SF名文句・迷文句第301集

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「なら――一言だけ」
榊はキーラーに向いて顔を上げた。すーっと息をすう。
「勝手にやってろ、この大馬鹿野郎!」

 出典: 笹本祐一「妖精作戦 PART IV ラスト・レター」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 超国家組織・SCFに拉致されたノブを追って厚木からSCFの宇宙要塞までたどり着いた榊、沖田、つばさ、真田。そんな彼らに、SCFのキーラー博士はなぜSCFが戦うのかを明かす。それを聞いた榊のセリフ。
妖精作戦復刊完結記念で投稿させていただきます。ほんとはラストの一節を投稿したかったんですが、それはさすがにネタバレなので。
 ノブを苦しめた存在が実は自分の宇宙への夢を――しかし最悪な形で――実現していたことを知った榊の(そしておそらく現実の宇宙開発への作者の)叫びでした。
 高千穂遥さんのクラッシャージョウやソノラマ文庫の冨野アニメのノベライズから菊地秀行さんや夢枕獏さんの奔放な想像力とディティールへの執着を経て、それに「宇宙塵」系の人々が書いていた主人公たちを、その当時の読者が感情移入でき、しかもそれを超える憧れが抱ける主人公像に作り替えた(なにせバイクを乗り回し酒もたばこもやってるわ、沖田なんか女の子に当然のようにキスできるわ)点で、やはりこの作品は革命的なものだったと思います。これを単に「等身大」の主人公と言ってしまうと、その凄さがなかなか分かりにくいと思うのです。

駄弁者:
 私も笹本祐一作品のすごさというのは、きっと分かってないのだろうと思います。
 クラッシャージョウやアニメのノヴェライズは読んだものの、その後はアシモフなどの海外SFに行ってしまい笹本祐一や彼に連なる作品は読んでこなかったんですね。…今で言えば中二的な気取りがあったのかも(SF読んでる時点で大して変わらなかったんだろうになあ)。



お前もっ!
お前もっ!
お前もっ!
俺の為に死ねっ!

 出典: 高橋良輔原作・監督「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 第3話『分隊』予告篇」

紹介 :人外魔境地底獣国 様
HP :

コメント:
 調子に乗ってボトムズ予告編からの投稿を続けます。百年戦争末期、ある目的のために集められた兵士5名からなる分隊の過酷な戦いを描く本作、例によってどの予告も秀逸なのですが最もインパクトの強いのがこれ。
 最初に建前(言うなれば運命共同体、 互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う、だからこそ戦場で生きられる)から入り、これを「嘘を言うな」と「猜疑に歪んだ昏い瞳がせせら嗤」って、この決め台詞につながります。実に清々しい位に身も蓋もない台詞で、気が付いたら何度もリピートして聞いていたりします。ちなみにこれよりインパクトは劣りますがもう少し汎用性のあるもので「あいつもこいつも俺の盾になればいい」という台詞が第7話の予告にあります。

駄弁者:
 盾になってもらえるのは1回きりだから、ギリギリのところまでは生きていてもらった方がお互いのため、と考えれば「運命共同体」も「俺の為に死ね」も、どっちかが嘘というより表裏一体の関係にあるのでは。



ちがうよ 好みじゃないんだ
人間とイモムシはオレの意識においては同義語なんだ ―ゲテモノだよ
もしかりに巨大なミミズをしとめてだね これを食えば飢えから救われる――
ウエー オレヤダヤダ ゲテモン オレそんなの食ったらゲリしちゃう

 出典: 萩尾望都「スペース・ストリート その7・生きるべきか否か」  『11人いる!』に収録

紹介 :了次郎 様
HP :

コメント:
 かの「11人いる!」のおまけ漫画より。
 非常時に人肉を食べて生き延びることへの是非についての議論で、フロルがぶちかました「食わない理由」がこれ。
 このあと真面目だったはずの議論はどんどんゲテモノ話に脱線していき、タダたちは頭を抱えるのです。
 思想的・宗教的な話をすべてぶっちぎって「食ったらゲリ」で結論を出すフロルどこまで大物なんだよ、と思いつつも世の中はこのくらい単純に考えたほうがおさまりがいいのかもしれませんね。

