SF名文句・迷文句第269集

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「大変! 晴美が、行方不明なの!」
「一番最後に見かけたのは?」
「あ。」
 8月12日
「新刊出せた! 全部売れた! 全部買えた!」
 楽しすぎて未来にタイムスリップしていた。

 出典: 久米田康治「さよなら絶望先生」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 時事ネタ満載のシュールな学園ギャグ漫画からの名文句です。
 同じ時間でも楽しければ楽しい程短く、つまらなければつまらない程長く感じる事から、体感時間的にタイムスリップするタイムマシンを発明した主人公・糸色望(通称・絶望先生)の兄・糸色命(通称・絶命先生)。
 そこからつまらなさの限界を超えたら過去にタイムスリップできるのではと考えた絶望先生は、いろいろ試した末に甥・交の「お父さんのいない日曜日」のつまらなさで恐竜時代にタイムスリップしてしまいます。
 一方現代では、望の生徒の腐女子・晴美が行方不明になっていました。
 彼女が最後に目撃されたのは夏のコミックマーケット。……そう、絶望先生と表裏一体の理論で楽しさによって未来にタイムスリップしていたのです!

駄弁者:
 しかし、楽しい時間が短く感じるというのを利用したタイムスリップで未来に飛ぶということは、体感時間がゼロ以下になってしまい、旅行者は楽しい時間を全く体感できていないことになってしまうのでは。



トビア「新総統が自ら名乗った”サイキッカー”とは何のことなのですか?」
エウロペ「わからない…。――本当にわからないんだ。ただ、常識では判断できない、超常的な能力を持つ者を、分類上そう名付けただけなのだ。私が奴を”半身”と言ったのは、新総統カリストは”2人”いるからだ。
『奴ら』は私の双子の弟だ!そしてあの2人はどこにいようとどれほど離れていようと、瞬時に心を通わせる”力”を持っている。…中略…いわば自分の外側に常にもう一つの視点を持つ2人の人間だとも、二つの体を持つ1人の人間だとも言えるのだ。そんな奴が…そんな『ヒト』が、同じ…母から生まれたと言うだけで、私の弟と言っていいのか?人間と同じ心を――同じ考えを持つのかどうかすら、もう…私には…わからないのだ」

 出典: 長谷川裕一「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 F99”レコードブレイカー”を借り受けるために月のサナリイを訪れたトビアたちクロスボーン・ヴァンガード。そこへ木星の新総統であるサイキッカー”影のカリスト”率いる部隊の襲撃を受ける。多くの死傷者を出しながら辛くも襲撃を生き延びたトビアたちだったが、F99は完成した機体だけでなく、予備部品や実験データまで完全に破壊されてしまった。
 木星の攻撃計画を伝えた木星からの脱走者、エウロペ・ドゥガチの情報は彼らに更なる衝撃をもたらす。
 ガンダム世界ではニュータイプは怪物じみた存在として描写されますが、ついに本物の怪物が登場。新総統”光”と”影”のカリストは血縁の間でだけ通じるテレパシー能力を駆使して、この後もトビアたちを苦しめます。しかも光速では一時間近くかかる地球-木星間を数秒で情報を伝達するというイダテンぶり。この血縁だけで通じるテレパシーというのが重要な複線。さらに「実験室で分けられた〜」と後ほど彼ら自身が語るシーンがあるので、新世代の強化人間かも知れません。
 ただ、テレパスはエスパー(超感覚者)であってサイキック(念動力者)とは区別されるんじゃないでしょうか(背景にESPカードも出てくるし)?超科学解説者でもある長谷川氏のセリフとしてはいただけない。これのせいで痺れるシーンがだいぶ割引になってしまいました。

駄弁者:
 双子のテレパスによる超光速通信って、ハインラインの『宇宙に旅立つ時』であったなあ。
>テレパスはエスパー(超感覚者)であってサイキック(念動力者)とは〜
 サイキックでも、まあアリなんじゃないでしょうか。念動力はサイコキネシス(〜者はサイコキネー?)だし。



