SF名文句・迷文句第303集

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やめろ私から憎しみを奪うな
憎しみがなくなったら私はどうしたら…

 出典: 小西通雄監督・杉村升脚本「特救指令ソルブレイン 最終話『また逢う日まで』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

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 天才科学者高岡隆一は幼少期自分の家族を一家心中に追いやった相手への復讐を阻まれて以来その矛先をソルブレインに定め、いくつもの犯罪を裏で操り挑戦を続けていた。そしてソルブレインの発展的解散の報を聞きつけ最後の挑戦を送る。
 自分と同じような境遇の青年を操り復讐劇による破滅をプロデュースしそれを救おうとしたソルブレインを壊滅させようとした計画は人を憎み続けることに耐えられなくなった青年の心により失敗し高岡はソルブレインに追い詰められ服毒自殺を図る。
「本当の自分は子供の頃両親と共に死んでいた」
 他に何もなく復讐だけが心の支えとなった高岡は自分自身を機械と接続し、時間とともに薄れそうになる復讐心を増幅させながら生きていた。そして接続しているコンピューターを破壊された高岡は爆炎に消えていったのだった
「人の命だけでなくその心をも救う」ことを目的に設立されたソルブレインだがとうとう高岡の心を救うことはできず解散となった。
 高岡は勝利して死んでいったのか、それともただ憎悪に操られる哀しい人形の糸を切ることができたと考えるべきなのか

駄弁者:
 復讐の念を忘れないために外部的な手段をとるのは、古代中国からやっていることですが…。はて、コンピュータで増幅するのは、薪に寝たり胆を嘗めたりすることの発展形と考えていいんだろうか(どちらかというと臣下に毎日遺言を連呼させる方が近いな)。



【小さき、者。貴様に、勝ちの、目は、なかった、はず。―貴様は、何故、そこまで、する。何故、その、非力なる力で、我に、挑んだ】
…(中略)…
「全ては、授業参観のために」

 出典: 橘公司「蒼穹のカルマ 8」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 ちょっと時機を逸しましたが、完結編が出ていたので、その中から投稿します。この巻でも例によって主人公たちはいろいろなトラブルに巻き込まれ、それらも解決した末に最後にラスボスと戦い、勝利を収めるのですが、ラスボスの最期の科白とそれに対する主人公の返答です。
 圧倒的に強大なラスボスに対して、味方の総力を挙げて戦い、見事に勝利する。素晴らしい王道的な展開のはずなのに、この主人公の最後の返答が何もかも台無しにしているように思えました。主人公が第1巻で明かされているようにある意味ダメ人間な時点で、最後がこうなってもおかしくはないといえばおかしくはなかったのですが。それにしても、主人公にこんな理由で倒されるラスボスの方が何とも気の毒にさえ思えてきます。

駄弁者:
 この8巻で完結らしいですが、1巻で授業参観のために命令拒否していた主人公は、最終巻でもやっぱり授業参観のために戦っていたんですね…。初志貫徹と考えれば、まあ、立派。
 ラスボスの側としては、人類より圧倒的に強大だったのなら、弱い側の戦う理由が存亡のためだろうと授業参観のためだろうと、負ける不本意さにあまり変わりはないのでは。



あああ安さに目がくらんで非対応キャリアに加入してしまった

 出典: 伊藤伸平「まりかセヴン 『ひみつの湖』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 2ちゃんねる等でUMAの目撃情報が相次ぐ竜神湖へやって来たまりか一行の前に出現する怪獣プレシウス。
 それを察知した警察庁からのメールがJR線の電車(品川・大崎方面と書かれている)内で鳴り響く中、自分の携帯電話にメールが鳴らない事に思わず絶叫するモブキャラの叫びが投稿の台詞。
 人生ではじめて買ったタブレットがAdobe Flash Playerがインストール出来ない物だったという経験がある人間としては思い切り身につまされる物があります。
 でも人生で行う買い物の中には性能より安さを求めねばならない時があるのです、だから本当に怪獣出現時に発するメールサービスが実現した時にはFOMA F883i対応した物をお願いします。

