SF名文句・迷文句第105集

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その短い一瞬、彼は全てを見た。
…(中略)…
秀吉が生まれ、家康が生まれ、未来は同じ昭和となるに違いない。

 出典: 半村良「戦国自衛隊」

紹介 :AAM 様
HP :
http://www5a.biglobe.ne.jp/~amraam/

コメント:
タイムスリップした自衛隊が戦国の歴史を改変しようとする話と見せ掛けて、実は歴史を(無自覚に)改変しようとしていたのはタイムスリップ先の戦国の人々だった……ということでしょうか。 個人的には、このタネ明かしこそが本作品最大のカタルシスだと思っております。

駄弁者:
 ご投稿の文句は原作のラストシーンより。
 歴史を改変したのではなく、伊庭の存在によって変わった流れをもとに戻そうとするが働いた、ともとれますね。もし伊庭らのタイムスリップがなかったら、誰か他の人間が(ひょっとしたら尾張半国の領主が:この部分ネタバレにつき掲載しません)同じ役割を果たしていたんじゃないかと。
 さて、今年は福井晴敏「戦国自衛隊1549」も放映されますが、元祖原作の名に負けないものになっているといいですね。



誰も宇宙を教えることはできない
自分の目で見、一つずつ積み重ねていくしかないんだ
オレはおまえ達の教官ではない
見ろ!彼が…彼がおまえらの教官だ

 出典: 史村翔原作・沖一画「ASTRONAUTS―アストロノーツ―『教官<メッセージ>』」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 スペースシャトルのエースパイロットのカンダとロッキーは新人の教官を命じられるが、2人は自分達に教えるものは無いと引いた態度で新人達に接する。そして訓練の一環で管制センターに入った彼らは、宇宙での船外作業中だった仲間が微小隕石に襲われ死亡するのを目撃する。新人達を気遣って退出を指示する司令官。しかしカンダは彼らを引き止め見続けるように命じます。その最後に理由を述べたのが上のセリフです。
 同時代の米TV「白バイ野郎ジョン&パンチ」を思わせる、ふだんは軽いが決めるところは決める2人がかっこよかったですね〜。では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 とは言っても、もしその新人が失敗をやらかしたり事故って死んだりしたら、責任の方は「彼」でなく自分がぜんぶひっかぶらないといけない。管理職や教育担当というのも難儀な商売ですよね…。



オレたちは……世界一のエゴイストなんだ

 出典: 史村翔原作・沖一画「ASTRONAUTS―アストロノーツ―『序章<Prologue>』」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 ちょっと遅いですが地上波での「プラネティス」終了と「ふたつのスピカ」放送開始を記念して、近年SFマンガの定番となりつつある近未来宇宙開発物をまとめてお送りします。
 まずはこの手の作品の老舗となった講談社で先駆けとなった作品から。ラグランジュポイントを目指すNASAのロケットが途中で事故を起こし、2基の酸素タンクの1つとベテラン船長を失ってしまう。管制センターでは計画の中止を指示、しかし残った2人の乗組員は自力でも計画を続行すると宣言。その1人ジョーに子供ができたので無謀なことは止めて戻って欲しいと恋人のミキは懇願する。それに答えてのジョーのセリフです。彼も間違いなく「フォン・ブラウンを継ぐもの」ですね。では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 「プラネテス」のハチマキやロックスミスに子どもがいないことを考えると、こちらの方が「エゴイスト」としてより筋金入っているような。
 雑誌連載があったのは今から20年も前なんですね……チャレンジャー事故の前かあ。



貴官ノ功績ニヨッテ我ガ軍ノ脅威ハ消エ去ッタ。
マタ貴官ノ戦闘記録ヲ元ニシ、
最新鋭無人戦闘機EOSノ戦闘データモ完成デキタ
ソノ功績ニヨリ 名誉ナコトニ
貴官ハEOS最終テストノ標的トシテ選抜サレタ
オメデトウ。
マタ、戦死ノ際ニハ2階級特進ノ上、シリウス勲章ガ授与サレル。
月ニ栄光アレ、地球ニ慈悲アレ。

