買われ、タイムパトロールに採用されました。
 幾らなんでも、ご都合主義としか思えないのですが、確かにタイムパトロールの隊員になるには、極めて便利な体質だと思います。

駄弁者:
 体質とか能力とかいうはるか以前に、そんなことがあり得るとしたらその人は神様そのものじゃないかと思います。タイムパトロールに便利なんて恐れ多い…。



「地球は救われた。しかしこれからは、火星人と競争することになるから、我々地球人類はこれまでよりも勉強しなければ、大宇宙の指導者の地位を火星人に取られてしまうよ。勉強だ!大勉強だよ!」

 出典: 海野十三「火星兵団」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 日中戦争から太平洋戦争にかけて、当時の軍国少年たちを熱狂させた科学冒険小説……そのラストを飾る蟻田博士の台詞。「とにかく勉強して立派な大人になりなさい」というメッセージだけでなく、当時の日本帝国の国家戦略をも少年たちの脳裏に刷り込ませるような、現在の眼から見ると恐ろしい文句である。「地球人類」を「日本民族」、「火星人」を「米英」、「大宇宙」を「大東亜」に書き換えたら、ホントそのまんまでしょーが。

駄弁者:
 軍国主義うんぬんはともかく、最後が「勉強だ!大勉強だよ!」という叱咤で終わることができるというのは、大人としては、ちょっとうらやましさを感じてしまうかも。…子どもとしては、たまったもんじゃないというところでしょうが。



「本以外にもこれからあなたが見なきゃならないものはこの世界にたくさんあるでしょ!
 だったらしっかりくっきり見なきゃダメ!!」

 出典: 小野寺浩二「超時空眼鏡史メビウスジャンパー」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前「未来(あした)だ!!」を投稿した、萌えと歴史のめがねっ娘ギャグ漫画から。
 タイムマシン・メビウス号のエネルギーチャージのため、15世紀のフランスに立ち寄った南雲一文字博士一行。そこでぶつかった目つきの悪い少女に「ひょっとしてキミ眼が悪いんじゃないのか?」と、彼女に合う眼鏡を見繕います。
 それを文盲だからと断った少女をハリセンでひっぱたいた助手が言ったのが、この名文句。
 ところがこの時代から去ろうとするところでタイムマシンを彼女に目撃されてしまい、天使と誤解される事に。なんと彼女はジャンヌ・ダルクだった! というのを前編のラストに据えて、3話に渡る眼鏡とあまり関係の無いジャンヌ・ダルク編に入ります。
 ……それにしても、本やゲーム等の趣味に没頭する毎日の自分には耳が痛い名文句です。

駄弁者:
 ロジャー・ベーコンをロボ娘萌えの元祖にした後は、めがねっ娘の聖女。この時代に眼鏡ってもう発明されていたんだろうかと考えてしまいましたが、13世紀末にはもう登場していたんですね(…当然、出典作品にもそのエピソードが)。
 しかし、天使がくっきり見えてしまったおかげで後々火刑になってしまうことを思うと、結果論とはいえ罪作りなことだなあ…。



表も裏もない平面、つまり、面のない平面が存在しないという理論的根拠はないというのである。教授の説明によると、勿論そういう平面は想像しえない。しかしマイナス1の平方根だって四次元幾何の過剰空間だって想像不可能である。ある概念が人間の頭で理解できないということは、数学や近代物理学に於いて、何等その概念の正当性や有効性を否定するものではないことは、以前からわかっている。

 出典: マーチン・ガードナー「はみ出た教授」(三浦朱門訳)  『第四次元の小説』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ある日、シカゴで開かれたトポロジー学会に招かれたポーランドのスラペナルスキー教授は、メビウスの輪で知られるメビウスの論文をもとに驚くべき講演を行なう。それは表も裏もない無面的面、スラペナルスキー平面の存在であった。
 確かに、理解できない・想像できないからといってその考えを切り捨てるようなまねは、科学にはあるまじき行為。そもそも人間が簡単に理解・想像できる程、世界は単純ではないでしょう。
 無面的面が無ではないことの説明がない、難癖を付けた相手を(文字通り)たたんで無面的面にしてしまう顛末があっさり語られてしまう(無面的面になった相手を探すために自らも無面的面になって異次元に突入)等色々もったいない短編。作者のガードナーは「奇妙な論理」等で知られるサイエンスライターですが、他の作家に引けを取らない出来です。

