SF名文句・迷文句第198集

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「解ったことが1つある。『闇の書』の主として、守護騎士みんなの衣食住、きっちり面倒見なあかんゆうことや。幸い住むとこはあるし、料理は得意や。みんなのお洋服買(こ)うてくるからサイズ測らせてな。」

 出典: 都築真紀原作・草川啓造監督「魔法少女リリカルなのはA’s」

紹介 :Mr.Spock 様
HP :

コメント:
 幼い頃から車椅子生活の上、事故で両親を亡くして1人寂しく暮す9歳の少女はやて。ある日の夜に本棚にあった本が突然光りだしその中から4人の人々が現れます。この本こそ他の魔法使いの魔術を蒐集し主に大いなる力をもたらす伝説の魔導書「闇の書」であり、4人は主を護るために実体化した本の守護プログラムだったのです。
 06年度星雲賞にノミネートされてSFと認められた(?)「リリカルなのは」シリーズ、その2作目から投稿させていただきます。まずは質問です。突然あなたの前にランプの精やドラゴンボールの神竜やドラえもんが現れて、何でも願いを叶えてくれるとしたらどうしますか?のび太くんのようにワガママ勝手を言って困らせるのがオチではないでしょうか?少なくとも面倒を見るという発想は無いのでは?はやてちゃんは騎士から蒐集が完了すれば足を簡単に治せると言われても、「他人に迷惑かけたらあかん」の一言ですませます。彼女の願いは4人の騎士たちと日々楽しく過すことだけだったのです。ううう…なんて良い子なんだ(ToTA。思わず惚れてしまいましたww。
 では長寿と繁栄を。

駄弁者:
 星雲賞ノミネートとはいえ「魔法少女」はちょっと…と、いったんは保留したんですが、Mr.Spockさんのいつになく強い再プッシュがあったので掲載。厳密に言えば18禁作品のスピンアウトでもあるんですが、ほとんど別扱いみたいだから、それはよしとしときましょう。
 「このシリーズは「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。」というクラークの第3法則を逆手に取った作品だそうで、攻撃・防御・探知・転送・通信・治療といった超能力のことを魔法と呼び、超能力者のことを魔導士と呼んで、一種のAIであるデバイスと呼ばれる機械で力を制御・強化しています。そして魔導士と次元航行艦隊を中心とする時空管理局と呼ばれる組織が、無数の次元世界を守っています。「レンズマン」と「超人ロック」と「電脳コイル」を足して割ったような物だと思っていただければ問題ないかと(笑)」とのこと。「第3法則の逆手」という考え方は面白いです(ぜいたくを言えばそういう世界観が表れたセリフがあるとなお面白かったんですが)。
 考えてみると、9歳でその落ち着きぶりというのは、魔法うんぬんと同じぐらい驚異的なんじゃ…。



ファーストコンタクトにドラマを期待してる?ごめん、そんなものはないのよ。

 出典: 小川一水「フリーランチの時代」  同名短編集に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 こんな異星人いやだ!
 なんて身も蓋もない事を言ってくれるんだ、という気持ちでいっぱいです。
 これならくつくつ虫(ブレーメンU)のほうがまだましかもしれません。

駄弁者:
 「地球人の想像よりはるかに膨大で、はるかに悠久の存在」とのコンタクトを端的に示したセリフ。
 ちょっとぐらい夢見させてくれても…とは思うんですが、そのかわりコンタクトの結果は夢にも思わない都合の良さなんだから、我慢すべきなのかなあ。



ミューリ博士、五次元運動をねがいます!

 出典: マデレイン・レングル「五次元世界のぼうけん」(渡辺茂男訳)

紹介 :中島誉 様
HP :

コメント:
 秘密の実験中に失踪した科学者の父を探す旅に出た姉弟と姉の友人の3人の子供達が,謎の3人の老婆の力を借りてたどり着いた場所は,「それ」が支配する惑星カマゾッツだった.父を救い出したものの,弟は「それ」に囚われてしまい,残りの3人も精神を支配されそうになった時,姉の友人が博士に呼びかけた言葉です.「五次元運動」はいわゆる「ワープ」でしょうか.原文では“Tesseract.”五次元のごの字もありません.名訳だと思います.

