SF名文句・迷文句第192集

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「かもしれない運転はもうしない方がいいかもしれない」
「そうかもしれない」

 出典: 空知英秋「銀魂 第百二十五訓『かもしれない運転でいけ』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 個人的に銀魂の一話完結の話の中でも特にお気に入りの一つから。
 天人(宇宙人)の言いなりになった幕府を倒して再び日本を侍の国にする事を画策する攘夷志士(要するにテロリスト)の中でも重要人物の一人である桂小太郎はNH星の人気ドラマ「夏のそなた」を見てみようと思ってレンタルビデオ店へと向かうのですが、彼は指名手配犯であるためか身分証明になる物を持っていませんでした。
 そこでキャプテンカツーラという偽名で運転免許を取得することにした彼は偶然にも前話のラストで忍者を轢いて免停になってしまった友人の銀さんとの合同教習を受けるのですが、「『忍者が出てくるかもしれない』『あの忍者もしかしたら右折してくるかもしれない』そういう気構えで運転してれば何が起きてもスグ対応できる」という教官の言葉を真に受けた桂は「スピードを50キロ以下に落とすと爆発する爆弾をどこかのテロリストがしかけているかもしれない」「コースのS字の下にモグラ(実際にはこのモグラに関する妄想話がめちゃくちゃ長くて手の込んだ内容になっています)がいるかも知れない」とか言って猛スピードでコースを無視して走り出すのでした。

駄弁者:
 すべての「かもしれない」を回避するには、運転を一切止めてしまうしかないかもしれない。



動物はみんな可愛い。その命をふっ飛ばすなんて、俺にはできねえ。

 出典: 三ツ村鐵治監督・高久進脚本「超人機メタルダー 第20話『ターゲットは仔犬? 火をふく機甲軍団』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 仲間と山にドライブに来ていたメタルダー・剣流星は、身勝手な理由で犬を捨てようとしていた男を咎め、すでに捨てられてしまった三匹の仔犬を探すことになります。
 仔犬たちが捨てられた場所は、ネロス帝国の秘密実験場のすぐ近くでした。そこでは新兵器の自走ロボット砲デスターX1を死の商人たちに売りつけるためのデモンストレーションとして、機甲軍団との模擬戦が行われていました。仔犬の入った段ボール箱は戦車ロボの烈闘士ブルチェックに発見されます。意外にも無類の動物好きだったブルチェックは、優しく言葉をかけながら仔犬たちを連れ帰り、近くにあった牧場で牛の乳を搾って仔犬たちに飲ませてやります。そんな場所で秘密実験するなよ。
 そこに仔犬を探しに流星たちが現れます。作戦を指揮していた機甲軍団のナンバー2・豪将メガドロンは、仔犬を囮にしてメタルダーを罠にかけようと考えます。「仔犬たちが可哀想です。それだけはやめてください」というブルチェックの訴えは完全に無視されてしまいます。
 仔犬の入った段ボール箱の周囲に地雷を仕掛け、隠れて待ち伏せる機甲軍団。しかし、あっさりメタルダーに見破られ、逆に不意打ちを食らってしまいます。戦いのさなか、一匹の仔犬が箱の外に這い出してしまい、助けようとしたブルチェックもろとも地雷の爆発に巻き込まれてしまいます。デスターX1とミサイルロボの暴魂ダーバーボを倒し、2匹の仔犬を助け出したメタルダー。そして、死んだと思われた3匹目もブルチェックの頑丈なボディに守られて無事に生き延びていました。投稿したのは動けなくなったブルチェックがメタルダーに言った台詞です。メタルダーはブルチェックに敵ながら奇妙な友情を感じるのでした。

駄弁者:
 いい話なんですが、近所の人が犬を捨てに来られるぐらい身近にある秘密基地(しかも牧場つき)って。
 戦闘ロボットの「可愛い/可愛くない」の感覚は普通の人間と同じなんでしょうか。たいていの人間は彼らよりも弱くはかない存在だと思うのですが、やはり子犬と同様に可愛いとは感じない?



