SF名文句・迷文句第289集

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「ゲルハルト。お前の部隊だけ一人も手術を受けておらん。何故だ」
「はっ、ゴリラを倒すために」
「ならば尚の事サイボーグ戦士として生まれ変わらねばならぬはず」
「お言葉ながら、私はゴリラと同じ肉体的条件の中で戦う覚悟です。なぜなら、彼らを超えた完全な条件では彼らの危機感や次にとる行動を読む事ができません…(中略)…戦いは一瞬の判断。ゴリラを倒すには彼らと同じ感覚を持つべきです」

 出典: 国際映画社制作「亜空大作戦スラングル mission49『宿敵!ゴリラvsゲルハルト』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 クライムの秘密警察ヘルメッセンジャーの一員だった男ゲルハルト。クライムを乗っ取ったフォルクレーザーは彼にギャラクポリス特別機動局長官ドク・マンディの暗殺を命令する。ゲルハルトはその命令を遂行し、功績を認められてヘルメッセンジャー長官となった。その後も彼はフォルクレーザーの忠実な部下として度々ゴリラと激突する。
 物語終盤、フォルクレーザーは奇妙な声を聞く。オーバーロードと名乗るその声は、自分は30世紀以上前に現在亜空に住む人類に滅ぼされた亜空の原住民だと語り、フォルクレーザーは自分たちの子孫だと言うのだ。これ以後フォルクレーザーは復讐心で動くようになり、ついには放射線や毒ガスによって全人類を抹殺することを決断する。さしものゲルハルトもそれでは共倒れになると反対したが、フォルクレーザーはクライムの全員をサイボーグにして亜空を永遠にクライムが支配すると宣言した。
 投稿したのはクライムのほとんどの兵がサイボーグになったときのフォルクレーザーとゲルハルトの会話。結局ゲルハルトは手術を受けず、生身のまま戦死した。

駄弁者:
 相手より優れた能力を持つよりもあえて同等の能力にとどめて行動を読む、という発想が面白いです。
 …でも部隊の指揮官クラスだけを生身のままにして、兵士はサイボーグに改造するという選択肢もあったんじゃなかろうか。



「蛇の足」ってねぇ名前の特殊部隊なんだヨォ
「存在しないもの」てな意味のシャレらしいんだけどね?
実際 こんなめんどくせえことは後進にまかせてぱっと消えちまいたいぐらいなんだが立場上 そうもいかねぇっていうか…

 出典: 長谷川裕一「機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 サイド3のかつてのズムシティに住むMSオタクの少年フォントはある日ネットの海でザンスカールの切り札という「天使の輪」のデータを見つける、眉つばもの思いつつもその兵器には「何か」が足りないと感じるフォントのもとに、木星から来た特殊部隊「蛇の足」と名乗る謎の男が接触しそのデータは木星がザンスカールから奪い、厳重なプロテクトをかけ追手から逃げる際にネット上に流したものだと言う。それを裏付けるかのようにザンスカールの操るモビルワーカー「サンドージュ」が襲い来る、そして木星の男はガンダムタイプのMSでそれを迎え撃つがそれは既に存在しない筈の『クロスボーンガンダム』だった。
 様々な人気作品の御多分に漏れず現在でもゲーム等で高い人気のクロスボーンガンダムは「最後の記録」と言われた『鋼鉄の七人』にて完全に破壊されましたが時代を「Vガンダム」の頃に移し帰ってきました。連載1回目にてなんとなくメタっぽい発言が飛び出ますがそれでもちゃんと毎月面白いものを描いてくれるのが長谷川先生です。

駄弁者:
 F91の続編がVの続編にまで延びるとは…。しかし長谷川先生、最近は自作や他作を問わず続編や外伝が多くなってないですか?
>実際 こんなめんどくせえことは後進にまかせて
 …そのグチが「蛇の足」なんじゃないか、という突っ込みを誰かしてあげて下さい。



「しんかい6500」を、NASAのスペースシャトルに乗せるのです。
スペースシャトルはもう引退してしまいましたが、宇宙へ飛ぶ能力を持つ機体はまだ3機残っています。その荷台に「しんかい6500」がすっぽり収まるのです。…(中略)… 「しんかい6500」を宇宙ステーションに持っていき、そこでロケットブースターを取り付けて、その推進力でエウロパまで航行させる。…(中略)…夢のような話ですが、もしかしたら本当に「しんかい6500」をエウロパに飛ばすことができるかもしれません。

