SF名文句・迷文句第299集

名文句トップに戻る

第298集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第300集を見る


「たったいま首を刎ねられる人間の毒断ちは笑止千万」
家康は、しゃがれ声で重々しくいった。
「なんじらごときものの心には、尤もの了見じゃ。大事を思う者、首刎ねられる期まで命を惜しむは、何とぞ本意を達せんと思うゆえなり」

 出典: 山田風太郎「魔天忍法帖」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 いままで山田風太郎原作(226集)や風太郎風味(253集)が有りましたので、本人の作品から。「伝奇小説は歴史の幹を動かさずに枝葉をいじる物だ」(大意)と語る風太郎による歴史改変物。
 幕末に生きる公儀隠密、鶉平太郎は忍者の活躍の場があった戦国時代に生まれなかった己を恨み、服部半蔵の位牌に愚痴をこぼすと。それに応じて半蔵本人が出現。半蔵の秘術によって時を渡った平太郎が目撃したのは、慶長5年、江戸夏の陣によって落城する江戸城。そして、彼は成り行きから家康処刑の場に立ち会うことになる。
 のどの渇きを覚えた家康が水を求めると、彼に差し出されたのは未熟な瓜。家康はこれを退ける。
 言うまでもなく有名な歴史上の逸話の改変です。冒頭からこれですからね。
 さらに物語が進むと、関ヶ原、山崎、本能寺と合戦・事件が遡っていきますが、それが破綻しないのがさすがの手腕です。

駄弁者:
 別の歴史では天ぷらの食べすぎで腹を壊したのが死因と知ったら、この家康は切腹しかねない。
>有名な歴史上の逸話の改変です
 元ネタについては、あれは三成の一世一代のギャグだったという解釈の話があって笑いましたが…。



「コレは人類の平和のため!」
「く!認めるしかないみたいだわね」

 出典: 藤林真「ストライクウィッチーズ501部隊発進しますっ!2」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 坂本少佐が真烈風斬習得のため、自分の体を傷つけ、流れた自分の血で力のある刀を打とうとするのですが、(当然)ミーナ隊長に止められます。それを説得しようとする坂本少佐とミーナ隊長との会話です。
 人類の平和、ある意味本当に万能の説得の科白だと、この話の周囲の対応を読んでつくづく思いました。ロラン夫人の「自由よ(以下、略)」という名文句ではありませんが、人類の平和のため、と言われるとどうにも反対しづらく、無茶苦茶な要求でも呑まざるを得ない雰囲気になってしまいます。結局、ミーナ隊長は坂本少佐の要求を認めるのですが、この後どうなったかというと(あえて触れません)。人類の平和以外にもこの種の万能の説得の科白というものはありますが、そういうものを声高に叫ぶ程、何だかいかがわしい話になっている気がするのは気のせいでしょうか。

駄弁者:
 単純に願いの程度と願う頻度の問題でしょう。
 そこらへんの街角の棒くいで祈られてしまうと、どんな万能の説得文句でも力を失ってしまいます(まさかカッパドキアにまであるとはね)。



時間を行き来するなどとそんな神の摂理に反する行為で手にいれた火を教団が使えますか!

 出典: 魔夜峰央「パタリロ! 188『発明しないパタちゃん』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 悪徳金融業者ゴールドマン(アイシャドウが無いのと髪型を除けばバンコランそっくり)との知恵比べの末、借金のかたにされかけていたタマネギの弟ジュールを守り抜いたパタリロ。
 ジュールの父親の提案で宗教団体『神のともしび教団』にジュールを預ける事になったのですが、聖堂にあった幻のダイヤに興味を覚えたパタリロとそれを止めようとしたジュールがもみあううちに教団のシンボルである二千年前の火を消してしまうという一大事を起こしてしまいます。
 教団に多額の寄付をしているゴールドマンがやって来た事で、もしも火を元に戻せなかった時はジュールを彼に渡す事になってしまい得意のタイムワープで二千年前に火を手に入れるため旅立とうとするパタリロ。
 ですが折悪く発生した太陽黒点の活動活発化による磁気嵐により一週間はタイムワープは不可能と判明、事情を説明して期限を一週間延ばしてもらおうとするパタリロに投稿の台詞を返す教団当主。代案として日本の寺院で何千年も燃えている火を分けて移してもらおうという意見に対しても
「そんな異教徒のけがれた火をどうしようというのだ!いっそ教団をつぶした方がましじゃわい!」と取りつくしまもなく窮地に陥ってしまいます。
 それにしてもタイムトラベルも神を理由にして否定するとは(タイムパラドックスや質量保存の法則を神の摂理にしてるだけかもしれませんが)。子供の頃、姉のお供で日曜学校に行っていたけどキリスト教では偶像崇拝を禁じていると知ってキリスト教をはじめ特定の宗教にはには決して帰依すまいと誓った(特撮やSFほど偶像を作る仕事はないでしょう)ものですが、神がやる事なら大量虐殺や死者復活といった無茶を容認するくせに人類の可能性や叡智の結集は神の名の元に否定する姿勢はどうしても好きになれません。
 ちなみに二千年前の火ですが、いかにもパタリロらしい機転とハッタリの効いた合理的手段で点け直す事にします(このサイトに来る人なら容易に想像できるかも)。

