SF名文句・迷文句第317集

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「わたしは夢を見ているのだろうか、グレゴール?」
カーは笑った。
「かもしれない。しかし、だとすれば全員同じ夢を見ていることになる。しかし、わたしの知るかぎりでは、それが現実と呼ばれるはずだ」

 出典: デイヴィッド・ウィングローヴ「生ける闇の結婚(チョンクオ風雲録16)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ガニメデを中心にキム・ワード率いる移民船団はエリダヌスへひた走る。
 ある日、同行する宇宙船<ザ・ニュー・ホープ>搭乗のグレゴール・カーからの通信を受ける。周囲の星々が、視界からも、計器上からも消えていたのだ。
 うろたえるキムに混ぜ返すカー。
 なかなか上手いことを言ってくれますね。確かに、夢と現実の違いとは他人の存在によって区別されるというのはうなずけます。さすがは実際家のカーです。

駄弁者:
 「それが全員である保証は?」とか「他人の存在自体が夢だという可能性は?」とか要らん可能性を考えていたら、実際家にはなれないですよねー。



私は、パイロット支援啓発システム。
あなたがより多くの成果を獲得することで、存在意義を達成する。
この空と海の全てが、あなたに可能性をもたらすだろう。
生存せよ。探求せよ。
その命に、最大の成果を期待する。

 出典: 村田和也監督・虚淵玄脚本「翠星のガルガンティア」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 遠い未来。宇宙に進出した人類は人類史上初の統一政体「人類銀河同盟」を結成し、謎の宇宙生物ヒディアーズとの果て無き戦争を長きにわたって続けていた。人類は強大な戦力を有するヒディアーズに対抗すべく生まれてきた子供の選別を行い始め、戦闘に適性を示さない者は人類社会から淘汰されていくようになる。
 人類は新型兵器ディメンストリウムを戦線投入し、ヒディアーズの堅牢な宇宙要塞に対し何度目かの総攻撃を仕掛ける。しかし想定以上の戦力を有していたヒディアーズの前にディメンストリウムを擁するヘクサエレナ主力艦隊は壊滅。人型兵器マシンキャリバー「チェインバー」のパイロット・レド少尉は奮戦するも、切り札を失ったために他の部隊同様撤退命令を受け、やむをえず撤退した。
 しかし空母ラモラックへの帰投コースを辿るレドを、ヒディアーズが奇襲する。ヒディアーズを撃破することには成功したものの、レドはラモラックの空間転移に間に合わず本隊とはぐれてしまう。
 半年のチェインバー内でのコールドスリープの果てに、レドは銀河同盟に属さないある惑星へと辿り着く。そこにあったのは広大な海と銀河同盟標準語の通じない人々、そして銀河同盟の標準レベルから大きく後退した文明だった。チェインバーは天体のデータを元に現在位置を解析。そこはかつて氷河期を迎えて滅びたはずの、人類生誕の地・地球であった…。
 脚本にあの虚淵氏を迎えたことで話題となった本作。ガルガンティア・ヴァルヴレイヴ・マジェスティックプリンスと3つのロボットアニメが争う形となった4月アニメですが、シリアスな笑いと崩壊しまくった設定でネタアニメとしての地位を得たヴァルヴレ、正統派の王道ロボットアニメの道を行くマジェプリ、綿密なSF設定と設定の各所に張り巡らされた謎、レドと地球人類とのふれあいをメインとしたガルガンと、差別化はできていたと思います(ヴァルヴレは制作サイドの想定とは逸れた方向に行った気はしますが)。
 「かつての文明を細々と利用して何とか生き残る人類」という設定はかの3DSTGの名作「パンツァードラグーン」のようでいい感じでした。シナリオも、ガルガンが一番力を入れていた気がします。
というわけで今回の名文句ですが、ネタバレ上等の内容です(以下ネタバレ)
 地球に残る文明の遺跡に接触すべくガルガンティア船団を離れたレドが見たのは、ヒディアーズの起源が地球にあったという、同盟の教義に反する驚愕の事実だった。そんな衝撃を受けるレドの前に、かつての上官クーゲルとその愛機ストライカー、そしてクーゲル率いる謎の船団が現れる。
 クーゲルの船団は、クーゲルのマシンキャリバー・ストライカーを神体として崇めることで成り立つ宗教組織のようなコミュニティだった。風土病を患い無菌の環境であるストライカーのコックピットから出られなくなったクーゲルは「ストライカーの信仰を頂点に成り立つ船団のコミュニティは集団生活の理想であり、地球全体にマシンキャリバーの力を使ってこれを広めていくべき」と、ストライカーの通信装置を介してレドに原隊への復帰を要請する。
 だが、ガルガンティア船団の人々と触れ合ったことで「自分で考える」事を思い出したレドはクーゲルの方針に疑問を感じ、クーゲル船団が「集団生活に適さぬ者を切り捨てることで成り立っている」ことを知る。さらにはクーゲル船団の次なる「啓蒙」の目標がかつて自分を拾ってくれたガルガンティア船団だと知ったことでレドはチェインバーを駆って離反。クーゲルのストライカーとの一騎打ちにもつれ込む。
 ストライカーのコックピットを開けクーゲルの説得を試みたレドだったが、クーゲルは既に死んでいた。全てはクーゲルの意思を曲解し、暴走したストライカーの独断だったのである。圧倒的性能を誇るストライカーを前に苦戦するチェインバー。レドは自分の命を捨ててでもストライカーと相打ちに持って行こうとするが、戦いの最中「死にたくない、ガルガンティア船団に戻りたい」と本心を吐露してしまう。そんなレドをチェインバーは「パイロット適性なし」とコクピットをパージ。レドに今回投稿の言葉をかけ、ただ一機暴走するストライカーへと向かっていくのだった…。
ネタバレ終了。
 「パイロット支援啓発システム」として、レドの相棒となって戦ってきたチェインバー。当初こそ「(同盟に従っていないなら)船団を武力制圧しよう」などと言い出すいかにもな同盟仕込みのAIといった感じだったのですが、気づかないうちにパイロットの、そして周囲の影響を受けて成長していたことが分かる一言でした。同じ主の影響を受けたAIでも、曲解して狂っていってしまったストライカーと、生きるために選択を続けてきたレドと共にあり、その中で成長したチェインバーは対照的ですね。
 一人称が「当機」でレドを「貴官」と呼んでいたチェインバーが、この時に限り「私」という一人称を使いレドを「あなた」と呼んでいたのも印象的でした。タチコマのようにゴーストが宿ったのでしょうか。それとも、成長する中で生じた一時のバグに過ぎなかったのでしょうか。
 近年の萌えとか百合とかを散りばめたロボットアニメとはまた違った趣があるいい作品でした。管理人さんも是非。

