SF名文句・迷文句第290集

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「治療を始める前にひとつ確かめておかねばな患者はどこかの健康保険に入っているかな?」
(首を振るサイクロナス)
「では支払いは現金ということになるな、ま預かり金までは貰わなくてよかろう。ただし患者の永久治療を望むのであれば現金では駄目だよ意識ユニットを報酬として貰わないとな」
「それより俺の知りたいのは…」
「ではそこの治療申込書に目を通して貰おうか」
「あぁ分かった見るよ…」
「もし異議が無ければそこのところに拇印を押して貰えるかな。診断申込書がこれで、入院申込書がこれ、これがパーツ交換の許可書で、そして会計書…そこにもな
ではこれがコピーだ」
「あぁ…どうも」

 出典: マーベル・プロダクション、サンボウプロダクション製作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010 『クモの巣惑星』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 トランスフォーマーファンの間である意味伝説的なエピソード
「トランスフォーマー ザ・ムービー」でコンボイとの決闘で瀕死の重傷を負ったメガトロンはユニクロンによって新破壊大帝ガルバトロンとして蘇った。映画ではいつもはお仕置き程度で許してた自分を見捨てたスタースクリームを処刑したのとユニクロンの電波に苦しめられる以外はメガトロン時代とさして変わりが無かったのですが5年後の「2010」では映画のラストでロディマスコンボイに投げ飛ばされ惑星スラルの溶岩の中で長く眠っていたせいか電子回路に異常をきたし情緒不安定で支離滅裂で以前に増して暴力的になった。
 エネルギー確保の為の作戦中にもサイバトロン殲滅を優先して暴走しデストロンにも被害が及ぶ。航空参謀にしてデストロンナンバー2のサイクロナスはガルバトロンの暴走に手を焼き、他のデストロンからはナンバー2としてなんとかしろと言われ中間管理職故の悩みを抱えていた。そしてある日クインテッサ星人の誘いに乗って病院惑星トーキュロンにサイバトロンがいると偽ってガルバトロンを連れていく。奇っ怪な宇宙生物の患者と猿人のような医師に囲まれ、「ワシはどこも悪くない!」と暴れつつも麻痺光線を浴びせられたガルバトロンの診断が始まる
 投稿の台詞は診察の手続きをする医師とサイクロナスの会話。ツッコミどころの多い2010の中でも1,2位を争う珍エピソードです

駄弁者:
 国民皆保険がないアメリカならではのやりとりですねえ…。ひょっとしたらサイバトロンよりデストロンより、この病院惑星と宇宙保険会社のタッグの方が強いのでは。
 しかしガルバトロン、ED曲では「自意識過剰のbreakdown!」と歌われてた覚えがありますが、ほんとに病院に連れ込まれたんですね。
 あと、ロボット生命体に指紋があるらしいことも新発見です(笑)。
<追記> クロスケさんよりご指摘があって、「自意識過剰のbreakdown!」は「ブレイクダウン」という名の別のデストロンのことだそうです。知ったかぶりの早とちりでお恥ずかしい。…けどガルバトロンのことだと解しても、これはこれで意味が通りますよね(負け惜しみ)。



最近の歴史になればなるほど、アライアンス礼賛の傾向が強い。兵士たちの士気が下がっている証拠だ

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 背景は従前の投稿に譲ります。百年に及ぶ冷凍睡眠から目覚めた後、現状を把握するために主人公は自分が冷凍睡眠に入った後の歴史を調べるのですが、それを調べ終えた後の主人公の想いの一節です。
 百年に及ぶ星間戦争に疲弊して、自信を喪失しつつある兵士(国民)を鼓舞するために、歴史書が自国礼賛にはしるのはやむを得ないかもしれませんが、却って一部の兵士(国民)には冷めた目で見られ、全くの逆効果を与えてしまうものではないでしょうか。歴史書において、冷静に客観的な描写を求めるというのは無いものねだりなのは分かってはいますが、それにしても自国礼賛にはしる余り、主人公に兵士(国民)の士気が下がっているのを見透かされてしまう歴史書の描写というのはどうなのだろうと思います。

駄弁者:
>歴史書が自国礼賛にはしるのは…
 歴史鑑賞が趣味の人間としては、歴史書、じゃなくて歴史教科書と言い換えたいところですけど。戦争中じゃなくても、自国がふるわないとそうなってしまう傾向がありますね。