 出典: 長沼毅ほか「地球外生命 9の論点」

紹介 :名も無い者 様
HP :
http://namonaiblog.blog.fc2.com/

コメント:
 この前は採用していただきありがとうございます、名も無い者です。
 さて、今回はSF映画やSF小説ではなく、講談社の一般人向け科学解説文庫から投稿させていただきます。
 「エウロパには生命が存在する」と主張する生物学者の長沼毅氏。宇宙飛行士採用試験の最終選考まで残るほどの方です(ちなみに同期は野口聡一氏)。
その氏が、どうやってエウロパの海を探索するのか、その「秘密兵器」として挙げたのが、しんかい6500とスペースシャトルでした。
 ロケットブースターを装備し、宇宙をゆくしんかい6500。『2001年宇宙の旅』を思わせる、ロマンあふれる情景です。これで射○しない男子はイン○テン○です(下品ですみません)。

駄弁者:
 「エウロパには生命が存在する。くりかえす−エウロパには生命が存在する……」の通信を聞くことはできるか?
 出典は論点1、長沼毅「極限生物に見る地球外生命の可能性」。この方は他にも『世界をやりなおしても生命は生まれるか?』や『生命の星・エウロパ』 など、面白そうな著書がありますね。
 エウロパの厚さ数キロの氷を掘削するための装備が考えられていないのが残念ですが…。そうだ、しんかい6500の船首にドリルを付けよう。少なくともロマンは増します(笑)。



「あなたは希望を叶えるんじゃない、あなた自身が希望になるのよ。わたしたち全ての希望に」

 出典: 新房昭之監督・宮本幸裕演出・虚淵玄脚本「魔法少女 まどか☆マギカ 最終話『わたしの、最高の友達』」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 恐らくアニメーションとして昨年最大の話題作であり、ここでも人気があるまどマギ最終話より。
 (以下ネタバレ)キュウべぇに全ての世界過去から未来まで魔女が誕生する前に完全に消し去るという願いをした鹿目まどかの一瞬の幻の中に死んだ巴マミが現れて最後に送ったエールです。

駄弁者:
 コメントの一部がネタばれになるように思いましたので、色を変えておきます。まだ映画も続きがあることですし。
 他人の希望になった人自身が自分も幸せになれるとは限らないというのは、物語の定石ですねぇ…。



マゼラン星のジュークボックスには、実は一つだけ欠けていたアルファベットのキーがある。それは”I”の文字。使命のために献身した同胞の少女マヤを平気で見限ったマゼラン星。たしかにそれは”愛”のない星だったのである。

 出典: ブレインナビ編著「ウルトラ怪獣列伝 ウルトラマン・ウルトラセブン編」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ウルトラマン、ウルトラセブンに登場した怪獣・宇宙人の解説本の、第37話「盗まれたウルトラアイ」のページから。
あ、確かに映像見直してみたらマヤが消滅する際に使ったジュークボックス、Hのキーの次がJのキーだ……。何度となく見てるはずなのに今まで気が付いてなかった。
 シナリオでそう書いてあったのか、現場の判断か、気になりますね。

駄弁者:
 ジュークボックス(リズムボックス)というのが時代ですねえ。でもマゼラン星にネットで連絡していて、キーボードに「I」のキーがない、というのでは風情がないか。



「発明品を利用する場合はふた通りあるわね。一つは大勢の人間をもっとかんたんに殺すのに使う場合と、もう一つは、目はしのきくすばしっこい世間師が、甘い連中をかもにしてかねをしぼるときに使う場合とね。ことによると、エックス線みたいな例外も少しはあるかもしれないわ、でもたくさんじゃないわ。発明品とはね!わたしたち現代人は、天才の創りだしたものをどう処置するかというと、まず第一にそれを打ちくだいて最小公分母にしてしまってから、今度はそれに一番つまらない常分数を掛けるのよ。なんという時代でしょう!それになんという世の中でしょう!後世の人たちが現代のことをどう評価するか、それを考えると、わたし恥ずかしくたまらなくなるわ」