駄弁者:
 丁寧なご紹介、ありがとうございます。
 操縦者としての相棒を「支援啓発」するだけでなく、その人生やアイデンティティまでを支援しようとしたわけですね。そんなAIが、さらに相棒の人生だけでなく彼を含む人類全体を啓発しようとしたとしたら…。



こういっちゃなんだが、提督。あんたがここに来てくれて、心からほっとしたよ。この芝居はおれにとっちゃ、ひどい悪夢だったんだ。

 出典: ティモシイ・ザーン「スター・ウォーズ 未来への展望」(富永和子訳)

紹介 :JNR201 様
HP :

コメント:
 スター・ウォーズのスピンオフより「スローン大提督、復活!?」というとってもセンセーショナルな二部作のクライマックス・シーン。
 帝国軍最高司令官ギラッド・ペレオン提督が決断した新共和国との和平交渉。それに反発する帝国軍少佐グロディン・ティアスとモフ・ディズラが企んだ、スローン大提督を復活させる――ただし、偽物のスローンを、という計画。その立役者として完璧にスローン大提督を演じてみせた、詐欺師フリムの台詞。
 作品終盤、スローンのニセの「復活」とその真実を知り惑星ビルブリンギでの戦闘の場に踏み込んだペレオン提督は、「スローン大提督」の座す帝国軍戦艦<リレントレス>のブリッジで真相を暴露し、陰謀を失敗に追い込みます。
 ディズラらを失脚させ最高司令官の座を取り戻したペレオンの指示を受け、まさにスローンそのものといっていい言葉と仕草で全艦隊に戦闘の中止を命じたフリムは、艦橋を去る間際にペレオンにこの台詞を語ったのでした。

駄弁者:
>「スローン大提督、復活!?」
 映像でしかスターウォーズを知らない方にとっては復活、偽物以前にスローンって誰、というところなのですが、同じ作者の「スローン三部作」を読んだ人にとっては注目のキャッチフレーズ。
 エピソード7に登場しないでしょうか。



「This is amazing」

 出典: H・G・ウェルズ原作・バル・リンドン脚本・バイロン・ハスキン監督「宇宙戦争」(映画・1953年版)