「拝啓日々人 俺は運がないと言ったが 訂正する」
「俺は何かと 不運に縁がある」

 出典: 小山宙哉「宇宙兄弟」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 私が今の所一番楽しみにしているマンガ「宇宙兄弟」の、今の所一番気に入っているセリフですこれ。
 今の所彼(主人公ムッタ)はJAXAの宇宙飛行士選抜3次試験を受けている最中ですが、これがまた良い具合に面白いです。ま、単行本の帯に「2025年、兄弟で火星を目指す物語!」とありますので、彼はパスするハズですが、、、。
 でもこれ、「良運に縁がない」のと「不運に縁がある」のはどちらが悪いのでしょうか?「禍福は糾える縄の如し」といいますが、ジェットコースター的人生って、疲れるでしょうねぇ。

駄弁者:
>「良運に縁がない」のと「不運に縁がある」のはどちらが…
 プラスがないのとマイナスがあるのとだったら、マイナスがあるほうがより悪いと思いますが…。しかし将来マイナスがプラスに転じる可能性があるのだとしたら、迷うところ。



初めて見た敵は、想像していたよりも遥かに、美しかった

 出典: XEBEC原作・冲方丁脚本「蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 TVシリーズでも似た台詞があるんですが、そっちのほうは「美しい物が、人類の味方とは限らない物だ」ってツッコミが入るんですけどね

駄弁者:
 コメントに出ているツッコミの方も、なかなかに名文句だと思います。
 それが何世代にもわたって人類の敵であり続けたとき、それでも美しいと感じてしまうでしょうか、それとも美の定義の方が変わってしまうでしょうか?



あすはあすの自分が意識するのだ。ラテルは胴上げされているアプロを見ながら思った。生きていくとは、時間を封じ込めることなどではなく、時間を開きつつ意識のレベルが上がっていくことなのだ、それを、きょう実感したではないか、と。

 出典: 神林長平「敵は海賊・海賊課の一日」

紹介 :あひるパパ 様
HP :

コメント:
 何かの歌で「明日は多分今日よりいい日だろう」という歌詞があったと思いますが、それよりはこんな「ひどい一日だった今日の経験値分、明日の自分はもっとましだろう」という考えのほうが、根拠がある分素直に信じられて癒されるというものです。
 しかし人知を超えた敵と相棒の間で、毎度命がけのメタバタをやりながらこんな考えができるラテルは、作中でも言われるように尊敬に足る人物なのではないでしょうか?ナンパの成功率以外は。

駄弁者:
 シリーズ第5作より。アプロと二人で海賊課の苦情処理係勤務って、どう考えても懲罰任務…(笑)。
>あすはあすの自分が意識するのだ。
 ぱっと見、「明日のことは明日の自分に任せて、今日は疲れたから寝ちまおう」ということかと思ってしまいました。でも、それじゃあ意識のレベルは上がっていかないんでしょうね。



あなたくらいの女の子には、よくある事よ?
紹介 :神凪御子 様 → 第143集


やさしさを失わないでくれ
紹介 :がんま 様 → 第44集


弾丸の摘出というより、膿を吸い出すのにちかい。

 出典: 谷甲州「パンドラ」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 パンドラと呼ばれる彗星から降り注いだ流星雨によって、東南アジア周辺の環境は一変していた。常識では考えられない獣害が頻発するようになったのだ。国連の調査チームの動物学者、朝倉は海外派遣された自衛隊に参加されるように強要され、周辺地域の探索に同行する。パンドラ流星雨によってなぞの生物に寄生され、知能を高められた動物たちの指揮官となった少女を確保した朝倉たちは、少女と寄生生物を切り離すべく手術に踏み切る。
 何処が名台詞かわかりにくいとはおもいますが、ちょっと考えてみて下さい。
 なぞの寄生生物の手術シーンですよ、もっと緊迫感があっても良さそうじゃないですか。それに応じる自衛隊員も毒蛇の毒を吸いだす器具を取り出す(さすがに急いで口で吸ったりはしない)気軽さ。根っこを張ってるのが解かるとメスでちょちょいと切り離して終わり。描くべきところが他にあるとはいえ、こんなおいしそうなシーンをあっさりと終わらせてしまうのがさすが谷甲州です。

