SF名文句・迷文句第306集

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弾体加速装置出力最大 マナーモード解除

 出典: 弐瓶勉「バイオメガ」

紹介 :とうあじゅうこう 様
HP :

コメント:
 この作品の主人公である東亜重工製合成人間「庚造一」が、拳銃型の武器「弾体加速装置」を出力最大で放つ際に、彼の網膜に表示されたメッセージ。
 この武器は小さな見た目に反して装甲服や戦闘機ですら一撃で貫通してしまう上、特殊な射撃機構のため通常時はほとんど音が出ず、彼がこの銃を連射するときは「カチカチカチカチ」などとクリック連打しているような音しか出ません。 しかし通常状態では通用しないような相手に対しては、このように出力を上げて挑む必要があります。その際には「バギン」などと大きな音が出るため、「マナーモード解除」と表示されるのでしょう。
 しかし銃で撃つのに「マナーモード」とは…彼はこの銃で不意打ちのような真似を結構やっているので、なんだか「マナー」と言われても疑問に思います。ちなみにこのメッセージが出たシーンでは、潜水艦に乗り込もうとする敵部隊を背後から襲撃し、無音性と連射性と銃の腕を活かして気づかれぬままに大勢の敵兵士をヘッドショット。その後振り向いた巡回査察員(以前一度打ち負かされた相手)の頭を出力最大で吹き飛ばしています。

駄弁者:
 2つご投稿をいただきましたが、こちらを掲載させていただきます。東亜重工と言えば、この方の前作にも名前が出てましたね(同一世界観ではないとのことですが)。
>大きな音が出るため、「マナーモード解除」
 出力を抑えて脳漿とかまき散らさないようにするのもマナーなのでは。



「わたしはあなたの奴隷です。どんな命令にも……」
「這っておいで、ユアン」彼女は言い、立ち上がってゆっくりドレスのボタンをはずした。
「頭が高いぞ、卑しい蛆虫め。『這って』おいで……」

 出典: デイヴィッド・ウィングローヴ「苦力の時代 (チョンクオ風雲録14)」(野村芳夫訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 <ヨーロッパ>名家の次女、ドラゴンハートことシュン龍心(ロンシン)。
 彼女は皇太子李コアイレンと自分の姉の結婚を混乱させるため、付き添いとして王宮へ向かい、そこで目論見通り李ユアンの目にとまる。婚約者のために一線は越えられないといいいながら、若い肉体とプロ顔負けのテクニックで李ユアンを物にした彼女に、思いもよらぬ知らせが届く。ユアンが権力を笠に婚約を解消させて、彼女を皇后に迎えたのだった。
 周囲の混乱をよそに、二人はユアンの執務室で、一夜を過ごす。
 このときまで、ユアンはコアイレンに譲位し、権勢欲のバケモノと化したペイ・コンもろとも引退して世界に新時代をもたらそうとしていたのに、女の色香で全てが台無し。
 結果、コアイレンはかつての遊学先であり恋人マーク・イーガンのいる北米に引きこもり(二人は同性愛者)、ペイ・コンは手勢を率いてヘルシングボリ(スウェーデン)に立てこもる。ユアンの最大の弱点は若い女と作中で言われていたのを、実証してしまった。
 ユアン、これで4回目の結婚ですが、いずれも恵まれた結婚生活には縁がありません。
 最初の妻は不義密通のため離縁(相手は北米のタン、武シー)、2番目の妻たち(3人)は、テロで失われ、3番目はペイ・コン、で4番目がこれ。
 皇后ともなれば、普通の人間では務まらないでしょうけど、作者はもう少しユアンに優しくしてやって欲しいもんです。

駄弁者:
 えーっと、社会的地位の高い方がM奴隷に目覚めるのは定番かも知れませんが…。ブタや犬を通り越して蛆虫呼ばわりは、あんまりです。
 昔は利発なお子さんだったのになあ(って、これも前に同じことを書いたような)。



おくさん、エスペラントで話してくれませんか。エスペラント、エスペラント…わかりますか。

 出典: 瀬川昌男「火星地底の秘密」

紹介 :中島誉 様
HP :