駄弁者:
 それを食わなければフィアンセのタダが飢え死にするとなれば、フロルは巨大ミミズでも人肉でも、無理やりにでも食べさせようとするんでしょうが。
…それでも自分自身は「好みじゃない」と食べない可能性がありますね。



「食べるということは生きるということです
 俺は料理人で… 微弱ながらそれをお手伝いするもの
 たとえ今がどんな時代であろうとも相手がだれであろうともこれだけは曲げられない!」

 出典: 梶川卓郎「信長のシェフ」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 金ヶ崎の退き口において、京都へ主人公は信長と2人で退却することになります。その途中、農家で一泊するのですが、その農家の幼子が栄養失調からか食事がとれなくなっているのを知り、主人公はリゾットを調理して食べさせます。翌朝、信長からなぜ幼子を助けようとしたのか、尋ねられた主人公の返答です。
 人それぞれだとは思いますが、その人の心の中に、どうしても曲げられないもの、または譲れないものというのが大抵あると思います。シェフである主人公の心の中で、どうしても曲げられないものを簡潔にまとめた名文句だと思います。

駄弁者:
 わざわざリゾットを作ってみせるあたり、生きるのを助ける以外にもこだわりがあったんじゃないかという気がするのですが…。



なつき「これでもマメにチェック・リスト作って集計した結果にもとづいてモノいってんだからね あたしは」
哲郎「う〜む」(そういやSF研の頃から怪獣マニアだったからなコイツは…)

 出典: 高屋良樹「強殖装甲ガイバー」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 クロノスの盟主アルカンフェルとの戦いにダブルガイバーが敗れ、クロノスによって地球が征服されてから一年、都内に潜伏してガイバー達の帰還を待ち続ける哲郎達に差し入れを持ってきた元クラスメイトの多賀なつき。
 途中で若い男にナンパされた彼女はその男は獣化兵(ゾアノイド)グレゴールだと断言、驚く哲郎に「体格とか顔つきとか…なんてゆーかフンイキがね やっぱ共通したトコがあるよ同じタイプの獣化兵は…」と説明します(クロノス統治下のこの世界で獣化兵へ調整される事は強制されない代わりに運転免許や携帯電話同様就職に有利になったり女性にモテる等社会的に優遇される)。
 あきれ半分しらけ半分の反応を返す哲郎に対するなつきの言葉とそれに対する哲郎の反応が投稿の台詞。
 特撮原体験は『ウルトラマン80』で暇な時間に『スペクトルマン』を観賞する美人女子高生(以上は小説版の設定)だった彼女、生体兵器として人類を生み出した降臨者(この世界では地球の生命誕生および進化の歴史そのものが彼らによる兵器開発の歴史なのです)やその技術を解析して数百年がかりで地球を征服したクロノスの誇る遺伝子工学技術の成果をわずか一年足らずで体系化されたデータとしてみせるとは…いつの世も侮れないのは在野のマニアという事でしょうか。

駄弁者:
 チェックリストやデータの体系化などは怪獣マニア由来のものですが、実地で「フンイキ」を読み取るあたりは……女のカン?



力士にできることは
前に出ることだけっス

 出典: 西野マルタ「五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 技の3『爆裂テクノロジー!!』」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 冷静に考えて前回の投稿で話が全く分からなかったと思うのでまずはあらすじを、
 2XXX年アメリカでは”相撲”が国技となっていた!技の横綱と称えられた五大湖は謎の奇病で引退に追い込まれたがロボット科学者に改造され機械の体で土俵に戻ってきた。だがそれはもはや力士ではなく土俵で殺戮を続けるマシーンだった。理事長は相撲を守り、五大湖を斃すため”角界の守護神”伝説の横綱を蘇らせる……  今回投稿の台詞は蘇った伝説の横綱に理事長が「五大湖を横綱の手で力士として…」と頼んだことに対する返事です。
 読み終わるとこの台詞がとてつもなくかっこよく感じます。

駄弁者:
 話は分からなくてもあれはあれで独特の味があるというか…。
>力士にできることは〜
 相撲に限らず、最近私たちはスポーツ選手に競技に関する以外のものを求めすぎてはいないか、とふと思いました。