加工された真実をお届け ドイツ公共広告機構

 出典: 緑炎P「千早の第三帝国興亡記」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 765プロになぜか有ったタイムマシン、それに触れた如月千早は、1936年初頭のアドルフ・ヒトラーと入れ替わってしまい、ドイツ総統としてWWUを戦うことになる、という設定のim@s架空戦記です(ちなみに現在、1942年半ばまで進んでいます。)。そのOPに出てくるこの言葉に、思わずうなってしまいました。
 真実とは何でしょう。その人によって、真実が違うというのは、よく聞く話です。広告は真実を伝えねばなりませんが、それは結局は、広告を作る人によって加工された真実なわけで。それを思うと、このドイツ公共広告機構は、極めて正直な組織と言えるかもしれません。そして、それがWWU中のドイツと言うことを考えるとブラックジョークとしか言えない気もします。

駄弁者:
 非SFのSF風二次創作は含めるとキリがないので基本載せないことにしているのですが、今回ちょっとツボだったしお待たせしてしまっているし。
>ドイツ公共広告機構
 宣伝省はアニメ版“ヒムラーさん”を制作するために民営化したんでしょうか。



[MISSION COMPLETE]

 出典: タイトー製作「レイフォース」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 90年代のSTGの中でも多くのシューターをとりこにした名作より。これは(個人的に、ですが)外せない名文句だと思います。
 世界を管理するコンピューターネットワーク「Con-Human」の暴走(250集monku250.htm#25004の、本作の前日譚に当たるレイクライシスからの名文句がそれです)により母なる星・地球を追われ、宇宙への脱出を余儀なくされた人類。
 人類は、Con-humanにより大気構造から内部構造まで改造しつくされ「敵の本拠地」となった地球を破壊すべく「Operation-Rayforce」を発動。たった一機の最新鋭戦闘機「X-RAY」に人類の命運を託す…。
という、近未来SFの王道的なストーリーの本作ですが、そのラストは当時のシューターの間でも話題になったようです。僕は残念ながら生まれるのが少し遅かった上にSTGもお世辞にも上手いとは言えないので、この名作を、そして感動を知るには少し時間がかかりましたが。
 最早「地球」と呼べるのか、と疑問に思えるほど改造しつくされた地球の核に、幾多の強敵を退けて到達したX-RAY(プレイヤー)。最終防衛システムとして自ら立ちふさがったCon-humanを倒し、核に攻撃を加えるX-RAY。
 その瞬間、幾多の生命、そして人類を生み出した「母なる星」は----宇宙の塵に還ったのでした。
 名文句は、エンディングで宇宙に漂うX-RAYの残骸のモニターに映った最後のメッセージ。切ないED曲「Q.E.P.D」が流れ出し、無数のアステロイドと化した地球をバックに流れるスタッフロールが始まると、筐体の前で涙を流したプレイヤーも少なくなかったとか。
 ちなみにQ.E.P.D.とは“que en paz descanse”の略で(スペイン語)、“死者の霊が安らかに憩わんことを”という意味だそうです。
 昨今のゲームやアニメは様々な凝った表現方法で我々から感動を引き出そうとしますが、こんなシンプルな表現方法でも人間は感動できるんですよね…。未だに、自分の中でレイフォースを超えるゲームのEDは少ないです。
………そこ!「地球の核の至近で爆発をモロに浴びたのに原型とどめてるっておかしくね?」とか言うな!