コメント:
 時代は21世紀。火星移民船第13マルス号の乗客であるわんぱく6人組は、退屈の余り着陸船探検に出かけ、お約束通りボタン一押しで着陸船を発進させてしまいます。マルス号は大騒ぎになりますが、そこに金髪の婦人がドイツ語でなにか叫びながら飛び込んできました。宇宙で外国人と話すときにはエスペラントを使うのがエチケット。ドイツ語が分からない船長が婦人をなだめたセリフです。娘さん+ペットのネコも行方不明?
 エスペラントが宇宙標準語…そんな時代は訪れそうにもありませんが、「外国人と話すときにはエイゴがエチケット」などと言われないで済むのは案外良い時代なのかもしれません。

駄弁者:
 金の星社から出ていた「少年少女21世紀のSF」中の一作。なつかしのジュヴナイルシリーズです。
 著者の他の作品でも、よくエスペラントが登場していたとのことで、エスペラントを扱ったサイトでも紹介されていました(作家 瀬川昌男とエスペラント)。該当部分の抜粋も出ていますが…金髪のご婦人も、ちゃんとエスペラントで答えていますね。



⇒しばし、たたずむ

 出典: IREM製作「R-TYPE Tactics」

紹介 :リリル 様
HP :

コメント:
バイド(R-TYPEシリーズにおけるエイリアンのようなもの)を殲滅するため、
本星へと向かったとある提督の率いる部隊がいた。
彼らは本星のマザーを撃破したが、取り込まれバイド化してしまう。
しかし、彼らはそれに気付かずに地球へ進む。
立ちはだかる地球軍を蹴散らし地球へと帰還した提督。
そこで、自分が”何”かを理解してしまった提督の、
記憶の残滓の最後の一文。

駄弁者:
 前に同じ作品の、提督(たち?)のメッセージがご投稿にありました。
 先のご投稿(シナリオが異なる?)では、提督は地球に帰る前に自分がバイド化したことに気づいていたようですが…。
 帰りたいだけなのに同胞から銃を向けられるのも悲痛ですが、帰還してしまってから気付くこちらも悲痛ですね。



巽ダイモン「戦士の魂とは、戦士の戦う意思!」
ゴウキ「そんな大切なものを戦士が失う事は絶対にない!」
天宮勇介「もう二度とお前に喰われる事は無い。そうだろう!?」

 出典: 東映制作「百獣戦隊ガオレンジャーvsスーパー戦隊」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 スーパー戦隊シリーズ25作目の百獣戦隊ガオレンジャー。毎年恒例になった戦隊vsシリーズでは、2記念作品として歴代スーパー戦隊から選ばれたドリーム戦隊との共演になった。これ以降も30作目のボウケンジャーで同様の作品が作られ、35作目のゴーカイジャーではTVシリーズでも先輩戦士達との共演が実現している。
 かつて強すぎる自分の力で自分の角を傷つけてしまい、眠りについていたはぐれハイネスのラクシャーサ(オルグは鬼をモチーフとした敵。二本角の一般オルグの上に一本角のデュークオルグがおり、さらにその上には一本角でデュークオルグよりも強いハイネス・デュークがいる)。デュークオルグのヤバイバとツエツエは彼を蘇らせるために必要な戦士の魂を捧げるため、ガオレンジャーをおびきだした。ラクシャーサに戦士の魂を喰われたガオイエロー、ガオブルー、ガオブラックは戦意を喪失。ガオレッドは3人を連れて逃げるようガオホワイトに言い、たった一人でラクシャーサと戦う。
 戦士の魂を失って臆病になった3人と、そんな彼らを見て無自覚に絶望していた大河冴(ガオホワイト)。そんな彼らのGフォン(携帯電話型変身アイテム。意思を持ち動く事も可能)が突然去ってしまう。慌てて後を追った先で、鷲尾岳(ガオイエロー)は超獣戦隊ライブマンの天宮勇介(レッドファルコン)、鮫津海(ガオブルー)は救急戦隊ゴーゴーファイブの巽ダイモン(ゴーイエロー)、牛込草太郎(ガオブラック)は星獣戦隊ギンガマンのゴウキ(ギンガブルー)、冴は電磁戦隊メガレンジャーの今村みく(メガピンク)とジャッカー電撃隊の番場壮吉(ビッグワン)にそれぞれ出会う。そして先輩戦士に鍛えられたり、諭されたりして彼らは復活。ラクシャーサの精神攻撃に対抗し続ける獅子走(ガオレッド)の元に向かう。
 十字架に囚われていた走が冴と壮吉とみくに救出された直後、岳と海と草太郎も到着してオルグと戦う。三人が戦える事に驚くラクシャーサに、駆けつけた三人の先輩戦士は投稿の台詞を叫ぶ。最後の「そうだろう!?」は岳達に言った言葉であり、言われた三人は当然のように肯定した。