駄弁者:
 元ネタと単語が逆?
 怪獣出現のメールサービスでこうなってしまう場合、その人の失策というより行政の不手際をなじられそうですね…。
>タブレットがAdobe Flash Playerがインストール出来ない物だった
 私のは高いのにインストールできません(笑)。



俺のこの手が光って唸る!
お前を倒せと輝き叫ぶ!
必殺!シャァァァイニングフィンガァァァ!!

 出典: 今川泰宏監督「機動武闘伝Gガンダム」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 主人公ドモン・カッシュがシャイニングガンダムの必殺技シャイニングフィンガーを使う時の台詞。後継機ゴッドガンダムのゴッドフィンガーと合わせて一年間叫び続けた結果、ドモン役の関智一さんは喉を痛めてしまったと言う逸話があります。

駄弁者:
 パロディの方が先に出てしまってますね。
 真っ赤に燃えて轟き叫ぶ爆熱ゴッドフィンガーの方が、叫ぶにはわずかに語呂がいい感触。



「でも何か忘れてる気がしない?」
「思い出せないって事は、たいした事じゃないんだよ」
「そうですね」
「よくねーよ」

 出典: 金巻兼一脚本「ギャラクシーエンジェルZ 第2話Bパート『びっくり点心』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 SFコメディアニメからの名文句です。
 うっかりロストテクノロジーの甘栗を食べてしまい、頭が天井に届く程巨大化してしまった主人公の1人・ミルフィーユ。
 元に戻す方法を考えるも手詰まりになった仲間達へ気分転換にと自作のケーキを振る舞うのでしたが、材料として問題の甘栗を使用していたため彼女達も巨大化してしまうのでした。
 にっちもさっちもいかなくなったところで、巨大化した仲間の1人・ミントが着ていた服や持っていた武器等も一緒に巨大化していた事からある解決法を思いつきます。
 その方法とは(以下ネタバレ)ロストテクノロジーによって基地そのものを巨大化させ、基地と自分達の大きさの比率を元に戻すという荒業。
 成功して一息吐いていた一同でしたが、ただ1人電子頭脳搭載のぬいぐるみ・ノーマッドが巨大化されておらず一同の下敷きになっていたのでした……。
(ネタバレ終了)

駄弁者:
>「思い出せないって事は、たいした事じゃないんだよ」
 物忘れをしたときにこの言葉は定番です。



…そして想像を絶する暇と退屈が待ち受けていたのである!!
紹介 :はたの 様 → 第299集


「でも、艦長。不穏分子がつかうモビルスーツに、ガンダムという名称をつかうなんて、許せないでしょう?」
…(中略)…
「そうでもないさ。歴代のガンダムは、連邦軍にいても、いつも反骨精神をもった者がのっていたな。そして、ガンダムの最後は、いつもこうだ。首がなくなったり、機体が焼かれたり、バラバラになったり……。しかし、反骨精神は、ガンダムがなくなったあとでも、健在だったものだ」

 出典: 富野由悠季「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 閃光のハサウェイクライマックス
 鹵獲したクスィーガンダムを息子が乗っていたなどと知る由もなく見上げるブライト艦長と整備兵の会話
 何体ものガンダムの最後を見たブライトならではの言葉
 その言葉の通り反骨の精神は受け継がれていく
 彼が見た(恐らく)人生最後になったであろう破壊されたガンダムだがその裏ではもっとかけがえのないものが失われようとしていた。

駄弁者:
 反骨精神というより、良くも悪くもナイーブというか純粋な人たちが乗っていたような気もしますが…。
 事件が終わった後、ブライトは自分の言葉を苦く思いだしたことでしょう。



