SF名文句・迷文句第219集

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「連中の欲しい物を知り、与えられる物なら与えて、帰って貰うんです」

 出典: 千束北男脚本・飯島敏宏監督「ウルトラマン 第2話『侵略者を撃て』」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 或る夜、東京上空に怪電波を発する未確認飛行物体が出現。すぐに消滅したと思いきや、科学特捜隊の研究機関である科学センターが連絡途絶、守衛はじめ職員全員が仮死状態にされ、センター全体が異星人らしき者に占拠されているという事実が判明する。事態を重く見た防衛隊と科特隊は合同対策会議を開くのだが、防衛隊は「即時攻撃」を主張。これに対し、科特隊のムラマツ隊長は「先ず交渉」を提案する。上記の台詞は、その時のムラマツ隊長の意見である。
 血を流さずに解決出来るならそれに越したことは無いというムラマツ隊長の考えは、確かに賢い判断であり正論だと思う。ウルトラ警備隊キリヤマ隊長の「撃ってみろ」とはえらい違いだ。いや、或いは警察組織と軍隊組織の体質の違いなのかも知れない…?

駄弁者:
 シリーズの代表的宇宙人、バルタン星人の初登場エピソードより。
>連中の欲しい物を知り、与えられる物なら与えて…
 結局は地球移住を主張するバルタン星人の人口が20億と聞いて、要求を断らざるを得ず、相手も強硬手段に移るのですが…。
 しかし、その20億のバルタン星人を宇宙船ごと撃墜してしまったウルトラマンより、ムラマツ隊長の方が穏やかな解決が図れたのかも。



猟は失敗に終わった

 出典: スタニスワフ・レム「砂漠の惑星」(飯田規和訳)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もはや説明不要な作品から投稿します。台詞は、宇宙船を襲った金属製の<黒い雨>を捕獲しようとして失敗した時の言葉。  この後、この黒い物体の正体はラウダ博士の仮説によって正体が判明するのですが、物体がなぜこのような形になったのかの説明が非常にユニークで興味深いものでした。
 環境に適応していくのが進化ならば、「黒い雲」がやっているのはまさしく進化なのですが、地球と同じような過程をたどるとは…。進化論というのはどこの環境でも適応できるものなのですかね?

駄弁者:
>進化論というのはどこの環境でも適応できるものなのですかね?
 適者生存というメカニズムは地球特有の環境に依存するものではないでしょうから、原理的にはどこの惑星でも起こりえることだと思います。
 ただ「黒い雲」のような機械生命の場合、ダーウィン流の進化は必要ないかもしれません。何かの性質が生存に有利となれば、突然変異を待つことなくその性質をもった子孫を再生産できるでしょうから、地球の進化論では否定されたラマルク流の進化が起こるんじゃないでしょうか。



これは災害なんかじゃなくて…
人災…いや…なにか「犯罪」があったような気がせんかね。
こう…

 出典: ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 自前のパソコンはおろか、メ−ルアドレスすら持っていないものですが、どうしても投稿したかったので参加させていただきます。
 米軍と日本の東都生物工学研究所が、宇宙からの細胞と人の癌細胞から生み出した怪物「廃棄物13号」。輸送していた飛行機の墜落により、東京湾に野放しになったこの怪物に対処するためにわれらが特車二課や機動隊はおろか、自衛隊まで出動することになります。
 特車二課の福島課長が、出撃する後藤隊長に米軍が何故か協力を申し出てきたことを話した際におもわずもらしたのが投稿の台詞。
 福島課長はアニメや小説版では典型的な頭の固い(だけの)上司として描かれ、それ以上でもそれ以下でもないキャラでしたが、連載漫画版では次第に、与えられた役割をこなしながらも人間としても警察官としても地味に熱い血の通ったキャラに変わっていき この13号事件や物語終盤のシャフトととの決戦でもさりげなくカッコいい台詞をはいています。
 そのきっかけとなったのは間違いなくこの台詞を口走ったとき。
 人の悪い切れ者で、課長をなにかにつけて笑顔で利用する後藤隊長も「課長も警察官だよ。」心の中で素直に賞賛するのでした。