雲なきみ空に、横とう光、
ああ洋々たる、銀河の流れ。
仰ぎて眺むる、万里ばんり)のあなた、
いざさお)させよや、窮理きゅうり)の船に。

 出典: 杉谷代水作詞・コンヴァース作曲「星の)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 今回は少し変わったところから投稿します。もともとこの曲はコンヴァースの作曲した讃美歌312番に杉谷が独自の詞を付けたものなのですが…。なんですか、このスペオペ賛歌は(笑)。戦前に、キャプテンフューチャーかスカイラークが紹介されていたら、主題歌間違いなしの歌ですな。ちなみに投稿した歌詞は、二番で一番は「月なきみ空に、きらめく光、嗚呼ああ)その星影、希望のすがた。人智じんち)はて)なし、無窮むきゅう)おち)に、いざ其の星影、きわめも行かん。」うーん、野田大元帥が御存じだったら、大喜びしただろうなぁ。
 ちなみに歌そのものはこちらで聞けます。

駄弁者:
 讃美歌312番と言われてもピンときませんでしたが、ああ「星の世界」でしたか。「かがやく夜空の/星の光よ」の歌詞は戦後のものだったんですね。こっちの歌詞は初めて知りました。最後のフレーズ「いざ棹させよや、窮理の船に」がいいですね。
>ちなみに歌そのものはこちらに聞けます。
 これに限っては初音ミクより、渋い男声コーラスのほうががよかったなあ。



カフェインといいアルコールといい地球人とはよくもそんな物質を体内に摂取
ぎああっ!

 出典: 伊藤伸平「まりかセヴン『人形使いと牛丼 前編』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 東京中の警察の留置所が食い逃げ犯の逮捕で満杯になっていた頃、愛しの田子ノ浦センパイ――彼は巨人の膝の裏側のカーヴがまりかのそれと全く同じというきわめてフェティッシュな観察結果から巨人がまりかの変身体である事を一目で見抜いた――を混えて牛丼屋で行われるプログラム生命体セヴン(のアバターのようなもの)とその宿主の三條まりかとの話し合い。
 セヴンが自分の体から出ていくようセンパイに頼むまりか、それに対してセヴンが別の原住生物に憑りつき直す際には彼が所属する組織の上部に原住生物の生態を毀損する旨の申請をしなければならないと説明するセンパイと、それは自分の査定にひびくと補足するセヴン。
 あまりにも小役人的な思考と自分を地球での宿代わりに使っている事を全く悪びれないその態度に腹を立てて、注文していた激辛キムチ牛丼をかきこむまりか。
 途端にキムチの――正確にはその成分のカプサイシンの――辛さに悶絶するセヴン。
 「味覚神経に対する自傷行為じゃまいか!!」と抗議するセヴンは投稿の台詞を続けるのですが、それに対して「当分つき合うんだから慣れたほうがいいよ」とセヴンが自分に対して言った言葉を返して食べ続けるまりか。
 セヴンいわく「刺激性の化学物質なぞを喜んで摂取するのは地球人ぐらい」だそうで
無数の都民に寄生して食い逃げを行っていた寄生体カリエスを一網打尽にしようとするセヴンの策――カリエスはテレパシーのようなものでつながった群体生物であるらく、一匹のカリエスが七味唐辛子に耐えかねて宿主を放棄すると東京中のカリエスが一斉に宿主を放棄してきた――に用いられる事になるのですが…確かにセヴンの言うとおり妙な習慣だよなぁ。
 ましてや、自身の体に有害な物質を摂取しあう事がコミュニケーションの最もポピュラーな手段になってるというのは宇宙的に珍しい習慣なのかもしれません。

駄弁者:
 カフェインもアルコールもカプサイシンも大好きです。どうやら私は異星体に憑かれる心配はないもよう。
 しかし、嗜好品はたいてい体に悪いというのは宇宙共通ではないのか…。ちょっとうらやましいぞ、宇宙。



