SF名文句・迷文句第261集

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「しずく、雨だれ、ほんの少し」少佐は言った
「ゼロ。 ──お前の名だ、零」

 出典: 神林長平「妖精の舞う空 (戦闘妖精・雪風)」

紹介 :静夜 様
HP :

コメント:
 初めまして、ネットの海で遭難してこちらに漂着しました(笑)SF好きなら十中八九ハマりそうなところですね。すごく気に入って、読んでいるうちに投稿したくなって書いています
 雪風からはいくつか投稿されていますがこの言葉は無かったですね。謹慎中の零が少佐の助手をやっていた時の、零と少佐の会話の中で唐突に出てきて(私にはそう思えました)、すごく印象深かったです。少佐は何を思ってこの言葉を言ったのかなと。

駄弁者:
 ようこそ。遭難しても助けは来ないところです。漂着したお仲間はわりとたくさんいらっしゃいますので、どうぞごゆっくり。
 登場したころの零は、後のシリーズの彼と比べてさえコミュニケーションに難があるので、友人兼上官としては多少唐突でも言葉を切らさないことが必要だったのでは。
 最近「アンブロークン・アロー」を読んで、雪風もずいぶん遠いところまで来てしまったな、と感じています。



海賊の海賊版なんて、著作権の侵害です!

 出典: 石森プロ・東映制作・荒川稔久脚本・渡辺勝也監督「海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船」

紹介 :鋼将門 様
HP :

コメント:
 劇場版の海賊戦隊ゴーカイジャーから。
 突如として地球に飛来した謎の幽霊船、その中には生きる者の願いをひとつだけ叶えるという幻のお宝ゴッドアイが隠されていると知ったゴーカイジャーたち。その幽霊船に侵入するも、船長ロスダーク(自身も幽霊)の罠で異空間に飛ばされ、かつてのスーパー戦隊に敗れた悪役たちの猛攻に追い詰められるが、5人の連携で異空間を脱出。ロスダークとの決戦に突入します。
 そのロスダークが操縦するのが「にせゴーカイオー」、ゴーカイオーを模しているものの、隻眼、背中の黒マント、両肩と胸のマーク、左手が鉤爪と微妙な違いがあります。それを見てのゴーカイピンク=アイム・ド・ファミーユの台詞です。
 歴代戦隊に二段変身という設定をとった今年の戦隊ですが、そんなつっこみが聞けるとは思いませんでした。
 ちなみに本作には幽霊船に棲む三匹の幽霊の声がゴレンジャーの主題歌を歌ったささきいさお&堀江美都子に今回ゴーカイジャーの主題歌を歌う松原剛志だったり、ゴーオンジャーの女優3人によるユニット「G3プリンセス」が登場したりと見所満載です。

駄弁者:
 海賊にまで著作権意識が普及しているとは喜ばしいことですが、なんかヘンな風に普及している気がしないでもないです。
 それはそうと、戦隊の先輩方は後発組のコスチュームとか技とかを類似品だ、剽窃だと訴えたりしないんでしょうか(著作物…ではないでしょうけど)。



いま北海道では、あのとおり、アムダ狩りが行われている。

 出典: 安部公房「藤野君のこと」  筒井康隆編『'75日本SFベスト集成』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 今までも何度か投稿した安部公房から投稿します。
 このエッセイは戯曲「ウエー(新どれい狩り)」について書かれたもので、本作品に出てくる飼育係「藤野君」のモデル、さらに「ウエー」の発想のもとになったエピソードについて書かれたもので、投稿した台詞がそのエピソードに当たるものです。
 それは、安部先生は北海道旅行に行った際同行した老人が「アムダ」と呼ばれる生き物について語ったもので、アムダとは、「人間そっくり」な生き物で、繁殖力抜群。肉や毛皮をとる目的で戦時中、軍が半ば強制的に飼育をさせた生き物だったのですが、受け入れ態勢が整う前に敗戦。戦後食糧難の時代に飛ぶように売れたのですが、その後逃亡したアムダが爆発的に繁殖。農害が出たために、今では役所が一匹10円で買い取って駆除に当たっているのです。
 アムダを一目見ようと役所に行った安部先生の見たものとは!?まぁ実際のところはちょっと拍子抜けするようなオチ(反転希望実は老人はひどいなまりで、アムダとは、ハムスターのことだったのです)なのですが…。
 いや、なんとも人騒がせな聞き間違いをするものです。それにしても、なんて絶妙な聞き間違いなんでしょう。