アイク?レックスだ。
100万人の技術者と、1000万ドルの費用と、あと、人口密集地域にロシアの衛星を墜落させる許可が欲しい
即断は無理だから1分ほど待つよ

 出典: マーク・ミラー作・デイブ・ジョンソン/キリアン・プランケット画「スーパーマン:レッドサン」(高木亮訳)

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!スーパーマンだ!
 スーパーマン。それは別世界から来た驚異の男。
 河の流れを作り変え、素手で鋼鉄を曲げる英雄
 平凡な労働者の代表として、スターリン、社会主義、そして
 ワルシャワ条約拡大のために終わりなき戦いを続けるのである

 1950年代、ソビエトの集団農場で育ち十代の頃スーパーパワーを発現させ、スターリンの養子として迎えられた東西冷戦におけるアメリカの新たな脅威スーパーマン。
 スーパーマン対策をアメリカが世界に誇る天才科学者レックス・ルーサーに求める合衆国政府、自作の小型テープレコーダーでウルドゥー語を学習しながらマキャベリの『君主論』を読み、十数人の人間を相手にチェスで完勝を収めるという『刺激的な休憩』を行うレックスの元に訪れる政府の使者ジミー・オルセン。
 パズル等のガラクタだらけの研究室と対スーパーマンの研究が一切進んでいない事に思わず腹を立てるジミー、そんな彼に対して「天才は計画表どおりに仕事をしないものだ。私の行動を決めるのは科学と必要性だ。退屈な会計士とは違う」と豪語して、政府予算の赤字解消法を書き記したメモを渡して追い返すレックス。
 自宅の高級アパートで、自ら開発した小型コンピューター相手にチェスをしながら、お気に入りのクイズ番組の音声を消して読唇術の勉強を行い妻ロイスの機嫌を損ねながらも、スーパーマンの細胞サンプルを手に入れてクローンを作りオリジナルにぶつけるという方法を閃いたレックスは、会議中の第34代大統領ドワイト・デヴィッド・アイゼンハワーを呼び出して投稿の台詞を伝えます。
 真の天才には権力も経済も容易に解決できる些細な問題に過ぎないという事でしょうか…その後レックスは世界的な大企業の経営者を経て、合衆国大統領になり数十年の歳月をかけてスーパーマンに『勝利』を収め、地球と人類にかつてない繁栄をもたらしていく事になるのです。

駄弁者:
 「真実と正義とアメリカン・ウェイ」ならぬ「スターリン、社会主義、そしてワルシャワ条約拡大」。Sマークの代わりに鎌と槌をあしらったコスチュームもイカス(笑)。
>政府予算の赤字解消法を書き記したメモ
 うん、絶対スーパーマンよりレックスの方が世界に必要だと思います。別件で100万人の技術者と、1000万ドルの費用をあてがうぐらい安いもの(3つめのは難しいですが)。



ただ一言…
共に来いとただ一言言ってくだされば…
信じられた!
朝倉の首を掻き切ることも厭わなかったのに!!

 出典: 梶川卓郎(西村ミツル)「信長のシェフ 4」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 史実で織田信長の妹婿の浅井長政が何故信長に敵対したかは諸説あって定説は未だないと思うのですが、この作品では長政が信長に敵対することを決断した理由を上記の長政の科白に集約しています。信長としては朝倉と浅井との縁から長政が板ばさみにならないように言わずに黙って朝倉を攻めたのですが、長政にしてみれば義兄は私のことを信じておられないのかと考えることになり敵対を決断したのです。
 たった一言と言いますが、その一言を言いそびれたばかりに大きなトラブルになることは現実でもよくあることです。それを思えば確かにあり得る話だなと思えました。そして、この後の史実の悲劇を思うともし一言を信長が長政に言っていればとふと考えて何ともやるせない思いになりました。

駄弁者:
 浅井長政を悪く書いた作品って、そういえば読んだことないですね。
 私も好きな武将だったので、昔の「信長の野望」ではこの人で天下統一したこともあります(裏切らずに真正面から信長を滅ぼしましたよ、たしか)。



ぼくは常識を超えた犯罪の専門家だ。
そんな人間を一般常識の外見で評価しようとするのがそもそも間違いだし無礼だ。
依頼をする資格が無いのは君のほうじゃないのかい?