駄弁者:
 無機的なメッセージだからこそ余計に感じるものがある。だいぶ前にあった『ガンヘッド』と似た演出ですね。



「一体どうなるんだ?」
「勝った方が我々の敵になるだけです」

 出典: 小林晋一郎原案・大森一樹脚本・監督「ゴジラVSビオランテ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第18回。平成最初のゴジラ映画より。
 本作品に登場する自衛隊の台詞でいちばんの名文句といえば「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん」だったのだが、それはもう既出なので他の台詞を投稿した。
 箱根の芦ノ湖で開花した巨大植物ビオランテ。それに引き寄せられる様にして、伊豆大島の噴火口より出現したゴジラが芦ノ湖にやって来た。二大怪獣の激闘に、自衛隊は為す術なく傍観するばかり。で、対策本部のテレビモニターでゴジラとビオランテの激闘を見ていた司令官(演・上田耕一)とエリート青年将校の黒木(演・高嶋政伸)が交わした短い会話が、上記投稿の台詞である。
 そりゃ確かにそうなんですけど、敵になったからって、あんた本当にそれを撃滅出来るのかって話じゃないスか。超兵器「スーパーX2」は見かけ倒しだし、「抗核バクテリア弾」も、結局のところ「サンダーコントロールシステム」との併用でやっとのことゴジラを気絶させる程度の効果しかなかったし、本作品の自衛隊、ハイテクを駆使した割には活躍がショボかった様な印象を受けたのは、私だけだろうか?

駄弁者:
 今まで何回か名文句で登場した黒木特佐の言葉でなければ、少し遠回しな諦めの表現じゃないかと思ったところです。



つまんねぇ事ばっかり言ってると絶対零度に放り出すぞ

 出典: サンライズ制作「カウボーイビバップ」

紹介 :雑食 様
HP :

コメント:
初めまして
いつも楽しく見ています
今回は宇宙を股にかける賞金稼ぎたちのお話から投稿させていただきました
どういう状況での台詞かと言いますと……
宇宙船の食料が無くなってしまい、次の星に着くまで数日はかかってしまう
そこで「こんなこともあろうかと」用意していた非常食が、いつの間にか誰かに食べられている……
犯人は誰だ、という口論の末に口からついて出てしまったのがこの投稿文句となります
いやー宇宙での喧嘩は後が怖いですね

駄弁者:
 ありがとうございます。カウボーイビバップからのご投稿もずいぶん久しぶりです。少し前にカードがビバップを高く評価したコラムが話題になりましたが。
>宇宙での喧嘩は後が怖いですね
 いやまだ甘いです。無くなるのが食糧ぐらいなら黙っていれば見逃してくれるかも知れませんが、空気までなくなって問答無用で放り出されるのが、怖い宇宙の方程式。



お前ほど頭が良くて進化した生き物なら善意を伝えることの大切さを知っているだろう!子供達にも知ってほしい、人に親切にできる大人になってほしいんだ!

 出典: 「ジャスティス・リーグ 『英雄たちのクリスマス』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 「ギラギラ飾り立てるだけのお祭りさ。街中に口先だけの感謝と、うわべだけの善意があふれかえっている。実に心安まる素晴らしい季節だ。」フラッシュが孤児院の子供達に届けようとしていたプレゼントを誤って壊しながらもそれを下らない玩具と評した挙句、上記の台詞を吐くウルトラヒューマナイト。
それに対して投稿の台詞をぶちまけたフラッシュ。
「…全く無意味とは言わんがな。」フラッシュの言葉を受けたヒューマナイトは彼に殴られた仕返しをすませた後、自分のラボで玩具を修復します。
 何故そんな事をしてくれるのかと問うフラッシュに「お前の未熟な言葉が私の心を動かした。」と答えるヒューマナイト。 孤児院にフラッシュと共にプレゼント(元はラップを歌いながら踊る人形だったのを、『くるみ割り人形』を語るように改造された。)を届けた後、留置場に入るヒューマナイト。その房の中にはフラッシュからのクリスマスプレゼント―アルミ製のクリスマスツリ―が飾られていました。人間の子供だった頃を思い出し微笑を浮かべてそれを眺めるヒューマナイトと陰からその光景を見守るフラッシュ。
 台詞そのものは押し付けがましいし独創的とは言えません、それに仲間のスーパーマンとは違って女の子をナンパしたり等軽薄な行動が目立つフラッシュには説得力がはっきり言ってありません。
 ですが言葉そのものは未熟でも彼の子供達とその未来を思いやる気持ちは真実の物です。そしてかつては人間であり、天才であるが故に人間世界で様々な苦渋を味わい、失望を見せつけられたであろうヒューマナイトだからこそ未熟な言葉の底にある真心を確かな物と感じられたのでしょう。
 言葉に出しても気持ちは必ず伝わるものではありません(むしろ言葉にしようとする段階で気持ちの大半はロスされてしまう。)それでも心を持つ生き物は自分の心を言葉等で他の生き物に伝える事を最初からあきらめてはいけないのです。

