SF名文句・迷文句第267集

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ショッカー中近東支部から送られてきた改造人間、毒サソリ男の東京ズタズタ作戦が開始された。その大地震のさなか、眠りから覚めた古代怪獣ガドラスが出現した。
破壊と殺戮のみを目的とした二体のモンスターの前に、街は壊滅の危機に瀕していた。
まさにその時…。

 出典: 雨宮慶太監督「ウルトラマンVS仮面ライダー」

紹介 :かんきち 様
HP :

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 これは93年に発売され、2011年にDVDとブルーレイになったオリジナルビデオ作品です。内容は両シリーズの名場面集と出演者やスタッフへのインタビューや対談などですが、一番の見所は最後に収録されたミニドラマです。投稿したのは、その冒頭のナレーションです。この後、初代ウルトラマンと仮面ライダー1号が怪獣と怪人を迎え撃ちます。スペシウム光線とライダーキックを受けて瀕死の状態になった二体は、危機を脱するために互いのパワーを吸収し、合体獣サソリガドラスとなります。苦戦するウルトラマンを救うため、ライダーはサイクロン号でジャンプして合体獣に体当たりし、その体をブチ抜いて、なぜかそのまま巨大化。ウルトラマンと協力して合体獣に立ち向かいます。火炎攻撃をウルトラマンがバリヤーで防ぎ、その後ろからライダーがジャンプしてライダーパンチを放つという連携を見せてくれます。そしてスペシウム光線とライダーキックの同時攻撃の前に散るサソリガドラス。戦いを終えた二大ヒーローは互いに歩み寄り、がっちりと握手を交わすのでした。ちなみにライダーが巨大化できた理由は「奇跡が起きたから」だそうです。

駄弁者:
 まあウルトラマンの巨大化自体が理屈のつけにくいものなので、ライダーの巨大化だけを笑うわけにはいかないかも知れませんが…。



百万言の…格言より…
たった…一言の…生の台詞が…
勝ることが…あるんだよ!

 出典: もりたけし「ヴァンドレッド」(小説版)

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 ゆとり教育云々で世間が揺れていた頃のヲタにとっては馴染み深い作品かもしれない今回のネタ元。アダルトゲーム月刊誌「BugBug」の表紙でお馴染みの黒田和也が描く妖艶な女性キャラや、熱いストーリーが記憶に残っている方は多いのではないでしょうか。
 女性しか住まない星「メジェール」と、男しか住まない星「タラーク」が戦争に明け暮れている世界。タラークで機械工をして暮らすしがない三等民(※タラークにおけるヒエラルキーの最下位)のヒビキはある日、ひょんなことからタラークの新造艦「イカヅチ」に潜入する羽目になった上に、メジェールの宇宙海賊との戦いに巻き込まれ、戦いの余波でフネもろとも宇宙の彼方に超空間ワープさせられてしまいます。
 そこに待ち受けていた男・女の区別なく攻撃対象とする第三勢力。女のみで構成された宇宙海賊と呉越同舟の共同戦線を張る羽目になったヒビキ、そして食品会社の御曹司バートと、タラークきってのエリート一等民ドゥエロ。  ヴァンドレッドはこの一つの船に偶然同乗することになった男と女が敵対関係を乗り越えながら、第三勢力の脅威を双方の母星に伝えるべく母星への帰還ルートを辿りながら戦う話なのですが、その旅の途中で多くのサブキャラクターが呉越同舟の宇宙船・ニルヴァーナと関係を持つことになります。
 宇宙をさすらう商人、ラバットもその一人で、今回の台詞の発言者です。
 ニルヴァーナに突然現れ、軽薄なトークで宇宙船内の支持を得ていくラバットが気に食わないヒビキ。タラークで教え込まれた「健全な男」の像からかけ離れたラバットの軽薄な態度にヒビキは我慢ならず、ラバットに決闘を挑みます。
 しかし、ラバットはそんなヒビキを一蹴。今まで、タラークのプロパガンダや祖父からの受け売りで自分を語ってきたヒビキの価値観を拳と言葉で粉々にしてしまうのでした。
 その時の台詞がコレ。本当はもっと前後に続いているのですが、長くなるので最も重要であろう部分をピックアップしています。
 このセリフがきっかけでヒビキは、また一段と成長することになるのですがそれはまた別の話。ヴァンドレ世界の人は、なんだかんだと厳しい言葉を投げつけながらも、優しいんですよね。形は荒っぽいけどもこうやって「教育」してくれるんですから。