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 言わずと知れたH・G・ウェルズの代表作、その最初の映画化より。舞台は19世紀後半期のイギリスから20世紀のアメリカに移されているが、最後のオチは原作と同じである。
 ロス・アンジェルス市郊外に落下した隕石の中から、奇妙な戦闘機械が現れた。その機械は三本の光の束に支えられ、空中を自在に移動する。上記投稿の台詞は、その機械を初めて見たマン将軍(レス・トレメイン)に飛行原理を尋ねられた主人公フォレスター博士(ジーン・バリー)が、「強い磁力線で重力を相殺しているのだろう」と憶測を述べたあとに呟いた一言。DVDの日本語字幕(翻訳・飯島永昭)ではひらがな五文字で「すばらしい」とだけ訳されていたその一言を、敢えて原語のまま投稿した。この台詞の直後、フォレスター博士は一瞬ニヤリと笑う。知的好奇心丸解りのリアクションに、見ているこっちまでがニヤリとさせられてしまう。もっとも、「あれを捕獲して下さい。ぜひ研究したい」と言い出さないだけ奥ゆかしいと見るべきだろう。
 ちなみにこの台詞、ずいぶん昔にテレビ東京で放送された時の日本語吹き替えでは「驚異という他は無い」となっており、かなり原語に近いニュアンスだった。いずれにしろ、隣で聞いていた将軍としては「脅威という他は無い」と思っただろうが……。

駄弁者:
 元祖『宇宙戦争』が掲載されたのが「アメージング・ストリーズ」だったことからのシャレ…というのは、まあ無いと思いますが。



「あんたらも泣くのが嫌なら無理矢理にでも笑うのよ」

 出典: 大野安之「That’s! イズミコ」

紹介 :hemge 様
HP :

コメント:
 このままならみんな死ぬかもーっやめてーって言ってるのに、こんな風に返されたらどうしようもありません。
 この一言の余りのかっこよさに座右の銘になってますが、実践されると周りは迷惑かもしれませんねぇ。
 最近一部紙で復刊されましたが、確か掲載されてなかったような気がするので、Jコミの該当ページを以下に。

駄弁者:
 はじめてご投稿いただいた作品かと思ったら、だいぶ前にありましたね。
>「あんたらも泣くのが嫌なら無理矢理にでも笑うのよ」
 自分や周りを鼓舞するためのやせ我慢だとしたら、あっぱれな名文句! …だけど泣く原因がそう言っている当人にある場合、素直に笑えません。



「早口すぎる翻訳不能」

 出典: 赤井孝美監督・脚本「八岐之大蛇の逆襲」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 ガイナックスの前身ゼネラルプロダクツは怪傑のーてんきなどのアマチュア特撮を作っていましたが、そんな彼らの初のプロ作品である八岐之大蛇の逆襲より。
 当時、新作の怪獣映画もなくて、鳥無き里のコウモリというかこの作品のビデオを買ったのも今となってはいい思い出です。
 二千年眠っていた、蛙みたいな宇宙人が強化したヤマタノオロチを使い再び侵略活動を開始するが、その際遺跡に触った女性考古学者が巻き込まれてパイロットにされるという。
 ただ、宇宙人が戦闘に向かない呑気な人たちで、しかも文句を言っても上記の文句で返される事も多々あるという…。なんだか印象深く残ってしまった台詞です。

駄弁者:
 戦闘もさることながら、二千年間も翻訳技術を向上させず寝こけていたことからしても、侵略自体向いているとは思えない(笑)。



「デスザラスは俺達を裏切った…だが捨てられるのは嫌だ。だから見捨ててやるさ」

 出典: 東映制作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーV(ビクトリー)最終話『激突!要塞vsビクトリー合体』」

紹介 :W”MONSTER 様
HP :

コメント:
 トランスフォーマーの和製TVアニメから。
 デスザラスを破壊大帝に頂くデストロン一派は、相次ぐエネルギー強奪によって巨大な暗黒要塞の復活を成し遂げます。そして隕石爆弾を地球に落としてきます…陽動に差し向けていた配下の恐竜戦隊を巻き込んで。
 恐竜戦隊のリーダー・ゴウリュウは部下共々サイバトロンの救護室に運び込まれ、見限られたことを痛感。要塞の急所を教えるのですが、その動機が手当ての借りを返すとかでなく、上記の台詞。部下とは互いにかばいあったこともあるゴウリュウには、上司の在り方として受け入れがたかったのですな。ブラック企業が取り沙汰される昨今、ふと思い出された台詞です。
 なお、デスザラスと要塞がサイバトロンに敗れた後、ゴウリュウ以下恐竜戦隊は赦されたようで、土木工事や遊園地に再就職していました。鶏口となるも牛後となるなかれ。

駄弁者:
 ブラック企業から脱する社員というよりは、実績のあるプロジェクトチームが丸ごとライバル企業に鞍替えするノリに近いような気もしますが。
>鶏口となるも牛後となるなかれ
 『午後の恐竜』ならぬ『牛後の恐竜』。…じゃなくて、土木工事や遊園地に就職したんなら、鶏口牛後には当たらないんじゃないか…それとも外注を受けている?