駄弁者:
 この作品、ハードカバーを買ったんですが、いまいちハマれませんでした。知性が進化した類人猿が人間を襲うというのが、どうもありきたりな印象をもってしまったし、最初に期待した進化論や環境テーマにはあまり深く踏み込んでくれなかったので。
 とはいえそういう類人猿と戦う局地戦とか、宇宙開発をめぐる日米中の確執なんかは非常に面白かったのですが。第一印象の持ち方で、読む側の私が損をしてしまった…というところでしょうか。



ここで問題になるのは、ショッカーがある国を支配したとして、そのことを大々的に宣伝するか?ということだ。

 出典: 円藤祥之「私、ショッカーの味方です」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
「仮面ライダー」の悪の組織ショッカーとゲルショッカーについて真面目に研究した本。この文は「なぜ、仮面ライダーのいない国も征服できなかったのか」について書いた文である。よく考えたもんだと感心する。

駄弁者:
 ご投稿がかなり長かったので、最初の一文のみにさせていただきました。残りは以下の通り。
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 ショッカーはなんでも秘密裏にことを進めたがる組織だ。そもそも自分たちの存在そのものを、世間に対してひた隠しにしている。そして、多くの人間を、いつの間にか言いなりにしてしまう。だとすれば、ある国の国民がまるごとショッカーの奴隷になってしまったとしても、それが周辺国に気づかれることはなかっただろう。
 また、そのことをショッカーが宣言するはずもない。そんなことをしたら、ショッカーの存在が世間にばれ、ほかの国が警戒してしまい、以後の作戦がやりにくくなる。つまり、ショッカーはとっくにいくつかの国を支配下においていたが、人類はそのことをまったく知らないでいたのだ。もちろんFBIの滝も、そのことをまったくキャッチしていなかったのである。
-----
 ふつうは真面目に考えない仮定をあえて真面目に考察する趣向は、結構好きです。
 しかしこの考察が正しいとすると、そんな大組織がどうして改造人間とはいえ一人か二人の仮面ライダーにやっつけられたのか、という話になると思うのですが…。



「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、
この余白はそれを書くには狭すぎる」

 出典: ピエール・ド・フェルマーによるディオファントス『算術』への端書

紹介 :cos k 様
HP :

コメント:
 初めておとずれたのですが、なんか面白そうだったので投稿させてもらいます。
 正直これはSFでも何でもありません。過去の数学者の愛読書だか参考書の端書だそうです。
 が、この一言が後350年間、他の数学者達を悩ませたそうです。
 いらぬ(?)一言が他者への未知なる挑戦への加速を促すなんて何ともSF的な迷言だと思いませんか?

駄弁者:
 のっけから非SFからですか…しかし、確かに想像すると面白いのであまり気にせず掲載させていただきます。
 天国でフェルマーは後から追いついてきた数学者たちに、お前本当に証明したのかと襟首つかまれ問いつめられたんじゃないで しょうか。
>未知なる挑戦への加速
 アインシュタインかホーキングの本に「私は超光速(時間旅行でも可)が可能だという証明を見つけたが、以下略」と書いておけば、何百年か後には…。



「コンピューターはデータ蓄積というすばらしい仕事をするかもしれないけれど、実際に手でさわれる本には、読書を画面上で同じ文章を読むのとはまったく異なる体験にしてくれる何かがあるのよ。」

 出典: ドナ・アンドリューズ「恋するA・I探偵」(島村浩子訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 謝辞で「もちろんこれはミステリよ、サイエンス・フィクションじゃないわ。」と書かれてしまいましたが、もちろんこれはSFです。アガサ賞最優秀長編賞取ってますケド。
 そんな事はさておき
 そう、今は映画などはほとんどネットで済ませる事が出来ますが、やはり実体のあるメディアというのは、情報以上の価値を持つものです。DVDーBOXなんかを並べて「ニヤリ」としたり。
 このセリフの相手であるAIも、「もし人間だったら(中略)たぶん最後には、一生分の<ナショナル・ジオグラフィック>のコレクションに押しつぶされて死ぬ、小柄なおばあちゃんになっていたにちがいない。」と言うツワモノです。

