SF名文句・迷文句第326集

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「気持ちは分かる、スーパーパワーの異星人に仕事を取られたら私もいい気はしない」
「それは気の晴れる言葉だ…」

 出典: ワーナー・ブラザーズ・アニメーション制作「バットマン: ブレイブ & ボールド『スーパー・バットマン誕生?』」

紹介 : クロスケ 様
HP :

コメント:
 ある日宇宙でグリーンアローと共に戦っていたバットマンはワームホールに飲み込まれ見知らぬ地球型の惑星に不時着する。そこで強盗事件に遭遇しいつものように悪党退治をはじめる、しかし投げたバットラングはいつも以上の破壊力があり当たった壁を粉砕した。そしてこの惑星「ズー・エン・アー」のバットマンが現れる。迎え入れられたバットマンは共に悪党ロートルのロボット軍団と戦う。何故か驚異的な身体能力を得たバットマンは次々とロボットをなぎ倒す、ズー・エン・アーの大気によって地球人はスーパーパワーを得るのだった。バットマンは空を飛び素手で怪獣を倒し次々と事件を解決する。人々は新しいバットマンに夢中になった。普段は新聞記者をしているこの星のバットマン「テラノ」は地球のバットマンの活躍の記事を書き自分の仕事が奪われ面白くない。
 もうひとりのバットマンが地球からやってきた異星人だと見抜いたロートルは地球人の力を奪う「クオーツ」でバットマンを弱体化させる。間一髪のところをズー・エン・アーバットマンに助けられたバットマンは彼の調合した薬でスーパーパワーを捨て2人で力を合わせロートルを倒す。
 スーパーパワーに溺れた自分を恥じたバットマンは迎えにきたグリーンアローと共に地球に帰っていった
 スーパーマンになったバットマンですが今回の敵のロートルはスーパーマンの敵ルーサーの逆さ読みだったりします。

駄弁者:
 地球人最強の男がスーパーマンになったら知恵と鍛錬+超能力で無敵かと思ったら、そうでもなかった、と。まあ頷ける話です。
 このシリーズは「ジャスティス・リーグ」のようにバットマンとスーパーマンが同一世界観で共闘していたりはしないみたいですが、もしスーパーマンとすでに知り合っていたバットマンが同じような星に行ったとしたら、スーパーマンを反面教師にしてもっとうまくやれていたかも。



「ワタシハ ロボット デス…
 サイシンガタ デス…
 ギンイロ デス…」

 出典: テレビ神奈川制作(ディレクター菊谷宏樹他)「saku saku」

紹介 :猫玉 様
HP :

コメント:
 テレビ神奈川の音楽番組saku sakuの数年前(木村カエラ無名時代からデビュー当時のMC時期)のレギュラーキャラだった、ミスターロボットの挨拶です。
 家庭用量産ロボットの段ボールに似た外装のロボットで0001号と0002号は地球に衝突しそうになった小惑星に特攻して失われ、0003号もこの挨拶をしていたので、恐らくプログラムされた挨拶なのでしょう(ヲイ)。
 0003号はフェードアウトした…と思ったら、どうも着ぐるみ…いや機体がゴミ捨て場に捨てられていたそうです。
この番組のディレクターを羅列したら全スタッフを書いてしまいそうになったので、MCの白井ヴィンセントというパペットを操る黒幕(兼ディレクター)の菊谷氏を代表で記述しました。

駄弁者:
 「ギンイロ デス」というあたり、レトロフューチャーっぽくって好印象だったのですが。どんな格好だろうと思って画像を探したら……うーん、見ないで自分のイメージを大事にした方がよかったか(笑)。



「愚かだ! せっかくの力を放棄するなんて……」
「そんなものは必要無いんだよ! ペットスターを止めたのは子供達だ。未来を作る力は生命が持つ不変の力だ。与えるなんておこがましい! 俺はこの20年でそれを学んだ!」

 出典: ベサメムーチョ原作・小野敏洋作画「宇宙ショーへようこそ」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、SFアニメ映画の漫画版からの名文句です。
 故郷への留学生として知り合ったポチの旧友にして、宇宙最大の海賊放送「宇宙ショー」の主催者・ネッポ。彼の目的は、超古代の巨大マシン・ペットスターを利用しての全生物の改造でした。
 今回の名文句は、その計画が夏紀達の活躍で阻止された後のポチ・ネッポの会話です。