駄弁者:
 一週間後に一週間戻って即つけなおすか、消える前に火を移すかしてしまえば問題自体発生しないような気がしますが…磁気嵐発生中はワープアウトも不可能なのかも知れないし、パタリロがもう一人増える方が大問題だろうし。解決策は、カンニングしましたが私は想像できなかったです。
>タイムトラベルも神を理由にして否定するとは
 この場合、教義的に否定していてもタイムトラベルの可能性を否定しているわけではないので、タイムパラドックスや質量保存則は考えていないのでは。



仮面の下にあるのは――
“理念”だからさ クリーディー君
理念は決して死なない

 出典: ジェームズ・マクティーグ監督・ウォシャウスキー兄弟脚本「V フォー・ヴェンデッタ」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 第三次世界大戦の後世界の覇権を握り、独裁者アダム・サトラーによって全体主義国家と化したイングランド。やむを得ない事情により外出禁止令を破ったイヴィー・ハモンドは秘密警察フィンガーマンに発見されてしまう。しかし複数のフィンガーマンに強姦されかけた彼女はガイ・フォークスの仮面を身につけた謎の男『V』に救われる。
 イングランドの全体主義を覆さんとする『V』はイヴィーの前で政府への見せしめとして裁判所を爆破。そしてテレビ局を乗っ取ると、国民にイングランドの惨状を伝え決起を促す。
 イヴィーは『V』と出会った夜を皮切りに、偶然か必然か、彼と関わっていく事になるのだった…。
 アメコミを原作とするSFアクション映画より一言。「ウォッチメン」のアラン・ムーア手がける原作は本国だと非常に評価が高いようで、映画もかなり凝った出来になっていました。ガイ・フォークスの仮面というと今では某ハッカー集団が有名ですが、どうもこちらが先のようです。
 台詞は最終盤より。秘密警察のトップであるクリーディは自ら部隊を率い、『V』と対面して彼を排除しようとする。ナイフを武器とする『V』に対し、拳銃で武装したクリーディ達は勝利を確信していた。『V』に浴びせられる銃弾。
 しかし『V』は倒れなかった。銃弾を撃ち切り、リロードに移るクリーディの部下たちを『V』はナイフで切り刻んでいく。
 何故倒れない――一人残されたクリーディの放った疑問に、『V』は投稿の文句で返すのだった。
 『V』は演劇的な言い回しを好んで使うのですが、勝利を確信していた敵を瞬殺してのタイミングでこの台詞。シビれましたね。ちなみにどうして銃弾を耐えられたかというと、それは主人公補正…ではなく、(ネタバレ開始)服とマントの下に鎧を仕込んでいたという超ベタな準備のお陰でした。ただ銃弾の前には鎧では防御力不足だったのか、『V』はやはりというかクリーディを仕留めた代償に致命的ダメージを負ってしまいます。(ネタバレ終了)
 情報量が多い映画なので見ていると疲れますけども、単なるポップコーン・ムービーに飽きた人にはオススメしたい一本です。

駄弁者:
 私は最近になって原作コミックを読みました。…全体主義国家もひどいですが、Vの方もやることが相当えげつない(イヴィーに対する洗脳まがいの仕打ちとか)。  仮面の下にあるのは「理念」かもしれませんが、それを下支えしているのは、タイトル通りの復讐心なんだろうなあ。