駄弁者:
 結構いいヤツじゃないですかヒューマナイト。説得した側より説得された側の方が男を上げたように見えますが、正義の味方はそんなことを気にしちゃいけません。



──女の気まぐれによって、世界が破滅したとしたら
──なんと美しいことだろうか。

 出典: 小松左京「物体O」  同名短編集に収録

紹介 :可児歳蔵 様
HP :

コメント:
 「物体O」は、どこかから落下した巨大な円筒あるいはリングによって関東・北陸・九州が壊滅し、物体の中に残された関西一縁が生き残りをかけてゆく、小松さんらしいシミュレーション小説です。
 その正体に関する、しかし文脈的にはまったく関係のない一節。
 見ている分には美しいですが、それが現実になると対応も変わってくるのは私だけでしょうか。

駄弁者:
 男の虚栄心で存続してきた世界なら、女の気まぐれで破滅しても文句は言えないのかもしれませんが。
 いま勤めている学校図書館でハルキ文庫『物体O』を入れようと思ったのですが、もう品切れとのこと。表題作のほかにも「お召し」や「静寂の通路」などいい短編が多いので読んでもらいたかったんだけどなあ…。



行くがいい。男は好きな女のために命をかける物だ。

 出典: 神林長平「過速(ハイパー・スピード)」  『麦撃機の飛ぶ空』に収録 『ログイン』1983年12 月号にも収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 文明崩壊後の人類世界。
 主人公の少年の住む村はGMCという超高速コンピューターによって支配されていた。
 GMCは半年に一度、少女を生け贄として要求していた。少年の恋する少女が生け贄に指名されて悲しみに暮れる少年に、祖父は槍を渡す。
 神林作品で、こんなに素直なボーイミーツガールなお話が読めるとは思いもしませんでした。おじいちゃんかっこいいぞ(無責任なだけかも)。
 もう一つ思いもしなかったのが初出。今は亡き「ログイン」の名前にお目にかかるとは。
 まったくもって すてらのなばびこーん。

駄弁者:
>すてらのなばびこーん
 ログインに神林作品が掲載されていたのかあ。…時々立ち読みしていたけど、べーしっ君しか覚えてませんでした(笑)。



皇帝カイザーを守り参らせよ!!

 出典: 田中芳樹「銀河英雄伝説」

紹介 :つかさ 様
HP :

コメント:
 かつての自由惑星同盟の宿将、ビュコックが、皇帝ラインハルトに戦いを挑んだ「マル・アデッタ星域会戦」。
 ラインハルトの本営に急進するビュコックの艦隊に、「鉄壁ミュラー」の異名を持つナイトハルト・ミュラーの艦隊が立ちはだかり、その際に揮下の提督に、ミュラーが命じた一言。
 後に「疾風ウォルフ」、ミッターマイヤー元帥も、似た言葉をミュラーに残しています。

