SF名文句・迷文句第233集

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「これではまるで、メロドラマのラスト・シーンじゃないか!そんなのじゃない、違うんだ」

 出典: 筒井康隆「48億の妄想」  『世界SF全集30』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 全てが終わり、暢子と再会した折口が別れの後、自分がとった行動に気付き叫んだのがこの台詞。自分を取り巻く世界に疑問を持ちながら、そこから抜け出せない皮肉な状況をあらわしており、たまらない気持になりました。実のところ、これを投稿するのは迷ったんですよ。今を取り巻く世間の状況がよく似ているようで。もしかしたら我々も誰かに踊らされていないか?

駄弁者:
>我々も誰かに踊らされていないか?
 もっと恐いのは、このセリフのように真情とは違うようにを踊らされていることを自覚していながら、そのようにしか踊れなくなってしまっていることだと思います。それこそ「盲人」のようになってしまった「片眼」の人のように。



「ひとつだけヒントをあげよう。いいかい。盲人は片眼にはなれない。だけど片眼は、盲人の真似をすることはできるんだよ」

 出典: 筒井康隆「48億の妄想」  『世界SF全集30』に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 マスコミが世論を動かし強大な力を持った世界、全ての人々はTVから得た情報を無批判に受け入れ、TVに出ると過剰なまでの演技をするほど、政治家も大企業でさえ彼らには逆らえない。
 ある時、敏腕プロデューサーの折口は外務大臣の葬式の中で、大臣の娘、暢子がカメラの前ではなく人目のない場所でひっそりと泣いていることを知り、その「普通」でない行動から折口は自らを取り巻く世界に疑問を持っていく。しかし彼のジレンマとは別に、彼の所属する世界ではさらなる視聴率を稼ぐために、あるイベントを画策しようとしていたのだった。
 投稿した台詞は、学生服を買う金欲しさに、窃盗傷害を働いた少年に折口が言った台詞から。この少年は学校で合唱部に所属しているのですが、この合唱部がTVに出ることになり、学生服がない生徒は出演できない「空気」が作られてしまい、貧乏のために学生服が変えなかった少年はそのために強盗を働いたのでした。
 たしかに「盲人」は「片眼」にはなれません。しかし「盲人」の真似ばかりしていると、「片眼」もいつしか「盲人」になってしまうんじゃないでしょうか?

駄弁者:
 ご投稿の文句のあと、忠告を受け入れて「青春ドラマ」の空気を読んでそれに合わせて見せる少年の滑稽なこと、痛々しいこと。人間ってのは多かれ少なかれ与えられた役を演技しているものだとは思いますが、ここまでステロタイプだとなあ。忠告をした折口自身が吐き気を催したのも分かります。



「分かっている朝が来ますように」

 出典: 時雨沢恵一「キノの旅XIII 『生きている人達の話』」

紹介 :仁木 様
HP :

コメント:
 発言者は、主人公キノの師匠の若き日の相棒です。
 多くの人の命を奪ってきた彼が、ふと抱いた「自分はいつどこでどうやって死ぬのか」という疑問。それを締め括る一言です。  かつてキノが訪れ、彼女が発った直後に火砕流によって消えた国があります。そこにいたパースエイダースミスが年老いた相棒である、と説があり、それを肯定して読むと、妙に重たい言葉でした。
 明日死ぬかも知れないという状況を生きてきた相棒の最期は、いつどこでどうやって死ぬのか、すべて分かっていました。知っていてその国に留まり、キノに『森の人』というパースエイダー(銃器)を譲り、彼女を送り出した。
 分かっている朝を迎えられた彼は、満足していたのでしょうか。
(もちろん、パースエイダースミスが相棒であるという説はあくまで推測です)

駄弁者:
 自分がいつどのようにして死ぬのか、分かっている方が安心なんでしょうか。私なんかがそんなことを知ってしまったら、残りの余生はその死のことばかりを恐怖するだけで過ごしてしまいそうな気がします。
 「多くの人の命を奪ってきた」人間はまったく別の感じ方をするものなのかも知れませんが。