「僕が間違っていた、人間の心は鬼だ、僕は人間を憎む」
「だがトッペイ、お前の好きなミカも人間だ、お前はミカを憎む事ができるか?」

 出典: 手塚治虫原作・松田寛夫監督・久谷新脚本「バンパイヤ 第17話『パンク・マシン大作戦』」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 手塚治虫先生自ら虫プロ商事で実写とアニメの合成で製作したドラマ版バンパイヤより。狼などの動物に変身できる人間バンパイヤ達と世界の支配を目論む悪党ロックの物語で原作もあるのですが、途中で原作と異なる展開になり、最大の違いは原作の終わりに行われ、特に成果も残さなかったらしいバンパイヤ狩りが、物語り半ばで暗躍の末に政府にコネを持ったロックがバンパイヤの種族はあなた方の血筋を汚しますよとお偉いさんに呼びかけ、バンパイヤを見つけて収容所に入れ、その額に肉体に染みて消えない「V」の字のスタンプを押されるという展開になったのですが、この台詞は主人公のトッペイが囚われ、Vの字を刻印されるシーンの一人語りですが、答えているのが実はナレーション(小林昭二)だったりします。同様の問いかけは救出されたトッペイにミカ自身が後に行っているのですが、こちらの方が印象深いので。

駄弁者:
 トッペイ役は当時新人だった水谷豊…若かったんだなあ。
>お前の好きなミカも人間だ
 「人間は〜」とか「何々人は〜」と一般化して憎んだり嫌ったりしても、そのうちの一人でも直接知り合っているとなかなか単純に決めつけられないものですね。



あの人は結局”超能力”を自己顕示の道具に…自分の為に使っていた。
でも、翔一くんは”アギトの力”を他人の為に使っている。
きっと使い方次第なのだ。
超能力者が異端とされるかどうかは、その人の使い方によるのだろう。
超能力者が必ずしも不幸とは限らない…。

 出典: 石ノ森章太郎原作・早瀬マサト物語「S.I.C HERO SAGA MASKED RIDER AGITO EDITION -HEAVEN’S DOOR-」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 東京タワーの先端に若い女性が串刺しにされると言う事件が発生。アンノウンの起こす不可能犯罪だと判断して捜査していた警視庁未確認生命体対策班SAULの氷川誠は、無人のテナントビルにアギトの影を目撃する。アギトのいるところにアンノウンもいるはずだとG3-Xを装着して現場に向かった氷川だったが、突然現れたドーベルマンに驚いた隙をつかれてアギトに襲撃された。結果、G3-Xは破壊されて修理に出す事を余儀なくされた。
 氷川を襲ったアギトの正体。それは間口正一という青年だった。かつて超能力少年ともてはやされていた彼は、ある時マスコミにトリックによるインチキだと糾弾されてしまう。その日は体調が悪かったからついやってしまったという弁明も聞き入れられず、彼は失意の中で姿を消した。それからは愛犬だけに心を許す孤独な日々を送っていたが、その愛犬も交通事故で死んでしまう。精神を病んだ彼は自分の前に現れたドッグロードを神と崇めるようになった。ドッグロードもなぜか正一を殺そうとはせず(アンノウンの目的はアギトに覚醒しそうな人間の抹殺。覚醒の前兆として超能力が発現する)、行動を共にするようになる。やがてアギトの力に目覚めた正一は、神への供え物として若い女性を殺害し、天に近い東京タワーの先端に刺したのだった。
 津上翔一が変身したアギトに敗れ、間口正一は逮捕された。事件に巻き込まれた風谷真魚は、正一に触れられたときに超能力で彼の過去を読み取ってしまっていた。事件が終わった後、真魚は翔一と正一という2人の超能力者の違いを考えて、自分も持つ超能力への考え方を改めるのだった。

駄弁者:
 一度魔がさしてインチキをしてしまうということがなければ、正一さんは自己顕示欲を満たしつつ異端者にもならずに済んだんじゃないでしょうか。その後の転落人生が自分の為に能力を使った報いだというのは、少々酷な気もしますね。



「セイラ…
 我が連邦軍には発足以来
 Gメカという名のメカは存在しないっ!」
「でも ブライト…」
「ないんだよ 聞いたコトもねぇよ」

 出典: トニーたけざき「トニーたけざきのガンダム漫画『金髪さんはGメカがお好き?〜TVと劇場の間で〜』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 「機動戦士ガンダム」のTVと劇場版の違いをネタにした漫画より
 なぜかGメカが大好きなセイラさん(特にGブル)。補給を楽しみに待っていたがマチルダ中尉が運んできたのはコアブースターだった、Gファイターのように上にガンダムを載せようとして機体を大破させブライトに大目玉を喰らうセイラ。Gメカなんてものは存在しないと言われる
 更にジオンのびっくりどっきりメカ「ザクレロ」に遭遇するも誰もそれを認識せず「この世に存在しない男」デミトリーは自分を認めてくれたセイラに礼を言って去っていくのだった
 ちなみにオチは小説版でした

駄弁者:
 泣く泣くGメカをあきらめたセイラさんは、宇宙でガンタンクに乗ることにしたけどそれも果たせず…。
(同じ本に「ハヤトは如何にしてタンクを捨てキャノンを愛するようになったか」というのもありますね(笑))
>オチは小説版
 裸で泳ぐの?



