SF名文句・迷文句第221集

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 他者はあなたにこう教えるために存在する。すなわち、夜が近づきつつあるとき、われわれはすべて地球という異邦の惑星に住む異星人であるということ。キリストも、人間も、また人間によって組織された政府も、決してあなたを救ってはくれないということ。未来に関心を持つ作家たちは、過去に生きることをやめ、すべての未来がわれわれの手から盗み去られる前に、誠意と決断と勇気をもって未来のことを語らねばならないということ。山上からおりてきて、あなたの百合のように白い肌や黒い尻を救ってくれるものなど存在しないということ。神はあなたのなかにあるのだ。あなたを救うのは、あなた自身なのだ。
 でなければ、だれが好き好んでこんなところまで旅をするのだろう。……ひとりぼっちになるだけのために?

 出典: ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの 『まえがき──リオの波』」(伊藤典夫訳)

紹介 :汽笛 様
HP :

コメント:
 個人的に好きなSF作家第一位ハーラン・エリスンの名短編集より。
 すでに登録されていますが、同前書きには「われわれは新しい思想を――」の素敵なくだりも存在しますので、まだ読んでない方は是非一読して欲しいです。

駄弁者:
 富者たちの「山上のキリスト」と、貧者の「小さな黒いキリスト」のコントラストが存在するリオ・デ・ジャネイロで書かれた前書きの、最後の一節より。どちらのキリストも救ってくれないとは、ペシミスティックなようで…しかし力強くもある言葉です。
 SFの「ニュー・ウェーブ」と一括りにされることを拒否しつつ、しかし一人一人の「数多くの波」の先頭にたっている誇りも窺える、単なる「まえがき」にしておくにはもったいない豊かな内容をもつ「まえがき」でした。
 この短編集は、訳者あとがきも面白かったです。



何たって、おれはまだ百歳にもなってないんだからな。

 出典: ロバート・A・ハインライン「月は無慈悲な夜の女王」(矢野徹訳)

紹介 :汽笛 様
HP :

コメント:
 ハインラインの名作『月は無慈悲な夜の女王』より。
 あてもない未来へのたくさんの可能性。
 このせつない前向きな一言が僕は好きです。

駄弁者:
 ご投稿は、ラストの一文より。
 この文だけ一見すると「そりゃあ、うん千歳の主人公が出てくる作品を思えば──」などと思ったのですが、「道に迷ってしまった」友を思いながらも、あえて前向きに行こうとする主人公の言葉なので、まぜっかえすのは場違いですね。
追記:同日付で4点ご投稿をいただいてますが、とりあえずプロパーSFの2点から掲載させていただきます。



「三倍の兵数で敗れ去ったあほうどもの敗因を、公式記録はどう書くかな」
「そうだな、冬が早く来すぎた、とでも書くんじゃないか」

 出典: 田中芳樹「七都市物語 『ペルー海峡攻防戦』」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 ロシア側が、バルチック艦隊が「日本海に現れるだけで日本艦隊は恐れて攻撃を控えるだろう(ウィキペディア 日本海海戦)」と思い上がって臨んだ「対馬沖海戦」(日本海海戦のロシア側の呼び名)の結果は、ロシアを含めた「世界を驚愕させ」る程のロシア側の惨敗でした。そのせいか、ロシアでは長い間、日露戦争はタブーだったそうです。(一部例外あり。)まあ、気持ちは分からないでも無いですし、こういう「行為」はロシア人の専売特許でもありません。(駄弁者さんは、こういう「具体例」を、たくさんご存じですよね?)でも、皆さん、子供の頃に言われませんでしたか?「何度も同じ間違いをしないために、自分の失敗から眼をそらしてはいけません。何故自分がその失敗をしたか、よく考えて、そのことをよく反省して、決して同じ失敗をしないよう、そのことを忘れないようにしなさい。」と。戦争についても、同じだ、と私は思うのですけど。それとも、違うのでしょうか。
 投稿の文句は、日露戦争当時のロシア側並の杜撰な戦争指導の結果、「少なからぬ被害」をだして敗北した戦いの司令官達が「その戦い」を述懐して言ったもの。この文句を言った司令官達も「杜撰な戦争指導」の被害者とも言えるので「兵士達を犬死にさせて、よくもぬけぬけと」とは、私でも言えませんが、「冬が早く来すぎた」が「最大の敗因」ですか!これでは「万骨」が浮かばれません。「そんな『浮かばれない万骨』の名前のリストで、歴史の図書館は一杯だよ。」という声が聞こえそうですが、それでも、こういう風に考える「軍事のプロ」が世界中から一人もいなくなりますように。そして、このような「醜態」が、「対岸の火事」「他山の石」であっても、「明日は我が身」となることが、私達の身の上に降りかかることが、永久にありませんように。