駄弁者:
 よりによって「アムダ」とは紛らわしい…「アダム」をもじったブラックユーモアとしか思えないし。
 聞き間違いじゃなかったとしたら、貴志祐介『新世界より』に出てくるハダカデバネズミたちみたいなのがはびこっていたんでしょうか。



良心を鍛えているんだ

 出典: サム・ライミ監督・共同脚本「ダークマン」

紹介 :人外魔境地底獣国 様
HP :

コメント:
 「スパイダーマン」から遡ること約10年、サム・ライミが監督したオリジナルのヒーロー?ムービーより。
 主人公ペイトン・ウエストレイクはある事件に巻き込まれて助手を殺され、自身も全身に火傷を負って生死の境をさまようことになります。治療の過程で痛覚を失い、感情が昂ぶると怪力を発揮する体となった彼は、研究をしていた人工皮膚で作ったマスクで顔を変え、事件の黒幕を探っていきます。投稿の台詞は物語の終盤、捕らえた黒幕を殺すかどうか30秒ほど考えて決断を下したときのものです(劇場で観たとき「いいのか?そんなんで!?」とひっくりかえりそうになりましたが、まあ、「バットマン・ビギンズ」のブルース・ウエインの言い草に比べればマシかも)。
 何しろ20年ほど前の作品なので技術的には粗の目立つところもありますがそれでも面白さではスパイダーマンシリーズの上を行ってますので、今こそライミには良心を鍛えたペイトンの新たな物語を作っていただきたいものです(実は続編も作られていますが監督は交代しており、正直あまり印象に残っていません)。

駄弁者:
 良心を鍛え抜いているから殺人を犯すこともものともしない、ということなのか、いまだ鍛えていない良心への試練のためにあえて殺人を犯すというのか…どっちにしても「いいのか?そんなんで!?」ですねえ。



「「アーブロース宣言」をみな知っているな?四百五十年前にこれを起草したのは、われわれの祖先だ……われわれとその子孫たちが百人でも残っているかぎり、決してイングランドの法に従うことはない」(中略)「われわれが戦うのは、栄光や名誉のためでも、富のためでもなく、ただ自由のためであるーただそのためだけに、高潔な者はけっして諦めず、いかなる犠牲をも怖れない」

 出典: ダイアナ・ガバルドン「炎の山稜を越えて IV」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 男主人公のジェイミーが、自分の土地に住むスコットランドからの百人以上の入植者たちを前にして、アメリカ軍(当時の言葉からすれば反乱軍)に参加することを決めたことを宣言し、自らと共に戦う志願兵を募る際の演説の一節です。自らもこの言葉を口にすることで、思いがけず自らの良心と対峙し、また、家族の安寧だけでなくもっと大きなもの、大義のために本気で戦おうと思い、死ぬかもしれないと観念するのですが。私も、この言葉の意味と重みには、感動してしまいました。
 14世紀前半に既にこのような宣言があったこと自体、私は実はこの小説を読むまで知りませんでした。なお、ここでは自由と訳されていますが、本来は、人権と訳すのが正しいらしいです。そして、米国独立宣言にも、このアーブロース宣言は影響を与えるわけで。この小説は、第二次世界大戦直後から始まり、ジャコバイトの反乱、米国独立戦争、ナポレオン戦争と続く(予定な)のですが、本当に重い小説だと思います。

駄弁者:
 私も知りませんでした。教皇に対してアピールした宣言ということですから、ピューリタンのアメリカ軍と協力するときに用いるというのは、ちょっとした歴史の皮肉ということになるのかも。
 理想や大義はそれとして、「敵の敵は味方」というのが現実的な事情かな…とミもフタもないことも考えてしまいます。



あなたのことが、好きになりまひた。

 出典: 東毅「超弩級少女4946」

紹介 :ズバットン 様
HP :