「いかん!恐竜は保護動物だ!」

 出典: 円谷プロ制作「恐竜探険隊ボーンフリー」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 1976年に放送されていた、円谷プロとサンライズのコラボによるSF特撮アニメより。恐竜が暴れまわる場面はミニチュアとモデルアニメーション(円谷プロ担当)、主人公はじめ人間側のドラマはセル画アニメーション(サンライズ担当)で、それらを編集や合成でつなぎ合わせて完成させるという、実に凝った夢の様な作品である。
 1996年(もう既に過去ですが)、地球に急接近したアービー彗星の影響により、大規模で急激な地殻変動が発生。中生代ジュラ紀の環境を保っていた地底の大空洞で細々と生きてきた恐竜たちが、世界各地の地上に出現した。しかし、地上の環境は人類の文明によって汚されており、恐竜たちは環境を破壊した人類に復讐するかの様に凶暴化し、人的被害が出るケースも少なくなかった。「恐竜撃退!」の声があがる中、それでも国際自然保護連盟は恐竜の捕獲と適切な環境での飼育を提唱し、その為の特殊部隊「ボーンフリー隊」を組織する。上記投稿の台詞は、恐竜の被災者または犠牲者遺族が「恐竜を殺せ!」と騒いだり、密猟者が「この恐竜は私のものだ!」と叫んだりした時に必ず言って返す、ボーンフリー隊の隊長北山丈二の決まり文句。毎週言っていた様なイメージだが、実際は四週に一度くらいだと思う。
 密猟者の勝手な叫びは論外としても、当時小学校五年生だった私はこれを見ていて、被災者や犠牲者遺族の言い分はもっともだと思ったものだ。が、主人公らの希少動物保護の精神も、決して否定されるべきではないということも解っていた。そしてなによりいちばんの被害者は恐竜たちなのではないかと思ったりもした。本作品はあまりヒットしなかったが、子供たちに「自然と文明」や「動物と人間」といったテーマを解り易く伝え、考えさせようとした良質な番組だったと思う……てゆぅか、そもそも「恐竜が怒って暴れる様な環境」をなんとかしましょうよって話なんスけどね。

駄弁者:
 番組的には凶暴な大型肉食恐竜が主になるんでしょうが、保護動物というからには草食恐竜や小型の恐竜も対象になっていたんでしょうか。畑を荒らすイグアノドンとか、小学校の鳥小屋を襲うコンプソグナトゥスとか…。



科学に不可能なし

 出典: 柳田理科雄原作・筆吉純一郎漫画「Dr.猫柳田の科学的青春」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
  主人公の猫柳田愛吉がよく口にする言葉。他にも「科学に不可能の3文字は無い」「科学に限界なし」などのバリエーションがある。空想科学大戦シリーズで科学の壁の無情さを説いていた老科学者も、若い頃には科学の万能を信じていたのだ。もっとも空想科学大戦は「空想の出来事が現実に起きたらどうなるか」、科学的青春は「日常の問題を科学でどのように解決できるか」とテーマが違うので一概に比較はできないが。

駄弁者:
 「不可能なし」「限界なし」という言葉が一番科学にもとるんじゃないか…限界をきちんと定めているのが科学の信頼の基礎でしょう?



とつぜん 妖怪獣があばれだしたので 自衛隊出動となるわけである
怪獣なら 退治することができたかも知れないが こんどの相手は 怪獣でなく 怪獣の上に妖という字のついた妖怪獣である 近代兵器でも歯がたたないのである
(近代兵器は 人間を大量に殺すときにのみ その偉大な力を発揮する)

 出典: 水木しげる「ゲゲゲの鬼太郎 『妖怪獣』」

紹介 :猫玉 様
HP :

コメント:
 かつて、私は水木しげる御大のセンスを称えた気がしますが、今回「ゲゲゲの鬼太郎」より、とりあえず怪獣と自衛隊の交戦はSFだと決め付けて送ります。
 台詞というより、ナレーションなので、話者はほかならぬ水木御大であるともいえるでしょう。
 学生時代にこれを読んで目から鱗がボロリと落ちました、別に水晶体が落ちたわけじゃありませんよ。

駄弁者:
 怪獣もあまり退治できたことがないような気もしますが…。
 そういえば、年刊SF傑作選『拡張幻想』に載っていたとり・みきのマンガは、妖怪がロボットを動かしてました。



研究など後からついてくるがよい!!まず我々が――結果から出そう!!