駄弁者:
 「戦士」であることを前提とするんじゃなくて、一度失った魂を取り戻したからこそ「戦士」として称えられるのだという方が、好感がもてるんですが…って、前にも似たようなことを書いてましたね。
 ところで、たくさん出てくるコメントの登場人物の中で、姿を思い浮かべられるのがジャッカー電撃隊だけということに頭を抱える思いです(笑)。



われわれの善意は、すべての選択肢が悪となるような状態を作ってしまったんです。

 出典: ジャック・キャンベル「彷徨える艦隊 8」(月岡小穂訳)

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この巻でいきなり宇宙人が3種類に増えるのですが、その中の1つベア=カウ族は草食動物から進化した宇宙人でした。そしてアライアンス艦隊が戦闘の末に何人かの捕虜を確保し、意思の疎通を試みるのですが、人類が雑食なのを知っているためか、捕虜は人類が自分達を食料として確保したと誤解したらしく、覚醒すると自殺してしまいます。それを防ぐために艦隊に配属された医師団は鎮静剤を捕虜に投与して覚醒させまいとするのですが、ベア=カウ族の生態が不明のために鎮静剤の量の加減が出来ず、少しでも誤ると今度は鎮静剤の過剰投与で捕虜を死なせてしまうのです。
 上記の文句は、その状況を艦隊司令官の主人公に説明する医師の科白ですが、何とも言えない苦渋に満ちた科白だなと思いました。「地獄への道は善意で舗装されている」という名言がありますが、それを想起しました。草食動物であるベア=カウ族が人類を誤解するのはやむを得ないかもしれませんが、それにしても善意でなした行動が悪い方向でしか返ってこないというのは何とも言えないものがあります。

駄弁者:
 別のSFで草食動物から進化した異星人は、人類の出自や好戦傾向を恐れつつもフロンティア・スピリットを高く評価してくれたものですが。そう前向きにとってくれるとは限りませんね。
 しかし生態が不明の異星人に薬を投与するというのは、善意以前に選択肢として取ってはいけない行為だと思うのですが…。



師範「勝利を考えれば、その反対の結果を考えずにはおられぬはず。…(中略)… だが、敗北を考えれば、せっかく工夫した勝つための算段に影響して混乱を来たすだけ。」
ホットロディマス「なるほど、ではどうすればいいんです。」
師範「無の境地で運命に従う事でしょうな…おわかりかな?自らの果たすべき義務を棄てる者は!その時すでに敗れておる!!」

 出典: マーベル・プロダクション、サンボウプロダクション製作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010 『重すぎた使命』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
「考える事をやめるんだな。」
「勝とうと思ってはいかんし、負けると思ってはいかん。」
「考える事をやめるんだな。」「何一つ望むな、『無』だよ。」
 強くなる事を焦る門弟の少年に上記の言葉を与える剣道師範、門弟達が帰った後の稽古を見学していたホットロディマス(何と正座して!)と彼の中の迷いを見抜いた師範との会話が投稿の台詞。
 マトリクスを奪われたのを機に司令官の責任から逃げ出したロディマスは師範の言葉に己とその使命を取り戻し、マトリクスを体内に取り込んでガルバトロンすら凌駕する怪物と化したスカージに圧勝、マトリクスを再び受け入れて司令官ロディマスコンボイとしてサイバトロンの仲間の元に帰還するのです。
 米国産ヒーローを追い詰めたのが日本の政府関係者ならそのヒーローを立ち直らせたのが日本の東洋思想というのが日本人としては少し複雑なものがありますが、ここいら辺の「スタートレック」や「燃えよカンフー」を折衷させたような東洋思想を西洋の合理主義に基づいて消化・解釈して見せた上でのディスカッションドラマは見応えありますし、やや影の薄い印象のあるロデイマスの主役編が彼の成長劇というのはやはり嬉しいです。
 それにしても「ザ・ムービー」といい8話といい本エピソードといい、ロディマスてマトリクスが無い時の方が主人公らしいよなあ…。

駄弁者:
 「私にいい考えがある」のコンボイの後を継ぐには、いい考えさえ考えず、無にならなければ!…ちょっと違うか。
 しかし本当に拗ねてしまっていたら、「なんで自分が義務を負わねばならないんだ」と思っているのに「義務を捨てず無になれ」では納得できなかっただろうから、結局ロディマスも、合理的な回答より自分の感情の落とし所が欲しかったんだろうなあ。