 出典: スクウェア製作「アインハンダー」

紹介 :CrossBone 様
HP :

コメント:
PS初期の傑作STGから投稿させていただきます。
月面のセレーネ軍と、地球のゾードム帝国軍との、いつ終わるとも知れない戦い。ゾードム軍を震え上がらせているのは、月から降下してくる異形の戦闘機。機体下に一本の腕を持つその戦闘機“エンディミオン”は、別の名で呼ばれる。
隻腕の者(アインハンダー)と。
このSTG、パワーアップアイテムがなく、相手の武装をもぎ取って装備するという、破天荒なシステムを持っています。
投稿の台詞ですが、軌道上の敵攻撃衛星を撃破した後に入ってくる、セレーネの指揮衛星“ヒュペリオン”のものです。
今までの作戦は無人戦闘機開発のデータ取りに過ぎず、用済みとなったプレーヤーはEOSの標的に。
アインハンダーパイロットの生還率はコンマ以下の確率なのですが、おそらく友軍に消されるパイロットもいた、というメタファーになっているのではないかと私は考えています。

駄弁者:
「エンダーのゲーム」のラストはこういうのでも、話として成立したかもなあ…。



「特許許可する東京特許許可局……」

 出典: サンライズ制作「勇者特急マイトガイン 第16話『ブラックガイン』」

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 ウルトラマンにもニセウルトラマン。ヒーローものにはヒーローの偽物出現、というパターンがよくありますが、この回に登場したブラックガインも、ガインの偽物(コピー)として作られました。にもかかわらず、「正義の心までコピーしてしまった」ために、自分は正義のロボットである、と主張し、舞人たちの仲間になります。一緒にトレーニングしたり、早口言葉がうまく言えなくてくやしがったり、つかの間の楽しい日々。が、彼は、制作者である敵のコントロールマシンに取り憑かれてしまい、敵に戻ってしまいます。心ならずもブラックマイトガインとなった彼を倒した舞人。破壊され、ようやくもとの心に戻ったブラックガインの最後のセリフがこれでした。
 ……まさか特許許可局で泣かされるとは思いませんでした。一番好きなエピソードですが、また泣きそうなので、あまり見たくない回でもあります。

駄弁者:
 私この早口言葉「東京特許許可局」だけだと思ってました。「特許許可する」の部分ははじめて聞いたような…(元ネタを全然見てないし、茶化せそうなシチュでもなさそうなので誤魔化してます)。



「これから時空ダイアグラムについて話すつもりだが、
その前に、各自過去に戻って見てみたいと思う歴史上の出来事を十件だけ書き出してみよう
――もちろん、ショパンの演奏は別にしてだよ」

 出典: クリフォード・A・ピックオーバー「2063年、時空の旅」(青木薫訳)

紹介 :コルホーズの玉ネギ畑 様
HP :