早い早い、自分ら早いわ
俺かてもう14年目やで
やっと一本立ちや
これ(ドクロの付いた杖)もろうて

 出典: 「世紀末戦隊ゴレンジャイ 第1話」 フジテレビ制作『ダウンタウンのごっつええ感じ』

紹介 :新伴仙司 様
HP :

コメント:
 『ごっつええ感じ』の1コーナー、『世紀末戦隊ゴレンジャイ』から。
 独身外見十人並み女性の部屋に突如出現した怪人ドクロ仮面、その野望の前に外見十人並み女性は貞操の危機を迎える。
  「待てい!」
 颯爽と現れた5人の戦士がドクロ仮面に立ち向かうが、その編成に若干の問題があった。
 まぁ要するに戦隊シリーズのお約束に関するパロディなんですが、そのこだわりには再現派のとんねるずとはひと味違った深い味わいが感じられると思うのは、きっと世界で小生だけなんだろうなあと思いまス。
 台詞は、ちびっ子を顧みないゴレンジャイの身勝手な主張(^^;)に対して放った、下積み生活14年のベテランドクロ仮面が語った言葉です。
 そうなのか。やはりそうなのか。
 毎週倒されてしまうあの怪人たちも、それぞれ10年20年の実績のある連中なんですかね。
 …やっぱ出世は怖い。

駄弁者:
 怪人はその時その時の作戦に応じて上の幹部によって作られるもので、組織の勤続(?)年数は戦闘員の方が長かったりするんじゃないでしょうか。中には戦闘員が抜擢(?)されて改造手術を受けたりするかも知れませんが。
>とんねるずとはひと味違った深い味わいが…
 知名度は残念ながら相手の方が上でしょうけど。とんねるずの方は「初めて見た仮面ライダーがあれ」という世代がいるからなあ。



「地球征服、失敗。人類は抜け目なく、危険だ。他の銀河を狙うように……降下部隊は全員死亡。偵察船を爆破せよ」

 出典: ルイス・ヴィッテス脚本・ジーン・フォウラーJr.監督「宇宙船の襲来」(飯嶋永昭訳)

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
『こんな侵略者はイヤだ!』第5回は、1958年制作のハリウッド侵略SF映画より。
 ヒロインのマージ(グロリア・タルボット)は新婚の奥さん。しかし、夫のビル(トム・トライオン)は独身の頃とはすっかり人格が変わってしまい、まるで別人。実は夫は宇宙人に拉致されており、マージが結婚したのは宇宙人の変身だった。しかも被害者はマージだけではなく、他にも多数いるらしい……。その宇宙人は生殖器の異常により子孫繁栄が難しくなったので地球の女性を狙った訳だが、妻もバカではないし、町のまともな男衆(宇宙人が来た時点で既に妻子持ちだった男たち、または老人。つまり宇宙人のターゲット外の人々)も手に手に銃を持って宇宙人狩りに乗り出す。そんなこんなで宇宙人どもの銀河横断婚活ツアーは失敗に終わり、ラスト、警察署長に化けていた宇宙人のリーダー(ジョン・エルドリッジ)が絶命寸前に上司へ送った無線報告が上記の台詞である。
 我々人類を「抜け目なく、危険だ」と言い切っているが、当たっているだけに腹が立つ。確かに、同じ地球に住んでいてお互いを信用出来なかったり、スパイを送り込んだりしている我々人類だが、おまえら侵略者に言われたかぁねーよ!てゆーか、そのおかげで少なくともメトロン星人みたいな奴からは狙われずに済むけどな。

駄弁者:
 ジャック・フィニイ原作で映画化された『盗まれた街』を連想しましたが、こっちの「侵略者」の方が間が抜けているというか、あわれをもよおすというか…。
>人類は抜け目なく、危険だ。
 「地球人は諦めが悪く、そして狡猾だぞ。」と自称するぐらいですから、筋金入りです。



「よくそんな仕打ちができるな。わたしは一人の人間だぞ!」
アンダースンは首を振った「法律によれば、世界にバースはひとりしか存在しえない。そしてあんたはバースじゃない。いまのあんたはただの数字だよ。ただの記号だ。」