コメント:
 こんにちは。初めて投稿させていただきます。
 まずは最近お気に入りのSFラブコメ漫画から…
 いつもフラれてばかりで彼女が欲しい普通の中学生飛田マコトは、ある日学校が謎の怪獣に襲われ逃げ遅れてしまいます。しかし、危ないところを怪獣と同サイズの巨大な女の子「衛宮まな」に助けられることに。その後、その少女まながピンチになった時、マコトが果敢にも怪獣に立ち向かったことからまなはマコトに一目惚れ。怪獣撃退後にマコトに熱烈な愛の告白をします。投稿したのはその時のまなの告白の台詞。
 ちなみにタイトルの4946は、まなの身長49m46cm(公称)から。なぜそんな半端な数字なのかというと、まな曰く「女の子はちっちゃいほうがかわいい」からだそうで…

駄弁者:
 ネットで第1話だけ読みました。うーん、巨大な少女が巨大な口と舌でセリフをかんでも、やっぱり「なりまひた」とか聞こえるんでしょうか…(笑)。
>「女の子はちっちゃいほうがかわいい」
 きっと身長50メートルと言われたらムキになって49m46cmと主張するんですね。



民衆の決定だ!

 出典: 「ジャスティス・リーグ 『戦闘の星』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 文句toめい文句で民主主義帝国の話題が出ていたので。
 貧富による生活格差、食糧配給の遅れ、病院をはじめとした医療施設の非充実等の行政上の問題を闘技場『バトルワールド』での殺人試合に熱狂させる事で誤魔化す異星の独裁者モングル。
 今日も彼はバトルワールド最強のチャンピオン、ドレイガに敗れた挑戦者の処遇を観衆に委ねます。「殺せ!」「殺せ!!」「殺せ!!!」自分の望んだ通りの言葉を叫ぶ観衆に応えるべく投稿の台詞に続いて「民主主義万歳!!」と叫び断を下すモングル。
 バトルワールドに闘士として拉致されたスーパーマンは、共に捕らえられたジョン=ジョーンズを逃がす事には成功するも自身は脱走に失敗、罰としてドレイガとの対戦を強要されます。苦戦しつつも勝利を収めるスーパーマン。
 ですが彼は、敗れたドレイガを殺せというモングルの命令や観衆の声、ドレイガ自身の懇願を断固として拒否(スーパーマンの七つの弱点の一つ、彼は並外れた善人であり、特に殺人を忌み嫌う)。そのためモングルの差し向けた処刑ロボット達の一斉攻撃を受けます。
 第一射を辛くも耐え凌いだスーパーマンに第二射を放とうとする処刑ロボット、その時観衆に紛れ込んでいたジョン=ジョーンズの扇動によって巻き起こる観衆達のスーパーマンコール。予想外の事態に驚き戸惑うモングルに、このままスーパーマンを殺せば観衆全員を敵に回す事になると進言する側近。
 遺憾ながらも投稿の台詞を吐いてスーパーマンの処刑を撤回するモングル。その後、処分が決定していたドレイガを闘士仲間の協力で脱走させたスーパーマンはその無敵の強さと勇敢な態度と言動、敗者を決して殺さない高潔さ故にモングルを凌駕する人気と尊敬を獲得、焦ったモングルは自らバトルワールドに出場を決意、スーパーマンに八百長試合を持ちかけるのですが…。
 独裁者のタチの悪さ、自分のエゴを巧みに国民の総意に見せかけてみせるを無茶苦茶わかりやすく見せてくれたヴィランでありました。

駄弁者:
 分かりやすく戯画化した話なんでしょうが、その戯画と大して変わらないことを現実の地方自治でやった人がいたような…。



「正義のためなら、人間はどこまでも残酷になれるんだ」

 出典: 小林靖子脚本「仮面ライダーオーズ 第22話『チョコと信念と正義の力』」

紹介 :TOM 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーオーズの敵は、“欲望”の塊であるグリードと、グリードが人間の欲望から作り出す怪人であるヤミー。
 これまでグリードたちは人間の食欲や自己顕示欲、金銭欲などをもとにヤミーを作ってきましたが、今回対象となったのは、「正義を望む心」
 弁護士資格の国家試験に浪人中の男性から作り出されたバッタヤミーは、ひったくりやら路上のヤンキーやらヤクザやら悪徳代議士やらを次々となぎ倒していきます。
 正義のために戦うバッタ怪人のその姿は、真・仮面ライダーに似た容姿と相まって、まさにバッタモンの仮面ライダー!
 こういう敵が現れると、普通のヒーローなら倒すべきかどうか迷いそうなもんですが、オーズの主人公、火野映司は普段よりもさらに断固として「倒さなくちゃいけません」と言い切る。その理由が、投稿の文句です。
 仮面ライダーも正義のために戦っているわけで、自分はどうなんだと突っ込まれそうですが、映司はあくまで、自分の手の届く範囲でと、限定付きで闘っています。
 自分でコントロールできないほどに肥大化した正義の力ほど、やっかいなものはないということなのでしょう。
 なかなか考えさせられる、深いセリフでした。

