SF名文句・迷文句第316集

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「もういい加減、俺たちにも紹介して下さいよ…4号のこと。
 …やっぱり、普段は人間体があるんですか?」

 出典: 荒川稔久・竹中清脚本「仮面ライダークウガ 第31話『応戦』」

紹介 :W”MONSTER 様
HP :

コメント:
 冒険家・五代雄介は、古代のベルトで「戦士クウガ」に変身する力を身に着け、同じく古代から復活した怪人グロンギ族の殺人ゲーム阻止に奔走します。しかし、五代をクウガと知るのは一条刑事らの一部協力者のみ。世間一般の呼称は「未確認生命体4号」…マスコミからは「仲間を殺す獰猛な怪人」のように揶揄されます。
 捜査本部からは徐々に信頼されてきた頃になって、同僚の桜井刑事が一条に切り出したのが上記の台詞。五代と一条のバディものとして同性カップリング大好き女子にも大変ウケた周辺事情も考慮すると、台詞前半しか流さなかった予告では「目つき悪い友人がこっそりつきあってる恋人をかぎつけた」かのようなあざといミスリードだったわけですが、グロンギが普段は人間に化けて潜伏するため、発言後半のような認識違いしていたというオチ。桜井刑事が五代本人と会って、認識を改めるのは後の話。
 さて、「4号が人間に化ける」のが誤認であるならば、その誤認はグロンギにも当てはまる可能性があるのです。グロンギとは、古代人が怪人化した存在かもしれないのですから。まあ、同じ人類と認めてしまったら武力排除できなくなってしまうんですが…そういう混乱を防ぐために、当局も4号が人間とは公表できなかったんですかね。

駄弁者:
 平成ライダーの記念すべき1作目。警察と仮面ライダーが共闘するというのは、当時としては斬新、あるいは違和感があったんじゃないでしょうか。



明治生まれのある作家のエッセイにあったんですが、彼は青年時代にヨーロッパに留学し、そして壮年と呼ばれるくらいの年齢になったころ関東大震災を経験しました。
東京がそこから近代的な都市として再建を遂げつつあったころ、車に乗って街の夜景を眺めていた彼は「やっとヨーロッパらしくなってきたな」といったそうです。
これって私、時間旅行者が感じるのとまったく同じタイプの孤独感から出た言葉なのではないかと思っています。
ヨーロッパのような「先進的な」文化を知りながらも、自分の国でそれが生まれるまで数十年を生きなければならなかった孤独といいましょうか。

 出典: 浅羽通明「野望としての教養」

紹介 :naijel 様
HP :
https://twitter.com/naijel

コメント:
 SFが出典ではないですが、SFを親しむものとして印象深かった文章です。
 その時代の平均より高すぎるレベルの教育を受けてしまった人間は周りに適応できず、「時代の孤児」となってしまう、教養が孤独を生む問題について論じた章だったと思います。
 幸せに生きるためなら処世術などはともかく余計な知識や理念があると邪魔になってしまう、ということを割りと肯定的に書いていて(頭でっかちのオタクに批判的といいますか)好き嫌いはわかれる評論家ではありますが、個人的には現実主義的な部分を気に入っています。

駄弁者:
>「やっとヨーロッパらしくなってきたな」
 孤独感と表裏一体の優越感も感じられて、いまいち共感できないセリフではありますが…。しかし時間旅行者も未来を知っているという優越感からは逃れがたいでしょうから、対比としては当たってますね。



私が必要なんだろう?
悪党がいなければヒーローにはなれん、お前はヒーローでいるのが好きなんだろう?
ヒーローを見て子供達は喜び、女達はうっとり、それが忘れられんのだろう?
お前はいい相棒だよ。
…(中略)…
私を殺す気ならいつでもできた、それを思い止まらせたのは国民の意思や憲法じゃない
お前のエゴだよ!!