駄弁者:
 前に別の方からいただいたご投稿でも、重なるようなやりとりがありましたね。弱い生物を完全にする力、個人的にはほしいと思ったりもしますが…。



「大体もしその才能ってヤツがどうしようもなくくだらなくて、誰かを傷つけることしかできないなら、どうしたらいいんだよ?」
…(中略)…
今なら言える。どんなくだらない才能でも、それは自分自身のものなのだと。自分だけのものなのだと。

 出典: 大黒尚人「フルメタル・パニック!アナザー6」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 主人公の達哉は、AS乗りの適性を見出されたことから高校生でありながら民間軍事会社にスカウトされたことを発端に流れ流れて、現在は敵に買収された元雇用主を相手に仲間と一緒になって戦う現状にあります。元の雇用主は、主人公の経験をAIに学習させ、無人ASのAIにそれを組み込んで活用し、ASの無人兵器化を促進しています。
 私からすればそれは自然な流れ(ASを無人化することで高機動時にかかる重力によるパイロットの肉体の限界を考慮する必要がなくなる上、味方の人命の損失を回避できる)ですが、主人公からしてみれば、自分の才能を人殺しに他者に勝手に活用されているようなもので許し難く、そういった想いから元の雇用主(経営陣から何から入れ替わってはいますが)に敵対しています。
 上記のめい文句は自分が元の雇用主に何故敵対したかを自問自答した末の答えですが、主人公の気持ちも分かるな、と思いました。自分の才能を勝手に自分の許しなく他人が活用している。自分の才能は自分だけのもの、くだらない才能だけど、だからこそ他人が勝手に活用するのは許せないと。私も他人に自分の才能を勝手に使われるというのは、くだらない才能ほど逆に許せない気がします。

駄弁者:
 才能のないことがすでに分かっている中年からしますとですね、悪用だろうとくだらなかろうと、他人に使ってもらえる才能があるというのは、それだけで羨ましいと感じてしまうのですよ…。



「わかりました。ぼくもいいたいことがあります。ぼくは月に行く。あなたが行きたかろうが行きたくなかろうが、ぼくはなんとしてでも月に行きます。二度と目が見えなくなっても、ぼくは月に行きます。モーリーやアートに手を引かれなくてはならないとしても、ぼくは月に行く。歩いてでも月に行く。あなたは好きになさってください」

 出典: ロバート・A・ハインライン「宇宙船ガリレオ号」(山田順子訳)

紹介 :コルド 様
HP :

コメント:
 モーリー、アート、ロスのロケット狂高校生3人と原子物理学者カーグレイブス博士が、自分たちでロケット「ガリレオ号」を作り月を目指すという、かのハインラインの処女作から。
 4人の月着陸を阻もうとするナチスの残党によって制作中のガリレオ号に爆弾が仕掛けられ、その爆発によってロスが目を負傷。それを見て弱気になり、月旅行を取りやめようとしたカーグレイブスに対してロスが言った言葉です。
 この作品のようなジュブナイルSFだからこそ言わせられる台詞だと思いますが、自分はこういった直球な台詞が大好きだったりします。
 彼らが作ったガリレオ号の動力はトリウムを用いた原子力ロケットエンジンでしたが、もしかしたら夢とロマンも一緒に噴射しているのかも知れません。

駄弁者:
 私が連想したのは、もちろん「月を売った男」 「鎮魂曲」のハリマン。夢とロマンを追い求めるストレートな姿勢はジュヴィナイルSFであってもそうでなくても変わらないようです。