「馬鹿者の時代は終わったよ。
 おれたちは馬鹿者ではない何者かにならなきゃいかん」

 出典: レイ・ブラッドベリ「形勢逆転」(小笠原豊樹訳)  『刺青の男』に収録

紹介 :瑛莉 様
HP :

コメント:
20年前に黒人たちがやってきた火星に、
 白人が乗ったロケットが来るという。
しかしウィリーは地球で白人から受けた差別を忘れていなかった。
 彼は黒人たちを先導し、
 白人を同じ目に遭わせることを画策する。
そしてロケットは到着し、
 ひとりの白人が降りてきて話し始めた―――。
初めまして。
瑛莉(えいり)と言います。
SF歴はまだまだ浅い若輩者ですが、
このサイトを参考にいろいろ読んでみたいと思っています。
さて、
 私のお気に入りの作家の一人であるレイ・ブラッドベリの短編集より、
 どこかの政治家の皆さんに聞かせたくなるようなこの台詞を。
最近のニュースを見ていると、
 この「馬鹿者の時代」という言葉はまさに今の世の中を指しているように思えます。
…いや、
もしくはいつの時代もそうだったのかもしれません。
(←世界史の授業中にふと思いました)
我々が「馬鹿者ではない何者か」になれる日は、
 はたしていつか来るのでしょうか…?

駄弁者:
 下のように言われることもありますが、あえてセンチメンタリズム、ヒューマニズムに留まることの良さもまたあるわけで。
>我々が「馬鹿者ではない何者か」になれる日は…
 この短編のような事態になって一時は「馬鹿者ではない何者か」になったとしても、のど元過ぎればまた馬鹿が復活してしまうのでは…。



「女の子は心がキラキラ輝いていればいつまでだって少女ですよ?」
紹介 :るーしー 様 → 第287集


私は心中、近代ヒューマニズムを完全に克服する最初の文学はSFではないか、とさへ思つてゐるのである

 出典: 三島由紀夫「一S・Fファンのわがままな希望」  『宇宙塵』1963年9月号に収録

紹介 :若気のイタリア 様
HP :

コメント:
 日本SF全盛期のころ、様々な人がSF同好会に入っていて三島由紀夫もその一人でした。そしてその三島由紀夫が、レイ・ブラッドベリに代表される「低次のセンチメンタリズム」を批判したうえで、続けたのがこの言葉です。
 しかし、その希望も日本ではいつの間にか潰えてしまい、現代文学の課題が未だに近代の克服とされています。
 彼は7年後有名な割腹自殺事件を起こしますが、もし生きていたら今をどう見ていたのでしょうか。

駄弁者:
>もし生きていたら…
 その三島由紀夫が傑作と絶賛したSFはクラークの『幼年期の終り』だとか。人間や文明に対するアイロニーを感じさせるという点ならば、ヒューマニズムの克服とまではいかなくても、評価してもらえる作品はありそうです。「低次のセンチメンタリズム」的な作品も、多そうですが。



大人になればわかること。
大人はわかっていますかー?

 出典: 星野亮「ザ・サードIX」

紹介 :へんな毒 様
HP :

コメント:
 人類が持てる超技術の全てを投入して惑星全土が壊滅的ダメージを受けた最終殲滅戦争から数世紀たった時代、生物ピラミッドの頂点から転落した人類は<ザ・サード>と呼ばれる天宙眼という紅い第三の瞳を持つ超人類の庇護下でかろうじて種の命脈を保っているという世界で砂漠行(デューンラン)のエキスパートとして活躍する火乃香(ほのか)という”なんでも屋”の少女が主人公の話しの11冊目から、文句は序章の前ページに書いてあったのですが読んだ瞬間ドキッとしてしまいました多分私も含めて殆どの人が同じ思いをするんじゃないかと…
 何しろ大人になるとそのわかること自体が何だったのか忘れてるか覚えてなかったりしますから、まあ子育てしてるとまた違うのかもしれないですけど…

駄弁者:
>大人はわかっていますかー?
 「分かっている」と言い、実際分かっているけれど、必ずしもその通りにはしないというのが、私たち大人の始末に負えないところです。