駄弁者:
>与えられた役割をこなしながらも人間としても…
 こういう人物造形、私も好きですね。現実的にいそうで、実はもっと極端なキャラよりいなかったりします(頭の固いだけの上司ならばざらにいますが(笑))。



吉村「奴も別に悪気があったわけじゃねえからなあ」
市野「悪気どころか、大いに役に立ってくれたよ」
仁田「おーい、逃げろー!」
良太「海さ逃げるだー!」

 出典: 関沢新一脚本・福田純監督「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 漁船で行方不明となった兄・弥太を捜す青年・良太と知り合った青年たちは、自称金庫破りの吉村のヨットを強引に借り出し海へと乗り出すが、巨大な海老の怪獣エビラに襲われて南海の孤島・レッチ島に漂着してしまう。そこでは、秘密結社「赤イ竹」がインファント島民を強制労働させて核兵器を生産していた。「赤イ竹」に追いつめられた彼らは、たまたま洞窟で休眠状態だったゴジラを発見。少なくともゴジラは中立のはず、そこで落雷で覚醒させて事態の突破口にしようともくろむ。作戦は成功、「赤イ竹」は壊滅、吉村たちも漂着して強制労働させられていた弥太やインファント島民たちとモスラの助けで脱出するが、自爆装置が作動した島にゴジラが取り残されてしまった。
 そう、上のセリフで「逃げるんだー! 」と呼びかけて主人公たちが助けようとしている「奴」とはゴジラなんです。なんというか、ゴジラを単に利用しただけじゃない主人公たちがほのぼのとしてていいですな。他の怪獣映画じゃなかなかない終わり方でした。

駄弁者:
 下のご投稿にある「南の島の怪獣ってやつは、何故こうも文明人のビジネスに…」とは、この作品にも言えてしまうみたいですね。
>「おーい、逃げろー!」
 寝ていたところを起こされ利用されたゴジラにしてみれば、ちょっと不平も言いたくなるところじゃないかとも…。



“荘厳たる荒地”

 出典: リチャード・デイル 監督・脚本・製作総指揮「宇宙そらへ」(寺本 彩訳 毛利衛翻訳監修)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 もうひとつ、同じ映画から投稿します。アポロが月面に着陸し、宇宙飛行士たちが月面に降り立った交わした台詞がこれ。
 映画に映っていた月面は、漆黒の空とセメント色のガレキが広がる不毛の地でしたが、その宇宙飛行士の言うとおり、枯山水にも似た独特の美しさがありました。やっぱり、一度行ってみたい…。

駄弁者:
>やっぱり、一度行ってみたい…。
 同感です。しかし私たちが行けるとしたら、そこに荘厳さを感じられなくなってからのことじゃないかとも思います。望ましいような、残念なような。



First Live Pictures From MOON

 出典: リチャード・デイル 監督・脚本・製作総指揮「宇宙そらへ」(寺本 彩訳 毛利衛翻訳監修)

紹介 :冬寂堂 様
HP :

コメント:
 地上の発射台に据えられたロケットのエンジンが点火され、その直後、大爆発を起こす──。
 そんなショッキングな場面から映画は始まります。以後もロケットは爆発を続け、しかし着実に技術は進歩を遂げ、衛星を打ち上げ、チンパンジーを大気圏外へと送り、宇宙飛行士を弾道飛行の軌道に導き、そして人類を月へと送ります。
投稿した台詞はアポロ11号による映像が地球に送られてきた際に画面の下に映っていたもので、”MOON”の文字が点滅していたところがとても印象的でした。
 21世紀に住む私たちは、銀河や宇宙船、宇宙空間で作業する宇宙飛行士の映像は今まで何度も見てきましたそれでもこの台詞を見た時は、なんとも感慨深いものがありました。ましてや当時の人々の衝撃たるや相当なものだったと思います。

