SF名文句・迷文句第294集

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「シリーズ優勝チームはどこだね?」
「なんですって?」サイモンは聞き返した。「シリーズって、なんの?」
「二四五七年ワールドシリーズじゃよ。」と老人はいった。
「セントルイス・カージナルズかな、それとも東京タイガースかね?」

 出典: キルゴア・トラウト「貝殻の上のヴィーナス」(藤井かよ訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 伝説によって宇宙の百億の星々にあまねくその存在を知られるサイモン・ワグスタッフ。
 彼が、かつてエジプトで休暇を過ごしていたとき、第二のノアの洪水に遭遇し、アララト山に流れ着く。そこで彼は600年前に地球を離れた老人に巡り会う。
 この老人はいわゆるウラシマ効果によって、600年間の地球の状況を知らずに過ごしていた。
 600年後に帰りついて、いきなりの質問がワールドシリーズ。しかもセントルイス対東京。25世紀までには本物のワールドシリーズ(現在のカナダ・アメリカの2カ国ではない)が行われてるとは実に素晴らしい世界ですよ。
 しかし東京タイガースとは。下調べが適当なのか、同じく工業都市である東京を連想したのか。野球ファンとしてはちょっと残念です。
 このシリーズは八百長が発覚してタイガースの不戦勝というオチがついています。

駄弁者:
 キルゴア・トラウトというとカート・ヴォネガットの作品に登場する架空のSF作家なので、これは作中作なのかと思いきや、本当にこの名義で出ている本があります(中の人はフィリップ・ホセ・ファーマー)。
>東京タイガース
 工業都市で東京を連想するかなあ…? 阪神タイガースは知っていたけど「阪神」だとアメリカ人はピンと来ないので、誰でも知ってそうな「東京」をくっつけたのでは。とりあえず、25世紀だろうと35世紀だろうと、タイガースが東京に身売りするなんてあり得ません(笑)。



「まったくです。でもどちらかというと、段々こんな鉄火場に慣れてきた自分自身がちょっと悲しい」

 出典: 大黒尚人「フルメタル・パニック!アナザー4」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 シリアスから選ぶか、コメディから選ぶか、迷いましたが、今回は後者から投稿することにしました(この作品は、中編2本で構成されているのです。)。
 女社長のわがまま家出娘を家に連れ戻すために、テキサスに赴いた主人公一行はそこでトラブルに巻き込まれます。実父の元に家出娘は転がり込んでいたのですが、実父が身を寄せていた牧場は、石油目当ての悪質な地上げ屋の実力行使にあっていたのです。しかし、これは地上げ屋にとって相手が悪かった(実戦経験豊富な民間軍事会社関係者がごろごろいる牧場を襲撃するとは命知らずにも程がある)始末になるのですが、牧場のそういったことを知らない未成年の跡取り息子と主人公は、その最中に上記の会話を交わすことになります。朱に交われば何とやら、と言いますが、本来、鉄火場に縁のなかったはずの人が、それに慣れるというのは何とも自分自身にとって、哀しい話だとあらためて思いました。

駄弁者:
 ラノベの登場人物は、そういう鉄火場に慣れるか、さもなければ鉄火場と認識しないことのほうが多そうです。



フラッシュ「この手はどうだ?僕が巨大な竜巻を作るから、ドームをジョウゴの形に変形させてくれ。宇宙まで届くデカいジョウゴにね」
グリーンランタン「それで?」
フラッシュ「上昇気流を起こして、ウイルスを空気ごと宇宙空間まで吹き飛ばす」
グリーンランタン「それって計算した上で言ってるんだよな。それとも…」
フラッシュ「希望的観測ってヤツさ」
グリーンランタン「だと思ったよ」

 出典: ポール・ディニ脚本・アレックス・ロス画「JLA:リバティ&ジャスティス」(石川裕人訳)

