SF名文句・迷文句第127集

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「なーなーなんで」アレックスはどもった。「この人がグレグスンだと思うんだ?」
「ワトスンくん、この人は警察官で、しかもレストレイドはぼくと古いつきあいだ。そうなれば、ほかに誰がいる?グレグスンさん、きくところではめざましい功績をたてておられるそうですね。今後も、ぼくの方法を、応用なされば、成功まちがいなしです」

 出典: ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン「バスカヴィル家の宇宙犬」(伊藤典夫訳)  「地球人のお荷物」に収録

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 戌年ということなので犬が関係する作品から投稿します。
 惑星トーカの大使、アレグザンダー・ジョーンズの元に星間捜査員のホイットコム・ジェフリイが現れる。彼は、麻薬密輸を行っていたプパスジ人を追跡して惑星トーカに来たのでした。調査の結果、(惑星トーカの)イングランド、デヴォンシャーに不信な宇宙船が着陸したことがあることが分かり、調査に行った二人ですが、そこは、ヴィクトリア朝のイギリスそのままの世界であり、当然そこにはシャーロック・ホームズがいるのでありました。投稿した台詞は、ホームズが捜査員のジェフリイを刑事のグレグスン(原作では、緋色の研究に出てきます)に"してしまった"ときの台詞で、一見筋が通っているようで通っていないところがいい味を出しています。
 ちなみに、このホーカ的ロジックは最後の方にも出てきますが、一見つじつまがあわないようできちんと合っているのがなんとも…

駄弁者:
 「この犬も勘定に入れません?」でも挙げてらっしゃいましたね(こっちのご投稿の方が先ですが)。
 プパスジ教徒は足が4本、手が2本で犬頭の異星人ということですが……ホーカ・ロジックなら、ジェフリイをグレグスンにしてしまったのと同じように、別に犬似でなくてもその立場にたったものを「バスカヴィルの犬」にしてしまいそうです。
 ご投稿のシーンの少し前、ジョーンズらがホーカの「スコットランド・ヤード」を訪れたところ、レストレイド警部の部屋のドアに「へっぽこ警部」と大書してあった、というのに爆笑。いや、彼は確かにそういう役割なんだけど。



へっ…
ハズレだマヌケ
そいつは十分すぎるほど戦った
「仮面ライダー」を名乗る事もねえ
岬ユリ子はもう ただの女だ

 出典: 村枝賢一「仮面ライダーSPRITS」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 かつてデルザー軍団の改造魔人ドクターケイトと刺し違えて命を落とした相棒の電波人間タックル・岬ユリ子の墓に参っていた仮面ライダーストロンガー・城茂の前に、新たな敵組織バダンが刺客として送り込んだ13人の改造兵士たちが現われます。
 改造兵士のリーダー(後に仮面ライダーZXとなる)に「その者もお前と同じ仮面ライダーなのか?」と問われてのストロンガーの答えです。
 タックルが仮面ライダーにカウントされないことへの村枝先生なりの回答ですね。

駄弁者:
 タックルが「仮面ライダー」8号でない理由。うまくドラマに仕立てているな…と感心。
 ライダーマン(名誉4号)のときもそうでしたが、「仮面ライダー」とは、死後に追贈される称号という側面もあるんですね。



そんなこと俺が知るか!

 出典: 石森プロ製作「仮面ライダーストロンガー 第7話『ライダー大逆転!!』」

紹介 :かんきち 様
HP :

コメント:
 ブラックサタンの基地に侵入した仮面ライダーストロンガー・城茂は奇械人ワニーダにスリープガスを嗅がされて眠らされ、基地ごと爆破されてしまいます。
 勝ち誇るワニーダの前に死んだはずのストロンガーが無傷で現れます。「なぜガスが効かなかったんだ?」と狼狽するワニーダにストロンガーが言い放った一言です。

駄弁者:
こじつけの理由付けすら放棄しているのを、いっそ潔いと言うべきなのか…。
きっと基地のコンピュータか何かと結んだガス管を破壊したんでしょう。



ウラガン、あの壷をキシリア様に届けてくれよ。あれは良い物だ!