駄弁者:
 私たちが同じぐらいの衝撃を感じるとしたら、何になるでしょう?もはやライブ画像というだけでは、月が火星になっても匹敵する衝撃は望めませんし。やっぱりそこで発見できる「何か」でしょうか。
 一昨日、今度こそ「火星に生命の痕跡」?との報道があったそうですが…。



「新聞には全紙広告だ。キングコングが我社の製品を抱えてニコリと笑ってる写真を撮るんだ」
「キングコングが笑いますか?」
「うん、笑っていただくんだね。えぇと、キャッチフレーズは……『ゴジラなんかひとひねり!パシフィック製薬の薬をのんでるからね!』、『からよ!』、『からさ!』……どれがいい?ねぇ、どれがいい?」

 出典: 関沢新一脚本・本多猪四郎監督「キングコング対ゴジラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 民放テレビ局TTVの取材スタッフ桜井&古江(演・高島忠夫&藤木悠)がファロ島で発見した「巨大なる魔神」の正体は、伝説の怪獣キングコングだった。そのコングを眠らせ、大きな筏に乗せ、船で曳航して日本へ運ぶ。番組スポンサーであるパシフィック製薬の宣伝部長(演・有島一郎)は待ちきれず、ヘリコプターで船に合流。早速、船上で桜井たちと宣伝キャンペーンのアイデアを練る。上記の台詞は、その時の部長と桜井とのやりとり。「笑っていただくんだね」と軽く返すところにこのオッサンのえげつない商魂を感じるのだが、何故か憎めないキャラである。
 蛇足だが、キングコングといいモスラといい、南の島の怪獣ってやつは、何故こうも文明人のビジネスに利用されてしまうのだろう。あ、日活映画の『大巨獣ガッパ』ってのもあったな。それからイギリス映画の『怪獣ゴルゴ』とか……。

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 日本映画の黄金期、東宝映画はモダンで都会的な作風があり、そこから生まれてきたのが「社長シリーズ」「無責任男」シリーズのようなサラリーマン喜劇映画でした。
 その作風と怪獣映画がマッチして生まれたのが本作で、二大怪獣出現と製薬会社のPR合戦を絡めた一種のイベントSFになっています。
 なかでも凄いのが名優・有島一郎氏演ずるパシフィック製薬の宣伝部の多湖部長。
 自分とこのスポンサー番組の聴取率(当時はラジオの続きでそういったんですねを上げるためにたった二人だけの探検隊を送り出し、その二人がようやく島民の協力でキングコングを捕まえてきたと知るやヘリでおしかけて、宣伝はキングコングがパシフィック製薬の製品を持って笑ってる写真と大はしゃぎ。さすがに部下に突っ込みをいれられた回答が上のセリフ。その後もそもそもキングコングが日本に来てるのは自分の会社が連れてきたからという自覚もなく、被害が出てるってのに自分とこの宣伝しか頭にないというとんでもない人でした(まあ、最後はキングコングに逃げられちゃって落ち込んでるとこはかわいそうでしたが)。

駄弁者:
 奇しくも同じ出典の同じ箇所からごとうこうをいただいたので、併せて掲載します。
>「キングコングが笑いますか?」「笑っていただくんだね」
 キングコングの方がムリなら、ゴジラのほうにオファーを出しかねない。
 ところで、ゴジラとタイマン張れる大きさのキングコングとなると…元祖のようにエンパイア・ステート・ビルには登れそうにないですね。



