SF名文句・迷文句第241集

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「いかんな…これでは絶対にいかん!」
「もっと青少年にとって不健全で不健康な街をとりもどさねば! おっさん!日本はダメになるぞっ!」
「社会の正しい姿とは、目に見える健全さと、目に見える不健全さがちゃんとここにあることだ!」
「不健全さのない社会は、健全さも目立たない!」

 出典: 石川賢「極道兵器」

紹介 :シバン 様
HP :

コメント:
 本作品の主人公・岩鬼将造は、西日本の有力ヤクザの一人息子。しかし、あまりの暴れん坊ぶりに勘当を食らい、海外で傭兵として戦っていた。
 そこに、父が暗殺されたニュースが舞い込み、将造は父を殺した多国籍マフィア組織「デス・ドロップ・マフィア」と戦うべく日本に帰国する。
 帰国した彼らを待っていたのは、以前とはすっかり様変わりした故郷の街並みであった。
 いわゆる歓楽街が消え、「健全な」街と化した故郷を見て将造が口にしたのがこの台詞であった。
 私にとっては、妙な説得力を感じるセリフです。
 世の中で声高に叫ばれる「正義」や「健全さ」の中には、少なからずどこか歪んだ様なものがあるだけに……。

駄弁者:
 まあ、同感です。ついでながら不健全なものは不健全なものとして、あくまで影で楽しまれるものだと思う…。おおっぴらにもてはやされるのも、どうかと。



当館は図書館海援隊として、日本の本と出版を洗濯したいと考えております。洗濯もしますから、自炊もします

 出典: 江上敏哲「業界コント『もしもマクドナルドみたいな図書館が、本のない電子書籍図書館だったら』」

紹介 :power_of_math 様
HP :

コメント:
出典は
http://egamiday3.seesaa.net/article/158803183.html
です。この口実で、自炊(自分で断裁しスキャナーで読み込んで書籍を電子化する)しています。業界人の端くれとして吹き出してしまったので投稿します。
 SFかどうか迷うところですが、まぁ、電子書籍だけを提供する図書館だから、SFの範疇かと…。
 某市の市長が、これを本当にやりたがっているらしいですが…。

駄弁者:
 よかった、今年の大河ドラマ終わらないうちに掲載できました(笑)。
 電子書籍一編ごとに1台の「キンパッド」を用意しているあたり、笑いつつも似たことをやりかねないと思ってしまうのがコワいです。



数学は世界を記述する言語だからよ。
科学の発見は、ある日覆されることもある。
でも、数学にそれはない。
数学はこの地球にとどまらず、宇宙共通の永遠に変わることのない言葉なの。
数学なしで世界を理解することは出来ない。

 出典: 山本弘原作・伊藤和典脚本・及川中監督「MM9-MONSTER MAGNITUDE 第4話」

紹介 :新伴仙司 様
HP :

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 怪獣が実在し、その災害が当たり前のものであること以外は我々の世界と全く同じ、そんな世界。人々のささやかな幸せを守るため、怪獣対策に奔走する『正義の公務員』、気象庁特異生物部対策課、人呼んで『気特対』の栄光と賞賛なき戦いを描く深夜ドラマ『MM9-MONSTER MAGNITUDE』より。
 原作では宇宙物理学者だが映像版では数学者の案野悠里の台詞です。
 数学的に云わせていただければ不正確な表現も含まれていますが、概ね正しい説明だと思います。数学は宇宙共通の言語です…ただし自分の思想を数学で綴り、誰かの思想を数学で解読することが出来れば、の話ですがね。
 義務教育を受けた者ならきっと一度は浮かんだ疑問
「数学ってどんな役に立つの?」
 に対する答えにもなっていると考えますが、いかがでしょう。

駄弁者:
 教わる方としては、それで数学が得意になるわけでも大好きになれるわけでもないでしょうけど……学校の授業でこれを言ってのける先生がいたら、感動はしたかもしれません。
>宇宙共通の永遠に変わることのない言葉なの
 しかしSFではイーガン「ルミナス」のように、異次元の数学法則が侵略してくる話があったりします。