 出典: 「ジャスティス・リーグ 『より良き世界 part1』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 フラッシュを殺害したルーサーの元に乗り込むスーパーマン達『ジャスティス・ローズ』、核ミサイル発射ボタンに手をかけるルーサーに対して殺してでも止める意志を示すスーパーマン、それに対して投稿の台詞を返すルーサー。
「そして私達は同じ茶番を繰り返すのさ!」逮捕されてもすぐにまた同じ事を行うと宣言する合衆国大統領レックス・ルーサーに対してついに『決断』を下すスーパーマン。
 その『決断』に一応理解を示すバットマン、心配して声をかけてきたワンダーウーマンに対して「いい気分だよ」と微笑むスーパーマン、その瞳には彼が今まで見せた事がない暗い輝きが宿っていました…。
 そしてスーパーマンと『ジャスティス・ローズ』は犯罪も犯罪者も戦争も存在しない世界をうちたてるべく、『最も効率的な手段』を用いてゆく事になるのです。
『ジャスティス・リーグ』最大の功績にして問題作であり、最も印象に残るエピソード(山本弘さんなどは商業誌でこのエピソードを紹介している)としてあちこちで評価が固まってるエピソードですが、個人的に1.2を争うほど気にいってるので投稿します。

駄弁者:
 悪党が単純な悪党じゃない世界のスーパーマンと言えば、「ダークナイト」では政府のいいように使われていたし、「キングダム・カム」や「レッドサン」では自身が強権的な支配者になってしまっていたし…。
 ヒーロー自身のエゴもあるのでしょうが、守られる世界としても悪党とヒーローが「相棒」になっている方が、全般的に幸せな結果になるんじゃないでしょうか。



死について心配する人々もいるが、人の肉体を動かしていた力がついに去ったとき、人は自分が分解されてふたたび利用され、宇宙が終わるまで自分の原子が永久に再生利用される仕合わせを知るのだ。

 出典: デイヴィッド・ウィングローヴ「血と鉄 (チョンクオ風雲録15)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 「死」にとりつかれた『シェル』アーティスト、ベン・シェパード氏、死について考察する一コマ。
 確かに『僕らは星のかけら』(マーカス・チャウン著)であることはベンの考えるとおりなんですけど、問題は存在そのものよりも意識じゃないのかと。
 いくら構成分子が存在し続けても、意識が保たれるわけではないことが、心配の種じゃないのか?
『僕らは星のかけら』は科学解説書として読みやすくお勧めです。アルファ・ベータ・ガンマ理論が生まれた下りなんか最高でした。高校図書室に是非(私は出版社の回し者ではありません)。

駄弁者:
>いくら構成分子が存在し続けても、意識が保たれるわけではないことが、心配の種じゃないのか?
 確かに。「人の肉体を動かしていた力がついに去ったとき」と言ってますが、そっちのほうが人の本質で、その行き先が気になるんじゃないかと私も想いますね。
>『僕らは星のかけら』
 私は知らなかったのですが、前任者がきっちり入れてました。先輩司書の目配りのよさにはしばしば助けられてます…。



ゴジラでもビオランテでもない。
本当の怪獣は、それを作った人間です

 出典: 大森一樹脚本・監督「ゴジラVSビオランテ」

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 ビオランテはすでに名言が多く投稿されていますが、終盤の静かなシーンでのセリフを推させていただきます。
「これほど大規模な破壊が可能なのは人類だけ」という言い回しは昨今よく見ますが、80年代にそれを喝破したこのセリフ、それなりに価値があると思うのです。
 余談になりますが、「ゴジラVSビオランテ」では砂漠の国がポスト石油時代を生き残るためにバイオ技術大国をめざしていたり、遺伝子工学の面から食料覇権をねらうアメリカのオイルメジャーならぬバイオメジャーが登場したり、いろいろネタが仕込まれています。サウジが再生エネルギー分野を仕切ったり、米企業が遺伝子組み換え植物で穀物支配を試みている時代に見返すと、いろいろ興味深い映画でもあります。

駄弁者:
>遺伝子工学の面から食料覇権をねらう〜
 なんかちょっとバチガルピの作品世界を連想しますね…けっこう時代を先取りしていた設定だった?