レオニによる「あおくんときいろちゃん」という絵本がそれである

 出典: 田中啓文「集団自殺と百二十億頭のイノシシ」  『SF宝石 2013年号』に収録

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 あるとき日本で投身自殺者が急増し始める。原因は異星からの精神寄生体「クビ・レオニ」が、人間に憑依し、バンジージャンプ的なギリギリの死の恐怖を味わうためであることが判明する。
 日本は自殺防止戦隊シュゲンジャーを組織し、ニホンイノシシに精神寄生体を憑依させることで人間の自殺を防ぐことに成功し、イノシシの増産に取りかかるが、直後40億の寄生体の襲来が予知される。
 1人の自殺を防ぐには3頭のニホンイノシシが必要なために、百二十億頭のイノシシが日本を中心に増産されるが、手違いでイノブタが増産され、間に合ったイノシシは総人口七十億人に対してわずか三億人分。
 さらに、成長促進のため特殊なえさを与えられたイノブタは体長4〜5m、体重400〜500kgに成長したうえに人類並みの知能を獲得、人類に反旗を翻す。
「クビ・レオニ」による自殺と巨大イノブタによる猪突猛進(作者曰く「猪戦闘(イノセント)」)によって、人類は地球から姿を消したかに見えた。
 しかし、シュゲンジャーの青と黄色だけは災厄を乗り越えて生き残り、これを「クビ・レオニ」は絵本にして残した。
「クビ・レオニ」なんて妙な区切り方をすると思ったらこういうオチか。
レオニの他の著作には「スイミー・ちいさなかしこいせいしんきせいたいのおはなし」、「フレデリック・ちょっとかわったいのぶたのはなし」、「コーネリアス・たってあるいたいのぶたのはなし」なんてものがでっち上げられています。
くそ、感動の名作になんてことしやがる!

駄弁者:
 この人以外がやったら袋叩きに逢いそうなダジャレのオンパレード。
>「スイミー・ちいさなかしこいせいしんきせいたいのおはなし」
 「ぼくが、目になろう」が、なんかホラーな響きを帯びてしまいますがな。ダジャレと同じぐらいグロもお好きな先生ですし。



「人間ども集まれ!」

 出典: 手塚治虫「人間ども集まれ!」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 漫画の神様、手塚治虫先生の漫画です。
 パイパニア戦争の脱走兵の天下太平の特異な精子からは性がなく、集団行動を本能的に行う無性人間が誕生する事がわかり、無性人間は「人間じゃない商品」として生産販売され、太平も契約で拘束され、人工授精による無性人間の生産に加担させられる。無性人間は戦争の兵士など、それこそ命の消耗戦に使われるが、無性人間は反乱を起こし、主導権は逆転してしまう。
 これはそのタイトルであり、作中においては、意趣返しの如く人間を狩る無性人間のヘリコプターからの呼びかけの台詞に使われています。

駄弁者:
 チャペックの『R.U.R』や『山椒魚戦争』を連想しますが…こちらはちょいエロも入った風刺マンガですね。
 ラストが連載版と単行本版で正反対の展開なのだとか。



武器というのは使いようで、便利な道具になる

 出典: サンライズ制作「∀ガンダム」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ムーンレイス軍のコレン軍曹の操るイーゲルを撃退したロランの∀、イーゲルの獲物だった回転式の棍棒「ミンチドリル」を回収し山師のシド爺さんの指示でそれを使って昔のMSが埋蔵してあるマウンテンサイクルらしき地層を掘り起こす。敵の使っていた強力な武器を発掘作業の道具として使用する光景を見てのシド爺さんの台詞。
 実はこのミンチドリルは元々はムーンレイスのMSの為の土木作業用のツールであり、それをコレン軍曹が武器として転用していたのだ。それが持ち主が変わることによって本来の役割を果たした。
 MSがパイロットによって様々な面を見せる本作を象徴する台詞だと思います。

駄弁者:
 武器として開発されたものを平和利用したのではなく、もともと武器じゃなかったものだったと知れば、シド爺さんはちょっとがっかりするんじゃないでしょうか。
 まあドリルの方は、もし心があれば本来の使い方をしてくれて喜んでいたかも。



牧「吉野、待て! お前も科学者なら俺の言うことを聞け、な? 」
吉野「科学者。科学者が何をした? 原爆を水爆を発明しただけじゃないか? 」
牧 「そうかもしれん。しかし、君のやり方は…」
吉野「間違っているっていうのか? いや、間違っているかもしれない。しかしね、おれがやらなかったら誰が京子の白血病を治してくれた? 日本の国がか? それとも原爆を落としたアメリカがか? ふ、誰あれも何にもしてくれやしない」
牧 「だからと言って罪もない娘を」
吉野「じゃあ京子に罪があったっていうのかい! あの子は、まだ母親のおなかにいる時に……、誰だい!誰があの子を犠牲にしたんだ! 君に答えられるか! 」
牧 「吉野君、やっぱり、君は間違っている。まず話し合えば」
吉野「ふふふ、話し合って京子が治るか」