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 コンゴに落ちた隕石からもたらされたウイルスによって意識や呼吸を保ったまま体を動かす事が出来なくなる奇病、バットケイブで開発されたワクチンをフラッシュが届けてくれたおかげで地元の住民達は回復しますが、今度は現地のすぐ近くで大規模な低気圧が発達、気象情報によればハリケーンとなり北米大陸を直撃するコースを進む――大量のウイルスを撒き散らかしながら――という問題が発生します。
 グリーンランタンの張った大規模バリアードームのおかげでウイルスの拡散は抑えられてはいるものの、グリーンランタンのリングの効力が切れるのは時間の問題――この頃のグリーンランタンのリングはエネルギー消費量とは関係なく24時間ごとにランタン型バッテリーでエネルギーをチャージしなければ効果が切れてしまう弱点があり、今回グリーンランタンはアメリカにバッテリーを置いて来てしまった――これに対してフラッシュが提案した作戦(条件さえ整えば光より速く走り、次元の壁すらも越えられるフラッシュにとって、局所的な竜巻を起こすのは十八番。)それに対するグリーンランタンのツッコミが投稿の台詞。
 ちなみにこのフラッシュ(二代目のバリー・アレン)はセントラルシティ警察の鑑識課に所属する科学者で根っからの理系人間(後に現役の三代目フラッシュになる彼の甥のウォーリーも大学で物理学を専攻した経歴がある等、歴代フラッシュは理系人間ばかりです。)でスピードフォース能力に目覚める前は恋人だった頃の妻アイリスに、几帳面なくせに約束の時間に必ず遅れてくると評された学者バカです。
 結局この作戦は見事成功、やはり有事の科学者に一番大事なのはカンなのかなぁ。
 フラッシュ「たまには希望的観測も役に立つね」

駄弁者:
 竜巻で宇宙まで吹き飛ばせるのかとか、本当にそれでウィルスを無害化できるのかとか、よっぽど希望的にならないと。



魔法が使えるから絶望しないんじゃない
絶望しなかったから魔法を手に入れたんだ

 出典: 東映制作「仮面ライダーウィザード 第1話『指輪の魔法使い』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 シリーズ史上初の魔法使いライダー、仮面ライダーウィザード。その第1話から。
 ウィザードの敵はファントム。ゲートと呼称される魔力の高い人間がファントムによる精神的なダメージによって絶望する事で、ゲートの精神世界アンダーワールドに新たなファントムが誕生。最終的にゲートの死と共に現世に出現するのだ。
 警察官の大門凛子は事件現場でファントムとそれに立ち向かう操真晴人(仮面ライダーウィザード)に遭遇する。戦いが終わって変身を解いた晴人を凛子は詰問し、彼が魔法使いである事やファントムの情報を知った。凛子の「あなたは魔法でなんでもできるんだから絶望なんてしないだろう」という皮肉への返答が投稿の台詞。晴人もまたゲートであり、回想シーンでは多くの人からファントムが誕生するという儀式めいた光景の中でファントムを押さえ込む彼の姿が描かれている。

駄弁者:
 史上初なんですか。魔法という言葉が出ないだけで、わりとファンタジー寄りな設定のライダーもあったような気がしますが。
 もうオートバイじゃなくてドラゴンにでも乗るんじゃないかと思ったのですが、乗るんじゃなくてその名をもった形態に変身するんですね…。



我が軍は、四一年前とは違う。海であれ、陸であれ、格段に強力になっている。この『プリンス・オブ・ウェールズ』と『リパルス』がその証だ。本艦は『サンダーチャイルド』ではない。

 出典: 横山信義「宇宙戦争1941」

紹介 : TWR 様
HP :

コメント:
 ウェルズの火星人襲来が現実に起きたこの世界。
 真珠湾が火星人の襲撃を受けたのと同時期に、マレー半島にも火星人は襲来した。
 英海軍東洋艦隊を率いて出撃したサー・トーマス・フィリップス提督は幕僚たちを激励する。
 提督の言葉通り、体当たりしか攻撃方法の無かった『サンダーチャイルド』と異なり、近代的長距離砲撃戦を展開するイギリス艦隊。
 結果、フィリップス提督はかの有名な「No Thank you」の言葉を残すことはありませんでした(悪い意味で)。
 それにしても『ウェールズ』の僚艦が『リパルス』っていうのはなじめませんね。『レパルス』で慣れているもので。まあ、なんでも、いいですけれど。