駄弁者:
 「健気でチャーミング、でもちょっと傷つきやすい」(BOOKデータベースより)女の子型AIが探偵役のミステリより。
 HD容量が少ないと愚痴るヒトは単に不満そうですが、同じヒトが本棚にもうスペースがない、と言うときは妙に嬉しそうな…。



「ほかの可能性なんて考えたこともないわ、もちろん」

 出典: ロバート・A・ハインライン「ラモックス −ザ・スタービースト−」(大森望訳)

紹介 :ひらがな 様
HP :

コメント:
 今回のご紹介は御大ハインラインの傑作『児童文学』、「ラモックス」より。
 藤子不二雄チックに、いきなり宇宙怪獣ラモックスが一般家庭にいる(笑)ところから物語は始まります。
 ヒマと空腹を持て余して外出したラモックスは、よそのお宅の植え込みは食べるわ、百貨店に突撃するわで、とうとう捕まっちゃいました。
 悩む飼主、無理解なママ、飼主の彼女に至っちゃ裁判にまで乗り込むはねっかえり。おまけに宇宙のことなら俺の管轄、と宙務省の役人まで乗り込んで問題は大きくなる一方。
 しかし、ラモックスは実は……
 魅力的なキャラクターがラモックス騒動に振り回され、最後に大どんでん返し、見事おさまるところにきれいにおさまる読後感もすっきりした作品です。
 天野喜孝氏描くぽっちゃりのんびりなラモックスもなんとも可愛らしくて、「子供を寝かしつけるお話」には最適かも(笑)
 で、選んだのはラストシーン「ラモックスでない方の」(笑)ヒロインのセリフから。
 小賢しくて向こう見ずで、でもハインライン的ないまいましいほど可愛らしい小娘、ベティ・ソレンセン嬢の実に頼もしいお言葉。宙務省次官に「ラモックスの飼主、ジョン・トマスと結婚する気がありますか」と問われ、大胆不敵なこのお嬢さんは、さらりとこう返すのでした。
 ここまで想われりゃ本望かも知れません。
 ただし、このプロポーズを受けると尻に敷かれるのは確定ですが。彼女の用意した人生の墓場は、リッキィのほど甘くないようで(笑)

駄弁者:
 ハインラインの主人公ってのはなんでこう、女の子にもてる…(まあ、確かに多少頼りなくても好男子なんですが)。旦那を操縦するのが上手そうなお嬢さん方ではありますが。
 私の印象に残っているのはリッキィと、あとは『宇宙に旅立つ時』のヴィッキーあたりです。



今日は、何で来たかって言うとね、…ふふっ、パパの作ったダムを壊しに来たのよ。
……こんな親不孝者、いないよね……

 出典: 工画堂スタジオ原作・冨永恒男監督「パワードール オムニ戦記2540」

紹介 :電撃翼 様
HP :

コメント:
 パワードールは、今まで2度、コンシューマ版が出ています。一度目はPC-FX、二度目はプレステでした。プレステ版は2をほぼそのまま移植したものだったのですが、問題はFX版。ゲームシステムもキャラクターデザインも全く異なる、鬼子と言える存在です。そして、この「オムニ戦記2540」は、そんなFX版のOVA、まさに鬼子の中の鬼子です。
 本作でのドールズの任務は、「敵が占拠した工業都市を麻痺させるために、上流のダムを爆破せよ」というもの。よくある破壊工作任務なのですが、今回は事情が異なりました。作戦目標のダムがある場所は、ドールズのサブリーダー、ヤオ・フェイルン少佐の故郷であり、そのダムは、彼女の父親が生前建設に関わっていたものだったのです。
 機体トラブルから、作戦開始直後に戦線離脱する羽目になったフェイルンは、脱出ポイントに向かう途中、自分の生家を見つけます。そこで、小さい頃に大事にしていたぬいぐるみを見つけ、語りかけたのが、この言葉でした。
 フェイルンはダムが爆破される時間まで泣き明かし、外に出ました。すると、そこには、仲間たちの乗る救出ヘリがいたのです。あと数秒で濁流に飲まれるにも関わらず。
 話としてはいいんですが、これでパワードールの名を冠してなければよかったのに…