駄弁者:
>ひったくりやら路上のヤンキーやらヤクザやら悪徳代議士やらを…
 なんか罪の大小に関係なく罰を与えているような。正義に「程度」なんかない!と言うのかもしれませんが、正義の心に程度はなくても正義の適用には程度はあった方がいいようです。



「終わりを見届けられない仕事なんて空しい…なんて思ってたら、科学者なんかやってられない。ほとんどの科学者は、終わりを見届けられずに終わるんだ」

 出典: 井上潔・白崎博史脚本・堤幸彦監督「はやぶさ/HAYABUSA」

紹介 :鳩野空次 様
HP :

コメント:
 出張映写専門の映写技師をしており、同業者の手伝い仕事で某ホールでの『はやぶさ/HAYABUSA』の映写現場を手伝ってきました。そんな訳で、仕事上の役得を利用して、この映画からの投稿一番乗りをさせていただきます。
 投稿の台詞は、契約期間の終了を理由にプロジェクト半ばで職場を去ることになったカメラチーム主任の坂上(高嶋政弘)が、主人公の研究生・水沢(竹内結子)にいう台詞です。中盤のエピソードでは、彼だけでなく、ある者は定年退職で、ある者は死去して、はやぶさの最後を見届けられずにチームを去ってゆきます。
 あ、そうそう、以前投稿のあった「『こんなこともあろうかと…』」のエピソードも、劇中でバッチリ取り上げられていましたよ。まさにそのセリフ付きで。

駄弁者:
 お仕事お疲れさまです。上映は今月からでしたか。一足先に見られたとはうらやましい。
>ほとんどの科学者は、終わりを見届けられずに終わるんだ
 科学者に限らず、自分が手がけた仕事の結果を見ずに退職したり異動したりすることは多いと思います。名文句のご投稿にあるのだと、眉村卓「司政官」シリーズの主人公など、唐突に仕事を中断させられて異動してますし



 しかし、もっとも分量が多いネタ元は、なんと日本アニメだ。サイモン・サンドリスン博士のAI、ミオは、名前も外見も、アニメ《聖戦士ダンバイン》や《重戦機エルガイム》などの主題歌を歌っていた歌手MIO(現在はMIQと改名)が元になっている。カンザキ博士という人名は《天空のエスカフローネ》の主人公神崎ひとみから。″カンザキ=ロック統一場理論″のロックは《超人ロック》から。″カフェ・レイ″という店名は《機動戦士ガンダム》のアムロ・レイと《セーラー・ムーン》のセーラー・マーズこと火野レイから。カールのAI、シャイナの名前は《聖闘士(セイント)星矢》の聖闘士シャイナから。異星人オーファンの外見は《ドラゴンボール》のセルから。異星人レルゴフ・ノブ・ネクナーフ博士の名前はアニメ版《ジャイアント・ロボ》のフランケン・フォン・フォーグラー博士のアナグラムで、イメージも借りている。″サイ・ダク″というスフィア名はアニメ版《ジャイアント・ロボ》の主人公草間大作から。異星人アマス・ガラオの名前は《鎧伝サムライトルーパー》の悪役″亜羅醐(あらご)さま″のアナグラム。異星人ゴナ・ブラシンドの名前はアニメ版《スレイヤーズ》の魔王シャブラニグドゥのアナグラム。異星人トゥヌヴンの外見は《ドラゴンボール》のフリーザ。「敵のほうが力が上なら、戦いを超えて倒さねばならぬ」という台詞はアニメ版《ストリートファイターU》より。
 アニメだけでなく、異星種族モロソスの外見は《ゴジラvsデストロイア》の怪獣デストロイアがヒントになっているし、レストラン店主の異星人マイラカグ・アチャンの名前は、《料理の鉄人》がアメリカで放送されたときの、鹿賀丈史演じるところの美食アカデミー主宰の呼び名”チェアマン・カガ”のアナグラムだ。マイラカグ・アチャンは、「わたしの記憶がたしかならば」という鹿賀主宰の決め台詞を発している。