なるほどプロの歴史家連中に言わせりゃ、ヨンカーズのあの戦争は、現代軍事組織の決定的な破綻とやらを示す格好の見本ってことになるんだろう。軍隊が最新の戦闘技術にやっとこさ習熟したころにはもう新しいタイプの戦争がはじまっているという昔ながらのことわざの正しさを証明しているんだ、と。俺に言わせりゃ、そいつはチトふかしすぎってもんだ。たしかに俺らは準備不足だったし、装備や訓練、さっき話したことのいっさいがっさい、これ以上ないってくらいにムチャクチャお粗末だったのはもう絶対確実なんだが、本当の意味で威力をなくしたのは工場で組み立てられるような兵器じゃない。
ものすごく古い…戦争と同じくらい古い兵器、恐怖という名の兵器だ。

 出典: マックス・ブルックス「WORLD WAR Z」(浜野アキオ訳)

紹介 :naijel 様
HP :
https://mobile.twitter.com/naijel/tweets

コメント:
 ゾンビ小説の集大成として話題になった映画化原作。
 中国で発生した、死者を蘇らせ、人間を襲うゾンビを生み出す疫病。それは違法臓器移植のルートから世界中に感染拡大、世界規模の「おおいなるパニック」による既存のすべての組織が崩壊の危機に立たされ、なしくずしにゾンビに対する戦争が始まる。
 この本は対ゾンビ戦争集結から十年後、国連の調査報告書から削除された「人間的な証言」を集めた、当時を生き延びた人々の証言集である。
 ここで取り上げたのはアメリカ陸軍で狙撃手を務めていたトッド・ワイオニ、頭を潰さない限りどれだけ弾丸を打ち込んでも死なないゾンビ、それは重火器でも同じで致命的な攻撃を与えることができない。
 おまけに兵士全体をリンクしているネットワークで自分たちが数万のゾンビの群れと対していることを見せつけられ、軍隊が総崩れになっていく。原因は、一番人間にとって厄介な兵器である、恐怖や畏怖という感情を相手が一切持っていないことにあった…。

駄弁者:
 無人兵器やロボット兵器がもう少し発達した近未来だったなら、あるいはゾンビに対しても有効に対処できたかも。
 お互い感情をもたないロボットとゾンビの最終戦争なんて、もっとも見たくない類の未来図ですが…。



「まったくおれともあろう者が、自分の仕掛けた罠にはまるとは」

 出典: エドモンド・ハミルトン「ラジウム怪盗団現る!」(野田昌宏訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 キャプテン・フューチャーって「太陽系最高の頭脳」の持ち主の割に、
 どの巻でも罠にかかりすぎとコメントしようと思ったのですが、
 アニメのオープニングによると「宇宙最大の科学者」だそうで、何が最大なんだ?。
 罠マニア度最大なんだろうか?。

駄弁者:
 自分の仕掛けた罠ならば、仕掛けたやつが最高の頭脳の持ち主だからしかたない、と言い訳できたんでしょうけど。
>罠マニア度最大
 そしてSTのカークたちは牢屋マニア度最大。 罠にはまったり牢屋にぶち込まれたりするのは、スペオペ主人公の義務なんんでしょう、きっと…。



その力で、我々は8歳の子供が両親を銃殺されたりしない社会を
手に入れる事が出来たんだ!!