しかし、迫害されればされるほど、その楽しさがいやますのはご存じの通り。

 出典: 川又千秋「僕の星新一」  星新一『だれかさんの悪夢』(新潮文庫版)解説

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 しかし、その程度の偏見に怯んでいては世の中は変えられないのも、歴史が証明するとおりで。SFもまた、十二使徒に優るとも劣らない情熱を持つ人々によって、世に伝えられたのでした、なんちゃって。
 で、投稿の文句は、先に投稿した文句の後に続けられた文章です。これは、その当時の筆者の心情を述べたものだ、と思うのは、私の思い過ごしでしょうか?
 あー、それにしても、この文句も、これ以上のコメントは書けないや。だってですね、駄弁者さん、このコメントを御覧になってらっしゃるSFファンの皆さん、あなた方にこの文句の解説は、必要なんでしょうか?あなた方には、この文句それ自体で、すべてが言い表されているように思えるんじゃありませんか?なにを、お訊ねになりますか?
 あなた方のSFへの愛ですよ、もちろん!

駄弁者:
 コメントは恐縮なんですが、SFを本格的に読み出したのが80年代後半だった私は、実際のところ迫害の記憶はないんですよ。多少変わり者扱いされたり、読んだ本の話をするのに相手を選ばなければならなかったという程度で。
 偏見にもめげず足場を築いていった先達の方々には、足を向けて寝られないというものです。



今の、若いファンの方々は想像もできないだろうが、当時は、SFとSMの区別を知っている大人など世間にごくわずか。当然、SFなんぞというものに熱を上げれば、大迫害を覚悟せねばならない時代だった。

 出典: 川又千秋「僕の星新一」  星新一『だれかさんの悪夢』(新潮文庫版)解説

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 前回の投稿が、ちょっとした論争になったことを反省して、今回は「軽さ」を志向してみました。題して、「SF受難史」。
 昭和三十七年冬、小樽に住む少年は入院先の病院で「SF」に出会い、すっかりSFの虜になってしまう。「SF熱という別の病気をうつされて」退院した少年は、同好の士を集めて活動を始める。成長した少年は、今度は自分でSF小説を書き始めるのだった。
 で、投稿の文句は、その「少年」こと、川又千秋氏がSF小説を求めて書店巡りをしていた当時の、世間一般の「SF」に対する認識を回想した行です。いやー、第54集第166集の迷文句を見ても、今一つ実感がわかなかったんですが、どうやら、あれらは本当だったようですね。昔、あるSF小説の解説で「昔は本屋でSF小説とSM小説が並べて置いてあった」という文を読んだときは「どういう無知な本屋だ。」と思ったものですが。あまりの「現実」に、これ以上はコメントできません。が、最後に一つだけ。駄弁者さんをはじめとするSFファンの皆さん。あなた方は、立派な信念の人です。

駄弁者:
 元祖アメリカのパルプ雑誌の挿絵なんかを見てると、区別つかなくてもしようがないか…という感じの絵があったりしますが(「SFは(はだかの)きれ〜なネェちゃんや」という名文句も…)



「じゃあおまえは、何の行政サービスも受けなかったか。文明の利器を使わなかったか。文化や娯楽を味わわなかったか。おまえよりも先に生まれて社会に出た人間たちが、税金を払い、科学や文化の発展に貢献したから、おまえという人間がここにいるんだ。違うか。それとも、それらのものがすべて消滅したから、もう恩義も感じなくていいというわけか」

 出典: 東野圭吾「パラドックス13」

紹介 :ぽちぽち 様
HP :

コメント:
 わずかな人々を除いてすべての人間(や動物)が消えてしまった世界。
 地位も名誉も失ってしまった現実に適応できないでいるもと専務だった人に、苛立ち、乱暴な言葉をぶつける若者に、その兄が言った言葉です。
 人生の先輩を敬わないのかとしかる兄に、こんな世界ではみんな平等だという弟。周りの人に支えられて今に至ったのではないかと言葉を重ねる兄に、弟は、「このおっさんには世話になってない」と言い放ちます。それに対する返事がこれでした。 正直言って、横っ面を張られた気分でした。
 目上に対して礼儀正しく振る舞ってはいても、こんな視点を持ったことはなかったと(胸は張れませんが)断言できます。空疎な礼儀でしかなかったです。
 だから、反抗期の息子が親や祖父母に対して生意気な口を利くのを断固としてしかれなかったんですね。自分自身が『年長者をこころから敬う』ことができていなかったから。
いい年こいて、反省しました。
(このような視点に立ってさえ、敬うに値するかどうか疑問な年長者もいないとは言い切れませんけどね)