 出典: ジョン・ウィンダム「ポーリーののぞき穴」(大西尹明訳)  『時間の種』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ウェストウィッジの街では、奇妙な事件が起きていた。
 突拍子もない場所から、人体の一部が一瞬のうちに出たり消えたりするのだ。
 原因がさっぱりつかめないまま事件は増加の一途をたどっていき、ついに彼らの全身像が現れた。実は彼らは未来世界の人間で、「ポーリーののぞき穴」という店を通して過去の世界をのぞき見しているのです。女性のいるシャワー室から、ミサ真っ最中の教会にまで現れる彼らに対して、「ぼく」が取った対抗策とは?
 投稿した台詞は、事件の初期のころ、この現象が何者かのテレポーテーションの可能性を「ぼく」が、恋人のサリーに話した時に彼女が嘆いた台詞で、実際に未来世界から来る彼らが自分たちの技術をおもちゃにしていることをふまえるとなかなかに含蓄のある台詞であります。作品自体は、ウィンダムが「火星人ゴーホーム」を書くとこんな風かな、いった感じの作品で、作者自身も風刺的な狂言と言っています。「ぼく」がとった対抗策もシャレたもので、結構気に入っています。興味のある方はぜひ御一読を。

駄弁者:
 去年復刊されてましたね。少し前なら創元の復刊フェアは心待ちにしていたものですが、最近は新刊を消化するのに精いっぱいで…読書ペース落ちたなあ。
>天才の創りだしたものをどう処置するかというと〜
 「打ちくだいて最小公分母にする」というのが、大発明に含まれている複数のアイディアや技術を分解するということなら、それはそれで有意義なことだと思うのですが…。掛ける「常分数」が戦争や大儲けというのが良くないんだなあ。



「どんな選択肢も、可能性はゼロではありません。ですが、何を選択するか、何を決断するかはまた別の話です」 …(中略)… それに異を唱えるのは簡単だが、ただの否定は選択でも決断でも何でもない。

 出典: なめこ印「俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!? 5」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 大銀河連邦所属の星ベラノ。未開の星だったベラノは大銀河連邦に発見(?)されたことから、そこの原住民、人魚族の女王は非情な決断を強いられる羽目になり、連邦所属の大国の1つエスタシオンの保護に入ります。その過去の決断を非難した王女に対する女王の科白と、それを聞いた王女の内心の想いです(それ、というのは女王の決断を指します。)
 背景を書き出すと長くなるので、思い切り端折りました。そのため、わかりにくいかとも思います。思うのですが、トップは選択して決断することを強いられます。それに対して、様々な異見が出るのはよくあることです。でも、異見をいうにしても、単に否定する、というのはダメだと私も思います。なぜなら、上記の文句にもありますが、単に否定する、というのは選択も決断もしていないからです。トップに異見をいうならば、別の選択肢を示して、決断を求めるのが最低ラインではないでしょうか。この小説の一節を読んで、あらためてそんなことを考えてしまいました。

駄弁者:
 主人公が様々なヒロインの「物語」に巻き込まれるというライトノベルより。
>ただの否定は選択でも決断でも何でもない。
 確かに自分が事業を進める立場だと、対立意見が否定のための否定に思えてうんざりする、というのはよーく分かります。ええまったく本当に(やや私怨あり)。
 でも理想としては、否定意見が出たらまず耳を傾けるのがトップというものでしょう。山家さんの考えは、異見を言う側が意識するべきことではありますが同時に、異見を言われるトップ自身が口にするべきことではない、と思います。「否定するだけでなく代案を出せ!」とまくしたてて異見をハナから塞いでしまうのは、器が小さいというものです。



いやー 何ともないから何とも思わなかった

 出典: 伊藤伸平「まりかセヴン 『人形使いと牛丼 後編』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 愛しの田子ノ浦センパイ(眼鏡の知性派イケメンでも変人)と夜道を歩いていた女子高生三條まりかは流れ星に願いをかけます。
 が、その流れ星はみるみるまりか達に向かって落下、願い事に夢中になっていた彼女に直撃!…したはずなのですが何故か無事だったまりか。
 それが東ヤ−20α星雲からやってきたプログラム生命体“セヴン”であり、地球で活動するため通りすがりのまりかと合体した事に――それから一ヶ月程たって怪獣出現が頻発するようになり、巨人へと変身したまりかがそれらを退治後、共生関係になったセヴンに説明されてようやく気づいたまりかと先輩。
「大人物に取り憑いちゃったな こりゃ」説明に対して投稿の台詞を返したまりかに思わずぼやいてしまうセヴン。
 僕だったら一応病院で見てもらって、それでもわからなかったら…やっぱとりあえずしばらく様子を見るな。