 出典: 三条陸「小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 鳴海探偵事務所の探偵、左翔太郎とフィリップ。依頼があれば翔太郎が事件を足で調査し、得られたキーワードを元にフィリップが『地球の本棚(地球上にある全ての情報)』を検索して真相を探る。彼らに持ち込まれる依頼はガイアメモリ関連の異常な事件が多く、それを解決していくうちにそういった事件の専門家として扱われるようになった。
 翔太郎が風邪でダウンした日に財閥の令嬢・禅空寺香澄が依頼に訪れた。彼女はフィリップを翔太郎だと誤解して期待はずれだったと言い、「この人には私の事情を聞く資格もないと思うわ」と帰ろうとする。それに怒りを感じたフィリップは投稿の台詞を言い、挑発に乗った香澄は依頼をする事にした。後に引けなくなったフィリップは、普段翔太郎がやっている方法での調査を、翔太郎の名を名乗ってする羽目になってしまう。

駄弁者:
 そういえば、最近平成ライダーの小説版が次々出ているんですね。三条陸の名前はどこかで見たな…と思ったらジャンプ往年の人気作「ダイの大冒険」の原作者じゃないですか。
>『地球の本棚(地球上にある全ての情報)』を検索して真相を探る
 それは探偵というより、どちらかというと私らの領分じゃないでしょうか(笑)。



「何だと……!? ボウケンジャー!?」
「海賊版だがな」

 出典: 東映制作・下山健人脚本「海賊戦隊ゴーカイジャー 第21話『冒険者の心』」

紹介 :るーしー 様
HP :

コメント:
 以前何度も投稿された、スーパー戦隊シリーズ第35作からの名文句です。
 元ボウケンレッド・明石暁から、プレシャス「黄泉の心臓」回収への協力を要請されたゴーカイジャー。
 「黄泉の心臓」の力で復活したリュウオーンによってゴーカイジャー・暁は洞窟に閉じ込められるも、脱出してリュウオーンの体から「黄泉の心臓」を回収しようとします。
 今回の名文句は、以前に託されたレンジャーキーでボウケンジャーに変身したゴーカイジャー達を見たリュウオーンの驚愕の台詞とそれに対するマーベラスの言葉です。
 鋼将門さんも書いている事ですが、ゴーカイジャーの「海賊戦隊」には「海賊版」という意味もあるんですよね。

駄弁者:
 歴代スーパー戦隊が地球を守り続けて来た世界という設定なんですが、ひょっとしてその世界では最初の方の戦隊は著作権保護期間が満了してコピーしても海賊版扱いにならなかったりするんじゃないでしょうか。



信じられないな……もう一度……幾何学の試験を受けた方がまだましな気分だろうに……

 出典: カレル・チャペック「絶対製造工場」(飯島周訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 炭素原子炉の普及と共に「絶対」の猛威は世界を覆い、絶対に影響された人々の聖戦はついに世界戦争に発展する。
 一方、「絶対」から逃れるため、近代文明から切り離された珊瑚礁の島(ただし住人は食人種)に移住したチェコの実業家ボンディであったが、「絶対」の影響は原子炉のないこの地にも及ぶ。
 「絶対」に影響された現地人がボンディたち一行を生け贄とするための戦いのときの声を聞き、同行のトラブル船長は絶望と共につぶやく。
 今にも死のうと言うときだから、どんな試験でもましな気分になるでしょうね。
 いろいろな科目がある中で、特に「幾何学」という選択は、数学嫌いとしては非常に親近感を覚えてしまいます。