 出典: 島本和彦「超級!機動武闘伝Gガンダム 新宿・東方不敗!」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 Gガンダムの漫画版から。人類が戦争などによって自ら絶滅しないよう、歴史の裏から守り続けていた5人の凄腕武闘家シャッフル同盟。その内の4人がデビルガンダム細胞に取り付かれた後継者を救うために、肉体、マシンの両方からDG細胞に汚染された部分を根こそぎ剥ぎ取っていく。
 しかし、全身をくまなく汚染された彼らにそれをやるのは何も残らないのではないのか?
 今までの研究からもそんな方法は見たことも聞いた事も、ましてや試した事も無い危険な民間療法だ、止めろという言葉に対する返答です。
 まぁ、原作アニメのほうでもなんで後継者達が治ったのかいまいちわかりませんが、「Gガンダムだし」で納得できてしまうのがなんともはや。

駄弁者:
 いや、結果が出そうにないから止めてるんだと思いますが…。
 このシャッフル同盟、下のガッチャマンと気が合いそうです。



「お願いです先生、南部博士の頭に強い電流を流して下さい」
「毒には毒をもって制す、というわけですよ」
「馬鹿なことを言っちゃいけない。そんな素人療法じゃ無理じゃよ」
「だって、この竜は治ったんです」

 出典: タツノコプロダクション制作「科学忍者隊ガッチャマン 34話『魔のオーロラ作戦』」

紹介 :RH 様
HP :

コメント:
 怪電波を浴びせて人間の脳波を動物の脳波にすると、人間がその動物のような行動をし始めるという武器が登場し、これを喰らって猿の脳波にされた南部博士。三日月基地の自爆スイッチを入れようとしてジョーに張り倒されて気絶します。どうやって治療しようかという時の台詞がこれ。普通、この手のSFでは、おかしくなった奴に電気ショックをかけるのは博士の役割です。ところがこの話は博士に電流を流そうとする斬新な展開。医者は冷静に却下しますが、竜が偶然感電して元に戻ったのを見ているので、どうしても電流を流したいらしい科学忍者隊の面々……。マッドなのは博士だけじゃなかったと目から鱗が落ちました(笑)。

駄弁者:
 電気ショックもですが、人間を動物化したりその逆に動物を知性化したりするのもマッドサイエンティストも定番。治った博士やガッチャマンたちが、怪電波を使ってどこぞの島で妙な実験でもやらないか心配です。



死者の国(ハーデース)は<女の国>なのよ

 出典: シェリ・S・テッパー「女の国の門」(増田まもる訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 <女の国>では毎年の夏、成立の由来を忘れないために「イリウムのイピゲネイア」という劇が上演されます。トロイ戦争をトロイ側の視点で描いたこの劇は上記の台詞で締めくくられます。ギリシア側がトロイの老若男女を命乞いにかかわらず皆殺しにしただけでなく、ギリシア側の女性をも辱めたことを伝えるためです(実際は女性を神々への犠牲に捧げたにも関わらす、男たちの思慮を示すために、動物にすり替えたことになっている。彼女の名がイピゲネイア)。
 死者の国であれば、人々は誰かを愛し愛されることもなく、裏切ることもなく、呪うこともなく、殺し殺されることもなく、全ての重荷から解放されるからです。
 男たちの国が、情熱によって世界を破滅させるのに対して、女たちの国は凍り付いた平穏をもたらす。どの道を選んでも、世界に希望がもたらされることはありません。この作品はフェミニズム文学に分類されるようですが、とてもそうとは思えません。そのまま読めば人類絶望宣言、精一杯好意的に捕らえて男女平等を訴えるものとも言えなくもない程度。
 非常に後味の悪い作品でした。私に権限があれば、「若者に絶望を与える」という理由で18禁に指定したいものです。

駄弁者:
 イピゲネイアは女神アルテミスの怒りを鎮めるために生贄になったとありますが…。生贄を求める方も女性だということについては、<女の国>としては何か見解があるんだろうか。
 同じギリシア劇なら、「女の平和」を上演するような国だったら、もうちょっと息苦しくない女権社会になっていたのかなあ。



「周りの子達は15年もの歳月を生きているんだもの、その中で身に付けた価値観や経験には敵わない……。でもそれを補えるだけの力は与えたつもり……。あなたが『赤』が『好き』というのも考えて得た結果でしょ。だからその自分の力で頑張ってほしいな」