駄弁者:
 大人物はいいですがその思考パターン、生活習慣病などには禁物ですから気をつけましょう。舐めて無視してると痛いしっぺ返しを食らいます(実体験)。



死者・行方不明 360万人

 出典: 小松左京原作・橋本忍脚本・森谷司郎監督「日本沈没」(1973年版)

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 小松左京原作の壮大な民族サバイバルSFを単なるパニックスペクタクル(それはそれで面白いんですけど)にしてしまった東宝映画より。
 冬の或る日、関東大震災を遥かに超える規模の直下型地震が東京を襲った。首都機能は麻痺状態となり、敗戦後の復興から高度経済成長を経て繁栄した日本は壊滅的な打撃を受ける。しかしそれは、やがて来る「大いなる異変」の前兆にすぎなかった。倒壊する都心部の高層建築や火の海に呑まれる下町の木造住宅、そして官邸内で頭を抱える山本首相(演・丹波哲郎)のアップなどがオーバーラップする中、佐藤勝作曲による深刻な旋律の音楽が流れ、人的被害を示す字幕が画面いっぱいに大きく浮かび上がる。それが上記投稿の数字である。当時小学校二年生だった私は、父に連れられてこの映画を観た。地震の場面に圧倒されて無言だった観客が上記の字幕を見たとたんに「おぉぉ!」と一斉にどよめいた(一部では悲鳴すらあがっていた)のを、私は今でも鮮明に記憶している。
 現在では一般市民の防災意識も高まり、耐震建築・免震建築も普及している。今、東京にM8クラスの地震が発生したとしても死者数は15000〜18000人程度だと試算されている……が、それは甘いんじゃないかと思う。私の想像では最低でも死者・行方不明10万人、負傷者30万人、帰宅難民50万人くらいにはなるんじゃないかと……。
 それはともかく、この映画、私が生まれて初めて怪獣映画やホラー映画以外で「恐怖」を覚えた作品なのだった。

駄弁者:
 死者・行方不明者だけで比べるなら阪神・淡路大震災で6千人、東日本大震災で1万6千人、関東大震災ですら14万人。360万人というのがいかにとてつもない数字かが分かります。これだけで経済的には沈没必至じゃないかと思えますが…。
>私の想像では最低でも〜
 さすがに死者10万人以上は過大かもしれませんが、それぐらいの危機感はもっておきたいところかと。



「しかし、失敗という点を除けばあの実験が成功だったことは、あなたも認めないわけにはいけませんね」

 出典: フィリップ・ホセ・ファーマー「だれに樹が作れよう?」(浅倉久志訳)  SFマガジン1976年5月号に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 ファーマーのマッドサイエンス物です。
 ちゃんと発電したよ、メルトダウンして水素爆発を起こしたけどね、とか
そんな物騒なことを言っているわけではなくて、
スモッグを綺麗にする蛾を作ったけど 数兆羽の蛾のせいで大変なことに
という穏やかなものです。
 ここで止めておけば良かったのに…。

駄弁者:
 連投お断りが原則ですが、下のご投稿と対なので。それに海外SF小説からのご投稿、最近では貴重ですしね。
 私が子供のころいた地域ではわりとおなじみだった光化学スモッグより、昆虫の大量発生の方が絵的には怖いです。…というか鱗粉でスモッグと同じようになりそう。



「別の言葉で言えば、彼らはただの実験動物だ!モルモットじゃあないですか!」
「全然違います。成功するのですから」

 出典: マリオン・ジマー・ブラッドリイ&ジョン・J・ウェルズ「もう一人のイヴ」(谷口高夫訳)  SFマガジン1976年6月号に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 何の実験かは タイトルからバレてますが、原題もそうなんだから仕方ないですね。
 自信満々の言葉どおり、実験というか、ちょっとした生化学的改造はあっさり成功しますです。

駄弁者:
 M・Z・ブラッドリィの名前は、久しぶりに見ますね…。これは「ダーコーヴァ年代記」じゃないんだ。
>「全然違います。成功するのですから」
 成功しても実験動物は実験動物じゃないかい?