「自由には責任がつきまとうんだね…」
「ねえ芳佳 自由というのは 日々まじめに生きる人のみに感じられる特権だったんだね」

 出典: 藤林真「ストライクウィッチーズ 501部隊発進しますっ!」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 501部隊所属のハルトマン中尉が、主人公の宮藤軍曹に語った言葉です。
 この言葉だけ書くといい言葉で、名文句だと思うのです。自由には責任がつきまといます。そして、不真面目で自由気ままに生きていたら、自由というものの良さは却って分からないものだとも思います。
 ただ問題は、この作品中ではハルトマン中尉は極めて不真面目で自由に生きる人間だということで、ミーナ隊長たちが用務で不在なことをいいことに好き放題のことをした後で、上記のことに気づき宮藤軍曹に語っているのです。思わず、あれだけ好き放題に自由気ままなことをした後で、ハルトマン中尉が今更言うのはどうなの、と突っ込んでしまいました。

駄弁者:
 真面目で不自由な思いをして生きていてもやっぱり責任はつきまとうので、同じことなら不真面目で自由に生きたほうがマシかもな、と思ったりします。



宇宙――そこは最後のフロンティア!!
遥か未来星々の海に漕ぎ出した人類はそこを第二の故郷とせんと果敢な挑戦を繰り返していた
だがそこには幾多の危難と未知との遭遇……そして

想像を絶する暇と退屈が待ちうけていたのである!!
(自動化の進んだ長期の宇宙旅行は食う寝る以外にあまりやることがないのだ!!)

 出典: 中島諭宇樹著・川村巧設定協力「ひまスペ兎!(≧ω≦)」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 たった三人と二機で宇宙を行く貨物船の中で、宇宙ならではの遊びを紹介する漫画より。
 掲載誌がジャンプSQ19という季刊誌で、次の号が発売するまで間が開くため、毎回の冒頭に載せられてる「この漫画はこういうお話ですよ」というナレーションより。
 ハードSF≠シリアスだと私に教えてくれた作品です。
 やっぱこう、SFってこういう「未来技術ならではの楽しさ」っていう読み手にプラスのイメージを与える物が良いですね
 コリオリ枕投げ楽しそうだなぁ…

紹介 :はたの 様
HP :

コメント:
 二度目の投稿になります。
 今回は、ガチガチにハードでフニャフニャにソフトなSFコミックから。
 こんなマンガが(週刊少年ではなくSQとはいえ)ジャンプで連載されたことは奇跡的だと思います。
 コリオリ枕投げに無重力だるまさんがころんだ、やってみたい。

駄弁者:
 立ち読み版読んでみました。目次にある無重力水遊びも気になりますが、これって大事故につながりそうな気がする…。
 人口冬眠やご投稿の元ネタで登場するホロデッキなどではなく、あくまで伝統的なやり方で「暇つぶし」をしているのが笑えます(終始寝てられるほどにはヒマじゃないし、娯楽機材を積むほどペイロードに余裕がない?)。



それを証明したかったら自分で考えたり調査しないとね!
世界中の科学者さんや宇宙飛行士さん逹は一生懸けてそうしてるんだから!

 出典: 竹内良輔原作・ミヨカワ将漫画「ST&RS 第36歩『予感』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 宇宙を目指し、『図書館の主』成田さんやST&RS子供センターの津村さん等、宇宙に詳しい大人達の元へ通って勉強するようになった小学生の頃の白舟真帆。
 そんな大人の一人、理科の逢坂先生にビッグバン以前の宇宙は『無』の状態だったと教わる真帆、
「本当に何もない所から僕やめぐるができたって変でしょ!やっぱり“何かあった”んじゃないの?」
と考える故先生の説明を今一つ理解出来ない真帆。
「『無』……があったってこと…?」
「見たのそれ?じゃめぐるは137億歳なんだふーん」等先生やめぐるに対して罪の無いボケをかましまくる真帆、そんな真帆に笑顔で投稿の台詞をかける逢坂先生。
 一生懸けた調査に何の答えや収穫も無いまま生涯を終えていく人間が多数である…というのは未来への希望溢れる宇宙少年に対してこのシチュエーションで言うのは野暮以外何者でもないな
 そしてこの疑問を胸に秘めたまま成長した真帆は2035年7月7日の火星で会った高度な知性を持つ宇宙生命体『ペロプニャン』との出会いを経て、宇宙の始まりに対する『答え』になるかもしれない光景を目撃する事になるのです。

駄弁者:
>考えたり調査しないとね!
 あるいはどこかの天才少女みたいに自分で作ってみるとか。



コラァー!反逆者の死体をかたづけていけぇー!

