SF名文句・迷文句第287集

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命ある星々にかけて、愛しています、閣下!

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 7」(月岡小穂訳)

紹介 :2011年型石見銀山 様
HP :

コメント:
 現時点での、人類の最大戦力を指揮下に置く「閣下」ことジョン・ギアリー元帥が、妻であり旗艦の艦長でもあるデシャーニ大佐に言われた言葉。なんかロマンチックに聞こえなくも無いですが、航宙軍の伝統と正義と良識の信奉者である夫が、ようやく敵への攻撃を許可してくれた時に発せられた、三度のナニより戦闘大好きな妻のセリフですから。
 お二人は新婚ホヤホヤなんですが、すでにギアリー元帥はこの艦長さんの尻に敷かれ気味で、他にも彼女の顔色をうかがったり、妻を怒らせるようなことをしたかな?と内省したりする描写があります。
 メリケン人の人ってこういうシチュエーション好きよね。

駄弁者:
 確か、異星人の目的を推理するより理解が難しい奥さんでしたね(前のご投稿ではゴールイン前のようでしたが)。
>メリケン人の人ってこういうシチュエーション好きよね
 強そうなキャラクターが実は恐妻家、というパターンはわりと万国共通では?



モノポール職人の朝は早い。

 出典: 小太刀右京原作・田中天著「天下繚乱ギャラクシー−見参、銀河卍丸−」

紹介 :n_al 様
HP :

コメント:
 最近、出てくる事の多い、トンチキRPGの世界設定における超光速航法『バリキドライブ』の技術ディティールの一文です。
 AE(アフターイエヤス)40000を舞台とした、時代劇であり、スペースオペラなのですが、何というかSF者として中枢にヒットする一文です。
 今度続編もでるそうで、実に楽しみです。

駄弁者:
 なんということでしょう。モノポールを封じ込める容器の磁場ひとつひとつに、匠の技がこめられているのです。



「殺した!あんた人殺した!」
「いや、向こうが俺達殺す気なんだよ!」

 出典: 及川拓郎監督・脚本「宇宙犬作戦 エピソード18前編『The World is Mine』」

紹介 :猫玉 様
HP :

コメント:
 宇宙SFと言いつつ、殆ど宇宙船のブリッジでストーリーが展開する「宇宙犬作戦」より。宇宙船デンエンチョウフ号が地球を目指して、宇宙を旅する物語ですが、ある時正体不明の宇宙船に襲撃され、マルコの操縦でデンエンチョウフ号が巨大な構造物の手前で反転し、追撃してきた宇宙船は爆破、その際の船長のモジャットとマルコの会話です。
 まあ、スターウォーズでも何でも敵を撃破したら操縦者も爆死してるのでしょうが。

駄弁者:
「相手がザクなら、人間じゃないんだ!」の対照例が、こんなところに出てくるとは(笑)



ポーラ、君が救ってくれたんだね…

 出典: CAPCOM製作「ガンサバイバー3 ディノクライシス」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 バイオハザードの世界が舞台のシューティングゲーム「ガンサバイバー」シリーズ。3作目のみディノクライシスの世界が舞台となっている。
 1943年、アメリカ陸軍第3航空軍所属のマイク・ワイアード中尉は大西洋上でドイツ軍と戦っていた。撃墜された戦闘機から脱出してパラシュートで降下中のところを敵戦闘機に狙われた中尉は死を覚悟する。だが次の瞬間、周囲から敵味方双方が消えてしまう。驚く中尉をプテラノドンが襲撃するも、中尉は突然腕に装着された弾数無制限の銃で撃退に成功。謎の島に無事降り立つ事ができた。
 腕に装着された通信機から発せられる謎の声に従い、ヴェロキラプトルやカルノタウルスなど恐竜達と戦いながら進む中尉の前にポーラという女性が現れる。2人は協力して目的地に向けて進んでいく。そしてある地点に来たところで中尉はディラン(ディノクライシス2の男主人公)から真実を聞かされる。エドワード・カーク博士が研究していた「第3のエネルギー資源」サードエナジー。その暴走によって時空が歪み、2009年に研究所に恐竜が出現する事態が発生(ディノクライシス)。翌2010年には研究都市が丸ごと白亜紀に転送されてしまった(ディノクライシス2)。この2度の事故の影響で白亜紀の生態系が狂い、人類が歴史から消えることが判明。人類は恐竜達を白亜紀に近い環境の未来へ一時的に避難させ、生態系が回復したところで白亜紀に戻す「ノアの方舟計画」を実行する。だが、戻す段階で発生した事故によってディラン以外のプロジェクトメンバーは全滅。計画の管理をコンピューターに託す事になった。そのコンピューターが暴走して再び時空の歪みを作り、恐竜達を乗せた大地は亜空間に放り出されてしまったのだ。このままでは恐竜達は時空の狭間に消えてしまう。ポーラはマザーコンピューターを制御するための人物で、中尉は彼女を無事マザーコンピューターにたどり着かせるための護衛として選ばれたのだ。
 中尉は恐竜達を操る人工恐竜トリニティやマザーコンピューターを守護するティラノサウルスを倒し、無事ポーラをマザーコンピューター内部にたどり着かせた。だが、ポーラは中尉が1943年に戻れば死んでしまうことを思うと実行できないでいた。中尉はポーラを説得して実行させ、自分の時代に帰還する。だが、自分を撃ち抜くはずだった銃弾が突如消えてしまう。中尉はポーラがマザーコンピューターを使って時空に干渉したことを悟り、投稿の台詞をつぶやきながら海に降下していく。そして無事アメリカ軍に回収されるのだった。