 出典: ライク・E・スプアー「グランド・セントラル・アリーナ」訳者あとがき」(金子浩訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 【速報】「グランド・セントラル・アリーナ」の訳者あとがきが面白い。
 作者は自らのウェブサイトで、設定や裏話を公開しているそうですが、どうも力の入れ所を微妙に間違えているような気がしないこともない。
 BGM:「マイペース大王」manzo

駄弁者:
 名文句というには長すぎですが、貴重な海外SFネタなので。
 しかしこれだけ細かいと、元ネタからアイディアをとったのではなく、逆に後から書いた内容に合ったネタを掘り出してきたんじゃないかと思えます(笑)。



そりゃあ、合理的だからですよ。▽
非論理的かつ主観的な思考を
押し付けあう人間的思考が嫌で、
論理的な存在になりたいと願うのは▽
それほど不自然な欲求じゃないと
自分は思いますよー。▽

 出典: コナミ製作「パワプロクンポケット9」

紹介 :ギムレット 様
HP :

コメント:
 この台詞はパワポケ9裏サクセスでドクターテラーが機械の体になりたい理由の説明です。
 表のサクセスでは病気の為必要を迫られ9裏では効率的だからと自ら望んで。
 しかし表の最後を思うと彼女が自ら機械になりたいと思うのは悲しくなります。

駄弁者:
 体が機械でも、エスが人間のままだったらやっぱり非論理的かつ主観的になってしまうんじゃないかな…。
耳のとがった異星人に弟子入りできればよかったのですが。



「奴ヲ生カシテオケバ、オ前ノ身ニモ異変ガ起コルダロウ。恐ロシクナイノカ? 動物ト融合スルノガ」
「動物は好きだ……人よりわかり合える気がするから。言葉を介さないから目で見る! わかろうと努力するだろ? 向こうもそーゆー人間には心を許す。だからわかり合えた気がする。人は動物相手なら心を開くもんなんだよな。人同士は互いを見ようとしないからわかり合えない。本当はそれを寂しいと感じているのにな……。融合という現象が起きたのは、行き詰った人間自らの望みだからじゃないかな」
「人間ガ自ラ変貌スル事ヲ望ム? 理解不可能」
「そっ、理解し合えない群衆……。心の病は治せないからな、終わりが来ても不思議じゃないね。お前らだって辺境の外じゃもう殺しきれず撤退したんだろ。ここでも無駄な事してんじゃねーの?」
「ソレハ自分ノ論ズル事デハ……ナイ」
「つまり悪あがきする人間もいるって事か。お前はそっち側にいる。残念だよ……、わかり合えなくて」
「! 残……念カ……オ前、変ナ奴ダガ……面白イ人間ダナ。興味深イ……」

 出典: 佐野タカシ「うさぎちゃんでCue!!」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 動物と融合した登場人物が活躍するアクションコメディ漫画からの名文句です。
 高校生・稲葉美守は屋上での喧嘩の最中、落下した飼育小屋のウサギ・ミミカを助けようとして共に落下し行方不明になってしまいます。
 その後同じ飼育委員の少年・ハルの前に現れた美守は、ミミカと融合していたのでした。
 今回の名文句は、美守達動物と融合した人物を狩り出す組織の一員であるサイボーグと、以前彼に助けられた借りを返すべく彼を助けたハルの会話です。
 十分なコミュニケーションが不可能である事は、十分にできないからこそ互いに少しでも相互理解を深めようと努力しようとすると考えれば、決して悪い事ばかりではないのかもしれません。