 出典: 円谷プロダクション制作・佐々木守脚本・実相寺昭雄監督「怪奇大作戦 第5話『死神の子守歌』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 歌手・高木京子の歌う「死神の子守歌」の歌詞通りに、若い女性が一瞬で凍結させられ殺される事件が起こる。白血病の治療に有望とされながら、原爆以上の熱量が必要なためあきらめられていたスペクトルγ線を追った牧と、事件を見ていた高木京子を追った三沢は、それぞれのルートでスペクトルγ線を研究していた吉野貞夫という男にたどり着く。体内被曝で白血病となった妹の京子を救うため、吉野は逆に冷却することでスペクトルγ線を作り出したが、死期の近い妹のため、狂気の人体実験に走ったのだ。
 牧は吉野を説得しようとするが……。
「怪奇大作戦」の最後は岸田森さんが牧史郎を演じたオリジナルシリーズから。同じ科学者として吉野を説得を説得しようとした牧は、吉野の言葉の前に言葉を失います。そこには第4話で証人を追いつめた非情な彼の姿は見る影もありません。
 早坂暁氏は、代表作の「夢千代日記」について、回顧番組で続編は?と聞かれてありえないと答えています。胎内被爆者である夢千代はもう亡くなっているからと。人気ドラマ「非情のライセンス」の主人公も確かそうでした。現在もそうですが、当時は現在以上に切実な問題だったのだと思います。
 1〜4話の科学を信奉する正義感だった彼が、岸田森さん、佐々木さん、実相寺さんのゴールデントリオの手で、時代の中で科学がぶつかる壁の前で、犯罪者への理解の間で揺れ動く人物に変わったシーンではないでしょうか。だからこそ、時代を超えてよみがえる……、とまでいうと言い過ぎかもしれませんが。

駄弁者:
 下のご投稿でいただいた「それが、人の生血で膨らむ浮き輪なら!」に比べると、牧さんの言葉は力も表現も弱いですね。作者たちも吉野にどういう言葉をかけられるのか、詰まってしまったんじゃないでしょうか…。



「面積とか、丸も四角も大キライだ!アルキメデスもユークリッドもとっととくたばりやがれ!」
「二人とも二〇〇〇年以上昔に死んでいる。」

 出典: 大黒尚人「フルメタル・パニック!アナザー6」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 数学が苦手な登場人物の1人クララにメインヒロインのアデリーナが算数を教えるのですが、その際の会話の一節です。
 クララ、気持ちはよく分かるぞと思いました。確かに算数が苦手な人にとって、ユークリッドらの数学者は殺したいくらい嫌な存在でしょう。でも、生憎とほとんどの数学者は皆、亡くなっているのです。今更、殺したくても殺せません。そして、冷然と事実を告げるアデリーナ。素でクララに言ったのでしょうが、それにしてもかみ合わない会話をする生徒と教師だな、と微笑んでしまいました。

駄弁者:
 数学嫌いのめい文句は4回目ぐらいでしょうか。微積が呪われた知識だったり幾何学が死の次ぐらいに嫌だったりする人はいたし、数学嫌いの一人として私もおおむね同感なんですが……丸や四角の面積程度は、嫌わないでいてあげましょうよ。



『WALK』
『STOP』
『WORK』
『FIGHT』

 出典: 大津皓一脚本・佐藤肇監督「海底大戦争」

紹介 :ゴジリスト中小路 様
HP :