駄弁者:
 ここで「冬が早く来すぎた」と言っているのは自嘲の言葉で、本気でそれが敗因だとは、さすがに考えないのではないでしょうか。まあ、それでも兵士が浮かばれないことに変わりはないのですが。
 それにしても、「銀英伝」や「七都市物語」を名文句をダシにして、コメントで作品とは関連の薄い日露戦争についてのご所感を長く書かれるのは、ちょっとどうかと思いますよ?



勝因のない勝利はあっても、敗因のない敗北はない

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説 第3巻 雌伏篇」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマも「くたばれ軍事ロマンティシズム」です。前回の投稿では自分の「戦争の常識」の無さに呆れるあまり感情的になり、筋道だったコメントを書けませんでしたので、今回は具体例から入ることにします。
 「坂の上の雲」は日露戦争を描いた著名な小説ですが「日露戦争」といえば「日本海海戦」が知られています。「海戦史上一方的な勝利」「日本の輝ける勝利」といわれている「日本海海戦」ですが、実のところ、この「勝利」は「奇跡」でも「天佑神助」でもないのです。何故なら、日露戦争当時のロシア政府の戦争指導は杜撰を極め、その酷さは、日露戦争に参加したロシア人自身が「ロシアの戦争のやり方は、ひどい。」(NHKドキュメンタリー「ロシアから見た日露戦争」)と断言しているほどです。日本海海戦に際してのバルチック艦隊も似たような酷さで、日本海海戦は「ロシアが自滅した戦い」とも言えるのではないか、と思うのです。(参考資料 ウィキペディア「日本海海戦」)
 で、投稿の文句ですが、前回の投稿の「要塞をもって要塞にあたる」戦いを侮蔑していたロイエンタールが、その戦いで友軍が惨敗したことを知った際のものです。ケンプ(その戦いの司令官)は日露戦争のロシア軍上層部ほど酷い失策はしていないと思うのですが、しかし、日本海海戦が「日本の勝利」というより「ロシアが勝手に惨敗した」のだ、と思うとき、このロイエンタールの言葉は身にしみます。私達も「日本海海戦」をただ賛美するだけでいいのでしょうか。むしろ、「他山の石」とすべきではないか、思います。

駄弁者:
 ロイエンタールの言葉は正しいし、日本海海戦の勝利が奇跡でも天佑でもなかったのもその通りなんでしょうが、「ロシアの自滅」とまでいうのは結果論だろう思います。日本軍が上手く立ち回らなければ、それこそバルチック艦隊が「勝因のない勝利」を遂げていたはず(…そしてその場合、日本の敗因があげつらわれていたはず)。



「よろしくお願いしまぁぁぁす!」

 出典: 奥寺佐渡子脚本・細田守監督「サマーウォーズ」

紹介 :RORSCHACH 様
HP :

コメント:
 映画終盤にて主人公健二の渾身の叫びです!
 さえない主人公がここぞという時に活躍してみせる中々おいしいシーン…だったような気がします

駄弁者:
 前にご投稿を掲載したとき、「この夏のヒット作品」と書きましたが、どうやら「今年のヒット作品」と言ってもよさそうです。
 このままいけば(『アバター』あたりが来なければ)、来年の星雲賞映像部門はこの作品が有力か。



「料理に 掃除に 洗濯でしょ 主婦はやること多いんだからぁ」
「それでも皆2本の腕でやってるの!」

 出典: 宮田紘次「ヨメがコレなもんで その1」  『フェローズ』第4号(2009年4月)に収録

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 ヨメはゴーゴンタイプの宇宙人です。彼女は頭の触手を使って、料理を一気に片付けています。
 なんと、フライパンで炒め物をしつつ、味噌汁に味噌を投入しつつ、大根おろしをしつつ、すり鉢でなにかを混ぜつつ、卵をパックから取り出しつつ、魚をおろそうとしています。いいのかそれで。
>そんな事はさておき
 手が多いからといって、仕事がはかどるとは限りません。借りてくる手にもよりますが、どんなに忙しくても、「ネコの手」などはもってのほかです。キーボードに毛玉掃くし、マウスとじゃれるし、プリンタから出てくる紙と戦うし、気が付くとLANケーブルに絡まっているし、それよりなにより、そんな彼らと遊んでしまって肝心の仕事がまったく進みません。非常に危険です。