駄弁者:
 ずいぶん繊細な干渉のできるマザーコンピュータだったんですね。
>2度の事故の影響で白亜紀の生態系が狂い…
 哺乳類が繁栄したのは恐竜が絶滅して生態的地位が空いたせいなのだから、生態系が狂った結果が人類の誕生に繋がるとしても良かったのでは。



リュウガ「何を言っている…俺の中に来い!戦いに勝てば、まだ優衣を救うことができるんだぞ!?」
真司「…もうお前には騙されない!優衣ちゃんはそんなこと望んでないんだ。他人の命なんていらないんだよ! …それが、優衣ちゃんの選択なんだ…」

 出典: 田崎竜太監督・井上敏樹脚本「劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 「仮面ライダー龍騎、最終回」という衝撃的なキャッチコピーで(正式なキャッチコピーはわかりませんが、当時のCMではこの文言がよく流れていた気がします)視聴者の度肝を抜き、そして上映されるやいなや人気を集めた『EPISODE FINAL』より一言。
 ミラーワールドの力で作られた命の期限により、20歳の誕生日に死んでしまう神埼優衣を救うべく神崎士郎が仕組んだライダーバトルもクライマックスを迎え、王蛇・ファムが脱落・ゾルダがリタイアする中、残るは龍騎・城戸真司、ナイト・秋山蓮、そして謎の「最後の仮面ライダー」リュウガが残るのみとなった。
 鏡像の城戸真司というべきリュウガはミラーワールドから生まれたライダーであり、そのままでは現実世界に長時間存在できない。リュウガは自らがミラーワールドの生まれる原因の一つであったことを知った真司を「戦いに勝てば消えゆく優衣を救うことができる」と誘惑、真司を取り込んでしまう。
 だが、ライダーバトルの結果生まれる「新たな生命」を与え、救うはずだった優衣は兄・士郎が「自分を救うために参加者を騙してライダーバトルに参加させ、その上ライダーバトルが失敗するたびに時間軸を繰り返し、彼女を救えるまで何度も時間を繰り返してきた」事を知ると、暴走する兄を止めるべく自ら命を絶ってしまう。
 優衣を想って行動してきた士郎は自らの行動を否定され、発狂して消滅してしまった。
 最後のライダーとなったナイトを追い、変わり果てた優衣と対面するリュウガ=真司。彼女の死体を見たリュウガから、迷いを断ち切った真司が分離する。
 彼を再び取り戻そうと「自分なら優衣を生き返らせることができる」と再び誘惑するリュウガ。しかし、優衣の思惑を悟った真司はその言葉を一蹴し、リュウガに戦いを挑む。
 一人の命を救うべく多くの人間を巻き込み、時間を何度繰り返すことも厭わないレベルまで来ていた兄を止めるには、命を断つしかなかったことは容易に想像できます。その時の優衣の決意はいかばかりのものだったでしょうか。かつて優衣が20歳までしか生きられない原因の一端となってしまい、それ故にリュウガにその弱みに付け込まれてしまった真司がリュウガと決別するこのシーンは、龍騎を語る上で外せない名シーンだと思います。

駄弁者:
 テレビ版にはリュウガの出てこない別の最終回があって、そちらでは別のライダーが「新しい生命」を手に入れて恋人を蘇生させているとのこと。他人の生命で生き返ることを拒否した人間が、別の人がそうしたときどういう感想を持つのか…ちょっと意地の悪い興味を持ってしまいます。



今現在の人類が戦争状態を望んでいるのであれば、人類にそれを叶えられるだけの地球環境と物的、人的資源の余裕が与えられているということです。それはとても良かったと思います