科学の怪人、その名はナゾー

 出典: 第一動画作詞・宇野正寛作曲・ボーカル・ショップ歌・島宇志夫セリフ「ナゾーの歌」  『黄金バット』(アニメ版)イメージソング

紹介 :名も無い物 様
HP :

コメント:
 どうも、名も無い物です。 今回は、1967年4月1日から1968年3月23日に放映され、その後ニコニコ動画で2011年4月25日から2012年9月28日まで再放送された人気を博したTVアニメ『黄金バット』より、その悪役のキャラクターソング(?)からの投稿です。
 「科学の怪人」!実にいい響きですねぇ。今日日は仮面ライダーが指輪の魔法使いになるような時代ですが、この歌詞は60年代、大伴昌司や小松崎茂の描いた科学万能時代の夢を思わせる名歌詞です。

駄弁者:
「どこ、どこ、どーこからくーるのか 黄金バット コウモリだけが知っている(フハハハハ…)」
の主題歌はよく覚えています。
>科学万能時代の夢を思わせる
 でも悪役側ですよ? 主人公はあまり科学の力は使っていなかったような…。



「バカッ!いざって時にこれ着て、たるみとかあったらさ、死ぬよ」

 出典: 山下敦弘監督・脚本「エアーズロック 第2話『カツラの男』」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 ガイナックス初の実写作品として…あまり話題にならなかった、感覚戦士ゴカンファイブ…ではなくエアーズロックより。
 感覚戦士ゴカンファイブは、過去の戦いでピンクを亡くし、戦いも殆どなくなり、現在はブルーが経営するショットバーでレッド赤井が店主になり、ごく普通の日々を送っていた。そんな中、バイトのウェイトレスとして来た女子高生の桃花が二代目ゴカンピーチに任命されてしまう。そんな桃花がゴカンピンクのスーツをロクに着ないでいた件に対して、赤井が呈した苦言です。いや…スーツのたるみで死ぬの?ってのもあるんですが。

駄弁者:
 初の実写は『愛国戦隊大日本』なのでは(笑)
>たるみとかあったらさ、死ぬよ
 逆にしばらく着ないうちに入らなくなっていたら、別の意味で死ねます。



ケイジ「…被害者数は?」
バレンティナ「少尉?」
ケイジ「何万人いたんですか…?その街には…」
バレンティナ「………」
マリュー「二つの都市を合わせると、少なくとも百五十万人を超えるわ…。プラントの部隊が生存者の救援活動を行ってるようだけど、最低でも半数の命は…」
ケイジ「くっ…!」
忍「おい、落ち着け、ケイジ…」
ケイジ「落ち着けって…!無理ですよ!こんな時に!先輩こそ分かってるんですか!?どれだけの命が失われたのか!どれだけの人々が泣く事になるのか!どれだけの…未来が…消えたのか…!」

 出典: バンプレスト製作「スーパーロボット大戦Scramble Commander 2nd」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 物語の5年前、擬態獣と呼ばれる怪物が出現した。擬態獣に既存の兵器は太刀打ちできず、特機と呼ばれる巨大人形兵器のみが唯一対抗し得る存在だった。だがその戦力が人間に向けられる事を恐れた人々は特機法を制定し、特機の運用に制限をかける。やがて光子力研究所のマジンガーZや早乙女研究所のゲッターロボなどの特機は異星人オーバーテクノロジー管理組織A3(Anti Alien Assembly)と連携することとなる。主人公のケイジ・タチバナはA3に所属する戦闘機乗りだったが、第1話でA3領海を襲って撃破された謎の特機「羽々斬」のパイロットとなる。
 地球連邦を裏から牛耳る死の商人は、強力な力を持つ上に思い通りにならない特機とA3を疎ましく思っていた。依頼を受けた謎の男ユキムラはダンクーガのパイロットの一人式部雅人の父であり、A3に特機用の資材を納入していた式部重工の社長、式部雅男がいる街をグザードと言う巨大メカに襲わせる。ダンクーガは命令違反で出撃し、仲間の特機もそれに加勢するも街は壊滅。連邦はそれを利用して特機が町を破壊したと情報を操作して一気にA3と特機を追いつめてしまった。さらにA3の本拠地である南アタリア島に、連邦が開発した特機アスカロンでA3の象徴とも言えるマクロスを奪取する。
 A3を失墜させて増長する地球連邦は、反連邦運動をする人々を街ごと焼き払った。A3を離れ、Aフォース(A-ForceとA-4thのダブルネーミング)を名乗って戦っていたケイジ達の元にもその情報が届く。戦災孤児であり、戦争を無くすために戦っているケイジは憤りを隠せなかった。
 なお台詞の前にある名前ですが、バレンティナは本作のヒロインのバレンティナ・レアニカ、マリューは「機動戦士ガンダムSeed Destiny」のマリュー・ラミアス、忍は「超獣機神ダンクーガ」の藤原忍です。