駄弁者:
 このセリフを載せるのは、サイトの自己否定なんじゃないだろうか(笑)。
 まあ、マジメな話、それは格言の価値が生の言葉に劣るんじゃなくて使いかたが悪いんですよねぇ…。格言は身を飾るものではなくて、身を戒めるものです。



ジャーナリストなんて仕事もしていると…
コロニーの一つや二つ…
落としたくなる連中の気持ちも分からんでもないと思えるようになってしまった…

 出典: ことぶきつかさ「機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー―カイ・シデンのレポートより―Report:12 アムロ・レイ」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 どうも自分変わったのばかり投稿しているのでまともなSF物をと思いこれを選びました。
 『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』はZガンダムのグリプス戦役をカイの視点で描いた漫画です。
 この作品は自分の中で好きなガンダム物の五指に入るのですが、カイがジャーナリストの所為かガンダム漫画なのにMSがあまり登場せず出ても回想かドックなどの背景がほとんどで。
 この話の回でもMSは回想一コマとドックで≪ディジェ≫が停止状態の二コマだけです。
 さてこの台詞ですがアムロとカイがシャアについて会話していた場面なのですが。
 このまま戦争収束すればシャアはどう行動するかカイは危惧しています。
 アムロは「ティターンズを排除しない方が良いとでも言うのかい!?」とカイに聞き。
 それに対するカイの返答が今回投稿した文句です。
 ジオン嫌いだったカイがこんなことを言うようになるなんてよっぽどの事を体験してきたんでしょうね。

駄弁者:
 ファーストガンダムでカイが地球生まれの「エリート」を嫌う発言があったことを思い出しました。コロニー生まれに共通の感情だったとしても、発言の下地はあったとも考えられます。
 とはいえ、コロニーを落とす側と対面した時には反対の意見を口にしてみせるのが、カイ・シデンのキャラじゃないか、とも。



人は…過ちを繰り返す。

 出典: Bethesda Game Studio制作「fallout3」(ゼニマックス・アジア訳)

紹介 :Shijou 様
HP :

コメント:
 はじめまして、初投稿です。
 この名文句はゲームであるfallout3のopで出てくる言葉です。
 このゲームでは核戦争によって荒廃した世界を冒険します。
 核戦争によってほとんどの人が死にましたが生き残った人たちは様々な理由で争いを続けています…。
 まさしくこの世界を一言で言い表した名文句だと思います

駄弁者:
 このゲーム、ゲーム中でも核爆弾が使えてしまうんですね(日本語版では削除されたそうですが)。プレイヤー自身がご投稿のセリフをなぞってしまえるというのもショッキングです。
 Wikipediaでこのシリーズの世界観の年表を見てみたんですが、けっこう面白かったです。コーラの王冠が核戦争後に貨幣として流通するとか…。



…オーディン!見てるんだろう
お前がタイムベントで俺たちのミラーワールドの滞在時間を延ばしていたことは分かってるんだ
そうでないと十分以上ここにいられる説明がつかないからな
早く…早く俺と戦え!
俺の望みは……俺の望みはこいつを蘇らせる事だッ!!