 出典: 冨野由悠希・サンライズ制作「機動戦士ガンダム」

紹介 :Assenble EX-10 様
HP :

コメント:
ガンダムの名(迷)文句にこれが無かったので。
これはいるでしょう?
台詞については正確ではないかもですが、
最もインパクトの在る物の一つだと思います。

駄弁者:
 セリフについては、テレビ版で確認してちょっと修正。
 キザで貴族趣味のキャラが表れたセリフなんでしょうが、改めて見なおしてみると、観戦しているララァの独り言に紛れて、インパクトが薄れている感じもします。



グッド・イーティング(いい食事を)

 出典: ロバート・A・ハインライン「宇宙の孤児」(矢野徹訳)

紹介 :営々 様
HP :

コメント:
「長寿と繁栄を」の他にも有名な挨拶の言葉があったような…と言うことで、第8集でも紹介されているこの作品から。 <船>における挨拶のことばです。
ジョーダン財団の後援により建造された世代交代宇宙船は、船員ハフの反乱の際に航宙士官が全て死亡。更に作物を植える暇が無くて餓死者が大量発生してます(もはや<船>内では神話の出来事にしか過ぎませんが)。その混乱を今に伝える貴重なひと言。
 この作品、こういう言葉のガジェットが上手いです。「ジョーダンにかけて」が「神かけて」のかわりに使われていたり、「ハフの名において」が「こん畜生」の意味だったり…
 このへん、「天の筏」にも通ずるところがある?

駄弁者:
 このあいだ読んだ本にあったのですが、中華人民共和国成立前の中国では、人と会ったときの最初のあいさつは「ニーハオ」ではなく「吃飯了没有(チーファンラメイヨウ)」=「飯食ったか?」だったそうです。日々の食事に事欠くことが多かった生活から発したあいさつ言葉だった、ということは、ご投稿の文句と相通じるものがありますね。
 ということは、「グッド・モーニング」は、無事に夜を切り抜けて朝を迎えられることが幸いだった頃に生まれたあいさつ、ということになるのでしょうか。
>「〜にかけて」「名において」
 たしか「キャプテン・フューチャー」でもこういう表現多かったですね。あと、アシモフのファウンデーションでも「Oh My God!」の代わりが「Seldon!」だったり。



止まっている糸のスピード測ってどないしますねんな

 出典: 堀晃「マッド・サイエンス入門」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 架空のマッド・エンジニアの台詞を投稿したので、今度は現実のマッド・エンジニアの台詞を投稿します。
 投稿した台詞が収録されている本は、過去SFなどで多く描かれてきた、マッド・サイエンティストたちが研究していたテーマが現実世界での科学者達の研究テーマになっていること、そこから当時最新の研究成果をバカ話を交えたエッセイとしてSFと科学をテーマとした素晴らしい作品です。
 ある時、堀先生は紡績機で使われている糸のスピードを測る機械を作りました(堀先生は某繊維会社に勤める技師でもあります)。これは役に立つだろうと早速工場に持ち込みました。
 ところが時代は石油ショック真っ盛り。石油を原料とする化学繊維を扱っている工場で当然動いている機械などなく、「マッド・エンジニアを見る目つき(堀先生談)」とともに工場長に言われたのがこの台詞。
 こんなところにまで、石油ショックの犠牲者が居たとは思わなんだなぁ(笑)

駄弁者:
 工場長の関西弁が、その場の雰囲気を彷彿とさせるなあ…。
 目先の情勢よりもずっと広い視野に立って…!と、理由をつけることはできますが、結局それがやれるから、やりたいから、というのが一番の動機なんだろな。



おれもこの歳になってこんなごつい機械をいじれると思うと…
うれしくってなあ…
う…
うふふふふふふふふふふふふふふふ

 出典: ゆうきまさみ「機動警察パトレイバーProlog」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 篠原重工の工場で、特車二課整備班長の「おやっさん」こと榊さんと主人公の泉野明が新型レイバー98式を見た時に榊さんが思わずもらした台詞、というか含み笑い(^ー^)。
 いや、気持ちは分かるけれど、その笑い方はちょっと…。横に居る野明も「マッド・エンジニア」とかいって引いてるし。それにしてもシリアスなラストを迎えた作品でしたが最初の頃はこんな結構ギャグも入った話だったんですね。