駄弁者:
 登場した時から「どういうふうに沈むんだろうか」という興味しか持てなかったんですが。
>『リパルス』っていうのはなじめませんね
 はい、私も読んでそう感じました。もとの発音に近いのでしょうけど。



「クリスチャン・ホワイトと《アーリアン・レゲエ・バンド》」
忠実なるラルフィ。死ぬまでファンとは。

 出典: ウィリアム・ギブスン「記憶屋ジョニィ」(黒丸尚訳)  『クローム襲撃』に収録

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 「ニューロマンサー」のモリィが登場するギブスンの短編より。
 重要な機密データをクライアントから受け取り、脳内のメモリに記録して保管することを仕事とする「記憶屋」ジョニィ。ある日彼は仕事で脳内に記録したデータを巡り、依頼者のラルフィと企業さえ牛耳る巨大犯罪結社"ヤクザ"との争いに巻き込まれてしまう。
 用心棒モリィの手で危機を脱したジョニィだったが、セキュリティのかけられた脳内に眠るデータの詳細を知ることはできない。ジョニィ一行は争いの原因であるデータの詳細を知るべく、パスワードを解析する能力を持った人物『ジョーンズ』の元を目指す。
 というわけで、そのパスワードというのがこれ。作中で有名なアーティストと、その曲名のようです。
 現代でもその内容に迷う人が多いパスワードですが、こんな未来にも「好きなアーティストの楽曲名」というポピュラーなパターンが残っているとは。まぁ、安牌といえば安牌ですよね。
 でも、こんな安直な内容ならわざわざ危険を犯してジョーンズのところに行く必要もなかったのでは…?生前のラルフィは安直な内容だからこそ見破られにくいと考えていたのかも?

駄弁者:
>こんな安直な内容ならわざわざ危険を犯して〜
 確かに。『ジョーンズ』の正体を考えると、解析能力を関係なしにラルフィと交友があった人間に総当たりした方が早そうですね。



アムロ「ジュドー君一人かい?えっと、ルー・ルカさんは?」
ジュドー「あーっはっはっはっは。逃げられました…」
アムロ「さよけ」

 出典: 長谷川裕一「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス」  『機動戦士Vガンダム外伝』に収録

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 少し前に投稿された、『機動戦士ガンダムF91』のめい文句に対する、駄弁者さんのコメントに「ジュドー君は彼女と一緒に木星に行きでしたね(その後は知らないけど)」とありましたので、「その後」が描かれた作品から。
 木星圏に存在しているといわれ、“血まみれの巨神”の異名で伝えられる、全高100mを超える巨大モビルスーツ(?)。ニュータイプ能力の覚醒に深い関わりがあるらしい…とも推論されているその“巨神”を発見し破壊するために木星圏へ派遣されたアムロ・レイは、木星圏のコロニーで働くジュドー・アーシタに協力を求める。出会って間もなくにアムロとジュドーが交わしたやりとりが、投稿の会話です。
 この後アムロはそれ以上詮索せずに本題に入ります。ニュータイプの悲劇をいやというほど見てきた(そして、自身も体験してきた)アムロにとって、彼女に逃げられた程度の不幸は、「さよけ」の一言で片づけられる話なのでしょう。

駄弁者:
 …木星まで行っといてフラれたんかい。
>彼女に逃げられた程度の不幸は〜
 それは、他の人たちが悲劇すぎます。「ぼくが撃ってしまいました」とか「ぼくをかばって死にました」とか…。