……無謀な奴め。こんな子孫ができてしまうとは、恐ろしい未来だ。

 出典: 富永浩史「超空自衛隊『ソ連軍満州侵攻』」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 1944年クーデターを起こした陸軍の一部を、自衛隊は鎮圧するのですが、その過程で、クーデター派の憲兵大佐を女性自衛官(三尉)が飛び蹴りで倒して逮捕するのですが、逮捕された憲兵大佐の科白です。
 本当に100年も経たないうちに、女性がここまで軍隊(自衛隊)の世界に進出して、実戦に参加してしまうなんて、恐ろしい未来だと私も思います。太平洋戦争のころ、日本軍には女性士官どころか、正規の女性兵士はいなかったのですから。なお、正規軍に初めて女性兵士を採用したのは第一次世界大戦のロシア帝国軍だったそうです。ソ連軍が女性を積極的に採用したのはそれが背景だったとか。

駄弁者:
 いやこの場合、大佐さんが怖がったのは、軍隊に女性が進出していることではなく、単にトビゲリの威力だったのでは(笑)



「オレらに石投げる奴は未来にもいましたけどね」
「けど、あっちとは逆の連中のはずなんだがなあ」

 出典: 富永浩史「超空自衛隊『ソ連軍満州侵攻』」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 太平洋戦争において、米英中との講和成立。しかし、賠償金も何もとれず、あまつさえ占領地から撤退するという講和条件に東京では暴動が起き、陸軍の一部はクーデターを起こします。それで、未来から来た自衛隊員達は暴動やクーデター鎮圧のために働くことになるのですが、暴徒(彼らに言わせれば、自分たちが愛国者で、自衛隊員達は非国民)達に自衛隊員は石を投げられる羽目になります。
 投石を受けての自衛隊員同士の会話なのですが、何ともいえない会話だな、と。確かに思想的には逆の連中のはずなのですが、なぜ、行動は同じことをしてしまっているのか。自衛隊員達がぼやくのも分かる気がします。

駄弁者:
 日露戦争後の日比谷焼打事件ふたたび、というところですね。とすれば、暴徒化しているのは左右の過激派ではなく、増税や統制に苦しめられた民衆なのでは。自衛隊員にとってはイデオロギー的な怒りでもって石を投げられるより、ずっとやりきれない思いがすることでしょう。



「イレギュラーハンター!? どうしてここに!? いや、そもそもここはどこ!? あなたは誰!? 私は!?」
「くっ……、完全に暴走している……。やむをえない、処分する!」
「暴走……? 違う。イレギュラーは正当ではないが有効なコードだ。処分する権利など誰にもありません」

 出典: カプコン製作「ロックマンX8」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿したアクションゲーム「ロックマンX8」からの投稿です。
 今回の名文句は、新世代型レプリロイド訓練施設・ヘリオスの統轄レプリロイドだったイレギュラーとエックスの戦闘前の会話です。
 前回の名文句で挙げた通り、(ネタバレ開始)新世代レプリロイド達は自分達の意思でイレギュラー化した(ネタバレ終了)のですが、果たしてそれは必ずしも悪い事なのでしょうか?
 「ロボットにはロボットの進む道があり、ゴールがあるはずだ」という言葉もありますし、レプリロイド達を単に機械として見るのならイレギュラー化は「正当ではない」でしょうが、今後も進化し続け人間とは別の系統樹をたどっていく生物だと考えるのなら確かに「有効なコード」なのかもしれません。

駄弁者:
 自分たちが作ったものを、別種の優れた「生物」と認められる度量が、はたして人間にあるのかどうか…なにか下のアギトと似た感想になってしまうなあ。



「どちらにせよ、トンネルの中じゃ、止まるわけにもいかない。このまま走りつづけるしかないだろう」
「分かりました。今後は、どのようにすればよいでしょうか?」
「ミラーズシティまではあと何時間で着く?」
車掌長は時計を確認して答える。「あと4時間程度でしょう」
「4時間か……」 なんてトンネルだよ。大きさから距離まで規格外すぎる。誰だ、こんなの考えたのは(笑)。
あなたです。