駄弁者:
 動物好きなのに、SFで動物とコミュニケーションをするとなると、ついふてぶてしい犬皮肉屋のクジラを思い出してしまいます。



炎竜「構わずぶちかませ!!」
風龍「勇気と共に進め!」
氷竜「我らの心は一つ!」
雷龍「GGGバンザイ!!」
ボルフォッグ「勝利は、すぐそこです!!」

 出典: サンライズ制作「勇者王ガオガイガー」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 このサイトにも何件か投稿されている、ガオガイガーからのめい文句。今回はそのガオガイガーの最終回から一つ。
 ゾンダリアン、機界31原種、そしてZマスターとの戦いを終えたGGG、そしてガオガイガーの前に現れた最強最悪の敵・「機界新種」。
 それは物語開始の2年前、原種の尖兵であったEI-01・パスダーが主人公である獅子王凱の恋人、卯都木命に埋め込んだ機界生命体の種子が突然変異し、命の体を依代に誕生したゾンダーでも、原種でもないまさに「新種」の生命体でした。 常に命がGストーンの近くにいたためにGストーンへの耐性も得た新種は凱の目の前で命を乗っ取るとその能力「物質昇華」で勇者ロボとオービットベースを無力化、オービットベースの一部を「ゾヌーダロボ」として取り込み、巨大化して地球に降下します。
 「物質昇華」は、あらゆる物体を絶縁体に変え、エネルギーを放散させてしまう恐ろしい能力でした。GGGは唯一稼働可能なギャレオンと、無力化された勇者ロボの超AIと原動力であるGSライドを移植したガオーマシンをフュージョンさせ、パワーアップしたガオガイガーで最終決戦に挑みます。
 しかし、そのガオガイガーでさえゾヌーダロボには刃が立ちません。ブロウクンファントムは容易くバリアで弾き返され、あのゴルディオンハンマー、そしてヘル・アンド・ヘブンでさえ物質昇華の前には無力だったのです。
 ですが、ここで予想外の事態が起きます。天海護がガオガイガーをかばい、ゾヌーダロボが護を排除してしまったことで新種の核である命が覚醒、新種を拒否したことで新種の能力が低下、隙が生まれたのです。
その隙に、ガオガイガーは新種に決死の反撃をかけるのでした。
 投稿の台詞は、新種と殴り合いの肉弾戦になった際に攻撃で破壊されていく、ガオーマシンと一体化した勇者ロボたちの叫び。ボロボロになり、仲間を失いながらも新種を素手ゴロでぶちのめしていくガオガイガーはまさに鬼神のようで非常にかっこいいです。
 最近のロボットアニメはこういう熱さが足りなくて不満だったり。やっぱりロボは身を削り合ってぼろぼろになってなんぼでしょう。ラストシューティング、ライガットとジルグの決闘に、ダモクレス攻略戦…。
 今の時代だからこそ、こういうやり過ぎなくらい熱い作品が戻ってきてくれないかな。

駄弁者:
>やり過ぎなくらい熱い作品が戻ってきてくれないかな
 こういう作品傾向って、循環するんじゃないでしょうか。いまクールでスタイリッシュな作品が多い(?)んだったら、そのうち熱血への回帰がありますよ、多分。



「昭和が何年まであるんだよ?」
『さあ。現在受信できた最遠の未来通信によると、昭和二万年には、全人類の総重量が、銀河総質量の二分の一を突破したそうで。もう来年からは、人類は個体数でなくて量で計られるようになるそうで。単位は一銀河』

 出典: 新木伸「明るい家族砲計画っ!」

紹介 :首くくり 様
HP :

コメント:
 「昭和103年」から送られて来たタマゴの中身は、未来の自分の46番目の娘を自称。
 セリフは、親切にも附属していた人格登載対話型説明書の説明文より。
 昭和が長続きする話って幾つか読みましたが、破天荒なの多いですね。

駄弁者:
 「昭和百年」ならまだしも、二万年て。
 アシモフの科学エッセイに、人間が人口制限を行わなかったらどのぐらいの速さで宇宙が満杯になるか計算した話がありますが、それによると80年ごとに人口が倍加するとしたら、宇宙全ての恒星に10個ずつ惑星があってその全てが居住可能だったとしても紀元1万1千年には満杯(炭素を極限まで利用した状態)になってしまうそうです。(「豊かさにも限りあり」 『生命と非生命のあいだ』に収録)
 人口が量で計られるほどまで増えたという設定より、むしろ二万年もあったのに人口を銀河半分程度の量に抑えられたという設定の方が破天荒かも(笑)。