駄弁者:
 名文句として力の入っていそうなところを抜粋して掲載しようと思ったのですが、どこがヤマなのかを読み取ることができず…結局切らずに載せることにしました。シーン全体として印象深いところなんだろうとは思うのですが。
 戦争や災害の被災者数って、想像力の上限を越えてしまうと呆然としてしまって、かえって激昂しなくなりそうです。



「こういう物は文にしてこそ面白いのだ。実物が知れて世間が見物に押し寄せては、折角の夢見る楽しさが失われてしまう」

 出典: 半村良「およね平吉時穴道行」  『日本SF短編50 volume I』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 大の山東京伝ファンの主人公がある日譲り受けた江戸時代の日記。どうやら京伝の近親者が書いたものらしいが、書かれている年代が天明年間から明治半ばまで、百年以上に及んでいる。仕事の合間に研究を進める主人公は、偶然この日記の内容を知っている女性と出会う。世に出ていない日記のはずなのになぜ…?
 おおまかなところは題名で想像できてしまうのでしょうが、それでも楽しい一品でした。投稿したのは山東京伝が「時穴」を秘密にした理由。恐ろしいから、危険だからではなく、面白くなくなるから封じるという京伝先生、粋すぎです。



マリオネット。ロボット産業界シェア1を占めるマトリクス社製の人型ロボットアンドロイド)の総称。
外見すがたかたち)人間ひと)と見間違うほど。そしてその動作しぐさ)人間ひと)と変わらないまでに進化した。
ただ、その名の通り人形に過ぎない。
意志を持つプログラムが無い限り――。

 出典: 高木信孝「PUREまりおねーしょん」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、マリオネット少女の学園生活を描いた漫画からの名文句です。
 あのんが同級生達と共に図書館に行った際、モニターとして司書をしている新型マリオネットを見かけました。
 同級生の1人・あいなからマリオネットが好きでワッフル女学院に入学した(理事長のコネで新型マリオネットのモニターを行っています)という話を聞かされたあのんは、自分がマリオネットである事を隠している事に罪悪感を覚えます。
 今回の名文句は、冒頭に書かれたナレーション的な地の文です。
 Nさんが以前に投稿された名文句にもありましたが、たとえ肉体が機械であっても自分の意志を持って行動している以上既に人間と同じなのではないでしょうか。

駄弁者:
 人間が「自発的な意志」行動しているかどうかも、普通思われているほど自明ではない…ということも、最近よく読んだり聞いたりしますしね(私が好んでそういうのを見つけて読んでいるだけかも知れませんが)。



我々の都合で戦争を起こし、都合が悪ければ平和を守るのだ。

 出典: 高橋慶太郎「ヨルムンガンド」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 最近マンガ作品に投稿元が偏っている気がしますが、ヨルムンガンドもSF解禁ということで。
 作中に登場する武器商人、キャスパー・ヘクマティアルがつぶやいた一言です。
 『戦争の真実』を体現する言葉なんてのはごまんとありますが、そのなかでも率直な部類に入るもの、そして裏方からみた戦争という意味で貴重なめい文句かと思います。

駄弁者:
 SF解禁などと言われると、かえって「まずかっただろうか」と警戒感がわいてきますが…。
 裏方が自分の都合で起こした戦争が、都合が悪くなっても止められなくなる、という『真実』もありそう。