駄弁者:
 たいていは理由を明示するでもなく習慣で礼儀正しく振る舞っているし、それで問題はないんですけどね(すべて理由がなければ従わないというのも、難儀な話だと思ってしまいますし)。
 しかしそれまでの習慣が通じない世界になってしまうと、やっぱり理由が必要になってきます。



おれは、人間だ。

 出典: 神林長平「アンブロークンアロー(戦闘妖精・雪風)」

紹介 :くうねるよむとぶ 様
HP :

コメント:
 帯によれば10年ぶりのシリーズ第3作らしいが…間隔が開きすぎだと文句を言うより、書き続けて有難う御座いますという域になってきた感がある。
 久しぶりに読むと、分かりにくい話になってきて作者が書きたいのは、要するに名文句に投稿した言葉なんだろうと勝手に私は思っています。
 願わくば、次作はもう少し早く出して頂けたらと希望します。

駄弁者:
 出ましたね〜第3作。雑誌掲載をその都度読んでていた人は、少し前に飢えは癒されていたのかも知れませんが、ハードカバー化を待っていた人にとっては実に10年ぶり。
 もっとも私は…読みたいし、いずれ読むのは確実なんですが、前2冊を文庫で持っているので今度も文庫落ちまで待つつもりです。すでに「グッドラック」の話は忘れている部分が多いので、今すぐハードカバーを買っても2、3年後に文庫を買っても、どのみち前作から読まないと十全に楽しめなさそうですし。



「父はどうやら、私を最初から、交渉の道具として生ませた節がある」
…(中略)…
「この子は地球人である。そう主張すれば、地球人側としては受け入れを拒みづらいだろう?私たちが地球人として受け入れられればそれでよし。万一何かあった場合には、トリオンの同胞を害した、と主張して賠償を求められる。それが、地球人系宇宙人帰化政策の正体だ。そうでなければ、一方的に人質を差し出すような条約にトリオンが同意するものか」

 出典: 上野遊「彼女は帰星子女」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この作品のヒロインは、地球人とトリオンという宇宙人のハーフなのですが、父からは娘としての愛情を注がれておらず、不仲です。トリオンの政府内で彼女の父は、日本政府でいえば内閣の大臣クラスの地位にあるのですが、彼女の父が娘を作って、愛情を注がなかった理由が彼女の口から男主人公に明かされます。政治家として考えれば、彼女の父の判断は(母星を自然災害で失ったトリオンは地球に移民しようとしています。)肯ける部分があるのですが、娘の側から考えればたまったものではないな、と思います。もっとも、人類の歴史上からすれば、政略結婚等、子どもの立場を考えない親はいくらでもいたといえばいましたが。

駄弁者:
 異星人の子どもを生ませた、ということで反発をくらう部分もあるでしょうから、交渉の手段としてはかなり危険な諸刃の剣なのではないでしょうか。
>人類の歴史上からすれば、政略結婚等〜
 たしかに。けど、生まれた子どもを利用するということはざらにあっても、利用することを第一目的に、自然では生まれない子どもを作るというのは、なかなか無いでしょう。



「なに笑ってんだよ」

 出典: あさりよしとお「ワッハマン」

紹介 :安井賢一 様
HP :

コメント:
 遂に「レミィのパパ」を倒したワッハマン。だが次の戦いが待っていた。それは永遠の『時』との戦い……遠い未来、人類もその建造物も何も残ってない地球でワッハマンが出会ったものは……これからはネタバレになるので書きませんが、私にはこう思えます。
 彼は今、心の底から笑っていると。