コメント:
 デビューまもない千葉真一主演による、SF海洋冒険アクション映画より。題名は『大戦争』となっているが、実際には一人の新聞記者のアポ無し潜入取材がマッドサイエンチストの野望を暴くという、実にスケールの小さい内容である。
 日本近海の海底に秘密基地を建設したムーア博士は、細胞の変質や改造および臓器移植の権威であるハイム博士と組んで半漁人型の改造人間を量産し、世界征服を企んでいた。改造手術を受けてサイボーグ半魚人にされた人間は自我を失い、知性も持たず、ただ超音波によって操縦される戦闘員となる。で、上記投稿の文句だが、これはその操縦装置に付いていた命令スイッチの表示。御覧のとおり四つの命令のみである。しかもこのスイッチ、▲印の付いたダイヤル式で、それぞれ12時・3時・6時・9時の方向に表示された命令にダイヤルを回して▲印を合わせるという、当時としても「ちょい古くね?」な代物。まぁ『WALK』と『STOP』はともかく、『WORK』と『FIGHT』はあまりにもおおざっぱというか、ザックリした命令である。それとも、作業内容なり戦術なりの細かい指示は別個に作成されたソフトがあって、上記のスイッチは最終的な『Enter』を意味するのだろうか?となると『STOP』は「止まれ」の命令ではなく、単に「信号中断」ということなのか?いやいや待て待て、突発的な事態にはどう対処するんだ?

駄弁者:
 原案が実は福島正実とのこと。ただSF関連の業績として紹介すると、故人には叱られてしまうかも…。
>まぁ『WALK』と『STOP』はともかく
 いや、『WALK』の方向とかは!?



当機のシステムは、人類の英知の結晶である。だがそれは、人類がその脆弱で不完全な肉体を補うべく必要とされたもの。人間は自らの限界を超えるべく、知能を発達させ、文明を築いたのだと推察する。文明の存在こそ、人類が万物の霊長たる所以である。
だが、人の形を捨てたヒディアーズに肉体的限界は存在しない、ゆえに文明を必要としない。生物としての幸福と満足を追求するだけならば、必ずしもその知性が高等である必要はないからである。
マシンキャリバーは人類が人類たりうる唯一の拠り所、すなわち文明によって生み出された純粋知性の結晶。そしてヒディアーズは、その知性をすら克服することで、生命体としてひとつの極北に到達した

 出典: Production I.G制作「翠星のガルガンティア」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 地球での生活に慣れたレドはある日海中で地球住民が神聖な触れ得ざるものとする生物「クジライカ」と遭遇、だがそれはレドが宇宙で戦っていた「ヒディアーズ」そのものだった。自分の存在意義であったヒディアーズの殲滅の為、なにより地球で出会ったガルガンティアの人々がいずれ驚異にさらされると考えたレドはガルガンティアを離れ、その巣窟となっている海に沈んだ遺跡を襲撃する。付近のヒディアーズを殲滅したレドは研究施設らしき遺跡で記録媒体を見つけ解読した。そして衝撃の事実を知る、ヒディアーズは人類が宇宙に進出するにあたって宇宙にも適応できるように変質させた存在だったのだ、人の身のまま宇宙に出ることを主張する勢力(のちの人類銀河同盟)と戦争となりそれは宇宙に出たあとも続き長い月日が流れるうちに上層部以外は相手の正体も知らずに争い続けていたのだ。
 敵は殲滅すべき宇宙の化物という根底が崩れ去ったレドは動揺し自分の存在意義も見失うが「チェインバー」は言う「ヒディアーズは殲滅すべき人類の敵であることに疑問の余地はない」と、同盟のお題目はたくさんだと言うレドにチェンバーは続ける「現在当機は同盟とのリンクは切れており独自に情報解析した結論だ」と。
 文明を持つものにその証として造られたチェインバーにとって文明を捨てた存在は人類とは認めることはできないものでありそれと戦う為に人類に奉仕することこそが自分の存在価値なのだった。

駄弁者:
 幼年期の終りを過ぎてしまったら、人類ではありません…と。
 ところで人類が変化した「クジライカ」「ヒディアーズ」というのは、今読んでいる上田早夕里『深紅の碑文』(『魚舟・獣舟』シリーズ)に出てくる魚舟とイメージがかぶるんですが、モチーフのひとつだったりしないですかね。