 出典: 伊藤和幸「天羅WARリプレイ『Train Kept A-Rollin'』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 北半球では600年以上戦国時代が続き、南半球では200年以上西部開拓が続く惑星・10th−TERRAを舞台にしたTRPGからの投稿です。
 北半球諸国・南半球統一国家間の戦争が休戦となったために再開された、(現時点での)最西端を目指す巨大大陸横断特急「ダンデライオン」。超巨大山脈ザ・マウンテンに開けられた唯一のトンネル内部を走行中、異常が発生。車内の通信設備が全部不通になってしまいます。
 名(迷?)文句は、「ダンデライオン」に乗車した凶悪犯を追跡している連邦保安官・リチャードが状況を把握するための車掌長との会話と、その時のプレイヤー達の会話です(カギカッコ内はキャラクターとしての台詞、地の文はプレイヤーとしての発言)。
 このトンネル、幅は新幹線用サイズの線路2本分(大陸横断特急はこれを1両で使用します)、高さは3階建てのビルに相当(大陸横断特急の車両が3階建てのため)、さらに長さは120km以上というとんでもない規模です。トンネルがトンネルなら山も山で、山頂は成層圏にまで到達し、まだ誰一人登頂成功者がいないという代物です。
 あまりのスケールにプレイヤーの1人が思わずツッコミを入れますが、そのプレイヤーこそこのゲームのデザイナーでした。  ……本当に何でこんなのを考えたのでしょう……。

駄弁者:
 火星のオリンポス山にトンネルを掘ったら、こんな感じでしょうか。



姉さん、俺はアギトになっても楽しい事がいっぱいあった。
アギトになったって人は人のままで生きていけるんだ。

 出典: 石ノ森章太郎原作・長石多可男脚本「仮面ライダーアギト 第50話『今、戦う時』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 仮面ライダーアギトこと津上翔一(本名:沢木哲也)は偶然再会した専門学校時代の恩師が経営するレストランで働く事になり、岡村可奈という女性と出会う事になります。シェフになるために懸命に料理の勉強をする彼女でしたがアギトの力に覚醒し始め、鏡に映る変身しかけた自分の姿を見て困惑し投身自殺を図ります。
 間一髪の所で彼女の手を掴んだ翔一でしたが、それでも「離して」と呟く可奈の姿に翔一は(番組内で確認されている限りでは)人類で最初にアギトの力に覚醒し、その力に戸惑って彼女と同じように投身自殺した自身の姉の姿を重ねます。
 そして、彼は心の中でその「姉」に対してこう語るのでした。
 以前、駄弁者さんはアギトになる事を「業病にかかってしまうことと重なってくる」と仰っていましたが、この投稿を書いている8月に毎年放送されている某自称「チャリティ」番組とかを見る度に例え「普通の人」で無かったとしても「かわいそうな人」でも「ハンデを乗り越えてがんばっている人」でもなく「一人の人」として胸を張って生きていける日が現実にやってくるのを願ってやみません。

駄弁者:
 「かわいそうな人」や「ハンデを乗り越えてがんばっている人」より、アギトのように「普通の人」より優れた能力をもった異形の存在を受け入れることの方が難しいかも知れません。



北条「わたしはごくまともな人間です。私がアギトを恐れるなら、殆どの人間がアギトを恐れるに決まっている」
小沢「いいえ。私は人間を信じている。アギトは人間の可能性そのものよ。アギトを否定するなら人間に未来は無いわ」

 出典: 石ノ森章太郎原作・長石多可男脚本「仮面ライダーアギト 第50話『今、戦う時』」

紹介 :Y 様
HP :

コメント:
 これまで何人もの何の罪もない(一度だけ時効寸前の強盗犯を殺した事がありましたが)人々を通常ではあり得ない死因で殺害してきた謎の存在、アンノウン。
 これに対して警察は未確認生命体対策班を設置してパワードスーツであるG3及びその強化型であるG3-Xを運用し、アンノウンと戦ってきました。
 しかし、これまでアンノウンが殺害してきたのはただの人間ではなく常人を遥かに超える能力を持った超能力者であるアギトとなる素質を持った人達でした。
 G3ユニットの運営方針が「アンノウンを倒す事」から「アギトの驚異から人間を守るアンノウンを助ける事」に変更され、これまでも様々な形で未確認生命体対策班と対立してきた北条がこの指揮を執る事になります。
 これに対しG3ユニットの開発者であり未確認生命体対策班の班長でもあった小沢を初めとする未確認生命体対策班の面々はこう反発するのでした。
 アギトそのものは現実には存在しませんが、これに似た場面というのは現実にも存在しているのではないでしょうか。
 そして僕達はその時に北条さんの側と小沢さんの側のどちらに立っているのか…