駄弁者:
 職場の書庫のSFマガジンや「世界SF全集」を眺めて悦に入ってしまう私に、この人を気味悪がる資格はございませんです。



「ダーイジョーブデスカァ?ケガハ、アーリマセンカァ?」

 出典: NEC製作「コロニーオデッセイ」(NEC PCー6601用ゲーム)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 発掘シリーズ。(しかも2FDD仕様)
 その昔、NECから「PCー6601」というコンピュータが発売されていました。このコンピュータ、音階つき音声合成が可能でした。
 で、この機械に付属していたゲームが「コロニーオデッセイ」です。Win機における「ソリティア」や「マインスイーパー」みたいなものです。
 で、当然出てくるキャラクターがしゃべります。コンピュータの声で。サンプリングじゃありませんよ。声優さんなんかいません。
 その中で一番印象的だったのがこのセリフです。(宇宙船が墜落した時のセリフです。)なんとなくバカにされているような口調です。当時仲間内で流行りました。
 ゲーム自体も結構面白かったです。手作り感満載で、作家とサシで勝負してるカンジで。
あ、ちなみに「監修・小松左京」です。

駄弁者:
 私の友人はPC−6001mk2を持ってましたが、あれにも同じような音声機能がついてました。…何を言っているのかを推測しないとならないレベルのものでしたが、当時は「おお!」と思ったものです(隔世の感があるなあ)。



「バカバカしい 地球に異星人が来るなんてムリだっつーの 物理的に」
「あたし昨日会ったわよ 駅前でソバ食ってたよ」
「アホいえ!! どうやって地球まで来たんだ? 光の速さで何十万年かけてか」
「そいつらカズマ星人っていうの 船の推進力は根性だって」

 出典: 冨樫義博「幽遊白書」

紹介 :晴眼のランボオ 様
HP :

コメント:
 はじめましてのかわりに幽遊白書から一つ。メインキャラ桑原和真とその姉静流のやりとり。
 異星人の割りにやたら庶民臭い事してるなぁ… と思ったら単に弟をからかってるだけだった、と。
 推進力が根性… まぁ、ファミコン以下の性能しかないコンピュータで月まで行ったアポロも、推進力は根性(あと運?)だったのかも…

駄弁者:
 あいさつがわりにしては、出典が暴投スレスレの変化球な気がしますが…。まあ確かに同作者の「レベルE」は入ってますし(しかも人気あるし)。
 妖怪や霊界探偵を知人に持つわりに言ってることがまともな桑原。中途半端な常識人は、この手の作品では一番割を食う運命にあるようです。



「でも、あの娘の心はわかるまい」

 出典: ウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」(黒丸尚訳)

紹介 :ながぴい 様
HP :

コメント:
 わしの中では、これは機械に言われたくない台詞ナンバーワンですね。
 女にフラれて家に帰ってきてコンピュータにこんなこと言われた日にゃ、CPU引っこ抜いて、どぶ川に投げ込んでやりますよ。
 ケイスのクラッキングを阻止するため、ニューロマンサーはケイスの元カノ、リンダ・リーの複製を仮想現実空間内に作り上げ、ケイスが来るのを待ち受けていました。
 しかし、ケイスは仮想リンダのもとを去り、<広(クアン)>プログラムはテスィエ=アシュプールAIの中核を破ります。その瞬間、AI内のありとあらゆる情報がケイスの頭の中に流れ込んできますが、その時、ニューロマンサーが囁いた言葉。

駄弁者:
 これで、このコンピュータが自分には心がわかると勘違いしているならまだしも、「ぼくにも心はわからない」ときっちり悟ってるしなあ。まったく、かわいげのない。
 ご投稿の文句は、物語ラスト近くより。「ニューロマンサー」の名文句は、他にもこれとかこれとかありますが、どちらも同じあたりのものですね。書き出しのも入ってますが。