あし)代でも渡して帰ってもらうしかないな…

 出典: 島本和彦「ヒーローカンパニー」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
ボロボロになりながら4件の銀行強盗犯を捕獲し、帰社した「デザートV(ファイブ)」。
しかし、依頼された業務は銀行強盗を防ぐことで、実行犯の捕獲は業務外。
上司であるキバ・キハンは経費がかかりすぎると言うことで、強盗の解放を命じる。
うーむ。営利企業である以上、経費管理も重要なのは理解できるんですが。
ひょっとして、犯罪者もある意味お得意様であるなら、キャッチ&リリースが基本なのか(85集)?
この足代は命令外の支出ということで、デザートVの自腹。そしたら見事に受け取り拒否、しかも裸のままで持ってくるんじゃないと、礼儀まで教わる始末。
更に落ち込むデザートVの面々でした。

駄弁者:
 さすが、「街を守れ …(中略)… 会社の利益も守れ …(中略)… できれば平和も守れ」の会社。
 でも強盗犯が解放された帰り道に別の強盗でも犯してしまったら、会社のイメージにとってはマイナスなのでは。…あ、だから足代が要るわけか。なら経費にしてあげよーよ(笑)。



松戸「この手に浮き輪を持ちながら、娘が溺れるのをただ黙って見てろっていうのか! 」
牧「それが、人の生血で膨らむ浮き輪なら! 」

 出典: NHK/円谷プロダクション製作・小林弘利脚本・田口清隆演出「怪奇大作戦ミステリーファイル 第1話『血の玉』」

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 人間が次々に謎の飛行体に血液を奪われて殺される事件が発生。牧(上川隆也)は麦角菌の成分を発見したことから、謎の飛行物体の表面に麦角菌の一種であり生物の養分を吸収する冬虫夏草の類が付着しており、それが人間の血液を吸収しているという結論に達し、冬虫夏草の研究者・佐喜沢(森本レオ)と、その娘婿でNASAの無人探査機の研究者だった松戸(安田顕)に目をつける。だが、松戸たちの目的は、奪った血液で育てた冬虫夏草から薬を作り、細胞が老化していく奇病に侵された松戸の娘を助けることだった。佐喜沢の別荘で松戸と対峙する牧だが……。
 佐喜沢のもとを訪れた牧は、佐喜沢に「それで人が助かるのなら、有用な種を見つけて作るのが罪ですか? 」と言われて、「技術を持ちながら、使わないのは罪だと思うことがあります」と答えています。世の親と佐喜沢たちの違いは、技術を持っているかどうかだけではなかったかとも考えながらも、敢えて松戸に厳しい言葉をたたきつける3代目の牧史郎は、オリジナルのいくつかのエピソードで見せていた、正義漢でありながら犯罪者をも理解できる、初代岸田森さん版のヤバい側面を強調したキャラクターなのですね。第4話ではついにあのオリジナル版の問題エピソード「かまいたち」がリメイクされるそうですが……。

駄弁者:
 「人の生血で膨らむ浮き輪」という壮絶なイメージの返答が、とても印象的です。



「イ・オ・ン」

 出典: 種村有菜「イ・オ・ン」

紹介 :猫玉 様
HP :
http://ameblo.jp/puneko

コメント:
 りぼんに連載されていた少女向けSFというか超能力漫画のタイトルであり、また主人公が超能力を使うキーワードでもあります。
 主人公の粒依音はある日手に入れた物質(プレート状)に自分の名前「イ・オ・ン」とつぶやく事で念動力を発動できるようになるという…。まあ魔女っ子ものとあまり変わらないような…。
 普段はこういうSF或いはSF的な作品があるから名台詞…なので、魔女っ子ものの呪文と大差ないものを何故チョイスしたのかというところまで立ち戻ってしまったのですが、逆に一つのワードをタイトルから主人公の名前、作中の言葉にまで昇華した事例はそんなにないのではないかと(多分)。少なくともStar Warsに惑星大戦争という邦題をつけようとしたセンスから比べれば相当に秀逸といえるかな…タイトルは作品の顔だし。

駄弁者:
 高飛びレイクの「エナジー・イコール・エム・シー・スクエア!」みたいなもんでしょうか。
>魔女っ子ものとあまり変わらない
 「テクマクマヤコン」が「テクニカル・マジック・マイ・コンパクト」の略だと読んだ後では、むしろ魔女っ子のほうがセンスがあるような気がしてきます(笑)。