本は 読みたいと思った時に読まなくてはならない
その機会を逃し「いつか読むリスト」に加えられた本は
時間をかけて「読まなくていいかもリスト」に移り
やがて忘れてしまうのだ

 出典: 施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 本を読まずに読んだフリだけしたい、なんちゃって読書家の女子高生・町田さわ子(自称・バーナード嬢)に『エンダーのゲーム』を貸してくれと頼まれた、SFファンの神林しおり嬢。「一人でも多くの人に読んでほしい一冊だけど」「翻訳がイマイチ」「来年 映画化に合わせて再翻訳される可能性がある」ため、一時は貸すことを躊躇する彼女。
(「翻訳小説のリテラシーが低い人に読ませて もし海外SF全般にネガティブなイメージがついたら一大事だ…」)
 しかし上のように思い返し、結局は本を貸すのでした。
 ……作者はコミックス表紙折り返しのコメントで「当初、名言漫画だったはずが、いつの間にか浅い読書漫画に転向していた」と書いていますが、本作を「読書漫画」たらしめたのは、ひとえに神林嬢の存在にあると言えましょう。
BGM:「読書家姫君」分島花音

駄弁者:
 失敗しましたねえ、新訳でちゃいますよ…。(でも私的には万歳三唱)
 まあ『エンダー』のことでなければ、ご投稿の文句に全面賛成です。「いつか読むはずっと読まない」というめい文句もありますし。



バッドエンドはグッドエンドのオマケでしか楽しめないんだよ
この現実世界で
私達はトゥルーエンドを目指そうよ…

 出典: スパイク・チュンソフト原作・鈴羅木かりん漫画「スーパーダンガンロンパ2 七海千秋のさよなら絶望大冒険クエスト)1 第1話」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今年の7月にアニメ化するダンガンロンパの2作目を漫画化したものから。
 この作品はSFなんですが説明するとネタバレになるので説明をしません。
 文句の場面はコロシアイをモノクマに告げられたが、この漫画の主人公である七海千秋が誘いには乗らないと誓った場面です。
 本来ならここで作品自体の説明に行くんですが、ヘタすると1のネタバレを書きそうなので割愛させてもらいます。
 自分、あまりにハッピーすぎるのはちょっと苦手でビターあたりが好きっす。
 だからハッピーとバッドの差が激しいパワポケが好きなんだろうな。

駄弁者:
 「トゥルーエンド」というのは、「物語としては一番キレイだけど、登場人物にとっては全面的なハッピーエンドとは限らない」という印象があるので(自分だけ?)、物語内の人が目指すとしたらやっぱりグッドエンドがいいんじゃないかと。



「私に言わせればね……。…(中略)…救国軍事会議の道化(ピエロ)達に今の権力者達を一掃させるんです。完全に、徹底的にね。どうせその後奴らはぼろを出して事態を収拾できなくなる。そこへあなたが乗り込んで、掃除人どもを追い払い民主主義の回復者として権力を握るんです。これこそがベターですよ。…(中略)…どうです、形式などどうでもいい、独裁者として民主主義の実践面を守るというのは」
「独裁者ヤン・ウェンリーか。どう考えても柄じゃないね」

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説 2 野望編」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前何度も投稿された長編小説からの名文句です。
 救国軍事会議によるクーデターが発生、対応を協議する会議に向かう途中でヤンはシェーンコップに出会います。
 シェーンコップはヤンが現在の自由惑星同盟の「名目民主政治・実質腐敗政治」を痛感していながら同盟を守ろうとしている矛盾を指摘した上で、救国軍事会議を利用して「名目独裁政治・実質民主政治」という形に変革してはどうかと語りかけます。

駄弁者:
 シェーンコップはご投稿の文句の後も何度もヤンを焚きつけますが、どこまで本気でけしかけているのか分からないところがあるんですよね…。5巻、6巻ぐらいになるとかなり本気みたいですが、このご投稿あたりの段階では、ヤンを試す意図もあったと思っています。ヤンが言われてその気になる程度の人間なら、かえって失望したんじゃないでしょうか。



「《スター・トレックだ!》」しかし再生をはじめてすぐにやめた。
「観たやつだった」
「こういうエピソードを観たいな。エンタープライズ号が飛んでると、突然そこにコンボイがあらわれるんだ。するとエンタープライズ号はシャキン、シャキンと変身する。エンジンが大砲になってさ。そして言うんだ、“ついに気づいたか!ならば決着をつけてやる!”ジャーン、エンタープライズ号はディセプティコンだったってわけ。わかる?」