駄弁者:
 この「守り参らせよ」という言い回し、銀英伝以外で見たことがないんですが日本語としてどうなのかちょっと気になります。



「この国には旧文明の昔から続く、呪いのような掟がある。まさか己が攻める国のこと、知らなかったとは言わせぬぞ」
 ルナスは一度、小さく息を呑んだ。一応、姉から聞かされていたからだ。
「……まさか」
「そう、第九条という名の血の掟よ」

 出典: 林トモアキ「ミスマルカ興国物語 V」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 今回は変わり種を。
 この作品はとある事情で文明が崩壊した後の数百年後の話。
 今回の台詞は現在の中国の南部あたりにある帝国が現在の日本にある大東京王国に戦争を仕掛けたところ何の抵抗もなく王の目前に迫れたため『何故抵抗しない』と帝国の姫ルナスが問いかけそれに対した大東京の王ハオウの返答です。
この後、この国を征服したければ自分を倒せとは王が言い放ち王と姫(魔人という種族の為身体能力は人間以上)が二人で殴り合いを始めます。
 初めて見ました第九条がこんな使われ方した作品。
 たしかに第九条は後の世に語り継がれていきそうですが(憲法改正されるかどうかはどうかは別として)、こんな残り方はいやだなぁ。

駄弁者:
 文明崩壊前より忠実素朴に守られているなあ(笑)。…魔人の戦闘能力が「その他の戦力」に相当するのかどうかはともかく。



「メテオールなんて得体の知れねぇモンに頼んなきゃ、戦えねぇってのか!昔はあんなもんなくったって立派にだな…」
「だから墜落ばっかしてたんだろ!」

 出典: 谷崎あきら脚本「ウルトラマンメビウス 第15話『不死鳥の砦』」

紹介 :陸ドム 様
HP :

コメント:
 怪獣が出現したが主力戦闘機ガンフェニックスはメンテナンス中。整備長の制止を振り切り無理矢理出撃したクルーガイズの面々。整備長も出撃しちまったモンはしょうがないとあきらめ、その代わりメテオールだけは使うなと念を押します。
 んが、怪獣相手にメテオール無しはキツく、結局使ってしまいます。案の定ガンフェニックスは不具合を起こしてしまって…という話から。
 基地に戻って喧嘩する整備長とパイロットの台詞です。
 言ってはいけない事を!

駄弁者:
 まあ、そもそもの始まりがビートルの墜落からでしたしねえ…。メテオールがあってもなくても話の展開上、あまりいい目をみないのがこのシリーズでのメカたちの運命なのでは。



「ここのシラウオはの、ミツマタシラウオちうて、昔から頭が三つあるだ。――うまいだよ」

 出典: 小松左京「ホクサイの世界」  『夢からの脱走』に収録

紹介 :ラッキー・チャンス 様
HP :

コメント:
 欧米SFの御三家に続いて、今回は日本の御三家から小松親分の登場です。
 「ホクサイの世界」はわずか5ページの短編なのですが、なかなか趣のある作品です。免許を取れば時間旅行ができる時代。葛飾北斎の浮世絵に魅せられた夫婦が、19世紀の富士山を見ようと訪れた世界でのお話。免許を取りたての妻の時間機運転の腕前はまったくあてにならず、到着年代が2世紀もずれてしまったのです。21世紀、そこで働く漁師も、獲れる魚も、核戦争の影響で変わり果てた姿に…。引用のセリフは、物語を締めくくる漁師のもの。まあ、ゴジラを引き合いに出すまでもなく、こういう作品が流行った時代ですね。ただ、私は核実験場として有名なビキニ岩礁の近くで生まれた6本指の赤ん坊の写真を見たことがあるので(ただし因果関係は立証されていない)、笑いとばす気には到底なれないのですが。言ってみれば、人類の愚かさを嘲る自虐ネタ、といったところでしょうか。

駄弁者:
「へい!らっしゃい!汚染された海で取れたピチピチの奇形魚だよ!」というセリフのご投稿もありましたが…。
 こちらでは汚染されたという記憶さえ風化している…? 核戦争があったのは20世紀のいつぐらいだったんでしょう。100年もたたないうちに忘れてしまうほどには、人類も愚かではない…と思いたい。