コメント:
前略 ワンストンは時空の性質について滔々と講釈する一方、実験に関しては、(異星)人使いが荒かったりセクハラにも及んだりする、正真正銘のマッドサイエンティスト。
 時は西暦二〇六三年、ところはニューヨーク市の五番街にある音楽博物館。さまざまな文化圏の楽器や、音楽に関係する工芸品が集められている、そんな博物館の館長ワンストンが、
 「かまわんさ。われわれは彼の生演奏を聴くのだから」
と宣言したのが、そもそもの始まり。
 危険な実験の人柱(死なないけど)にされるヴェーユは、木星の第三衛星ガニメデからやってきたゼータモルフで、地中のエアポケットに生息する哲学者。
 セクハラ被害に遭うコンスタンティア・グラドコウスは、モスクワ大学からやってきたIQ168。チェロの音響心理学の専門家で、音楽はワルシャワ大学出。
 以上三名の「われわれ」が会うショパンは、一八二九年のウィーンでの二度目の演奏会。
 成功への道を固めることになる、まさにその現場。
 お話の構造は「第十七章 過去へ!」の実際の旅路である小説パート36ページ分以外は、上記三名の愉快な会話と、小説の章ごとに付記する著者自身による解説で成立。つまるところ、正面切った時間テーマのSFではなく、ちょっとコミカルなSF仕立ての物理学の本なんですよね。
 そのため早川文庫や創元SF文庫といったSFの本家となっている出版社からでなく、天文や物理を中心に中高生以上を読者対象とする、講談社ブルーバックスからのもの。
 しかも時間に関する話題はタイムトラベルにとどまらず、脳の感知の遅れ/先取りや、超光速通信、数珠つなぎの容器からの球の脱出時間、など多方面な脱線気味。
 そのうえでなおSFとして魅力あるものにしているのは、かれら3人が博物館外の空気を吸う、屋外で授業を起こしたとき。この時点でニューヨークは、銀河系のさまざまな連中が集まってくる場所と示唆され、FOPという身体組織の骨化が症状の、いかにもSF的なアイテムも顔を出し。
 博物館館長は二人の副館長に対して傍若無人な態度があまる一方で、今回の名台詞のような、なかなかなロマンチストの一面も。
 ・特殊相対性理論を執筆中のアインシュタイン
 ・楽市楽座
 ・服役中のスターリンの日常
 ・ガリレオ裁判
 ・ビートルズ来日公演
 ・ヒトラーの最期
 ・映画「2001年 宇宙の旅」制作過程
 ・ビーグル号に随行中のダーウィン
 ・万能計算機械を設計中のバベージ
 ・池田屋襲撃
 以上が僕のリストアップ。みなさんなら?
                             早々

駄弁者:
 きっと人によって千差万別の答えが返ってくるでしょうが、私だったら「アレキサンドリア図書館」「ゴルゴタの丘(三日後の方でもいいけど)」「鴻門の会」「出師の表を書いている諸葛孔明」「コンスタンティノープルの陥落」「本能寺(清洲会議も面白そうだな)」「薩長同盟成立の瞬間(そういうシーンがあったとして)」「チンギス・カンが即位したクリルタイ」「ラジオで『宇宙戦争』が放送されたときのニュージャージー」「はじめてとんがり耳のメイクをしたときのレナード・ニモイ(笑)」あたりで。
 いや、それよりあっちの方が……とかなり真剣に悩むことになりそうです。



無論、ラインバーガーは内心ではかなり否定的な見解を抱いていた。現実政治に関わったのは生涯最大の失敗だったという後悔も同時に強まってくる。
 彼は思った。やはり、大学で講義を続け、素晴らしい妻とやんちゃな愛猫の――ジュヌヴィエーヴとキャット・メラニーの待つ家で本に囲まれて生きているべきだったのだろうか。

 出典: 佐藤大輔「侵攻作戦パシフィック・ストーム[1] 対立要因」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 文庫化記念に、ポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガー博士(=コードウェイナー・スミス)の述懐を。
 ……南北戦争の結果、USAとCSA(アメリカ南部連合)とに分裂したアメリカ。後者と慢性的な紛争状態にある前者が、いずれ深刻化するであろう資源問題に備え、日本に戦争を吹っ掛けてくる架空戦記より。
 つまり、ジョゼフ・ケネディ大統領(JFKの父親)率いる1953年のアメリカ合衆国は、戦前の(本来の歴史における)日本の立場に追いやられている訳ですね。
BGM:「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」シカゴ

駄弁者:
 やっぱり出ていましたか…って、別の作品でしたか。
 この名前でピンとくるひとは、たいていキャット・メラニーと聞いてニヤリとするんでしょうね。



「やっぱり、年寄りが十五の男の子でいるってのは妙な感じのするもんでしょうよ。」

 出典: アーシュラ・K・ル・グウィン「ゲド戦記 最後の書 帰還」(清水真砂子訳)

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 ゲド戦記3から最後の書まで16年の間があったそうだが、私に一気に4冊読めて幸せでした。このシリ−ズは一応小学6年、中学以上の児童書に分類されているみたいだが名文句のような言葉を小学生に理解せよというのは、大分無理があり活字が大きくて漢字に振り仮名が打ってある大人の読み物だと私は思います…