駄弁者:
 食人種の次ぐらいにイヤか、幾何学。…まあ気持は分かります。
 微積が嫌いなお嬢さんもいましたね、確か。



ヒーローなんて人が言うほどいいもんでもないな…
だがもしやり直せるとしてもへへ…迷わず同じことをするさ

 出典: ワーナー・ブラザーズ・アニメーション制作「バットマン:ブレイブ&ボールド『侵略の日 パート2』」

紹介 :クロスケ 様
HP :

コメント:
 ブワナビーストを捕らえたフェイスレス・ハンターの目的はブワナの複数の動物を合体させて操る能力を利用する事だった。スターロ本体と人々に寄生させていた大量のクローンを合体させ巨大モンスターとして操り暴れさせる。ブワナを救出するためにハンターの宇宙船に乗り込んだバットマンはハンターの戦闘力と強力な武器に苦戦するも彼の使う武器を逆に利用しなんとか勝利を得る。そして捕らわれのブワナはモンスターを制御し力を振り絞り、弱体化したモンスターは地上のヒーローの活躍によって倒されたしかし力を使い切ったブワナはバットマンに恋人ヴィクセンへの愛の伝言を託し消滅した…
 投稿文はブワナの葬儀のシーンで、集まったヒーロー達に語りかけるように流れるブワナビーストの台詞
 余談ですが「侵略の日」は本国ではパート1のあと翌週にパート2をやったようですが日本では半年ほど空いてまして随分やきもきしたものです。

駄弁者:
 むしろこっちの方が「ヒーローの宿命」という言葉には似つかわしいような。



My Dad is a zombie and I love him!

 出典: ダニエル・ドレズナー「ゾンビ襲来」(谷口功一/山田高敬訳)

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 ゾンビの突発的発生!そのとき政治には何が出来るか?
 国際政治学から非常事態を考察という代物。
 投稿したのは作中のイラストからです(ゾンビ保護のデモ隊のプラカード)。
 ゾンビ物に手を出したことがないので良くわからないのですが(エロ、ナンセンスはともかくグロは駄目なんで)、確かにゾンビ化した人間にも家族は居るだろうし、とりあえずゾンビは破壊してしまえ、がいつでも通用するとは限らないというのは意表を突かれました。
 ゾンビの家族がゾンビ対処について大きな障害になる、という考えには納得させられますね。
 ついでに、この本の裏表紙、白水社のマークが面白いことになってるので、ぜひご覧下さい。

駄弁者:
 ゾンビに生前の人格がどれぐらい残っているかによって、対応変わってくるんでしょうね。
 ところで作中イラストと言えば、白水社のサイトで公開されている第1章の「ヴァンパイアとは対照的にゾンビは高校ではモテない」にも納得(笑)させられてしまいました。



己を正義と信じ込んでいる人間ほど、タチの悪い生物はこの世にいない

 出典: 厚木隼「僕たちのパラドクス 2」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 未来に大きな影響を与える主人公を守るために「地獄の未来」からやってきた霧島榛名は、主人公を殺そうと「明るい未来」からやってきたキリシマ・ハルナ(つまり別の歴史の流れの中にいる同じ人間なのです)と戦い、一旦は退けるのですが、キリシマ・ハルナが未来へと去った後、彼女のことを上記のように評します。
 実際に己を正義と信じ込んでいる人間というものがタチが悪いのはそうだな、と思います。正義というものは状況等で変わりかねないものですし、本当にそれが正義なのかはきちんと考えるべきで、おっしゃるとおりとも思うのですが、自分のことをそこまで悪く言わなくてもとも思ってしまいました。違う歴史の中で生まれたとはいえ、自分のことでしょうにと。最もお互い時空エージェントになって、命を狙いあっている皮肉な状況の下では、そう思わないとやっていけないのかもしれません。