駄弁者:
 忙しいときはネコの手よりゴーゴンの触手ですか。手際よくやっていると言うより、無精しているように思えてなりません。
>マウスとじゃれるし、プリンタから出てくる紙と戦うし
 はかどらなくていいから、触手よりネコの手で和んでたいなあ。



「きえてもらいます」

 出典: ハンナ・バーベラプロダクション制作「電子鳥人Uバード」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
1971年頃、東京12チャンネル(現テレビ東京)で放送されていたアメリカ製テレビアニメ(原題『BIRDMAN』)の主題歌より。「ユーユーユー、ユーユーユー、Uバード〜」というカッコイイ歌い出しの後、5秒ほど間奏曲が流れ、その部分に挿入される主人公Uバードの台詞が上記の文句である。これはUバードが必殺技「電子光線」を照射する時に吐く決め台詞ということになっていたが、実際には本編で聴かれることは滅多に無かった。妙にシブい声と落ち着いた口調が逆に恐ろしく、子供心に「うわ。殺し屋みたいなヒーローだ」と震え上がったものだ。
尚、興味のある人はYou Tubeを覗いてみるといい。ただ、UP主がタイトルを間違えて登録しているようなので、検索は「電子鳥人Uバード」ではなく、「電子超人Uバード」で入力すること。今聴いてもノリのいい歌である。

駄弁者:
 YouTube覗いてみました。なんか電子鳥人よりも並んで飛んでいるお供のワシの方がカッコよさげなんですが…。



おれはハレルヤの子どもなのさ。きみと違っておれは胎外受精でチューブの中で生まれたんでね…
おれを生んだ精子と卵子をえらんだのはあのハレルヤなんだ。だからまあおふくろ・・・・みたいなものさ

 出典: 手塚治虫「火の鳥 未来編」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 この漫画については後半からの投稿が多いのでここはあえて前半から。
 地上の環境が完全に衰退し、殆どの人類が地球上に五か所存在する地下のメガロポリスに閉じこもってそれぞれの都市に一台ずつ設置された人工頭脳の指示に一字一句漏らさずに従って生きる事を強いられているはるか未来の地球。
 その人工知能同士の諍いが発端となり一瞬にして全てのメガロポリスとその住人が吹き飛んだ後、その寸前にメガロポリスの一つであるヤマトから逃亡者として逃げ出してきた人類戦士のロックが語った、彼が人工知能ハレルヤに従っていた理由がこれです。
 正直僕はこの漫画を初めて読んだときからこの「おふくろ」という表現にしっくりこなかったのですが福井県で自治体が少子化対策として行っているある取り組みを見てからこのハレルヤが(他の四つの人工知能も?)やっていた事はどちらかというと「おふくろ」というよりまだ結婚していない若者に問答無用で縁談を持ち込んでくる「お見合いおばさん」に近いのではないかと思っています。
 そう考えるとみんなお見合いとかで結婚をして子供を作って初めて一人前と考えられていたという昔の社会はある意味天然の試験管ベビー乱造機だったのかもしれません。

駄弁者:
 「天然の試験管ベビー乱造機」とはひどく矛盾した表現だとは思いますが、子孫を残すということが第一目的だったいうことなら、確かに。
>福井県の少子化対策
 第3子以降に支援がつくんですか…。どっかのSFでは「サード」は逆に公的補助がなくて、差別の対象だったりしたんですけどね。



水にも萌えが分かります

 出典: 柏森進(MOSAIC.WAV)作詞・作曲「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 もしかして僕の家の蛇口の中でも水分子が
「やっぱりア○プスの天○水はクーデレっぽくて最高だよね」
「何言っているんだ。それよりも一番萌えるのは愛媛のポ○ジュースだろ、常識的に考えて…」
とか言っているのでしょうか。  ちなみにこの出典の曲がどんな曲か知りたい方は他の方がこの歌の歌詞から投稿した名文句をご覧ください。