 出典: ピーター・デイヴィット「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」(中原尚哉訳)

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 主人公サムの家に住むディセプティコンからオートボットに鞍替えしたウィーリー(ラジコンカーに変身)がTVを見ているシーン。
 映画本編でウィーリーが観たスター・トレックは曰く「スポックがトチ狂った回」でレナード・ニモイ氏が演じるセンチネルプライムがオートボットを裏切った本編の展開に合わせた小ネタだそうです。
 しかしエンタープライズ号がトランスフォームするのはスタトレファン的にはどうなのでしょうか?スターウォーズのトランスフォーマーの玩具シリーズはありますが。

駄弁者:
>「スポックがトチ狂った回」
 どういう方面にトチ狂うかによって、いくつか候補がありますが…。定番の「狂気の季節」(バルカン星人の秘密)か、 それとも「ああ過ぎ去りし日よ」(タイムマシンの危機)あたりでしょうか。
>エンタープライズ号がトランスフォームするのは
 カッコよければアリだと思いますが、スタトレのメカニックは説得力のある変形が難しそうな気がします。



人間が望む最高のものの二倍を、よりによって最大の敵のために願ってやるとは、おれもとんだお人よしだ。

 出典: ロバート・シェクリイ「倍のお返し」(酒匂真理子訳)  『残酷な方程式』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ニューヨークで一人暮らしをするエイデルスタインは、悪魔の訪問を受け、「三つの願い」を手に入れる。ただしそれは、最大の敵であるマノウィッツに倍になってもたらされるというおまけ付き。
 まず現金で試してみると、マノウィッツの羽振りが良くなる。困らせてやろうと考えた鶏のレバーでは、倍のレバーを受け取ったマノウィッツは肉屋に売り払って、やはり利益を得る。
 嫌がらせとしてエイデルスタインが最後に選んだのが、(以下ネタバレ)美人の奥さん。
 条件が非常に具体的で、身長は5フィート4インチ(約160cm)、体重115ポンド(約52kg)。抜群のプロポーションで、金髪。頭が良くて家事が上手、ユダヤ人である自分も愛してくれる。更に、性的な意味で(慎み深いから具体的には言わないとのこと)手に負える限りの最高の女性。
 確かに、こんな女性が2人も身の回りにいたら身が持たないでしょうし、近所も黙ってないでしょうね。
万が一、体格が倍だったら、身の毛もよだつことになるでしょう。
 まったく上手いことを考えたものです。

駄弁者:
 シェクリィが続きましたね。短編集タイトルは同じ「方程式」でも、こちらはアンソロジーではなくシェクリィ単独の短編集より。
 今年の流行語大賞有力候補の「倍返しだ!」ですが、幸も不幸も強制的に倍返しになってしまうシチュエーションだと、こういう悩みが発生するんですね。
>(こちらもネタバレ)万が一、体格が倍だったら
 私は体格のほうだとばかり考えてました。数が増える方は、アメリカ人男性ならバッチコイと言う人が多そうですし。



「いや、実際毎日こうして見ていても本当夢のようですわ。篠原の親父さんと二人進駐軍にトラックの部品を納める町工場からはじめて50年。車輛部品から製造機械、遊馬さんが生まれた年に作業ロボットの開発に手を染めて、今じゃレイバーなんて化物がラインを流れてる。
 でも、肝心のわたしの方はさっぱり。随分勉強もしてきたけど、システム工学だの第5世代コンピュータだの、正直言ってもう何が何やら、技術屋としては淋しい限りですわ」
「何それは俺も同じことよ。車輛整備の神様なんぞとおだてあげられちゃいるが、ソフトに関しちゃ素人も同然。うちのシゲや若えやつらにゃとてもかなわねえ」

 出典: 押井守監督・伊藤和典脚本「機動警察パトレイバー THE MOVIE」

紹介 :naijel 様
HP :
https://twitter.com/naijel

コメント:
 篠原重工の土木建築用人型ロボットの製造ライン、そこでの篠原重工常務、実山剛と、特車二課整備班長の榊清太郎の会話。
 機械が好きだという気持ちがあるのに、その機械の発展によって取り残される人々の寂しさ。
 自分もいつかSFやテクノロジーに同じような感情を抱くようになるのかもしれない、ということを考えると他人事には思えません。
 この後のセリフにあるように「人間がミスをしない限り機械もミスをしない」という信念を失っていない整備班長のようでありたいと思います。