「あれは…ソ連のスパイ衛星で、KGBの陰謀さ。僕らはそれを止めようと。」
「ソ連?ソビエト連邦は5年も前に崩壊したわよ、今はもうKGBなんて存在しないの!」

 出典: 「スタートレック ヴォイジャー 『29世紀からの警告 (前編)(Future’s End, Part I)』」

紹介 :W”MONSTER 様
HP :

コメント:
 1か月の御無沙汰です。週イチではネタ切れしてきましたので、今後はボチボチ。
 23世紀のデルタ宇宙域を航行中のUSSヴォイジャーは、29世紀のタイムパトロールに因縁を吹っ掛けられ、事故で1996年(放送当時の現在)の地球にタイムスリップ。騒動の原因を探して元の時代に戻るため、クルーをサンフランシスコに潜入させます。
 やがて未来技術を盗用する一味と対決した上陸班は、女性天文学者ロビンソンに光線銃の撃ち合いを見られてしまいます。20世紀文化を趣味に持つトム・パリスがはぐらかそうとするも、上記のやり取りに。うっかり未来の史実を言い当てるのはちゃんと勉強してきた未来人のパターンですが、うろおぼえでボロを出すトムは、アカデミーをドロップアウトしただけのことはあるなっていう一幕。

駄弁者:
 「スタートレック・ヴォイジャー」からのご投稿は、割と久しぶりです。
 ヴォイジャーの大先輩たちは、原子力空母に潜入してソ連のスパイと間違えられていたけどなあ。パリスはチェコフの自伝でも読んでいたんじゃないでしょうか。
 まあ91年でも96年でも、パリスが読んでいそうな娯楽小説ではKGB大活躍だったような気がするから、仕方ない…のかなあ。マヌケではあるけど、パラドックスを引き起こさないぶん罪は軽い?



「私たちは私たちのためだけに戦うのです。あなたのためでも世界のためでもなく、私たちの大切な人を取り返すためだけに」

 出典: 上野遊「魔王のしもべがあらわれた!IV」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 主人公の肉体が魔王の殻であり、魔王の魂が主人公の肉体と融合し、魔王が復活しつつあることを知らされ、主人公を救うために向かうヒロインズの1人、要の科白です。ここでいう「あなた」は人類純化同盟の大幹部の1人であるテレサのことです。
 人類純化同盟は実は遥かな古代、人類の魔術師が魔術をもって世界の自然災害を抑えていたころに源流を発します。しかし、魔術によって自然災害の規模を抑えれば抑えるほど反動として自然災害は大規模化するようになり、魔術師は、魔術を放棄して自然に回帰すべきだという派閥と、より魔術を強化すべきだという派閥に分かれます。結局、自然回帰派が勝利を収め、魔術強化派を異界に追放するのですが、魔術強化派は魔族と呼ばれて復活を目指すようになります。一方、自然回帰派の魔術師は魔族復活を阻止しようとしますが、時代が流れるにつれて秘密結社化して本来の目的も変質し、魔族復活阻止のみならず影響者にまで矛先が向くようになります。この作品の背景には、こういった事情があります。そして、テレサは要たちに魔王復活の阻止を依頼するのですが、その際にテレサの依頼を拒否するとともに、私たちは主人公を救う、と言った際のヒロインズの1人の要の科白です。
 以前にも書いたと思いますが、人が戦う理由はそれぞれですが、自分の信念を曲げられないし、大切なものを取り返したいので戦うというのは意外とあるし、極めて強い戦う理由ではないでしょうか。要のこの科白も、そういう意味で正直な発言だと思いますし、いい科白だな、と思います。

駄弁者:
 結果的に世界を守るけれども、ことさら世界を守りたいじゃない…というセリフは、これまでもちょくちょく投稿がありましたね(これとかこれとか)。やはり直感的に共感を持てるからでしょうか。
 セリフとは関係ないのですが、この世界観での魔術によらない科学技術がどういう扱いになるのか、ちょっと興味が湧きました。