駄弁者:
 はじめまして、かと思ったら随分前にご投稿をいただいたことがありましたね。久々のご投稿、ありがとうございます。
「五次元世界のぼうけん」、昭和40年刊とは…。このころの小学生はずいぶんSFジュヴナイルにめぐまれていたようで、ちょっとうらやましいです。
>原文では“Tesseract.”
 四次元立方体、四次元空間の訳になっていることが多いですが、「四次元運動」では、単に時間が経過しているだけみたいですしね。



ナンバーゼロでいることにうんざりしたんだ!
ナンバーワンになりたい。

 出典: アルカジイ&ボリス・ストルガツキー「スプーン5杯の霊薬」(深見弾訳)  『願望機』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ソ連の地方都市に住む二流作家フェリックス・アレクサンドロヴィッチ・スニェギリョーフは、ふとしたことから不死人を名乗る5人組と出会う。この人々は特殊なわき水によって不老不死を得ていたが、そのわき水は5人分しか確保できない。5人組はそれぞれの思惑からスニェギリョーフを仲間に引き込もうとする。
 五人組の中で科学者を名乗るイワン・ダビードヴィチ・マルトィーニュクは、自らが不死人であることを隠すため、どのような発見も公表できず歴史の影にいなければならない自らを嘆いていた。
 イワンが言うことには、プラトンより50年早く燐の分離に成功しツヴェートに先んじてクロマトグラフィーを発明すること20年などと自らの功績を語ります。同情したくなるところではありますが、彼らが不死人であることは全く示されないんですよ。良くできたお芝居なのかもしれない。しかし、この台詞に込められた重みは馬鹿にできないものと感じられます。

駄弁者:
>ナンバーゼロでいることにうんざりしたんだ!
 気の毒な境遇には同情しますが、なしとげた発見が微妙に地味だと感じるのは気のせいでしょうか。



この地獄に取り残された人たちを手当たり次第に引っぱり上げる…
それがうちら(コッペリオン)の仕事や

 出典: 井上智徳「COPPELION」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 その「取り残された人たち」は府中刑務所からの脱獄囚だったりするんですけど。
そんな事はさておき。
 陸上自衛隊第三師団特別工科学校の女子高生であり、「放射能の抗体を持つ」彼女ら「コッペリオン」は、地震によるお台場原発のメルトダウンによって死都となった東京から生存者を救助するのが今の仕事です。
 ブレザーにチェックのスカートでルガーP08(万能薬「エーテル」弾やら麻酔弾やら強酸弾やらを撃てる特別仕様)を振り回す彼女は実に魅力的であります。
 放射能に抗体は効くのかとか、作戦中の自衛隊員がブレザーにチェックのスカートじゃマズいだろうとか、そもそも「お台場原発」は成立するのかとか、ツッコミ所は色々ありますが、結構面白いマンガです。

駄弁者:
 チェックのスカートが問題どうかを考える前に、なんでまた女子高生なのかは考えなくていいんでしょうか。
そんな事はさておき。
 放射能に対する抗体って、細胞が元素変換かなんかするんですか(笑)。



管理不行き届きが原因で品質が劣化してしまった蒲鉾に出小山係長がさらわれてから、もうすでに一週間が経過していた。

 出典: 北野勇作「レイコちゃんと蒲鉾工場」

紹介 :垂直応力 様
HP :

コメント:
 「だいたい蒲鉾というのは無害な加工品」で「どんな蒲鉾でも凶悪化するというわけではない」んですが、特製自走式特殊蒲鉾(試作品)だとこういうことも起こります。

駄弁者:
 昨今の食品問題に鋭く切り込んだ作品…なわけないか。
 自走するカマボコがあるんだったら、人型にしてバーにでもおいて「かまボッコちゃ…ごめんなさい石投げないで。



この世の出来事は全部運命と意志の相互作用で生まれるんだって、知ってる?