今、島は焼けただれ、荒廃に帰そうとしていた。その光景を前にして、濛々たる黒煙の下で彼は声を上げて泣いた。
この激情につりこまれて、他の少年たちも、からだを震わせて嗚咽し始めた。それらの少年の間に立って、からだは汚れ、髪はべったりとくっつき、洟は垂れ放題のまま、ラーフは、無垢(イノセンス)の失われたのを、人間の心の暗黒を、ピギーという名前を持っていた真実で賢明だった友人が断崖から転落していった事実を、悲しみ、泣いた。

 出典: ウィリアム・ゴールディング「蝿の王」(平井正穂訳)

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 遠くない未来、世界を巻き込んだ大戦が行われていた、
 そんな中ある旅客機が流れ弾の直撃を受け、無人島へと不時着してしまう。大人は事故で全て死亡し、唯一生き残った人々は、すべてが年端もいかぬ子どもたちであった。
 彼らはリーダーシップを発揮する少年・ラーフを中心にグループを組み、無人島生活をはじめる。彼らは最初こそ気楽でのんきな生活を満喫するも、近くを通った船にその存在を知らせるための焚き火の管理ミスからグループには亀裂が生まれてしまう。
 ラーフを中心とするグループと合唱隊の隊長であったジャックを中心とするグループが対立する中、島に出没する「獣」の噂が広まり始める。少年たちは対立関係と「獣」の存在により、次第に秩序と理性を失っていく…。
 漂流ものの小説の代表作にて傑作といえる本作ですが、実は本作の舞台は「未来」だったりするのです(1954年執筆とのことなので、ちょうど80年代ぐらい?)。内容を考えると未来である必要はあまり感じないのですが。
 理性と秩序の無力さ、そして人間の内に眠る獣の凶暴さを嫌になるほど描いた内容は当時の「ロビンソン・クルーソー」「珊瑚礁の島」などの冒険活劇的な漂流ものが主軸だった時代にはかなり異端だったのでしょうね。スティーブン・キングの作品に度々登場したり、「平成版『蝿の王』」と多くのファンに評された『無限のリヴァイアス』などのフォロワーを生み出すなど、後世の作品やクリエイターに強い影響を与えたことが容易に想像できます。
 台詞は最終盤より。ラーフの最初の友人であったピギーは蛮族と化したジャックたちに無残に殺され、唯一の味方である双子の兄弟も暴力によって服従させられたために、ラーフはついに孤独になってしまいます。興奮した彼らは森に火を放ちラーフを追い立てますが、その炎は森を焼き払い、森を焼いた炎の煙によってついに無人島は海軍に発見され、少年たちは救助されるのでした。
 あんな経験を味わえば、子供の無垢さなんて消し飛んでしまうでしょうね。彼らの将来が心配です。ラーフはまだしも、ジャックたちは永遠にピギーとサイモンを殺したという事実から逃れられないのですから…。
 ココからは余談ですが、あとがきで「ラストに登場する海軍の巡洋艦は、少年たちの将来に待ち受ける『戦争』という暗黒の未来の暗示」という解釈が提示されていましたが、ハッピーエンド好きの僕としては、彼らに少しでもシアワセな未来、或いは救いがあると思いたいです…

駄弁者:
 この小説や、ジャンルSFなら『エンダーのゲーム』を読んでいて思うのですが、子供が無垢だというのは、無垢でいられる環境だからそうだというだけなんでしょうね。環境が変われば、大人と同じがそれ以上に、汚くも残酷にもなってしまいます。
>内容を考えると未来である必要はあまり感じない
 確かに。でも、50年代は核戦争やその後の世界というのを一番切実に感じていた時代じゃないかと思います。年代ごとのSFアンソロジーでも、そういう世界観の話が目立ちます。



ブンドル「華麗なるクロージングは間近だ。レミー島田、ラストタンゴは私といかがかな」
レミー「あなたの心臓が止まったらお相手するわ」
ブンドル「その日を楽しみに。次回、戦国魔神ゴーショーグン」
レミー「『決戦秒読み開始』あなたがもう少し人並みだったら好きになったかもねえ…」
ブンドル「棘のある言葉すら美しい…」
レミー「あーあ、開いた口もふさがらず。See You Again」