駄弁者:
 歌詞によると、気に入りキャラのカップで水を飲むとおいしかったので…とのこと。そのカップに入れて氷結結晶を作ったら、さぞキレイなのができるんでしょう。



「……ねえ灯里ちゃん、こんなお話知ってる?
ある旅人が求めるものを探す旅に出る時師に言われた、絶対に道を見失ってはならない。ひとつでも間違えるともう二度とお前の求めるものは見つからなくなるから、と。
でも、旅人は不幸にも道を見失った。
力なくうつむいて途方に暮れる旅人……。でも再び顔を上げた彼の眼前に広がっていたものは、かつて旅人が求めていたもの以上の……素晴らしい世界だった。
失敗や寄り道をしなきゃ見つからないものもあるってお話」

 出典: 天野こずえ「ARIA」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 24世紀初頭、テラフォーミングによる極冠部の氷の予想以上の融解で、地表の90%以上が海という地球以上の水の惑星となった未来の火星・アクア。
 そこにある地球のヴェネツィアを移転した町ネオ・ヴェネツィアを舞台に、一人前のウンディーネ(ネオ・ヴェネツィアの観光案内専門の女性ゴンドラ漕ぎ)を目指す主人公・灯里とその周囲の人々の生活を描く物語です。
 休日に先輩のアリシアの知っているとっておきの素敵な場所に2人してピクニックに出かけた灯里。ところがうろ覚えの分岐点で棒倒しで進行方向を決めたために道を間違えてしまい、到着できないまま日暮れ時を迎えてしまいます。
 戻ろうかというアリシアに、灯里は目の前の丘にある木まで行く事を提案します。そしてそこに到着した2人の目には、満開の桜の大木と打ち捨てられた古い電車の車両が。
 今回の名文句は自分が道を間違ったために目的地に到着できなかった事を詫びる灯里に、アリシアが返した言葉です。  失敗も決して無駄じゃない。それは単に次に成功するためのステップというだけでなく、成功していたら得られなかったものを得られるかもしれない……という言葉です。

駄弁者:
 ネガティブに捉え方になりますが、いったん道を違えて引き返せなくなったのであれば、その道の良いところを精一杯探した方が幸せになれる…とも言えますね。カードの短編で、コンピュータのミスで適性の職業に就けなかった男が、ずっと後でミスに気づいた当局の指示で適性があったはずの職業に再配置されるが、結局何もかもうまくいかなかった、という話がありました(「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」『無伴奏ソナタ』に収録)。ニュアンスは違いますが(というかポジとネガ?)通底するところがあるように思えます。



巨大な象を一頭殺すのと、一万匹のねずみを殺しつくすのと、どちらが困難か。後者に決まっている。集団戦の意義も知らぬ低能に、何ができるものか

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説 第3巻 雌伏篇」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、ミッターマイヤーが「無益で無用」と評した出兵の作戦とは「巨大要塞をもって巨大要塞を攻略する」というものだった。投稿の文句は、その作戦を「復古的な大艦巨砲主義」と侮蔑する軍人、ロイエンタールの言葉。歴史にも軍事的知識にも暗い私は「そうなんですか?」としか言えません。そりゃ、駄弁者さんは、この言葉は「常識」でしょう。(他の方々も。)私も、戦争について書かれた書物を読んではいます。でも、私は、戦争で悲惨なことが起こる「原因」についての「知識」を欠いていたのです。戦争の惨禍の「原因」について考察する際に必要な基準となる、「軍事的知識」を含めた「戦争の常識」も。私は、「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」という言葉を知っていても、「それ」を怠れば、何が起こるか、そのために兵士達が「万骨は枯る」ことになるのだ、ということを知りませんでした。「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」の「意味」、「戦争において幻想やロマンティシズムの入る余地は無い」という「常識」も分かっていませんでした。何故なら、「知る」ということは「客観的に把握する」ということですから、「幻想」や「ロマンティシズム」を排除したうえで、「敵」や「己」を把握しなければ、「知る」ということにはなりません(少なくとも、私には、そうです。)それにしても、さすがミッターマイヤーと並ぶ名将、「戦艦同士の一騎打ち」を「馬鹿馬鹿しい」の一言で切って捨てた御方だけあります。先の投稿で「世界中の軍人が皆、ミッターマイヤーのように考えて欲しい」と書きましたが、世界中の軍人が皆、ロイエンタールのように「軍事ロマンティシズム」を忌避して欲しい、とも思います。そうしたら、「万骨」の数も、少しは減るでしょうし。日本の国防に携わっている方々も、そう考えていらっしゃいますよね?