喜びの後の悲しみを考えていたんじゃ。

 出典: 横山光輝原作・雪室俊一脚本「バビル2世 第38話『東京地下占領作戦』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 第25,26話でヨミのV号との決着がつき、終わるはずだったTVアニメ「バビル2世」。
 ところが27話以降、北海道に舞台を移して続いてしまいます(ウィキペディアによるとテコ入れ説もあるようですが)。そんな「バビル2世」の最終回。
 ヨミの最終計画・東京地下占領作戦が発動、東京の地下鉄が占領され、乗客が人質とされてしまいます。その中には、たまたま東京を訪れていた、バビル2世こと浩一が世話になっているワタリ牧場の牧場主・太郎や孫娘のユキが含まれていました。  怒るユキたちですが、太郎は泰然としています「わしが待っているのは警察なんかじゃない! 」何度か怪事件に巻き込まれる中、太郎は浩一の正体を察していたのです。
 そして、ついにバビル2世こと浩一が現れ、人々は救出されますが、太郎の顔は晴れません。そう、今まで牧童として働いてくれた自分たちの知る浩一少年ではなく、バビル2世の正体を現してしまった以上、この後は浩一との別れが待っているのですから……。
 今回の名セリフはそんな太郎老人のセリフです。
 浩一の声の神谷明さんも批判的な北海道編ですが、この辺の展開は渋くて好きなんですけどねー。
 この後結局ハッピーエンドで北海道に戻ったりするのがなんだかなあです(前半浩一君を追っかけてたヒロインの由美子ちゃんの立場は(笑) ちなみに現在連載中のコミック「バビル2世リターナー」でこの辺が絡んできたのには驚きました)。

駄弁者:
 …はて、私が見た記憶のある「バビル2世」は、一体全39話のどのあたりだったんだろう?夕方とか夏休みの再放送で切れ切れに見るばかりだったので、同じ話を2回見たような記憶もあるけど、ご投稿の最終盤あたりは覚えがなかったりします。



大文字隼「…(中略)…まあ、俺も褒められた人間じゃないけどな。見栄っ張りの権力主義者だ」
風城美羽「あたしは自信過剰の高飛車女」
JK「見ての通り、俺は長い物に巻かれるチャラ男」
城島ユウキ「私は我を忘れる宇宙オタク。…はいっ」
歌星賢吾「……俺は学校一のサボり魔、保健室の主だ。」
…(中略)…
如月弦太朗「…でもみんな、すげえところは超すげえんだ。それが俺たち『仮面ライダー部』だ!」

 出典: 東映制作「仮面ライダーフォーゼ 10話『月・下・激・突』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 天ノ川学園高等学校2年B組に転校してきた如月弦太朗。彼は歌星賢吾の父の遺品「フォーゼドライバー」を使って「フォーゼ」に変身(賢吾は虚弱体質なので変身できない)、人間がゾディアーツスイッチで変身する星座の怪物「ゾディアーツ」と戦う。この世界では都市伝説として歴代の仮面ライダーが存在しており、それを知った弦太朗は学園の平和を守る影の部活「仮面ライダー部」を勝手に作ってしまい、「仮面ライダーフォーゼ」と名乗るようになった。部室は宇宙の力「コズミックエナジー」の作用で廃部室の掃除用具入れとつながっている月面基地「ラビットハッチ」。当初は弦太朗と賢吾、城島ユウキ(二人のクラスメートで、弦太朗の幼馴染)の三人しかいなかった仮面ライダー部だが、部長としてチアリーダー部部長の風城美羽、情報収集役として一年生のJK(ジェイク)、サポートメカ「パワーダイザー」の操縦者としてアメフト部部長の大文字隼が仲間になった。
 弦太朗に仮面ライダーの都市伝説を教えた張本人で、その後も何かと縁のあった野座間友子。彼女は幼いころから霊感が強く、そのせいで周りから孤立していた。そのせいで自分を嫌っていた彼女はファンタジー小説に登場する月面世界に行けば自分は変われると思うようになり、魔法を使える祭壇座の「アルター・ゾディアーツ」に協力して儀式を行おうとする。そこで弦太朗は無理やりラビッドハッチに連れて行って月面世界など存在しないことを見せた後、「無理に変わる必要はない」と彼女のことを肯定した。その後の仮面ライダー部内の会話。ただし、厳密に言えば投稿時点で賢吾は仮面ライダー部を認めていない。