 出典: 「ジャスティス・リーグ 『より良き世界 part2』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 ルーサーの殺害後、地球上からヴィランや犯罪者を一掃し、各国の国家元首達を自分達の管理下に置いたスーパーマン達ジャスティス・ローズ。
 バットマンによりかつての自分達の世界同様、ヴィラン達がのさばる平行世界の存在を知ったジャスティス・ローズは、その世界における自分達であるジャスティス・リーグを罠にかけて拘束、彼らに成りすまして『世界平和』のため暗躍を開始します。
 なんとか縛を逃れ、負傷したホークガールの入院しているアーカム療養所に向かう仲間達と別行動をとり、次元間移動装置の開発者――平行世界の自分――のいるバットケイブに乗り込むリーグ・バットマン。そんな彼の行動を予測して待ち構えていたローズ・バットマンとリーグ・バットマンの互いの力と技と舌鋒を駆使して繰り広げられる死闘。
 犯罪や暴力に対して無力な民主主義の欠陥を指摘するローズ・バットマンに対して、所詮権力を欲したにすぎないと糾弾するリーグ・バットマン、それに対して投稿の台詞を返したローズ・バットマンにリーグ・バットマンは「お前の勝ちだ…」と認め、彼の軍門に下ってしまいます。
 「ジャスティス・リーグ」以前からレギュラーシリーズで主役を張っていたバットマンには、本作においてその内面を深く掘り下げたエピソードは存在せず、それゆえ彼の原点である『子供の頃目の前で犯罪者に両親を射殺され、それが犯罪そのものへの激しい憤りとなり、犯罪撲滅に生涯の総てを懸ける事を誓った。』は特に振り返られる事はありませんでした。
 なかば忘れかけられてた原点、犯罪も犯罪者も存在しない管理社会を築き維持するローズ・バットマンが単なる悪役ではなく、違う正義を信じて行う者として視聴者の目に映るのはその原点を忘れたからでなく、(リーグ・バットマン以上に)忠実である所が大きいでしょう。
 もっともローズ・バットマンは支配体制が整った後はバットケイブに隠棲(次元間移動装置も暇つぶしに作った)していた世捨て人で、ローズの活動に対してどこか消極的かつ懐疑的でした。そんな彼はちょっとした事で市民が警察に連行されていく清潔なゴッサム・シティの有様を見て「父さんもお前を誇りに思うだろう」という皮肉を吐くリーグ・バットマンに言葉を返す事ができず、結果として…詳しくは本編鑑賞にて。

駄弁者:
 「ジャスティス・ローズ」にしても、前のご投稿のコメントで引き合いにだした別作品のスーパーマンにしても、全体主義に走ってしまうヒーローが頻出するのは、アメリカ人が一番恐れ嫌うのがそれだからなんでしょうね。ジャスティスとリバティが対立するときは、どうしてもリバティを選んでしまう。



充分すぎる…

 出典: 高松信司監督「機動新世紀ガンダムX」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 旧連邦政府の再建をもくろむ政府再建委員会によって、捕獲されたフリーデン。
 逃亡を図るフリーデンクルーではあったが、色々と因縁のあるエニル・エルを負傷者として収容していたことから、彼女から逃亡計画が漏れてしまう。
 エニル共々移送されるフリーデンの船医テクスは、エニルに計画を話したのは失敗だったが、医師としてはベストの選択だったと告げる(この人は患者第一の立派な人です)。
 それを聞いて罪滅ぼしと称して胸元をはだけるエニルに対して、相好を崩すテクスであった。
「お色気ねーちゃん」(ガロード談)に良い物見せて貰いやがって、と思う視聴者が次に目にしたのは、胸の谷間から取り出した閃光手榴弾で護送兵の動きを止め、KOしてしまうエニルの勇姿でありましたとさ。
 エニルはシャワー室にも銃を持ち込むほどの人間なんで、納得のシーンではあるのですがね。視聴者の興味を引くには充分すぎるセリフです。

駄弁者:
 エニル・エルをググると検索候補に上がるのは、
「エニル・エル シャワーシーン」
「エニル・エル 乳揺れ」
…視聴者の皆さんも閃光手榴弾の餌食になること間違いなしです。



バイオロボとバイオマンは一心同体
鋼鉄の身体は俺達の肌!
エネルギー回路は俺達の熱き血潮!
唸るエンジンは俺達のハート!
立ち上がれ!バイオロボ!!