 出典: 早瀬マサト「S.I.C HERO SAGA MASKED RIDER RYUKI EDITION -アドベント・カレンダー-」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 ホビージャパンで連載されている小説群「HERO SAGA」。その中の「仮面ライダー龍騎」を題材にした作品から。
 ライダーバトルは、神崎士郎の望み通りの結末にならなかったときに時を巻き戻すアドベントカード「タイムベント」を使ってリセットされていたという設定であり、そのため無数の物語が存在する。TVスペシャルや劇場版で描かれた戦いはその一つで、TV版の最終回で神崎士郎が諦めたためライダーバトルは終わった。本作も無数の物語の一つとして書かれた作品である。
 神崎優衣を人質に取った仮面ライダー王蛇の罠にかかり、「サバイブ−疾風−」のカードを奪われてしまった仮面ライダーナイト。駆けつけた龍騎は、王蛇がカードの効果で強化変身した王蛇サバイブと彼が使役する合成モンスター「ジェノサバイバー」に苦戦する。さらに仮面ライダーゾルダも参戦して混戦になるかと思われたそのとき、城戸真司(=龍騎)の中に眠っていたもう一つの人格「城戸真一」が目覚め、仮面ライダーリュウガとなって王蛇とゾルダを撃破する。真一は真司が幼い頃に事故死した粗暴な兄で、彼と仲の良かった真司は周囲の人間が誰も兄の死を悲しまなかったことで傷つき、真一の人格をもつ多重人格者になってしまったという過去があった。治療によって真一の人格は出なくなったはずだったが、弟の危機に再び目覚めたのだ。
 全てが終わったと思われたとき、隠れていたナイトが龍騎を奇襲する。恋人の命を救うという願いを叶えるためにはどんな手を使っても、たとえ友人である龍騎を殺してでも絶対に勝たなければならないという思いからの行動だったが、あまりの辛さにナイトは仮面の中で泣いていた。そして、王蛇との戦いで深手を負ったナイトと、ナイトの奇襲を受けた龍騎のうちどちらかが倒れ、生き残った方は投稿の台詞を叫ぶというシーンでこの物語は幕を下ろす。

駄弁者:
>望み通りの結末にならなかったときに時を巻き戻す
 望み通りになれば時は巻き戻らないのに無数の物語が存在してしまうとは、どれだけ成功確率の低い望みだったんだ、ということになりますが。
 今も流行りのループもの設定、面白いとはいえそろそろ便利に使われすぎじゃないかという気もしてきました。



1 街を守れ
2 人の命を守れ
3 自分の命も守れ
4 弱い者から守れ
5 会社の利益も守れ
6 自分の生活を守れ
7 正義を守れ
8 できれば平和も守れ

 出典: 島本和彦「ヒーローカンパニー」

紹介 :s 様
HP :

コメント:
 11月1日、ある雑誌が創刊された、セブンイレブン限定販売、価格はなんと200円の月刊漫画雑誌「ヒーローズ」。これは其の創刊号から連載されている漫画、「ヒーローカンパニー」より、同社の社訓8カ条である。
 夕方に出勤、各々部署ごとに貼り出された依頼を確認し、武器保管庫で必要な装備を借り受けて、出動して戦って帰ってきて、出動した先での活動内容報告書をその日のうちに作成、(これを怠るとお給料もらえないらしい)タイムカード押して帰路につく、そんな企業が「株式会社ヒーローカンパニー」なのだ。
 事業部解いては”武器管理部””忍者部””動物部””サイボーグ課””巨大ロボット部”はある模様。
5人隊(戦隊物?)は「一人休み?別班から一人連れてきて!スーツと装備も!」と吠え、
武器貸出の人は「人手が足りない!」と悲鳴を上げ、
ひと暴れしたヒーロー社員は「こちらにサインをお願いします」と優しく微笑み、領収書と伝票を渡し、
勤務時間外の悪に対してはスルーを決め込むのである。
 …やっぱり、戦闘員十数名と怪人を週1ペースで倒していくと手取りは19万なんだろうか?

駄弁者:
 優先順位で並んでいるとすると、正義と平和が一番最後にくるあたり、正直すぎます(笑)。
>手取りは19万なんだろうか?
 さらに正社員と契約社員では待遇に違いがあるんじゃないでしょうか。



「痛みに耐えるんだ、ザボーガー!」

 出典: 井口昇脚本・監督「電人ザボーガー」(映画版)