大人の事情だよ

 出典: 東映制作「ネット版 仮面ライダーオーズ ALLSTARS 21の主役とコアメダル『ガタキリバの憂鬱』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 最近恒例となっているライダー映画公開時に配信される短編動画
 お悩み相談という体のコーナーで、やってきたのは仮面ライダーオーズガタキリバコンボ、本作「OOO」最大の特徴は変身時に使用する3枚のメダルを入れ替えることで様々な能力を使用することが出来ることにあるのですが特に3枚全部同じ系統で揃えることで体力の消耗と引き換えに強力な特殊能力が使えるようになります。緑色の昆虫メダルを揃えたガタキリバコンボは無数に分身出来るようになるのです。
 しかし他のコンボと比べて圧倒的に出番が少ないと嘆くガタキリバ、自分は分身というどう考えても便利な能力を持ち初登場時のサブタイトルで「最強」と謳われしかも昆虫モチーフというライダーとして正統派な自分が何故冷遇されるのかと訴える。
 そして返ってきた答えは分身をするとCG処理代がかかりコストパフォーマンスが悪いからだと言う…最大のウリが元凶であったガタキリバの悩みは深まるばかりでした。

駄弁者:
 劇場版で解消されなければ、あとはノヴェライズかコミカライズに期待するしかありませんね。



「やめてください!、あの時主人は何も分からなかったんです」
「知らなかったら何してもいいのか! みんな!こいつのせいで死ぬんだ!」
「大丈夫だ、誰も死にはしない」

 出典: 米田興弘監督・末谷真澄脚本「モスラ」(1996年版)

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 平成モスラシリーズ第一作目、復活した宇宙怪獣デスギドラが植物のエネルギーを吸収した事で、北海道全域の酸素濃度が薄くなり、その犠牲者や被災者で埋め尽くされた病院で、テレビレポーターが事態を引き起こした当人を見つけて詰め寄り、それを老医師が制するシーンより。
 詰め寄られた当人は森林伐採の現場監督なんですが、見つけた遺跡から勝手にメダルをとってデスギドラ復活の端緒になり、更に操られて爆薬で岩山の中のデスギドラを完全復活させたという…。
 詰め寄るテレビレポーターの言い分はまあ正論ですが、そこで言う事じゃないだろうという事ですね。
 ちなみに老医師を演じるのは寺尾聡氏です。

駄弁者:
 いや、正論なんでしょうか…。感情的にはレポーターの言葉に共感できるけど、予測しようがなかったり責任の持てる状態じゃなかったから彼のせいではない、という方が正論ではないでしょうか(少なくとも、こちら「も」正論だと思う…)。
 そこで言う事じゃないというのは、同感です。
>「大丈夫だ、誰も死にはしない」
 このレポーターはほっといたら「死ななきゃいいってもんじゃないだろう!」と返しそう。



問おう!
それは感情と理性のどちらでもあり
そのどちらでもなく、それは諦めも希望も生むものであり
それは終わることがなければ終わらせることが出来るものでもあり、
それは人の持つ功徳であり、また過ちとも言えるものであり
それは矛盾であり、正論であり
ありとあらゆる全てでありながら、感情と理性を基礎にひとつと言えるもの
それが何だか解るか!?

意志の力だ!

憶えておけ!感情も理性も、思う心の一部にしか過ぎんのだと!

 出典: 川上稔「終わりのクロニクル」

紹介 :一志 様
HP :

コメント:
 お久しぶりです
 終わりのクロニクル最終巻からです
 背景から説明しますと概念創造装置を使い、死人のいない世界を作ろうとする敵、戸田命刻(一つ前の戦いで義妹が死んだ為)
 彼女は感情のままに行動して何が悪いと言い放ち、理性で持って対抗する佐山達を半端者と罵ります。
 それに対する佐山達の答えが上記の台詞 (覚えておけ!の部分で命刻をノックアウトしています)
 要するに「やると決めたらやる!」ってことを仰々しく言っただけなんですけど現在就職活動中の僕は深く納得して、とても勇気づけられたのでした。