 出典: オースン・スコット・カード「肥育園」(大森望訳)  『20世紀SF5・冬のマーケット』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 こちらにお邪魔するようになって4年くらいたったと思いますが、今更ながら入場券代わりにカードの作品から投稿いたします。
 太りすぎで日々の生活に支障を来すようになった大富豪バースが訪れたアンダースン・フィットネス・センター。そこでは違法にクローン体の育成と記憶の転送によっての若返り術を行っていた。新バースの誕生が成功した後、違法行為に旧バースが承諾したサインがなされると、旧バースに向かってアンダースンは客扱いしないことを言い渡す。そして抗議する旧バースに対するアンダースンのとどめの一言。
 確かに、クローンと記憶転送であればオリジナルを複数生み出すことができる。その場合、法律の保護を求めることの出来ない立場の人間が偽物扱いされるのは当然ですね(この世界ではクローンによる若返りは違法行為)。滅多にない論点だと思います。
 恥ずかしながら今まで「オーソン」・スコット・カードと思い込んでました。図書館で検索掛けても当たらないわけです。

駄弁者:
 カードからのご投稿、初めてでしたか。今後ともお願いします。このところ邦訳がずっと出ていないのが残念なところ。
>クローンと記憶転送であればオリジナルを複数生み出すことができる…
 そもそもバースのやっていることが、物語のような過酷なことにならなかったとしても、「若返り」ないし「ダイエット」と認識できるものなのかどうか、初めて読んだときから違和感を感じています。
>「オーソン」・スコット・カード
 私も最初、同じように間違って覚えていました。最初の邦訳でどう表記したかが分かれ目ですね。



わたしには家族も歴史もないの。まだ起きていないから。

 出典: ダイアナ・ガバルドン「時の旅人クレア2」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 ヒロインのクレアが、18世紀の夫のジェイミーに自分がタイムトラベラーであることを明かす際の一節です。
 どんな人にも本来なら拠り所となるべき家族があり、歴史があります。しかし、急に200年前にタイムトラベルしたら、それらをいきなり完全に失ってしまい、拠り所が無くなってしまいます。その心細さと絶望、孤独感といったら。
 更にこのアウトランダーシリーズでのタイムトラベルはちょっと特殊でそう簡単にできないものなのです。そして、この第1部ではクレアはタイムトラベルの方法を詳しく知らず、たまたまできただけなのです。それも考えると、クレアの心細さ、絶望、孤独感も分かるなと、そして、それを理解できなくても暖かく受け入れてくれたジェイミーとの仲が、フランクという20世紀の夫の存在にも関わらず、かけがえのないものとなったのが分かるなと思いました。

駄弁者:
 「まだ生まれていない」と言いそうなところをあえて「まだ起きていない」としていることには、なにか含みが?



それでも戦っていいんだぜ
村雨良 君は…人間のために戦ってもいいんだ

 出典: 村枝賢一「仮面ライダーSPIRITS 第3部『共闘』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 北海道で戦うスカイライダ−と合流、バダンの走狗として復活したネオショッカ−を壊滅させたZ]=村雨良。仮面ライダーとして戦うことを決意したものの心のどこかで抵抗を感じている彼にスカイライダー=筑波洋は、自分が仮面ライダ−として最初にした仕事──自分を救うためとはいえ改造人間にしてしまった事への呵責と罪悪感に押しつぶされそうになっていた志度博士をそれから開放したこと──を話します。
 その話を聞かされた村雨はただのやせ我慢だと呆れ、自分の呪われた宿命──自分の改造が成功するまで自分の姉を含めた何十万の人間が実験台として死んでいったこと、記憶を奪われていたとはいえ何万という人間を殺す指揮を執ってしまったこと、大首領こと「JUDO」に体をのっとられた時、さらに多くの人間の命を奪い続けること──を筑波にむかって叫びます。 それに対して静かに、だけど淀みなく力強く返したのが投稿の台詞。
 巨大な悪に人生と肉体を無茶苦茶にされた仮面ライダ−だからこそ言える大いなる赦しの言葉、村雨良が本当に仮面ライダ−として出発したのは間違いなくこの時でしょう。
「たとえ30歳40歳すぎても」
「自分が助かるために友達を見捨てたことがあっても」
「人生を呪うだけで何もしなかったとしても」
顔や名前も知らない誰かのために戦う資格は絶対にあるのです。

駄弁者:
 「戦ってもいいんだ」というか……。コメントにあるような境遇でも、復讐とか私怨でなく「人間のために」戦ってくれるのか?と聞きたくなります。



少年よある種の事がらは死ぬことより恐ろしい
おまえの「肉体」やわたしの「能力」がそれだ………
わたしもおまえも同じだ………「化物」だ!