駄弁者:
 超能力者、ミュータントへの恐れと迫害というのは、このテーマの一つの定番ですね。



「ときどきわたし思うことがある……どこか遠くへ行きたいって」

 出典: ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「男たちの知らない女」(伊藤典夫訳)  『愛はさだめ、さだめは死』に収録

紹介 :水谷秋夫 様
HP :
http://oikose.at.webry.info/

コメント:
 この作品については奥山古倶様が取り上げた時に書かれていたので、少し違う話を。
「男の作った世界というマシン」の中で生きている、という自覚は男性の私には希薄です。しかし、この作品で登場する女性・ルースのように、「どこか遠くへ行きたい」と思うことは時々あります。
「ダメおやじ」にも、どこかに連れて行ってくれる飛行機を待つ話がありました。あるいはウルトラQの「あけてくれ!」とか。普遍的なモチーフではないでしょうか。
 とはいえ、本当に遠くへ、異星に行ってしまう、となると。
 こうした作品を読むと、「どこか、なんてどこにもない」と思うのです。

駄弁者:
 そういえば、ティプトリーには「ビームしておくれ、故郷へ」(『故郷から一〇〇〇〇光年』に収録)というのもありましたね。こちらは男性社会からの離脱ではありませんでしたが、やはり「ここではない、どこか」への渇望を表した作品だったと思います。



「Oh! It’s GODZILLA!」

 出典: 関沢新一脚本・本多猪四郎監督「キングコング対ゴジラ」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 『大怪獣との接近遭遇』第11回は、昭和ゴジラ映画の三作目より。
 北極海の「光る氷山」を調査する為に出港した原子力潜水艦シーホーク号が、消息を絶った。捜索ヘリが現場上空まで来ると、救難信号液が海上に流れていた。しかも、例の氷山は今にも爆発しそうなほど激しく明滅している。そしてついに、氷山がミシミシ割れ、あの忌まわしい大怪獣が姿を現した。その時の捜索ヘリのパイロット(演じていたのは名も無いアメリカ人エキストラ)の叫びが、上記の台詞である。
 外人がその怪獣を見て即座に「ゴジラ」と認識する。更に、キングコングと死闘を繰り広げる……日本人が産み出したゴジラという架空の生物が世界的キャラクターに育ちつつあるということを感じさせる、記念碑的作品の記念碑的名文句だと思う。

駄弁者:
 この映画の頃すでにゴジラの名が一般的だったかはともかく、今となっては他の名詞に「〜zilla」とつけて、巨大なことを表す言葉として定着しているという話ですからねえ(『ゴジラとアメリカの半世紀』という本にあるのですが、本当なんでしょうか?)。



その剣を持っていればお前を殺すことになる
お前を殺せば、お前を愛していたことになる
俺に愛などあってはならない

 出典: 石森プロ制作「仮面ライダーキバ 37話『トライアングル・キングが斬る』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 音也と真夜の関係を知ったキング。
 彼は自分の武器「ザンバットソード」を真夜に向けるも、命を奪うことはせずにザンバットソードを壁に封じた。「この世で最強の剣をそんな扱いしていいのか」と問う真夜にキングはこの言葉で答えた。
 キングのプライドの高さが伺える発言だが、このポリシーのせいで彼は真夜から見限られ、悲惨な末路を迎えることになってしまう。

駄弁者:
 このセリフが出てしまう時点で、愛があったか無かったかについては、キングの敗北が確定していると思うなあ…。いや、こういうキャラクター好きなんですけどね。



自分以外の誰かに触れたとき
満たされてしまうようなこと
それを愛と呼ぶなら
もしかして私はその中にいるのね
罪を犯し

 出典: Queen MAYA「Rainy Rose Queen Edit」  『MASKED RIDER KIVA Re-Union』に収録

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :

コメント:
 「仮面ライダーキバ」の登場人物の一人、真夜のテーマソング「Rainy Rose」。それを真夜役の加賀美早紀さんが歌ったバージョンから。
 ファンガイアの元クイーンであり、紅渡(仮面ライダーキバ)の母でもある女性、真夜。彼女はファンガイアの掟に従い、人間と愛し合うようになったファンガイアの抹殺を使命としていた。しかし、掟を破るファンガイアは後を絶たなかった。そこで真夜は偶然出会った紅音也に接触し、その理由を知ろうとする。
 最初は興味本位で接触した真夜だったが、徐々に音也に惹かれていく。そして、夫であるキングが音也を殺害しようとしたときに自分の心を自覚。激怒したキングによってファンガイアの力を抜き取られ、裏切り者として同族に狙われるようになってしまった。
 原曲は第三者の視点から真夜を歌ったものだったが、このバージョンでは真夜視点で歌ったものになっている。どちらも素晴らしい曲である。

駄弁者:
 平日昼にやっているようなドラマの主題曲には、ありそうな歌詞ですが…。
仮面ライダーの曲だと思うと、古いライダーしか知らない身としては隔世の感がありますね(笑)。



この顔を見た途端、連中は愛想よく笑いかけてくる。
すっかり安心しきってな。オレのこの顔を見て、治っただの、直っただの勝手なことを…
お前も笑えよ!オレは直ったんだ
オレは一つになったんだ
笑えよ、バットマン、オレを見ろ!
…見てくれよ…

 出典: フランク・ミラー/クラウス・ジャンソン/リン・ヴァーリィ「バットマン・ダークナイト」(石川裕人/秋友克也訳)

紹介 :VSイマジネーター 様
HP :

コメント:
 初めて投稿させていただきます。VSイマジネーターと申します。
 今までは一読者としてこの名文句集を楽しんできましたが、これはというセリフを見つけたので、勇気を出して投稿してみました(笑)
 元ネタの作品は「バットマン・ダークナイト」。
 バットマンが治安活動から引退して十年。再びゴッサムに降り立った彼は、かつての宿敵、トゥーフェイスと対決する。手術によって醜く爛れた顔を治療し、精神医学によって心の病を取り除き、完全に「更生」したはずのトゥーフェイス=ハーヴィ・デント。しかし、彼は出所すると同時にかつての部下を招集し、タワーに爆弾を仕掛けたのだ。
 乗り込んできたバットマンとの戦いに敗れたトゥーフェイスは拘束される間際、投稿の台詞を言い放つ。それは、常に「排除すべき異常人格」と見做され、ついに一つの個性として認められることのなかった、ハーヴィが発した心の叫びのように思える。  そして、彼を捕えたバットマンも、その後、法を破って犯罪者に私的制裁を加え続ける「排除すべき異常人格」として、世論に追い詰められていく……
 このセリフは「平均から外れた自分」が社会に理解してもらえない悲しさ、怒りを端的に表現した名文句だと思います。大多数と違うという理由だけで、大した検証もなされずに退けられる人や考えを見るのは、何ともやるせないものです。それが自分でも、他人でも。
 もちろん、理解してもらえないからといって、法を犯してもいいということにはなりませんので、現実の世界では、何とか大多数に折り合いをつけて生きなきゃいけないんだと思いますが。大統領の指示を忠実に守り、命令とあらば戦争にも参加することで、活動に対する政府の承認を得た、同作中のスーパーマンのように。

駄弁者:
 フランク・ミラー作ということは、アメコミ版の方ですね。
 ご投稿のセリフは、平均から外れた自分を理解してもらえない怒りもあるのかも知れませんが、それより自分の外面だけを見て愛想よくしてみせる周囲の人間の偽善に対する苛立ちというのが大きいように感じました。