「あの子がただのIBMだったときから知ってるのよ」ヘイター=ロスはつぶやき、紅茶をひと口飲んだ。

 出典: ジョン・スコルジー「アンドロイドの夢の羊」(内田昌之訳)

紹介 :TEAM NORTH-MOAI(R) 様
HP :

コメント:
 ジム・アーウィンがジェネシス・ロックを発見した時そこに「神」を見たそうですが、私はこのセリフを読んだ時「名文句の神の声」を聞きました。「投稿せよ」と。

そんな事はさておき。
 人工知能にも他の人工知能に「あいつは頑固者だ」とか「アレはワシが育てた」とか「さんをつけろよデコ助野郎ォ!!」とか考えるもんでしょうか?
 更に「俺はIBM育ちだから」とか「気象庁の機械は広くていいなぁ」とか考える位でないと一人前じゃないんでしょうか?
 本編では実際の脳の量子レベルスキャン情報から構築した人工知能でしたが、それはそれで肉体に関する欲求をどう処理しているもんだか、、、。
 あ、本編は一言でいうと「自縄自縛」です。

駄弁者:
 やや久しぶりのご投稿になりますね、ありがとうございます。そういえば、前もスコルジーでした。
>アンドロイドの夢の羊
 タイトルは当然あれのオマージュですが、内容は…あんまり関係なさそうですね。人類と異星人の関係は、むしろ作者の前作「老人と宇宙」シリーズを連想させます。
 それにしても、IBM…PC/AT互換機から成長して人工知能になるんだろうか。



オレの名は、カーロス・マウリシオ・ダ・シルバ、火星人だ。
…(中略)…
<コネ:どこかのキャスト>

 出典: 丹藤武敏/F.E.A.R.「トーキョーN◎VA リプレイ『火星人故郷に還る』」

紹介 :黒竜王V 様
HP :

コメント:
 約14年前、その男は衝撃的な名乗りと共に人々の前に登場し、以来多くのキャスト(このゲームにおけるPC)の前にゲスト(NPC)として陰に日向に現れ、活躍してきました。
 そして、彼、カーロスが14年ぶりにキャストとして立ち向かうのは293集の堂島とその部下達。
 その傍らには“身に覚えのない”彼の娘、共に立ち向かう三人のキャスト。
 そして、何本ものシナリオに出演した時に出会った、かつてあなたがプレイした、あるいはこれからプレイするであろう名も知らぬキャスト達。
「火星じゃ日常茶飯事さ」
彼は、何時ものようにこう呟きながら、事件に立ち向かうのです。
 ……なお、本当に〈コネ:どこかのキャスト〉を使って攻撃を回避しています。

駄弁者:
 カルメンならぬカーロス故郷に帰るですか。…あるいはゴ―ホームの方が元ネタかな?



「これは喜劇か、それとも悲劇?」
戦争のことをいってるんじゃない。なにもかもすべて――わたしたちの人生と歴史とシェイクスピア。そして、連続体。
ポリーは彼に笑みを向けた。「喜劇です、わが君」

 出典: コニー・ウィリス「オール・クリア2」(大森望訳)

紹介 :司書の駄弁者
HP :

コメント:
 先日やっと完結編の翻訳が刊行された、コニー・ウィリスの大長編より。
 第二次大戦中のイギリスを現地調査するため、過去に「降下」した2060年のオックスフォード史学生、ポリー、アイリーン、マイク。空襲などの危険にさらされたり、以前に降下したときの自分と時代がかぶらないよう短期間の滞在になるはずが、なぜか未来に戻る「降下点」が開かない。3人は無事に元の時代に戻れるのか…。『ドゥームズデイ・ブック』や『犬は勘定に入れません』と同じ、「オックスフォード史学部」シリーズです。
 ロンドン空襲を調査するポリーは、防空壕で著名な老シェイクスピア俳優サー・ゴドフリーと出会います。デパートの売り子(に変装している)に似合わずシェイクスピアなどの古典に堪能なポリーと、サー・ゴドフリーは互いに好意を抱きます。二人は戦時下の人々を慰問する素人劇団のボランティアで活躍するのですが――ポリーは未来に帰れないトラブルを抱えていたのでした。
 投稿の一節は話の終盤、二人が別れる場面より。万感の思いを込めたやりとりです。コニー・ウィリスは、物語の脇を固める登場人物がどれも魅力的なんですよね。