 出典: 荒木飛呂彦「バオー 来訪者」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 わずか数日とはいえ苦楽を共にした少女スミレを秘密組織「ドレス」にさらわれた主人公橋沢育郎。彼女を救い出すため「ドレス」本拠地へ「恐怖の来訪者」として乗り込んだ育郎少年=「バオ−」の前に立ちはだかった最強の超能力者「ウォーケン」。強力なテレキネシスで物体の分子を振動させることによって、あらゆる物質を塵へと変えてしまうこの強敵に「バオ−」あらゆる「武装現象」を防御されたあげく、溶けた壁に左腕を固定されてしまいます。
 投稿の台詞をはいた「ウォーケン」は「バオー」を生きる苦しみから解き放つべく引導を渡そうとするのですが「バオ−」は自ら左腕を切断、反撃の末「ウォーケン」を沈黙(実は生きていたのですが「バオー」は死んだと誤認してしまいます)させ、スミレを求めてさらに死地へと歩みを進めるのです。
『死ぬわけにはいかない! 生き残らねばならない!』

駄弁者:
 このウォーケン、ご投稿のセリフのような荒々しくも理性的なところが魅力だったと思うんですが、ラストは理性の方が影をひそめてしまったようで、ちょっと残念でした。



行かないで

 出典: オースン・スコット・カード「消えた少年たち」(小尾芙佐訳)

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 クライマックスでのセリフ これ以上書いたらネタがばれるので…
 短編版でどうなるかは知っていたんだけど、泣いたよ。

駄弁者:
 同じ結末でも、そこに至るまでの積み重ねが段違いですからね。
 カードは一度書いた作品をリライトすることが多いようですが、その中でも一番気合いが入ったリライトじゃないかと思います。



そもそも変でないSFなどというものがあるものか。なぜならSFのSFらしさ、というのは、その変なところにこそあるのであって、いかにもSFらしいSF、とかSFっぽいSF、というそのこと自体がすでにSFらしくもSFっぽくもないのであって、そういうのこそ名ばかりのSFと言っていいだろう、いいや、言ってよくなくてもおれが言う。

 出典: 北野勇作「メイド・ロード・リロード」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 今話題の「年収150万円一家」にでてくる旦那様こと、叙情派SF作家として知られる北野勇作の新境地は私小説的ライトノベル。
 売れないSF作家湯浅がライトノベルへの転進を計ったら、いきなり担当編集が「ライトノベル書けるんですか」との問いかけ。湯浅の中では今まで書いてきたSFというものへの思いが渦巻く1シーンです。
 つまり、ウェルズだとかヴェルヌよりもニューウェーブがお好みなんでしょうね。しかし、いままでの北野作品でニューウェーブよりの物はあったでしょうか(私は北野読者ではないので何とも言えないのですが)。
 あと「年収〜」は本の帯の宣伝文句で、私はまだ現物を見たことがありません。

駄弁者:
 思わず頷いてしまいそうな勢いがありますが、むしろ逆にSFはフォーマットというか「SFらしさ」を意識しがち(意識しすぎ?)なところがあるような…。



「尋問官が来てどうなろうとも、わたしは後悔しないわ、クレア」
「国に捧げる命がひとつしかないのを悔やむだけ?」
…(中略)…
「うまいことを言うわね」

 出典: ダイアナ・ガバルドン「時の旅人クレア2」(加藤洋子訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 WWU直後から1743年にタイムトラベルしたヒロイン、クレアはジェイミーと結婚しました。それから新婚生活を送っているうちに、ゲイリス・ダンカンという女性と共に魔女として逮捕されます。実はゲイリスもタイムトラベラーで、ジャコバイトの乱を成功させてスコットランドを独立させるために20世紀から来たのですが、その活動がジェイミーの叔父コラムの目に止まり、クラン(氏族)を危うくするものとして、魔女として逮捕されました。更にクレアはそのとばっちりを受けたのです。いよいよ魔女裁判が始まる前に、クレアとゲイリスはお互いに話し合うのですが、その会話の中の一節です。
 確かに、祖国には自分の命を一つしか捧げられませんが。それにしても、ゲイリスのように死を前にして後悔しないという決断はなかなかできないな、と。私がゲイリスの立場に置かれたら、どうしてもいろいろと後悔してしまいそうです。