人は変われるのさ。誰でも。

 出典: 石ノ森章太郎原作・坂本浩一監督・長谷川圭一脚本「仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーアクセル」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 家族をドーパント(怪人)に殺され、その復讐の念に駆られて仮面ライダーとなって戦い、復讐以外の戦う目的を得て人々を守るヒーローとなったというある意味平成ライダーの中でもかなり昭和っぽい仮面ライダーである照井竜こと仮面ライダーアクセルのその後の戦いを描いたVシネマから。
 ある日、町中でスリを行っていた窃盗犯グループを警察官として逮捕しようとした照井は謎のドーパントが作りだした兵士達が窃盗犯達を殺害している現場に遭遇します。
(以下ネタバレ)
 この事件の犯人である相模刑事はかつて自分が逮捕した犯罪者に「お礼参り」として目の前で妻を殺害されたという過去を持っており、その復讐のためにコマンダー・ドーパントとなって風都の犯罪者達を「処刑」していました。 彼もまたかつての照井と同様に家族を「悪」によって奪われ、警察官としての力では倒しきれないその「悪」を倒すために超常的な力を得ていたのでした。
 コマンダー・ドーパントはある意味では、照井が家族を失った事への復讐の念にとらわれていたままだった場合の「こうなっていたかもしれない」という姿でもあったのです。
 実際、照井に自分と似たものを感じていた相模刑事は彼に自分と同じ「処刑人」となるよう提案します。しかし、結婚して新しい家族となった亜希子や風都に来て新しく手に入れた仲間達という復讐心に代わる心の支えを手に入れていた照井はこの誘いをはね除け、警察官として、そして風都を守る仮面ライダーとして相模刑事への裁きを法の手に委ねるためにコマンダーメモリを破壊して相模刑事を逮捕するのでした。

(ここまでネタバレ)
 人は変われるというのは決して良い意味ばかりではなく、自分の意志でガイアメモリを「買って」風都の平和を脅かすドーパントになってしまった人達のように悪い方向に変わってしまう事もありますがそれでも時には誰かを支えたり支えられたりしながら良い方向に変わっていこうとする事が大事なんだなと思いました。

駄弁者:
 セリフ自体は名文句と言うにはありふれたものだと思いますが、多くの状況で希望にも悲劇にもなりうる人間の性を端的に表したものではありますね(われながらコメントが苦しい…)。



「宇宙にいきたいのだろう、君は?」
「はい」

 出典: 佐藤大輔「遙かなる星3・我等の星 彼らの空」

紹介 :white_bear_66 様
HP :
https://twitter.com/#!/white_bear_66

コメント:
 初投稿です。「三巻王」佐藤大輔御大より。キューバ危機そして第三次世界大戦で米国が崩壊、西側盟主を押し付けられた日本国が、自国民生存「のみ」を念頭にした宇宙開発計画に傾倒する1990年代。
 その記念すべき三巻目では、御大には珍しく「妙齢の女性」が大活躍。
 米国のテロに襲われた海上プラットフォームで銃弾の中を彼女は進みます。
 「宇宙服」の予算で開発された「匍匐前進できる鎧」を着込んで。
 御大の作品は「日本国民頑張ろう」だと思います。一見他人を冷笑しているように見えますが、実は、不恰好に足掻いている男たち(女も初登場)への視線は思いっきり暖かい。そこで気がつくわけです、御大が冷笑している対象は「頑張れるのに頑張らない」多くの大衆なのです。

駄弁者:
 頑張らない他人を堂々と冷笑するのはけっこう勇気がいると思います。その冷笑がいつ自分に向けられるか分かりませんし…。
>「三巻王」
 私が読んでいたのは三巻の三倍出て、でもやっぱり止まってしまっている作品です。頑張れない事情があるのでしょうか。



ユキちゃん、人間ならどんな凶悪な奴でも法で裁く義務があるんだ
そうしなければただの獣になってしまう
君が人間なら稲垣と村井を元に戻す義務があるんだ
僕は信じる。君がその義務を果たしてくれることを

 出典: 東映制作「機動刑事ジバン 第4話『すてきなバラのプレゼント』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 薔薇を品種改良してケシを超える麻薬を生み出そうと研究していた篠原、楠田、稲垣、村井の4人。篠原は麻薬ではなく治療薬として平和利用することを主張したが、他の3人に殺害されてしまう。篠原の娘ユキは父の遺したノートをもとに薔薇の品種改良に成功、麻薬を使って稲垣と村井を病院送りにしてしまった。
 楠田も襲おうとしたユキだったが、楠田の正体はバイオロンのバラノイドであり、逆に襲われてしまう。インターシティ署の田村直人(ジバン)は彼女を救出し、稲垣と村井を救うには彼女の薔薇が必要なことを聞き出す。薔薇を渡すことを拒むユキに対して直人が言ったのが投稿の台詞。

駄弁者:
 …裁く法律が凶悪だった場合はどうするんでしょうか?