 出典: 高木信孝「PUREまりおねーしょん」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、マリオネット少女の学園生活を描いた漫画からの名文句です。
 休日に友人達と一緒に買い物に出かけたあのんは、カーテン選びの中で「可愛い」とはどういう事かがわからず、自分には可愛い物を選ぶセンスが無いようだと考えました。
 そこにやって来た開発スタッフの女性にセンスを良くするアップデートをしてほしいと頼みますが、それはあのんの人格を操作する事になるからと却下されます。
 そしてあのんが学校に行って友達が欲しいと言い出した時の事を話し、生来のデータ・プログラムではなく起動後に得た情報・知識からの判断を尊重している事を伝えます。
 人間の「生来のデータ・プログラム」は人生に影響を及ぼす程のものはあまり存在しませんが、相当する「才能」を後付けで得られるとしてもあくまで自分の力で努力するべきなのでしょうか……。

駄弁者:
 前にご投稿があった「EVE 少女のたまご」と混同してしまってました。絵柄で覚えていれば間違えないんでしょうけど、ここのご投稿だけだと、設定が似通っているもので。
 センスを良くするアップデート、できるもんなら私にもしてほしいものです。身につけた価値観や経験では、ろくなセンスにならなかった…。



岡長官「そりゃ君、杓子定規じゃないのかね!」
左近寺博士「杓子けっこう、定規賛成だ! 人類の運命を担うボルテスに軽はずみは許されん。失礼する。」
岡長官「あ、左近寺君どこへ」
左近寺博士「生理的要求だよ! 断っておくが俺の大きい方は長いぞ。」

 出典: 辻真先脚本・上原一夫演出「超電磁マシーン ボルテスV 第20話『血で書いた数字の謎』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 えー、食事中の方申し訳ありません、その時は飛ばして読んでください(笑)
 ボルテスチームの剛兄弟の父、剛健太郎博士が剛大次郎に残した血で書いた数字の謎を、剛博士の論文にある特殊な電波「低サイクル脈動波」であると気が付いた左近寺博士。これを追跡すれば剛博士の居場所がわかると考えた左近寺博士の命で出動するボルテスチームですが、テスト中のボアザン星の獣士ゾルゲルに遭遇してしまったため、ボアザン星の科学者ド・ズールに脈動波に気づかれてしまいます。
 いったん途切れた脈動波が送信を再開したため、罠である確率が1/2であると出動を許可しない左近寺博士。父を捜しに行きたい剛兄弟は出動させてくれるよう頼みますが、相変わらずの態度に防衛軍の岡長官が見かねてとりなそうとした時のセリフです。左近寺博士が座をはずしたため、出動するボルテスチームですが、基地の外にはそれを眺めながら彼らの幸運を祈る左近寺博士の姿がありました。
 もちろん、出動を認める左近寺博士の粋なはからいだったわけですが、にしてもトイレが長いことを理由にしなくてもねえ。
 ちなみに子供の頃は「生理的要求〜」が印象に残ってたんですが、前半の「杓子けっこう、定規賛成」って言い方も結構ヘン(笑)

駄弁者:
 私が「ボルテスV」見ていた年齢だったら、「杓子定規」も「生理的欲求」も意味が分からなかったかもなあ。「杓子けっこう、定規賛成」は、語呂がいいので耳から覚えてしまう可能性もありますが。
>基地の外にはそれを眺めながら彼らの幸運を祈る左近寺博士の姿が…
 トイレの窓から眺めていたんじゃないですよね(笑)。



カメラが捉えたものをそのままディスプレーに映し出すのは簡単なのだが、それでは宇宙に浮いてる感覚をリアルに感じさせて、パイロットを宇宙酔いのパニックに陥らせるケースがあった。
作られた濃いブルーの宇宙は、パイロットを安心させる。しかもその映像の視野角度は、パイロットが現実に見るのと同じに設定がされているので、この画像の上で照準をすることもできた。

 出典: 富野由悠季「機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 「ベルトーチカ・チルドレン」よりはマイナー(?)な「逆襲のシャア」の小説版より
 360°スクリーンで実視では宇宙の中で孤独に浮遊する感覚を味わうMSのコックピットはゲームじみたCGの画像が好まれた。またMSが急速移動を行った際に静止した星々が高速で移動して見えるのを実視で見るのも別の恐怖があるとのこと
 しかしCGの映像は新兵に戦闘をゲーム感覚にさせる問題もあった。