駄弁者:
 お久しぶりです。203集以来のご投稿、ありがとうございます。
 ご投稿のセリフについては……言っている意味はおいといて勢いとか気迫というのも大切だ、という感想になってしまいます。
 私は、「意志の力」は行動を司るものではなく、逆に行動した後、調整的についてくるものだという考えにしばしば納得させられてしまいます。けど、ある行動を意志せずとってしまう自分というのを形づくることは、意志の持続である程度できるんじゃないかとも思っています(佐山の行動が理性的なのは、その場その瞬間で「意志の力」が働いたからではないとしても、常に理性的であろうとする態度は、「意志の力」で作られたんじゃないかということですね)。…なんか教条的な文句になって、これはこれで不本意ですが(笑)。



「兄さん……、さっきの話だけど……」
「星獣剣……、返すっていうのか……、俺に……?」
「そうしようかと思ったよ……。今日久々に兄さんの凄さを見て……。でも兄さん……、このまま俺に星獣剣の戦士として戦わせてくれないか! 前の俺ならこんな事考えもしなかった……。でも……、今なら言える!! 俺、戦っていけると思うんだ! 星獣剣の戦士としてバルバンを倒したいんだ!!」
… (中略)…
「成長したな、リョウマ! お前が一言でも返すと言えば、俺は取り上げるつもりだった。お前はもう俺の代わりなんかじゃない。ギンガレッドはお前だよ。ハヤテ達にとってもな」

 出典: 小林靖子脚本「星獣戦隊ギンガマン 第26話『炎の兄弟』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 前回投稿した名文句に登場した、ギンガマンからの名文句です。
 死んだと思われていた兄・ヒュウガとの再会に、リョウマは喜ぶ反面本来彼がなるはずだったギンガレッドが自分である事に思い悩みます。
 そんな中魔人によってリョウマ・ヒュウガ以外の4人が捕らわれの身となりますが、救出を焦るリョウマに対しヒュウガは冷静に敵のアジトを突き止める策を実行に移していました。
 アジト突入の際にも自分をリードしていくヒュウガにリョウマは彼に星獣剣を返そうかと思うのでしたが、それでも自分がギンガレッドとして戦い続ける決意を伝えます。
 前回のゴーカイジャー20話はこのエピソードのオマージュだと思うのですが、鎧同様なりゆき上スーパー戦隊の一員になったリョウマに対してスーパー戦隊としての覚悟を示した言葉だと思います。

駄弁者:
 とくに前のを意識するしないではなく、ヒーローものとして熱くなる展開は共通だということでは?



Eの次はFがあるさ

 出典: ジョナサン・フレイクス監督「スタートレック ファースト・コンタクト」

紹介 :るいすけ 様
HP :

コメント:
 初めまして、2週間ほど仕事の合間に見ていたのですが、せっかくですので投稿させて頂きます。
 セリフは表題映画より、エンタープライズの自爆を決意したピカードのコメント。
 今作の主役は当然(最終的にボーグとの決別を果たす)ピカードなんですが、TNGの一つの主題であるボーグとの戦いを締めくくると言うよりは、歴代のタイム・トラベルもののお祭り感が全面に押し出されていて個人的にはシリーズ内でもかなり好きな映画です。
 地上でのディアナとコクレインのやり取りなども好きなのですが、ここは作中で一番シリアスなシーンから。ピカードはただ自艦を失うだけでなく、クルー全員が未来に帰る手段を失うこと、必然的に誇りある連邦士官としての人生を奪われること、さらに仮にボーグを殲滅できても未来に残る脅威は拭えないなど、まさに苦渋の決断と呼ぶのにふさわしいシーンですが、そこで出てきたこのセリフは前向きに自分を奮い立たせると言うよりは「カークならこう言うだろう」といった若干の諦観と自虐的な意味合いかと思います。ピカードがカークを看取っていなければ出て来なかった言葉だと思うのは言いすぎでしょうか。。。