駄弁者:
 現実でもコンピュータ技術者の方々などは、こういう感慨をもっているんじゃないかと想像します。
>SFやテクノロジーに同じような感情を〜
 読む専門、使う専門の私では、榊整備班長のような感慨や信念にまでたどり着けるか、ちょっと心もとないです。



よし 一度殺して休憩にしよう

 出典: 桜井画門「亜人」

紹介 :へんな毒 様
HP :

コメント:
 亜人といわれる生物がいる世界、その生物は人間そっくりで本人でさえ気づかない程、見分ける方法は1つだけ、死ぬこと。亜人は死なない、たとえ首や手足が無くなっても再生して蘇るからです。セリフは日本で三番目に確認された亜人の主人公が捕まり、人体実験され反応が鈍くなってきた為、見学席から出された指示です。人間自分達と違うと解るとどこまでも残酷になれるということを改めて確認しますね、死なないのが分かっている為かなり無茶なことも出来るので学者は面白くてしょうがないでしょうが…

駄弁者:
 不死ではあっても苦痛はあるということですから、考えようによっては通常の拷問よりも残酷ですね(…じゃあ苦痛がなければ亜人を殺す実験をしてもいいんだろうか?)。
 面白くて、というよりは実験を繰り返すうちに罪悪感とかが麻痺するんじゃないでしょうか。



グラッグ「本当におめでとうかい、え? オットー」
オットー「何のこったい」
グラッグ「アハラだよ。お前ひょっとしたら、アハラを……」
オットー「アハラは人間で、ロボットでもアンドロイドでもない、そうだろ? あれでいいんだい。おめでとうなんだ。変に気を回すない」
グラッグ「人が親切に心配して言ってやってるのに、その言いぐさはなんだ!」
…(中略)…
オットー「アハラ……。アハラ元気でなーっ! 」

 出典: エドモンド・ハミルトン原作・辻真先脚本・高山秀樹演出「キャプテンフューチャー 第8話『太陽系創世記』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 滅びゆく星・カタインのため、宇宙航行用のエネルギーとなる鉱石タキオニウムを過去にタイムトラベルして採掘してきたフューチャーメン。ところが、オットーが地球で助けて好意を寄せていた地球の先住民の少女・アハラはカタインの科学者・ダルムールの息子ジュルンと相思相愛になり、一緒に移民先の星・クウムを目指すという。泣き笑いで二人を祝福するオットーだが……。これはその後、オットーを心配したグラッグとの会話です。こうしてみると、アニメのグラッグの方が原作より人間味あるんですね。
 えー、再見してみると、本作は科学面だけじゃなく、主人公サイドの殺人を極力避けているように思えました(NHKでゴールデンタイムの児童向けだから? 第1〜4話の宇宙帝王も、原作だとグラッグに撲殺されているのが、アニメだと取り押さえられてマスクをはがれただけ)。原作だとオットーをかばってアハラは命を落とし、怒りに燃えたオットーがカタインのスパイとその黒幕を殺害しているので、それを避けたかったからの変更じゃないかと思うんですが……。  当時すでに原作を読んでいた姉はこの変更を見て結構不満だったみたいなので、原作ファンに不人気だった理由の一つかもしれません。ただまあ、アンドロイドの悲哀も感じさせるところはちょっと面白いです。
 実はこのシーンにあったと記憶していた別のセリフを投稿しようと思ったんですが、カットされたのか録画ではありませんでした。当時読んだノベライスだけなのかも。見つかったらそっちも投稿するかもしれません。

駄弁者:
 原作は『時のロストワールド』ですね。読んだのは中学生頃のはずなんですが、オットーが想い人を亡くしたシーンがあったのは覚えていたので(アハラの名前は忘れてましたが)、だいぶ印象が強かったんだろうと思います。主人公たちの殺害を避けるためとはいえ、そういう名シーンをスポイルしてしまうのは、ちょっと残念ですね。