駄弁者:
 OVA、あったんですね。初めて知りました。
 そういえばゲームの方の「パワードール2」は、今年になってコンプリートボックスが出たそうで。10年以上も経ってるのに、根強い。



だから特別な者しか 戦いに関わることは できんのじゃ
「特別?」
指輪の騎士とは 脳のネジの特別外れやすい 選ばれしバカ達
ありえないことを 受け入れ その存在を 確信できる者が
超常を視 超常を得ることができる

 出典: 水上悟志「惑星のさみだれ」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 月刊ヤングキングアワーズで連載中の漫画より。セリフの一つ一つがとても良いので。
 地球を、月ほどもある巨大な不可視の兵器「ビスケットハンマー」による物理破壊から守ることを目的とする「指輪の騎士団」しかし、メンバーは皆一筋縄では無い事情を抱えています。その一人12歳の少年・茜太陽の話。
 毎朝「早くミサイルが落ちてきて全部壊してくれますよーに」と祈るのが日課の、茜太陽がある朝目を上げると空に巨大なハンマーが浮かんでいた。そして背後からフクロウが語りかけた「選べ 世界を守るか 世界を砕くか ま…わしゃ後者を進めるがの 世間には飽いたゆえ」フクロウの名はロキ、巨大なハンマーによって地球を打ち砕く事で未来から過去へ遡り、究極的には宇宙の創造主に取って代わろうとする「魔法使い」と何度も戦い、全滅と過去への敗走を繰り返した「指輪の騎士の従者」の一匹だった。
 もう負け戦は御免だと、新たな騎士として世界の破滅を願う茜太陽をスカウトしたのだ。そして彼らは契約を結び戦いの場に立った。他の騎士には心の内を隠したまま。
 地球を砕く物語は佳境に入り、太陽の目の前で他の騎士が死ぬ。「真の勇者」として。それを受けて彼がこれからどうするのかが物語の行方を握っています。
 この騎士の条件は他の大抵の物語のスーパーヒーローに当てはまる様な気がします。

駄弁者:
 コメントのあらすじを読んでから絵柄を見ると、結構ギャップありますね。
>「早くミサイルが落ちてきて全部壊してくれますよーに」
 私らの世代だったら、1999年に何か起こってくれることを期待できたんでしょうが。世紀も改まってしまった今となっては、自分自身で壊すことを夢想してしまうんでしょうかね(せめて手に届く範囲でもぶちこわそうとか)。



しかし、我々科学者は少し驕り過ぎてましたね。地球はまだまだ謎だらけです。
例えば我々は今人工衛星をどんどん打ち上げているが、それが地球の気象にどんな影響を与えるか、何もわかっちゃいないんです。

 出典: 円谷プロ制作・若槻文三脚本「ファイヤーマン 第2話『武器は科学だSAF』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 平田昭彦さんとくれば、科学者俳優の双璧、岸田森さんのセリフから。
 ロケットの墜落による海温上昇によるプランクトンの大量発生がそれを食料とした怪獣、ドリゴンとドリゴラスの出現を招く。事件は炎の超人・ファイヤーマンの出現で解決するが、その事件に関わる事で集まった海洋学者の海野博士、宇宙工学の水島博士等の科学者たち。事態を重視した政府は、彼等をメンバーとして、超自然現象に科学の力で戦う特殊チーム、SAFを結成するのだった……、という第2話。その中で、事件が解決したあとに、岸田森さん演ずる水島三郎博士の漏らした感慨です。
 ウルトラマンの原点に戻ろうと、科学者集団による防衛チームの結成を一から描いた意欲作ながら、様々な社会問題が噴き出した70年代はウルトラマンが作られた60年代と違って、科学による事件の解決という作劇を許さない社会状況になっていたのかもしれません。このセリフは作品の足元が作り手すら気づかないうちに崩れていた事を示していたような……。よくあるセリフながら、そんな感慨を抱いてしまう一言なのです。

駄弁者:
 「ウルトラマンタロウ」と同時期の作品なんですね。
 「武器は科学だ!」という威勢のいい題名と名文句との間に相当のギャップが感じられますが…。武器とは常に諸刃の剣だと考えると、それなりに深い?