 出典: 林トモアキ「ミスマルカ興国物語」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 作品自体はファンタジーなんですが、高度に発達した化学文明が滅んで、それまで表沙汰になってなかった魔法だの何だのが台頭してきたという話なので。
 投稿の台詞は科学時代の最後期に製造された人類の切り札、ユートピア級飛行要塞2番艦シャングリラのコアユニット(所謂アンドロイド)が、お前達が守った人類同士で争っている今の時代をどう思うと問われて、良かったと答えたその理由です。
 この世界では数百年前、人類が戦場に出る事は禁止され、無人兵器同士での代理戦争が行われていました。しかし、両陣営の統括制御コンピュータが共に「敵陣営の人間が味方陣営の人間を殺そうとしている。人間の防衛を最優先。殺られる前に殺れ」という結論を出し、本来は人間に攻撃できないはずの無人兵器が人類に牙を向くという大惨事に。
 そんな人類絶滅一歩手前の状況で作り出された彼女達には、人類同士でのままごとのような戦争は微笑ましく感じるのかもしれません。(そも無人兵器全盛になったのは、どんなに武装をしても人間では無人兵器に勝てないから戦場に出すのは死ねと言ってるも同じで非人道的、という理由なので)

駄弁者:
 アンドロイドほど合理的になれない人類は、地球環境がヤバかろうと物的人的資源が乏しかろうと戦争状態を望みかねないのですが…。それを踏まえたうえで、滅亡しない程度の戦争ならやらせておくしかない、との合理的判断でしょうか。



私はそれほど傲慢ではないよ…
だから…私の恨みと怒りと悲しみをロゴ・ダウの異星人にぶつけさせてもらう!
ハルルが男だったらという悔しみ… カララが異星人の男に寝取られた悔しみ…
こ、この父親の悔しみを…… 誰が判ってくれるんだ…!!

 出典: 富野由悠季監督「伝説巨神イデオン 発動篇」

紹介 :J.J 様
HP :

コメント:
 皆殺しの富野節全開の名作、伝説巨人イデオン発動編から。
 イデの力によって地球、バッフ・クラン双方の母星が消滅し、2つの種族の滅亡をかけた全面戦争の最中、バッフ・クラン軍総司令ドバ・アジバは知的生物の存在を礎とする筈のイデが何故2つの種族を滅ぼそうとしているのかの謎に気付きます。
判り合えた筈の2つの種族が些細な行き違いをエスカレートさせた結果、際限の無い憎しみと争いを繰り広げ、力の源である協調と友愛はおろか、自分の存在すら危機に陥らせていると判断したイデが下した結論。
 それは業を乗り越える事の出来ない2つの種族を滅ぼし、自らの源になり得る新しい知的生命体を自分の手で出想像する事であり。邪魔な存在である2つの種族を滅ぼす引き金の役を自分にやらせているのだという答えにたどり着きます。
 名門の家に生まれ、一族の棟梁として全軍の頂点に上り詰め、友と共に更なる権力の頂点を目指しながら、後継者たる男子を得られず、男で有れば喜んで後を継がせたであろう傑物の長女(婿と見込んだ男は野に下っていた為、後継者に出来なかった)末娘はこの戦争の引き金となり、更には異星人の子を産むとさえ言い放った。
 野心が潰え、父親としての絶望と同時に自分が守り、手に入れようとしてきた一族その物が抗いようの無い力によって今滅ぼされようとしており、その引き金を引くのが有ろう事か自分自身でもある。
 それが判っていながら尚滅びの道を止める事の出来ない絶望と怒りが伝わってきます。

駄弁者:
 考えようによっちゃ、宇宙規模の滅亡劇にかこつけて私怨を晴らそうというのだから、十分傲慢だとは言えるんですけどね。
でもまあ、無限力や種の滅亡といった大きすぎる規模の事件の中で、普通の人間があがいていくには、こんな卑近な動機が必要なのかも。



この世のルールを乱した奴らは
宇宙の果てまで運び去る ウルトラマン

 出典: 阿久悠作詞「ザ☆ウルトラマン」(『ザ☆ウルトラマン』OP主題歌)

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 279集にあった主題歌での怪獣の扱いでこれを思い出しまして投稿させて頂きます。
 アニメ作品「ザ☆ウルトラマン」(一応実写のスーツや映像もあったんですよ)の主題歌の2番の歌詞より。
…運び去るそうです何処へでしょう?怪獣墓場でしょうか
「ぶっ殺せ」だの「地獄の底へ突き落とせ」よりずっと穏便な言いまわしな筈なのにささきいさおさんが軽快なリズムで歌うこのフレーズが個人的にはまた別の怖さを感じます。
 実は本編は5、6話くらいしかまともに見たことなくて特に思い入れがある訳でもない作品なのですがこの主題歌は随分と印象深いです。