駄弁者:
 この場合、ロイエンタールの言葉は戦術的な方法についての批判で、トオコ・モリエさんのコメントのような意味を見出すのは、ちょっと解釈が苦しいように感じました。
 「軍事的ロマンティシズム」という点では、帝国の提督たちはそれに毒されている人たちばかりですし(ロイエンタールにしても「陥れられて反乱者に仕立て上げられるぐらいなら、本当に反乱してやる!」という、ロマンいっぱいの御仁ですよ?)。活劇の登場人物としては、惚れこむばかりですが、現実の軍人さんたちには、うかつに見習ってほしくないところです。



今度の出兵は無益で無用のものだ。いたずらに兵を動かし、武力に驕るのは、国家として健康なありようじゃない

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説 第3巻 雌伏篇」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは、「戦争」。題して「くたばれ軍事ロマンティシズム」。
 投稿の文句は、この小説中屈指の勇将ミッターマイヤーの言葉。彼の上官でもある、自国の権力者が「勝てれば幸い」という程度の「深刻な意味」の無い出兵を決定したときの言葉です。本当に、何度見ても涙の滲むほど心にしみる言葉です。世界中の高級軍人が皆、こんな風に考えてくれたら。さぞ、不必要な戦争も、その「不必要な戦争」の犠牲者も減るでしょうに。(例:アメリカ人にとってのベトナム戦争。駄弁者さんは、より多くの「不必要な戦争」をご存じですよね。)そりゃ、敢えて削った部分の言葉は「ミッターマイヤーも軍人なんだ。政治問題を解決する手段として思いつくのは、まず軍事力なんだ。」と思って、心臓の辺りが冷たくなりました。でも、ミッターマイヤーの言葉と正反対のことを考えた連中(軍人、文民問わず)に、どれだけの人達が、どれ程酷い目にあわされたかと思うと、ミッターマイヤーが天使に見えます。ま、「民主国家」の軍人は、ミッターマイヤーのように考えて欲しいです。何と言っても、「民主国家」とは「権力者の恣意的な権力行使を認めない」国家なのですからね、某隣国とは違って。(そのはずだ。)日本の国防に携わる方々(制服組、背広組を問わず)は、どうお考えなのでしょう。

駄弁者:
 お気づきだとは思いますが、たいてい戦争をやろうという人は、その戦争が有益…とまではいかなくても、必要と考えているでしょう。



シュワッチ!

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマン」ほかウルトラシリーズ全般

紹介 :S 様
HP :

コメント:
 あの有名な掛け声
 おいらには「ジュワ」とか「ジャア!」といっているように聞こえるんだよなぁ、特に初代。
 一番それっぽいコスモスのは「シュゥワァッ」って聞こえる…
 …ほんとに彼等は「シュワッチ」と言っているのでせうか?教えて柳田先生or山本先生

駄弁者:
 両先生に聞いてもご存知なんでしょうが、こちらを読んでみるのもいいかもしれません(永井豪か赤塚不二夫が初出?)。



「ウイニングショット」より
コウダ「フォークボール…」
カリヤ「ウルトラ…フォークですね…」

「大決戦!超ウルトラ8兄弟」より
ヒビキ監督「フォークボールが冴えたねえ!」

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマンダイナ・第5話『ウイニングショット』」および「大決戦!超ウルトラ8兄弟」

紹介 :sengoku 様
HP :

コメント:
 アスカ・シン再登場記念。
 パラレルワールドでも、アスカのウイニングショットはフォークボールということで…
 「ウイニングショット」
 直線的な攻撃を頑丈な両手のハサミで防御する怪獣シルドロンに対し、フォークボールの様に落ちる光弾「ウルトラフォーク」で敵の弱点の腹に直撃させて倒した。
 「大決戦!超ウルトラ8兄弟」
 テスト入団で、横浜ベイスターズに入団したアスカは、フォークボールを武器にベイスターズを優勝に導く。