駄弁者:
 ありましたね、アニメージュ文庫から出てたものでしたか。イラストにかなり違和感があったんで、手を出さなかったなあ(星野之宣デザインだったとは)。「ベルトーチカ・チルドレン」の方は読んだのですが。
>MSのコックピットはゲームじみたCGの画像が好まれた
 かえってゲームの方がリアルに見える画像を使っていたりして…。



司令官「坊や。さっきからあの怪獣を『ギャオス』と呼んでいるが、その名前は…?」
英一「うん。僕が名前をつけたんだ。鳴き声が『ギャオー!』って聴こえるもん」

 出典: 高橋二三脚本・湯浅憲明監督「大怪獣空中戦・ガメラ対ギャオス」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 昭和ガメラシリーズ最大のヒット作、そしてガメラのその後の方向性を決めた作品より投稿。
 危うく新怪獣に食べられそうになった英一少年はガメラに救出され、そのままガメラの背中に乗って送り届けられ、奇跡の生還を果たした。後日、英一君は新怪獣の第一発見者として対策会議に呼ばれ、自身の恐怖体験をちょっと自慢げに語る。上記投稿の台詞は、その時の自衛隊司令官の質問とそれに対する英一君の答え。
 生物学や天文学の世界では発見者(厳密には報告者)に命名権があるので、このやりとりは自然な流れとして受け止められる。が、私個人としては英一君の台詞に若干の違和感を感じる。何故なら、私にはあの怪獣の鳴き声がどうしても「ギャオー!」とは聴こえないからだ。もしも私が英一君と同じ立場で、同じく鳴き声にちなんで命名するとしたら、私は自衛隊のおじさんたちに「ピャグォス」と報告しただろう。この映画を初めて観た時から、私にはギャオスの鳴き声が「ピャッ、グォース!」と聴こえていた。もっとも、『大怪獣空中戦・ガメラ対ピャグォス』では子供が読みづらく、しかも発音しづらいタイトルになってしまい、あまり人気が出ないかも知れないが……。

駄弁者:
 本当に「ギャオー」としか聞こえない鳴き声だったら、それはそれで人気が落ちそうです。



「分からないのです」
「料理の技法は焼く、煮る、蒸すの三つにございます」
「けれどこの男の料理はそのどれにもあてはまらないのです」

 出典: 梶川卓郎(西村ミツル)「信長のシェフ 2」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 現代では当たり前でも、過去では知られていないことは多々あります。人間の生活の基本ともいえる衣食住の1つ、食でもこのことは当てはまるようです。
 気が付けば戦国時代の京都にタイムスリップしていた現代人の主人公が織田信長に料理人として雇われて数々の問題をこなしていく、というのがこの漫画の基本テーマですが、その中で北畠具教に料理を出す作品があります。上記は、主人公の料理を見て驚愕した具教が自分の料理人に、主人公の料理法を尋ねた際の料理人の返答です。
 この時、主人公は、炒めもの、グラタン、握り寿司を具教に出したのですが、この当時、これらの料理法は未知のものでした。現代の私たちには周知の料理ですが、当時の料理人にしてみれば、全く知らない料理でしかも美味極まりない。内心で何とも言えない想いが渦巻いたろう、そして、主君に分からないと答えざるを得ない無念。この後、この料理人はどうしたろう、と思いをいたしてしまいました。

駄弁者:
 …「JIN」の料理人版?
 信長は京風の薄味が嫌いで、田舎風の濃い味付けが好物だったそうですが…フランス料理も、珍しがって好みそうです。
 信長で料理ネタと言えば、アンソロジー『NOVA 8』に掲載された青山智樹「激辛戦国時代」では、カレーが大好物でした。で、辛いのが苦手だったせいで明智光秀が本能寺の変を起こすという…。



ウォーレン「別に冗談じゃないよ。値札なんて見ないし、気にしたことないな」
ワンダ「この車も!」
ウォーレン「車がどうかした?」
ワンダ「わたしが育った地域じゃ、この車の値段で家が買えるわ」
ウォーレン「家を買ってほしいの?」
ワンダ「違う!」

 出典: ジェフ・パーカー脚本・ロジャー・クルーズ画「X-MEN:ファーストクラス明日への架け橋 #7『天使は魔女がお好き』」(高木亮訳)