「いや、結構どん底だけど、この手がまだまだ届きそうだ。
 やってみるよ、だから…だから最後まであきらめちゃだめだ!」

 出典: 金田治監督・米村正二脚本・小林靖子脚本協力「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 私が好きな仮面ライダーオーズからはリアルタイム放映時にかなり投稿されたようで、新参者には入る余地もないので、仮面ライダーオーズこと火野映司のパラレルワールドでの台詞を。
 電王とオーズと仮面ライダーがコラボした劇場版より、ショッカーが仮面ライダーを倒し、21世紀に至るまでショッカーが様々な悪の組織を率いて人類を支配する元と異なる現在へ帰ってきた火野映司はスラムのような生活をしている少年ミツルとナオキと知り合う、少年達はショッカーの改造人間で構成された警官達に囚われそうになったところを映司に救われるも、最強の怪人「仮面ライダー」を退けた為か、幹部ジェネラルシャドウに追い詰められた際に少年達に投げかけた台詞です。
 映司は内戦地帯で人々を救えなかった事でどこまでも届く手を希求するようになった過去があるのでその点も含めて彼らしい台詞だと。

駄弁者:
>21世紀に至るまでショッカーが様々な悪の組織を率いて人類を支配
 悪が勝利した後は、悪の組織同士が覇権を競い合いそうなものですが、ショッカーがリーダーシップを取るんですね。…そんなに強い組織なのか、ショッカーって。外資の介入で大量リストラされた組織なのに。



《徘徊許可証。立会人全員の認めるところにより、トム・フィッシャーを公認強盗殺人犯とする。ここに右のものは暗い路地を徘徊し、いかがわしい場所に出没し、法律を破る義務を持つものとする。》

 出典: ロバート・シェクリイ「徘徊許可証」(伊藤典訳)  『冷たい方程式』(新版)に収録

紹介 :瑛莉 様
HP :

コメント:
 地球の植民地である惑星、ニュー・デラウェアで<星間通信機>が二百年ぶりに復活した。耳を傾ける人々に、地球側は、「この宇宙には『人間』というただ一種族の知的生物しか住む余地はない」と言う。そのため、住民たちは自分達が『地球的』であることを証明しなければならなくなった――。
 駄弁者様こんばんは。四月から大学生になったのですが、校内には書店がニ店舗もあるのにSFが見当たらなくてショックを受けました。しかし先日急に(二十五冊ほどですが)入荷。思わず三冊を衝動買い。そのうちの一冊からの引用です。この本は表題作が独り歩きしているようですが、今回はシェクリイの作品を。
 こんな《徘徊許可証》と共に、漁師であるトム・フィッシャーに与えられた役割は「犯罪者」。ニュー・デラウェアに持ち込まれた遠い地球の「珍しい習慣」に興味津々の人々は、盗みを見たくてトムの後を野次馬としてぞろぞろついてきます。「シャツを盗みな」なんてアドバイスさえします。…想像するとなんて間抜けな。
 他にも、『地球的』であることを示すために、必要のなかった建物を造り、必要のなかった役割を担わさせられる住民たち。『地球的』や『文明化』という言葉に込められた皮肉が、何とも言えません。

駄弁者:
 『冷たい方程式』なら当然持ってる…と思っていたら、出典が収録されているのは2011年刊の新版『冷たい方程式』で、私の手元にある1980年版には載っていないのでした。職場の図書室にあるのを(私が入れたんですが)借りて読むことに。
 「盗まれた」ノコギリを、昼間使うからちょっと貸してくれ、と持ち主が「犯罪者」に頼みにくるというくだりが一番笑えました。トム「すぐ返せよ」持ち主「もちろんすぐ返す」…ふつう逆だろ。
 トムの使命は、盗みばかりでなく殺人を犯すことなのですが、さて結末は――。



「安心しろ、ゼットンは倒した」

 出典: 藤島浩一郎脚本・構成「ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団」

紹介 :W”MONSTER 様
HP :