駄弁者:
 異次元云々は飛躍としても、「位置だけで面積のない点」「長さだけで幅のない線」の次に「表も裏もない平面」を持ってこられると、ついそういうのもありかと思わされてしまいます。



「俺達は1つの力を5分割して戦っているだけだ!」

 出典: 東映制作「激走戦隊カーレンジャー」

紹介 :エルソドラン 様
HP :

コメント:
 スーパー戦隊シリーズの中でも、コメディ色が濃い「激走戦隊カーレンジャー」からの名(迷?)台詞。
 敵のボーゾック怪人が人質を取ったことを「卑怯」と非難したカーレンジャー。それに対して怪人は「普段1人のボーゾックに5人でかかって来るお前らには言われたくない」と反論します。
 戦隊物でありがちな「ヒーローが数人がかりで怪人をやっつけるのってずるくない?」という視聴者の疑問をストレートにぶつけられたわけですが、それをカーレンジャーは上記のように見事に切り返して見せたのでした。
 「秘密戦隊ゴレンジャー」では「♪5つの力を1つにあわせて」と歌っていましたが、それとはまさに逆の発想。これなら5対1でも卑怯じゃない、気がする。

駄弁者:
 戦隊もの20作目にして、ついに最大のタブーに切り込んだ勇気ある名文句(?)。
 こうして子どもたちは「ものは言いよう」ということを学んでいくのでした…。



あなたは言った。ここは小さな世界だ。〈特別所有地〉に閉じ込められた気がすると。でもそれは間違っている。ほんとうに閉じこめられているのはあっちよ。ここじゃない。わたしたちはその外にいる。自由に。

 出典: ディヴィッド・ウィングローヴ「戦争の技術 (チョンクオ風雲録3)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 シティ・ヨーロッパ政府の高官の息子であり、一般人には夢にも見られない自然に満ちあふれた〈特別所有地〉の住人、ベン・シェパードは、今までの生活に飽き足りず、シティへの移住を計画する。しかし、相談を受けたベンの恋人でもある妹のメグは彼を引き止める。
 自由に自然に触れることができても、政府関係者の他に訪れる人もいない生活は、ベンに限らず幽閉と感じられても不思議はありません。それでもメグにしてみれば、シティ内部に縛りつけられた生活よりも自由なのです。自由とは一体何か?「俺達が今持っていないものさ」(王道の犬/安彦良和)

駄弁者:
 サファリで暮らしている動物が観に来てる人間について考えているところを連想してしまいました。…あるいは単に「隣の芝が青い」だけ?



ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか完成度高けーなオイ

 出典: 空知英秋「銀魂 第百三訓『雪ではしゃぐのは子供だけ』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 よく考えたら銀魂の迷言について語るならこれは外せないかと。
 銀魂のアニメ化が発表され原作がジャンプにおいて巻頭カラーで掲載される中、本編では江戸中が異常気象による大雪に見舞われ、かぶき町では「第一回チキチキかぶき町雪祭り」が開かれていました。場所が場所なだけにいかがわしい雪像が並ぶ中銀さんは雪で二つの雪玉を作り、神楽ちゃんはその間に一本の筒を立てようとしていました。
 …えー、詳しくはさすがに書きたくないのでこの雪像(?)の形についてピンと来なかった人はコミックスの12巻かアニメ版DVDの10巻をご覧ください。
 ちなみに新八はこれを見たとき「アニメ化飛ぶ」と言っていましたが実際には前述の通り普通に放送されたばかりか視聴者から実際に雪で再現してみた写真が投稿されました。

駄弁者:
 SFの名言について語る場合は、外れていて一向にかまわなそうですが。
>ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲
 ちょっと前に腕にアームストロング砲を装備したキャラ出てきたマンガはありましたが(やはりジャンプで)…股間に装備するとこういう名前になるんだろうか。



最後のカトリックは法王だろうが?

 出典: ロジャー・ゼラズニイ「地獄のハイウェイ」(浅倉久志訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ヘルズ・エンジェルズの一員だったことをアイデンティティにしている主人公が、「ヘルズ・エンジェルズなんてもうない」といわれたときのセリフ。孤高の主人公にしびれましたがあまりお近づきにはなりたくないかも。
 ちなみに某帆掛さんのセレクトではこれホラーになってましたが、私は冒険SFだと思ってました。(映画化作品観た後にこれ読んだときの衝撃といったら。まあ、あの映画もメカは好きなんですけど)