駄弁者:
 変則的なご投稿ですが、どちらか1話だけにもできなかったので、そのままいきます。
>横浜ベイスターズに入団したアスカは…
 ウルトラマンの助けを借りないと、ベイスターズに優勝の目はないのでしょうか…(ファンの方、ごめんなさい)。
 いや、阪神V8どころか優勝するのがSF的に思えてしまう時代もあったのだから、横浜だってウルトラマンを待つ必要はないに違いありません。



おとなってなんだよ
結婚したり子どもを作ったり
家を建てたりすることなのかよ

 出典: 近藤ようこ「宇宙爺」  『悲しき街角』に収録

紹介 :水谷秋夫 様
HP :

コメント:
 仕事を辞めて実家に帰ってきて、親に仕事しろ結婚しろと言われて、友達は結婚して子供いて、そんな状況の主人公は、子供の頃よく見かけ、友達と「宇宙人じゃないか」と噂した爺さんをまた見かけます。
 台詞は、まあ、親からしたらその通りなんでしょう。人によったら胸がイタイ漫画ですね。読んだ当時の私もイタかったです(今? いいじゃないですか、それは)。

駄弁者:
 私は今現在、胸がチクチクしています(笑)おとなになる日、来るかなあ…。
>「宇宙人じゃないか」と噂した爺さん
 「宇宙人」の噂はなかったけど、謎な爺さん(婆さん)って私が子どもの頃にもいた覚えがあります。結構あちこちにいたりするんでしょうか。



「彼らはみんな狂っていました。武器を持った狂気の集団です……」
「でも、ただひとつ私たちにはないものがありました。」
「その胸に燃えたぎる熱い血潮と未来を信じる若者の夢が…」
「老いた人類がはるか昔に失った、死をとおしても戦う情熱が彼等にはありました。」
「非合理的原始本能にすぎない」

 出典: 松本零士「ザ・コクピット 『幽霊軍団』」

紹介 :雑音領 様
HP :

コメント:
 111集にもあった松本零士のシリーズから。
 敗戦直前のドイツ。狙撃兵のレステルマイヤーは不思議な美女レヤと出会いますが……。
 投稿したやりとりはこの話の最後のページから(未来の世界に戻ったレヤとその上司とおぼしき男との会話で、最後の一行以外はレヤの、最後の一行は男の台詞)。

駄弁者:
 前に掲載したときもSFに入れてしまっていいものか疑問だったのですが、未来世界云々というギミックのある話もあったんですね(それでも微妙なことは変わりませんが…)。
>胸に燃えたぎる熱い血潮と未来を信じる若者の夢
 武器を持つ狂気とワンセットでないと持てないものだとしたら、悲しいですね。



…ニセモノじゃないさ…
…最期の瞬間…アイツは間違いなく本物のロックマンだった…

 出典: 有賀ヒトシ「ロックマンメガミックス」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 ロックマンが人類に宣戦布告をした。しかしそれは自分を本物のロックマンだと思い込んだコピーの仕業だった…というお話から。
 事件が終わり、ニュースで事件を起こしたのはニセモノだったと聞いてのブルースの呟きです。

駄弁者:
 ロボットの場合、「最後の瞬間」に限らず記憶までコピーされた複製はニセモノではなく、「もう一つの本物」なのでは?
 いや、ロボットに限らず人間でもそうかも…。



その名はトイレット・ペーパー。
救国の乙女、トイレット・ペーパー。
あの時代を知る者たちは、決してトイレット・ペーパーの名を忘れないだろう。
そう、決して……

 出典: 賀東招二「約束のバーチャル(後編)」  『フルメタル・パニック!悩んでられない八方塞がり』に収録

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 (小説内ゲームですが)世界を救うヒーロー・ヒロインにはそれなりの名前が必要だと私は思うのですが、この世界を救うヒロインキャラ名には爆笑してしまいました。ちなみにこの名付け親は、フルメタル・パニックのメインヒロイン、千鳥かなめ嬢で、この名前でキャラを演じたのですが、この作品中では、ひどいボケを演じており、うっかり、こんなキャラ名を付けて、周囲の敵等から、○所紙呼ばわりされても、本人だけ全然気づかず、ラストシーンで呆然としてしまいます。それにしても、相良宗介をはじめとするクラスメート達もキャラ名に突っ込まない、作品の都合上とはいえ、友達甲斐が無いと思いました。