駄弁者:
>自分のことをそこまで悪く言わなくても
 自分とは違う正義を信じているのが別歴史の自分となると、赤の他人よりもタチが悪く感じてしまうものなんじゃないでしょうか。一歩間違うと自分もそうなってしまうとは、認めたくないだけに。



子供はね お金のことなんか心配しなくていいのよ

 出典: 竹内良輔原作・ミヨカワ将漫画「ST&RS 第20歩『ひとすじの風』」

紹介 :H・I・T 様
HP :

コメント:
 「まっすぐ突き抜ければいいんだ!!風に負けない超スピードで!!」
 2035年7月7日火星の会談予定地に突如発生した大竜巻、その内部を観測できる機体を火星での飛行シミュレーション訓練と並行しながら開発せよという課題に、竜巻をロケットで突破するという方法で答えた白舟真帆。
 この汎用性のない機体を地球で作って火星に送るとなると半年はかかってしまう、半年も経てば現地の状況も大幅に変わってしまう、ゆえに火星にある物を流用してこの観測機を作ることになり話し合う宇宙学校の生徒一同。
 彼ら生徒が出した答え、それは火星上空を飛行する30近くの人工衛星を必要最低限の物を残して、メンテナンス衛星で観測機に作り変えるというものでした。
「衛星を潰すだと!?一機あたり何百億もかかっているんだぞ!!」
 と思わず声を荒げる担任教官の漆河、それに対して
「僕達だって真剣です!!ST&RSの一員ですから!! お…お金のことはよくわからないけど…」と尻すぼみになりながらも答える真帆。
 予想以上のアイデアを出してきた真帆達にこのプランを正式に上層部に提出する事を伝え、真帆に投稿の台詞をささやくフィフィー。そしてフロリダのST&RS本部では
「半世紀かかって送りこんだ衛星を半分失えと言うのか 無茶苦茶だな…!」
「しかし…半分であの中がわかるのなら安いものかもしれん この作戦…………GOだな」と採用を決定するST&RS代表ジークムント=バウムガルテン。
 お年玉、進学祝い、端午の節句等、子供にお金を使わなければいけないのは大人の義務、例えそれが天文学的単位の宇宙開発でも…でも今の僕じゃ予算を理由に計画に待ったをかける立場がせいぜいなんだろうなぁ…少なくてもフィフィー校長の様な台詞は当分言えそうにない………。

駄弁者:
 子どもが発想する段階でお金の心配をさせてはいけない、そこは大人が実行する段階で心配すればいい…というわけには、なかなかいかないんですねえ。
 私の近くにいる受験生たちも、けっこうお金の心配はしています。



「これまでの考古学者が扱っていたのは、科学以前の文化でしかなかったのだよ」

 出典: H・ビーム・パイパー「オムニリンガル」(浅倉久志訳)  『SFマガジン』1968年12月号に収録

紹介 :NAL 様
HP :

コメント:
 火星の遺跡で見つかった多量の火星語の文章。
 ロゼッタストーンなどない中で翻訳できるわけがないはずだったのだが。
 見つかったのだ、ロゼッタストーンが。

駄弁者:
 科学文明が科学文明を理解しようとするなら、共通言語は当然…。
 ホーガンの「星を継ぐもの」でルナリアンの言語を解読するのも、似たような感じでしたね。初出はこちらの方がだいぶ先ですが(1957年初出)。



笑止なり伊賀忍者、うぬらの忍法とやらでヨーロッパ伝来の鉄砲を防いで見せろ!