駄弁者:
>振り仮名が打ってある大人の読み物
 …ですね。うちの図書館でも、初期3部作はともかく4巻5巻を手にとっていかれるのは大人の方が多い感じですし(「戦記」のタイトルにつられて当てが外れたようすの男の子もいたりしますが)。  それにしても「最後の書」と言いつつ次が出るんだもんなあ…。
>妙な感じのするもんでしょうよ
 逆の見解もあるようですが。



宇宙船を見つけるまではやめないだろうな。
彼は地球にさよならが言いたいんだ……

 出典: 上原正三氏脚本・東條昭平監督「帰ってきたウルトラマン第33話『怪獣使いと少年』」

紹介 :砂漠の狐 様
HP :

コメント:
 天涯孤独の少年は同胞であるはずの町の住人に差別され、虐げられ、心を許せるのは異星人の金山のみ、という設定はあまりにも哀しすぎます。
 このドラマが単に物分りのいいヒーローではない主人公の人間臭い視点によって、一層深い印象を残し、ラスト、地球を脱出して金山の故郷であるメイツ星へ行くことを夢見て最後まで宇宙船を探し続ける少年の姿は、只々観る者をやりきれない気分にさせます。

駄弁者:
 宇宙人と噂され気味悪がられている少年リョウが、ただ一人心を許せた老人・金山。金山の正体は地球に天体観測のため訪れ、今は地球の汚染に蝕まれ死に瀕しているメイツ星人だった。住民の虐待を受けるリョウをかばって金山=メイツ星人が死んだとき、彼が封印していた怪獣ムルチが街を破壊しだす。「怪獣を退治してくれ」と叫ぶ住民たちを郷秀樹は「怪獣をおびきだしたのはお前たちじゃないか…」と突き放すのだった。
 結局、MAT隊長の説得で郷=ウルトラマンは怪獣を倒す。だがリョウは金山が地下に残したはずの宇宙船を求めて穴を掘り続けるのだった…。
 これとか、これとかのせいで脳天気なイメージのある「帰ってきたウルトラマン」ですが、こういう救われないエピソードも入ってるんですね。



「ひとつ、とびっきりの秘密を教えてあげる。…(中略)…これさえ知っていれば、どんな難問も恐くない、どんなつらいこともへっちゃらで、ずっと幸せに暮らしていけるっていう、すっごい秘密なの」
 …(中略)…
「あなた以外に、あなたを止められる人なんて、いやしないのよ」

 出典: 新城十馬「蓬莱学園の革命 1」

紹介 :贋 様
HP :

コメント:
 再び蓬莱学園シリーズ…の最終巻(泣)からです。
 主人公の名は折川育郎、またの名をピエトロ・パルメッティ(日本名とイタリア名のふたつ名を持つ彼ですが、これは単に戸籍上の問題のため)。土木建築研に所属している、冴えない蓬莱学園の1年生ですが、若年にして建築家としての技術・知識・発想力は折り紙つき。
 そんな彼が、学園有数の政治的実力者にしてお金持ちの、野々宮花江の開く<鏡の日>―花江が、学園製とのお願いをひとつだけかなえてくれる日―に、友人の代理として出席することから、物語は始まります。
 花江は育郎/ピエトロを有能な素材だと見抜いて、彼の願い事を特別にかなえようと言い出します。育郎/ピエトロの脳裏には「学園全土をもっと快適なものにしよう」という、壮大な計画がひらめきます。
 が、花江は鉄道委員会のtopのひとなので、そんなことは許すことができません。交通の利便が良くなったら、電車料金を払う生徒が少なくなるから。結局、育郎/ピエトロは、花江の執事に糞味噌に言われて退散します。しかも、もし、その計画を実行しようとしたら、全力で邪魔してやるとまで言われて。
 で、その後、失意の育郎/ピエトロは、ふらふら歩いていたせいで、川に転げ落ちてしまいます。
 が、そこには、川に落ちた楽譜を拾っていた、不思議な雰囲気を持つマリィと名乗る女性教師(?)がいたのですが、育郎/ピエトロは、初対面の彼女に、その日のことをなにもかも話します。
 育郎/ピエトロが、夢をもったその日に夢破れたことを聞いたマリィ。彼女はピエトロをじっと見つめて、ささやきます。それが上のセリフ。
 育郎/ピエトロはこれ一発で元気になって、夢の実現に向けて走り出すわけですが、私もこの部分を読んだとき(高校生のとき)にはシビれました。
 たしかにそのとおりだ、と思って。
 今読み返すと、小林秀雄の「人は何にでもなれるが、自分以外の何かになることはできない」という言葉も思い出したりして、感慨深い言葉です。