駄弁者:
 1番の「緑の地球を けがした奴らは 決して許しておけないと ウルトラマン」は覚えていたんですが(「許しておけないぞ」だと思ってた)、2番がこんなのだったとは。
 実は地球で暴れまわっている怪獣や宇宙人はレアケースで、それ以外のほとんどはウルトラ暗黒部隊が人知れず「処理」しているのかも知れません。



「魔女が歌っている…(中略)…“終わった”という意味です」
「いや“終わった”は”魔女は死んだ”だ…(中略)…でなければ“太った女が歌う”だ」

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 6」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 アライアンスとシンディック、人類の二大勢力の百年にわたる星間戦争は、この巻でようやく休戦条約にこぎつけます。その条約締結を聞いた部下たちは、魔女が歌っていると言い、その意味を知らない主人公に上記のように説明し、主人公は上記のように返答します。なお、主人公の返答は、英語の有名な慣用句に基づいています。
 魔女が歌っている。百年に及ぶ時の流れの中で言葉の意味が変わるというのは、よくあることかもしれません。でも、このように変化したということに何とも言えない皮肉を覚えました。戦争が終わったことが、問題の解決につながるということはむしろ少なく、逆に問題を増やしただけ、という歴史の皮肉は往々にして見られます。この小説の中でも、人類間の戦争は終わったものの、それによって疲弊しきった双方の政府はぼろぼろになり、崩壊しかけますが、更に異星人との戦争が始まることで、統合の意欲がまた高まるわけで、そして、主人公も戦争にまた赴くことになります。本当に、魔女が歌っている、としかいいようのない事態が引き起こされていくわけです。私としては、「アイアンマウンテン報告」という偽書の皮肉(人類社会を維持するには戦争が必要不可欠である)を思い出し、何とも言えない想いになりました。

駄弁者:
>英語の有名な慣用句
 「The opera isn't over till the fat lady sings(太った女性が歌うまではオペラは終わらない)」ですか。ご投稿を調べて初めて知りました。
 前に方言が発生するまでどのぐらいかかるのか(私が思っていたより意外と早く発生するらしい)が掲示板の方で話題になりましたが、慣用句の場合はどうなんでしょうね。方言よりは早く変わってしまいそうですが。



あんたは自分に嘘ついてんのよ。
あんたのお父さんやお母さんを殺したのは宇宙人だっていう事知ってるくせに宇宙人が怖いもんだからシルバーのせいにしてるのよ!
…(中略)…
女の子は突き飛ばせても宇宙人と戦う勇気は無いのね。
あんたがシルバーだったらどうした?
街が壊されていくのを黙って見ていた?
そんなのシルバーじゃないわ!!

 出典: 福原博監督・市川森一脚本「シルバー仮面ジャイアント 第23回『東京を砂漠にしろ!!』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 春日兄弟の旅行先に現れた(ジャイアント編になってからこういうシチュエーションがやたら増える)フンドー星人。
 一敗地に塗れたシルバー仮面=光二は弟の光三との特訓の末フンドー星人とのリターンマッチを制しますが、星人の絶命と同時に起こった大爆発により戦闘の舞台になった街は消滅してしまいます。
 責任を感じる光二の元へと押しかける遺族の少年、泣きじゃくりながら発せられる罵声と振り下ろされる怒りの拳を甘んじて受ける光二。
 それを見かねた津山博士の一人娘リカ(せいぜい小学校低学年)が少年に殴られながらも凛として言い放ったのが投稿の台詞。  被害者に対する言葉としては酷なものがありますが、後からやって来た兄弟の叔父大原の様に自分が戦うわけでもなく、光二の苦悩等を省みる事なく、戦いが終わった後でただいたずらに光二の責任のみを追及する“日本中の良識ある人々”なんかよりも彼女の方がよっぽど“大人らしい事”を言っています。
 『ガメラ3』のヒロイン綾奈(263集参照)に対してもリカちゃんなら「本当はギャオスが悪いってわかってるのに、ギャオスに何もできないから全部ガメラのせいにしてるのよ。」くらいは絶対言い切ってくれる事でしょう。

駄弁者:
 小学校低学年の女の子とは思えないセリフだけど、小学校低学年の女の子だから言えるセリフでもあるよなあ。そう思ったとしても口にできない(さすがに街一つ消滅では…)シルバー仮面は涙を禁じえなかったことでしょう。