なんという飛翔! 美について百万言の形容詞を並べ立てたとて、あの姿を賛美しきれるものではない! だが私はあえて言おうただ一言。これこそまさに……美しい。

 出典: 首藤剛志脚本・湯山邦彦監督「戦国魔神ゴーショーグン 第26話(最終回)『果てしなき旅立ち』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 ついにドクーガの本拠・スイスはローザンヌ湖畔で、今まで関わり合った人々と反ドクーガ活動を支持する人々の前で雌雄を決するドクーガとゴーショーグン。
 すべてが終わり、超エネルギー・ビムラーと一体化したケン太とともに、宇宙へ旅立つゴーショーグンを見守る真吾たちゴーショーグンチームとドクーガ3幹部。そんなゴーショーグンを讃えたブンドルの言葉です。
 首藤剛志氏追悼ということで投稿させていただきます。当時少数派になりつつあったヒーローロボットアニメを捻りまくった設定とソフィスティケートされた描写で洒落た作品に仕上げたセンスには今でも頭が下がります。ご冥福をお祈りいたします。

駄弁者:
 追悼には少し遅れましたが、順番飛ばしで掲載させていただきます。
 故・塩沢兼人さんの声でこのセリフは、ハマリまくりですね。



生物が恐ろしいか、ジェニー? 政府はもっとだ。

 出典: インポッシブルピクチャーズ制作「恐竜SFドラマ プライミーバル 第3章第4話『Gレックス暴走』」(古瀬由紀子訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 英国各地に発生し、古生物から未来の生物まで現在に送り込んでくる「時空の亀裂」。政府は亀裂を発見したカッター教授らをメンバーとして対策チームを結成するが、亀裂を自由に行き来するカッター教授の前妻・ヘレンや亀裂から現れる生物を利用しようとする政府のエージェント等が暗躍する。果たして対策チームの運命は?
 ヘレンの陰謀でカッターが暗殺され、広報担当のジェニーが指揮を代行することになるが、元MI6のクリスティンが暗躍する。対策チームのバックアップを担当する内務省の役人、レスターはクリスティンの策謀の調査を約束するが……。
 これは第4話ラスト、ジェニーに告げたレスターのセリフです。当初レスターは威張りくさった役人でカッターたちを白眼視していたものの、徐々に彼らを信頼するようになるというなかなかいい役なのですが、よくあるセリフも彼みたいなイギリスのお役人に言われるとなんかこう実感があるというかなんというか。

駄弁者:
 中国風に言うと「苛政は虎よりも猛し」といったところですか(…いや、ちょっと違った)。
 しかし孔子が言うとマジメに聞こえますが、イギリス人の言葉だと思うと、どこかブラックユーモアに聞こえてしまいます。



「なにを言う。俺はいつも、こうした無益な戦いには反対している」
「そうだっけ……?」
「そうだ。無計画な素人同士の戦いには、俺は断固反対だ。(以下略)」

 出典: 賀東招二「放課後のピースキーパー」  『どうにもならない五里霧中?(フルメタル・パニック!)』に収録

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 公園を巡る小学生の集団同士の紛争解決を依頼された相良宗介と千鳥かなめの会話の一節です(どちらが、どちらの科白かは言うまでもないと思います。)。
 小学生が戦争のプロだったら戦ってもいいのか、という突っ込みは置いておくとしても、戦争バカ呼ばわりされることの多い宗介といえども無益な戦いには反対なのだな、と思いました。かなめでなくとも意外に思うでしょう。本当に無益な戦いは止めるべきだと思います。(もっともこの後、最初こそ話し合いでの紛争解決を目指した宗介ですが、最終的解決方法(ネタバレにつき省略)は、やはり宗介なりのやり方でした。)

駄弁者:
 プロの傭兵に言葉を返すようですが、「無益な戦い」と「無計画な素人同士の戦い」は違いますよね? 利益のある戦いを無計画にやって失敗することもありますし、無益な戦いにプロが綿密な作戦を立てて臨むことだってあるでしょうし。
>最初こそ話し合いでの紛争解決を…
 ちなみに話し合いでの紛争解決の極意はこちら



ぬいぐるみ衆に負けたとあっちゃあ、ほかの極道に舐められる。この渡世、シノいでいけねえんだよっ!?