「そのコンパロイドの方とは、今でもお友達ですか?」
「もちろん今でもお友達よ。なかなか会う事はできないけれど……。ロボットさんとお友達なんて、変かしら?」
「い、いえ! 素晴らしい事です! 私にも私がマリオネットだって知っているお友達がいて、その人間(ひと)とは私の事を知ってもらってからもっともっと仲良くなれてる感じがするんです。だから本当の私を知ってもらったら、もっとちゃんとお友達を作る事ができるのではと思うのですけど……」
「けど?」
「嫌われてしまう可能性もあります……」
「……そうかも……しれないわね。でも、自分から可能性を閉ざしちゃ駄目よ。マリオネットとかそういう事はあまり気にしないでいいんじゃないかしら」
…(中略)…
「あのんさん、1つだけいい事教えてあげる。友達は、作るんじゃなくてなるものよ! 自分から心を開けば、友達にだって恋人にだってなれるわよ。ね!」

 出典: 高木信孝「PUREまりおねーしょん」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前にも投稿した、マリオネット少女の学園生活を描いた漫画からの名文句です。
 ワッフル女学院の運動会であのんは司書研修のためワッフルに来ていた少女・こころに出会い、マリオネットである事を見抜かれます。
 こころも以前マリオネットと友情を結んだ事があり、その時の事を語るこころにあのんは自分の悩み――自分がマリオネットである事を告白すべきか否か――を打ち明けるのでした。
 そんなあのんにこころは、拒絶される危険性も認めた上で彼女自身が関係を深めていく事を拒絶しないように助言します。
 この名文句では「人間・マリオネット間の関係」という形で描かれましたが、人間同士でも同じ事が言えるのではないのでしょうか。

駄弁者:
>人間同士でも同じ事が言えるのではないのでしょうか
 まったく、その通りだと思います。その通りすぎて、SFに登場する、ロボットの言葉だと考える意味が薄れてしまうような…。
 いや、この作品からの最初のご投稿で感じたように、こんな純粋さはロボットでしかあり得ない!?



光より速く進むものはない。
ただし悪い噂だけは例外で、こいつばかりは特別な物理法則が適用されるらしい。

 出典: シド・マイヤー「Civilization4 よりダグラス・アダムズの言葉」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 世界中に中毒患者を発生させた文明育成ゲーム、「Civilization」シリーズの第4弾。
 このゲームは新技術を獲得すると、それに関連する言葉が出てくるのですが、これはレーザーの開発時に表示されます。
 悪事千里を走る、というやつですね。ハインライン(第9集)だとおばちゃん達の噂、こちらは悪い噂が光速を越えて伝わるとしています。そうすると、おばちゃん達が悪い噂話をしたら、いったいどんな恐ろしいことになるものやら。
 残念ながら、アダムズのどんな作品から引用されたのかは不明です。

駄弁者:
>おばちゃん達が悪い噂話をしたら、いったいどんな恐ろしいことに
 そりゃあきっと光速も因果も越えて、事件が起こる前に悪い噂が流れるようになるんですよ。…ってそれ、ただのデマやん。



コクピットにいたパイロットの断末魔に放った思惟を俺は感じた。彼の想ったのは、母親だった。

 出典: 皆川ゆか「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ジオンからの亡命者、クルスト・モーゼス博士の開発した対ニュータイプ用システム「EXAM」を搭載した<ブルー>のパイロットとなった第11独立機械化混成部隊ユウ・カジマはジオンとのEXAMを巡る戦いに身を投じることとなる。
 ジオンの騎士ニムバス・シュターゼンに奪われた<ブルー>2号機の奪還任務に就いたユウは3号機を操り、ジオンの基地があるコロニーに向かう。そこで敵との交戦、既にEXAMを使いこなしているユウは相手の感情が読み取れるようになっており、次々と敵を撃墜、その断末魔さえも感じ取っていた。以前最期に母を呼ぶ少年兵が取り上げられてましたが相手パイロットがそれを感じ取るのは大変な苦痛なのではないでしょうか、少なくとも相手の顔も名前も知らずひたすら兵士であることで己を保とうとしたユウにとっては

駄弁者:
 母や家族を思う心に限らず、相手の兵士の断末魔を感じとれるシステムなんか装備したら、大規模会戦があった日には、パイロットは軒並みカミーユ・ビダン状態(TV版)になってしまうと思う…。



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