ナザレのイエス様に掛かりゃ、ざっとこんなモンよ!

 出典: 光瀬龍原作・萩尾望都漫画「百億の昼と千億の夜 (漫画版)」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 『シ』のエージェントにして、とある業界では最も偉大な存在でもある、茨の冠をかぶったオジサンが、宿敵を倒して一言。ちょっと慎みの感じられない点が気に入っています。

駄弁者:
 元の家業は大工さんですしねえ…。結構くだけた話しぶりもできる人だったんだろうと思いますが。



神楽「ロッキーっぽい」
銀さん「ロッキーっぽいテーマが流れてる」
神楽「でも似てるけど違うアル」
銀さん「いろいろと事情があんだろ。本物使うとうるさい所あるし」

 出典: 空知英秋原作「銀魂(アニメ版) 第71話『消せないデータもある』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 江戸中のエネルギーの供給源であるターミナルを占拠した機械(からくり)のクーデターを阻止するため銀さん達はエネルギーの供給網を辿ってターミナルへ向かうのですが鎌倉の大仏の首を折ってリコールされた巨大な機械家政婦の「ウドちゃん」の襲撃を受けます。絶体絶命のピンチの中銀さん達と行動を共にする機械家政婦「似−参丸伍号」、通称「たま」は口から謎のディスクを収納します。原作では彼女のCDプレーヤー機能が作動して周囲の士気を盛り上げるために「ロッキーのテーマ」が流れるのですがアニメ版では微妙に違うメロディになっていました。

駄弁者:
 世界も時代も違うのだから、たまたま似ているだけで違う曲だ…というあたりで手を打っておかないと。
 JASRACもさすがに別世界の著作権まではフォローできないでしょうが、この世界の作者や制作元が危ない。



ジョンソン!聞こえるかい?
聞こえるかい?ジョンソン!

 出典: 今川泰宏監督「鉄人28号(2004年版) 第11回 『超人間・ケリーの最後』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 正太郎の台詞の後、もう一度ロケットが飛んでいくシーンがあるのですが、前の時とは違ってケリーに苦しみに耐える悲痛な声は無く、宇宙へいけるという純粋に喜んでいる台詞になっています。
 しかし映像は全く一緒。ケリーはあえなく落下していくのですが、それでもそこには喜びの声が……
 果たしてこれはケリーの思いなのか、こう思っていて欲しいという正太郎たちの願望だったのか……
 涙が止まりません

駄弁者:
 悲痛なシーンをうまく演出していると感じます(名文句というより名シーンというべきでしょうが)。
 ご投稿のシーンは正太郎君の願望のように思えますが、最後がこのようだったと信じてあげることが、夢破れた人を悼む一つの方法になるんじゃないかと。



あの人は、最後の最後に夢を、宇宙に行くと言う夢を果たせたんじゃないでしょうか?
それがたとえ一瞬だったとしても……

 出典: 今川泰宏監督「鉄人28号(2004年版) 第11回 『超人間・ケリーの最後』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 宇宙に行くため超人間=サイボーグへと改造手術を受けたケリー。
 しかし彼が目覚める事は無く、超人間計画は中止。時を経て偶然から目覚めたケリーは、宇宙へと行くために不調の身体を引きずって、執念でロケットの外壁にへばり付く。
 しかしケリーは雲を抜けた所で両腕が壊れ、落ちてしまう……
 事件後、そんな彼を哀れむ皆に対して正太郎が言った台詞です。
 ケリーの悲痛な叫びといい、この回は何度見ても涙が出てきます