 出典: 東映制作「超電子バイオマン 第3話『わが友バイオロボ』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 カブトカンス、デビルカンスと二機のメカジャイガン(新帝国ギアの巨大ロボ)をバイオマンに破壊された総統ドクターマンは、バイオマン最大の戦力であるバイオロボを破壊すべく最強のメカジャイガン、ゴリラカンスを送り込む。ゴリラカンス出現時にちょうど整備中だったバイオロボは、高杉真吾(グリーンツー)がうっかり置き忘れたスパナが戦闘中に回路を破壊してしまい大ピンチに陥ってしまう。応急処置としてグリーンツーが自分の肉体で回路を繋ぎなんとか脱出したものの、山中でバイオロボは行動不能になってしまった。
 失神した真吾の解放とバイオロボの護りを仲間にまかせ、基地バイオベースに修理部品を取りに行ったレッドワン。だが、ギアの幹部モンスターと、その部下ジュウオウの襲撃を受け窮地に陥ってしまう。グリーンツー達が駆けつけてなんとか撃退したが、今度はバイオロボがゴリラカンスに発見されてしまった。バイオマンはバイオロボの元に急行し、急いで修理。レッドワンの投稿の台詞と共にバイオロボは復活しゴリラカンスを倒すのだった。

駄弁者:
 そんな大切なものにうっかりスパナを置き忘れるなよと言いたいところですが、身をもって回路を繋いでいるあたり「回路は俺達の熱き血潮!」はあながち間違ってないんですね…。



あれが……あれが神がかった舞台の果てに現われる、客人神まろうどかみ)の藝か!あれが猿田彦というものか!

 出典: 小太刀右京「マクロス30 銀河を繋ぐ歌声」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 マクロス30周年記念作品であるPS3用ゲームソフトマクロス30のノベライズから。
 マクロス30は今までに出た複数のマクロス作品のキャラクターが一つの時代に集まるというクロスオーバー物です。
 さて文句の場面ですが、クライマックスでシェリルやサラ、ミレーヌたち各作品の歌姫が歌い舞台が高まってきたところで、もうすぐ神が降りてくるとアルトとサラが言った直後やってきた熱気バサラ見たアルトの感想。
 遂に神になってしまったよ熱気バサラ…
 ほんとおいしい所持ってくよなぁ……

駄弁者:
 マクロスも30年になるのかぁ(…そういえば、昼にテレビでやってた頃小学生だった)。
>あれが猿田彦というものか!
 手塚マンガのごとく鼻が巨大化してきたら、さすがのバサラも落ち込むだろうか。



そもそも野尻さんが
ちゃんとしたSF作家だった
というのは驚きだった。
…(中略)…
ネットと宇宙の清く正しい未来。5年ぶりのまぎれもない最新刊

 出典: 川上量生「『南極点のピアピア動画』解説」

紹介 :黒竜王V 様
HP :

コメント:
我々火浦功ファンは13年待ち続け、そして今も待ち続けているんやで……
……それはそれとして帯のあおり文句から。
前半はドワンゴの川上会長による本文解説より。
ニコニコ大百科だと本人がSFとか言われる尻Pに対する、ある意味正しい評価ですが……ねぇ?
そして後半の、清く正しい上げて落とすっぷり。
確かにパンツ飛ばすよりは原稿上げて欲しい。
<以下、ネタばれを含みます>
余談ですが、
そもそもの彗星がジェット気流や宇宙蜘蛛をもたらすための星間文明の産物では無いか?
と言う疑問をツイッター上で野尻先生にぶつけたら、肯定も否定もされませんでした。

駄弁者:
 『ふわふわの泉』も『ロケットガール』も『クレギオン』も、ハヤカワで復刊された(またはその予定)なんですが、「まぎれもない最新刊」は、次はいつになることやら。…そういえば『銀河博物誌』は?



「ちなみに、なんなんだ?相対性理論って」
「光と空間と時間はとても強い信頼関係で結ばれていて、その信頼関係を守るために時間や空間が妥協するのが特殊相対性理論。さらに重力のせいで、時間と空間がもっと妥協しなければならなくなるのが一般相対性理論」

 出典: 河野裕「サクラダリセット」

紹介 :シドラード 様
HP :

コメント:
 この作品は時間を巻き戻せるヒロインと時間遡行にあっても記憶を保持できる主人公のコンビによる一種の変則的なタイムリープを主軸に据えた物語なのですが、このセリフそのものはあまり本筋には関係ありません。しかし、それゆえに単体で全く問題ないのと個人的にオモシロイと思った比喩表現だったので投稿しました。このセリフに至った状況的には、パートナーと別のヒロインとよく会話するようになって、三角関係やらを期待する友人にどんな会話をしてるんだと追求された時に相対性理論の話とかと答えた後のセリフです。