駄弁者:
 ボーグものとしては「女王」という特殊な存在を出してしまった時点で失敗だと思うのですが、TNGの映画では私もこれが一番楽しめた作品ですね。ご投稿のシーンより少し前、いつも冷静なピカードが激昂するあたりの描写などが好きでした。
 カーク艦長については、彼は自分の指揮する艦に対する執着が強いイメージがあるので、「B」以降のエンタープライズについては複雑な感情をもつんじゃないかと思えます。



制作中、震災や原発事故が起き、一瞬「このお話は古くなってしまったのでは」と思った事もありましたが。冷戦をのりこえて来た「装置」は、いつだって、そこにある。絶望のお守りとして。そんな気がするのです。

 出典: 星新一原作・白井弓子作画「ひとつの装置」あとがき  『コミック星新一 親しげな悪魔』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もう出ない、と思っていたのに。いつの間にか出ていたコミック星新一の最新刊から投稿します。
 台詞は「ひとつの装置」の作画を担当された白井先生のあとがきなのですが…。
 読んだ時、ハッとさせられました。そう、確かに「装置」はあるし、これからも存在し続けるのだと。
 ただ、いつも思うのですが、この「装置」が作動した時に告げるという追悼の言葉。それは本当の意味での追悼なのでしょうか。私には、それが真摯な言葉であればある程、強烈な皮肉なような気がするのですが。

駄弁者:
 古くなるよりむしろ、科学技術が関わる災厄があるたびに思い返されるたぐいの話なんじゃないでしょうか。
 前に『星新一 一〇〇一話をつくった人』からのご投稿で星新一の奥さんの感想がありましたが、読み返した作品にはきっとこれも含まれていたに違いありません。



「僕は思うんだ。物語とは、必ず誰かが不幸になることだとね」
…(中略)…
「みんなが幸せになる物語なんて―この世界には存在しない」

 出典: 望公太「僕はやっぱり気づかない 6」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 読んでいて、あらためて気づきました。確かに、ハッピーエンドで終わった物語は数多くありますが、みんなが幸せになった物語は確かに覚えがありません。主人公やその周囲は幸せになっても、敵やライバルまで幸せになった物語があるでしょうか。必ず誰かは不幸になっています。
 ネタばれになるので背景は大幅に省略しますが、上記の文句は、主人公とその親友との会話の中での親友の科白です。親友は数百年という長い年月を、人類皆を幸せにするという目的を果たすために生きてきました。そして、上記の文句に至るわけです。長い年月を過ごして、あらためてその不可能性に気づいてしまう。目的に倦み、力を誰かにゆだねたくなるのも分かる気がします。なお、言うまでもないでしょうが、親友は人間ではありません。

駄弁者:
 『幼年期の終わり』や『生物都市』みたいに人類みんなが一体化して幸せになれるとしても、一体化自体が不幸という人がいますしねえ…。
>みんなが幸せになった物語は確かに覚えがありません。
 みんなが等しく幸福(少しでも差があればそれを不幸に感じる可能性があります)というのは例えばエントロピーが最大というのと同じで、そうなった時点ですべての物語が死に絶えるんじゃないでしょうか。でもそんな状態だと私は不幸です(笑)



いつもここは宇宙から何か届いてないか21p線って電波を調べてるんだけど…
ちょっとアイデアがあって この変換プログラムを通せば…
今までノイズだと思ってたところに何かみつかるかも…!

 出典: 竹内良輔原作・ミヨカワ将漫画「ST&RS」(第5巻描き下ろし)

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 8.9PM9:51(UTC2019.8.10AM2:51)アメリカ西バージニア天文台、祖父の誕生日祝いを口実に同施設に潜り込む事に成功したティティー(14歳)とフィフィー(10歳)のコリンズ姉妹。
 寝ている祖父のIDカードを無断借用し、あらかじめスタッフがいなくなる時間帯をチェックしてコントロールルームに侵入した後、フィフィーは投稿の台詞を言いながら作業を開始、妹の天才ぶりにあらためて感心するティティー(フィフィーは10歳で大学課程を修了している)。
 そして予想した通り知的生命体からのものと思われる通信をキャッチ、受信した際に発生した警報で起こされたスタッフに怒られながらも外宇宙の知的生命体の存在を見事証明して見せた二人。
 2019年9月1日NY国際連合前、姉や足の悪い祖父に代わってフィフィーが発表した
 『2035年7月7日 私達と火星で会いましょう』という知的生命体からのメッセージは世界中を熱狂させ、国際連合宇宙局はST&RS(Space agency Transcendent and Revolutionary technology of Spaceman)へと改名・改変され、約束の日に人類を火星に送るという目標の元、あらゆる利害を越えた宇宙開発計画が開始されたのです。
 ps アームストロング船長の冥福をお祈りします。