ヒャッハーと叫び、君は勇躍、暗殺へと乗り出した。
「ヒャッハーと叫び」とあるが、これは雰囲気を伝えるためのものなので、叫ばなくてもよいことをプレイヤーに説明すること。

 出典: 鈴吹太郎/F.E.A.R監修・三輪清宗/小太刀右京著「異界戦記カオスフレア Second Chapter サプリメント ダークネスディアマント」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 これは、カオスフレアサプリメント[ダークネスディアマント]に載ってあるシナリオのPCBハンドアウト最後の一文とそれに対する注釈です。
 初めて見ました、公式シナリオのハンドアウトで「ヒャッハー」なんて書かれてるの。
 このPCBはダーカというぶっちゃけ北斗の拳の南斗(雑魚のモヒカンも含む)を再現するためのブランチ(他のTRPGで言うところの職業)を想定しているので、当然と言えば当然の事なんですが。
 まぁ、皆叫ぶだろうなぁ。(自分の場合は叫ぶ)

駄弁者:
 暗殺対象の前に立ったら「汚物は消毒だー!!」と叫ぶこと。



「今は日本のことなんか関係ない
 当面はアリサの問題のほうが重要だ」

 出典: スクウェア製作「FRONT MISSION 3」

紹介 :雑食 様
HP :

コメント:
 行方不明となった妹・アリサを探してオーストラリア、シンガポール、フィリピン、大漢中(現実の中国)と旅をしてきた武村和樹くん
 彼が現地の反政府組織、華連団本部で仲間から日本でのクーデター騒ぎを知らされた際の反応です
 付き合いの長い友人から重度のシスコンと言われても否定はせず
爆発事故が起きた基地の中に妹がいたという理由で、軍人相手にヴァンツァーで暴れ強行突破しようとするなど
そんな彼ならではの発言ですが、同じ場で聞いていた友人の亮五も最初は驚くものの
「ま、大したことにはなってないだろう」と言っているのがなんだか笑えます

駄弁者:
 ラノベ(やゲーム?)においては、「主人公は妹のために一体どこまで尽くすことができるのか? すべてはそこにかかっている」のだそうですが…。
 重度のシスコンとは言いますが、前にあった「シスマゲドン」なんかを考えれば、この程度ならまだ軽度じゃないかと。



スーメイには独特な論理があるのです。生活習慣はいうに及ばず。それは<ハニア連邦>のすみずみまで行き渡っています。自分たちの論理に他人からくちばしを挟まれることほどいやなことはありません。すくなくとも、われわれの価値観ではそうです。 ですから、スーメイ人だけの地上世界がほしい。それも数多く。さらにいうなら、将来的には増えてほしい。もちろん、増えるのは目的ではなく結果ですが。
もしもその願いがかなうなら、スーメイ人による星間国家は必ずしも必要ないのです。

 出典: 森岡浩之「星界の戦旗T 絆のかたち」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 久々に星界シリーズから。
 作中、アーヴによる人類帝国に唯一大使を派遣しつづけているハニア連邦は、スーメイ人による単一民族優位という珍しい星間国家です。
 ところが、スーメイ人は基本的に保守的で、政府の強制選抜でもないと移民などしたがらない人々(ハニア連邦という星間国家も、人口増加にともなう植民の副産物でした)。そして彼らが今なにより優先するのは、スーメイ人がスーメイ人として共同体(国家でなくともいいのがポイント)を運営してゆくことであり、その要求だけを先鋭化すると上述のような「併合論」が出てくることになります。
 もちろん星系単位での自治を許されることが前提ではありますが、ここまで思い切った考え方ができるものか、と読んだ当初はそれだけで衝撃を覚えた記憶があります。

駄弁者:
 いや、本当に久々です。「戦旗」は4巻が最後出てからもう…8年近く経ってますね。
 極端ではありますが、自分たち独特の論理に他人からくちばしを挟まれたくない、というのはどんな共同体にでも(国でも民族でも)あるんじゃないでしょうか。確かアーヴは日本にルーツがあったと思いますが、今の日本人は、アーヴよりもスーメイの考え方に親近感を持つような気がします。
 …アーヴはというと、なんかモンゴルとかの遊牧帝国っぽいイメージがあります。