 出典: ガモウひろし「とっても!ラッキーマン」

紹介 :Sman 様
HP :

コメント:
 宇宙征服を企む凶悪宇宙人よっちゃんこと世直しマンが、少年時代に浴びせられた台詞。
 彼が子供のころは、まだヒーローが存在せず、宇宙は暴力によって支配されていた。彼は非力星で両親と妹の4人暮らしをしており、彼らの財産は強盗星人によって定期的に搾取されていた。ある時、強盗星人が世直し君と妹の食事(おかゆ)を地面にぶちまける。子どもの食糧を粗末にされた父親は、怒りをあらわに強盗星人にむかって「子どもに謝れ!」と叫んだ。しかし、強盗星人は反抗的な態度をとった父親とその一家を鞭で殴り殺す。世直し君だけは息を吹き返したが、満身創痍の彼の眼に映ったのは無惨な家族の死体だった。このとき村人が彼に向けた言葉に慰めの言葉は無く、彼の一家が刃向ったことで年貢の量が増えたことへの憤りや、彼に対しての罵声しかなかった。ふらふらと村を立ち去る彼に浴びせられた言葉がこの台詞である。
 世直しマンの過去は、ラッキーマン屈指の鬱シーンです。強盗星人の仕打ちもひどいものですが、目の前で家族を惨殺された少年に対してこんな台詞を吐く村人も相当ひどい。所詮赤の他人で、掛ける情けは無いってことか…。

駄弁者:
 少年ジャンプで「るろうに剣心」が連載されていたころの作品ですね。何年か前にこの著者の絵本が出ていたのを見てびっくりした記憶があります。
>所詮赤の他人で、掛ける情けは無いってことか…
 赤の他人だからというか、同じ村で他人じゃなかったからこそ関わり合いになりそうな要素を除いておきたいというか…他人に対するより扱いがひどくなるんじゃないかと。



誰もいない湖畔で泳げるまでコーチをしてくれた先輩
全校マラソンで遅れてしまったセラに、自分の遅れるのも気にせず励ましてくれた先輩
村の鎮守の森で一生懸命木登りを教えてくれた先輩
その先輩はもういない
既にアフリカの熱砂の果てで宇宙からの侵略者達の魔の手の犠牲になっていたのだ

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマン80 第30話『砂漠に消えた友人』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 正体不明の敵による広範囲な破壊活動が次々と発生した。だが、UGMが駆けつける頃には既に破壊者は姿を消してしまう。UGMは何者かが自分たちの活動を見張っていると考える。
 同じ頃、毎朝タイムズの土山記者と青木カメラマンが取材のためにUGM基地を訪れていた。土山の中学生時代の後輩だったUGM広報班のセラ隊員は、アフリカで消息を絶った土山が無事だったことを喜ぶ。だが、彼らの訪問直後、UGMの主力戦闘機シルバーガルが限界飛行速度を遥かに超えるスピードで暴走、空中分解しかける事件が発生する。予備の操縦装置と脱出装置も破壊されて窮地に陥りながらも、搭乗していた矢的猛隊員(ウルトラマン80)は機体を奇怪な装置が操っていることに気付いて破壊し事なきを得た。無事着陸したあと、矢的は機体内に「T」と刺繍されたハンカチを見つけて土山を疑い始める。
 UGMは、人間の骨に反応して影を写すカメラに土山記者と青木カメラマンの影が映っていないという報告を受けた。同行していたセラの影は写っているのでカメラの故障ではない。つまり彼らは人間ではなかったのだ。セラに案内されて宇宙観測センターに入ろうとした2人をUGMが止める。2人が宇宙人だと言う事を信じられずに庇おうとしたセラは人質にされてしまった。救出に向かった矢的が不意をついて青木を撃つと、彼はザタン星人の姿に変化して死んだ。事実を受け入れたセラは土山から銃をもぎ取って泣きながら彼を撃つ。星人は死の間際に侵略怪獣ザタンシルバー(私の名前の由来です)を呼び出したが、それも80が倒した。
 全てが終わった後に流れたナレーションが投稿のもの。このナレーションに合わせてセラの回想としてそれぞれの映像が挿入されたため、非常に印象に残るシーンとなった。

駄弁者:
 最後の一行が無ければ、現実の世界でもしばしばありそうな寂寥感なのですが…。
>侵略怪獣ザタンシルバー(私の名前の由来です)
 そういえばハンドルネームの由来、初めて伺いましたね。…銀より強い?