 出典: 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」

紹介 :垂直応力 様
HP :

コメント:
 久々の投稿は、以前からこのサイトで紹介したいと思っていた舞城王太郎です。
 「阿修羅ガール」や「好き好き大好き超愛してる」等もかなりSF寄りなんですが、境界線上なので自重していました。今回は「運命と意志の相互作用」でもって6歳の女の子に17歳の本人や13歳の別の女の子が侵入したり、その子の××××の中に指が四本入ってたり、時間・空間を丸めたり捻じったりやりたい放題の超絶バカSFにして、密室殺人の推理で正解にたどり着けなかった名探偵が次々と死んで行くバカミステリです。ついて行くのが大変。

駄弁者:
 この人はSFの賞をとるより先に芥川賞をとるんじゃないかと思うんですが(SFの賞をとってしまったら芥川賞は遠のくかも知れませんケド)。



「何一つ生産できないやつが、思い上がるなっ。市民を豚呼ばわりするなら、お前は銃弾を食って生活してみろ!!」

 出典: 津守時生「喪神の碑5 エリノアの光輪」

紹介 :ラウ 様
HP :

コメント:
 少々昔のライトノベルから。
 地球(テラ)太陽系と勢力を二分する六芒(ヘクサ)太陽系の代表政府であるフィラル星は、一度は協調路線を取ったものの、過去に戦争まで起こした地球側への悪感情と、それに付随する形で再燃した民族主義に突き動かされ、物語の後半で銀河連邦から突如として脱退し、新たに新銀河機構なる星間同盟を創り上げて地球側と敵対してしまいます。
 尤も、この強引な決定は、当のフィラル星内部にも深刻な混乱を招く結果となり、実に三ヶ月程度で当初の熱気は失せ、地球側の所属する銀河連邦とよりを戻すべく友好条約を結ぶ次第とあいなりました。
その際、フィラル星で密かに開かれた会議上で、飽くまでも地球側との決別を主張する国防軍の責任者から、
「肥え太った豚どもが、少しの飢えもこの世の終わりだと思い込んで騒ぎ回っている。連邦脱退を熱狂的に支持しながら、少しでも経済が不安定になると、たちまち百八十度態度を変える不見識な貴様たち一般大衆こそが、今日の混乱を招いたのだっ!!」
と罵声を浴びせられた市民代表が、激昂して切り返したのが上記の台詞です。
 御説自体は尤もですし、個人レベルで言う分には問題無いのですが、この理屈だと、結局は食料及びその生産設備を握っている者が一番強く、周囲が譲歩するのは当然である、という風にも聞こえて、軍政並に怖い力の論理がちらつきますね。
日本もその内、お隣の大国から、
「何一つ(食料を)生産できない国が、思い上がるなっ。世界最大の供給源を無法地帯呼ばわりするなら、お前らは国債を食って生活してみろ!!」
とか怒鳴られたりして。

駄弁者:
 作者名はどこかで見たことがあると思ったら、前に「三千世界の鴉を殺し」のご投稿があったのでした。…BL系? 「喪神の碑」は角川スニーカーのようですが。
>軍政並に怖い力の論理
 この場合、市民が軍隊に対して力を(発言力を)もつのは、むしろそうあるべきことじゃないかと思います。軍政と並べて考えるのはちょっと違うのではないかと。
 また、隣の国が言うのと同じ国のもの同士が言うのとでは、まったく事情が違いますし。



<余はサルに似ているそうだがそれは誠か?>−あるとき、織田信長は、前々から彼の腹心の地位にあった秀吉に訊ねた。訊ねられた家臣は真っ青になって震え上がり、小便を洩らしてしまった。信長はすでに刀の柄に手をかけていたけれど、もはや死を免れないものと覚悟を決めた秀吉はやけっぱちになって居直った。<なにを仰せになります、殿!>彼は声高に言った。<とんでもないことです!逆です。この上なく名誉なことに、サルめの方が殿に似ているのでございます!>そういわれて、冷酷な独裁者はすこぶる上機嫌になったそうだ。