「だがこれじゃあ基盤も記憶も交換 ボディは改造 ほとんど君じゃなくなるぞ」
「新製品をお買いになって私の記憶をコピーしてお使い下さることもできますが」
「それも君じゃなくなる」
「少しずつ部品は変えて来てますから 今の私は厳密に言えば先生が15年前にお買いになった私ではありません」
「そりゃそうだがいきなりほとんどの部品が変わった訳じゃない 改造するのは淋しくないのか?」
「新しい能力を安価で提供できないのは悔しいですね」

 出典: 清原なつの「お買い物」  『千の王国百の城』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 下のご投稿を見て、別のボディーに交換したロボットを人間や当のロボットは「成長」と感じられるのだろうか?と考えて、この短編マンガを思い出しました。
 とある作家(…らしい風貌)の先生のところにいる女性型お手伝いアンドロイド。彼女は久しぶりに自分のアップグレードをしたいと思ったのだが、旧式すぎてキットが使えない。大規模改造の見積もりをもらって先生に相談するのだが、値段とは別のところで先生は改造を渋る……というシーンの会話です。
 アイデンティティや成長の概念も、人間とアンドロイドでは異なってくるのかも知れません。



「いーか、イブ。お前の体は大きくはなんねーの!」
「エッ……」
「いくら親父の技術でもそれは無理なの!」
「ムリ……。私……、大キクナレナイノ?」
「『体は』な。でも『心』は人間と同じように成長する」
「『心』……!?」
「ああ。いろんな経験をして、失敗をくり返して、人間らしくなっていくって意味だよ」

 出典: やぶうち優「EVE 少女のたまご」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、アンドロイド少女の学園漫画からの名文句です。
 聖夜の成長を語る内藤博士の言葉から、イブは自分も大きくなりたいと思うようになります。
 成長しようと試行錯誤するもことごとく失敗したところに、彼女を迎えに聖夜がやってきました。
 今回の名文句は、帰る途中の2人の会話です。
 ……もっとも、内藤博士はちゃんと大人サイズのボディーも作っていたりするのですが。

駄弁者:
 体だけ成長して心がともなっていない人間もたまにいたりします。心だけでも成長するアンドロイドに幸あれ。



俺は如月弦太朗
この天ノ川学園の生徒全員と友達になる男だ!

 出典: 東映制作「仮面ライダーフォーゼ」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 主人公、如月弦太朗が作中でよく言う言葉。この言葉通り、弦太朗は学校の生徒達と積極的に交流し、友達を増やしている。仮面ライダー部のほとんどのメンバーとも最初は対立していたが、今ではかけがえの無い仲間となった。 全員という言葉に偽りは無く、ゾディアーツになってしまった生徒とも、戦いの後に友達になっている。

駄弁者:
 『げげっなんだこいつは』と思わせた時から恋が始まるとも言いますから、相手にインパクトを与えて印象付けるという点ではいい方法なのかも知れません。実践は他の方にお任せしますが。



「戦う前に人間でいたい」
「いつもは人間だろ」
「人間より、あの恐竜を身近に感じる時がある」

 出典: 会川昇原案・アンドリュー・プラウズ監督・テリー・ラーセン脚本「ウルトラマンG 第2話『凍てついた龍』」(会川昇訳)

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 ウルトラシリーズで特異な立ち居地を誇る、合作作品「ウルトラマンG」からです。
 しかも、吹き替え版ではなく、字幕版のみの台詞です。
 これは、日本側脚本を元にオーストラリアで製作するのですが、その際に内容が変わってしまったりして、会川氏が和訳して字幕やアフレコを行うのですが、どうも字幕版は原典に比較的忠実に翻訳してある反面、吹き替え版は元の案に戻したりしたのか、台詞によっては字幕版と吹き替え版で全然違う場面も生じているのです。
 台詞は恐竜がゴーデスの仕業で復活してしまい、居場所もないまま徘徊し、市街はパニックに陥る。ジャックは地球へ戻ったばかりで、防衛チームUMAに色々進言したり、恐竜と人間の両方を極力救う方向で尽力するものの、どうも釈然としない。  そんな中、一人バイクに乗りながら、自分の中のウルトラマンと会話している場面です。
 比較的ポピュラーな吹き替え版では凡庸なヒーローの悩みのような台詞になっているんですが、こちらの方だとジャックの孤独はウルトラマンになったからというだけではなく、恐竜と人間の双方の良い様に解決する科学者としての立ち居地の孤独もあるのだろうという点でこちらの方が秀逸だと思うのですが。