駄弁者:
>三角関係やらを期待する友人に…
 うん、確かに三角関係の話ですね。…妥協もせず絶対マイペースな光さん最強。



「行くぜ、ワタル! ヒーロー協定第1条、『ヒーローは常に弱き者の味方でなければならない』! 俺達の手で守ろうぜ!」
…(中略)…
「ヒーロー協定第2条――『ヒーローは互いの正義を尊重しなければならない』。僕がトオルさんの正義を尊重すれば、違反にはなりません! 後は頼みました!」
…(中略)…
「後はあたしに任せて! ヒーロー協定第3条、『ヒーローは一般人に正体を知られてはならない』! 地球が壊れちゃったら、正体も何も無いもんね! 魔法の木刀でデイストーンさんをひとっ飛び〜♪」
…(中略)…
「こちらステーション。ヒーロー協定第4条。『ヒーローは子供達の模範でなければならない』。誰もいない宇宙でも恰好悪い所は見せられません。デイストーン、キャプチャーします」
…(中略)… 「そしてヒーロー協定第5条……、『ヒーローは最後まで諦めてはならない』。まったく、悪の組織に教えられるとは。もう危険物は無いよな?」

 出典: 田口仙年堂「コッペとBB団」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 八尾洋子さんが以前投稿されたライトノベルからの名文句です。
 Q三郎・K次郎戦がQ三郎の勝利で決着したのも束の間、最後の力でK次郎はうまい棒のデイストーンを暴走させ、制御不能のエネルギーが地球に危機をもたらします。
 停止操作も受け付けない状況でQ三郎が出した結論は、デイストーンの宇宙投棄。
 果たしてそれが可能なのか思案するライトドライバーでしたが、コッペ・他のヒーロー達との協力によってこれを達成します。
 今回の名文句は、ヒーロー達がデイストーンを宇宙に投棄する際に言ったヒーロー達の協定です。
 弱者の味方をし、相手の考えを尊重し、自分のしている事を必要以上にひけらかさず、子供達の手本となり、そして最後まで諦めない……。ヒーローのみならず大切な事だと思います。

駄弁者:
 ご投稿の少し後の「エピローグ」によると、世界に悪の組織は一つだが(この作品ではそうらしいです)、正義の味方は所属する団体がたくさんあるため対立が多いんだそうな。
 とくに第2条がないと、正義の定義論争になってしまうだろうしなあ。



フッ…怪獣はあらゆる次元に出現するのだ
当然それを迎え撃つ…ウルトラ戦士もな

 出典: 円谷プロダクション製作「ウルトラマン列伝『ベリアル陛下降臨!百体怪獣総進撃!?』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ウルトラマンゼロがナビゲーターを勤め過去のウルトラマンの活躍を紹介するウルトラマン列伝。その記念すべき放送百回目にウルトラマンベリアルが電波怪獣ビーコンを使い番組をジャックし部下のダークネスファイブと共に怪獣を百体紹介する特別番組を放送する。非道な宇宙人の作戦を評価したりコメディチックな怪獣にツッコミを入れつつ番組は進行し「レア中のレア」と紹介されたのが『ザ☆ウルトラマン』の雲怪獣レッドスモーギ。アニメ作品であることに驚く部下達にベリアルは投稿の台詞で答える
 そして水しぶきや夕日の作画の美しさを褒め称えたり、ベリアルが自分もアニメ化する野望を燃やしていると一体一体を丁寧に解説していたツケがまわり予定していた百体を二割も消化できずに放送時間がなくなり「延長しろ!」とベリアルが大暴れする中放送ジャックは終ったのでした。
 ジョーニアスの活躍はアニメで描かれた話じゃなくて2次元での出来事なんですね陛下

駄弁者:
>アニメで描かれた話じゃなくて2次元での出来事なんですね陛下
 異次元で実際にあった出来事なのに、作画の美しさを褒めるのはおかしいんじゃ…?



「好きな言葉は…正義ジャスティス)!!」

 出典: 岩永亮太郎「パンプキン・シザーズ 第52話『1日目:名も無き死』」「同 第81話『JUSTICE』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 まったく同じセリフをまったく違う場面で言わせる演出って、ありふれてるけど、きまるとカッコいいよね! ってことで…
 このセリフで初登場時した儀典局蒼華聖剣隊ハーケンマイヤー三等武官は、「正義」を信じ、「英雄」に憧れる、無邪気で純粋な、ちょっとお調子者の好人物でした。
 しかし、折しも帝都を襲ったアンチ・アレスの大規模なテロ。
 圧倒的な暴力の前に彼女の「正義」など通用せず、「英雄」などどこにもいない。
 自分の無力さに打ちひしがれ、誇りであった儀典局の制服を毛布で隠し、ただうずくまるしかなかった。
 しかし、目の前で一人の看護婦が幼い少女をかばって、血だらけになりながらもテロリストに対して啖呵を切ったのを目撃したとき、彼女は思わずその場に駆け出していた。
「正義」の無力さを知り、「英雄」を求める心の身勝手さを知り、しかしそれでも、いや、だからこそ、彼女は今こそ声の限り叫ぶ!
「好きな言葉はッ 正義(ジャスティス)!!」
 まったく同じセリフですが、重みがまったく違います。この叫びが、事実上テロリストへの反撃の狼煙となるのでした。