駄弁者:
 勇気づけられる言葉ですが、臆病な人間にとっては怖じ気づかされる言葉でもあります…行き着く先が何であろうと止めてくれる人がいないというのは。



「俺はな。あの世にまで何か持っていくほど欲張りじゃなか。そして例外として唯一つ持って行くものは、もう決めている」
「誇りか。大悪党として生きるよりも、小悪党として生きるとでも?」
「……俺が持っていくものは思い出だ。それだけがあれば、それでいい」

 出典: アルファシステム「Return to Gunparade」

紹介 :DS−T 様
HP :

コメント:
 人類の天敵・幻獣に蹂躙される世界。
 八代開戦にて自衛軍を壊滅させられた日本国政府は、本州への幻獣上陸絶対阻止を掲げ、防衛の最前線である九州に熊本要塞を制定し、徴兵した十万人の学生達――いわゆる学兵を、自衛軍再建までの捨て駒として実戦投入することを決定した……。
 会話の二人は、数ある学兵部隊の中でも異端の部類に入る人型戦車部隊5121小隊の隊員であり、政治と経済を牛耳る一大派閥「芝村一族」の密偵でもある人物達です。
 同僚の忠告も聞き入れず、少年はまだ十歳でしかないオペレーターの少女を、安全な本州の療養所に送り届けようとする。その先に待っているのが、組織の権力を私用したことへの制裁であると知っているにも関わらず。
 PSゲーム「高機動幻想ガンパレード・マーチ」の正伝に位置付けられる本作品は、彼みたいに端役扱いだったキャラ達がやけにカッコ良いから好きです。

駄弁者:
 もともとのゲームが発売されたのは2000年、根強い人気ですね。続編もなしで維持しているというのもちょっとしたものなんじゃないでしょうか(メディアミックスはされているけど)。あるいは下手な続編ゲームが作られなかったからこそでしょうか。



「私が死んでもかわりはいるもの」

 出典: GAINAX制作「新世紀エヴァンゲリオン 第壱拾九話『男の戰い』」

紹介 :御影渦音 様
HP :
http://members.ytv.home.ne.jp/egakim_k/index.html

コメント:
 ちょっと前にコミック連載開始十周年を迎えた新世紀エヴァンゲリオンより。全国一千万のアヤナミストを撃墜した名台詞。
 片腕の無い機体で半ば絶望的な戦いに挑む事を命じられた彼女がぼそりと呟いた台詞です。
 改めてアニメを見返してみると、結構さらりと言い捨てているのが意外でした。やはり第弐拾参話の印象の方が強いようです。
 人の命はどうあっても取り返しがつかない。それが何よりも尊いとされる最大の理由でしょう。でも、もしも人に、本当に代わりが居るとしたら?
 ……などというネタを掘り下げる間もなく、アニメは怒涛の最終回を迎えてしまった訳ですが、さて、コミック版はどう決着をつけてくれるものやら。
 余談ですが、某巨大掲示板内エヴァ板のデフォルト名無し(書き込み時に名前欄を記入しなかった時に表示される名前)は「名無しが氏んでも代わりはいるもの」。
改めて考えるとこっちは別の意味で怖いですね。

駄弁者:
 彼女ぐらい他人との関係が希薄であれば、クローンであろうとなかろうと「かわりはいる」ことになってしまうんじゃないかと。公的な役割だけで掛け替えのない人間など、そう多くはないように思います。



ああ、美しきかな、モンキーハンティング問題。こんなのあり得ねえよと突っ込みながら、力学の方程式を組み立てるあの感動。うっとり。やはり実験より理論ですよ、理論!SF作家たるもの、机上の空論ですよ!