駄弁者:
 このめい文句に出てくる「人間」は、3つとも微妙に意味が異なっているのが面白いです。
 「戦う前に人間でいたい」というのは、戦わずに共存の道を探ることもできる知恵や倫理をもった「人間」である一方、2つ目のウルトラマンが言う「人間」は生物としての人間、3つ目の身近に感じられない「人間」とは、自分以外の他者としての人間、あるいは人間社会を指しているように思います。



そもそも土地なんかだれのものでもないはずだ。
宇宙に生命が発生するはるか以前に……すでに土地は存在していたのだ。
しかし、われわれは秩序を重んずる。たとえ根拠の薄いものであってもだ。

 出典: 藤子・F・不二雄「3万3千平米」  『藤子・F・不二雄SF全短編 1』などに収録

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 自分の土地を持とうと苦労する中年男、寺主。貯金と退職金の前借りを合わせても郊外にわずかな土地しか買えない…そんなある日開発局用地課から来たという男が訪ね、寺主の所有している3万3千平方メートルの土地を売って欲しいと言う。身に覚えの無い土地を売ることなんて出来ないと断るが男は値段を上げて再度交渉にやってくる、それでも要領を得ない寺主に「ゴネ得狙い!社会のダ二!」と怒りだし、最終的にはこちらが個人の既得権を尊重しているにもかかわらず一片の誠意も認められない寺主に対し土地の強制収用が行われることを宣言し、時価3億円の宝石を置いて去っていった。
 なんのことだか分からないまま広い土地と家を手に入れた寺主だが引っ越しの際に昔の流行りで買った火星の土地の権利書を見つけあの男は火星を開拓する業者の異星人だったのでは…と思う、が充分な土地を家を手に入れた寺主はそれ以上考えるのをやめた。
 …律儀すぎる!地球人だったら絶対お構いなしに開発を進めるのに…そういえば「地球防衛軍」でも火星の土地の権利のジョークを持ちだしてたなぁ

駄弁者:
 この異星人は地球の土地制度の参考資料として、ハインラインの「月を売った男」でも読んでいたのかも知れませんが…。一人の子どもに地球の譲渡を求めたのもいたし(藤子・F・不二雄ではないけど)、宇宙人の遵法意識ってよくわからない。
 ところで火星の土地は、どのあたりが高くなるんでしょう。オリンポス山とかマリネリス渓谷って住宅用地や工業用地にできるんだろうか。



アライアンスの住民にとって、“合法的”とは悪を一掃することなの

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 7」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 悪とは何でしょう。単純なようで難しい問答ではないでしょうか。特撮ヒーロー作品中で「俺が絶対正義でお前は悪だ。分かりやすい話だろう」という台詞を昔、見た覚えがあります。大体、自分に正義があると思って人は行動しますから、それに反対する人は大抵、悪になります。
 この作品中で、主人公は自分は政府の命令に従うことを表明するのですが、その中で「合法的な命令に従う」と言ってしまったために、混乱を招いてしまいます。なぜならアライアンスの多くの住民にとって、現政府は悪の巣窟なのです(現政府は百年戦争を終結させるために白紙和平を結んだので何の利益もアライアンスの住民は得られず多くの犠牲を払っただけになったのです)。従って、主人公は現政府に対して危険人物と周囲から見られてしまうのですが、百年間冬眠していた主人公はすぐに分からず混乱します。上記は、混乱した主人公を見た主人公の妻のセリフです。
 言葉とは難しい、と思うとともに、悪とは何だろう、とも思ってしまいました。合法的だから善と単純に常に割り切れないこともありますので。

駄弁者:
 「<組織された暴力>は決して自ら意志を持ってはならない。」という言葉も…って、これ以前も山家さんのご投稿で引き合いに出しましたね。
 しかし、この言葉によって危険人物と思われるということは、現政府自身が自らを合法的でない(=悪)と認識しているということでしょうか。 あるいは善悪以前に「legal」の意味が異なっている?



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