いいか、スパイク、父さんのことなら、おれはよく知ってる。たぶん、惑星の名前を太陽系の『外側から』順に使ってるのさ。打ち込むから見てろよ―“地球(EARTH)”

 出典: スタン・ドライヤー「ほうれん草の最期」(山岸真訳)  『20世紀SF5 冬のマーケット』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 父、ペングローブ教授のコンピューターシステムを友人スパイクに見せびらかすために、盗み聞きしたパスワードを打ち込むハリイ。一度はパスワードエラーではじかれるが、パスワードを推測したハリイは見事にコンピューターシステム「ソクラテス」の起動に成功。「ソクラテス」がアメリカ全土の土地利用計画を管理していることを発見した2人は恐るべきサイバーテロを実行に移す。わかりやすいパスワードの危険性を訴えた作品?
以下ネタバレ
 大嫌いなほうれん草を食卓から追放し、代わりに好物のエンドウ豆を増やすように、作付け計画を変更。計画終了のあかつきには、ほうれん草は1ポンド12ドル、エンドウ豆は1ポンド12セントとなる見込み。
ネタバレここまで。
 これだけの価格差がつけば食卓の内容が変わるのは当然です。しかし、食習慣の違いのせいか、日本ではここまでほうれん草が嫌われているという話は聞かないですね(にんじん、セロリ、ピーマンと言うところではないでしょうか)。まあ、缶詰のほうれん草ならば勘弁して欲しいとは思いますね。

駄弁者:
 「「クローム襲撃」に1年先行するクラッカー小説であることにまちがいはないような気がしないこともなくはない」(解説より)作品。今だったらパスワードの脆弱性以前に、自宅の端末で政府の計画書にアクセスできるなんてどういうセキュリティ意識してるんだ、というところでしょうが。
 読んだ内容を忘れていて「おいおい外惑星はどこにいった」と思ってしまったんですが、以前に「MARS」がパスワードだったので今度は「JUPITER」と入れてみたら通らず、それなら…というシーンでした。
>日本ではここまでほうれん草が嫌われているという話は聞かないですね
 ほうれん草のおひたしとか、子どもの頃から嫌いじゃなかったけどなあ(むしろ豆が嫌いだった)。



「火傷みたいだけどさ、いったい何したのよ」
「プラズマガンがかすった、シュー!」
「わかんないよ、さっぱりなんだか」

 出典: 松木ひろし原案・脚本・演出「俺はご先祖さま」 第3回『明日に向かって撮れ!』」

紹介 :猫玉 様
HP :

コメント:
 SFホームコメディドラマ「俺はご先祖さま」からです。
 これは百年後の未来から来た少女ミミが祖先の白石伴吉の元に転がり込み、彼の結婚の様子を見たいと転がり込んでくる作品で、ごく一部で「落ち物ヒロインの原点」と言う人もいますが、それは置いといて、この話では未来から雑誌記者の伴吉の為にミミは新聞記事を持ってくるんですがその際に、ポリスロボットの妨害にあったらしく(台詞で説明があるのみ)手首に怪我をして帰ってきたんですが、事情を知っている伴吉には階段でぶつけたと言い訳した怪我を事情なんか何にも知らないお婆ちゃん(おつやさん)に説明した際の台詞です。

駄弁者:
 未来世界では「愛」が危険思想となっていて、それを調査するため結婚の様子が見たい、というのはなかなか重たい設定ですね。
>「落ち物ヒロインの原点」
 一般的には(語彙自体が一般じゃないというのはさておいて)「ラピュタ」なんでしょうけど。



全方位に拡散するレーザー…
その力で第5分隊を全滅に追いやった…のか
だが…マーキュリー回路を撃ち抜かなかったのは誤算だったな
見せてやる 俺の死の…意味を!!
真空…地獄車ぁ!!

 出典: 村枝賢一「仮面ライダーSPIRITS 第2部第16話『地獄車』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 BADANの戦力として蘇ったGOD機関は、山口県秋吉台秋芳洞内部にある呪博士の遺産「キングダーク2号機」を使うためにアジトを作った。SPIRITS(仮面ライダーの支援組織。第2部冒頭で壊滅した世界中の軍隊の生き残りで結成されている)の第5分隊は仮面ライダーXをサポートするために潜入するが、コンラッド・ゲーレンを残して全滅してしまう。唯一意識があった男も第10分隊に「白虎の放つ閃光に切り刻まれた」と言い残して死亡した。
 秋芳洞内部でGODの悪人怪人と戦っていたXライダーはコンラッドと出会う。直後、キングダークを守護するタイガーロイドと遭遇。再改造によって実弾兵器ではなく全身から放つレーザーを武器にするようになったタイガーロイドにXライダーの万能武器ライドルは破壊され、自身もぼろぼろになって倒れ込んでしまう。だが、タイガーロイドが「そんな弱い体にした創造主を恨め」という言葉とコンラッドの激励を聞いて立ち上がり、真空地獄車を炸裂させる。
 神敬介をXライダーにしたのは父の神啓太郎博士だった。敬介にとってタイガーロイドの言葉は父を侮辱する言葉だったのだ。