強い武闘家はいるが強い武術などというものは存在しない!!
…(中略)…
大体において流派の始祖とかいわれる者とは
そのとき拳なら拳 武器なら武器で単に誰よりも強かっただけのこと
術や技などは他人に教える必要から生じたものに過ぎぬ!!
武術の技で強くなるのはただの凡夫
強者が武術を生み出した歴史がすべてを語っている
強さとは天賦の才!!

 出典: あろひろし「ハンター・キャッツ CASE;33」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 賞金稼ぎハンター・キャッツのメンバー・晃には犯罪組織・四龍の暗殺者として、暗殺者の教官である李大人に育てられた過去があった。そんな彼女たちが追った大量死体遺棄事件で、晃は李大人の仇・暗器使いの王と再会するのだが……。
 これは晃の回想の中で、李大人が彼女に武術について語った言葉です。
 読んだ当時、これは映画とか小説とかの見方に応用できるなあ……なんて考えました。
 SFならSFで、ヒーローものならヒーローもので、その作品がほかの作品より面白かったということであって、ジャンルがほかのジャンルよりいいとか悪いとかではないんだなあと(当時、首突っ込んでた特撮・アニメの評論の同人の世界では結構そーいう不毛なジャンルの争いみたいなのがあったもんで)。
 まあ、コジツケといえばコジツケですけど。

駄弁者:
 出典はSFなのかなーとちょっと迷いましたが、いちおう世界観は警察が解体・民営化された近未来ということなので。
>SFならSFで、ヒーローものならヒーローもので
 ジャンルどうしを比較して良い悪いは言えないかもしれませんが、ヒーローものの作品をSFとして見た場合とか、その逆とかで評価をすることはできるんじゃないかと思います。ただその一点でもって作品の良い悪いを決めつけてしまったり、他ジャンルからの視点に対し過敏になって拒絶したりすると、不毛な争いになるんでしょうね。



お前ら、警官を殺せば30年は食らうぞ。よおく考えろ。
だがこっちが、お前らを殺せば、勲章ものだ

 出典: リュック・ベッソン制作・脚本「アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ」(原題:Banlieue 13 - Ultimatum)

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 2013年、パリ郊外バンリュー13地区…そこは様々な人種が入り乱れ、ギャングたちが覇権をめぐり日夜抗争に明け暮れる超危険なスラム街だった。
 前作「アルティメット」においてバンリューを疎ましく思っていた政府の陰謀で、中性子ミサイルによる消滅の危機を迎えたバンリューだったが、故郷であるバンリューを守るために戦った男・レイトと政府の陰謀を知りバンリュー側へと寝返った潜入捜査官・ダミアンの活躍により街は救われ、政府は逆にバンリューの治安良化を約束させられる。
 しかし、バンリューは以前と変わらなかった。バンリューを愛するレイトはバンリューの現状に一石を投じるべく奔走するも、一人の力でバンリューを変えることは出来なかった。
 そんな中、バンリューで警察官とマフィアグループの銃撃戦が発生する。これを機にギリギリで保たれていた警察とマフィアの緊張は破られ、バンリュー排除へと世論は傾いていく。しかしレイトは見ていた。銃撃戦が仕組まれたものであることを。ちょうど同じころダミアンも、政府が再び暗躍し、バンリューを消滅させようとしていることを知る…。
 近未来にする必要が果たしてあったのか、と感じずにはいられないポップコーン・ムービーより一言。はっきり言ってこの作品はSFでなくても成立するでしょう。本当にハイレベルなアクションだけを楽しむ映画で、中身はないも同然です。
 でも本当に、アクションだけは「超絶技巧」と言っても過言ではないクオリティなのでアクション映画好きなら一度は見ておくべきでしょう。人間ここまで動けるのか、と感心します、本当に。
 台詞はレイトの居場所を突き止めた政府の非公式部隊のリーダーとギャング団の門番との会話。非公式部隊は一行目の台詞で銃を構え威嚇するギャング団をビビらせ、銃を取り上げた後に二行目で射殺してしまいます。
 特に深い台詞でも作中で意味のある会話でもないのですが、素直に上手い台詞回しだなぁ、と思ったので投稿させていただきました。

駄弁者:
 どのような相手であれ、殺せば勲章をもらえるというのはすでに警官じゃないと思います。



「やあ…久しぶり、君の求めていた未来の居心地はどうだい?」
「あんたには悪いけど最高や」
「堀上君、君に一言だけ忠告しといてやる、人生ってのは所詮ゲームだ、勝つ者がいれば負ける者もいる、いずれ君もその事に気付く時が来る」