 出典: 山田風太郎「魔天忍法帖」

紹介 :TWR 様
HP :

コメント:
 江戸落城の際に千姫に一目惚れした平太郎は伝説を利用して伊賀の百地丹波一党の首領に収まり、千姫を追い求め、ついにある男の庇護にある彼女を見つける。
 その男は、かつて豊臣家に滅ぼされた家の末裔であり、千姫の草履取りから身を起こした吉法師と呼ばれた男。バテレンの情報を元に立ち回り、頭角を現した彼は秀吉死後の豊臣家を乗っ取り、織田上総介信長として天下に覇を唱える。
 そして千姫を奪おうとする百地一党に鉄砲隊が対応する。
 作中の信長は、さんざん伊賀の抜け忍である石川五右衛門の世話になってるんですけどね(百地一党は大きな犠牲を払って五右衛門を倒しています)。ここら辺の割り切りというか変わり身の早さはさすがの信長。
 所詮忍者というか下っ端は使い捨てという作風は相変わらずの山風節でした。

駄弁者:
 概要は前回のご投稿をどうぞ。
 それにしても、見事な逆行っぷり…(笑)。鉄砲の犠牲になるのは武田の騎馬軍団ではなく伊賀忍者ですか。  



試合はまだ終わっちゃいない!
俺は自分だけ勝手にマウンドから降りようとしていたんだ!!

 出典: 円谷プロ制作「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士達」

紹介 :ザタンゴールド 様
HP :
http://zatangold.blog.fc2.com

コメント:
 ある日、月面で宇宙有翼骨獣ゲランダと戦うスーパーGUTSとウルトラマンダイナの前に電脳巨艦プロメテウスが出現。ダイナが苦戦していたゲランダを、プロメテウスはネオマキシマ砲で消滅させてしまう。
 それからしばらく後、スーパーGUTSは地球平和連合TPCのゴンドウ参謀に招かれてクリオモス諸島を訪れていた。怪獣や侵略者との戦いをウルトラマンダイナという謎の巨人に頼っている現状を快く思っていなかったゴンドウ参謀は、クリオモス諸島で極秘裏に究極の兵器としてプロメテウスの開発を進めていたのだ。ゲランダを倒したのは完成したプロメテウスのデモンストレーションだったのである。
 プロメテウスは人間の思考パターンをインプットして動く無人の艦であり、スーパーGUTSが呼ばれたのは彼らの戦闘思考をインプットするためだったのだ。開発責任者のキサラギ博士に「プロメテウスはウルトラマンダイナよりも遥かに強い」と言われて反発を覚えたアスカ・シン隊員(ウルトラマンダイナ)は、自分の思考をインプットするように言う。だがそれは罠だった。実はキサラギ博士はモネラ星人に操られており、アスカはネオマキシマ砲への恐怖心を植え付けられてしまう。やがて行動を開始したモネラ星人にプロメテウスは乗っ取られて、電脳魔神デスフェイサーに変貌。アスカは変身して立ち向かうが、思考パターンを読まれる上に恐怖心で満足に戦う事も出来ないために敗北してしまう。
 敗北したこと、自分のせいでミドリカワ・マイ隊員が重傷を負ったことなどでアスカは自責の念に囚われていた。元高校球児でピッチャーだったアスカは自分の事を「満塁からの押し出しでサヨナラ負けしたピッチャーのようなもの」だと言い、それを聞いたヒビキ・ゴウスケ隊長は「それは一人で戦おうとするピッチャーの典型的な負け方だ」と語る。そして「ピッチャーマウンドが高いのは、ピッチャーは周りからの想いを背負うポジションだからだ」という自分の持論を語るが、その言葉はアスカに届かなかった。
 モネラ星人との総力戦に臨もうとするTPCを抜け出して街を歩いていたアスカはウルトラマンティガの人形を持つ一人の少年と出会う。少年からウルトラマンティガはどんな敵にも決して負けなかったと聞いたアスカは、なぜティガは強かったのかを聞くために旧GUTS隊長イルマ・メグミの元を訪ねる。イルマの答えは、「ティガは決して無敵ではない。ティガが勝てたのは、その本質が人間なら誰でも持つ『光』だったから」というものだった。それを聞いたアスカはヒビキ隊長の言葉を思い出し、自分は一人で戦っていたわけではない事を悟る。そして投稿の台詞を言いながら決戦の地へ向かうのだった。