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 映画化記念投稿第2弾。今回は観てきたばかりの映画化作品から。「ええ加減にせえよ!」という声が聞こえてきそうですが…。
 この監督の持ち味なのでしょうか?「お馬鹿大暴走、時々空回り」な演出と、オリジナルへのリスペクトがものの見事にマッチしていました。どれほどオリジナルをリスペクトしているかは、投稿の台詞一つで充分ご理解いただけると思います。この直後には、「今だ、ザボーガー!例のアレを使うんだ!」などという台詞も飛び出したりして…素敵すぎるぞ、このコンビ!
 ちなみに割引デーだというのに客席はまばら、そして自分も含めて一人鑑賞のオッサンばかり…まあ、仕方ないわな。

駄弁者:
 怒りも痛みもあって、指令を文脈で解釈できる……なんか戦闘能力より別の部分で優秀さが発揮されているような。



今の俺の出来ないことを君たちがやるんだ…いいな

 出典: 「劇場版仮面ライダーアギト PROJECT G4」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーアギトこと津上翔一とG3‐X装着員氷川誠は警視庁の廊下にて警視総監と出会う、その警視総監を演じるのは仮面ライダー本郷猛でおなじみの藤岡弘、さん
 彼は翔一の肩をたたき投稿の激励の言葉をかける
 続いてくライダーの系譜を感じさせる本作の名シーンのひとつです。

駄弁者:
 ウルトラマンレオではモロボシ・ダンがMACの隊長でしたが、こういうパターンは仮面ライダーではあまり無いんでしょうか。



わたしどもが一万五〇〇〇年かかることを、機械は一〇〇日でやってのけましょう。

 出典: アーサー・C・クラーク「九〇億の神の御名」(山高昭訳)  『天の向こう側』に収録 同名短編集にも収録(小隅黎訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 アメリカのコンピューター会社をあるラマ僧が訪れる。寺院に不似合いな最新型コンピューターを求める彼の動機は、ある法則によって表記される、九〇億ある神の御名を人の手ではなく、コンピューターに出力させ、真の神の御名を探しだして、1万5000年かかると見込んだ事業を終わらせるためだった。
 人の手によって神の御名を探すことに意義があると思うんですけどね。
 1回回せばお経を唱えたことになるマニ車とか、一日参拝すれば〜日分の参拝と同じ効果のある縁日とかと同列に考えて良いのかも知れませんが、どうにも釈然としません。

駄弁者:
 神の名前を唱えるのにコンピュータの総当たり攻撃を用いるというアイディアは、ほとんど出オチというか一発芸というか…。
>1回回せばお経を唱えたことになるマニ車とか〜
 1回買えば聖地巡礼するよりも罪が許されることになるお札もありましたね(笑)。
 ちなみに、出典に同名短編集にもありとしましたが、厳密には『90億の神の御名』とアラビア数字表記です。



全ては宇宙の始まりから決定きまっていた

 出典: 佐藤将「嵐の伝説」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 様々な生物が異形と化した未来では、人類もまた例外ではない。
 人から人ならざるものへと進化した『超人類王』親不知巧との決戦を前に、戦いを回避できないものか悩む嵐に軍師が言った台詞です。
 元科学者でありながら運命論者である彼の言い分は、この世の始まりから全ては物理法則にしたがって動いており、ミクロな世界での不確実さも、人類の科学がまだ発見していないだけで、きちんと法則が存在し、どんな風に物質が影響しあい、どんな風に星々が生命ができ、どんな風に人の脳に電気が走り、どんな風に歴史ができるのか。
 それらは全て決まっているのだから諦めて受け入れろ、と。
 人間の意志さえも所詮物理法則の結果に過ぎない。
 うーん、頷けるような、でも納得したくないような…。

駄弁者:
 ラプラスの悪魔は量子論以降はだいぶ分が悪いようですが…。
 人間に自由意志がないということに関しては、最近のSFではテッド・チャンが言ってました。諦めろではなく、それで十分なんだ、という論調でしたが。



本が燃え出す温度は、「華氏451度」ー!