 出典: 小林めぐみ「食卓にビールを3『食卓にビールはありません☆密輸篇』」

紹介 :ぜねこんの社員 様
HP :

コメント:
 すっとぼけた語り口が楽しい連作シリーズより。
 主人公(女子高生兼人妻兼SF作家)が、ウサギが逃げた生物部や鳩にパラボラアンテナをフンだらけにされた地学部がドタバタしてるのを横目に見ながら独白。
 彼女は「物理の問題を解くのが好きな連中が先生の呼びかけで集まった集団」であるところの物理同好会の「補修」に出る途中でした。
 確かに机上の空論でなくなったらフィクションではなくなる、のかな?

駄弁者:
 骨組みだけを聞けば机上の空論になってしまうものを、なんとなく実のあるものに思えるような物語に仕立て上げてあげてくれるのが、読む側にとっての醍醐味というものでしょうか。
 ちなみに「モンキーハンティング問題」というのは、ある物体Aが自由落下すると同時にもう一つの物体Bを打ち上げて、落下するAにBを命中させるにはどこを狙えばいいかという問題です。どっちも重力の影響を受けるので、Bが最初にあった位置を狙えばAに必ず命中する、というのが結論。つまり木にぶら下がっているサルを鉄砲で狙って撃ったとき、サルが銃声に驚いて手を離したら、弾は自由落下するサルに当たる…ということ(で、いいのかな?物理は苦手です)。
 実際は他のいろいろな影響があるので百発百中にならない、というところが「机上の空論」たるゆえん。



我々の世界が全宇宙の構造の中でどのような位置にあるか、お前が見たのはおそらくそれだ。つまり、一片の草の葉を形作る原子の一つでしかないということだな。我々に認識できるものすべて、目に見えないウィルスやらオリオン座の馬頭星雲に至るまで、何もかもがたった一枚の草の葉の中にあるとしたらどうだろう? しかも、その草の葉が、悠久の時の流れの中でたかだか一日か二日しか生きていないとしたら? その葉が鎌で刈られたらどうだろう? 葉が枯れ始めると、我々の宇宙も、そこに生きる人間すべても、一緒に枯れて、黄色から茶色に干涸らびていくのではないかね? いや、すでにそれがはじまっているかもしれないのだ。世界は変わった、と我々は言う。もしかすると、世界は本当に乾きだしたのかもしれない。

 出典: スティーブン・キング「暗黒の塔I ガンスリンガー」(池央耿訳)

紹介 :さるたに 様
HP :

コメント:
 はじめまして。いつも楽しく拝見させてもらっています。
 いつもは見てるだけでしたが、20000HIT踏み記念として(笑)初投稿させていただきます。
 長い探索の旅の末、遂に宿敵「黒衣の男」と対峙する主人公ローランド。
 そして黒衣の男に見せられた幻視の中で、ローランドは宇宙が誕生する様と、その果てにある「ただ一枚の草の葉がすべてを埋め尽くしていた」光景を目にします。
 そして黒衣の男は、無数に連なる宇宙の構造と、その広さ大きさについて語り始めます…。
 「マカロニウエスタン風ヒロイックファンタジー」(あとがきより)でありながらSFの香りが漂う本作を象徴している名文句だと感じ、投稿させていただきました。

駄弁者:
 全宇宙が草の葉の一枚だとすると、他の葉や草全体は何を意味するんでしょう…葉の一枚一枚があり得る平行宇宙のひとつひとつで、可能性の草原が広がっている…などというイメージを想像します。
 しかし自分たちがその葉の一原子にすぎないとしたら、葉が枯れる兆候を感じとることはできるのでしょうか?気付かないうちに宇宙ごと乾いてしまうんじゃないかとも思います。
 逆に、私たち一原子が病もうと消えようと、葉全体にはあまり影響はないんでしょうねえ…。



死にゆく者にとって、死は悲劇ではないのです。その死のまえに人生を無駄にすることこそ悲劇なの。

 出典: オースン・スコット・カード「シャドウ・オブ・ヘゲモン」(田中一江訳)