駄弁者:
 普通はへこむところを、自分が最後のひとりってことはオレがトップだ!って…。本気か否かはともかく、タフですねえ。
>映画化作品観た後にこれ読んだときの衝撃といったら。
 なんだか映画、評判悪いですね。手元の『SF大百科事典』でも「<世界が燃えつきる日>は原作と似ても似つかない」と一刀両断ですが。



「彼等は永遠に宇宙の放浪者です。我々は、決して彼等の轍を踏んではならない……」

 出典: 丘美丈二郎原作・木村武脚本「地球防衛軍」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 侵略者ミステリアンのドーム要塞は防衛軍が急遽開発した超兵器「マーカライト・ファープ」および「電子砲」で撃破され、わずかに生き残ったミステリアンも空飛ぶ円盤(懐かしい響きだ)で脱出し、宇宙へ逃げる。逃げる円盤を防衛軍の空中戦艦が電子砲で次々と撃墜していく。と、その時、艦に同乗していた安達博士(演・志村喬)が独り言のようにボソリと言う。それが上記の台詞である。この一言で射撃手の手は止まり、指揮官も科学者たちも互いに顔を見合わせて頷く。最終兵器による戦争で母星を失い新天地を求め続けてきた異星人の背中に、地球人類の暗黒の未来を垣間見たのだろう。
 我々だっていつああなるか知れない……いや、ああはなりたくない。人類はそれほど愚かではないと信じたい……劇中人物たちの胸の中に共通して湧く複雑な思いを反映するかのような、寂しい夕陽。打ち上げられる人工衛星。軌道を離れるミステリアンの巨大ステーション……何もかも、ひたすらカッコイイ結末である。若干のペシミズムは感じるが……。

駄弁者:
 映画が作られた1957年では、この言葉は今よりずっと切実に響いたに違いありません(今でも切実なことは変わらないのですが)。50年代は、小説のSFでもホロコースト後を描いた作品が多かったです。ネビル・シュートの名作『渚にて』も、同じ年の作品ですし。



過ぎ去りし近未来

 出典: 今川泰宏監督「真マジンガー衝撃!Z編」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 本編で使われたかは思い出せませんが、CMで毎回言っている名文句を。
 21世紀になってもう8年半も経ったんですよねぇ…

駄弁者:
 光子力エネルギーやジャパニウム鉱石が発見・実用化されていたら…昭和に夢見られていたレトロフユーチャーを満喫できていたでしょうか。
 …技術だけじゃなくて昔描かれていた「未来」は、正義も悪もはっきりしていたものですが。



「科学技術戦闘班の報告によりますと、ミステリアンの放射する熱線は強力なガンマー線を含んでおり、その放射量は毎時10000レントゲン。発生源エネルギーは10の27乗エルグ、つまり関東大震災の破壊力とほぼ同じ量であります」

 出典: 丘美丈二郎原作・木村武脚本「地球防衛軍」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 侵略者ミステリアンに対し、とりあえず戦車、野砲、ジェット戦闘機などの在来兵器で抵抗したものの、強力な熱線により全滅させられてしまった自衛隊。その熱線に関する調査結果が後日の対策会議で報告された訳だが、その報告内容が上記の台詞である。
 私はこの映画が大好きなのだが、大好きだからこそツッコミを入れたくもなるということを解っていただきたい。
 先ずガンマー線の放射量だが、これはガイガーカウンターで残留放射能を測定すれば或る程度は推測出来るとして、問題なのは火器としての威力を「エルグ」という運動量の単位で表している点である。火器の威力を表す場合、命中時の爆発力を運動エネルギーの単位で表すなどということは普通はしない。たとえば野砲や戦車砲なら砲の口径(ミリ)で表され、また、爆撃機で上空から投下する爆弾なら弾頭に詰められた爆薬の重量(キログラムやトン)で表され、それらの単位を以て威力の目安とするのが普通だ。ということは、もしも熱線火器というものが実用化されたら、その威力の目安は電源部の発電量(キロワットやメガワットなど)で表すのが普通なのではないかと……ん? 待てよ。そぉか。この台詞は被害状況の報告だから敢えて命中時の爆発力を運動エネルギーで表したのか。それにだいたい発電量なんて、現物を捕獲しなきゃはっきり解らないことだし……。
 いや、これは失礼。私の方こそ迷言を吐いてしまった。

駄弁者:
 運動エネルギーが元とはいえ熱量にも使われるみたいだから、それはそれでいいのかも知れませんが…。それより関東大震災なみのエネルギーを表すのにそんな小さい単位を使ってていいのか、という方が気になります。



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