駄弁者:
 ちょっとハインラインの「鎮魂曲」を連想しましたが、月で思いを遂げることができたハリマンとは違って、こちらのケリーは果たせていないんですよね。



今の僕に言える事は、人間は改めて、動植物の自然に適応する生命力に学ぶべきだ。
それだけしか言えないね。

 出典: 関沢新一脚本・本多猪四郎監督「キングコング対ゴジラ」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 139集の「最強のトクサツ」のセリフを吐いた科学者のモデルになったのが、本作に登場した平田昭彦演ずる重沢博士。その重沢博士のラストのセリフです。
 一見謙虚な科学者のセリフですが、この人「帰巣本能」のセリフといい、役に立つ事を一つもいってません。ここまで科学者が徹頭徹尾役に立たない東宝映画も珍しい。
 逆に活躍するのが高島忠夫や佐原健二演ずるサラリーマンたち。意外に筒井康隆さんやかんべむさしさんがノベライズしたら面白い作品だったのかもしれません。

駄弁者:
>役に立つ事を一つもいってません。
 実際に役に立ってはいないのですが、劇中だと何となく説得力があるように聞こえてしまうんですよね…。
>筒井康隆さんやかんべむさしさんがノベライズ
 それは読んでみたい。しかし怪獣以上に作者の筆が大暴れするノベライズになってしまいそうです。



勝利などだれが望むか

 出典: バリントン・J・ベイリー「永劫回帰」(坂井星之訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 コロネーダーと呼ばれている哲学者集団によって、サイボーグに改造されたヨアヒム・ボアズ。彼はコロネーダーの「宇宙は定められた歴史を繰り返す」という考えに反発し、その円環から抜け出す手がかりを求めて宇宙を駆けめぐる。そんな彼に目的を同じくする<C結社>が接触してくる。彼らの手のひらには上のような刻印がなされていた。
 なんだかひねくれた標語だと思ったら、さにあらず。世俗的な勝利を超越した所にこそ目標が有ると言うことなのです(たぶん)。なんだか「生きるなんて下僕共がやってくれる」(アクセル/ド・リラダン)みたいで格好いいです。

駄弁者:
 持っていて読んだことが…あるつもりだったんですが、本棚に見当たらない。どうも「時間衝突」か「スター・ウィルス」あたりと勘違いしていたみたいです。
>勝利などだれが望むか
 手の裏側には「しかし敗北はさらに望まない」って書かれているんじゃないか…とか思ってしまいました。



こんなふうに生きるつもりじゃなかった

 出典: 萩尾望都「左利きのイザン」  『半神』に収録

紹介 :らりろれる 様
HP :

コメント:
 80日に渡って太陽嵐が吹き荒れる惑星プロメ。ひとり遺跡を発掘していたブール博士(ロボットはいない模様)のところへ、ならず者イザンが転がり込んだ。
 粗暴なイザンは武器に改造した左腕でブールを脅しつけ、好き勝手に振舞う一方で、ブールを『先生』と呼び馴れ馴れしく話しかけもする。
 太陽嵐が終わる日、イザンはブールを連れて砂に埋もれかけた宇宙船を移動させようとするが、たまたま真下にあった遺跡に船が落下。頼みの左腕が引きちぎられてしまう。仏心を出したブールは、死に掛けたイザンを連れてテントへ帰還し、嵐の終わりに訪れる砂津波を待った。
 重傷を負ったイザンは砂津波の前兆にひどく怯え、錯乱し、かつて手にかけた人々が自分を殺しにやってくる、と口走る。
「おまえの負債だ、自分で払え」と突き放すブールへ、なおもすがりつこうとするイザンの台詞が今回のめい文句です。
初読(確か中学生のころ)は特になんとも思いませんでしたが、年月が経てば経つほど、この情けない言い訳が重みを増してくる気がします。
 自分で言いたくも、他人の口から聞きたくもないフレーズではありますが。

駄弁者:
 イザンほど極端な人生じゃなくても(むしろ、そうでないからこそ)、つい口に出してしまいそうな言葉です。
 けど自分の人生に明確なビジョンをもっていて、しかもその通りに生きられる人間なんてどれほどいるんでしょうね?



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