駄弁者:
 とはいえマーキュリー回路や真空地獄車は、父による最初の改造ではなく、後からV3による改造で備わったものらしいんですが…。いまいち名誉挽回につながっていなくないですか?



『私はあなたをより強く、より早く走らせるために作り出されましたから』
「うん。でもマッハキャリバーはAIとはいえ、心があるんでしょう? だったらちょっと言い替えよう。……お前はね、あたしと一緒に走るために生まれてきたんだよ」
『同じ意味に感じます』
「違うんだよ、いろいろと」
『考えておきます』

 出典: 都築真紀脚本「魔法少女リリカルなのはStrikerS 第5話『星と雷』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前Mr.Spockさんが投稿した、SF魔法少女シリーズ第3期からの名文句です。
 闇の書事件から10年後、正式に時空管理局の一員となったなのは達の部下・スバルは任務中危機に陥りますが、ローラーブレード型デバイス・マッハキャリバーの的確な援護で窮地を脱します。
 今回の名文句は、マッハキャリバーに感嘆の言葉を漏らしたスバルとマッハキャリバーの会話です。
 仕事で愛情を込めた道具と苦楽を共にする事は多いですが、道具が「作られた」のではなく「生まれた」と考えられるのはとても素敵な事だと思います。

駄弁者:
 前のご投稿のときは掲載するかかなり迷った末に保留つきだったんですが、今は「まどかマギカ」をあまり抵抗なく載せてしまっていて、絵面だけ見たらこっちの方が「SFふう」ではあるしなあ…。
 というか「SF」かどうかもさることながら、殴り心地のすこぶる良さそうなごついガントレットを装備している十代半ばの彼女が「魔法少女」と言えるのかどうかが気になります。
 追記:上のコメントに対して、るーしーさんから追加で名文句のご投稿をいただいたのですが、SFの名文句とは少し違うと思うので、こちらで併せて紹介させていただきます。
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「女の子は心がキラキラ輝いていればいつまでだって少女ですよ?」
 前回の「リリカルなのはStrikerS」からの名文句で、駄弁者さんが「十代半ばの彼女が「魔法少女」と言えるのかどうかが気になります。」とコメントしていたので、それに対する公式見解を。
「リリカルなのはStrikerS」の製作が発表された際、なのは・フェイト・はやて等前作までに登場したメインキャラクターの多くは19歳でしたが、タイトルにはこれまで通り「魔法少女」が冠せられていました。
 今回の名文句は、それに対して脚本家が冗談混じりに述べたコメントです。  魔法少女に限らず女の子に限らず、やはり若さを維持する基本は精神的な若々しさの維持ですね。



歴史はじまってこのかた、指導者の命令の動機が何処にあるか探ろうともせず、ただこれに盲従した思想なき大衆は、つねに苦いめにあってきたということです。

 出典: A・E・ヴァン・ヴォークト「宇宙船ビーグル号の冒険」(沼沢洽治訳)

紹介 :J.J 様
HP :

コメント:
 今回はヴォークトの名作、宇宙船ビーグル号の冒険から。
 艦内総監督の選挙を巡る派閥争いから、科学部部長ケントに目を付けられ、シンパによる露骨な妨害と権益の妨害を受けた主人公グローヴナーは。科学部の職員に催眠暗示と隠しラジオによる圧縮教育で職員達の知識を部長以上に引き上げ、ケントの面目を潰す計画を立てる。これに気が付いた心理学部部長のシーデルに本人の許可も無く第三者を催眠にかけるのは不当ではないかとの指摘を受けた際に告げたのがこの台詞。
 指導者に責任や考える事を丸投げし、善悪も考えずに唯々諾々と従った人間が非道な行為や悪辣な所業への責任から解放され、被害者から反撃を受けた際に自分は悪くないなどと言える事を考えれば、グローヴナーの言う“苦い目”でお灸をすえられるのは有る意味当然ではないかと思います。