駄弁者:
 本部から五千個持ってきてくれるような命だったら、ひとつ捧げるのもやぶさかではないんですけど。
 ところでこのセリフ、何だか元ネタがありそうな気がしましたがどうなんでしょう。



「みてみて、今日ね、メディテック社の株で十万円儲かっちゃった。」
「ホントに買ってたのか?俺もすっかり忘れてたよ。」
「当然じゃない、財テクは主婦の嗜みよ。」

 出典: 士郎正宗原作・神山健治監督・Production I.G制作「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第14話『全自動資本主義¥c$』」

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、続けて「パトレイバー」と同じく、「近未来ポリスアクション」作品である、「攻殻機動隊」のテレビシリーズ版から。一仕事終えて帰宅した、公安警察官の夫と、その妻との会話です。ははは、なんというか、私がこのコメントを書いている今この時にも、こういう会話が、この国のどこかの家庭で、されていたりして。でも、1990年代初頭のバブル経済崩壊を目の当たりにした人間としては、「素人が株に手を出したりして大丈夫かしら。」と、ついつい思ってしまうんですよね。と同時に、「実際の生活においてカネというのは、いくら有っても足りないものなのだ。」ということが、さすがに、この年齢になると分かって来てしまうので、財テクを「主婦の嗜み」とまで言う、この妻の気持ちも、しみじみと、良くわかるのです。
 それにしても、儲かった十万円のお金は、さて、何に使われるんだろう。いや、その前に、「儲けたお金の使い道」を決めるのは、一体どっちなんだろう。そりゃ、やっぱり………。

駄弁者:
 儲けたことをダンナに知らせているなんて、正直な奥さんじゃないですか。いや実はその倍ぐらい儲かっているけど黙っておくというのも、主婦の嗜みか…?



レイバー安全運転講習会 月・水・金 12:00 14:00

 出典: ヘッドギア原作・伊藤和典構成・サンライズ制作「機動警察パトレイバー 第22話『花とレイバー』」(TVシリーズ)

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマも、「SFの中の暮らし」。ほんとに、探せばあるもんです。
 で、前回に引き続いて、「リアルロボットアニメ」の代表作品、「機動警察パトレイバー」から。「春の交通安全週間実施中」と書かれた幕が垂れ下がってる(おそらく)警察の建物のガラスに貼られた、手書きポスター(?)の文句から。うーむ、まあ、「街中を巨大ロボットが闊歩」(第105集より)するのが当たり前の時代になれば、こういう講習会を警察が開催しても、おかしくないっちゃないんですが。漫画版の方では、自動車教習所ならぬ「レイバー教習所」なるものまで出て来るし。(第67集の「後方確認忘れた」も、この作品だし。)
 しかしなー、この作品は「近未来(当時は!)ポリスアクション」でもあるんですよねぇ。なのに、なんでまた、こうも日常的といおうか、「生活感漂う」文句が、ひょこひょこ作品中に出てくるんだろう。それとも、私の方が、ガーンズバックの「27世紀の発明王」(あえて子供向けにリライトされた方の題名をあげました。)の読み過ぎなんだろうか。以前に、私自身が「そういった偏見」を非難したというのに。
 ひるがえって、私自身、今パソコン教室に通っています。私が子供だった頃、「一家に一台(以上)のコンピュータがある」などという「現実」は、それこそ、SFの中だけに存在する「夢物語」でしかなかったはずです。それが、今や……。
 うーん、もしかして、「近未来SF作品」の中に、こういう文句を入れるセンスを持つ、この作品の制作者の方こそ、「サイエンス」イコール「テクノロジー」と考えている人達よりも「SFマインド」にあふれているのかもしれませんね。