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 シスター・カーロッタのこの言葉には思わず涙が出そうになった・・冷静に考えると非常に危うい言葉で(現在の世界で自爆テロを起こしている人々はこう思って行動しているのであろうから)あるが、この物語の中では淡々と語られるだけに余計、心にしみるものがある。

駄弁者:
 アムステルダムのスラムで天才児ビーンを見出したシスター・カーロッタが残したメッセージより。この作品で一番心をうつだろう名シーンです。
>自爆テロを起こしている人々は…
 いや、彼らは自爆に巻き込む他人の人生を根こそぎ無駄にしているのですから、シスター・カーロッタの言葉でいけば一層罪は重いと思いますよ。



「味方が寝返る……これも戦争の常よ。私達が望んだ世界にはつきもの。ただ、それが……その世界を支えていくはずだったWシリーズの最高傑作だったのは、皮肉だけどね」
「それが……私の戦争なのです」

 出典: パンプレスト製作「スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション2」

紹介 :beko 様
HP :

コメント:
 ゲームからの投稿失礼します。すごいSFなシチュエーションだと思いますので。
 「戦争が永遠に続く世界を作る」という目的をもち、敗れた後も平行世界にまでやって来て目的を果たそうという、実に迷惑な(笑)組織シャドーミラー。
 主人公達の仲間ラミアは、そのシャドーミラーが送り込んだスパイであり、人造人間W17なのですが、周りの人間達と接することにより、徐々に変化していき、最後には、仲間達を助けるために、指令を無視して上官と創造主を巻き込んで自爆します。
 密かに彼女を回収し修復を行った、その創造主と彼女の会話から。
 そもそも兵器に独自の判断力や信条を、持たせることには反対していたのですが、自我の確立に初めて成功した「最高傑作」が、望んだ方向とは正反対に目覚めた、その「自我」の為に自分を裏切る皮肉な結果を、どこか喜んでいる。その気になれば、自我を消すことも、自分に従わせることもできただろうに、そうしない。
 ラミアの方も、「この世界に自分達の居場所はない」と言いながら、その世界の人間達のために戦う決意を決めている。
 どこか矛盾しているのだけど、二人とも人間くさい感じがします。

駄弁者:
 自我のない兵器ばかりの世界と自我をもった人間たちの世界とでは、どちらが「戦争が永遠に続く」かと考えてみると…必ずしも目的と矛盾してないような気もしますが。



「ジョン、お願いしたいことがあります。『マリオン、きみは幸福の意味をつかんだ』とおっしゃって下さい。それから、振り返らずに、ここを出て行って下さい」
突然マーカムは了解した。そうするよりほかにどうしようもないのだ。
「かわいいマリオン、きみは幸福の意味をつかんだだけじゃない。愛の意味をぼくに教えてくれたんだ」

 出典: エドマンド・クーパー「アンドロイド」(小笠原豊樹訳)

紹介 :春休船 様
HP :

コメント:
 舞台は、核戦争(九日間のトランキライザー)勃発後の22世紀。人口激減による労働力確保の為、ロボット技術が向上。遂には人間を補佐し肉体的、そして精神的な行動すら代行できるアンドロイドが登場した時代。
 ジョン・マーカムは冷凍庫の事故によって核戦争前の時代から約150年の時を経て、この時代に甦る。そして目覚めた彼が見たものは、アンドロイドに全てを委ねられた世界であった。
 当該の会話は、アンドロイドの統治が人間の決定意志を奪うものとして反旗を翻したマーカムと、マーカムから教えられた人間的感情に従い、アンドロイドであるにも関わらずマーカムに従ったマリオンAがアンドロイド政権を打倒した直後にかわしたやりとりの最後。
 『愛情』は分からないけれど、自分なりの方法でマーカムを愛しているが故に、『去る』ことを決めていたマリオンA。マーカム達の革命が成功すれば自分の居場所も無くなると悟り、しかしそれでも『人間的感情』故にマーカムに従ったのである。
 『滅びるものこそ美しい』どこからの引用か忘れましたが、まさにそんな感じです…が。
その時代(背景)故の悲劇、でしょうね。時代(背景)が違えばロボットとアンドロイドが掛け合い漫才もするし、猫型宇宙人の行動に悩む(自称)紳士的なコンピュータも居る位ですから。
 まぁ、3大悲劇(ハムレット・オセロ・ロミオとジュリエット)も主人公を取り替えれば悲劇にならないって説もありますから。そう言ってしまっちゃおしまいよ、ですが。(^^;
 余談:当作品での乾杯の音頭に「きみのイド(本能的衝動)の蓋をとれ」「さあ始めよう、リビドー(性欲)」と、ありますが。神林先生もコレ、読んでるのでは?!(笑)(マヘル−シャラル−ハシ−バズの意識解放キーワードに使われてます。『今宵、銀河を杯にして』より)