 出典: 賀東招二「仁義なきファンシー」  『どうにもならない五里霧中?(フルメタル・パニック!)』に収録

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 警察は犯罪者に云々、という名文句がありますが、やくざの世界の迷文句ではないでしょうか。確かに、極道は舐められてしまっては、シノギができません。でも、勝てない戦争に突入する位なら、戦争は避けるか、戦争に勝てるように準備は整えるべきではないでしょうか。
 美樹原組のボン太くん7匹に、菅沼組長率いる龍神会の40人の組員が拳銃等を持って戦いを挑むのですが、余りにも勝算のない戦いでした。上記は戦いの最中の菅沼組長の捨て台詞ですが、この戦いの結果、龍神会は壊滅し、組員の多くは余りにも一方的な戦いにうわごとをつぶやくようになり、ぬいぐるみ風情に潰されたと上部組織からは破門される、と悲惨な結末に。本当に戦いを避けるか、勝てるように敵の情報収集をきちんとやっておくべきではなかったか、と思うのです。

駄弁者:
 情報収集によって勝ち目がないと分かったとしても、ぬいぐるみ衆にビビって戦いを避けたあっちゃあ、やっぱり舐められてしまいますね。
 男には負けるとわかっていても戦わなければならない時があるんですよ…たぶん(笑)。



人間というものは、自分に似ているものを嫌う。
しかもそれが女性の場合はなおさらである。
その上自分の欠点が似ているものなど、絶対に認めようとしない。
なぜなら、本当に自分の欠点を知り、それを認めている人間など、めったにいないからである。

 出典: 筒井康隆「サディズム」  『短篇連作 心狸学・社怪学』に収録

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 今回のテーマは「人間そっくり」。でも、ロボットについての名文句ではありません。
 押井守監督の「イノセンス」には「なぜ彼ら(ロボット全般)は人の形、それも人体の理想型を模して作られる必要があったのか。人間は何故こうまでして自分の似姿を造りたがるのかしらね。」という名台詞があります(第224集参照)。で、私が今まで読んだり観たりしたSF作品の中で、「イノセンス」の名台詞に対する解答として私が一番しっくりきた文章が、投稿の文句です。ま、女性の身としては、少々釈然としない部分もありますが。とはいえ。
 「no one is perfect(欠点のない人間はいない。)」という映画の名台詞があります(B.ワイルダー「お熱いのがお好き」)。で、この名台詞をふまえて投稿の文句について考えてみると、ちょっとコワイもの、イヤーなものを感じませんか?もしかして「理想的な人間」そっくりなロボットを創ろうとする、人類の長年の情熱は「決して自分がなることができない理想の自分」を創り出そうとする、人類の見果てぬ夢の証なんじゃないかしら………ってのは、きっと私の思い込みすぎですよね、うん、きっと。

駄弁者:
 精巧なアンドロイドをダッチワイフとして売っている会社に、タレントの鳥羽久代が怒鳴り込んできた。自分に似せたダッチワイフを勝手に売り出しているというのである。果たして、呼び出されてきたアンドロイドは、見た目も所作も鳥羽久代にそっくり。だが、それを見た鳥羽は、自分には全然似ていないと言い出した…。その理由は、まあ上のようなわけです。
 「女性の場合はなおさらである」とありますが、これについてはあまり男女差は関係ないように思います。少なくとも私は、自分に似ているアンドロイドがあったら大嫌いになることでしょう。
 (鳥羽女史とは違って)それが自分に似ていることを認める程度の率直さは、あると思いたいところですが。



穴があったら突っ込むのが男ってもんだろうが!

 出典: 永井豪・石川賢原作「新ゲッターロボ」

紹介 :シバン 様
HP :

コメント:
 OVA新ゲッター第5話より。
 この作品の敵は鬼。鬼は鬼獣という巨大生物を操り、渦型ワープホールを使って異界から早乙女研究所に来襲する。
 この話で、ゲッターは天空から来た鬼獣を一旦仕留めたのだが、そいつはすぐに復活。
 渦を呼び出してそこから逃げようとする。
 それを見た流竜馬はこの台詞とともに、その渦に突っ込んでいく。
 何というか………「誰がうまいこと言えと」としかいえんな………。
 この下品さと男臭さが石川作品のテイストではあるし、自分は好きなのだが。

駄弁者:
 そしてボタンがあったらいじってみたくなり、豊かな山の連なりには挑んでみたくなるものです。
 自分で言ってて恥ずかしくなってきましたが…こういうセリフを口にするには、ご投稿の文句のような勢いが必要かも。



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第240集を見る 感想を書く(文句toめい文句) 第242集を見る