 出典: 首藤剛志脚本「戦国魔神ゴーショーグン」第25話予告編

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ドクーガの情報局長ブンドルとグッドサンダーチームのレミー島田。
 ブンドルはレミーの美しさを讃えるものの(彼女主演で映画を撮ろうとしたことも)、レミーはかっての恋人がブンドルが原因で命を落としたため(ただし、その恋人は実はドクーガに魂を売った卑劣漢だった)、ブンドルに複雑な思いを抱いている…という微妙な関係の二人。
 ラスト直前、そんな二人を上手く使ったしゃれた予告を書いたのは言わずと知れた首藤剛志さん。当時、この予告を聞くのもゴーショーグンを見る楽しみの一つでした。

駄弁者:
 ウェブで見つけたファンサイトの全話解説では、予告のやりとりも全部収録されていました。土左衛門さんと同様楽しみにしていた方、多かったんでしょうね。



僕たちの文明は、知的生命体の感情をエネルギーに〜
紹介 :クロスケ 様 → 第298集


これまでのあらすじ

 出典: ブラッドレー・ボンド、フィリップ・ニンジャ・モーゼズ「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1」(本兌有、杉ライカ訳)

紹介 :クライン 様
HP :

コメント:
 数年ぶりに衝撃的な作品に出会ったので投稿に走ります。
 「サイバーパンクニンジャ活劇小説」としてTwitter上でのリアルタイム翻訳連載されている作品の書籍版第一巻、その冒頭に書かれている言葉がこれです。
 この後にさも当然とばかりあらすじめいた文が続くのですが、これまでも何もこれ一巻なんですけれど……。  実は短編エピソードの時系列をわざとバラバラに連載する手法をとっているため、最初の話が本筋の第一話ではないという妙なことになっているのです。
 その世界観も珍妙極まりなく、全力で日本観を勘違いした近未来都市「ネオサイタマ」を舞台に、サイバネニンジャやクローンヤクザ相手に主人公ニンジャスレイヤーが縦横無尽に駆け回るというツッコミどころしかない有様。
 劇中はぶっ飛んだ世界観由来の迷台詞のオンパレードなので、あえてここを選びました。

駄弁者:
 「スターウォーズ」だって最初からエピソード4だし、最初の話を「第一話」としない手法は目新しいものではないかと思いますが……出典の世界観や文章は、目新しいにもほどがある(笑)。



責任なんぞ感じるかよッ!!
俺はダンの顔さえ知らないんだ!!

 出典: 吉永裕ノ介「ブレイクブレイド」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 以前も投稿(第263集)したブレイクブレイドより。
 前回解説したとおりライガットは、ガンダムのアムロと同じ戦争に巻き込まれた一般人タイプの主人公です。当然、人殺しの経験などあるはずもなく、そのせいで戦場で苦悩することになります。
 今回の名文句はそれにまつわる台詞です。
 敵の奇襲部隊・ワルキウレス部隊の隊長が学生時代の友人ゼスであることを知ったライガットは、和平の使者としてデルフィングで出撃、ゼスを前に説得を試みる。しかしゼスはこれを蹴り、ライガットはやむを得ず逃走する。
 戦争を嫌っていたかつての友人の変容に動揺するライガット。しかし逃走中、ワルキウレス部隊の隊員に捕捉され攻撃を受けてしまう。無我夢中で反撃し、何とか味方のゴゥレムの援護もあって敵のゴゥレムを中破させることには成功したが、ライガットが殺しを躊躇い、敵にとどめを刺そうとしたゴゥレムのパイロット・ダンを引き止めたせいで、まだ生きていた敵のゴゥレムの反撃によりダンは戦死、ワルキウレス部隊員・リィもこれ以上の反撃は不可能と悟り、捕虜になるぐらいならと自害してしまう。
 自らの甘さが二人の死者を出したことを悔やむライガット。しかし彼はホズルの国・クリシュナを守るべくデルフィングの正式なパイロットとして志願。戦いに自ら身を投じていく…。
 この台詞は騎士となった後、初の戦場に出たライガットが敵の機体を破壊した時に叫ぶ一言。台詞だけを聞くと無責任な、 思われるかもしれませんが、原作ではこの台詞の前に「ライガットは、苦しい時や自分が追い詰められた時に嘘をつく」という事がわかるシーンがあるのです。つまり、この一言こそライガットがダンの死に深い責任を感じている、という裏返しの一言なのです。
 近年のロボットアニメは敵が人間でない謎の生物だから戦いに躊躇いがなかったり、戦争であっても主人公が「敵も味方も人間なんだ!」と妙なことを言い出して敵の機体の武器や手足だけをバッサバッサと切り落としていく奇行に走ったりするのですが、本作はそういう「戦争で戦っているのは人と人、当然人は死ぬ」という事実を丁寧に描いていて好感が持てました。ライガットはこの後も殺しへの慣れを自分に言い聞かせ、一端の戦士に成長していきます。
 あと、この名文句ともブレイクブレイドとも関係ないのですが、先ほど例に上げたような「誰も殺さずに戦う」ような主人公は僕はあまり好きじゃありません。戦争をまるでわかってないでしょう。誰とは言いませんが。