過去も未来も星座も越えるから
抱きとめて

 出典: 松任谷由実作詞作曲・原田知世歌「時をかける少女」

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 そしてその1983年版の映画の主演である原田知世さんが歌っている主題歌の一部です。僕はSFに興味がなかった頃から、この歌が大好きです。素敵な歌声や曲に加えて、この歌詞がまたグッとくるんですよ。
 映画では確かに、時の亡者になりかけた和子を深町一夫が抱きかかえるシーンがあります。しかし、別れのシーンでは、原作でも映画でも深町が和子を抱きしめることはありませんでした……。それを知ったから、尚のことこの歌詞にしんみりきます。

駄弁者:
 当時とくにこの映画に興味をもってなかった私でも、CMでかかっていたこのサビの部分はちゃんと覚えていたぐらい、印象の強い歌でした。



ひとが、現実よりも、
理想の愛を知ったとき、
それは、ひとにとって、
幸福なのだろうか?
不幸なのだろうか?

 出典: 筒井康隆原作・大林宣彦監督「時をかける少女」(映画・1983年)

紹介 :んどらもえ 様
HP :

コメント:
 放課後の理科実験室で、試験管から流れ出た液体が白い湯気のようなものを立てていた。甘く懐かしいラベンダーの香り。それをかいだ芳山和子は床に倒れ伏してしまう。それ以来、和子には不思議な能力が身に付いていた――テレポーテーションとタイム・リープ!
 原作は筒井康隆さんの同名小説です。原作もなかなか素晴らしい作品なのですが、やはり『時かけ』と言えば、6回映像化(2005年現在)された中でも一際目立ってこれでしょう(たぶん……)。
 投稿した名文句は、映画の冒頭に出てきます。ただでさえズキンとくるのですが、映画を観終わった後でもう1度この言葉を見たら……泣けます!

駄弁者:
 主人公が幸福か不幸かはともかく……「理想」にとって変わられた「現実」のほうにいる男の人の立場は、どうなんだろうなあ。



マシンはぼくだ。ぼくがマシンだ。

 出典: 保富康午作詞・すぎやまこういち作編曲・水木一郎歌「マシンハヤブサ」

紹介 :豪大帝 様
HP :

コメント:
初めまして。初投稿になりますがよろしくお願いします。
 レース界征服をもくろむ悪党と戦う、望月三起也原作のアニメ「マシンハヤブサ」の主題歌から。打ち切り直後にスーパーカーブームが巻き起こってヒットを逃してしまったというアニメですが、意外と知っている人は多いようです。文字だけだとピンとこないのですが、スピード感あふれるメロディーと相まって「人機一体」を感じさせてくれる名文句だと思います。

駄弁者:
 私の場合、少し後に放映されていた「グランプリの鷹」とイメージがごっちゃになってました。
 SFに入るかなあと思いましたが、エンジンとタイヤを換えるだけであらゆる状況に対応できるスーパーマシンというのはなかなか…。



いつでも来なよ《ならなかった自分》に会いに。

 出典: 山之口洋「0番目の男」

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 クローン技術が発達した近未来、深刻な環境破壊などの危機を打開するため、優秀な人材を大量生産する計画に参加した環境工学技術者のマカロフ。彼は、大量のクローンを生産することにより、ありえたかもしれないもう一つの人生を見ようとしていたのでした。70年の人工冬眠から目覚めたマカロフは、自身の想像とはかけ離れたさまざまな自分達の姿だった。
 アイデア的には藤子F不二雄の「パラレル同好会」に似ていますがクローン技術ならではのストーリー展開があって普通に楽しめる作品です。ただ読んでいると、クローン達の方が、当のマカロフ本人よりもはるかに大人に思えるのですが。

駄弁者:
 タイムマシンとか平行世界で「違う道を歩んだ自分」を垣間見るというのは、わりとあると思うのですが…クローンで同じことをやると、何というか生々しいものを感じます。