 出典: 志茂文彦脚本・ふくだみつお演出「勇者エクスカイザー 第37話『かいぶつ図書館』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 とりあえずこれは連続投稿しないと(笑)
 宇宙海賊ガイスターに狙われた図書館を取り戻そうとするエクスカイザーたちだが、図書館の本を傷つけるわけには行かず攻撃ができない。そこでエクスカイザーはコウタたちになんとか本を傷つけない方法を調べてもらうが、なかなかその方法が見つからず、万策尽きたかに見えたとき、コウタが見つけ出したのが……。
 それこそ放送当時、これが出てきたときにはスタッフに「まさかこれが来るとは思わなかったでしょう? 」といわれたような気がしましたです。

駄弁者:
 華氏451度=摂氏233度以下の攻撃でダメージが与えられるんだろうか、というツッコミより先に、事件後の図書館の復旧を想像してしまう職業病。研修で震災後の図書館映像みたばかりだし…。



「フェルカは命を救われてもよろこびませんよ」
「いまはね」

 出典: アレステア・レナルズ「火星の長城」(中原尚哉訳)  同名短編集に収録

紹介 :ハヤハヤさん 様
HP :

コメント:
 第39回星雲賞海外短編部門に輝いた作品「ウェザー」を収録した短篇集の表題作です。
 遺伝子操作とサイボーグ技術により精神機能の拡張を実現した連接脳波は純粋種の人類と対立し、火星の巨大な長城に囲まれた居留区へ押し込まれることになります。
 外交官クランバインは連接脳波の指導者ガリアナのもとへ和平交渉に訪れますが、味方の陰謀により連接脳派ごと殲滅されそうになります。
 連接脳派たちと共に脱出しようとするクランバインは、崩壊する長城から制御ユニットとして生かされていた少女フェルカを救出しようしますがその時のガリアナとの会話がこれ。
 人間より機械に近い精神をもつフェルカを無理に救おうとすることをガリアナは止めようとするのですが、「いまはね」というクランバインの言葉が正しいかどうかは続編の短編「氷河」、そしてはるか未来を描いた長編「量子真空」で分かります。

駄弁者:
 「長城」内のテラフォーミングされた火星の情景や、クランバインがそこに突入するときのスリルなど、短編ながら記憶に残るところの多い作品でした。
 この作品を含む「レヴェレーション・スペース」シリーズ、短編集『火星の長城』『銀河北極』は読んだのですが長編は最初に出た『啓示空間』だけしか読んでなくて。『量子真空』は『啓示空間』の続編とのことですが、やはり「これは京極夏彦か川上稔か」、という感じの厚さですね(1216ページ!)。
 読み始めると面白いんですが、とりかかる踏ん切りがなかなかつかない(今見直してみたら私、この作者の名前が出るたびに長さをネタにしてる…)。



「これでもあなたがたは怪獣の飼育を主張しますか?」

 出典: 馬淵薫脚本・本多猪四郎監督「フランケンシュタインの怪獣・サンダ対ガイラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第15回目は、東宝のSFホラー怪獣映画より。
 スチュワート博士の研究所で飼育されていた類人猿に似た生物(実はクローン細胞の怪物だった)は研究所を脱走後、細胞分裂を起こし、身長20メートルを超える二頭の巨人に成長していた。おとなしい性格で、人間に育てられた恩を忘れなかった茶色い毛の巨人サンダ。凶暴な性格で、人肉を好んで喰う緑色の毛の巨人ガイラ。二頭はついに東京で衝突し、甚大な被害をもたらす。しかしスチュワート博士をはじめとする研究所のスタッフは「せめてサンダだけでも捕獲・飼育したい」と考えていた。そんな博士たちの願いをよそに、二頭の巨人による死闘は果てしなく続く。都心部は、もはや瓦礫の山と化していた。上記投稿の文句は、その時の自衛隊司令官(演・田崎潤)が博士たちに向けて吐いた一言。博士たちの研究意欲は解らないでもないが、やっぱり怪獣を飼育するってのは保安的に見ても経済的に見ても、世間は賛同しないんじゃないかと……象やパンダとは違うんだから。ちょっと石頭かも知れないが、私はこの司令官の言っていることが正しいと思う。