「申し訳ありません。図に乗りました」
「乗りこなしなさい」

 出典: 荒川航監督・脚本「ファイアボール チャーミング 第1話『ブートストラップ連続体』」

紹介 :アーサー・エリス 様
HP :

コメント:
 はるか遠い未来。人類は世界の統治をロボットたちに委ねていた。しかし、ロボットたちは時が経つにつれ貴族的に振る舞うようになり人類はこれに反発。人類の軍隊と貴族化したロボットの戦争が始まって、すでに二万年が経過しようとしていた。
 人類との和平を目指しながらも、道半ばにして没したウラノス国テンペストの領主ヴィントシュティレ卿には一人娘のドロッセルがいた。住まいであるテンペストの塔から一歩も外に出たことのない彼女は今日も、執事のゲデヒトニス、そして亡き父の残した膨大な人類についての手記から人類とは何か、そして父が目指した「人類との和解」への道程を学んでいく…。
 と、真面目なストーリーを書いてみましたが実は本作はシリアスさがカケラ程度しかない短編アニメだったりします。一昔前にアニメ界を席巻した「日常系」とでも言えばいいのでしょうか…ちょっと違う気がする。
 基本的にはゲデヒトニスとドロッセルの噛み合わないずれた会話と妙なやり取りが作品の殆どと言ってよく、更にそこに「銀河ヒッチハイク・ガイド」やら「オズの魔法使い」やら、小ネタを随所に仕込んだ内容となっています。
 今回投稿する文句もそんなずれたやり取りの一つで、無学なドロッセルを少しからかったゲデヒトニスの謝罪に対してのドロッセルの一言。この切り返しは一話にして僕のツボにクリティカルヒットしました。図を「乗りこなせ」とは。こんなシュールなやり取りや小ネタにニヤリとできる人なら本作はかなり楽しめるでしょう。

駄弁者:
 前のシリーズは全部見ました(無料で見れたので…)。お嬢様と執事の軽妙かつ妙な会話には、私もずいぶん笑わせてもらいました。
 それにしても乗ったり高くなったり、「ず」が好きな執事だな。



でもよ
なんでその米
くわねえんだ
死んじまったら
元も子も
ねえやんか

 出典: 武論尊作・原哲夫画「北斗の拳 第2話『怒り天を衝く時!の巻』」

紹介 :電撃翼 様
HP :

コメント:
 核戦争で文明が滅び去り、暴力が支配するようになった世界を描いた、バイオレンスアクションヒーローの金字塔より。
 ケンシロウとバットは荒野を移動中、悪党の群れに追われる老人を発見します。バットの制止を無視し、ケンシロウは悪党を蹴散らして老人を救出、老人はケンシロウに自分の荷物を村に届けてほしいと頼んできました。その荷物とは、手のひらほどの大きさの袋に入った種モミでした。
 投稿の台詞は、その種モミを見たときのバットの一言より。
 この言葉に対し、老人は語ります。
「いや 今ある食料はいずれ消える
 だが…だが……その種モミさえあれば米ができる
 毎年 毎年 米ができるんじゃ
 だれもがみんないつまでも生きていくことができる
 そうすればもう食料を奪い合うこともない 争いもなくなる
 今日より明日なんじゃ」
 この言葉に動かされ、ケンシロウは老人を種モミとともに村に連れ帰ることを決意するのでした。
 農業を復興させ、食料の安定供給を通じて平和を創造する「明日」を見つめる老人と、物心ついたころから「今日」の食料を奪い合う生活が当然だったバットとの対比から、文明崩壊によって人間の価値観や物の見方が激変したことが窺い知れる一幕です。
 その夜、ケンシロウは老人の言葉を反芻し、こう呟くのでした。
「久しぶりに人間にあった気がする…」
 バトルアクションものとして知られる北斗の拳ですが、初期の頃は間違いなく、文明崩壊後に人間はどう変化するのかを描いたSFだったのです。

駄弁者:
 そう言えば、北斗の拳の世界は、核戦争から何年後という設定だったんでしょう。トキがケンシロウやユリアを核シェルターに入れて自分は残るシーンがあったと記憶しているので、何十年も経ってはいないと思うのですが…。農業の記憶が薄れるの、ちょっと早すぎやしないか?