駄弁者:
>今までノイズだと思ってたところに何かみつかるかも…!
 私が昔読んだSFでは、最初に異星人からのメッセージを読み解いたアマチュア研究者が、その後は専門家にお株を奪われてしまい、焦りと嫉妬のあげくトンデモ化し、本当にただのノイズから無理やりメッセージを「読み解く」ようになってしまう…というものがありました。
 この作品の彼女たちは決してそんな陥穽にははまらないでしょうが、過去の成功体験に縛られてしまうというのは、実際多そうです。
 ps 船長の追悼にならない時期の掲載ですみません。



飛んで火に入る夏の俺!

 出典: 東映制作「特命戦隊ゴーバスターズ  第25話『アバターの謎を追え!』」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 今回は現在放送中の戦隊より一言。
 敵の首領メサイアが新たに創りだした女幹部・エスケイプはメタウイルス「怖がらせる」をロウソクにインストールしてメタロイド(怪人)・ロウソクロイドを生み出す。ロウソクロイドは頭上に点った炎を人間に見せることでその人間を悪夢へと引きずり込む能力を持っており、エスケイプはロウソクロイドで人々を苦しめ、メサイアを満足させようとしていた。
 メタロイド出現の報を聞き出動するゴーバスターズの3人。しかしロウソクロイドの能力により3人は悪夢へと引きずり込まれ眠ってしまう。ロウソクロイドはゴーバスターズの新戦士、ビートバスターとスタッグバスターも悪夢に引きずり込もうとするが、スタッグバスターであるビート・J・スタッグはバディロイド(ロボット)であり、能力が通じない。ビートバスター・陣マサトはこのことを利用し、Jを盾として能力を防いで反撃。ロウソクロイドを退却させることに成功する。
 今回の発言者はその盾にされたJ。このJというのが目立ちたがりなキャラクターで(芸人のオードリー・春日みたいな感じです)、目立とうとしてはちょっとずれたキザな台詞で決めようとします。
 これもそのずれた台詞の一つで、マサトに盾になって突撃することを指示された時の台詞。いや、間違ってませんけど…「ロウソク」ロイドに突っ込んでいくわけだし、Jのモチーフはカブトムシ・クワガタムシなので虫だし、放映時期も夏だし…。
 この一言がツボにはまってしまい、Jへの好感度がグッと上がりました。

駄弁者:
 放映も終盤でしょうが…とりあえず「現在放映中」に間に合いました。「ジャー」じゃないスーパー戦隊はだいぶ久しぶりだったのでは。
 キャラが春日というのは人でもロボでも、だいぶ鬱陶しそう。私はあまり好きな芸風じゃないので、夢に出られたらそれこそ悪夢に近いです。



前のと同じ日常じゃない
でも私は今度の日常もけっこー好きだよ

 出典: わかつきめぐみ「So What?」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ある日突然、ライムが消えた。
 そして、唐突に帰ってきた。
 戻ってきたかに見えた日常、だがそれは以前と同じ日常ではないことを痛感する阿梨。
 そう、ライムはいつか自分のもとから消える。それが、彼女が本来いた世界に帰ることであるとしても。そして、今の生活が終わり、今の居場所がなくなることであるとしても。それでも、彼女はその「いつか」に向けて歩き始めることを決意する。
 その「いつか」が来ることを、実に彼女らしく覚悟したエピソードのラストのセリフ。
 私にとっての本作の最高のシーンは、40集にあるラストのセリフよりむしろこちらなんです。
 年の始まりということで、新年最初の投稿はこれにしました。とはいうものの、今年もあまり変わらない日常になりそうな気も既にしてたり(冷汗)