 出典: 坂梨公紀演出・大石哲也脚本「君といた未来のために I'll be back last phase『隠れた事実!最後の瞬間に死が』」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 90年代、日本テレビの土曜9時(土9)にSF作品やSFでなくても「胃袋が宇宙」になったり、何となく面白いドラマが多かった時期があり、そんな中の一本ですが、どうも「リプレイ」を原作として事後承諾した件ばかりが知られる「君といた未来のために」最終話からです。
 堀上篤志、室井蒔、黛裕介の三人が死ぬと何度も時間を繰り返すリフレインプレイヤーになってしまい…、どちらかというと堀上と室井を時間を繰り返す事を楽しむ黛(佐野史郎)が振り回すという趣もあるんですが、最終回時間を繰り返す要因が判明し、ついにその流れから離脱し、ラスト元の生活に戻った篤志と黛が偶然会った際の会話です。  強烈な負け惜しみという気もしますが。

駄弁者:
 ループものの構造自体がゲームのアナロジーみたいなところがありますから…。
 まあこのセリフの「ゲーム」とはそういう意味合いで言っているのではないでしょうが。たとえループしない人生でもゲームと捉えていそうだし。



連邦が試作機のハズのガンダムを何機も造る訳だ…

 出典: 太田垣康男「機動戦士ガンダム サンダーボルト」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 暗礁空域<サンダーボルト>の制圧に向かった「ムーア同胞団」はジオンのスナイパータイプMS部隊によって大きな被害をうけるが、たった一機配備されていた重装備型ガンダムによって膠着状態に持ち込むことに成功。
 さらに、志願学徒兵(中学生)が乗り込むガンキャノン、ジムキャノン、ボールの計36機の増援を受ける。短期間の育成にもかかわらず士気の高い彼ら、彼女らの視線の先にはガンダムがあった。
 この作品で描かれるのは1年戦争の終盤、すでにガンダムは敵味方双方にとって連邦の象徴となっていました。士気を高めるためとはいえ試作機(しかもタイプが異なる)を生産し続けるのは、異例のようですね。悪くとれば、大人の思惑による、一般兵へのエサ。
(実際は少数の試作機、改良した増加試作型(もしくはは先行量産型)、更に量産型へと移行するようです。)
 初代ガンダムも清く正しく美しいものではありませんでしたが、この作品には、士気を高めるためにはパイロットには英雄として死んでもう必要があると語る同胞団幹部、操縦するより神経をMSに直結した方がいいから義肢を取り払おうと考えるジオン軍技師など(ここのジオン軍部隊は義肢を備えた負傷兵が主力)とドロドロした思惑が満載。
 ただ、外伝が出る度に新型ガンダムが出てくる様子を見ると(すでに二桁を越えたようで)、上記の台詞の「連邦」を「バンダイ(サンライズ?)」に入れ替えても意味が通じるような。
 そう感じるのはもちろん、私が商業主義に毒されているからに違いありません。

駄弁者:
>大人の思惑による、一般兵へのエサ
 士気を保ったり敵へのハッタリのためだったりで、ジムのカラーリングと頭だけを変えたパチモンガンダムが投入されていても不思議はない?



そうかもしれない…
それでも俺は人間を信じる…
人間のために戦う
俺は…それだけでもいい

 出典: 村枝賢一「仮面ライダーSPIRITS 第14話『約束の蒼空(後編)』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 スカイライダーこと筑波洋が敵の改造人間の放った「人間とは裏切り奪い合い恐れ殺し合う弱いものだ」というセリフに対し投稿の台詞をつぶやき戦いに挑む
 やり取り自体はよくあるシチュエーションですがこの台詞は「仮面ライダー(新)」の前期エンディングテーマ『はるかなる愛にかけて』の「たったひとつの命をかけて愛のために戦うそれだけでいい、俺は仮面ライダー」という旨の歌詞からきておりこれは作者がかつて与えられた感動を原作者の石ノ森先生や作詞した平山プロデューサーにお返しをするつもりで描いたと対談で語っており私も心打たれました。

駄弁者:
 セリフが往年の歌詞のオマージュとは、ファンには堪えられないでしょうね(…私はこのライダーは見ていたと思うけど、EDまでは覚えてないなあ)。
>それでも俺は人間を信じる…
 もう一歩進んで、その弱さこそが「人間をやっている面白さなんだ」と言えるようになればたいしたもの。



名文句トップに戻る

第298集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第300集を見る