駄弁者:
 不死身の主人公が敵を倒して、その後もずっと不死身のままだったらどうなるのか。意外と考えられていない点だと思いました。



「案外涙は出んもんだな」

 出典: あさりよしとお「ワッハマン」

紹介 :安井賢一 様
HP :

コメント:
 不滅のオリハリコン製のボディを持つ大ボケヒーロー「ワッハマン」。
 彼を抹殺せんと遂に動き出す「レミィのパパ」。ワッハマンを倒す刺客として作られたイシュタルを迎え撃つ長沼内規。長沼に追い詰められたイシュタルは今まで隠していたもう一つの人格「石田ルミ」を出して「俺が死ねばこの娘も死ぬんだぞ」と長沼に命乞いをする……
 セリフはそのイシュタルに凄絶な『回答』を与えた長沼が漏らしたもの。人間激情が極限に達すると無表情になると言うが、正にそれを表した重いセリフ。
 よく長編コメディ系は終盤になるとシリアスになるが、これは極め付けだったと思う。

駄弁者:
 手酷い衝撃を受けると感情が焼き切れてしまってかえって無反応になるという描写はときどき見ますが、実際のところどうなんでしょうね。どうなるにしろ実体験はごめんですが。
>長編コメディ系は終盤になるとシリアスになる
 ご紹介のくだりだけ見ると、とうていコメディ系とは思えません…。



「ジャミラてめぇ、人間らしい心はもう無くなっちまったのかよぉ!」
紹介 :ゴジリスト中小路 様 → 第133集


この体は全て 作り物でしかないけど
この心はせめて 歌に捧げていよう

 出典: YanagiP作詞・作曲「千年の独奏歌」

紹介 :Liner 様
HP :

コメント:
 歌だって著作物だ。というわけで、十分SF要素があるなら良いんじゃないかと思って久々に投稿を試みます。
 先日CDも発売された、インターネットで大きなムーブメントとなりつつあるDTMツール「VOCALOID」を使って作成された楽曲から。この部分は1番のサビ。
 VOCALOIDを用いて制作された楽曲の中には、VOCALOIDを実在しないが故に実在するロボットのようなものとして想定するものが数多くありますが、その中から一つ取りだしてみました。機械が故の悲哀というものを存分に織り込んだ名曲です。
 ちなみに、似たようなパターンとして…
「これが私の望んだ「ココロ」?」(「ココロ」トラボルタP)
「私は言葉って言えない だからこうして歌っています(「ハジメテノオト」malo)
「ボクは生まれ そして気づく 所詮 ヒトの真似事だと 知ってなおも歌い続く 永遠(トワ)の命 「VOCALOID」」(「初音ミクの消失-DEAD END-」cosMo)
…このムーブメント、どこまで行くのか本当に分からなくなってきました。

駄弁者:
 第54集以来のご投稿(5、6年ぶりぐらい?)、ありがとうございます。
 ニコニコ動画に上がっているPVを聞いてみました。…歌も良かったですが、それに合わせた動画のセンスもすごいです。
>この心はせめて 歌に捧げていよう
 遺されたロボットが主のために歌っている感じですが、歌に捧げている「心」とは、誰のものなんでしょう。歌を作ってVOCALOIDに歌わせている人間の心でしかないのか、それとも歌い手自身の「心」の存在を認めるのか…。出典のところに「KAITO唄」と含めようかと思って止めた私は、きっと認めていない派ですね。



「我々はまだ未熟だった。だが未来がある。希望ほしを眺めながら、彼等が戻るのを待とう」

 出典: レイ・ブラッドベリ原案・ハリー・エセックス脚本・ジャック・アーノルド監督「IT CAME FROM OUTERSPACE(それは外宇宙からやって来た)」(池村正志訳)