儂達には輝かしい未来はない
永遠を与えられた代わりに過去も未来も奪われた
しかし子供たちのパワーを使えば未来が掴める、その可能性を感じさせてくれる

 出典: テレビ東京・NAS・スタジオぎゃろっぷ制作「トランスフォーマー カーロボット 39話『最後の戦い!ファイヤーコンボイ』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 (放送当時は)特にどのシリーズとも繋がりのない番外編的な作品
 地球のコアで繰り広げられるゴッドファイヤーコンボイとデビルギガトロンの最終決戦、デビルギガトロンは地球を狙った理由を語る。
 永遠の命を持ち誕生した時点でメンタル面の完成されている超ロボット生命体トランスフォーマーは過去の自分が永遠に続くことを意味していると考えそれを打破する為に人間の子供達の持つ無限の可能性を利用しようとしていた、そして皮肉にもデビルギガトロンは自身が得ようとしていた世界中の子供達が生み出した未来のパワーの塊である「ゴッドファイヤーソード」で敗れ去ったのだった
 機械生命体のボスというのは人間を下等種と見下しているイメージが強いのでこういった目的を持ったギガトロンは斬新だと当時感じました。

駄弁者:
 人間は永遠に憧れますが、永遠が前提になっている機械は、変化に憧れる。自分にないものを求めるというのはベタですが、真理なのかも。



「……熱いなぁ、あんた。メキシコに吹く熱風みたいだ」

 出典: 田中天/F.E.A.R.「ダブルクロス リプレイ・トワイライト 帰ってきた快男児」

紹介 :黒竜王V 様
HP :

コメント:
「まぁ、行ったことないけど」
“東方の快男児”天花寺大悟の活躍を描くリプレイの外伝作品より。
マレーネ・ディートリッヒをさらうためジョー・ディマジオをマウンドに沈めた、ナチのメキシカンスタイル・レスラー、その名もナチ・マスカラス。
この愛すべき強敵が大悟と最初に組み合った時の台詞です。
 この後ナチ・マスカラスは“アメリカンドリーム破壊作戦”と称してジョー・ルイスやT型フォードを倒し、野球を見に行きたい子供にプロレスを見に行く金を渡したりします。

駄弁者:
 意識したことはなかったですが、メキシコのレスラーでしたねえ。「空中殺法」のミル・マスカラスなんて今日び知ってる人少ないだろうと思ったら、数年前の試合にも出ていたそうで…年齢幾つなんだ。
 「ナチ」・マスカラスなら、どこぞの少佐に吸血鬼化してもらえるのかも知れんけど。



「予測されぬ損耗は即座に補充される」
「即座にですよ」とフォスター君は繰り返した。「最近の日本の震災のあとでどれだけぼくが超過勤務しなきゃならなかったか、それをきけばびっくりなさるでしょう!」彼は上きげんに笑って首をふった。

 出典: オルダス・ハックスリー「すばらしい新世界」(松村達雄訳)

紹介 :好古真之 様
HP :

コメント:
 執筆時期(1932年)的に関東大震災を念頭においた描写なのでしょうが、日本人としては愉快ではないですな。
 本書のディストピア性を象徴する会話として、あえてめい文句として投稿させていただくものであります。
BGM:「I.B.W.-It’s a beautiful world-」爆風スランプ

駄弁者:
 ご投稿は作品の冒頭、人間の出生を管理する「人工孵化所」を案内する所長とフォスター君の誇らしげな様子より。つまりは補充される「損耗」とは…。
 この作品、管直人元首相の愛読書だったそうで。権力や科学技術に対する疑念が基本となっている話だと思うのですが、それを座右の書としていた人が先頭になって権力をふるう立場にたつというのも皮肉なものです。



青年のころに思い悩んだ死と、天寿をまっとうする前の老人の考える死との間には、ちがいがある。

 出典: 星新一「最後の地球人」  『ボッコちゃん』に収録

紹介 :トオコ・モリエ 様
HP :

コメント:
 SFは、センス・オブ・ワンダーだ、ってことで。
 「死と新生」続き。今回は、日本SF御三家の代表SS作品集から。出生率の低下から滅亡に向かう人類を描写した行を投稿しました。うーん、そーかなー。それは確かに、第161集のTEAM NORTH-MOAI(R)さんのように考えていらっしゃる方もおいでかも知れませんが、だったら、不老不死を望む老人は人類の歴史上いなかったことになりますよね。それに私の住んでいるところにある市立図書館には「闘病記コーナー」なるものがあるんですが、ここの本の種類と量の多さときたら、結構凄いですよ。ついでにいうと、その中には「見苦しくなく老衰死をむかえるには、どうするべきか」というような内容の本もあったはずです。
 やっぱり、年齢に関係なく、大概の人にとって『死』とは、あまり容易い問題ではないように思われます。勿論、私もそうですけど。