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 Xメンがファーストファイブ――サイクロップス、アイスマン、ビースト、エンジェル、マーヴルガール――しかいなかった頃の知られざる物語を描いた作品のエンジェル(本名 ウォーレン・ワージントン三世 背中から生えた翼で時速240キロ程の速度で空を飛べる)とスカーレット・ウイッチ(本名 ワンダ・マキシモフ ごく狭い範囲の物理法則を自在に操るヘックスパワーの持ち主)の束の間の恋の話。
 エグゼビア教授の不在をいい事に、人工知能セレブロの授業を無断欠席してはワンダとの逢瀬を仲間にも内緒――ミュータント探知装置でもあるセレブロにハッキング出来るビーストことハンク・マッコイ以外には――で繰り返すウォーレン。
 ワンダと二人での空の散歩を楽しんだ後、街に繰り出そうと着替えを持ってきていない彼女のためにおそろいのコートを差し出すのですが、コートについた1000ドルの値札に仰天する彼女に「高いの?」と聞いてしまいます。
 投稿の台詞は街に車(真っ赤なオープンカー)に乗って向かう際の会話なのですが、ジプシー(原文ママ)の貧しい家庭で育ち質疎な生活を続けてきたワンダに対し、ワージントン財団の御曹司として経済的には何不自由ない(別のエピソードでは父の雇ってる会計士からもっと学費を使うよう催促されたり、遭難したエグゼビア教授救出の際には仲間全員のファーストクラスのチケットを無条件で購入している。)生活を送ってきたウォーレンとの価値観の違いはヒーローと元ヴィラネス(ワンダはかつてXメンの宿敵マグニートの主催するブラザーフッド・オブ・イービル・ミュータンツの一員で、このエピソードの少し後にマーヴル世界最強のスーパーヒーローチーム、アヴェンジャーズに参加する。)という立場や、ミュータント能力の違いや家族間の問題(ワンダの双子の弟ピエトロは姉がエグゼビアのテレパシーでウォーレンに恋するように洗脳されたと勘違いして襲いかかって来た)よりも越え難いものがある事を互いに自覚した二人は円満に交際を解消します。
ワンダ「ごめんなさい。あなたはいい人だけど…」(微笑み)
ウォーレン「友達のままでいましょう"って台詞はなしだ。俺のプライドは崩壊寸前だ」(微笑み)

駄弁者:
 倫理観より超能力よりはるかに越えがたい壁…金銭感覚。
 でも、10年後に後悔するかも知れませんよ、ワンダ。



…でとう
私の声が聞こえるか
帰還おめでとう
我々は…
あなたの帰還を歓迎する…
ジョニー・ライデン!

 出典: Ark Performance「機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還 MATERIAL-A1『MATERIAL-A001VOICE フルアーマー・ガンダムTYPE-B』」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 つい表紙買いしてしまった一冊から。
 自分ジョニー・ライデン好きなんですよ。
 いや詳しくは知らないんですが何故か惹かれるんです。(あと、シン・マツナガも)
 この作品はジョニーそしてキマイラ部隊の謎の話で。
 上記の文句を主人公の一人であるレッドウェイランがシュミュレーター中に聞いたところから始まります。
 ちなみに分かり辛いと思いますが『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還 MATERIAL-A1  MATERIAL- A001VOICEフルアーマー・ガンダム TYPE-B』の『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還』が本のタイトルで、 『MATERIAL-A1』が巻数(ちなみにAの部分が二巻ならBと変わっていく)、『MATERIAL-A001VOICEフルアーマー・ガンダム TYPE-B』話のタイトル、その中の『001』が何話目かということです。

駄弁者:
 前にあったご投稿では「彼に人気があるのは人物像がはっきりしない事によっていくらでも自分を投影できるからではないのか?つまり、はっきりさせてはいかんのではなかろうか?」というご意見もあったのですが。
 帰還は歓迎され続けるでしょうか。



「ありえない」なんて事はありえない

 出典: 荒川弘「鋼の錬金術師」

紹介 :めざせバイオロジィマスター 様
HP :