駄弁者:
 やっぱり講習会では読みもしないカラー版冊子を配布してくれるんですかね(で、それをネタにどこぞの外郭団体がつるし上げられたり)。



「こんなこともあろうかと」

 出典: 細田聡史・國中均「イオンエンジンによる小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用」  『プラズマ・核融合学会誌』第86巻5号に収録

紹介 :power_of_math 様
HP :

コメント:
 はやぶさはSFではなく現実です。また、出典もSFではなくまともな学術論文です。しかし、p5,左段26行目をごらんください。しっかり書かれています。

駄弁者:
 出典はこちら
 せっかくなので、前回更新に続いて順番飛ばしで掲載させていただきます。第47集で登場している名文句ではありますが、ここは別物としておくべきでしょう。
 応援動画だけにとどまらず、当事者ご自身も…。やっぱり技術者たるもの一度は使ってみたい言葉なんですかね(笑)。



「どうして死にたいとも思わないのに。涙が出るのですか――――?」

 出典: 川上稔「閉鎖都市 巴里 上巻」

紹介 :くえん 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させて頂きます。同作があったけど、個人的に最高に響いたこの台詞が無かったので。
 人に進化する自動人形のロゼッタが流した涙は、悲しみとは違う言葉にならない強い感情によるものでした。「どうありたいか」という問いの前に立ち始めた彼女の進化の一端です。
 しかしこの作者、侍女(メイドに非ず)型人形を素敵に書くのが妙に上手い。

駄弁者:
 この作者が書く自動人形のめい文句というと、どうもこっちを連想してしまいますが…。
 自動人形が「人に進化」というところにちょっと引っかかるものをりを感じましたが、「あらゆるものが文字情報によってのみ存在する」という設定ならそういうのもありなのかな。



「違う!ヒビノさんは……ウルトラマンは、地球人の武器なんかじゃない。ただ目の前に危険にさらされた命があるのを、黙って見ていられないだけなんだ」
あぁ、そうだ自ら口に出して、初めてカナタは気づいた。きっとウルトラマンは、そういう存在なんだ。

 出典: 朱川湊人「ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 35年前の事件の聞き込み捜査をするミライと研修隊員カナタの前に姿を見せ逃走するメイツ星人ビオさらに子供に近づく素振りを見せカナタは思わず発砲します、しかしそれは地球人に攻撃させ自衛権を行使するためのビオの罠だったのです。
 宇宙船に街を攻撃をさせ地球人への恨みを吐き、殺されたメイツ星人はビオの父だったと言い放ちます、実はカナタの父も宇宙に出て異星人からの攻撃を受け死亡しており、ビオに自分を重ね説得をしますが聞き入れられず宇宙船からの攻撃に受けそうになりついにミライはメビウスに変身します。
「やはりきさまは地球人の武器だ」と叫ぶビオにカナタは投稿のセリフを返します。
 事件発生時のカナタはウルトラマンが地球人の武器かどうかは何とも言えないが一方的に弱いものに味方する存在はアンフェアなのかもしれないと考えますがここでウルトラマンがどういうものか一応の答えを出します(これは本書の最後まで続くテーマです)

駄弁者:
 そういう存在なのだとしたら、いつか地球人が宇宙に出て(悪意をもってかどうかはともかく)他の星の命を危機にさらすようなことがあれば、ウルトラマンは「怪獣」として私たちを倒すことになるのかも知れません。



「私たちから見れば、ウルトラマンはあなたたち地球人の武器なんです」
「そんなことありません……メビウスは、私たちの仲間です」
「仲間?あぁ、そう言えば、いいんですね。その怪獣……ゾアムルチも私の仲間ですよ」

 出典: 朱川湊人「ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 本作は作者が担当した「メビウス」本編の脚本に新キャラクターハルザキカナタを加え再構成したものです、投稿のセリフのエピソードはあの「怪獣使いと少年」の続編として作られた「怪獣使いの遺産」のものです。
 35年前に殺されたメイツ星人の賠償を前提に友好使節としてやって来たメイツ星人ビオしかし話し合いに来たにもかかわらずその宇宙船には怪獣を積んでいることを指摘したクルーGUYSアマガイ隊員に対しビオは何故か地球人を守るウルトラマンへの自衛手段だと答えます。
 ビオはこの件をメイツ星と地球の問題としウルトラマンメビウスに不干渉を求めます。
 ここで従来のシリーズなら地球の防衛チームにはウルトラマンの意思などわかる筈もないので地球人の武器と指摘されても「天命」の如く扱い気楽に否定できたかもしれませんが本作品ではメビウス=ヒビノミライ隊員と彼の人柄と共に仲間内では知っているので地球人に肩入れしていることを否定しきれないのです。
 ウルトラマンが守る地球人に果たして正義はあるのか?というテーマはセブン以外ではなかなか無いと思いますがそういった意味でも珍しいエピソードだと思いました。