 出典: アルカジイ&ボリス・ストルガツキー「トロイカ物語1987年版」(深見弾訳)  『トロイカ物語』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 トロイカ物語は「月曜日は土曜日に始まる」の第4部として書かれた作品と、その改訂版である1987年版が収録されていますが、この投稿は1987年版からです。
 魔法都市キテジグラードはトロイカと呼ばれる官僚組織によって管理されていた。その都市にすむ人語を語る南京虫と会った主人公達は、自分の存在の正当性を主張する南京虫の演説につきあわされる。そのやりとりででてくる逸話です。
 この作品を含め群像社からでているストルガツキー兄弟の本は、早川からでている作品に比べてSFとファンタジーの境界線上に位置するものが多いのですが、この作品もその1つ。
 このSFだかファンタジーだか判らない作品(しかもソ連製)の中で語られる信長と秀吉の逸話。アルカジイの方が日本文学の研究者であればこその一節ですが、こんな所で出てこられてはインパクトありすぎの迷文句ですよ。

駄弁者:
><余はサルに似ているそうだがそれは誠か?>
 信長とか秀吉の名前が出ている時点で日本通と言えるのかも知れませんが。
 けど、サルなのは独裁者じゃなくて家臣の方ですからとか、そもそもその小咄の元ネタは日本じゃなくて中国じゃないですかとか、どうしても突っ込みたくなる一節です。



税金払えば皆市民。アロハのために残業だ

 出典: 「ジャンピングフラッシュ!2」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 元祖飛びゲーなる3D酔いさせるために作られたようなアクションゲームから。
 前作にあたる1では、惑星の表面をむしりとって別荘にしようとした悪の科学者アロハ男爵が、本拠地にしている惑星に戻って次なる悪事を企む所、惑星サイズの巨大生物カピタン・スズーキがやってきて、因果応報とでも言うべきか、星の表面をむしりとって瓶詰め標本にされてしまいました。作った発明品も、部下も皆ビンの中。結局頼ったのは前作でコテンパンにやられたプレイヤーこと宇宙市役所でした。
 弁士と言うのでしょうか?実にテンポのいいナレーションで、ここだけでも一回聞いてみる価値はあると思います。

駄弁者:
>税金払えば皆市民
 ただ、税金を払っていればマナーやモラルが控除されると思ってるんじゃないかという人もちらほら……。いや、税金からお給料もらってる人間が言うことじゃないかも知れませんけどね。



カガクとは呪文よ

 出典: 川原正敏「海皇紀」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 遠未来、文明が衰退して場所にもよるがようやく中世レベルまで復興した時代の話から。
 この時代、科学はその殆どが失われ、怪しげな魔術と同列に扱われるようになっています。
 そんな中で、本物の科学を知る一握りの魔術師の一人、イルアンジャにカガクを授けてくれと頼みに行った主人公一行に、一体カガクを何だと思ってるんだと返した言葉がこれです。
 呪文と言うならたぶんラリホーとかスリプルとかの眠りの呪文でしょうか。

駄弁者:
 大学の文化人類学の講義で、科学も神話も(あるいは魔術も?)自然現象に対する説明の方法という意味においては等価だと言ってました。
 しかし、神話の説明に準じていたら人類は月に行けなかった…と言ってたのは、J・P・ホーガンだったか、カール・セーガンだったか。
>ラリホーとかスリプルとか
 そんなに眠かったですか(笑)。人によっては科学より、古文や世界史の方が呪文として効果的だったのでは…。



そこにじっとしといで、さもないと殺すよ!