そのころの世界は、きっとすばらしいものになっているでしょう。

 出典: 小松左京「空中都市008 アオゾラ市のものがたり」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今月のテーマは「言葉に詰まる言葉」。で、まずは今は亡き小松左京氏が1968年に発表した子供向けSF作品の前書きから。この前書きは「これは二十一世紀のお話です。」という文から始まっており、「そのころ」とは、もちろん「二十一世紀という時代」をさしています。で、この文句のどこが「言葉に詰まる」かというと……、まあ、これをご覧の皆様、特にこのサイトの常連の皆様には、これ以上の贅言は不要でしょう。本当に、投稿の文句については苦笑する以外にない、というところです、私としては。まあ、201集のギブスンほど「ひどいところ」とは思いませんけどね。
 ちなみに、この作品は私が最初に読んだ小松氏の作品であり、この作品が発表された1968年に私は生まれました。ああ、二十世紀は遙かな過去となり、私はこんなにトシをとってしまったよおおおっ!

駄弁者:
 「すばらしいものになっている」とは、予想というより願いや希望だったのでは。そう考えると苦笑するよりちょっと後ろめたくなりません? …子どもの頃読んだ世代より年長の人らが負うものかも知れませんが。



マッハバロン 眠れ眠れ
お前の使命を 終わらせてあげたい
戦う機械で なくしてあげたい

 出典: 阿久悠作詞「眠れマッハバロン」  「スーパーロボットマッハバロン」エンディングテーマ

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ロボット工学の天才・ゲオルク・ララーシュタイン博士の世界征服の野望を知った弟子の嵐田陽一郎博士は師と袂を分かち脱出するが、日本への帰路ララーシュタインのロボットの襲撃を受け死亡、一人息子の陽だけが救助される。だが、陽のライフジャケットから事の真相を知った博士の父親・龍之介は国際科学救助隊KSSを設立、村野博士の協力でマッハバロンを建造。そして10年後、成人した陽はマッハバロンのパイロットとなり、本格的な侵攻を開始したララーシュタインのロボット帝国と戦うのだった。
 ……という、「スーパーロボットマッハバロン」のエンディングテーマです。ほんとは強烈なロケンロールなオープニングの方にしようかと思ったのですが、257集の山家様のご投稿でこちらを思い出したので。
 作詞は言わずと知れた大御所・阿久悠先生。ヒーローやヒロインを歌ったバラード的なアニソン・特ソンは数あれど、ロボット自体をその宿命から解放してあげたいと歌うものはこのくらいのような。しょっぱなから「お前が静かに 眠れる世の中が/平和で一番素晴らしいとき」とある意味存在位置を否定しかねない歌詞が来て、サビの部分がこれ。しかし、「報われる」というのは案外こういうことかもしれないなという気がするのです。

駄弁者:
 正義の味方が必要とされなくなるのが、正義の味方への最大の報酬だというのは257集のご投稿と重なりますね。
…人間だったらそれを不満に感じることもあるかもしれませんが、ロボットだったらそれ心配もない。機械に正義の体現者を負わせるのは、意外といい考えかも。



「この星へ来て、自分がそのはじまりを支えたことの結果をこの目で見たら、なにか大きな達成感が得られるだろうと思っていたんだ。でもいま、自分の子孫のためになにかひとつ願えるとしたら、それは、決して終わりを見ることがありませんように、決してなにかを達成することがありませんように、ということだな」

 出典: グレッグ・イーガン「伝播」(山岸真訳)  『プランク・ダイヴ』に収録

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 短編集の読了記念に。
 人類初の恒星間飛行に携わった2人の若き技術者。彼らは120年後、その探査の続きをとある方法で「体験」することになる。そこで技術者は、決して終わりを見ることがない取り組みを始めるのだった。
 ハードすぎてちゃんと理解できたか心許ない作品もあった短編集でしたが、ラストのこれは難解すぎることもなく、さりとて拍子抜けすることもなく話を締めてくれました。



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