……ぼくは、音楽になりたい

 出典: 山之口洋「オルガニスト」(文庫版)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 ニュルンベルクの音楽大学で教鞭をとる、テオドール・ヴェルナーの元に届けられた一枚のCD、それは南米に住むという無名のオルガン奏者の演奏を収録したもので、その卓越した演奏はかつて将来を嘱望されながら、ヴェルナーのおこした事故によって右手の自由を奪われた友人であり天才的オルガニストであった、ヨーゼフ・エルンストを彷彿させるものであった。
 投稿した台詞は、かつてヨーゼフが友人たちと将来のことを語った時の台詞で、この前に「いや、変わらなくちゃいけないんだ。ぼくらはこのままでは何者でもない。何かの材料にすぎない。何か別のものになるためにここにいるんだ」という言葉があり、結果的に彼はこの言葉どおりの存在になります。
 初めてこの台詞を読んだときは、ここまでやるものなのかと思ったのですが、いやそれは凡人の考え方で、もう少しで手が届くような天才だからこそ、つきつめたところまでいってしまったのではないか、とも思えるのですが。

駄弁者:
「ぼくらはこのままでは何者でもない。…」もなかなかの名文句。
>もう少しで手が届くような天才だからこそ…
 私のような凡人は、つきつめずに何かになったような気になるのが関の山?



のび太君 宿題はおわったのかい!?

 出典: 不明「ドラえもん 最終話」

紹介 :タクアン 様
HP :

コメント:
同人誌「ドラえもん 最終回」からの台詞です。
http://csx.jp/~vaiosqare/doraemon/01.html
 昔からドラえもんの最終回に関しては「動かなくなったドラえもんをのび太が修理する話」が本命だとされてきましたが、この同人誌はそれを実際に形にした物です。
 もちろん、この台詞は無事復活したドラえもんの台詞。修理に当っての最大の懸念である「ドラえもんの記憶」も無事に復元できた事を示しています。
 同人誌ですが、これは別格だと感じたので投稿させて頂きました。
 今までいくつも出ている、いやこれからも出続けるであろう「ドラえもん最終回 構想」ですが、この終わり方が一番良いように思います。

駄弁者:
 著作権とかまずいよな、と思いつつ…FLASH版より、マンガ版のほうがおすすめ。話の筋は想像のつかないものではないのですが、見せ方が上手いです。あと、出来杉総理の役どころがシブい。
 ドラえもんのこの言葉そのものが、のび太が長い長い宿題をやり終えたあかしなのでした。



「ああ、スティーヴィ、あたしたちが行くときはそっちで待っていてね」

 出典: オースン・スコット・カード「消えた少年たち」(小尾芙佐訳)

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 スコットの作品ではエンダー派の私なので、文庫カバーのふざけた暗いタッチと、解説が斉藤由貴モルモン教がらみという事でなかなか読む気になれず半年位机に積んでいましたが、やっと気が向いて読んで後悔しました…こんな素晴らしい作品を手元に置きながら読んでなかったのかと。前半は読みやすいけどこれはSFではない、カードの私小説S・キング風ぐらいでしたが最後は…何十年ぶりに読みながら泣いてしまいました。こんなに素晴らしい本なのにどうして日本ではあまり知られてないのだろうとふと考えてみると、解説にあるようにタブー視さていれる事が結構あからさまに毒として描かれているので、紹介しにくいという面があるのだろうと、ただ最近の小学生の誘拐事件が多発する中でもっと多くの人に読んでもらい議論してもいい問題に既に日本でもなっているのではないかと思います。

駄弁者:
 敬虔なモルモン教徒、ステップたちフレッチャー一家はストゥベンに越してきた。彼の長男スティーヴィは新しい学校にとけこめず、孤独な毎日をおくる。そんな彼にもやがて友人ができたようだ。しかしステップたちにはその友人の姿が見えない…。(カード駄弁より)
 ご投稿の文句はラストのワンシーンより。詳しい状況説明は、するとネタが割れるので読んでのお楽しみということで。
 この作品はハヤカワ文庫SFじゃなくて、NVで出す方があっていると思うんですが…。しかし短編版は「この不思議な地球で−世紀末SF傑作選−」収録だし(初出は「新潮」ですが)、カードの名前を見て買う人はまずまちがいなくSF読みだろうし。
 短編版は、アメリカでその手の問題が深刻化してきたときに発表されたもので、かなり激しい批判を浴びることになった問題作でもあります。長編版は力の入れどころが多少違っているかなと思いますが、やはり読み応えがあります。



気がついているかね? きみの夢見ることがらは、もう一体のキーツ人格に経験できる範囲を超えていることに?