駄弁者:
>仲間?あぁ、そう言えば、いいんですね
 うわぁ…一理あるような気はするけど、こういう言われ方はしたくないなあ。
 ゴジリスト中小路さんが「こんな侵略者はイヤだ!」をやってますが、イヤミを言ってくる侵略者というのも随分だと思います。



「あんたはここを、何の価値もない、乾燥したただの岩の塊だと思っているだろう。その点は俺も同じ思いだ。しかし当時の人間にとって、ここははるか遠くにある未踏の地だったんだよ。ここへ来ること自体が、恐ろしいほどの知恵と金と努力を要する、冒険だった。彼らの機械は、ここにほんの数十分だけ触れた。それが…(中略)…『ミッション成功』だった。想像できるか?天体に触れただけで、大のおとなたちが躍り上がって喜んだんだぞ。」

 出典: 小川一水「Slowlife in Starship」  『フリーランチの時代』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 はやぶさの帰還を祝して。
 今から百五十年ほどの未来、太陽系に人類の住み家が広がった時代。小惑星帯に住む何でも屋、カール・ルンドマルカ・十軒原は、ビーコン修理の依頼を受けて、小惑星25143へ向かう。ところが彼を迎えたのは、所属不明の宇宙船からのレーザー攻撃。軸線上に燃料タンクを放出して爆発させて、相手の攻撃を封じたカールは、相手から彼を攻撃した理由を聞かされる。それは過去の宇宙船の痕跡を回収するためだった。
 過去の宇宙船とは「はやぶさ」、そしてこの小惑星は「イトカワ」なんです。
 たまたま持ち出した本にこんな作品が収録されていて、星の導きを感じています。

駄弁者:
 こちらは順番飛ばしの掲載です。
 そういえばこの作品があったなあ…と思い出して読み返しました。150年後の宇宙にでユルく生きる主人公の「スローライフ」に、共感3分の1・羨望3分の1・違和感3分の1です。
 イトカワを間近にした主人公は、「それほどまでに彼らが望んだ場所で、僕は耳がかゆいから耳掻きしようなどと思っている」と申し訳なく思ってくれているようですが、まあその程度の(作中の言葉で言えば「瀬戸内海の小島みたいな」)場所になるんだったら、それはそれで喜ばしいことではないかと。



「父の遺体は1年7か月23日後、あなたの計算通りISSの横500mの軌道を通過するわ。」
「次は…見捨てたりしない。必ず回収するつもりよ。」

 出典: 太田垣康男「MOONLIGHT MILE 3 MISSON 23;GOLDEN AUTUMN OF RUSSIA」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 そろそろ「はやぶさ」が帰ってくる頃なので。
 こっちのセリフにしようかと思いましたが、それではあんまりなので希望のもてるこっちにしました。
 「助けろ」「無理だ」と色々盛り上がっていたようですが、相対速度がハンパないそうで、現時点での回収は出来ないそうなんですが、一年以上掛けて減速できる軌道に投入すればなんとかなるんじゃなかろうか?と。
 大気圏突入より(焼けていないという意味で)生身で回収した方が得られるものが多いような気がするんですけどどうでしょうか?

駄弁者:
 何とか間に合いました(まあ、間に合わなくても順番飛ばしで載せてたでしょうが)。
 それにしても本当に、帰ってきましたねえ…。できることなら回収したいというのは、プロジェクトチーム自身が最も強く思っているんじゃないでしょうか。けど、これ以上時間をかけて減速させようとして、さらなるトラブルでイトカワのサンプルが回収できなくなってしまうというのも問題でしょうし(ここまでたどり着いただけでも十二分に偉業だというのは、まったくその通りなんですが)。



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