駄弁者:
 でも、このグローヴナーのやり方や考え方も、結構えげつないものがあると私は思ったものですが…。
 この場合、グローヴナー自身が大衆を苦い目に遭わせる指導者ということにならないでしょうか。このときそうじゃなかったとしても、いずれそうなりかねない。



「原爆の実験場と違うぞ、ここは! おめぇたちゃ、この干拓地にケチ付けに来たんかい!」

 出典: 関沢新一脚本・本多猪四郎監督「モスラ対ゴジラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 昭和ゴジラシリーズの第四作目より。
 東海地方の某県で行われていた倉田浜干拓工事は超大型台風の高波をかぶり、工事以前の状態に逆戻りしてしまった。県知事(演・田武謙三)はその政治生命を賭け、「逆流した海水はポンプを十倍に増してでも汲み出し、期日までには工事を完了させる」と県民に確約する。そんな或る日、干拓地の片隅で座布団一枚ほどの大きさの平べったい岩の様な物体が発見され、三浦博士(演・小泉博)の研究所へ届けられた。そして検査の結果、強烈な放射線が検出された。より詳しい現地調査をすべく、博士は数名の助手を連れ、物体の発見者である新聞記者の酒井(演・宝田明)と共に干拓地を訪れた。上記投稿の台詞は、その時にたまたま干拓地を視察に来ていた県知事が博士らの挙動を見咎めて吐いた罵声。ほどなく、干拓地の砂の中からゴジラが現れて「あの物体はゴジラの表皮の一部だったんだ」ということが劇中人物にも観客にも知れる展開となるのだがそれはさておき、この知事さんの気持ちも解らないではない。当時は重厚長大産業花盛りの高度経済成長期。大規模な干拓工事の後に大資本の大工場を誘致し、雇用を拡大して地域経済を爆発的に活性化させようと躍起になっている政治家から見れば、抜き打ちで放射能検査する学者とそれに同行する報道関係者など、「金を産む土地にケチを付ける厄介な連中」以外の何者でもないだろう。
 現在では、学者・役人・報道関係者ばかりでなく一般市民までもが家電量販店で簡易線量計を購入し、個人の危機管理として、自身の生活環境やら毎日口にする食材やらの放射線量を測定することが出来る時代である。そんな薄ら寒い時代が来ようとは、少なくともこの映画が作られた当時には誰一人として予想する者は無かったろう。既に当時でも原子力発電は試験的に始まっていたが、それが「威力を制御しながら継続させる小さな原爆」だということを、我々はつい最近になってあらためて気付かされた。
 あまり深刻ぶったことは書きたくないが、何故こうも我々日本人だけが度々放射能に苦しめられるのだろう? 国民的宿命なのか? それとも、神が与えた特別な試練なのか? そういえば、ゴジラのアルファベット表記は「GODZILLA(ジラという名の神、または火を吐く竜神」だった……。

駄弁者:
 東海地方の某知事じゃなくて某市長なら、これとそっくりそのまま同じことを言いそうですねぇ。
 ところで放射能汚染によってゴジラは誕生したんですが、直接的にゴジラのもたらした放射線被害がクローズアップされたことってあるんでしょうか? 次に『ゴジラ』が作られたら出てきそうな感じはしますが…。



第一条。人間は金銭に危害を加えてはならない。また、その事態を看過してもならない。
第二条。人間は金銭の命に従わなければならない。ただし、前条に反する場合を除く。
第三条。人間は前二条に反しない限り、自己をまもらねばならない。

 出典: 星新一「つまらぬ現実」  『気まぐれスターダスト』などに収録

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 誕生以来人間の身近にあり続ける金銭
 器物が長い年月を経て精霊を宿すとすれば、金銭はとっくに自我を宿しその役割故に人間を支配しているかもしれない、そして人間はこの三原則に従わされている。
 しかし、例え金銭の精霊の支配がなかったとしてもこの原則が破られることはほとんど無い…というのが実情でしょう。

駄弁者:
 すでに金銭に危害を加える方法すら思いつかなくなっている…。貨幣価値が下がって人間が困ることがあっても金銭自体は痛痒を感じそうにないし。
 為政者でこの三原則にまともに挑戦したのは、ポル・ポトぐらいかも知れませんね。個人レベルなら『ぼくはお金を使わずに生きることにした』という本を書いた人もいますが。



我々エメラルド星人は、勇敢な若者である君に、素晴らしい武器を与えよう。その名は、ジャンボーグA。我々の科学の粋を集めて作られたジャンボーグAの操縦は、すべて君の手足の動きに連動し、君の思いのままに動かせる。我々はこのジャンボーグAを、君の愛用のセスナの形に変えて進呈する。