 出典: ダン・シモンズ「ハイペリオンの没落」(酒井昭伸訳)

紹介 :汗(はん) 様
HP :
http//www13.isweb13.infoseek.co.jp

コメント:
 28世紀。人類による銀河連邦〈ヘゲモニー〉、進化したAI群〈テクノコア〉、異形の宇宙種族〈アウスター〉の三者の均衡が破られようとしていた。前編『ハイペリオン』で消息を絶った〈時間の墓標〉への巡礼七人のその後を、ジョセフ・セヴァーンは把握していた。彼は大昔の詩人ジョン・キーツを元に〈コア〉が作った複製人間〈サイブリッド〉であり、もう一人のキーツの複製であるジョニイの記憶を保持する巡礼ブローン・レイミアを通じて、巡礼たちの動向を観察していた。彼を肖像画家として招いた連邦のCEO、マイナ・グラッドストーンは以後彼からその情報を得る。
 引用の台詞は物語なかば、グラッドストーンがセヴァーンに言った言葉。セヴァーンは真実をついた指摘に愕然とする。巡礼たちがばらばらになっているのに、なぜ自分には一人一人の動向がわかるのか? 彼自身にもわからないその理由が、この物語の(そして続編『エンディミオン』二部作の)重要なファクターになっています。出来事の前後関係がおかしい、シモンズのケアレスミスか!?と思えることも、説明できてしまう! なんて作者に都合のいい! じゃなくて、本当にこうして人類が共感しあえたら素晴らしいのにと、羨望を感じる設定が、このCEOの台詞で初めてほのめかされるのです。四部作のあと人類は、平和に暮らしていけるのでしょうか。

駄弁者:
 私は「ハイペリオン」の伏線が「〜の没落」で回収されていくさまに感心感動だったんですが…作者に都合のいい、と言われればそうだったかなあ、とも。
 同シリーズの短編では、四部作でもたらされた人類への恩恵をあえて拒む人物も登場していて、私はそっちにも共感を覚えます。



私は 地球到達まで半年間、修理屋と二人きりだ。

 出典: アントニー・ホフマン監督「RED PLANET」

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 修理屋さんにしてみれば願ったり叶ったりの状況なわけで、これが本当のハッピーエンドってもんですよね。これ位の余禄がなきゃ機械相手のサバイバルに生き残った甲斐がありません。
 映画の内容は、もう既視感一杯のサバイバル物です。たまにはこういう肩の凝らないものも宜しいのではないかと。
(ていうか、ミッション・トゥ・マーズと間違えて購入したんだけど)

駄弁者:
 2000年の作品。この年は火星ネタがもろにかぶってましたね。「レッド・プラネット」と「ミッション・トゥ・マーズ」、私はどっちがどっちの話だったか区別ついていませんが。
 しかしウェブで見るかぎり、評価がいまいちっぽいのは両者共通のような…



「フォース・ゲート・オープン! フォース・ゲート・オープン!」

 出典: 円谷プロダクション制作「ウルトラセブン」

紹介 :kenji 様
HP :

コメント:
 メカニックの発進シーンといえば、「サンダーバード」「マイティジャック」「宇宙戦艦ヤマト」「新世紀エヴァンゲリオン」などがすぐに思い浮かびますが、名文句といえばこれでしょう。
 ウルトラ警備隊のBGM、まず横に移動していき、続いて上昇していくウルトラホーク1号。双子山の上部がスライドし、発進!
 円谷プロ作品のメカニック発進シーン集成なんてソフトがあったらなあ。

駄弁者:
 ウルトラ警備隊のBGM、と聞いて「ワンダバダ、ワンダバダ、ワンダバダ」を連想したんですが、あれは「帰ってきたウルトラマン」の方のようで。
 ちなみにメカ発進シーンで私が好きなのは、スタートレック(またかよ)映画版1、2作の<エンタープライズ>発艦の場面。



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