コメント:
 80(エイティー)までのウルトラ兄弟の活躍を、長兄ゾフィーの視点から紹介する趣向の再編集映画(1984年公開)より。
 ゼットンに倒された初代ウルトラマンに、迎えに来たゾフィーが上記の台詞を言います…あたかも自分が倒したような。ええ〜、ゼットンは科学特捜隊のペンシル爆弾がやっつけたんじゃないの〜?この映画ではTV本編のその場面はカットされてるし、この一件はゾフィー兄さんの捏造発言として長く揶揄されるに至っております。
 でもこれ、「誰が」の主語が省かれただけで「自分が」とは言ってないんですね〜。主役をゾフィーに設定しているので、「そう受け取る」ように演出で誘導しているんですな。事実自体は歪曲されてないし。
 とはいえ、他にもTV本編と異なる台詞の流れがチラホラ。近年の映画で多次元宇宙の概念が導入されてますし、その中にもしかすると、ゾフィーが実際にゼットンを退けた宇宙も存在するのかも…どこかには。

駄弁者:
 私、ゾフィーはウルトラマンタロウでバードンに殺されたと思ってたんですが。命を2つもってきてたから助かったんだろうか。



「人命を救うのに理由が要りますか」
「ああ、いるな。特に、軍人であるなら……まあ、いい」

 出典: 浜松春日「ルーントルーパーズ」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 異世界に迷い込んだ自衛隊員達は帝国の侵略に直面したマリースア王国の住民保護のために武器を取って、帝国軍に立ち向かおうとします。それを見た王国の戦士団長のカルダと自衛隊の指揮官の1人久世三尉との会話の一節です。
 無辜の住民を救うのに特に理由などいらないと考える自衛隊員達に私も感情的に賛同はしますが、確かにカルダがいうように、この場で住民の人命を救うというのは帝国軍に刃を向けることであり、軽々しく感情に任せて動いていい場面ではありません。そして、軍人が動く以上、それだけ相手の人命を奪うことにもなるわけで。確かにきちんとした理由が、軍人であるならばいるな、と思いました。

駄弁者:
 今現在目の前にいる人の利益、幸福をとるか、目の前にはいないけれどももっと多くいるかも知れない人のそれをとるか…という形だと考えれば、人命ほどシリアスでないにしろ、相似のジレンマは軍人でなくても経験するんじゃないかと思います。



黙れ!ギバなんかどうでもいい!
俺はお前を倒して、俺の物語を完成させるだけだ!!

 出典: 扇澤延男脚本・岡本明久監督「機動刑事ジバン 23話『マンガを喰いすぎた怪物』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 自分がヒーローの漫画を作りたい、数多の本を食い荒らすうちに抱いたささやかな願いをかなえようとした罰として戦闘用バイオ怪物に再改造されてしまったヤギノイド。
 ヤギノイド諸共ジバンを葬り去るべく発射される大型ミサイル、支援飛行メカスパイラスで何とかミサイルを撃墜したジバンはこれがギバのやり方だとヤギノイドを説き伏せようとします。それに対して投稿の台詞を返しジバンに挑むヤギノイド、そんな彼に対バイオロン法を読み上げる事なく正面から迎え撃つジバン。
 「ヒーローが負けるなんて!!」あえなく敗北、そう言い残して消滅するヤギノイド…彼に囚われ無理やり漫画を描かされていた星山は、文字通り命がけで自分の物語を完成させたその姿に物語を作る事の重さと責任を再認識、漫画を描く事への新たな意欲と闘志を燃やすのでした。
 「人生はジョーク 死はそのオチ」しかし善でも悪でもなく、ただ自分の物語を完成させるためだけに真剣に戦い殉じていったその姿を笑える人間がどれだけいる事か…自分が物語を作っている事に人生の終わりになっても気づかない人間には到底できないでしょう。

駄弁者:
 ヒーローが主人公の話ではなかったかも知れませんが、彼の物語は食べて不味いものではなかったんじゃないでしょうか。



ああ…
きれいだ…
しかし何故だ何故あの光がこんなにも美しく見える
あれはわかり合えない人間同士の悲しい光ではないのか
…(中略)…
そうか…
あれは憎しみの光ではない…!
心を燃やして生きていった
人の生命いのち)の輝きなのだ

 出典: 森田崇・中村浩二郎シナリオ「機動戦士ガンダム クライマックス U.C.−紡がれし血統−2 PERIOD10 紡がれし血統きずな)