駄弁者:
 「戦争で人の死、殺し合いはやむを得ないもの」という認識が前提にあるからこそ、そうではない「誰も殺さずに戦う」主人公が魅力的に映り、戦いが身近じゃなくなってきれいに戦う創作の中のヒーローが戦争イメージの主になると、逆に「リアル」な人と人との殺し合いを描いた作品や主人公が注目されるようになるんじゃないでしょうか。
 きれいごとすぎる主人公にイラッとくるのは私もちょっと同感ですが、そうじゃない主人公の活躍を楽しめるのは、戦争をまるでわからずに過ごせる世界に自分がいるからこそですよね。



「勇者を続けるなら、覚悟を決めておけ、水尾護」
「お前が守ろうとした世界はいつか必ずお前を裏切り、敵となる。裏切りを受け入れて仲間ともども滅びるか、世界を敵に回して戦うか。選べる道は二つに一つ」
…(中略)…
「そんな覚悟なんかあるもんか!」

 出典: 峰守ひろかず「選ばれすぎしもの!2」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この巻で7つの異世界を救う勇者になった主人公、水尾護ですが、早速、その覚悟を試される展開になります。異世界を侵略している敵は実は全て同じ背景を持つ存在だったのです。しかも、敵の総司令ともいえる人物は、かつて異世界を救って回っていた勇者であり、主人公にとっても既知の人物(誰かを書くとネタバレになるので省略)でした。上記の会話は、その人物と主人公の会話の一節です。
 最近のアニメ等の主人公は、正義とは何か悩むことが多く、しかも敵との因縁が深すぎる作品が増えてきた気がしますが、こういうふうに敵が知人で、しかも故あって敵に回るというのは見ていて辛いものがあります。そうした点、主人公はまだその覚悟がないみたいで、これはいいことなのか、それとも悪いことなのか。私としては、自分の信念を貫くと決めた以上、覚悟をある程度は決めないといけないとは思うのですが、世界を敵に回す覚悟まで決められるか、というと、私も言葉に詰まってしまいます。

駄弁者:
 「覚悟はない、でもとりあえず今は戦う」で、べつにいいんじゃないかと思うんですけど。
 将来訪れる究極の覚悟が決められないから今現在の行動もしない、してはいけないというのは、一歩間違えれば行動しないための言い訳になってしまいそうで…。