駄弁者:
 原作は1958年作。ロボットが感情をもてるか、感情をもったロボットと人間との恋愛はあり得るか、というテーマでは古典の部類に入るでしょうか。
 『愛情』は分からないとありますが、その行動はすでにして愛としか言いようがないと思います。
>時代(背景)が違えば…
 この作品のように支配するアンドロイドに人間が反旗を翻すのがあると思えば、逆にAIが独立戦争の指導者になる作品もありますし。



「しっかし、いい時代になったよなー
 巨大ロボットは歩き回る、怪獣は出てくる!」

 出典: 伊藤和典脚本・押井守監督「機動警察パトレイバー アーリーデイズ第三話」

紹介 :青 様
HP :

コメント:
 おなじみのパトレイバーシリーズより、初期OVAの特撮パロディ満載のエピソードから。
 東京湾に謎の巨大生物が!?という食事中の会話で、登場人物の遊馬が口走った迷セリフ。
 そうですね。携帯やネットがなくても、街中を巨大ロボットが闊歩して。海には謎の大怪獣!いるだけで楽しい時代ですよ

駄弁者:
 あとは電子頭脳が反乱を起こして、火星人が攻めてくれば言うことなしですね。



「わたしはどうして松笛くんを好きになったんだろう?」

 出典: 植芝理一「ディスコミュニケーション」

紹介 :北斗 様
HP :

コメント:
 もうひとつは『摩訶不思議恋愛漫画』と銘打たれたこちらの作品から。
 戸川安里香のクラスにいる松笛は、下校途中に突然マンホールから現れるような奇行の目立つ男子。ある日、放課後の教室で校庭を眺めている松笛を見た戸川は、突然彼を好きになってしまう…。思考も行動も謎だらけの松笛に振り回されつつもついて行く戸川の心の中に常にあったのがこの言葉でした。
 答えが出るかどうかは別として、これは誰もが抱く疑問のひとつではないかと自分は思います。それを突き詰めていく過程が恋愛のひとつなのかな、とも。

駄弁者:
 好きになったり好かれたりするときは、そんなもんかも知れませんねえ…実体験が少ないので分かりませんが。
 逆に嫌いになったり嫌われたりするときは、たいてい理由がはっきりしているように思います(こっちは実体験あるし)。



「見たか!これがナマコの戦闘力を持ったナマコ人間だッ!!」

 出典: あさりよしとお「ワッハマン (7)」

紹介 :北斗 様
HP :

コメント:
 今回はアフタヌーンがまだ分厚かった頃の掲載作から(笑)。
 まず、海底も旅して月にも行った笑う超兵器のお話。
 上記台詞は、生物のDNAを取り込むことでその生物の能力を身につけることが出来る(と、云うかその生物まんまになる)CIAの改造人間のもの。当然この後、「ナマコの戦闘力って何だ!?」とボコられます(笑)。
 他に変化した生物と言えばゴキブリにカマドウマにイソギンチャク…ろくなモンになってませんな。どいつもこいつも生命力だけはありそうですが。

駄弁者:
 早川いくを「へんないきもの」に載っているオオイカリナマコの改造人間だったら、少なくとも見てくれのハッタリはききそうです。戦闘力はいざ知らず(一応毒もってるとのことですが)。



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