 出典: タニス・リー「雨にうたれて」(室住信子訳)  『アザー・エデン』に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 放射性物質に汚染された世界で生きる母娘を描いたこの短篇での母は強引でバイタリティに満ちていて、こんなセリフも吐くのですが。
 人情味があって、なかなか忘れられない人物でした。

駄弁者:
 美しさを損なわぬよう娘を育てて、放射能雨の危険が少ないセンターの男に売り込もうとする母親。
 投稿のセリフからも分かるように、自分の子どもをとにかくを手厳しく扱う女性。しかしこの言葉を投げかけて自身がとった行動は、娘の心に一生残るものなのでした。
 収録する『アザー・エデン』はイギリスSFばかりを集めた短編集。他にもオールディスあり、イアン・ワトスンありの…ちょっと一筋縄ではいかない作品集です。



「ほんとうに大切なものを学ぶことによって……世界はそれほど狭くはないんだよ。」

 出典: ジョーン・D・ヴィンジ「鉛の兵隊」(小尾芙佐訳)  『スペースマン』に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 「どうやって生きていったらいいの……何世紀もひとつの世界で、たえず思いだしながら。あなたはどうやって耐えているの?」
この問に対する答え。
 ウラシマ効果によってすれ違うはずの宇宙船乗りと地上の人間のラブストーリイ。
 なんだが地上の人間がサイボーグなので長く待ててしまうのであった。

駄弁者:
 宇宙船乗りたちが集う酒場「鉛の兵隊」でバーテンダーをつとめるサイボーグと、何十年に1度そこを訪れる宇宙船乗りの女性との恋物語。ハッピーエンド…というには、ほろ苦い。
 いくつもの世界をめぐった思い出をもっている彼女の方が、耐えるのはずっと難しいような気がします。
 出典作品を収録している新潮文庫の『スペースマン』は名アンソロジーなんですが、この作品を読むには、ヴィンジのソロ短編集『琥珀のひとみ』の方が入手しやすいかもしれません(1回復刊されているし)。訳者が違うのでタイトルも「錫の兵隊」とちょっと変わってますが。



諦めよすぎるぞ日本政府!

 出典: 柳田理科雄原作・筆吉純一郎漫画「空想科学大戦3」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 地球征服を狙う自称「宇宙の帝王」モドキング。彼が最初に侵略兵器に選んだ巨大怪獣は科学の壁に阻まれ、科学的に作った改造人間は小さすぎるせいで大規模な破壊はできなかった。そこで両者の利点を生かした巨大ロボットを次なる武器に選び、それを実現できる大企業「トラディショナル重工業」を洗脳によって支配下に置いた。
 世界最強の金属「STM(スーパー・チタン・モリブデン)鋼」を開発した万能科学研究所。そこの一人娘が勝手に作らせていた巨大ロボット「カガクゴー」。万科研の主任研究員として招聘された猫柳田博士は、カガクゴーをモドキングのロボットに対抗できるように改造するはめになってしまう。
 カガクゴーにロボットを次々と破壊されたモドキングは、万科研を陥れるためにニセカガクゴーを建造し、町を破壊していく。しかし、ニセカガクゴーを強く作りすぎたことが仇となり、日本政府は万能科学研究所に降伏して日本は「万能科学国」に変わってしまった。
 台詞は濡れ衣を着せるだけのつもりだったモドキングの怒りの言葉。

駄弁者:
 同じ出典から2ついただいたのですが、丁寧にコメントをしていただいたこちらを掲載。
 ということは、ザラブ星人が成功していたら、地球はウルトラの星の植民星になっていたのか…。



「俺かい?」コクランはにやりと笑った。「俺が考えてるのはね、なんとまあ、この世の中は珍妙なものなんだろうってことさ、ダブニーとかビルとかジョーンズとか俺みたいな人間がだよ、太陽系外への航行計画(オペレーション・アウター・スペース)にとりかかる破目になるとはね!」

 出典: マレイ・ラインスター「オペレーション外宇宙」(野田昌宏訳)  『世界SF全集11』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 広告会社に勤めるジェッド・コクランはある日、社命により月に向かいそこでダブニーという人物から発明の話を聞かされます。
 彼は、真空中で動く物質を超光速で動く「場」を発明したというのです。投稿したセリフは、コクランがロケットの建造を決意するところから。
 「縁は異なもの」といいますからね。とはいうものの、その後巻き込まれる騒動を考えると、ちょっとかわいそうかも?