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 1953年公開の、ハリウッドSF映画より。
 舞台はアリゾナ州の田舎町。新進気鋭のSF作家であり天文学者でもある主人公ジョン(リチャード・カールソン)は、或る夜、町外れの荒野に巨大な隕石が落下したのを目撃する。現場へ行ってみるとそれは隕石ではなく、宇宙船だった。が、ほどなく宇宙船は地中に埋まってしまう。ジョンは町に知らせるが、保安官はじめ町の人々はジョンの話を全く信じない。やがて、町の住人の何人かが、不可解な素行を見せ始める……。実は不時着した宇宙船の異星人が船の修理の為に町の人々を労働力として利用していた訳だが、その事実が判明すると、保安官は強制排除に出る。しかし異星人側には侵略の意図は無く、修理が済めば地球を離れるという。両者の間で揺れ動くジョンは……で、結局、両者とも誤解や恐怖心が解け、宇宙船は無事離陸。それを見送るジョンの呟きが上記の台詞である。今は無理でも、いつかはきっと……いかにもブラッドベリらしいロマンチシズム。尚、翻訳者はWOWOW放送時の日本語字幕担当者の名を明記した。

駄弁者:
 侵略のためでも友好のためでもなく、単に通り過ぎようとしただけ…。迎える側として気勢は削がれますが、異星人が地球に立ち寄るには意外とありえる理由かもしれません。ストルガツキーの『ストーカー』(これも映画化されてますね)でも、異星人は道端でキャンプをするぐらいの感覚で、地球に異物を残し去っているみたいですし。
 ブラッドベリ原案とのことで、元の話を読んでみようかと思ったのですが、特定できませんでした。短編集などに収録されているか、ご存じですか?



歴史には正しいも悪いもなく、たださまざまなことが起きあがり、消えていき、それがまた原因となって、何かがはじまる。その連続に過ぎないような感じがしてきたな

 出典: 眉村卓「時空ときの旅人」  『とらえられたスクールバス』改題

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 で、前の投稿の文句の後、「しかし、今のような話を聞いていると、そういうことが空しいような気になってきた。」と言って後、教授が続けたのが、投稿の文句。ああ、教授、世界中の人間が、そう考えてくれたら!「歴史観論争」だの「靖国問題」だの「南京事件はあったかどうか」なんてことで悩むこともないのに。何故、人は、投稿の文句のように歴史を考えることができないのでしょうか。やっぱり、「人はパンのみにて生くるにあらず」なのかなぁ、悪い意味で。しかし、そのことで、不必要な禍が起きるなら、それを止めることはできないのでしょうか?「ただ、生きる」(第88集)って、そんなに辛いことなのでしょうか。それにしても、前の投稿の文句と併せて、この教授の言葉は、思春期の最中「1941年8月15日」を体験した「昭和一ケタ世代」作家、眉村卓の面目躍如、といった感があります・詳しくは、以下の参考文献をどうぞ。
参考文献
小松左京「やぶれかぶれ青春記」あるいは小松左京の作品全般
山中恒「ボクラ小国民シリーズ」その他
田辺聖子「欲しがりません勝つまでは」

駄弁者:
 きっとこの教授の言う通りなんでしょう。ただ、私のように他人の歴史叙述を読み散らすのが専門の鑑賞者にとっては、「あるのは因果の連続だけ」と達観してしまうのも面白くない、とも思ってしまうのでした。