駄弁者:
 いや、世界を救ってしまえば、どんな名前でもそれが格好良いということになってしまうでしょう(トイレで使う紙は、ひっそりと別の名前に変えられて)。
>その名はトイレット・ペーパー。
 字面を見て、前にあったご投稿を連想してしまいました。オンラインゲームでハンドル名に商品名をつけ、大活躍させたらかなり宣伝効果がありそうです。



「成功率99%のロケットに自分で乗り込んで宇宙へ飛び出したモウリ博士と、たとえ競争に負けたと言われても100%完全なロケットを作り出すまでじっと我慢しているイワモト博士と、科学者として、果たしてどっちが勇気のある正しい生き方だろうね。よく考えてみようじゃないか」

 出典: 千束北男脚本・飯島敏宏監督「ウルトラマン 第16話『科特隊宇宙へ』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 人類初の有人金星ロケットが、モウリ、イワモト両博士によってそれぞれ開発されていた。その開発競争に勝って自らロケットに搭乗し、金星へ飛び立ったのはモウリ博士。しかし、科学特捜隊の装備開発ブレーンでもあるイワモト博士を尊敬していたホシノ・イサム少年は、まるで科特隊の技術力その全てがモウリ博士に負けたように感じ、泣きべそをかいて悔しさを訴える。そんな少年に冷静さを取り戻させる為、ムラマツ隊長が優しい口調で投げ掛けた言葉が上記の台詞である。「男の子がそんなことぐらいで泣くんじゃない」とか、「科特隊の技術力は優秀だ。いまにもっと凄いロケットが出来るさ」などと言われるより、遥かに心にしみる名文句だ。
 優れた指揮官(または上司)は、優れた教育者でもあるべきだという見本。いや、私にとっては手本(とか言って今の私、部下がたった三人の職場なんですけど)。

駄弁者:
 結果がとにかく重視される昨今では、イワモト博士の姿勢は慎重すぎるとして非難されそうです。せめて教育の場では、ムラマツ隊長のような言葉が欲しいところです。
 もっとも結果というなら、モウリ博士はバルタン星人に乗っ取られるという、おそらく可能性1%以下の失敗に引っかかってしまうわけですが。



 手塚治虫先生の名作「鉄腕アトム」の影響か、日本人には「ロボットはいい奴、人間の友達」というイメージを持っている人が多いと思う。
 一方、欧米の人は、なにかというとロボットが反乱を起こしたりして、ロボットに恐ろしいイメージを持っていることが多い気がする(ひょっとすると、産業革命で職を奪われた労働者が怒って紡績機を打ち壊したりした歴史的経緯が尾を引いているのかもしれない。と、わしは踏んでいる)。
 ところが、アシモフの描くロボットはなぜか優しい。日本人の琴線に触れるのだ。もちろん単なるオプティミストではなく、ロボットに対して警戒心や敵愾心を抱く人もきちんと説得力を持って描いた上で、ロボットと人間の共存を訴えているところがとてもいいと思う。
 教訓:ロボットの頭に神宿る。

 出典: 川原泉編「川原泉の本棚 おすすめ本アンソロジー&ブックガイド」

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 漫画家・川原泉の編んだアンソロジーから、アシモフのロボットもの「ロビイ」に付された(「川原泉おすすめのわけ」と題する)解説より。
 マンガも面白いが本人も面白い人なので、そりゃアンソロジーも面白いさ、みたいな。
 その他の収録作品は、かんべむさし「水素製造法」、清水義範「言葉の戦争 1」、田中芳樹「品種改良」、ポー「大うずまき」など、全9篇。
 それらにくわえて「まえがきエッセイ カワハラと読書」「おすすめブックリスト」「おまけルポ 川原邸訪問記 そこは群れ集う本たちの楽園だった(編集部)」がおさめられた、充実の内容。親御さんは、お子さんと一緒にいかがでしょう。  続編の『川原泉の本棚 2』も出ています。
BGM:「Book Of Days」エンヤ

駄弁者:
 「ロボットはなぜか優しい」にはまったく同感です。同感なんですが、人類への優しさが高じて第零法則まで行ってしまうと、ちょっと違った恐さが湧いてきたり。
>その他の収録作品
 「水素製造法」に「言葉の戦争」は、未読の方はぜひ読んでほしいところです。私がむかし読んだとき爆笑した作品でした。



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