駄弁者:
 全集の同じ巻にハミルトンが入っているのに、野田大元帥が解説しているのはそっちじゃなくてこっち…というのがちょっと意外に感じられました。訳者解説なんだからそれで普通のはずなのに(私もハミルトン=キャプテン・フューチャー の呪縛にかかってる?)。テレビ局の人間としてこの作品を評価しているのが面白かったです。



あたしは、べつの人とあの計画を立てたのよ。もうここにはいない、二度とはもどってこない人と

 出典: エドモンド・ハミルトン「時果つるところ」(南山宏訳)  『世界SF全集11』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 時は19XX年。世界は核の炎に包まれた!! 海は枯れ…地は裂け…あらゆる生命体が絶滅したかのように見えた……だが!!! 人類は死滅していなかった!!!  超原子爆弾の爆発を頭上に受けたミドルタウンはその巨大な衝撃により、地核が完全に冷え切ってしまった遠未来へと吹き飛ばされてしまったのだ!  次第に冷えて行く都市からドームに覆われ、放棄された都市に移動し、外部と懸命に連絡を取ろうとするミドルタウンの住民たち。その連絡に応じて救援はやってきた。ただし、地球外から…。  投稿したセリフはすべてが終わった後、主人公のケニストンが婚約者のキャロルに言われた言葉で、この後、彼は彼女のもとを離れ、新たな仲間たちのもとに向かいます。  去りゆく男と、留まる女といった対照が見事な台詞でした。ストーリーもなかなか面白く。映画化してもいいんじゃないかと思います。(アレとか、アレとか映画化するくらいなら…ねぇ?)

駄弁者:
 ハミルトンというと「キャプテン・フューチャー」…というのはSF作家・ハミルトンとしては必ずしも喜ばしいばかりのものではなかったようで、こういう作品も書いているのにスペオペ専門と思われ評価が低かったとのこと。
 他にも「フェッセンデンの宇宙」とか「プロ」とか味のある作品もあるのに、レッテルというのは恐いものですね。
 ご投稿のセリフは、フラれて苦いラストか…と思いきや、どうも待ってくれている人もいらっしゃるようですね(笑)。



あなたはいま、とてつもないごちそうを目の前にしている。SF界広しといえども、正真正銘の楽しい奇想にかけては、バリントン・J・ベイリーの右に出るものはいない。ベイリーは、サイエンスフィクションの真実の魂の模範であり、完全無欠のお手本なのである。

 出典: ブルース・スターリング「バリントン・J・ベイリー『時間衝突』序文」(大森望訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 白人政権「タイタン」が地球を支配する遠未来、現状と逆行する時間流との衝突が予測される。タイタンは事態を打破するべく絶望的な戦いを挑む。
 2008年10月14日に亡くなったベイリーの作品から。
 スターリングの文は本作の序文、ステイブルフォードの文は訳者あとがきから(京大SF研<中間子>3号)、それぞれ抜粋ですが、謹んで追悼文といたします。

駄弁者:
 追悼で掲載するなら、こちらを先にするべきでしたね。それにしても、だいぶ長いこと新作を見ていないとはいえ、やはり亡くなってしまうのは残念です。
 なんだかよく分からないけど、すごい「時間衝突」もいいのですが、私が好きだったのは「ロボットの魂」「カエアンの聖衣」…終始アイディアで押し切ってしまう名手でした(「ロボットの魂」はストーリーも悪くなかったけど)。