私たちは、自分の思想や置かれた立場から、歴史の中の事柄や人物の価値判断をしたがる傾向がある。あれは正しいことだった、とか、あのときあやまちをしたのだ、とかね。

 出典: 眉村卓「時空ときの旅人」  『とらえられたスクールバス』改題

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 214集の私の投稿に駄弁者さんが寄せられた「宗教より歴史学が壊滅する」というコメントに触発されて、今回の投稿となりました。
 出典の作品の内容は「巻き込まれ型サスペンス形式のタイムトラベルもの」というところで、作品における時間と次元の観念は「シュレディンガーの子猫」といえば、いいでしょうか。(「時は分かれて果てもなく」かな?)で、そんな時間と次元の流れの中、「本能寺の変で信長が死ななかった」歴史を知った昭和十五年から来た大学教授の言葉が、投稿の文句です。教授は、「それにしても、歴史とは妙なものだな」と呟いた後、この言葉を続けます。投稿の理由は、長くなりますので、「文句TOめい文句」の「歴史学は永遠に不滅です」をご覧下さい。あと、つけ加えさせて頂けるなら、私は「歴史を客観的に叙述することは不可能」だからこそ、「歴史を客観的に叙述することを心がける義務がある」と考えます。「人間を殺してはいけない理由など、ありはしないからこそ、人間を殺してはいけない。そうしないと、人間は、色々な理由をつけて、人間を野放図に、どんどん殺してしまうだろう。それに歯止めをかけるために、一律に『人間を殺してはならない』という『きまり』を人間はつくったのだ。」と信じるように。

駄弁者:
 眉村卓は、歴史系の雑誌に小説を連載していたこともあるぐらいだし(大作「カルタゴの運命」など)、歴史に関する造詣は相当深いかたですね。
>私たちは、自分の思想や置かれた立場から〜
 掲示板でのやりとりからずいぶん時間がたってしまってからの掲載で申し訳ないです。
 「すべての歴史は現代史である」って言葉があるぐらいですから、ご投稿の文句のようなことは避けられないものなんでしょう。多くの歴史研究者家もそれを意識して叙述をしているものと、私は思っています。
 とはいえ歴史にかこつけて、ビジネスや処世訓を語りたがる類の本にあたってしまうと、ちょっとうんざりもしてしまうのですが。



エリオットさん、あんたが有志消防団に献身的な奉仕をしたのも、やはり実に健全なことなんですよ。なぜならば、火災警報が鳴りひびいた瞬間から、もうアメリカではほとんど見られなくなった熱狂的な愛他行為が、そこに展開されるからです。

 出典: カート・ヴォネガット・ジュニア「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」(浅倉久志訳)

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 ハヤカワの青い表紙の文庫本なのだからSFなんだろうと思い手に取った本です。題名が長かったので気になっていたのもあります。でもSFかどうか以前に小説としてどうかと首をひねりながら読んだ記憶があります。
 その中で妙に引っかかったのが、大金持ちの主人公がやたら消防団に熱意を注いでいた点でした。消防ヲタ?
 台詞は最後に主人公が消防に執着する理由を弁護士が説明した場面です。熱狂的な愛他行為、なるほど。いくらかは腑に落ちました。
 確か日本の村八分も、火事と葬式だけは別なんでしたね。

駄弁者:
 消防団員というのは、この話で皮肉られている金持ちやそれを取り巻く人々とは正反対に位置付けられている存在なんでしょうね。
 けどエリオット・ローズウォーターの行動は、「熱狂的な愛他行為」というより、ずっと単純に「親切」という方がしっくりくるように思います。確かに度を外れた親切ではありますが…。



若くてハンサム、サイボーグエース。あらゆる都市で女を口説く。
でもレベルアップされたやつの「機能」を見るや、みんなさっと姿を消したとさ。
―兵舎の落書き、スパルタコマンド

 出典: シド・マイヤー製作「アルファ・ケンタウリ」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 毎度おなじみ、アルファ・ケンタウリでございます。サイズの重要性(206集)を認識した男性が次に取った行動としては、まあ妥当と言っていいかと思います。
 しかし、女性のサイズは問題にされないのか?と愚考してしまいますね。

駄弁者:
 すいません、訂正します! サイズも重要ですが、もっと大切なのは、フルにマルチテクニックでプログラムされていることでした。
>女性のサイズは問題にされないのか?
 もちろん問題ですが、大きいのがいいのか小さいのがいいのかは、まあ個人の趣味ですかねえ…。



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