皮がいくらか厚いのをのぞけば味はまったく悪くないぜ
分析結果もたんぱく質脂肪ともたっぷりふくんでて満足のゆくものだ

 出典: 永井豪原作・桜多吾作漫画「マジンガーZ 『チップカモイの巻』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 多重世界の26番目の世界の支配者チップカモイ(神の魚)、彼らは野生もしくは養殖した人間を食料にしているのですが、公害による環境汚染が原因で人間の数が激減したため数十億の人間が暮らす世界へと侵略を開始します。
 捕らえた人間を試食して投稿の台詞を発するチップカモイの兵士の一人、本国への報告をすませた彼らは協同組合の設立や冷凍室、缶詰工場(うげ…)の建設を嬉々として語り合います。
 桜多吾作版マジンガーの特徴の一つTVシリーズ以上のSF色の強さを顕著に見せつけたこの一編、平行世界を自由に行き来出来る超能力を持ちながらやる事が食糧確保というあたりジグラ星人(235集monku235.htm23513参照)以上に能力の無駄使いをしていますが、不思議な魔人(マジンガーZ)を操る人間(兜甲児)や一つの身体に男と女の機能を持つ人間(あしゅら男爵)といった珍しい人間は動物園で飼おうとするなどジグラ達よりも進んだ部分もあったりします。
 それにしても彼らの侵略が成功した暁には人種によるブランドが確立したり、鮭鱒問題ならぬロシア日本人問題とかも発生したりするのでしょうか?

駄弁者:
 私たち文明人の肉の味は、野生と養殖とどっちの味に近いんでしょうか。野生よりも肉付きがよく、養殖よりも程よく引き締まった食通好みに仕上がっているのかも(…飼料もいいのを使ってるし)。



ギャバン「大きくなったなぁ。立派な男になった!」
マーベラス「海賊だぜ?」
ギャバン「見た目じゃない!いい男だ。嬉しいよ」

 出典: 東映制作「海賊戦隊ゴーカイジャー vs 宇宙刑事ギャバン」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 ある日、海賊戦隊ゴーカイジャーの前に宇宙刑事ギャバンが現れる。「特捜戦隊デカレンジャーの調査で、自分達の罪状は全て宇宙帝国ザンギャックの捏造だと判明しているはず」という訴えも聞かず、ギャバンはゴーカイジャーを逮捕、連行する。
 実はギャバンの行動は、様子のおかしい宇宙警察総裁ウィーバルが偽者ではないかという疑惑を探るためのものだった。ウィーバルはゴーカイジャーに死刑を申し渡し、罪状を問うギャバンに「ザンギャックに歯向かう事こそが罪」だと言う。なぜ宇宙警察がザンギャックの言いなりになるのかという詰問に、ウィーバルはザンギャックの魔空監獄獄長アシュラーダの姿を現した。ギャバンのおかげでゴーカイジャーは脱出できたが、ギャバンは魔空空間にある魔空監獄に囚われてしまう。
 ゴーカイレッドことキャプテン・マーベラスは幼い頃ギャバンに会っていた。炎上する宇宙船の中で一度は死を覚悟した彼は、突然現れた謎の男のおかげで助かったのだ。ギャバンの口癖を聞いてそのときの男がギャバンだったと知ったマーベラスはギャバンを助けに一人でいく事を決意するが、事情を知ったゴーカイジャーの面々もそれに加勢する。そして無事ギャバンを救出して魔空監獄を破壊、アシュラーダもゴーカイジャーとギャバンの協力で倒した。
 台詞は全てが終わった後のマーベラスとギャバンの会話。ギャバンもマーベラスがかつて自分が助けた子供だと悟り、感慨深げに語りかけるのだった。

駄弁者:
 かつてのヒーローに賞賛されるのは感動でしょうが、海賊なのが見た目だけのように言われるのは、海賊戦隊としてはちょっと不本意なのでは。



ケルビン・ゼロ、即ち絶対零度イコール摂氏マイナス二七三・一六度を超えた者は誰もいなかった。それは光速の壁と同様、物質の限界みたいなものなんじゃないか……。が、光速に比べると、こっちの方に何かしら可能性がありそうだった。

 出典: 荒巻義雄「大いなる正午」  『日本SF短編50 volume I』に収録  筒井康隆編『60年代日本SFベスト集成』にも収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :ここ

コメント:
 日本SF作家クラブ50周年を祝して、というわけでもないですが記念アンソロジー『日本SF短編50』より。
 出典の作品は、冥王星の土木技術者が次元の岩壁を掘り抜いて高次元の知性と接触し、彼らの超時空的土木(?)工事を手助けするというもの。想像力とハッタリのものすごさに圧倒されました。前にも一度ご投稿があったのですが、まさかここまでとは思ってませんでした。
 投稿したのはその技術者が次元を超えるきっかけとなった発想。絶対零度をこういう方向で考えられるとは…。



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