クリスチャンセンカーク取リ消シ コノ行 取リ消シ
 ツギノトオリ訂正

 出典: マイクル・クライトン「アンドロメダ病原体」(浅倉久志訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 マイクル・クライトンを追悼して。
 66歳ですか。早いですね。私にとって彼は「小説家」と言うより「映画の原作者」のイメージが強いのですが。今思えば彼は「アイデアの人」だったかな?と。
 で、この名文句ですが、昔懐かしい「誤り訂正」の一文、しかも機械による「電報」です。どうやって電文を検証したんでしょう?
 当然今でも誤り訂正はコンピュータに付き物ですが、「文字化け」も滅多に起きなくなったような。

駄弁者:
 こちらも順番とばしですが、故人に免じてご容赦ください。
 「アイデアの人」であると同時に、そのアイデアをいかに効果的に、リアルに見せるかに長けていたんじゃないかと思います。



「俺たちは与えられた状況で最善の努力をするしかない人々なの。状況に異議唱える権利は最初からないの。何でいま武器使えないんだとかね、そういうことはそもそも考える権利もないの」

 出典: 有川浩「海の底」

紹介 :垂直応力 様
HP :

コメント:
 時事ネタ関連です。現役の幕僚長が(私には)妄言としか思えないような文章を寄稿して更迭されました。「一言も反論できないようでは、北朝鮮と同じ」とかいってますがそれなら政治家になってくれと。理不尽な状況でもちゃんとシビリアン・コントロールを踏まえて行動しているこちらの新人のほうが、よっぽど信頼できます。現実を無視して無茶するのは、フィクションの中だけにして欲しいもんです。

駄弁者:
 時事ネタなので、風化しないうちに。
 異議を唱える内容が、彼の職掌内の分野であったとすれば、意見は言ってしかるべきところなんでしょうが。それ以外についても、まあ考える権利はあってもいいんじゃないかと思いますが…。それを表明していいものかどうかは、話が別。
 例の懸賞論文は、とくに学者にとっては内容の当否以前に、あれを「論文」と呼ぶこと自体に抵抗があったんじゃないかと思います。いくら学術論文じゃないとは言え…。



ネズミの騎士・日下部太郎(くさかべたろう)「すきだ」
カマキリの騎士・宙野ハナコ(そらのはなこ)「しってる」
ネズミの従者・ランス=リュミエール「キル おれっちはお前が大っ嫌いだ 二度とその顔はみたくねえ だから」
カマキリの従者・キル=ゾンネ「ランス」
ランス「ぜってー死ぬな」

 出典: 水上悟志「惑星のさみだれ」

紹介 :屋良一 様
HP :

コメント:
 これが実質的に太郎とランスの最後の言葉になった。敵の泥人形にハナコ共々串刺しにされた為だ。
 この後、ハナコとキルは息を吹き返した。
 太郎が事前に騎士契約の報酬として、密かに「ハナコは即死で無い限り一度は助かる。」事を求めていたのだ。
 では太郎は無駄死にか?
 いや、そうでは無い、泥人形の攻撃は強力で即死する可能性は極めて高かった。
 そして、ハナコは騎士契約の報酬として「たまたまTVニュースでみた「逃亡している連続強盗殺人犯」の死(社会的には犯行を告白して自殺)」を願い(悪い人だなーと思ったから、願い事で殺したの)、その業により死ぬ確率が著しく高まっていた。
彼女は自分の罪を償うかのごとく無造作に自分の身を危険にさらす様になった。
 それを知っている太郎は咄嗟にハナコを庇ったのだった。
 残されたハナコはただひたすら自分を責めたが、四ヶ月後の08年10月号で描かれる泥人形との再戦時、唯一人で戦い太郎の敵をとる。そして太郎の分も生きようと思うようになるのだった。
 この08年6月号でのエピソードの題が「勇者・日下部太郎」作中で勇者と称されたのは太郎一人だけなのです。

駄弁者:
>「すきだ」「しってる」
 このあたり、スターウォーズの例の名シーンを意識してたりするんでしょうか。性別逆ですが。



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