駄弁者:
 この文章がさしているのは種としての人類の死なので、個人の死とはまた違いがあるのでしょうが、個人の死と限ったとしても、やっぱり老若の違いはあるでしょう。若い頃から老衰について考える人もいるでしょうが、急病や事故死を第一に考えるほうが多いだろうし。
>市立図書館には「闘病記コーナー」なるものがあるんですが
 めい文句とはあまり関係ないですが、それ最近の図書館のトレンドです。通常の分類順だと他のエッセイやルポルタージュと混ざってしまうのを別置して、闘っている病気の種類ごとに並べてみる、という。



「お前あと何段階変身できるんだよ?」
「調子に乗るなよ小僧。我は変身を重ねるごとにパワーアップする。しかもその変身をあと二回も残しているのだ」
「じゃぁあと二回撃てばいいんだな」
「ちょまゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 出典: なめこ印「俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!?」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 この小説の主人公「波乱烈火」は、変な事件(それも大抵世界レベルの)に巻き込まれる血筋で、この第1巻で早速、3つの事件に巻き込まれます。その内の1つが魔王が復活した異世界に勇者として召喚されて魔王を討伐するという事件なのですが、魔王との決戦の際の魔王との会話の一節です。ちなみに烈火は別のヒロインの宇宙人から預かったレーザー銃で魔王と戦いました。
 異世界の魔王とはいえ、レーザー銃を駆使する勇者とは戦ったことがなかったみたいでレーザーを阻止することはできず倒されるのですが、それにしても何とも間抜けな負け科白乱発の魔王だな、と。悪の変身ヒーロー等で何段階も変身して強くなるのって、それで勝てた例がなかった気が。更に烈火も何気に酷い気がします。魔王の口上に対して、じゃぁあと二回撃てばいいんだなって、容赦がないというか、どっちが悪役なのかと首を傾げてしまうというか。魔王ならずとも悲鳴を上げたくなります。

駄弁者:
 銃相手なら「戦闘力…たったの5か…ゴミめ」とか言いたかっただろうに、お気の毒。
 それにしても最近のライトノベルは、過去作品のパロディが多すぎないだろうか(昔からそう?)。読んでいない出典でもコメントがしやすいので楽っちゃ楽なんですが。



ヒロム!他の手って何だ?そいつは世界がエンターに支配されるまでに間に合うのか!?
リュウジ!ヒロムごとカードを消す覚悟ってのは、ただのカッコつけか!?
ヨーコ!お母さん達が命を削って守った世界がどうなってもいいのか!?なあ!よくねえよなぁ!?
ニック!ゴリサキ!ウサダ!お前達はどうなんだ!?
おいJ!J!J!…お前が言うとおり、世界ってのは面白え。面白えよ。だからよ…守ろうぜ、一緒に。なあ…

 出典: 東映制作「特命戦隊ゴーバスターズ Final Mission『永遠のキズナ』」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 13年前に亜空間に転送された研究者の一人、陣マサト。ビートバスターとなって帰還したと思われた彼だったが実はそれはアバターであり、本体は未だ亜空間に残っていた。実は転送された際に彼のデータに欠損が生じてしまい、彼の肉体は中途半端な状態のまま時が止まっていたのである。この欠損したデータはメサイアに取り込まれていたが、エンターがメサイアカードを作ったメサイアカード「7」に移ってしまった。そのことを知ったエンターは「7」を自身に取り込むことで、陣の命を盾にした。
 桜田ヒロム(レッドバスター)に埋め込んだメサイアカード「13」に自身のバックアップを残す事で、ヒロムが生きている限り不死身となったエンター。ヒロムは独断でエンターごと自爆しようとしたが、それもカードの防御機能に防がれてしまう。岩崎リュウジ(ブルーバスター)はヒロムの勝手な行動に激怒し、もし他に手が無いのならば自分がヒロムごとカードを消すと約束する。
 ヴァグラスの支配者となって本格的な侵攻を開始したエンター。陣はエンターを倒す手段があると言い、エンターごと亜空間に行く事を指示する。作戦は成功して亜空間へ転送されたゴーバスターズだったが、そこで明かされたエンターを倒す手段とは、『「13」にもエンターのバックアップとして「7」のデータが入っている。それを利用して「13」を陣の肉体に移す」というものだった。だが、それを実行すれば陣の肉体は耐えきれずに消滅してしまう。反対し、他の手段を探そうと言うゴーバスターズを陣は一喝した。