駄弁者:
 意地はって投げ続けたら満塁ホームラン…とか、しょうもない茶々はやめておくとして。
 宇宙人の陰謀とかがなければ、ウルトラマンに頼らないための兵器としての「電脳巨艦プロメテウス」自体は、悪くない考えだったのでは。先発ピッチャーはウルトラマンだとしても、リリーフはあって困らないでしょう(いや活躍する時間帯的には、ウルトラマンは抑えの守護神?)。



マーサ「私も彼を気に入ってたわ。」
ジャック「僕もだ」
ドクター「何だって?彼の政策は?」
マーサ「さあ?でも好感が持てた。信頼できたの。演説の内容は思い出せないけど」

 出典: ラッセル・T・デイビス脚本・コリン・ディーク演出「ドクター・フー 第40話『鳴り響くドラム』(第3シーズン第12話)」(チオキ真理訳)

紹介 :土左衛門 様
HP :

コメント:
 かってともに旅をしたキャプテン・ジャック・ハークネスとともにターディスがたどりついたのは100兆年の未来。ところが、そこで出会った老学者・ヤナこそ実はドクターの好敵手・悪のタイムロードであるマスターだった。
 ターディスを奪ったマスターは現代に戻り、政治家ハロルド・サクソンとして首相になっていた。マーサたちも投票していた人気政治家だが、好感は持っていたものの彼の政策はマーサもジャックも覚えていなかった。マスターは政治家として設立した衛星ネットワーク「アークエンジェル」を使い、人々を洗脳していたのだ。
 うー、選挙の後これ見るとシャレにならんなあ。してみると、276集のマーサのセリフはしっかり伏線になっていたのねと見たときには驚きました(272集のシーンの後ろにサクソンのポスターが貼ってあります)とはいえ、ドクターがハリエット・ジョーンズにダメージ与えなかったら、マスターもこうは簡単に天下取れなかったんじゃ……(239集参照)そう考えるとドクター、自業自得のような。

駄弁者:
 衛星ネットワークによる洗脳がなかったとしても政策を覚えていない人がわりといそうで恐いです。議会政治の大先輩のイギリスでも「ふわっとした民意」は有力なのでは…。



石と木の棒しか残されていなくても人類は戦い続けるだろう

 出典: 厚木隼「僕たちのパラドクス」

紹介 :山家 様
HP :

コメント:
 2039年に勃発した第三次世界大戦は全面核戦争に突入。そのために核の冬がもたらされ生態系が完全に破壊され食料等の物資の確保は困難になりました。その結果として多数の国民が失われたことから生き残った双方の国民は復讐を叫び憎悪の連鎖が生まれ第三次世界大戦は終わらなくなりました。工場等はとうに失われて核やミサイルどころか航空機さえ消滅したにも関わらず、2279年に至っても(おそらく現代のレベルで言えば局地紛争レベルの武力衝突となっている)第三次世界大戦が続いている世界で生きて戦い続けている登場人物の科白です。
 物心つくはるか以前から戦争が続いていて平和な世界を知らない人物からすれば、そう思うのもやむを得ないことからも知れませんが、石と木の棒しか残されなくなっても憎悪が消えず戦いを止められないというのには何とも言えない想いがしました。戦争が長年続いていると言えば「彷徨える艦隊」シリーズの中でも似たような科白はありましたが、あちらは高度な科学文明が維持されているのに対し、こちらは上記のような状況になっているわけで、それでも戦争が止められない。人間の業というのを考えてしまいました。

駄弁者:
 残念ながら、めい文句の通りかも。
 「核やミサイルどころか航空機さえ消滅したにも関わらず」とありますが、そうなったからこそ2世紀半も戦争を続けても滅びなかったんじゃないかとも思いますね。
 前に別の方からご投稿があったアンドロイドなら「資源に余裕があるようで良かった」と言いそうです。



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