駄弁者:
 こちらも新年対応にて。
>今年もあまり変わらない日常になりそうな気も既にしてたり
 私もそんな感じなんですが、見た目変わりがない日常でも、気の持ちようで新たな一歩になり得るってことで、まあお互い頑張りましょう。



いずれこういう偉大な発明が実現されるときがくる。
読者の皆さん、その日がくるのを待とうではないか!

 出典: ワジム・シェフネル「内気な天才」(深見弾訳)  『異邦からの眺め』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 レニングラード生まれの天才セルゲイ・クラーデセフは、内気で学位も後ろ盾もないため、世間に注目されることもなく、ひたすら発明を繰り返していた。
 水上スケート、未来の撮れるカメラ、反重力装置<反効器>、けんか仲裁機、若返り光線放射器<環可元(わかもと)>等々。環可元は一回で壊れてしまいとても強力とは言えない代物。
 この作品、大人向けのキテレツ大百科という感じですが、新年にふさわしくおめでたい作品を探したらこんなショボイのしかなかったのです。私のコレクションには悲惨な物が多いというのは、精神的にまずいのかも。
 それにしても編者のロッテンシュタイナー(レムの代理人を務める)は、なんでこんなしょーもない作品を収録したんだか。

駄弁者:
 だいぶ順番飛ばしですが、新年向けにということなので、今年(2013年)最初の更新で掲載させていただきます。
 新年向けのSFが他にないかと本棚を眺めてみたんですが、私のコレクションからもこれといったものが見つかりません。
 日の出が重要ポイントになっているSFなら、ニーヴンの「無常の月」とかがありますが…って、あれ日が出たらおしまいやん。



触手は敵!!
 触手は敵!!
  触手は敵ィィ!!!
『触手は戦う女のコ 共通の敵らしい』

 出典: かつまたかずき「たたかうおんなのこたち」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
またもや誰も知らないような変わったとこから。
この漫画は戦う女の子だったら何でもいいらしく、巫女・魔法少女・宇宙刑事・シスター・魔王・竜姫とカオスなごった煮ギャグ。
 上記の台詞は各々が自分の世界観を守るべく担当分けしてたんですが、
 触手が出てきた際の対応です。
 全員で一斉攻撃されます。
 ごった煮だからSF分も混ざってるしいいですよね。

駄弁者:
 まあ触手が美女の敵であること自体、SFが発祥といえなくはない…。



涙を流せぬ瞳などガラクタ同然じゃて……

 出典: 八針来夏「覇道鋼鉄テッカイオー 2」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 ネット小説界隈から紙媒体へ進出を果たした若手作家のひとり、八針先生の作品から。
 宇宙への雄飛の時代にあって、“内力”と呼ばれる力を利用することで物理科学を無視することができる能力者。彼らは「武侠」と呼ばれ、力の使い方によって銀河武侠あるいは暗黒武侠と言い習わされていました。  その暗黒武侠でもトップクラスの実力を誇る、左目に義眼を収めた巨魁ガーナラクが、前巻で主人公たちによって死んだ後輩グントラムを想い呟いた言葉です。
 このシリーズ、別に暗黒武侠が血も涙もない連中ばかりでもなく、また銀河武侠も指導者みずから非人道的な所業に手を染めかけるなど良くも悪くもキャラが人間らしい物語。ついでに言えば宇宙ロボット物に武侠をぶちこんだ意欲作、ぜひ完結してほしいものです。

駄弁者:
 武侠小説、一時期金庸とかだいぶ翻訳されていたのに最近はみないですね。
>宇宙ロボット物に武侠
 サイバーパンクに武侠をぶちこんだのだったら、昔ゲームであったと思いますが(18禁だけど)。



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