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回もクライマックス U.C.から。
 コスモ・バビロニア建国戦争で主人公である地球連邦准将カムナ・タチバナが死の直前に今だ続く戦闘の光を見て思ったことです。
 当時ガンダムにあまり興味無くガンダムから続いているとは知らなかったので、巻末にある宇宙世紀戦争マップ見て一年戦争からF91まで44年しかたってないのを知り驚いた覚えがあります。

駄弁者:
 「あれは憎しみの光ではない」というのは、元祖「ガンダム」でアムロがソーラ・レイの光を見て「あ、あれは、憎しみの光だ!」と叫んだのを踏まえているんでしょうね。
 憎しみからのものでなく命の輝きだったとしても、やっぱり悲しい光には違いないと思うんだけどなあ…。



なにっ!?あの黄金の輝きは、ハイパーなプレッシャーとして立ちふさがってくるだと!?

 出典: 小太刀右京「機動戦士ガンダムAGE アウェイクン」(小説版)

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 人類が宇宙に進出して数百年が経過した未来の地球圏。血で血を洗う戦争の果てに自らの過ちに気付いた人類は地球連邦を設立。「銀の杯条約」によって全ての国家は兵器を破棄し、平和の道を歩もうとしていた。しかしその矢先、人類は宇宙から飛来した謎の敵「UE(アンノウン・エネミー)」の襲撃を受ける。人類はモビルスーツを使って対抗するものの、圧倒的な性能を有するUEのMSの前に一矢報いることすらできずに殲滅されていった。
 故郷のコロニー「オーヴァン」をUEに破壊され、両親を失った少年フリット・アスノは、母親にAGEデバイスを託される。AGEデバイスにはかつて救世主と謳われた伝説のモビルスーツ「ガンダム」のデータが収められていた。フリットは軍の施設でガンダムの建造に心血を注ぐ傍らUEの脅威を周囲に訴えるものの、UEの脅威を目の当たりにしたことがないスペースコロニー「ノーラ」の人々は彼の言うことを真に受けようとはしなかった。
 しかし、再びUEはフリットの前に姿を現した。彼は大切な人々を守るために、自ら未完成のガンダムに搭乗し、UEへと立ち向かっていく。この戦いが、UEと人類との100年に渡る戦いの幕開けとなることを、まだ誰も知らない…。
 「『イナズマイレブン』『レイトン教授シリーズ』のレベルファイブが関与する」という前情報の段階でガノタを不安の渦に陥れ、いざ始まると多くのガノタを絶望の淵に叩きこみ、放送前の下馬評通り多くのガノタから黒歴史認定された現時点でのガンダムシリーズ最新作「AGE」。薄っぺらいシナリオ・言葉だけの「大河アニメ」・ちっとも共感できない主人公・etc,etc...とかなり評価しにくい内容の本作ですが、実は本作にはノベライズが存在し、そちらは本編とは一転、アニメで描写不足だった部分を見事に補完し、多くのファンが納得行かなかった展開を独自に改変することで高評価を得ているのです。
 さすがは「マクロスF」で実績のある小太刀右京氏。
 そんな小説版「AGE」には歴代ガンダムをオマージュしたと思われるセリフや展開・小ネタが随所に用意されており、特に「1st」のオマージュである第一部・フリット編では1stをオマージュした、「富野節」めいた台詞がそこかしこに見受けられます。
 その極致と言えるのがこれ。最終盤でUEの根城にて立ちふさがったUEの指揮官ギーラ・ゾイの大型MS・デファースとの決戦中、Xラウンダー(AGE世界におけるニュータイプ的存在)の力を開放したフリットに対するギーラの一言です。
 これは確かに富野さんっぽい。助詞に「あの黄金の輝き『が』」ではなく『は』をチョイスするあたりが特に。
 この後の「ユリンはユリンなんだぞ!」からも富野さんめいたアトモスフィアを感じます。

駄弁者:
 最新のガンダムは、旧作のオマージュでずいぶん盛り上がっているようですが、こちらは一つ前のガンダムからですね。
>ハイパーなプレッシャー
 ニュータイプの力を「プレッシャー」と表現したのは(Zガンダムあたりからだったでしょうか)印象的でしたが、そこに「ハイパーな」と付けてしまうと、何かチープな感じが。



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