駄弁者:
 日本じゃなくてカナダやシベリアの原野なら飼えるんじゃ…とコメントしようかと思ったら、すでに博士たちも考え済みでした。



「……八坂家には、私が何年も守り通してきた大事なものを奪われたの」
「おおおいっ」
「そう、人生を変えられたと言ってもいいわね。違う自分に目覚めさせられたの」

 出典: 逢空万太「這いよれ!ニャル子さん 8」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 間違ったことは言っていない、しかし、時と場を弁えろ、という発言がありますよね。上記の発言は、その典型としか。高校に着任してきた女性の教育実習生が、男子高校生に対し、着任の際に上記のように言ったら、周囲にどう思われるでしょうか。
 実際、間違ったことは言っていないのです。第4巻で主人公達に新型ゲーム機の欠陥を暴かれたこと等から、邪神じゃなかったクトゥルー星人のルーヒーは会社をリストラされ、転職の末に主人公達の通っている高校に教育実習生として着任してきたのですから(最もその裏に隠れた思惑があるのはこの物語のお約束)。会社人間としてゲーム機の開発に人生を捧げてきたといってもよいルーヒーが、ここに立っているのは、確かに主人公の八坂真尋達のせいで、上記の科白は間違ってはいません。でもね、着任の挨拶でそんなことを口走られたら、まるで八坂真尋がルーヒーをもてあそんだ末に捨てたようにしか、私が事情を知らなければ思えません。

駄弁者:
>教育実習生が、男子高校生に対し…
 …コメディでなければ、意外と性的な意味にはとられないかも知れませんよ? 「八坂家」だから、あるい主人公自身がなんかしたとは思われないかも(日頃の行い次第で(笑))。



あたしは科学が好きです
だって…あたしのお母さんやもん

 出典: 井上智徳「COPPELION」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 『化けガラス』という言葉を残して何者かにさらわれた生存者の一人、あやめ婆さん。
 その救出のためコッペリオン『保険係』と行動を共にする『配達人』こと司馬伝次郎博士から彼女の境遇―20年前のお台場原発事故のドサクサにまぎれて家族に見捨てられた―を聞かされ愕然となる『保険係』の『一年生』野村タエ子とおもわず泣き出す深作葵。20年前に自分が設計した原発の事故で数百万の都民を死なせ、そして今も尚この様な小さな悲劇を繰り返させている事実から罪悪感に押し潰されそうになる司馬博士。
 そんな博士を「科学者なら胸張ってください!」と一喝する『3年生』成瀬荊。
 「みんなが電気を欲しがった…だから科学者や技術者ががんばってその需要に応えた なんにも間違ってない!」と力強く語った後に続けたのが投稿の台詞。
 彼女は決して科学を妄信しているわけでありません。チェルノブイリの様な事故は起こらないとされていたお台場原発がたった5秒の地震で致命的な事故を引き起こした事実を例にして「そんなもんは人が作ったデータや」「人間の作ったデータなんて当てにならん」「信じられるのは自分の身体だけや うちらを構成してる原子だけ…」人命救助の際の熱血ぶりとは対照的に冷ややかな言葉を連発しています。
 だがその科学と事故がなければクローン人間である自分達コッペリオンはそもそも生まれる事が出来なかった。そんな事実を踏まえてるからこそ、科学を肉親に例える事で信頼出来ずとも愛そうとしているのではないかと思わせる言葉を、誰とも目を合わせることなく呟く彼女の姿は自己欺瞞というにはあまりにも切ないものがあります。
 思えば日本で最も有名な『科学の子』(奇しくも名前は”原子力”。)もその純粋さ故か人間の勝手な思惑や科学の暴走に少なからずふりまわされた存在でありました。

駄弁者:
 「みんなが電気を欲しがった」ということを都合よく棚に上げているケースは多いように思います。「なんにも間違ってない!」とまで言い切れる自信はありませんが、少なくともあなただけが間違ってたわけじゃない、とは言っていいんじゃないでしょうか。



「俺は、俺はずっとお前らみたいなのに憧れてたんだ。その為に俺は人間を捨てたんだ、お前らみたいになりたくて!お前らが強いと思ってたからだ!」
 理不尽な事を言っているのは解るが、黙っていた所で気が晴れるわけではない。
 自分は、強くない。
 強くないのだ。
 そう思っているからこそ―――彼は叫ぶ。
「返せよ……俺の憧れを返せよ!この状況でもあきらめないでくれよ。最後まで希望を信じろよ!俺を恐れないで立ち向かってくれよ!」