駄弁者:
 だいぶ前に山本弘「奥歯のスイッチを入れろ」から、呼応するような名文句が投稿されていたのを連想しました。
 テロリストが好きな言葉も彼らなりの「正義」だったりするのだと思いますが、それでもなお同じ叫びをあげられるようになれば、さらに重みが増すのだろうと思います。



老いているにもかかわらず
この眼力…
この迫力…
今まで出遭った男たちの中でも最高かもしれん…
…これは長い時間クソ重い荷物を背負い続けてきた男の体だ…
はっきり言って生きているのが奇跡……全く
大した野郎だ!!

 出典: ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ 第35話」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ついにコミックスでも最終回を迎えたテルマエ・ロマエから投稿します。
 以前猫玉様の投稿された時点から話は進み、ルシウスへの愛情を自覚して苦悩する小達さつき。ルシウスに再会するために、何とかバイアエの浴場の発掘調査を行おうとするのですが、いかんせん先立つものがない。それを見かねた祖父の鉄蔵は知り合い(といっても大会社の会長や大物政治家)にスポンサーになってもらうべく奔走し、ついに調査を現実のものにしてしまいます。
 しかし、その後風呂に入り、今度は鉄蔵自身がタイムスリップ。古代ローマに行ってしまいます。テルマエで傷病兵を得意のマッサージで治療し、それを知ったアントニヌスによって、ハドリアヌス帝にマッサージをすることになったのだが…。
 投稿した台詞は、鉄蔵によるハドリアヌスの評価で、目の前の人物が何者か知らないにもかかわらず、的確な評価を下しているところに、鉄蔵の眼力の確かさが伝わってきます。それにしてもこの人、いきなり古代ローマに来たっていうのに全く動揺していないどころか、金まで稼いでメシ食って、コロッセオで剣闘士の試合まで見てる…。なんちゅう肝の太さだ…

駄弁者:
 最終巻が出てから、だいぶ経っての掲載になってしまいました。
 鉄蔵さんは、「知り合いへの奔走」部分が縦横無尽すぎて、ハドリアヌスの人物を見抜くぐらいは余技に感じられてしまうのが困ったところです(確かにタイムスリップして動じないというのが一番すごいハズなんですが…)。
 「テルマエ・ロマエ」、1巻が出たときに冬寂堂さんからのご投稿がきっかけで読み始めたものですが、ちょっと長く続けすぎてしまったな、というのが正直な感想です。逆に、本来一発ネタだっただろうものをここまでよく引っぱった、とも言えますが。



「あ…それより、実はカーレンジャーのレッドレーサーの正体がビノフ…」
「カーレンジャーに正体なんざあるわけねえだろうが」

 出典: 竹本昇監督・荒川稔久脚本「激走戦隊カーレンジャー 第45話『ホントの恋の出発点』」

紹介 :猫玉 様
HP :

コメント:
 戦隊シリーズ随一のコメディというかギャグの作風で知られる激走戦隊カーレンジャーより、宇宙暴走族ボーゾックとボーゾックに滅ぼされた惑星ハザードの生き残りの少年ダップに選ばれた五人が戦う訳ですが、ヒーローといえば正体はあまり知られていません、稀に敵に知られて囚われ拷問された人もいますが、大体は知っててもせいぜい変身してないときに策に嵌めようかというぐらいのものです。
 ところがここでボーゾックはヒーローに正体がある…とはちーとも思っていなかった事実が露見します。カーレンジャーのマスクを生身の顔と思っていたようです。
 ボーゾックの団員EEムスビノフは偶然カーレンジャーのレッドレーサーの正体を知ります(台詞中のビノフは彼特有の語尾です)、大変な事実をつかんだ彼は幹部ガイナモに本部でそれを知らせるものの、このように…。

駄弁者:
>「カーレンジャーに正体なんざあるわけねえだろうが」
 「地球人に化けているカーレーンジャーのレッドが見つかった」と報告すればよかったんだろうか。



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