コメント:
 お初にお目にかかります。
 全ROMに3日かかりました。
というわけで、まだ載っていないところから。
分類はダークファンタジーですが、星雲賞受賞しましたし、なによりSF者ならこのマインドを保つべきではないかと思って投稿した次第です。
 インパクト、汎用性とも十分なセリフだと思いますが、いかがでしょうか。去年はこれを実感した(させられた)一年でしたね……。
<このセリフが発された状況>
 母親を人体錬成しようとして失敗、兄のエドワードにより魂だけ鎧に定着させた状態のアルフォンス・エルリック(アル)。二人は元の体に戻る方策を探して旅を続けていた。
 あるとき立ち寄ったダブリスという街で、アルはグリードと名乗る男の手下に誘拐される。グリードは実は強欲を司るホムンクルス(注1)であり、アルの一見不老、不死身(注2)に思える体の秘密を欲したというのだった。
 このセリフは、ホムンクルスである自分がどんな存在かをアルに見せるために、手下に頭を吹き飛ばさせてから、再生してみせたときにアルが言った「ありえない」にグリードが答えたときのもの。彼の信条でもある。
 お互い相手の非常識さにびっくりするの巻。
……ここまで書いておいてなんだが、何分記憶頼りなもので、状況がこれで良かったのか自信がありません……。
(注1) 作中のホムンクルスは一部を除き、理性と感情を兼ね備えた自律式人型生体ゴーレムのようなものである。七つの大罪の名を冠し、それに基づく行動様式をもつとされる。ただし大罪の内容と常に合致する行動を示すとは限らない。 セリフのシチュエーションで解る通り、高い再生能力を持つが、再生可能な回数がある要素で規定されている。ただし大抵一回や二回ではない。
生殖能力がないかわり、肉体的にはほぼ不老。(個人的には、再生能力の応用と思われる)
グリードは二十代後半の青年の姿で二百年近く生きてきた。ただし原理上永遠に生きられる訳ではない。
また各ホムンクルスはそれぞれ固有の特殊能力を持つ。
(注2)力もそれなり、銃弾程度なら弾く。視聴覚は存在するが、味覚や嗅覚を持たず、涙も流せない体をアル自身は基本的に前向きに受け入れて活用しつつも、影では悲しみ苦悩することも。

駄弁者:
 「鋼の錬金術師」からのご投稿は以前に1度あったのですが、SFには入らないんじゃないかと考えて掲載を見合わせたことがあります。今回は「SF者ならこのマインドを保つべきではないか」とのことなので。
 「ありえない」なんて事はありえないとした上で、いかにすれば「ありえる」かを考えて楽しむのがSFなんじゃないかと思います。



そのひとは誰か、知ってるかい?
これぞチェコの百姓、農民で、
われらを養ってくれる人!

 出典: カレル・チャペック「絶対製造工場」(飯島周訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 いつのまにか新訳が出ておりましたので。あらすじは207集の投稿をご覧下さい。
 炭素原子炉の発する「絶対」の作用によって敬虔な気持ちになったチェコの商人たちは、手持ちの商品をすべて他人に施してしまうと、店を閉めた。何かと交換するという恥ずべき行為に耐えられなくなってしまったからだ。流通が完全に停止した状態の都市住人を飢え死の恐怖から救ったのは、頼りになるチェコの農民たちであったが…。
 なんで、農民たちが都市住人相手に商売をするほど正気を保っていられたかというと、意志が強いからでも何でもなく、農村は炭素原子炉が設置されるほど発展していない、というオチが用意されていました。結構冷たいな、チャペックの旦那。
 蛇足ながら、訳者の飯島氏は、「日本語で『絶対子』という言葉が採用されたのは不適切」とかなりのご立腹。ドイツ語訳では『神様製造工場』という翻訳もあるそうです。

駄弁者:
 商人が店じまいするぐらいなら金融業者なんか、己の罪深さに恐れおののいて自殺するんじゃないか…でも、自殺も大罪か。



「こいつはたぶん、殺人史上でいちばんユニークな凶器だろうね」

 出典: ラリイ・ニーヴン「ホール・マン」(鷲見玲子訳)  SFマガジン1976年9月号に収録 『世界SF大賞傑作選3』にも収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 ノウンスペース シリーズの中には入ってないそうですが
凶器さえなければきっと入っていたような気がしますです。
 こういうネタだとどうしてもお茶漬けを連想してしまいます

駄弁者:
 お茶漬けのところでリンク張ったら、ネタバレになるからやめとこ…。



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