 出典: 成田良悟「37564人目の悲劇」  『世界の中心、針山さん 2』に収録

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 以前戦闘員から幹部になった人物の文句がありましたが、自分は最強の戦闘員の文句を投稿します。
この戦闘員No.37564は絶対に負けない人物です。
彼は世界に溢れる『死』や『敗北』『滅び』等の反動の寄せ集めで滅びることはなくあらゆる存在に勝ちます。
命がかかって負けそうになると彼自体が進化したり強化されたりして勝ちます。
その所為で後にどんな強大な相手と戦っても「勝つの決まってるからつまらない。」と言われて省略されるほどです。
さてこの文句ですが相手のヒーローを倒してしまったのでヒーローに立ち上がるよう戦闘員が叫んでる場面です。
初めて倒したヒーロー相手に立ち上がるようお願いする戦闘員を読みました。
しかし怪人倒して勝利目前から戦闘員一人にヒーロー5人全員やられ巨大ロボをローキック一発で倒されたら立ち上がる気力もわかない気がします。

駄弁者:
 怪人よりも首領よりも強い戦闘員の…悲喜劇?。組織が悪いのか、本人がとんでもなく謙虚なのか。



そのときだった、自分がもはや疑問の余地なく純粋にスーを愛していることをパットが知ったのは。なぜかなら、彼が最初に感じたのは、けっして自分の身の安全にたいする恐怖ではなく、スーが、これほどの苦しみに耐えてきながら、いま救助隊を目前にしてむざむざと死んでゆかねばならぬ、そのことにたいする怒りとそして悲しみだったからである。

 出典: アーサー・C・クラーク「渇きの海」(深町真理子訳)

紹介 :ラッキー・チャンス 様
HP :

コメント:
 今回はクラークの作品から。内容的には、月面版「ポセイドン・アドベンチャー」といったところでしょうか(たとえが古いですね、我ながら)。月で唯一の遊覧船として周航していたセレーネ号。それはロケットエンジンで宇宙を飛ぶ船ではなく、月特有の(作者の設定した架空の)特殊なチリが溜まってできた「渇きの海」をスクリュー推進で航行する船でした。月の内部で発生した無数のガスだまりが百万年もかかって1つになり、その泡がはじけたまさにその瞬間に真上にセレーネ号が居たから、さあ大変。船はチリの海に沈んでしまいました。月のチリは磁気を帯びていて電波を通さないので、SOSの信号はどこにも届かない。乗客や乗員はケガもせずにいたけれど、酸素や蓄電池のエネルギーは限られている。互いにほとんど顔見知りでない乗客たちがパニックを起こす危険もある。彼らが無事な間に外部からの助けは来るのか?来たとして、どうやって救出できるのか?一方、セレーネ号が帰って来ないことを知った月の各基地の面々は、どうやって真相に迫り、この危機に立ち向かうのか?そういう人間ドラマのお話です。
 引用のセリフは、物語の中盤。船自体の蓄電池から生じる熱が逃げ場を失って船内温度が上がり、空気循環システムの触媒がダメになって船内の二酸化炭素濃度が上昇中だと気づいた船長パット・ハリス(独身)の心境です。酸素は十分あるのに、二酸化炭素中毒で全員があと2、3時間の命、という極限状況で、客室乗務員スー・ウィルキンズ(こちらも独身です)に対してパットが抱いた思い。切実です。

駄弁者:
 『渇きの海』、私もクラーク作品の中で大好きなものの一つです。「一難去ってまた一難」式の大傑作だと思うんですが…あれ、めい文句集では初登場ですか!?
>自分がもはや疑問の余地なく純粋にスーを愛していることを
 けどちょっと待てパット、それはいわゆる「吊り橋効果」というものじゃないか?