駄弁者:
 ついに部活動になっちゃいましたか。昭和は遠くなりにけり(笑)。
 宇宙がどうとかいう話だったので、ちょっとはSF寄りなのかと思っていたんですが、占星術寄りだったんですね…。



完全な良心回路を持ったら僕は人間以上の機械になってしまう
僕は少しでも人間に近くありたいんだ

 出典: 石森章太郎原作・東映制作「人造人間キカイダー」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 TV版の「人造人間キカイダー」より
 科学者荒木博士の発明した完全な良心回路の設計図を狙うダークとの戦いが繰り広げられる、ジローの良心回路を完全にしてあげたいミツ子は設計図を守ろうとするが戦いの末燃えてしまう。
 設計図を守れなかったことを謝罪するミツ子だったがジローは投稿の台詞を返す
 不安定で不完全な良心こそが人間の証、完全な良心回路を求める漫画版とはまた違った形で人間に近づこうとするキカイダーなのでした

駄弁者:
>完全な良心回路を持ったら僕は人間以上の機械になってしまう
 だいぶ前のご投稿で、同じようなことを考えたことがあったんですが、やっぱりそうですよね。
 けど、不完全さのあり方がプロフェッサー・ギル笛の音に惑わされてしまうことだというのも気の毒なので、その部分だけは直してあげたいなあ。



「俺を……俺を実験台に使ったなあ〜っ!?」
「おい!! これ見ろ。うちに転がり込んできた時のお前の体だ。冷静に考えてどっちがましだ!?」

 出典: 三家本礼「サタニスター」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 豪快なシスターがナックルを武器に殺人鬼達相手に大暴れする、血まみれフリークスホラーからの名文句です。
 闇のシンジケートが主催する「世界最強殺人鬼決定戦」の出場者・墓井田は、かつてトラックに轢かれ重傷を負った際友人によってアンドロイドに記憶・人格を移植されました。
 今回の名文句は、目覚めた墓井田が記憶・人格をアンドロイドに移植されたと気付いた時のやり取りです。
 いかにも機械人間といった体にして生かしてでも、見るからにずたぼろになった人間の体のまま死なせたくないという思いが伝わってきます。

駄弁者:
>死なせたくないという思いが〜
 登場人物のキャラが分からないので、つい「これさいわいと実験台に使ったのでは…」と思ってしまいます。少なくとも、どうせ助からないならやったほうがマシ、ぐらいの気持ちはあったんじゃないかと…。



「“トロイの木馬”の話をご存じですか?うれしい贈り物と見えたものが、実は危険な武器だった……」

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 2」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この世界では超光速航法の方法としては、艦船に搭載されたジャンプドライブを使用して行う星系ジャンプ航法と星系に配置されたハイパーネット・ゲートを使用する方法があり、ハイパーネット・ゲートを使用した方が遥かに効率的に超光速航法を行うことができるという設定になっています。そのハイパーネット・ゲートが、実は超新星爆発を引き起こすことができる兵器でもあることを知った主人公と登場人物の会話の一節です。ハイパーネット・ゲートは実は誰が開発したのか、どういう理論で動くのか、人類の誰も知りません。主人公は、それが未知の異星人によって人類を内部から滅ぼすために提供されたのでは、と疑惑を抱き、登場人物の1人に話したのです。確かに、効率的に星から星へと移動できるというのは魅力的で、理論面が不明確でもあっという間に人類に普及したというのは分かるのですが、ちょっとご都合主義ではと思わなくもありません。でも、これまでも人類が犯した数々の所業を思えばありえない話とはいえないのがこわいところです。
 私もまだ全部は読みとおしてはいないのですが、何だかこの異星人がニャルラトホテップに思えてきました。(確か、ダーレスによるとニャルラトホテップは核兵器開発技術を人類に提供していたはず)