駄弁者:
 同じ「我が身を犠牲にする」のでも、桜田ヒロムとは多少状況が異なる…?
追記:ザタンゴールド様より以下の補足をいただきました。
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 ビートバスターこと陣マサトの肉体は既に死んだようなものであり、作中に登場した陣はいわば仮初めの肉体を得た魂のような存在です。陣は自分を元に戻す方法を探していましたが、それは不可能だったわけです。ちゃんと生きているヒロムを犠牲にするよりは死人のような自分が犠牲になる方がいいと判断した陣は、自分ごとメサイアカードを消すのでした。
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 肉体が既に死んだようなもの、と言っても決意の重さに変わりはないのでしょうね。



ちょうどいい機会だからはっきり言おう!
オレはもう銀河系の平和だとか宇宙の運命にかかわるのはごめんだ。
どうなろうと知ったことか、来る日も来る日もやれデストロン軍団だ、クインテッサだと息つく暇もありゃしない!
それもいつかは必ず終るっていうんならともかくこの戦いにゴールは無いんだぜ!
マトリクスを取り戻したいだと?結構じゃないか、取って来いよ。
でもそいつを付けるバカはもうオレじゃないぜ。
オレはもうゴメンなんだよぉ!!

 出典: マーベル・プロダクション、サンボウプロダクション製作「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010 『重すぎた使命』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 日本を舞台に繰り広げられるサイバトロンとデストロンの激闘、戦いはサイバトロンの勝利に終わったものの少なからぬ被害を出した事で(何と皇居前で!)政府首脳陣から「君達の存在そのものが被害を招くのだよ」と非難と糾弾を受けてしまいます。
「私の知った事か!自分らで片づけろ!!どうして何でも私の所に問題を持ち込むんだ!!!」溜めこんでいたフラストレーションを爆発させるロディマスコンボイ、カーモードで夜道を爆走していた彼はスタントロン部隊のデッドエンドとワイルドライダーとのカーチェイスの末、サイバトロン司令官の証マトリクスを奪われホットロディマスへと戻ってしまいます。
「オタクら少し考えすぎじゃないの?オレはオレ、オタクはオタクさ、マトリクスなんて関係ないね。」マトリクス奪回を進言するウルトラマグナスに飄々と無責任な返答を行い投稿の台詞を言い捨てて何処となく走り去っていくロディマス…。
 偶然マトリクスに選ばれた若き一戦士にすぎなかったロディマス(もともとコンボイ司令官が後継者に選んだのはロディマスではなくウルトラマグナスだった)にとってあまりにも重すぎたリーダーの責任、そして直接彼を追い込んだのがアメリカではなく日本政府というのが同じ日本人として肩身が狭くならざるを得ない程のリアリティーを痛感せずにはいられないこの身も蓋もないこの台詞。
 消えたホットロディマスと奪われたマトリクスの行方は…次回に続く。

駄弁者:
 われらのコンボイがグレてしまわれた…。
 サイバトロンのリーダーなんて重責には縁がないですが、望まない責任を押し付けられてキレるというのには共感できるところがあるなあ。



バーンズ「いまさらこの状況下ですべてをひっくり返せるような……奇跡的な切りフダをお前たちが持っているとも思えないが…な」
キンケドゥ「そうでもないさ! …(中略)… おれたちの切りフダはクロスボーンガンダムなんだっ!奇跡を見せてやろうじゃないか!」

 出典: 長谷川裕一「機動戦士クロスボーンガンダム」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 木星帝国からの最終攻撃が刻々と迫る中、軌道上の戦力はそぎ落とされ、地上の打ち上げ基地は木星軍によって破壊され、破滅を待つだけの地球。
 木星軍の特殊部隊員でクロスボーンの捕虜となったバーンズが、木星軍の母艦の弱点をトビアに打ち明けると、聞きつけたキンケドゥは笑みを浮かべる。
 ここで決意のこもった笑みを浮かべる(余裕ではない、せいぜいが空元気)キンケドゥが素晴らしくかっこいいんですよ。さすがは熱血マンガの雄、長谷川裕一。ここのやりとりにはほれぼれします。ちなみに奇跡を起こす方法はミサイルで直接MSを打ち上げるという非常識なものです(177集)。

駄弁者:
 映画「F91」のイメージでは、ガンダム主人公の割にいまいちキャラが薄いような感じだったのですが…成長したんですね。あるいは名前だけでなく性格までムリして変えているのか。



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