理由はわからんが、この曲を聴くと俺は妙に落ち着くんでね。あんたらにも聴かせてやったのさ
NEVERになると、過去の記憶や人間らしい感情がすこしずつ抜け落ちていくらしい。所詮死人だからな。俺にはこの曲が何なのかもう全くわからん。ただ体が覚えているだけだ。
生きているんだろう!お前たちはまだ…
過去が消えていくなら、俺はせめて明日が欲しい。だから足掻き続けてるんだよ。
なあ、死人の俺のほうが懸命に明日を求めてるってのは、一体どういうわけなんだ!?

 出典: 東映制作「仮面ライダーW Returns 仮面ライダーエターナル」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」の敵、仮面ライダーエターナルこと大道克己を主役にしたVシネマから。
 「運命のガイアメモリ」から数年前、大道克己に率いられて傭兵として活動していたNEVER(NECRO OVERの略、死体を蘇生させた死人兵士)の5人。彼らはある戦場で超能力兵士クオークスに遭遇し、敗北。克己と羽原レイカがつかまってしまう。
 クオークスはドクター・プロスペクトによって開発された兵士。彼らは世界中から素質のある人間を拉致し、「箱庭」と呼ばれる空間に閉じ込めて訓練させることで生み出されている。そして、定期的に能力の低い者は消滅させられてしまう。さらにプロスペクトは「アイズメモリ(『眼の記憶』を持つガイアメモリ)」を使って常時監視しているため、拉致された人々は超能力という強力な武器を持ちながら反抗する気持ちを奪われていた。事情を知った克己とレイカは人々を助けようとするが、恐怖心から反発されてしまう。克己はハーモニカを演奏した後に投稿の台詞を言い、人々を立ち上がらせることに成功したが、待っていたのは残酷な運命だった。
(ネタバレなので反転お願いします)
 クオークスの候補となった人間はアイズ・ドーパントによって『プロスペクトの許可を得ずに箱庭から出た場合は死亡する』ように体を操作されていたため、助けたはずが全滅させることになってしまった。この事件をきっかけに克己は完全に人間性を喪失してしまう。

駄弁者:
 オフィシャルサイトによると、仮面ライダー史上初の敵役スピンオフとのこと。役者の魅力もあるのかもしれませんが、設定もなかなか凝ってますね。
>過去が消えていくなら、俺はせめて明日が欲しい
 悪くない過去の記憶があるからこそ、良くなるか悪くなるか分からない明日を恐れるということもあるかも知れないです。



「どうしようも何も、チャンスの女神には前髪しかないんだよ」

 出典: 斉藤直子「白い恋人たち」  『NOVA6』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 最近都会では、自前の皮膚や粘膜じゃ身を守れない人が増えているそうだ。今度転校してきた少女も、新開発ナノなんとかシートで頭部を丸ごと覆う全頭マスクをかぶっていた。「僕」はその白いのっぺらぼうの彼女に一目ぼれしてしまい…。
 投稿のセリフは、告白することもできずオタつく「僕」に、友人のエイトが発破をかけた言葉。なかなかうまい名文句なんですが、
「横と後ろは剃ってるの?」
「斬新な髪型の話じゃなくて、あとから追っても掴めないっていうたとえだよ」
…というボケ一発で迷文句に。なんともトボけた風味の話でした。



オレ根源はじまりにおまえもいるのにおまえを斬らなきゃ未来さきにはいけない

 出典: 佐藤将「嵐の伝説」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 崩壊した未来、人々に恐怖される一人の女がいた。その名も首刈りアズサ。
 しかし、裁きの日前の二人は同じ学校のクラスメイト、しかもワリと仲が良かった。
 何故嵐分吾は指導者となったのか?それは崩壊した世界で生きていけないようなか弱く小さな人々を守るため。そんな中の一人がとんでもなく内気な当時の石田アズサだった。
 彼女に何があったのか、再会したとき彼女の精神は既に壊れており、殺戮鬼の異名で知られる存在になっていた。
 彼女は嵐を殺したいと思っていたし、嵐は彼女を殺すべきと考えていた。
 投稿の文句は幾度と無く続いた死闘の末、嵐が彼女を倒した時の独白です。

駄弁者:
 この作品から最初にあったご投稿からのイメージでギャグ色が強いものと思っていたのですが、このセリフだけ見るとシリアス以外の何物でもないですね。



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