駄弁者:
 滅ぼすための道具ではなく、ひそかに自分の利益にするというパターンもありました。シモンズの『ハイペリオンの没落』とか…(あれはゲートを提供したのは異星人じゃありませんでしたが)。



「統幕議長。現在の自衛隊の兵力で、あの怪物に勝てるのかね?」
「必ず倒せる筈です!」

 出典: 永原秀一脚本・橋本幸治監督「ゴジラ」(1984年版)

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『警察・自衛隊・対策本部の名珍言集』第17回。
 本作品は一応、第一作『ゴジラ』(1954年)の続編ということになっており、「少年期にゴジラのせいで両親を喪った林田博士が三十年ぶりに復活したゴジラと対決する」という人間ドラマが、「米ソ冷戦の板挟みに立つ日本」という政治ドラマと並行して展開されている。で、上記投稿の文句だが、これはゴジラの存在が確認された後、日本国政府が非公式に開いた対策準備会議での台詞。政府閣僚の一人が質問し、統幕議長がやたら自信たっぷりに答えたものである。
 まぁ、普通に考えればそのとおりなのかも知れない。『銀英伝』のロイエンタールによる戦術思想「一頭の巨象より一万匹のネズミ」式の考え(221集)と同じ発想で…。
 それにしても、一日や二日で倒せるとは思えない。最短でも一週間はかかる様な気がする。

駄弁者:
 「必ず」の前に小声の「いつかは」が付いていたんじゃないでしょうか。
 原野でネズミが象に襲いかかるならロイエンタール式でいいとしても、この場合象が暴れているのはネズミのすみかだしなあ。



「バリゾーグ、俺は、子供の頃からずっと父上の重臣達に囲まれていた。しかし、誰もが父に似ぬバカ息子と思っていただろう。俺は独りだ……。お前がいなければな……」
「……ボス」
「俺は、ダマラスや父上の重臣共の鼻を明かしたい。お前は俺についてきてくれるな?」
「私はワルズ・ギル様の忠実な部下。どんな命令でもお聞き致します」
「うん。グレートワルズで海賊共を排除する! バリゾーグ、奴等の基地を探し出せ!」

 出典: 東映制作「海賊戦隊ゴーカイジャー 第37話『最強の決戦機』」

紹介 :メダルの守護神 様
HP :

コメント:
 ゴーカイジャーとの戦いが膠着状態になってきている。宇宙帝国ザンギャック地球遠征軍に、ザンギャック皇帝から最強の決戦機・グレートワルズが届けられました。これを見た司令官ワルズ・ギル殿下は、一発逆転&自分をバカにする重臣達を見返そうと自分が出撃することにしました。
 この会話は、出撃前に殿下が最も信頼する部下バリゾーグと殿下の会話です。
 殿下は、自分が周囲から「皇帝のバカ息子」と呼ばれているのを薄々感じていたのでしょう。「親の七光り」がプレッシャー&コンプレックスになっていたのは間違いありません。それと同時に、皇帝の後継者であるとプライドがこの台詞に表れています。

駄弁者:
>それと同時に、皇帝の後継者であるとプライドがこの台詞に表れています。
 とはいえ、お父上からのテコ入れを受けた上でのセリフであるあたりから、殿下の限界も露呈しているんじゃないでしょうか。



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