 出典: 山浦弘靖脚本・黒田義之監督「ジャンボーグA 第1話『エメラルド星からの贈り物』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 グロース星人の地球侵略が開始され、地球パトロール隊PATの立花隊長は殉職。弟の大利根航空のパイロット、立花ナオキは兄の仇を討とうとグロース星人の怪獣・キングジャイグラスにセスナ機で体当たりしようとするが、その時天空から降り注いだエメラルド色の光に包まれ、地球の兄弟星から来たというエメラルド星人に救われる。そして、エメラルド星人からグロース星人と戦うための武器として、宇宙サイボーグ・ジャンボーグAを与えられるのだった。
 これからインスパイアされた作品が投稿されてるんだから元祖も投稿しとかんと(笑)
 同時期に作られたファイヤーマンが原点回帰ならこちらは円谷版ロボットアニメですね。特に操縦者の手足の動きに連動して動くというマスタースレーブシステムでの操縦はロボットアニメの先を行く斬新な発想でした。ただまあ、必殺技の「必殺・風車(ウインドミル・光線を放ちながら回転して体当たりする)」とか飛んでるときとかどうなってるのかが非常に気になりますが(笑)
 さらに言うと今となっては「代理戦争」とか「鉄砲玉」とかそういう言葉も浮かんでしまうのが悲しかったり(宇宙人からオーバーテクノロジーを与えられて戦うという点では、ガッチャマンも一緒なんですよね)

駄弁者:
>君の愛用のセスナの形に変えて進呈する
 大学の頃だったか、どういう過程を経てセスナから人型に変形するのか、絶対想像できないと先輩が言っていた覚えが…。



今の地球に厳しくすることは未来の人類に優しくすること

 出典: 田中ほさな「時坂さんは僕と地球に厳しすぎる」

紹介 :へんな毒 様
HP :

コメント:
 未来からやって来た美少女は環境破壊をしにやって来たと言うお話から、どうやら未来ではいきすぎた環境保護のせいで逆に地球環境に人類の存在が脅かされているらしく、それに歯止めをかける為に環境保護紀と言われる現代に彼女はやって来たらしいのですが…
 初っぱなから主人公に正体がばれ未来へ帰ろうとしますがタイムマシンが壊れて帰れなくなりスペアのマシンを送ってくれるまで事情を知っている主人公の家に転がりこんできます(どうやら彼は未来の分岐に深く関わっているようなのですが今の所理由は明かされていません)。しかもスペアを送って貰う代金は実費で5億程掛かるらしいのです。どうやら未来では環境破壊が金銭と同じ価値があり破壊をするとポイントが溜まりお金を稼げるらしいのです。セリフはその説明をした時に彼女が言った言葉です。これが本当にそうだったらゴミの分別なんか面倒くさいからやらなくても済むな〜とつい思ってしまいました

駄弁者:
>破壊をするとポイントが溜まりお金を稼げる
 私も今日弁当を食べるのに割り箸を使ったのでポイント下さい。
 …でも、地球に厳しくするのは、もうちょっと先の未来でいいんじゃないかなあ。



アそれ ツァラトゥスータラタッタ ツラツラツイツイツイ……

 出典: 筒井康隆「火星のツァラトゥストラ」  『自選短編集3パロディ篇「日本以外全部沈没」』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 時に2250年。火星常識大学の教授カン・トミヅカ氏は地球から送られてきた古文書の中より「ツァラトゥストラ」を発見します。これは売れる、と踏んだ教授は現状に合うようにした翻訳を行い出版したところこれが大当たり。火星が空前のツァラトゥストラブームになったとき、地球からツァラトゥストラそっくりの人物がやってきます。トミヅカ氏と組んで、芸能界に進出した彼だったが…。
 投稿した台詞は流行が過ぎ去り、「過去の有名人は今何をしているのか?」という番組で、塵芥処理場で働くツァラトゥストラが口ずさんでいた「ツァラトゥストラ音頭」から。一世を風靡した有名人がいつの間にか忘れ去られ、人気復活に躍起になる。古くは落語の鉄拐仙人。筒井先生にも「晋金太郎」などで使ったテーマですね。最初はツァラトゥストラが出したレコードや出演した映画を投稿しようと思ったのですが、題名がステキすぎてどれを投稿したらいいのか判断に迷ったので、これを送ります。なんだよ、「ツァラトゥストラ対ツァラトゥストラの本妻対ツァラトゥストラの妾」って…。

駄弁者:
 シュトラウスの出だしからこのフレーズにつながるんだったら、すごいなあ。
>ツァラトゥストラそっくりの人物
 植木等似のツァラトストラって、あまり見たくないです(笑)。



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